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コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ 31
- 1 :建設巨神イエオン:2008/11/04(火) 01:37:17 ID:3I7lBoNk
- ここはPS2/PSPソフト「コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS」SS投稿スレです。
感想等もこちらで。このゲームについて気になる人はゲーム本スレにもお越しください。
基本sage進行で。煽り・荒し・sageなし等はスルーするか専ブラでNG登録して下さい。
■SS保管庫 http://www1.ocn.ne.jp/~herma/CodeGeass_LostColors/2ch/0.html
■前スレ(0030) http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1225000982/
(これ以前のスレは保管庫にてhtml形式で格納済みです。“スレッド一覧”からいつでも閲覧できます)
■関連スレ
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 21 (本スレ)
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1225489272/
コードギアス ロスカラのライ 温泉には大きなオッパイが6つ (主人公スレ)
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamechara/1225366437/
【PSP】コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1207641630/
コードギアス 反逆のルルーシュ LOST COLORS 攻略スレ4
http://game13.2ch.net/test/read.cgi/gameover/1209720651/
■公式サイト http://www.geass-game.jp/ps/
■アニメ公式サイト http://www.geass.jp/
■攻略wiki http://www9.atwiki.jp/codegeasslc/
- 2 :建設巨神イエオン:2008/11/04(火) 01:38:04 ID:3I7lBoNk
- ■全般
1.支援はあくまで規制を回避するシステムなので必要以上の支援は控えましょう
2.次スレ建設について
・950レスもしくは460kB近くなったらスレを立てるか訊くこと。立てる人は宣言してから
・重複その他の事故を防ぐためにも、次スレ建設宣言から建設完了まで投稿(SS・レス共に)は控えることが推奨されます
※SS投稿中に差し掛かった場合は別です。例 940から投稿を始めて950になっても終わらない場合など
3.誤字修正依頼など
・保管庫への要望、誤字脱字等の修正依頼は次のアドレス(geass_lc_ss@yahoo.co.jp)に
※修正依頼の際には 作品のマスターコード(その作品が始まる際の、スレ番号-レス番号。保管庫の最優先識別コード)を“必ず”記述して下さい
例 0003-0342 のタイトルを ○○ カップリングを ○○
(↑この部分が必須!)
マスターコードを記述されず○スレ目の○番目の……などという指定をされると処理が不可能になる場合があります
4.睡眠は1日7時間は取りましょうw
- 3 :建設巨神イエオン:2008/11/04(火) 01:39:44 ID:3I7lBoNk
- ■SSを投下される方へ
1.投下前後に開始・終了の旨を書いたレスを入れて下さい(または「何レス目/総レス」を名前欄に)
2.規制に掛かりやすくなっていますので、長文の場合は支援要請の旨も冒頭に書いて下さい。
逆に2〜3レスほど使用の場合、支援は要らない旨を書いてください。レス毎の投下間隔は3分弱程度がベストです
3.投下前は、他作品への割り込みを防ぐ為に必ずリロード。尚、直前の投下完了宣言から15分程度の時間を置いてください
4.投下許可を求めないこと。みんな読みたいに決まってます!
5.ゲーム内容以外で本編放送前バレ情報があるSSは始めに注意書きを。
6.なるべくタイトル・カップリング・分類の表記をして下さい。(特にタイトルはある意味、後述の作者名よりも重要です)
・読む人を選ぶような内容(オリキャラ・残酷描写など)の場合、始めに注意を入れて下さい。
7.作者名(固定ハンドルとトリップ)について
・投下時(予告・完了宣言含む)にだけ付けること。その際、第三者の成りすましを防ぐためトリップもあるとベスト。
トリップのつけ方:名前欄に「#(好きな文字列)」#は半角で
・トリップがあってもコテハンがないと領地が作れず、??????自治区に格納されます
前書きの中に、以下のテンプレを含むことが推奨されます。(強制ではありません)
【メインタイトル】
【サブタイトル】
【CP・または主な人物】
【ジャンル】
【警告】
【背景色】
【基本フォント色】
- 4 :建設巨神イエオン:2008/11/04(火) 01:40:35 ID:3I7lBoNk
- ■画像投稿報告ガイドライン
ロスカラSSスレ派生画像掲示板
PC用 http://bbs1.aimix-z.com/gbbs.cgi?room=lcsspic
携帯用(閲覧・コメントのみ) http://bbs1.aimix-z.com/mobile.cgi?room=lcsspic
1.タイトルとコテハン&トリップをつけて絵を投稿する。尚、コテハン&トリップについては、推奨であり強制ではありません。
・挿絵の場合は、誰の何のSSの挿絵と書く
・アニメ他公式媒体などにインスパイアされた場合は、それを書く(例:R2の何話をみてテンさんvsライを描きました)
2.こちらのスレに以下のことを記入し1レスだけ投稿報告。
例:
「挿絵(イメージ画像)を描いてみました。
画像板の(タイトル)です。
・内容(挿絵の場合は、SSの作者、作品名等。それ以外のときは、何によってイメージして描いたのかなど)
・注意点(女装・ソフトSM(首輪、ボンテージファッションなど)・微エロ(キス、半裸など)・ゲテモノ(爬虫類・昆虫など) など、
絵はSSに比べて直接的に地雷になるので充分な配慮をお願いします)
以上です。よかったら見てください。」
画像掲示板には記事No.がありますので、似たタイトルがある場合は記事No.の併記をおすすめします。
*ただし、SSの投下宣言がでている状態・投下中・投下後15分の感想タイムでの投稿報告は避けてください。
3.気になった方は画像掲示板を見に行く。
画像の感想は、原則として画像掲示板に書き、SSスレの投稿報告レスには感想レスをつけないこと。
画像に興味ない人は、そのレスをスルーしてください。
4.SSスレに投稿報告をした絵師は以下の項目に同意したものとします。
・SSスレに投稿報告した時点で、美術館への保管に同意したものと見なされます
・何らかの理由で保管を希望しない場合は、投稿報告時のレスにその旨を明言してください
・美術館への保管が適当でないと判断された場合、保管されない場合もあります
(不適切な例:ロスカラ関連の絵とは言えない、公序良俗に反するなど)
--------テンプレは以上です--------
- 5 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/04(火) 18:55:46 ID:ALsKGGwO
- >>1
乙です!
- 6 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/04(火) 22:07:27 ID:YJxXwHg7
- しかし、もう31かあ。50も夢ではないな。
- 7 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/04(火) 22:22:01 ID:iAZc0KVi
- 31だけにアイスクリームネタが必要かな?
- 8 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 01:13:13 ID:WkqbPZPv
- >>1乙
ちょっと顔出さなかった間に新スレ経ってるんだもんな…
相変わらずの回転率だなぁ
- 9 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 02:51:12 ID:MJz8avov
- スレ立て乙でした。
そう言えばSS1000も見えてきたんでしたっけ。
お祝い参加できるかなー
- 10 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 03:21:34 ID:O9z7oxhD
- 実写化したらこの人ですかねライは
http://jp.youtube.com/watch?v=Se1FFJjrsrw&feature=related
- 11 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 03:22:55 ID:O9z7oxhD
- 下げ忘れましたゴメンナサイ……
- 12 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 03:55:07 ID:nqTBYzjh
- 上げ下げ以前にSSスレに落とす話題じゃないだろ
- 13 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 07:07:51 ID:XQ0WQgEs
- >>9 そういえばSSもそろそろ1000かあ。31スレ目で1000って投下効率相当良いよね。
- 14 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 08:32:57 ID:rBp/ibj3
- 今で920個ぐらいだね
- 15 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 22:32:12 ID:X7Be0133
- >>1乙
- 16 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 23:00:07 ID:38wjoZ9+
- オール・ハイル・>>1!乙!
- 17 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:34:51 ID:IYjxb+WJ
- (・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#親衛隊篇準拠、ライが特区日本式典会場にいなかったら?設定でR2直前までの妄想劇場
#当然ながら血染めのユフィ発生にご注意ください
#1章は鰤軍メイン(ネリ様ユフィスザク)前編のみほんの少し脇役にオリキャラ使用
#最終的には全3章の予定です、初投下なのに長くてスマソ
#僕主人公ライが変な人になってしまい全力で土下座
1章前編4レス程度です。予告と終了合わせると6レスなので支援は必要でしょうか…?
- 18 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 23:38:36 ID:Wyo5WZlL
- 支援
- 19 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:38:59 ID:IYjxb+WJ
- 親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 1*血染め の ユフィ(前編)
『行政特区日本式典会場前です。このイレ、いいえ、「日本人」達の開場を待つ長い列をご覧下さい。
ユーフェミア皇女殿下によるセレモニーは12時から行われる予定ですが、未だ黒の騎士団からの声明は…』
ブッ
「あー」
映像が突然切れたので抗議の声をあげると、怒れる女神が仁王立ちで僕を睨みつけていた。美人は怒っていても美人ですが
個人的には怒っていない美人の方を希望したいと思います。主に生命の危機的な意味で。
「なにが『あー』だ、この脆弱者」
怖い、怖いですコーネリア様。何が怖いってお手元のリモコンが僕の喉元を狙っているあたりが。
「ライ、ここで何をしている」
「ニュースを見ています」
僕が即答すると、コーネリア様は更にまなじりをキリリと上げた。
「私が聞いているのは、なぜお前が、この私の執務室に、プロジェクターを持ち込んでニュースを見ているのかということだ!」
「せっかくの妹君の晴舞台ですから大画面でご覧頂こうと思いまして会議室から拝借」
「いらん!」
…もの凄い勢いで執務室を叩き出されてしまいました。本当は会場に行きたくてたまらない癖に素直でない方だ。すかさず扉が
開いたのでうっかり心の声が聞こえたのかと思ったら、プロジェクターとスクリーンが部屋の外に放り出される。酷い、設置するの
結構手間だったんですよ。せっかく繋いで電源入れたら《NO SIGNAL》って出るし、やっと映ったと思ったら上下が逆転してるし。
「ライ卿」
騒ぎが収まるのを待っていたかのように控室の扉が開いて、丸眼鏡の青年がひょっこり顔を出した。
彼は事務官のルビエラくんです。僕とそう歳も変わらないけど真面目で優秀ないい人です。
どれぐらいいい人かというと、今もプロジェクターを会議室に戻すのを手伝ってくれて、」
「手伝いますからそんな遠回しな頼み方をなさらないで下さい…」
「おお、つい心の声が」
そう僕がすっとぼけるとルビエラくんはため息をつきつつも片づけを手伝ってくれる。ほらね、いい人でしょう?
- 20 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 23:39:38 ID:Wyo5WZlL
- 支援!
- 21 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:40:59 ID:IYjxb+WJ
- 「そんなに式典がご覧になりたいのなら、ユーフェミア皇女殿下の警護の任をお受けすればよかったのでは?」
プロジェクターを運びながらルビエラくんが尋ねる。そう、僕は式典に参加して欲しいと頼まれていたんだ。
他ならぬユーフェミア皇女殿下直々に。
行政特区の宣言をしてからのユーフェミア皇女殿下は迷いがなくなったようにいきいきとしていた。いきいきとした女性は好きだ。
美人なら尚のことだし、それが親友の主であるのだから喜ばしい事だと思う。でもこの主従は妙に行動派、しかも天然なので
時々突拍子もない行動にでるのが問題でもあった。
間違っても大国ブリタニアの第三皇女でこのエリア11の副総督ともあろう方が、控室でサボり中のヒラ騎士を襲撃されては困るのです。
いきなり飛び込んできた皇女様に、僕はあやうくコーヒーを吹き出しそうになり、ルビエラくんは大量の書類を床にぶちまけた。
当の皇女様は「お忙しかったかしら?」とニコニコしている。いっそ皮肉であって欲しいが彼女はいたって真面目だ。
スザクだけは申し訳なさそうにしていたけど何の慰めにもならない。止めてくれ、頼むから。僕ごときにアポはいりませんが
心の準備は欲しいです。
彼女の要件は来週に迫った《行政特区日本》の式典に、スザクと共に警護として参加して欲しいとの事だった。
皇族に、と言うよりユーフェミア皇女殿下の行動に免疫がない気の毒なルビエラくんにはとりあえず席を外してもらい、
僕は皇女殿下にソファを勧める。スザクは彼女の横に不動の姿勢で立つ。専任騎士が板についてきたなぁ。
ただ、と皇女殿下は続ける。
「名目上は『警護』ですけど、実際はその必要はないとわたくしは考えています」
ユーフェミア様、と咎めるようにスザクが口を挟んだ。
「ゼロは危険な男です。何が起こるかわかりません!ランスロットも待機させないと言うからせめて身辺警護だけでも厳重に…」
「問題ありません」
でも、となおも言い募るスザクの唇の前に人差し指を立てて発言を遮ると慈愛の姫君は微笑む。
妙に確信めいた笑みが気になった。彼女は何か知っているのだろうか?
- 22 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/05(水) 23:42:10 ID:Wyo5WZlL
- 支援
- 23 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:43:10 ID:IYjxb+WJ
- 「スザク、ダールトン将軍にこの書類を届けてくれないかしら?宣言文の草案なの」
つまり遠回しに席を外せと言っているのだ。もちろんそれにスザクも気づく。なにか言いたげに僕の方を見るので、(また後で)と
目でサインを送ると不承不承の態で彼は一礼し、部屋を出て行った。少し気の毒な気もする。スザクは本当にこの姫君を敬愛しているのだ。
僕はひとつため息をついて彼女に向き直る。
「皇女殿下…、」
「ユ・フ・ィ・で・す!」
私的な場では友人としてお話しする約束だったはずです!と抗議するユフィ。可愛らしく頬を膨らませて怒る姿が微笑ましい。
ひょっとしたら僕は美人に怒られるのが好きなのかもしれない。
「ごめんごめん、ユフィ。わかってるよ」
ユフィはからかわれたと思ったのか、更に頬を丸くする。いや、実に申し訳ない。
政庁の外でなぜかユフィと遭遇することが多かった僕は、自然とユフィの「友達」になった。ユフィの弁を借りると、政庁以外の場で
話しかけてくれたのはスザクと僕だけだったらしい。…それはきっと他の皆は租界で楽しそうにしているお姫様に自分の目を疑ったのか
見なかった事にしたのか、どちらかのような気がしたけれどあえて口には出さない。
僕とユフィはお互い大切に思う人が一緒な(誰が、とか言うまでもない)ある意味似た者同士だ。話が合うのは当然とも言える。
- 24 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:44:36 ID:IYjxb+WJ
-
「警護と言うよりは、わたくしの大切な友人として新しい特区設立に立ち会っていただきたいのです。
スザクや、ライさんの力添えがあってこその特区ですから」
「いや、僕はなにもしていないよ。行政特区なんて僕には思いつきも出来なかったんだから」
本当にびっくりしたしね、と僕が言うとユフィはいたずらが成功した子供のような笑みを見せたが、ふいに何かを思い出したのか
その笑顔がみるみるしぼみ、俯いてしまった。上目で僕をじっと見る。
「…お姉さまは何か言ってましたか?」
たぶんこれが今回の訪問の目的だ。特区日本の宣言以来、コーネリア様とユフィはちょっとした冷戦状態になっている。ただでさえ専任騎士に
スザクを選びコーネリア様と少しぎくしゃくしてしまった件もあったので、スザクの前では言い出しにくかったのだろう。
「大丈夫、殿下は理解してらっしゃる。少し時間が必要なだけだよ」
ユフィを安心させようと僕は微笑む。コーネリア様に仕えるようになってからまだ日も浅い僕だけど、この姉妹がお互いを
とても大切に思い合っているのはよく分かる。ブリタニアの皇族という難しい立場のなか、ずっと過ごしてきた時間があるんだ。
これぐらいのすれ違いで揺らぐような関係ではないはずだ。
そう、ユフィ達は大丈夫。問題は別のところにある。
「ただゴメン、ユフィ。気になることがあって今はコーネリア殿下のお側にいたいんだ」
「気になることですか?」
「うん。大したことにはならないと思うんだけど、エニアグラム卿も気になされていたので少しね」
「ナイト・オブ・ラウンズのエニアグラム卿が…。わかりました。ライさん、どうかお姉さまをお願いしますね」
- 25 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:46:05 ID:IYjxb+WJ
- 《行政特区日本》構想がいきなり公表された直後は、確かにコーネリア様はご立腹だった。
しかしそれはユフィ自身や、案そのものに対する怒りと言うよりは、このエリア11責任者である総督があずかり知らぬ所で
話が進んでしまっていたのがコーネリア様の統治者としての信条に背くものだったのだろう。
ユフィがシュナイゼル殿下には相談していたのがさらに火に油を注いだ。
シュナイゼル殿下から事情を説明され今は納得していらっしゃるようだが、さすがのコーネリア様でも溺愛する妹が独り立ちしていくのを
応援する気持ちになるにはもう少し時間が掛かりそうだった。要するに怒っているのではなく、頼られなかったことを拗ねているのだ。
拗ねるコーネリア殿下なんて珍しいものが見られたのは良かったけど、」
「ライ卿、また頭の中漏れてますよ…」
ルビエラくんにツッコまれてしまいました。いかん、また心の声が。万が一でもギルフォード卿に聞かれたら大変です。
僕はあらためてスクリーンを抱え直し、会議室へ向かった。さっさと片付けてしまおう。
「…………」
あと3時間で式典が始まる。黒の騎士団は、ゼロは姿を現すだろうか。
空は晴天。なのに何でだろう、ひどく胸騒ぎがする。
- 26 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/05(水) 23:46:58 ID:IYjxb+WJ
- #(・∀・)本文が長杉言われたので1レス増えましたw 1章前編終了。後編に続きます。
#改行の文字数などお見苦しい点がありましたら指摘ヨロ
- 27 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 00:13:21 ID:s3EkaJvm
- やはりライの雰囲気や描写に少し違和感がある、かな
文章力はあって読みやすいので、これは少し勿体無いと思う
- 28 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 00:28:03 ID:nS15awx1
- >>26
初投下、乙!
特区をコーネリア側から見るという視点が新鮮です。
これから惨劇が起こるということに覚悟をしなくてはなりませんが、続きが気になります!
次回の投下を楽しみにしています。
- 29 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 00:48:20 ID:+HDUD9XP
- >>26
(・∀・)卿、初投下乙でしたー
やはりライの性格や雰囲気に違和感は感じました。
しかし、読みやすい文章に面白そうな設定を見てると
大変続きが気になってきます!
今から急に性格を変えるのもどうかと思いますので
このまま突っ走っても良いんじゃないかと思いました。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 30 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 01:04:14 ID:qAHJXThn
- ほのぼの補正がかかっていそうなのに血染めのユフィ・・・
どう、どうなるんですかこれは
文章はしっかりしていて安心感。信じて乗っかっていきます。
面白いアナザーに連れて行ってもらえそうでドキドキ。
次回1章後編、楽しみにお待ちしています!
- 31 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 07:17:54 ID:em6cJRDB
- >>26 初投下乙です。確かにライのキャラに補正かかってますが、しっかりとした設定と文章力があるうえでのことなので、作風と意図がちゃんと伝わってきて問題なしです。続き楽しみにしています!
- 32 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 08:00:00 ID:A5dwcdyA
- >>26
初投下おつ〜
他の人がいうとおりライの性格がちょっときになるかな?
でもここからあの惨劇につながるかと思うと楽しみですな
- 33 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 08:13:11 ID:xM94sbnF
- >>26
こういう主人公改変ものって普通は嫌われたりすることが多いんだけど
これは文章力が見事に補ってますね。続き楽しみにしてます。
- 34 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 08:20:20 ID:CA1wSBUv
- ほのぼの路線かと思いきやこの跡にアレが待ち構えてるのか…
楽しみやら怖いやら
でもやっぱり楽しみ!次回の投下を全力でお待ちしております!
- 35 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 08:27:50 ID:qe/UNR6L
- このライは某「ロスカラさん」に通じるものがあるなw
- 36 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 11:46:46 ID:kbTsO15m
- >>26 乙です。ギャグ路線以外ではキャラクターの性格改変物は苦手なのですが違和感なく読めました
これからあの悲劇が始まるわけですがこのライがどんな活躍をするか楽しみにしてます
- 37 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 20:27:10 ID:We9r6apz
- 人居ますか?
- 38 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 20:33:37 ID:l0HkHScy
- おりますよ。
- 39 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 20:41:10 ID:We9r6apz
- じゃあ人が居るみたいなので投下します
覚えてる人居るかな?
魔法少女ライマーユニーにシリーズで「狂王2」です
カップリングは特になし
約19レス
注意点
・ぶっ壊れ系ギャグです
・また、世界、キャラともにぶっ壊れ方が激しいので注意してください
・このシリーズのライは最早スーパーアイドルですのでお気をつけて
では投下
- 40 :萌は文化:2008/11/06(木) 20:43:57 ID:We9r6apz
- 「では見ていただこう。来月公開の『狂王2』だ」
ゼロが言うと照明が落とされた。
『狂王2』
前回までのあらすじ
「前作を見てください」
「待て! それではあらすじの意味がないぞ!」
サラッと言って画面から去ろうとするライに杉山が突っ込むとライは杉山を睨みつけた。
「前作も見てないクセに見に来る奴に説明なんか必要ない」
「頼むからお客さんから反感買うような発言止めてくれ!」
杉山が頭を下げるとライは渋々、あらすじの説明を始めた。
「あらすじ、凪沙さんが素敵、凪沙さんは美しい、凪沙さん最高。凪沙さん好きだ」
「ええと、前回までのあらすじ。ライは昏睡状態の千葉さんの治療費を稼ぐため、夜の街で知り合った謎の男ゼロに誘われ流行らないホストクラブ『狂王』のホストとなった。ライは千葉さんの治療費を稼ぐため『狂王』を立て直し、No.1のホストを目指すのであった」
もはやライはあてにしないことにした杉山は淡々とあらすじを説明した。
「お疲れ様です」
「……殴りたい。こいつすごく殴りたい」
ライと杉山のあらすじの説明が終わると本編がスタートした。
- 41 :萌は文化:2008/11/06(木) 20:46:26 ID:We9r6apz
- 本編が始まるとライ達が新しくなったホストクラブ『狂王』の店内で経営方針について話し合っていた。
「やはり、ホストクラブ定番のフルーツ盛り合わせだけじゃなくてウチだけの特別な何かが欲しいな」
ライの提案にゼロは頷いた。
「うむ、もっともだな。確かにライが入ったことでウチのホストのレベルが上がったがライ以外は地味な美形とヤクザなギリ美形メガネくらいしかいないからな」
「誰が地味だ。誰が脇役だ。誰が影が薄いって?」
「ヤクザなギリ美形って僕のことかい?」
「とあるホステスの店ではホステス達の手料理を出すそうだ。ウチにもそれくらいのインパクトがあるサービスが欲しいな」
「「無視か!?」」
杉山と朝比奈を無視て頭を悩ませるライとゼロ。
「フッ、ならば僕の実力を見せてあげようじゃないか。杉山君、例の物を」
「お、わかった。あれだな」
自信満々に朝比奈が言うと杉山は席を立ち、厨房からあるものを運んで来た。
「はい、どうぞ」
杉山がライの前に置いたのは丼に入ったホカホカのラーメンだった。
「………おい」
「ん……ブァッハ!」
そのラーメンを見たライは近くにあった灰皿を手にとり杉山を殴りつけた。
- 42 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 20:48:46 ID:We9r6apz
- 「何すんだよ! 殺す気か!!」
殴られた杉山は頭から血を流しながら怒った。
「黙れ地味男。ラーメンってなんだラーメンって。ホストクラブを舐めてんのか君は!」
「だったら朝比奈に言えよ! なんで俺が殴られなきゃいけないんだよ!」
「目の前にいたからだろ」
「納得いくか!」
さぞ当然のように言うラスとゼロに杉山はツッコミを入れた。
「まったく、杉山君をいくら殴ろうとかまわないが僕のラーメンを食べもしないで文句を言うのは納得いかないな」
「嫌、かまえよ!」
「まずは食べてみてくれ」
「無視かよ!」
騒ぐ杉山を無視して飽くまでもラーメンを押す朝比奈。
ライは渋々ラーメンを口に運んだ。
「む、これは!」
ライは再び灰皿を手にするとそのまま杉山を殴りつけた。
「グハッ!」
「美味いじゃないか」
「フッ、当然さ」
ライに自分の作ったラーメンを褒められ得意気な朝比奈。
「いや、その前に何故俺を殴った」
「ラーメンが美味しいからさ」
「ふざけるな美形!」
- 43 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 20:49:54 ID:Mewj/wq5
- 支援
- 44 :萌は文化:2008/11/06(木) 20:53:05 ID:We9r6apz
- 一方、杉山は殴られて怒り爆発中である。
「だが残念なことに………そのチャーシューを食べてみてくれ」
そんな杉山を無視して朝比奈が言うとライはラーメンの具の厚みのあるチャーシューを口に運んだ。
チャーシューをしばらく噛み締めるとライは近くの灰皿を拾い杉山の顔面に投げつけた。
「ブベハッ!」
「まずい! なんだこれは! ラーメンの味を何一つ生かさずに作られたこの不快感はなんだ!」
拳を握りしめ、杉山を何度も不必要に踏み続けるライ。
「ちなみにチャーシューは杉山君が作ったから僕のせいじゃないよ」
「やはりお前は脇役な上に地味な男だな。略してワジオだ!」
「マ○オみたいに言うな! っていうかやりすぎだろ!!」
ポタポタ垂れる鼻血を押さえ、杉山は立ち上がり3人に怒鳴った。
「いいからさっさと掃除をしろワジオ」
「あと買い出しよろしく杉山君……おっと失礼ワジオ君」
「ロクに笑いもとれなそうなあだ名をつけるな!!」
ブツクサ文句を言いながらも素直に店内を掃除し始める杉山。
「ラーメンは意外といけるから採用。でももう少しメニューにバリエーションが欲しいな」
「ほう、バリエーションとは?」
- 45 :萌は文化:2008/11/06(木) 20:54:37 ID:We9r6apz
- ゼロが興味深げに聞くとライは説明を始めた。
「ラーメンだけでなく味にこだわった美味しい料理をウチの店の目玉にするんだ。美味しい料理が食べられ、ホストがご奉仕してくれる。これをウチのスタイルにしようと思うんだ」
なるほど、とゼロは頷いた。
「少し値は張るが、それでも文句がないほど美味しい料理を作ればいい。うまく行けばホスト目当てじゃなくて料理目当てで来るお客さんも増えるかもしれない」
「なるほど、流石だな。元々ホストで出される料理はぼったくりだ。だから普通のレストランの値段より上乗せしてもそれほど気にはならないということか」
「そういうこと。某ホストクラブではただのフルーツ盛り合わせで2、3万を普通に取るからね」
得意気に語るライ。だが朝比奈はここで重要な問題に気づいた。
「ちょっと待て、その料理は誰が作るんだ? 言っておくが僕はラーメンくらいしか大したのは作れないぞ。まあ、肉じゃがとか醤油を使った料理なら結構自信あるけどね」
「ホストで肉じゃが出されてもキモイよ醤油馬鹿」
ボソッと杉山が呟くと朝比奈は近くにあった花瓶を掴み杉山に投げつけ、見事ヒットした杉山は大きく吹き飛んだ。
- 46 :萌は文化:2008/11/06(木) 20:59:37 ID:We9r6apz
- 「やはり、そこが問題なんだよね」
脳震盪を起こし、ふらつく杉山を無視してライはうーん、と唸り頭を悩ませた。
「その話、聞かせていただきましたよ!」
「何!」
すると突然入り口の扉が開き、ライ達の視線が入り口に集まった。
そこには何故か薔薇をくわえた咲世子が変なポーズで立っていた。
「あ、あなたは…」
「フッ、私ですか?」
ライが言うと咲世子待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑った。
「フッ、私ですか………私はスーパーメイド咲世子。そして人は私をスーパーメイド咲世子と呼ぶ!!」
(まんまだ!)
(そのまんまだ!)
無意味にポーズを決めると咲世子はくわえていた薔薇を近くのゴミ箱に捨てた。
(捨てたよ! 地味に薔薇を捨てたよ!)
(流石スーパーメイドだ)
「さて、何故私がここに来たのか言いますと…」
誰も聞いてないのに咲世子は遠くを見ながら急に語り出した。
「率直にいいます。私を雇ってみませんか?」
突然の来訪者からの突然の申し出。
- 47 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:02:50 ID:l0HkHScy
- 支援
- 48 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:04:19 ID:We9r6apz
- 「ウチはホステスは募集してないが?」
「いや、胸をさらしでごまかして男装させればいけるかもしれないよゼロ」
「君達はバカかい? ウチはメイド喫茶じゃないのでお引き取りください」
「バカはてめぇら全員だ!」
だがトンチンカンなことを言うゼロ、朝比奈、ライの3人。とりあえず杉山は大声で突っ込んでおいた。
「もちろん、ホストでもホステスでもなく、ましてやメイドとして雇ってもらうのではなく、ここ、ホストクラブ『狂王』の厨房係として雇って欲しいのです」
「……何!」
咲世子の申し出を聞き、朝比奈の目の色が変わった。
「君、醤油は好きかい?」
「はい、好きです」
「ゼロ、僕は賛成だ」
醤油が好きか嫌いを確認した朝比奈はキッパリと言った。
「適当すぎだろ!」
「何を! 醤油の好き嫌いは重大だろ!」
醤油至上主義の朝比奈に意義を申し、杉山と朝比奈は口論を始めた。
「ただし、それには条件があります」
そんな喧嘩する2人を無視して咲世子は話を続けた。
「私とご奉仕勝負をしてもらいます」
「ご奉仕勝負?」
ライが繰り返すと咲世子は頷いた。
- 49 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:06:45 ID:We9r6apz
- 「そう、ホストとホステスの基本中の基本としてご奉仕勝負をさせていただきます。もしこの勝負であなた達が勝ったら私を雇ってください」
何故か雇われる側のクセに偉そうな咲世子。
「もし負けたら?」
「この店をもらいます」
サラリとあまりにも不公平な条件を出す咲世子。
「いいよ」
だがライはあっさり了承した。
「おい待て! どう考えてもこっちのデメリット大きすぎだろ!!」
慌てライに問い詰めるゼロ。
「大丈夫だゼロ。だってここ、僕の店じゃないもん。損するのは君だけさ」
キッパリとライはいい切った。
「それもそうか」
そして何故かゼロは納得をした。
「いいのか! それでいいのかゼロ」
「黙れ杉っち! 僕らには人事だ」
ツッコミを入れる杉山に朝比奈が怒鳴った。
- 50 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:07:36 ID:l0HkHScy
- 支援
- 51 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:13:19 ID:We9r6apz
- 「何その黙らせかた! ってか杉っちって俺のことか!?」
「うるさいぞ機動戦死杉ダム」
「少し黙れスーギ」
「せめてあだ名を統一しろ!」
そんなこんなでホストクラブ『狂王』チーム対スーパーメイド咲世子によるご奉仕勝負が始まった。
「……ふう、今日は遅くなったな」
場面変わって狂王の店の前。
狂王の店の前を偶々扇が歩いていた。
その時、店の扉が開き、中から飛び出して来たロープが扇の首に絡みついた。
「がっ、な、なに…うわぁぁ!」
困惑する扇はそのまますごい力で店内へと引きずり込まれた。
無理矢理引きずり込まれた扇はソファーに座らせられると目の前に偉そうに座る仮面の男ことゼロに驚愕した。
「ようこそ狂王へ」
「ヒィィ!?」
目の前の怪しい仮面男にビビる扇。
「ルールは簡単、この人を満足させた方の勝ちです」
扇の首に巻かれたロープを外しながら咲世子は言った。
「いいだろう。では先にお前からだ」
「ええ、いいでしょう」
扇の意識は総シカトで咲世子は扇を個室へと引っ張って行った。
「時間は30分だぞ」
「わかってます」
「ちょっと、一体何なんですか!?」
- 52 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:15:16 ID:We9r6apz
- 扇の叫びなとお構いなしに、個室の扉が閉められた。
30分後、扉が開くと中からパレオを着た咲世子と鼻の下がだらしなく伸びてる扇が出てきた。
「いや〜、いいもの見た」
デレデレににやけた顔で扇は笑った。
「フフフ、どうですか? 必殺個室で男性のためにコスプレショーですよ。これで満足しない男はそうはいません。私の勝ちですね」
プルンと胸を揺らし、咲世子は偉そうに腕を組んだ。
「フッ、馬鹿め。水着はパレオよりハイレグだ!」
「何を言っているゼロ。ビキニ一択だろ」
「いやいや、ワンピース型だろ」
「会話がかみ合ってないぞ!」
杉山が3人に突っ込むとライは小さく咳払いをした。
「フッ、舐められたものだ。僕らには彼を満足させるだけの切り札がある」
「何ですって!?」
自信満々でクールに笑うライ。
「フッ、いいでしょう。お手並み拝見いたしましょう」
そう言うと咲世子は少し離れた所に何故かグラビアアイドルのようなポーズで座った。
「では、次はここに座って」
「は、はい…」
ライに言われ扇はゼロの目の前のソファーに座った。
- 53 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:17:09 ID:We9r6apz
- 「では始めようか扇要君」
「な、何故俺の名前を…!」
名乗ってもいないのに自分の名前を呼ばれた扇の表情が凍りついた。
「フッ、君が咲世子さんのコスプレショーを楽しんでる30分。僕達が何もしてないと思ったのかい?」
まるで悪の組織の総帥のような悪い笑みでライは言い手帳を開いた。
「扇要、27歳O型。○○小学校の教師をしている。両親はすでに他界。現在妹と2人暮らし。立派なものですね」
スラスラと手帳の中身を読み上げるライの説明を聞き、扇の体から嫌な汗が流れた。
「さて、実はこの勝負、私が負けると私の全財産であるこの店があのメイドにとられてしまうのだよ。この意味わかるな」
「……え、ええ」
テーブルの上に足を乗せ、どこか威圧的にゼロは言った。
「ところで君には可愛い妹がいるそうだね。確か名前はカレンだったかな?」
「!?!」
朝比奈の言葉に扇は絶句した。
「君の妹さんの帰り道はすごく危険だよね。あの辺は人通りも少なく、少し部活で遅くなったら真っ暗だ。そこで何かあったら悲鳴は誰にも届かないだろうね」
「あ、あんたまさか!!」
肩を震わせ扇が立ち上がった。
- 54 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:19:46 ID:We9r6apz
- 「何をそんな驚いているんだい? 僕達はただ君の妹さんの話をしているだけだよ」
涼やかな笑みを浮かべ朝比奈は笑った。
「最近、物騒だからな。そうそう、物騒と言えば君の担当しているクラスの生徒達だが子どもは可愛いな。みんな仲良く集団下校だからな。だがその集団下校の最中にもし、もしもだぞ? 飲酒運転のトラックが突っ込んで来たら恐ろしいな」
朝比奈に続き、今度はゼロが語り始め、扇は恐ろしいものを見るようにゼロに視線を向けた。
「もちろんそんなことがないのを願うが最近は物騒だからな…そうそう君は同じ職場の女性に好意を持ってるようだな。名前は…」
「止めろー! 止めてくれ!!」
耐えきれなくなった扇は耳を塞ぎ悲鳴を上げた。
「何をそんな嫌がるんだい? 僕達は君の周りの世間話をしているだけだよ。ああ、そういえば君の家の、立派だね。立て直したばかりだっけ? でも気をつけるんだよ。木造ってわりと早く簡単に燃えるからね」
「うわぁぁぁ」
クスクス笑うライを見て扇は慌てて走り出し、店の入り口の扉へと向かった。
「助けてくれ! 助けてくれ!! 誰か! 誰かぁ!!」
- 55 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:20:46 ID:Z+014wW7
- おお、狂王が投下されてる支援
- 56 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:23:01 ID:l0HkHScy
- 支援
- 57 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:23:23 ID:We9r6apz
- 必死に扉を叩く扇だが押しても引いても扉は開かず、扇は惨めに叫びながらひたすら扉を叩いていた。
「何をそんなに恐れる扇要よ」
「本当だよ、これじゃあ僕達が怖い人みたいじゃないか」
「ホント…傷つくな」
そんな扇を追い詰めるようにゼロ、ライ、朝比奈の3人が扇を取り囲んだ。
「ヒッ! た、頼む…助けてくれ」
跪き命乞いをする扇。
「助けるって何をだいゼロ?」
「さあな。だがこの勝負負けるわけにはいかんのでな。まだ帰られるのは困るな」
とぼけた顔で話すライとゼロ。
「わ、わかった! あんたらの勝ちだ。文句ないだろ! あんたらの勝ちだ!」
今にも泣き出しそうな扇は訴えるように叫んだ。
「やったねゼロ。僕達何もしてないのに勝ったよ」
「そうだなライよ。なんて優しい審査員だったんだろうな」
「僕達はラッキーだね」
(悪魔だこいつら…)
勝利に喜ぶ3人を見て杉山は心底そう思い、扇に同情した。
「フッ、流石ですね。私の負けです」
それでいいのか?
咲世子はどこか満足そうに笑い、ゼロに手を差し出した。
「何、君もよくやったよ」
「いや、むしろお前ら最低だ」
固い握手を交わすゼロに杉山は突っ込んだ。
- 58 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:23:34 ID:Z+014wW7
- 支援
- 59 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:24:25 ID:qjoQ0lnd
- フルメタねたか・・
- 60 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:26:03 ID:We9r6apz
- 「よし、これで厨房とウェイターの確保は出来たね」
「? 咲世子さんが厨房係ってのはわかるけどウェイターはどこから来たんだ?」
ライの言葉に疑問を感じた杉山が言うとライは扇を指差した。
「彼」
「何を!?」
いきなりウェイターに任命された扇は驚き声を上げた。
するとゼロがマントを翻して言った。
「安心しろ。すでに辞表は代わりに出しといてやった」
「なんだってぇー!!」
「これで貴様はウチの専属ウェイター兼雑用係だ」
力無く膝をついた扇。
そんな扇を見かねてライは扇の肩を叩き、そっと囁いた。
「君にもう自由なんてないんだよ」
ライの囁きを聞いた瞬間、扇の顔から光が消えた。
「う、うわぁぁぁ!!」
「悪魔だ……なんで俺こんな店にいるんだろ」
熱くなる目尻を押さえ、杉山は黙って扇に同情をした。
『狂王2』 終
- 61 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:26:19 ID:Z+014wW7
- 支援
- 62 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:28:23 ID:l0HkHScy
- 支援
- 63 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:28:23 ID:We9r6apz
- 「うう……すごいよ……ライマーユニーの新作だけじゃなくて狂王2まで見れるなんて…」
「…………感激」
狂王2を見終わるとモニカとアーニャは周りドン引きするほど号泣していた。
「とりあえず涙ふけ2人とも」
そんな2人を見かね、ノネットがハンカチを差し出した。
「うう…ありがとーノネット」
ノネットからハンカチを受け取り、モニカが自分の涙を拭いたその時だった。
「ごめんゼロ。渋滞で遅れちゃった」
扉を開け、ライが息を切らしながらやっと到着した。
「「ライ様!?」」
扉近くの一番後ろの席のアーニャとモニカがすかさず反応した。
すぐ目の前に憧れのライ様がいる。
そう思った2人は緊張で身体が固くなった。
「遅いぞライ。おかげで狂王2まで見終わってしまったぞ」
「そうみたいだね。たった今終わったのかな………あれ」
ゼロと言葉を交わしたライは自分の方を見て固くなってるモニカとアーニャの視線に気づいた。
するとライは2人の元まで行き、自分のポケットからハンカチを取り出しそっと2人の涙を拭いた。
「もしかして狂王2を見て泣いてくれたのかな? フフ、ありがとう綺麗で可愛らしいお嬢さん達」
- 64 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:28:42 ID:Z+014wW7
- 支援
- 65 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:30:05 ID:We9r6apz
- 「綺麗で…」
「可愛らしい…」
爽やか笑みを向けられ、アーニャとモニカの2人は絶頂とも言える胸の高鳴りを感じていた。
流石、黒の騎士団が誇るスーパースターと言うべきである。
※ 忘れ気味ですが黒の騎士団はレジスタンスです
「あの…ライ様ですよね……良かったら握手を…」
ライのオーラに少し押されながらもノネットがライに恐る恐るお願いをした。
意外なことに先程までライ様(ライマーユニー)に会えると興奮し、騒いでいた連中は本当のライを目にした瞬間、驚くほど静まり返りライを見つめていた。
「あ、すみません。悪いけどそれはまた後で、凛々しきお姉さん」
「っ!」
やんわりと断り、ステージに向かうライ。
そんなライの姿を断られたノネットはどこか熱っぽくポーっと眺めていた。
「あれが……本当のライ様………こんな気持ち初めてだ…」
「ライ様が…私を綺麗で…可愛いって……」
「………死んでもいい」
完全にトリップ状態のノネットとモニカとアーニャであった。
「それではライが来たところでこれから撮影の説明を始める」
こうして説明会は無事に終わった。
- 66 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:30:37 ID:Z+014wW7
- 支援
- 67 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:32:20 ID:We9r6apz
- 説明会が終わった後、ゼロとライ、井上、朝比奈、ディートハルトを中心とした黒の騎士団達はこれからの撮影の予定を話し合っていた。
「やはりナイトオブラウンズは全員ライマーユニーに出演させた方がいいのではないですか?」
「そうだね。正直、ライマーユニーの方は役者が足りなくなって来たし、ちょうどいいね」
ディートハルトと朝比奈の言葉を聞いてゼロは静かに頷いた。
「なるほど、ライマーユニーの方はお前達に任せよう。狂王の方はどうする井上?」
「うーん、正直狂王は美形が不足してるから美形が欲しいんだけど……」
困ったように井上が言うと朝比奈が意を反するように手を上げた。
「だがこちらも役者は不足している。使えそうな人材も少ないしあまり狂王に分け与える余裕はない」
「ちょっと、分け与えるって何よ。それじゃ狂王がまるでライマーユニーより下みたいじゃない!」
朝比奈の言葉に机を叩き、井上が噛みついた。
「何を言ってるんだ? ライマーユニーの方が収益が圧倒的に上だろ。狂王なんか女性ターゲットの副産物にすぎないよ」
- 68 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:32:44 ID:Z+014wW7
- 支援
- 69 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:33:03 ID:l0HkHScy
- あれ、雲行きが…支援
- 70 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:34:36 ID:We9r6apz
- 「キィー! 収益が多ければ偉いって! 狂王だって必死こいて作ってるのよ。それを、それを副産物だなんて……」
朝比奈の発言に悔しそうにギリギリと唸る井上
「……ライ君もなんか言ってあげて!!」
「え、あ……僕としてはライマーユニーと違って女性しなくていいから狂王の方が楽だな………なんて」
軽く笑い、ライはお茶をすすった。
「ええい、喧嘩は止めろ2人とも!! 仕様がない。互いに使いたい役者を名前を後で私に提出しろ。後で私とディートハルトでスケジュールを組む。それでいいな」
「わかったわゼロ」
「OKそれで行こう」
ゼロの提案に朝比奈と井上は互いに納得し、会議は終了した。
「では、ライ君はこれからアッシュフォード学園で講演会があるので急いでください」
「はいはい、また移動か…」
偶には休ませて欲しいと思いながらライはため息をつき、車へと向かった。
- 71 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:34:51 ID:Z+014wW7
- 支援
- 72 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:37:01 ID:We9r6apz
- おまけ
テレビ『さて、ここで番組からのお知らせです。今度のスペシャルではなんとライマーユニーとライ様をゲストとしてお呼びするのですが抽選で2名の方にライ様またはライマーユニーとのハニカミデートのチャンスが! 宛先はこちら……』
皇帝「ヌアッハハハハ! あやつめ、やりおったな!!」
V.V「シャルル! 出来れば僕の分のハガキも手伝ってよ。腕がもう痛くて…」
皇帝「ヌアッハハハハ!」
V.V「いいじゃん! シャルルはライマーユニー目当てで僕はライ様目当てなんだから!」
皇帝「あやつめ、やりおったな!!」
V.V「わかったよ。自分の分は自分で書くよ。シャルルのケチ!」
- 73 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:37:27 ID:Z+014wW7
- 支援
- 74 :萌は文化:2008/11/06(木) 21:41:24 ID:We9r6apz
- 以上で終了
久しぶりすぎて文体がおかしい気がする……
いつ終わるのかなこのシリーズ
では支援ありがとうございました
- 75 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 21:50:00 ID:Z+014wW7
- お疲れっす!
てっきり終わったかと思ってたこのシリーズ。続きが読めて嬉しいです。
さて、感想ですけど、ライが黒いな〜wてっきりギアスで物にするのかと思って
ましたが、脅迫とは読めなかったなあw扇はこれから杉山のポストなのかな?
素のライもノネットさんを篭絡するとは、朱に交わって真っ赤ッかになったのかと
思いましたがあれも演技とは、、、、凄まじいですな。
次回の投下を首を長くしてお待ちしております。
できれば幕間も独立してそれだけを読みたいですね。
- 76 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 22:07:33 ID:/oz19Gih
- >>74
杉山が哀れで、目から汗が…
でも、地味な美形はその通りで擁護できないw
朝比奈でギリ美形ってハードル高っ!
扇も可哀想だが、ウエイター姿は似合う気がするw
咲世子の万能ぶりはどこまでいくんだ?
朝比奈と井上の熱いガチバトルがもっとみたい気がするが、きっとそんな人間は少数派
ラウンズの内訳がどうなったかも気になるけど、美形不足ってことはジノは狂王に参加か?
>>75さんの言ってる幕間ものも一回くらい見てみたい気がするw
シャルルとV.V.のライマーユニーな日々って感じでwww
- 77 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 22:53:44 ID:eq3N4sFV
- >>74
GJ!ライがかつてなく黒いwそして杉山、負けるんじゃないぞw
ブリタニアも巻き込んでのこのプロジェクト、どこまで行くんだろう。
続きをお待ちしています。
さて、23:10に投下します。本文・あとがき合わせて11レス分あります。
- 78 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 22:59:45 ID:+HDUD9XP
- >>74
萌は文化卿、GJでした!
全体的に黒いなwww
杉山がある意味美味しいポジションにw 頑張れ、ちょっと目立ってるぞw
いきなりの咲世子さん登場に吹いたw
今回の一番の被害者、扇要……泣けんでぇ
そして皇帝はwwwもう自重しなくていいよwww突き進んじゃいなよwww
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 79 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:08:24 ID:f2RnanhJ
- つか、扇への手口はまんまフルメタルパニックじゃねーか!!
おもしろかったけどさ
- 80 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:11:14 ID:eq3N4sFV
- さて、そろそろ投下します。
作者:余暇
タイトル:解読不能?
(設定と注意)
・騎士団編カレンEND後で、特区成立から一年が経過。
・ジャンルはギャグ…のつもり。
・最後の方にライカレ要素あり。
・ディートハルトを初めて書きました。彼の雰囲気を出したつもりですが、少し自信ありません。
本文・あとがき合わせて11レスあります。
- 81 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:13:31 ID:Z+014wW7
- 風呂が沸くまで支援
- 82 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:14:40 ID:eq3N4sFV
- 『解読不能?』
今日は特区日本の成立一周年記念式典の日。僕とカレンは、会場で警備を担当していた。
そしてその時、モニターの中でゼロの演説が始まった。
「日本人の諸君!私は嬉しい。何故なら、本日は日本という名が復活してちょうど一年に当たる、記念すべき日だからである!
思えばあの日から、日本復活に向けた苦難の道は始まった……。」
マントをなびかせ、またある時はありえない腰の曲げ方をして、さらにある時は手で前髪を掻き上げるような仕草をしつつ、ゼロの熱い演説は進んだ。今日もノリノリだな、絶好調だ。
「しかし、わからないな。」
「え?何がなの?」
僕はふと思った疑問を口にして、その言葉にカレンが振り返った。
「いや、演説のたびにあんなに激しい動きをして、彼は一体何がしたいんだろうと思う時があるんだ。」
「ああ、確かに。派手に見せる演出なのかもしれないけど、それだけの理由であそこまでは考えつかないわ。それに、きっと体を痛めると思うのよね。」
カレンも僕に同調した。そうだ、あんな動きを繰り返せば、確実に体にガタが来る。何しろ中身は、あのルルーシュだ。なのに演説後も平然としているのはおかしい。
演説の時だけ中身が入れ替わっているとも思えないし、すごく不思議だ。
「フフフ。その理由、知りたいですか?」
声がした方へ振り向くと、そこにはディートハルトが立っていた。
- 83 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:14:54 ID:Z+014wW7
- 支援
- 84 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:16:41 ID:J3qBnUwW
- 支援
- 85 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:16:48 ID:eq3N4sFV
- 「ディートハルト、もしかしてあの動きの真意を知っているのか?」
僕の問いかけに、彼はニヤリと笑った。
「まあ、確証は得られていませんがね。そもそも報道に携わる者とは、多種多様な情報の伝達方法を嫌でも目にします。またその中で、様々なコミュニケーションの取り方を知るものなのです。
何しろ世界は広い、文化圏や言語の違いだけで、コミュニケーションの取り方も差異の大小があるとはいえ、変わってくるものです。」
ふむ、やはりそういうものなのか。色々な世界を見てきたであろう彼が言うと、説得力があるな。
「それで、ゼロがあの動きをしている真意は何?何か大きな意味があるの?」
カレンがディートハルトに尋ねた。
「ええ、ありますとも。ゼロが用いているのは、たとえ言葉が通じなくとも、その仕草を見れば相手に自分の伝えたいことが見事に伝わってしまう、
原始的かつシンプル、しかして高度なテクニックを必要とする方法なのです。その名も……。」
そこで、ディートハルトが妙にリアルな顔になった。正直、顎が気持ち悪い。
「ボディ…ランゲージ。」
その言葉を聞いて、僕とカレンは目が点になった。ディートハルト、それは本気で言っているのか?
- 86 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:16:59 ID:Z+014wW7
- 支援
- 87 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:19:21 ID:eq3N4sFV
- 「ボディランゲージ?」
「えーと、要するにジェスチャーか?」
「まあ、平たく言えばそうなりますな。それもゼロの場合は、ごく少数にしか解読不可能な、裏のメッセージを送っているものと思われます。」
その時、僕とカレンに衝撃が走った。
「う、裏のメッセージ!?そんな、ゼロが私たちに隠し事を?」
「それってまさか、世界に散らばる反ブリタニア勢力に対して一斉蜂起を促すとか、重大なものなのか?」
するとディートハルトは、首を横に振った。
「ああ、ご安心を。真面目な演説の中にコミカルなエッセンスを加えて、こっそりと空気を和ませようとする程度のものですよ。
第一そんな重要な作戦があるのならば、少なくとも幹部の方にはお伝えするはず。準備など込み入ったものがありますからね。
ところが、騎士団の双璧であるあなた方にすら伝わっていないということは、決して大きな事項ではないということです。」
僕たちは言葉もなかった。ゼロがそんな裏メッセージを考えていたとは。
「ですが、騎士団の双璧であるあなた方がゼロのメッセージを理解していらっしゃらないのは、少々格好がつきませんな。
では明日の午後、アジトの視聴覚室にお越し下さい。より双璧らしくなるよう、私がレクチャーして差し上げますよ。それでは。」
僕たちが呆然としている間に、ディートハルトは一方的に明日の予定を決めると、さっさとどこかへ行ってしまった。
「ど、どうする、ライ?何だか一方的に決められたけど。」
「ま、まあ明日は休みだし、そんなに重要な事柄ではないのなら少しくらい付き合ってあげてもいいんじゃないか?」
「そ、そうね。それに行かなかったら、後がうるさそうだし。」
だがこんな会話、平和な世の中でなければ絶対できないな。僕は心の中で、相変わらずモニターの中でマントをなびかせるゼロにお礼を言った。
- 88 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:19:39 ID:Z+014wW7
- 支援
- 89 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:22:27 ID:eq3N4sFV
- 翌日、僕とカレンはアジトの視聴覚室にいた。そしてそこへ、ディートハルトが現れた。
「やあ、お待たせしました。少々編集作業に手間取りましてね。」
そして彼は、DVDプレーヤーの中にディスクを入れた。
「さて、それでは始めましょうか。最初に言っておきます、ゼロのボディランゲージは彼にとってはあくまでお遊びの一環であると、私は考えます。
おそらく、日頃の激務でストレスや疲れもたまっていることでしょう。そこで、ばれる可能性の低い密かな伝言ゲームをして、ストレスを発散させているのでしょう。
私も研究の末、最近ようやく解読できるようになりましたよ。しかし、さすがはゼロ。今のレベルに到達するまで骨が折れましたよ、ハッハッハ。」
彼の説明を、僕たちは口を開けたまま聞いていた。ゼロが本当に遊んでいるかどうかはともかく、ディートハルトがそんなくだらない研究に情熱を注いでいたことの方が驚きだった。これも平和ボケの一種だろうか。
「じゃあゼロに聞くことなく、あなたが自分で勝手に研究し、推測を立てたと?」
僕の問いかけに、彼は頷いた。
「ええ、そうです。密かに研究して確証を得た時に、ゼロにお聞きしようかと考えていましてね。その方がゼロも驚くでしょうし、何より自力で自分のメッセージを解読してくれたと喜ぶでしょう。
そうすれば、よりゼロに取り入りやすくなりますからね。」
結局目的はそこなのか。危険人物なのか違うのか、まったくわからないな。だがこんな研究をするのなら、今は大丈夫なのかもしれない。
「さて、そろそろ始めましょうか。あくまでこれはお遊びです、あまり身構えず、柔軟な発想でお願いしますよ。では、再生します。」
そしてディートハルトは、DVDプレーヤーの再生ボタンを押した。
- 90 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:22:49 ID:Z+014wW7
- 支援
- 91 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:25:24 ID:eq3N4sFV
- 『日本人の諸君!私は嬉しい。何故なら、本日は日本という名が復活してちょうど一年に当たる、記念すべき日だからである!
思えばあの日から、日本復活に向けた苦難の道は始まった……。』
画面の中で、ゼロが体をカクカクさせている。本当にどうやっているんだ。
「さて、それでは戦闘隊長殿。早速これを表現して下さい。」
「えっ、僕からなのか?」
ディートハルトからの指名に、僕はあわてた。お遊びとは言うけど、どうすればいいんだ。
「本当に単純な発想でいいのですよ。楽に考えて下さい。」
「ライ、頼むわよ。あなたの出来次第で、私の方向性とかプレッシャーとか、色々変わってくるから。」
カレン、横からさらっとプレッシャーをかけないでくれ。余計に考えにくくなる。
「本当に遊びでいいんだな?笑ってしまうようなものでも構わないと?」
「ええ、ご自由に。ボディランゲージとは、遊びの要素も含む場合がありますから。」
むう、ディートハルトがそう言うなら、何か考えるか。あのゼロの動きを見て、真っ先に思い浮かぶのは何だろう。
「うーん、何かの体操に見えなくもないが……はっ!そうか、そういうことか!」
とあるインスピレーションを得た僕は、早速演技を開始した。
「はい、まずは両腕を肩の高さまで上げて、そこで腰を鋭く曲げる!そして流れるような動きで腕を回した後、再び腰を鋭く曲げる!
よーしその調子だ、いいぞ私。フフフ、いい感じに腹筋が燃えてきたぞ。よし、今の動きをワンモアセッ!」
僕が思いついたのは、以前テレビでやっていたエクササイズの番組だった。動きは全然違うが、彼はこれにヒントを得たのかもしれないと思ったのだ。
「アハハ!ライったらおかし…ハハハ!あー、お腹痛い。」
どうやら、カレンにはウケたようだ。そんなにおかしかったか?だが柔軟に考えた結果だ、これなら……。
「残念ながら、違います。」
「ええっ、違うのか!?」
だが、あっさりディートハルトに否定されてしまった。柔軟に考えたつもりなんだが。
- 92 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:25:47 ID:Z+014wW7
- 支援
- 93 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:29:35 ID:eq3N4sFV
- 「確かにエクササイズに見えなくもありません。ですが、もっと身近なことです。
エクササイズはやらない人もいるでしょう?そういう意味では、少し遠いのです。」
「むう、結構難しいな。」
そしてディートハルトは、カレンに向き直った。
「では紅月隊長、次はあなたの番ですよ。柔軟に、身近なことを思い浮かべて下さい。」
「え、ええ。わかったわ、身近なことね。」
カレンが、テレビの画面に映るゼロの動きを注視する。
「うーん。でも身近なことって……はっ!ま、まさか、そういうことだったの!?」
カレンはおもむろに椅子から立ち上がった。何か思いついたか。
「どうかな、この私のマント?今日も風に吹かれて、美しく揺れているだろう?
そして見るがいい、この服!パリッとした仕上がりで、なおかつこんな柔軟な動きにも対応できてしまうのだ、すごいだろう?
今日も私は美しい。さあ見るがいい、この美しい腰のラインを!ほう、もう一度見たいのだな?良かろう、特別に見せてやろう。
しかし、美し過ぎる私は本当に罪な男だな、ハーッハッハッハ!」
……何だ、これは。一体何にヒントを得たらこうなるんだ。
「あ、あのさ。それは一体、何?」
僕はおそるおそるカレンに尋ねた。すると彼女は、顔を赤くして答えた。
「あのね、この間租界を歩いていたら、すごくゴージャスな服を着た女の人がいたの。何だか高飛車な感じがして私は嫌いだったんだけど、服の見せびらかし方がゼロの動きに似ている気がしたのよ。
だからやってみたんだけど、おかしかった?」
「いや、おかしくはないが何と言えばいいか……。」
僕がコメントに窮していると、ディートハルトが口を開いた。
「残念ながら、これも違いますな。もう少しましな答えを期待したのですが、がっかりです。」
「そこでバッサリ斬り捨てるか、普通!?」
「が、がっかり!?そんな、一生懸命考えたのに!」
カレンが床に膝をついた。ディートハルトの奴、配慮がなさ過ぎる。お遊びじゃなかったのか。
- 94 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:29:50 ID:Z+014wW7
- 支援
- 95 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:33:52 ID:eq3N4sFV
- 「おっと、失礼。少々口汚くなってしまいましたか、私の悪い癖です。
ですがゴージャスな人物というのは誰の周りにでもいるものではありませんし、誰にでも縁があるものでもありません。
そういう意味では、やはり遠くなってしまうかと。」
「だったら最初からそう言いなさいよ。傷つくじゃない。」
カレンが不満を漏らした。
「何だ、こんな所で何をしているのだ?」
見ると、視聴覚室の入り口付近に当事者であるゼロが立っていた。
「ん?その映像は、昨日の式典の際の私の演説ではないか。」
「ええ、そうですとも。ちょうどいい、ゼロ、あなたにお聞きしたいことがあったのです。」
「私に聞きたいこと?答えられる範囲でならば、答えよう。」
ディートハルトの言葉に、ゼロが頷いた。
「この演説の際のポーズ、これにはどのようなメッセージが込められているのですか?」
「ポーズ?メッセージ?どういうことだ。」
「ディートハルトが言うには、君のこの動きには、演説とは違う裏のメッセージが込められているそうだ。ゼロ、彼が言うことは本当か?」
「う、裏のメッセージだと?何を言っているのか、さっぱりわからんぞ。」
僕の言葉に、ゼロは呆気にとられた。
「あれ?ゼロ、この動きはボディランゲージで、ゼロはこれをすることで日頃のストレスを発散しているんじゃないんですか?」
カレンがゼロに尋ねた。その問いかけに、ゼロは大きく首を横に振った。
「何をバカなことを言っている。あれは演出だ、演出。ああいうポーズをとれば演説がより効果的に見えると思ったのだ。
メッセージという観点で見れば、そのまま表の意味だ。そして、私は別にあれでストレスを発散しているつもりはない。」
その言葉を聞いて、ディートハルトは愕然とした。
「な、何と……。私の予測はすべて外れだったのですか?私がこれまでに費やした時間は一体何だったのだ。」
まあ気持ちはわからなくはないが、最初から本人に聞くという選択肢を除外したのは間違いだったと思う。
- 96 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:34:45 ID:Z+014wW7
- 支援
- 97 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:35:17 ID:gw98Hykt
- 支援
- 98 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:36:56 ID:eq3N4sFV
- 「ちょっとディートハルト!言っていることと全然違うじゃない!何のために私たちにあんな恥ずかしいことをさせたのよ!」
カレンがディートハルトに詰め寄った。
「カレン、ディートハルトにも悪気があったわけじゃない。それに彼に付き合った挙句、あえて恥ずかしい方向に進んだのは僕たちだ。
すべてを彼のせいにするのは、何となく違う気がする。」
「それはわかっているけど……。」
僕はカレンをなだめたが、彼女はまだ不満げに唇を尖らせている。
「恥ずかしいことって何だ?」
「ゼロ、すまない。それは聞かないでやってくれ。僕たちもどうかしていたんだと思う。」
「そ、そうなのか?」
とてもじゃないが、ゼロの動きを見てとんでもない想像をしていたなんて言えない。
「いやあ、さすがはゼロ!あなたはいつも、私の想像を超えている!とても私の知力など足元にも及ばないということを、改めて教わりました!」
突然ディートハルトが復活して、ゼロを称賛し始めた。本当に切り替えが早いな。
「しかし、昨日のあのポーズは本当に素晴らしい。今までの演説の中でも、最も動きにキレがあり、実に輝いていたと思いますよ。」
「む、そうか?やはり昨日の演説はそんなに良かったのか。実は私自身、昨日はかなり良い動きができたと考えているのだよ。
まさに、心と体の波長が完全にシンクロしていたと言ってもいいくらいだった。」
ディートハルトの褒め言葉で、ゼロがすっかりその気になった。あの動きを褒められて、そんなに嬉しいのか?
「そうでしたか。おお、そうだ。もしよろしければ、演説とポーズに関する逸話などをお聞かせ願えませんか?
より魅力的にあなたを記録するヒントを得られるかもしれませんので。」
「ああ、いいだろう。それでは私の部屋に来るがいい、いくらでも話してやろう。」
ゼロとディートハルトは、仲良く視聴覚室を出ていった。取り残された僕とカレンは、あまりの急展開に呆然としていた。
- 99 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:37:23 ID:Z+014wW7
- 支援
- 100 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:39:55 ID:eq3N4sFV
- 「まったく。ディートハルトの奴、本当に調子がいいんだから!」
アジトからの帰り道、カレンはずっとご機嫌斜めだった。
「よくあんなにコロッと態度を変えて、媚を売ることができるわね。ゼロもゼロよ、簡単にその気になるんだから。」
「まあまあ。ディートハルトが意外にお茶目だったとわかっただけでもいいじゃないか。これから話しやすくなった気がする。
それにゼロだって、ポーズを褒められたことがなかったから嬉しかったんだろう。」
「もう、ライは本当に甘いんだから。」
僕の言葉を聞いて、カレンは苦笑した。
「でもボディランゲージって理解するのが難しいな。人によって解釈の違いが出るから、ゼロのポーズじゃなくても十人十色の答えが出るだろうな。」
「そうね、でも私は使いたくないな。身振り手振りなんか使わなくても、言葉や態度、行動をはっきりさせれば相手にちゃんと気持ちが伝わるもの。」
そう言うとカレンは僕の腕に抱きつき、体を密着させてきた。僕の腕を通して、彼女のぬくもりや鼓動を感じる。
「こんな風に、ねっ。」
「そうだな。色々な話をしたり、喧嘩したり、抱き合ったり。そうやってお互いをさらけ出して見せ合う方が僕たちには合っているし、幸せだってわかりやすいからな。」
カレンが僕の手に自分の指を絡ませてきた。僕はその指に自分の指を絡ませ、優しく包む。
「特区が成立して一年ということは、僕たちも付き合いだして一年ということだよな。早いような短いような、不思議な感覚だな。」
「ええ、そうね。」
僕とカレンは互いに見つめ合った。
「今まで一緒にいてくれてありがとう。そしてもちろん、これからもよろしく。」
「ええ、こちらこそ。これからも、二人で仲良く歩きましょう。」
僕たちは租界の往来の中で、素早くキスをした。誰にも見られないような、それでいて今の幸せを実感できる、最愛の人に送る二人だけのサインだった。
- 101 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:40:09 ID:Z+014wW7
- 支援
- 102 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:43:39 ID:eq3N4sFV
- おまけ
後日、僕はゼロの部屋で彼にあることを尋ねた。
「演説の時にあれだけ動くと、体に負担がかからないものなのか?特に君は体力がない、あんな動きができること自体が不思議で仕方ないんだが。」
「確かに、最初の頃は翌日に筋肉痛で苦しんだ。トレーニングで体力をつけようかとも考えたが、そんな悠長なことをしている時間もない。そこで、これを開発した!」
ゼロがマントと服を脱ぎ捨てると、彼の体には小型モーターがついたギプスのような器具が取り付けられていた。
「これぞ、ゼロのポーズをカッコ良く見せるための補助器具、『ゼロ・メーカー』だ!演説時間や内容をデータ入力するだけで、ポーズをカッコ良く決めるためのサポートをしてくれるぞ。
ポーズをとることによる体への負担を五分の一に減らしてくれ、しかも軽量なため、私は楽々あの動きができるのだ。どうだ、すごいだろう?」
「……あ、ああ。凄過ぎて言葉もない。」
そこまでして、あのポーズをとりたいのか。その情熱には敬服するが、最早体力作りは諦めたのか?君に必要なのは、まさにそれなんだが。
「実はな、これを商標登録して売り出そうかと考えている。」
「何!?これをか?」
ゼロの発言に、僕は驚いた。
「最近ではすっかり平和になって、ブリタニア人も私に敵意の目を向けなくなった。子供たちもみな、私の真似をするようになった。
そこでだ、ゼロのコスプレセット及び『ゼロ・メーカー』を売り出して、多くの人にゼロに親しんでもらおうかと思うのだ。
名付けて、『百万人のゼロ大作戦』!時期は今度のクリスマス商戦を狙っているのだが、どうだ?」
……これも平和な証拠だろうか。それとも、ブリタニアへのささやかな反逆のつもりか?
「まあ、いいんじゃないか。でも本当に、百万なんて数が売れるのか?」
「ふっ、私に不可能はないさ。何故なら私は、ゼロだからだ!」
また難解なポーズをとりながら、ゼロが叫んだ。これも、表のメッセージとやらか?
ちなみに、意外にもゼロのコスプレセットは本当にミリオンヒットを記録した。
もしかして、あのポーズに興味を持つ人ってかなりいるのだろうか。まさに解読不能、予測不能だ。
- 103 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:44:13 ID:Z+014wW7
- 支援
- 104 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/06(木) 23:46:48 ID:eq3N4sFV
- 以上です、支援ありがとうございました。
ディートハルトを書くのは初めてなのに、ほとんどメイン級にしてしまいました。
- 105 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:50:26 ID:Z+014wW7
- お疲れです。
ディートの転んでも只では起きない姿勢が良かったですねえw
あのゼロの動きが実は補助具が有ったとはwしかもミリオンヒットとはこの世界
はほんとに平和なんだななあが良く解かりますね。次回の投下を楽しみにしています。
- 106 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:57:16 ID:gw98Hykt
- >>104
乙!
ディートハルトの台詞がジョージの声で再生されましたww
テロってる時も碌なことしませんでしたけど、平和でも碌なことしませんね、彼
単なるゼロマニアになっておる…ww
コスプレセットは忘年会用に売れたんだろうなあw
- 107 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/06(木) 23:59:53 ID:+HDUD9XP
- >>104
余暇卿、GJでした!
あんなボディランゲージは無いwwwと思いながらもゼロならば! と思い読んでましたw
ライとカレンの解釈が面白すぎるwww
……というかディートハルトの解釈は何だったんだ!?
ゼロ・メーカー……欲しい。
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 108 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:20:56 ID:yPo7qM5z
- 平和ですなあ……
ディートハルトのナイスボケも楽しませていただきましたが
自分はライカレの方で綺麗に癒されました
最近殺伐としたものばかり描いてる自分ですから……
ところで
0時30分に投下させていただきましたがよろしいでしょうか?
10〜12レスですので、
支援をヘルプしただければ幸いでした
- 109 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:25:45 ID:p1l9fNZx
- 支援しますよ
- 110 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:26:59 ID:en8urNNR
- 支援
保管庫消えてる?
- 111 :カズト:2008/11/07(金) 00:29:08 ID:yPo7qM5z
- タイトル「追憶の旅路 第十一章 光の糸」
注意点
・実質完全オリジナルです
・カレンがライの過去編を精神体という形で見ております
・オリキャラ多数 あくまで別人です……あくまで
初めて読む方へ
心を閉ざしたライの心に飛び込んだカレン
ブリタニアの辺境の国の皇子
ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア
ライは「魔法使い」からギアスを授けられ
父と兄達を殺し、ついに王となった
改革を推し進めていくが
いつしか、心が磨り減っていき
ギアスも不安定になっていく・・・・・・
そして、「北の蛮族」との決戦が少しづつ近づいていく・・・・・
- 112 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:29:46 ID:en8urNNR
- 支援
- 113 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:29:47 ID:p1l9fNZx
- 支援
- 114 :カズト:2008/11/07(金) 00:30:15 ID:yPo7qM5z
- 「北の蛮族」との決戦も近くなり、帝都から先遣隊1万が来訪した
ライは先遣隊の長であるカルロス師団長と面会をした
赤い髪にカイゼル髭の男……
エリート意識丸出しの態度にライは心の中で呆れていた……
「はっはっは!ライエル王よ!私が来たからには奴らなど一網打尽ですぞ!!」
大口を叩くカルロスにライはため息をつく
(ふん、お前如きで奴らを倒せるのなら、誰も苦労はしない……
帝都の将もこんなものか……
私が皇帝なら貴様の様な馬鹿は一兵卒からやり直させるがな……)
しばらく話をしていたが、カルロスに兵士が何やら耳打ちしていた……
「な、何!?皇女殿下が……全く、あの方も困ったものだ……
ライエル王よ、少々厄介事が起こりましたので、話は後日また……」
「わかりました……私も仕事を片付けますので……」
(ふん……これであの鬱陶しい面から、解放される……
それにしても、皇女殿下だと……視察に来るとは聞いていたが、
物見遊山に来られても、困るのだがな……)
「通常政務は母上に……私は部屋で休む……」
そういってライは、兵士に指示を出した……
部屋で休むと言っていたライはフードをかぶり、馬に乗って町にいた……
ライは睡眠薬の入った袋を持っていた……
王宮の医師では、これ以上の量を処方できなかったので、町の薬屋から手に入れた
もちろん、薬屋の店員全てに「商品に毒物を混ぜてはならない」とギアスをかけていた
最近では睡眠薬の効きが悪くなり、王宮の医師が処方する量では眠れなくなっていた……
王宮に帰る途中、青果店が何やら騒がしい……二人の兵士らしき男がリンゴを店先から掴んで大口を開けて食べていた
「どうか御代をお願いします……うちも商売ですから……」
「いいじゃねえかよ!!たかがリンゴの一個や二個ぐらい……」
「そうそう……この国を守ってやるんだからなあ」
ほとんど押し込み強盗のようなものである……さすがにライも黙ってられない……
- 115 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:31:21 ID:p1l9fNZx
- 支援
- 116 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:31:33 ID:en8urNNR
- 支援
- 117 :カズト:2008/11/07(金) 00:32:51 ID:yPo7qM5z
- 「何をしているんだ……」ライは馬から降り見慣れぬ格好の兵士を睨んだ
「なんだこのガキ……俺達はこの国を守るために帝都からわざわざ来てやったんだよ
ありがたく思え!」
「何だと!?お前達が……?だからどうしたというんだ?盗みを働く理由にはなっていないが……」
「いいじゃねえかよ……たかが……」
「たかがリンゴでも商品だ!!食べた以上代償は支払うのが当然の常識だ!!」
「なっ……ガキのクセに帝都の兵に対して生意気なんだよ!!」
片方の男がライを突き飛ばす!!
ドンッ
ライは尻餅をついた……
近くにこの国の警備兵がいた
「おい!!強盗だ!!こいつらをさっさと……」
「このガキ!!少し痛い目見ないとわからないようだな!!」
男がライの襟を引っつかんだ……ライは男を睨んだ
「鬱陶しい……お前達のような下衆が帝都の兵士だと……だったら逆にお前達に痛い目を見せ……」
「何をしているのです!」
凛とした少女の声が辺りに響いた……
質素な馬車と数人の護衛の騎馬兵がそこにいた……
馬車のドアが開き少女が降りて来た……
「……っ!」
ライはその少女に目を奪われた
花の髪飾りを付けた長髪をなびかせ……
それはまるで、
天より舞い降りしオペラの主人公(タイトルロール)の如く……
- 118 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:34:58 ID:p1l9fNZx
- 支援
- 119 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:36:08 ID:l2SJAXrm
- いかん、支援
- 120 :カズト:2008/11/07(金) 00:36:41 ID:yPo7qM5z
- 少女の前に護衛の一人が前に出る
その男はライより頭二つほど高い筋骨隆々の巨漢であった
何よりも、その男から溢れ出てくる闘気は並外れていた
歴戦の勇士……ライはそう感じた
「貴様ら!!帝都の兵でありながら、追い剥ぎの真似とは何事であるか!!」
「ア、アレクサンデル将軍!!こ、これは……何といいますか……」
「言い訳は訊かん!!」
「まあまあアレク……お金は私が払いますから、ここは穏便に……」
少女がアレクサンデルと呼ばれた男をなだめる
すると、さっきまで威気高々だった二人の兵士は青ざめ
「は、払います!!払いますから……どうか、お許しを!!」
「じ、自分も払いますので、どうかこれ以上は……皇女殿下!」
「な、何だと!!皇女殿下だと!!」
ライが驚くのも無理はない……
先遣隊の長に黙って勝手に消えて、
わずか数人の護衛を連れて町を散策しているのだから
皇女殿下がライに向き直り会釈をした
「私どもの兵士達が迷惑をかけました
私はブリタニア第5皇女レフィーナ=リ=ブリタニアと申します……」
「ぼ、僕の名は……僕の名は……ラ……」
名乗ろうとするが、何故か上手くいえない……
そうこうしている間に、こちらに向かって警備兵が息を切らせて走ってきた!!
「け、警備隊長!!あちこちで窃盗、暴行等が横行して手がつけられません!!
彼らは帝都の兵と名乗っており徴発行為と思われます!!」
「帝都の兵士だと……何とか宥め大人しくしてもらって……」
警備隊長は対応に迷っている……
- 121 :カズト:2008/11/07(金) 00:40:02 ID:yPo7qM5z
- ライは怒りに震えていた……
歴史上、宗主国が属国に対して権威を振りかざし、徴発、略奪行為、暴行などを行うという事はよくある事であるが、まさかブリタニアがその様な品性に欠けた真似をするなど思いもよらなかったのだ
「姫様!!これは急いで、城に戻りカルロスに兵を止めさせなければ!!」
「そうですね、彼の兵士の規律がここまで乱れているとは……」
「レフィーナ皇女殿下……それでは時間がかかります……」ライが彼女の前に出て言上した
「しかし、それしか方法が……」
「自分なら、すぐ治められますので……」(そこで見ていろ……皇女様……)
そう言ってライはフードを後ろに下げる
「ぬ、ぬうううう!!」(なんという眼光!!)
アレクサンデルは年に似合わぬ気配を発するライに目を見張った!!
「あ……」レフィーナは銀の髪をなびかせながら
鋭い眼光を放つライに見惚れていた
それはまるで魔王に魅せられた淑女の如く……
「へ、陛下!!なぜここに!?」警備兵が驚きの声を上げる
「陛下ですと!?も、もしや……この者が、ミコト殿の……」
「そのようです……ライエル=スメラギ=フォン=ブリタニア……この国の王……ミコト様の御子息……」
- 122 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:40:32 ID:p1l9fNZx
- 支援
- 123 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:41:02 ID:en8urNNR
- 支援
- 124 :カズト:2008/11/07(金) 00:42:58 ID:yPo7qM5z
- (よしコイツはギアスを使ったことがある……)
「警備隊長!!そいつらを全警備兵をもって逮捕させよ!!」
「しかし、彼らは帝都の先遣隊でありまして……」
「……ならば言い方を変える!!
我が国に帝都の兵を騙る「賊」が侵入した!!
これは我がブリタニアの名誉を著しく汚す蛮行である!!
罪状を詳しく把握し、全力を持ってこれに当たれ!!
もう一度言う……私の名において命ずる!!「賊」をひっとらえろ!!」
「イ、イエス!!ユアハイネス!!馬をもて!!」
警備隊長は馬に乗り、一目散に駆け出した!!
「これで騒ぎは治まります……御安心を皇女殿下……」
「なるほど……一人の兵士が馬を駆り、別の詰め所に行き
そこの数人の兵士がまた馬を駆り、別の詰所に行き……
それを繰り返す事で、情報伝達を迅速に行う……
さすがですわ……ライエル王……」
「ほう……少しはわが国のことを知っておられるようですな
まあ、このアイデアは私の発案ではないのですが……」
ライは防犯、犯罪者の制圧等を目的とした治安維持専門の部隊を創設
今は亡き師匠である海堂のアイデアを実現し
この国の治安率を飛躍的に上げていた
海堂のアイディアは治安のみではない
ライは低金利貸付けによる商業振興、特産品の開発、貴族特権にとらわれない人材登用、市街地の開発など、ライの政治は国民が中心になっていた
「街を見て回りましたが、活気に溢れていますわ
辺境という危険地帯でも希望を失わず、皆懸命に生きています
ライエル様の手腕を拝見させて頂きました」
- 125 :カズト:2008/11/07(金) 00:45:00 ID:yPo7qM5z
- 「それは何よりです皇女殿下……
それでは、私は事後処理の為に城に戻らせていただきます……」
ライはこの少女に褒められて、なぜか悪い気はしなかった
「ライエル様……城まで御一緒しませんか……
あなた様の馬はアレクに任せますので……」
レフィーナはそう言ってライを馬車の中に案内した
「……お言葉に甘えさせて頂きます」
馬車の中の重苦しい雰囲気を和らげようとレフィーナ皇女が口を開く
「ライエル様……私この国に来たばかりでわかりませんが
ミコト様はお元気でしょうか?」
「……っ!」ライは痛いところをつかれたのか、体が強張る……
最近ライは母とはあまりプライベートで話をしていない……
「わ、私も王としてはまだ若輩者ですから、
母上には助けてもらっています……皇女殿下は母上を御存知で?」
「ええ……隣国討伐の勅令の件以来、何度か……
あの方は素晴らしい方ですわ……ニッポンの話もっと聞きたいです」
「そ、そうですか……」
ライの中にイライラする様な、モヤモヤする様な、何か違う様な妙な感情が湧きはじめていた……
互いにぎこちない会話をして行くうちに馬車は城にたどり着く
(さてと……カルロスの件を片付けねばならん……)
ライは馬車から降りるとレフィーナに一礼をして、カルロスの元に向かった
三日後……王宮の会議室にて援軍等に関する契約が行われていた
ライを目の前にして、カルロスは震えていた……
帝都のエリートとして、子供の御守のつもりで辺境くんだりまで来たのだ
助けに来てやってるという増上慢が普段蔑ろにしている下々の兵士達に伝わり、この国での徴発事件が起こってしまった……しかも、帝都の兵という権威を無視して、200名以上全員逮捕という事態……
さらに、ライは事件の翌日に悪質と判断された逮捕者二十数名を公開処刑にした
その様子をカルロスと先遣隊の各隊長はライに連れられて見せ付けられたのだった……
- 126 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:45:55 ID:en8urNNR
- 支援
- 127 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:45:59 ID:p1l9fNZx
- 支援
- 128 :カズト:2008/11/07(金) 00:47:47 ID:yPo7qM5z
- 今回の任務ではレフィーナ皇女とアレクサンデル将軍も来ている
自分の指揮管理能力を疑われてしまう……この事が皇帝陛下の耳に入れば、軍を追われてしまうかもしれない……それどころか、貴族の地位まで……
「おや……どうかされましたか?カルロス師団長殿……」
ライは覇気を押さえることなくカルロスを威圧していた……
「狂王」と呼ばれていても、ただ暴威を振るうだけの子供だと思っていた……
雛鳥の尻拭いのつもりだったが、彼は獅子に喧嘩を売っていた事に、今更気付いて激しい後悔を味わっていた……
「では……こちらが我々が手直しした契約書です……」
そう言ってライはカルロスに一枚の紙を渡した
「なっ……こ、これは……あまりにも……」
契約書の内容はライの国に余りにも都合のいいものだった
徴発行為の禁止、徴発事件の賠償、この国における帝都の先遣隊の生活スケジュールの取り決めはまだしも
帝都からの借入金の利子はほとんど無いに等しい
しかも、帝都から来た援軍は全てライエル王およびこの国の将官の指揮に全面的に従うといった内容である
ライもわざとカルロスに対してふっかけていた
自分の目標よりふっかけた上で、相手に心理的なプレッシャーをかけ、情をかける事で
目標の条件を達成し、さらには相手を支配下に置く
契約の駆け引きにおける一つの手段である
ライの覇気に圧倒されたカルロスは食い下がりも押しが弱かった……
同席していたレフィーナ皇女とアレクサンデル将軍の抗弁を受け入れ
ライは、カルロスから目標どおりの成果を引き出したのだった
さらに、ライは付け加えた
「ああ……それと、残りの逮捕者ですが……我が軍の兵士を付けて、帝都に送還しておきました……カルロス殿の名誉を傷つけた愚か者ですからね……」
「なっ……!」カルロスは言葉を失った……
無論ライは彼らに「大人しく帝都に帰り皇帝陛下の御裁断を受けよ」とギアスをかけていた……
- 129 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:49:42 ID:gRfuNxSi
- 支援。保管庫が消えた?
- 130 :カズト:2008/11/07(金) 00:50:32 ID:yPo7qM5z
- 危急存亡にある国が援軍として送った帝都の兵士を帰す……
それは、ライにとっては筋を通す事であるが
ある意味皇帝に対しての挑戦状でもある……
カルロスにとっては、不心得者を出した事実を皇帝に知られるという事……
「カルロス殿……期待しておりますよ……貴殿の働きを……」
ライはカルロスに最後通牒を告げた……
この戦いで大きな手柄を立てるしか助かる道は無いのだと……
ライはすでに彼を捨て石として、使おうと考えていた……
会議室を出たライはレフィーナ皇女を廊下に見つけた
ライを待っていたようだった……
「さすがですわ、あそこまでカルロスをへこませるなんて」
交渉の手腕に感心している様子だった
カルロスを嫌ってる事もあるのだろう
「いえ……私は国王として筋を通しただけですので……」
「お恥ずかしい話です……帝都にはあの様な輩もいるのです」
「アレクサンデルといいましたね、なぜあの者に指揮を執らせないのですか?」
「アレクは姉上様の騎士ですから……今回は私の護衛が主な任務なのです
私からも聞きたいのですが、ライエル様はなぜ自ら戦場に?」
「……!そ、それは……」ライは逃げ場とは言えずに口ごもる……
「陛下!!「北の蛮族」の兵が国境付近に陣取っています!!」
ライはその知らせを渡りに船と感じた
「皇女殿下……私は奴らを迎え撃ちますので……」
「あ……ライエル様……」
いつもは嬉々として戦場に向かうライであったが、何故か今は後ろ髪を引かれる様な感じを受けていた……
カレンはそんな二人の様子を見て胸が苦しくなった……
それでも、愛する人にだってそういう過去もあるのだと自分を納得させていた……
- 131 :カズト:2008/11/07(金) 00:52:47 ID:yPo7qM5z
- ウラバナシH
帝都ペンドラゴンにて
「ふはははははははは!!面白い!!狂王ライよ!!我を試すか!!」
ブリタニア皇帝は玉座にて嬉々として、ライからの親書を読んでいた
人材不足でカルロスのような愚物を送るしかなかったのだが
彼に自らの愚かさを思い知らせただけではなく、兵の一部を帝都に強制送還してくるとは……
ライに興味を持った皇帝に対し、周りにいた他の皇族達は焦りを感じていた……
皇帝が大げさにライを褒めたのは興味を持ったからでもあるが、辺境に守られ安穏と自分の立場に甘んじている者達に喝を与えるためであった……
(アレクサンデルからの手紙からは、「戦においては勇猛果敢、されど王でありながら前に出すぎるきらいあり……」「政治においては強い実行力を持ち民に慕われている」「資質はあるが今の貴族社会をかなり否定しているため皇帝推挙には二の足を踏む」
「現在心身不安定であり、帝都に迎えるには数年の時を要する」などとあった……あの者にこの国を任せるのは、博打というべきか……
レフィーナは狂王を大層気に入っているようだが……)
「帰された者どもは二、三日牢に放り込んでおけ!!主の信を失った兵士など我が軍に必要ない!!貴族の地位も剥奪せよ!!」皇帝は覇気を全開にし沙汰を下した
帰された兵士はすぐに釈放された……
彼らはこの後に起こる「あの惨劇」から免れたものの、
辺境の王と皇帝の怒りを買ったものとして職を失い、家族からは家の恥として勘当される者、婚約を破棄される者など……、彼らはブリタニアの恥さらし、国中の笑いものとして一生を過ごす事になるのであった……
この事件はライの意図とは別に、他の辺境の国に大きな影響を与えた
彼らは帝都に対する引け目を取り去って、帝都の防壁としてのプライドを目覚めさせた
そして、それは遠い未来、世界三大勢力となるであろうブリタニアの強さを成す要因の一つとなるのであった……
- 132 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:55:55 ID:en8urNNR
- 支援
- 133 :カズト:2008/11/07(金) 00:56:39 ID:yPo7qM5z
- 投下終了です
微エロとかはガーーーーッという感じで書けるのですが
こういう描写は難しい……
次回あたりでリンクできれば幸いです
支援感謝です!!ではまた!!
- 134 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 00:57:42 ID:l2SJAXrm
- ピンク皇女と将軍のご先祖様かな?
支援
- 135 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 01:06:13 ID:eTswZjK9
- それなら紫の皇女さまと眼鏡の騎士様にも登場していただきたいですねw
支援
- 136 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 02:06:41 ID:5yo6WVwx
- >>133
カズト卿、乙でしたー!
ライのばっさり感が凄まじい。
そして皇女と会ったライは微妙に調子が狂っているようですね。
惨劇はいつ起こるのかなぁーとワクワクしてきた自分が嫌だ……orz
貴公の次の投下を全力で待っています!
- 137 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 02:33:02 ID:zPlZ7kwJ
- SS保管庫がないんだけど…(´・ω・`)
- 138 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 03:30:36 ID:S5+Lu9KG
- まさか保管庫がフレイヤの餌食になるなんて…
冗談はこのぐらいにして、実際どうしたのだろうか
- 139 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 07:44:49 ID:7NFhnh4n
- 一時消えたみたいだけどさっき接続したら見れたよ。
- 140 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 07:56:49 ID:+7nuqdj0
- こっちも大丈夫
しかしなんだ、yahooのサーバーって結構落ちやすいんだな
- 141 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 08:17:26 ID:+7nuqdj0
- もうみんな知ってるかもしれんけど一応
ギアス×パンヤ
http://www.pangya.jp/event/GEASS/
ここの活性化の一助になれば嬉しい
- 142 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 10:18:46 ID:gd7slLbA
- 10:30くらいから投下したいと思っていますが、人はいますでしょうか?
- 143 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 10:26:36 ID:7NFhnh4n
- 居ます。お願いします。
- 144 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:31:18 ID:gd7slLbA
- 何やら前スレでは自分の作品から端を発して問題が起きてしまったようで…すみません。
年下専門です、長編の続きを8レスほど投下します。
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第十一話 ライの災難」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは今のところないですが「ライ←複数ヒロイン」の要素があります
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
- 145 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:35:37 ID:gd7slLbA
- 「あ、焦った……」
軽く息を切らしながら、ライはポケットから取り出した帽子を深く被った。
現在位置は十階フロアの階段。
わざわざエレベーターを使わず階段で上り下りをする人間は少ないため、周囲に人の気配はほとんどない。
カレンあたりならば運動になるからと階段をのぼって来る可能性はあるが、それならばすぐにわかる。
「……まあ、元気そうでよかった」
相変わらずの紅の少女の姿に顔をほころばせる。
ナイトメアパイロットという死亡率の高い役割をこなしながらも、後遺症一つない元気そうな姿。
背中を預けあった相棒の無事に、ライは安堵の息を吐きながらも誇らしさを感じていた。
「とりあえず部屋で大人しくしておくか。待っていればアーニャも戻ってくるだろうし」
下手にうろうろしてまた知人と出会っては目も当てられない。
カレンがいたということは、ミレイやニーナ、リヴァルあたりもいる可能性がある。
会いたくないわけではない。
むしろ会いたいという気持ちのほうが強い面々ではあるが、今はまだ駄目だ。
僅かな名残惜しさに引かれながらも、ライは自分の部屋へと歩を進める。
(―――ん?)
と、その時。
前方から歩いてくる一人の女性が目に入った。
歳は二十代から三十代といったところだろうか。
カレンに劣らぬ見事なスタイルと、美人と形容するほかない凛とした美貌。
女性らしい外見でありながらも、男性的な印象を見る者に抱かせるその女性にライは目を惹きつけられる。
一目惚れなどといった色っぽい意味ではない。
女性の全身から放たれる鋭利な覇気に、少年は戦士の本能をかきたてられたのだ。
(強い)
紫色のマントの下に、白を基調にした騎士を連想させる服装。
その下に隠れている肉体は、日々の練磨によって鍛えられていることが想像できる。
一見細身に見える身体から発せられる威圧感は、つい先程出会ったジノやアーニャに通じるものがあった。
(いや、この人は多分、アーニャ達よりも―――強い)
- 146 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:38:15 ID:gd7slLbA
- 日々の鍛錬は怠っていないとはいえ、アーニャ達は戦士を引退した身である。
それに対し、この女性は現在もおそらく戦場に身を置いているのだろう。
戦士特有の気とでもいえばいいのだろうか。
そういったものがアーニャ達と比べて鋭利なのだ。
かといって常に精神が張り詰めて余裕がないようにも見えず、あくまで自然体にしか見えない。
(格好からして、ブリタニアの……軍関係者?)
あまりジロジロ見るつもりはなかったのだが、つい気になって女性を目で追ってしまう。
すると、女性のほうもこちらに気がついたのかチラリと視線を向けてきた。
『……』
交錯する視線。
向けられる瞳は鋭く、こちらの心の奥までを見透かそうとしているようだった。
このまま目を合わせ続けているのはマズイ。
正直、女性の顔をジロジロ見てしまったという気恥ずかしさもあった。
咄嗟にライはできるだけさりげなさを装って目を逸らし、顔を俯かせる。
ここで突然引き返すのも不自然なので足を止めるわけにはいかない。
そのまま、ライは廊下の中央で女性とすれ違った。
(……ふう、緊張した)
すれ違い、女性の姿が視界から消えるとライは安堵から大きく息を吐き出した。
だが、次の瞬間。
耳が聞こえるべき音―――つまり、女性の足音をとらえなくなったのと同時に、ライは反射的にその場にしゃがみこんだ。
特に理由はない、ただ本能が伏せろと命じたのだ。
ヒュンッ!
刹那、今までライの頭があった場所に鋭い風切り音が通り過ぎる。
「なっ……!」
「ほう、よくかわしたな」
見上げれば、先程すれ違ったばかりの女性が蹴り上げていた右足を地に降ろしていた。
状況から考えて、この女性は自分にハイキックを繰り出してきたと見て間違いない。
ライは瞬間的にアーニャと出会った時のことを思い出していた。
(確か、あの時もいきなり頭部を狙われた気がする……僕の周りには危険な女性しか寄ってこないのだろうか……)
- 147 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 10:40:33 ID:dvoYPycJ
- 出掛ける前に、一度だけ支援。
- 148 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:42:49 ID:gd7slLbA
- カレンもどっちかといったら物騒だし、咲世子さんも……
本人に聞かれたら洒落にならないことを考えつつもライは油断なく襲撃者を見据えた。
(今度はスコップじゃないけど……危険度じゃあ大差ない!)
自身を襲った恐るべき凶器が視界に入る。
男ならば見惚れてしまいそうな女性らしい流麗なラインを魅せる足だ。
だが、ライにはわかっていた。
あれが直撃したら洒落にならないダメージを受けるだろうということが。
「いきなり何をする!」
「フッ!」
抗議に対する返事は鎌のような前蹴りだった。
当たれば骨が砕け散るであろう高速の爪先が少年の顎を襲う。
しかし、あらかじめ警戒していたライは間一髪身体を仰け反らせると、バク転でその攻撃を回避。
そのまま後方に飛びずさり、距離を取った。
「へえ、なかなかの美少年じゃないか」
ライの顔を見た女性が感心したように呟く。
回避の際、帽子を飛ばされてしまったため現在ライは素顔を露出させられてしまっている。
女性の様子からして、自分の素性を知って襲ってきたわけではないようだ。
だが、それならば何故自分は襲われなければならないのか。
「そう恐い顔をするな。折角の美形が台無しだぞ?」
「いきなり攻撃されて、にこやかに笑えるほど人間はできていない」
相手の意図がわからない以上、油断などできない。
殺気はないようだが、先程の攻防を考えれば一瞬たりとも気を抜くことはできなかった。
ライの思考が徐々に戦闘者のそれにシフトしていく。
「それは悪かったな。だが、こちらもお前のような怪しい奴を放っておくわけにもいかないんだ」
「何……?」
「おいおい、まさか自分が怪しくないとか思っていたわけではないだろうな?」
女性のからかうような言い草に、しかしライは反論することができなかった。
顔を隠すように帽子を深く被って頭を伏せている男。
確かに怪しさは満点だ。
- 149 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:45:36 ID:gd7slLbA
- 「そしてその身のこなしは間違いなく只者ではない。まあ、テロリストにしては変装が単純だが……」
「僕はテロリストなんかじゃない」
「だろうな、目を見ればわかる。だがこちらもハイそうですか、で引き下がるわけにはいかないんだよ」
女性は口元を笑みの形に吊り上げると、いつもでも飛びかかれるような姿勢をとった。
猫科の野生動物を思わせる表情はまるで今の状況を楽しんでいるかのように見える。
案外、怪しい奴云々は口実で、実のところは強そうな人間に喧嘩を売りたかっただけなのかもしれない。
「……もし、僕がただの一般人だったらどうするつもりだったんだ」
「その時は全力で謝ったさ。とはいえ、ほぼ確信していたがな」
実際当たっていただろう?
そう笑いかけてくる女性を見ていると、何故か突然の凶行も許せそうになるから不思議だ。
だが、事態は継続中であり気を許すことはできない。
口ぶりから考えて、彼女は誰か身分の高い人物の護衛なのだろう。
身のこなしや佇まいからして、彼女自身も相当な身分の者なのだろうが。
(マズイな……)
まともにやりあえば、勝つ自信がないわけではない。
だが、その結果無事である保証はなかった。
グズグズしていれば向こうには救援が来るかもしれない。
自身の素性とアーニャ達のことを考えるとここで捕まるわけにはいかなかった。
「―――シッ!」
しかしそんなライの思考を遮るように、踏み込んできた女性の拳が顔面を襲ってきた。
「く……」
「ほらほら、どうした? 手を出さないのか!」
かわし、捌き、受け止める。
次々と襲い来る猛攻を防御しながら、ライはこの状況から逃れる術を探索していた。
時間をかけるわけにはいかず、かといって反撃はできない。
別に女性だからといって攻撃ができないというほどフェミニストではないが、殺し合いでもないのに女性を殴るというのは気が引ける。
ベストの選択は逃げることなのだが、向こうがその隙を見せてくれない。
(どうする……そうだ!)
- 150 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:50:25 ID:gd7slLbA
- チラリ、と視界の隅に入ったある物に気づく。
瞬時に策を練り上げたライは、わざと体の正面に隙を作り出した。
向こうもこれが罠だとわかってはいるだろうが、かなり決定的な隙だ、見逃せるはずもない。
次の瞬間、狙い通り女性の突きが胸元目がけて打ち放たれる。
「―――ッ!」
「何ッ!?」
騎士服の女性の驚愕の声がその場に響いた。
ライは相手の拳が着弾するのと同時に後ろに跳ね飛び、大きく後退する。
殺しきれなかった打撃のダメージに顔を顰めながらも、銀髪の少年は己の狙いが成功したことに頬を緩めた。
着地地点のすぐそばにあったのは備え付けの消火器。
「ちっ!」
「遅い!」
させるか、と女性が追撃をかけようと足を踏み込むがライのほうが一瞬早かった。
栓の抜かれた消火器から白い泡が煙幕のように吹き出て廊下を覆っていく。
(チャンス!)
勿論、この好機を逃すライではなかった。
相手の視界を封じた隙に一気にその場を離脱する。
「あ、こら待て!」
背後から憤りの声が聞こえてくるが知ったことではない。
ライは一目散に廊下を曲がると、階段を駆け下りてホテルの外へと向かうのだった。
「……逃がしたか」
消火器による煙幕が消えた後の視界には、予想通り少年の姿は見えない。
獲物をまんまと取り逃がし、しかしそれでも女性―――ノネット・エニアグラムの顔には苦々しさはなかった。
「まさかこの私が取り逃がすとはな」
言葉とは裏腹に、口調には残念そうな響きはない。
元々、半分以上は興味本位で仕掛けたことだ。
あの銀髪の少年が自分の主に危害を加えようとしているテロリストではないことなど一目見た瞬間にわかっていた。
それでも攻撃を仕掛けたのは、念の為ということと、退屈しのぎに過ぎなかった。
悪逆皇帝ルルーシュが死亡した後、世界からは大規模な戦争が消えてしまったため、ノネットはいささか戦いに餓えていたのだ。
無論、そんな彼女の一感情に巻き込まれたライからすればたまったものではなかっただろうが。
- 151 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:54:16 ID:gd7slLbA
- 後片付けを部下に命じたノネットは少年が逃走ルートに使ったと思われる階段を下りながら先程のことを思い出していた。
見た目はただの優男だったが、なかなかどうして。
僅か数十秒の攻防ではあったが、かの少年の力量はラウンズに勝るとも劣らない。
結局、何者であったかはわからないままだったが、不思議とそんなことはどうでもよかった。
また会えるだろうという根拠のない自信がノネットにはあったのだ。
(それに、あの眼……)
最初にこちらを睨みつけてきた時の猛禽の如き鋭い眼光が脳裏によぎる。
不覚にもあの時、ノネットは背筋に剣を突きつけられたような気分だった。
初めてシャルル皇帝に謁見した時に感じた、王の威圧。
それと同じ感覚をあの一瞬、銀髪の少年から感じたのだ。
「退屈な護衛任務かと思いきや、楽しみができたな……本国にいるコーネリア殿下にいい土産話ができそうだ」
ニヤ、と口元を吊り上げながら元ナイトオブナインの女性は笑う。
その笑いはあまりに艶やかで、まるで追い求めていた運命の男性を見つけた乙女のようにも見えて。
それでいて、良い玩具を見つけた時の子供のような、そんな無垢な表情でもあった。
「ノネット。ノネットじゃないか!」
「ん? おお、ジノじゃないか」
階段を下りて一階のラウンジ。
元同僚の登場にノネットの顔がほころぶ。
見れば彼の後ろには同じく元同僚のアーニャと、戦後知り合った紅の少女の姿があった。
「アーニャとカレンも久しぶりだな、どうだ元気だったか?」
「久しぶり」
「お久しぶりです、ノネットさん!」
ぼそっとした端的な声と、かなりの友好が混じった友好的な声が唱和する。
アーニャに関してはいつものことであり、カレンについては事情を知らないものからすればなかなかに珍しい光景であった。
片や元ナイトオブナイン。
片や元黒の騎士団のトップエース。
そんな正反対の立場にいた二人だが、波長が合ったのかこの戦乙女コンビは出会った時から非常に仲が良い。
まるで十年来の親友のようだと評しても問題ないくらいに親しいのだ。
なお、初邂逅の時ジノがこの二人を見比べノネットを見て「……カレンの未来の姿を見た」と複雑そうな顔で呟いたのは余談である。
- 152 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 10:57:19 ID:FDR6uYbt
- 支援
- 153 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 10:57:48 ID:gd7slLbA
- 元ナイトオブナイン、ノネット・エニアグラム。
ルルーシュが皇帝の地位を簒奪してから起きた戦いにおいて、彼女はひたすら我関せずを貫いていた。
我が忠誠は皇帝陛下にあり。
この一言で協力を依頼してきたシュナイゼルの手の者を追い返し、自領の防衛に専念。
結局、ゼロによるルルーシュ殺害という一連の事態の決着まで彼女は一切の関与をしなかった。
親しい仲であったコーネリアの要請すらも断った女騎士に対する評判は様々なものがある。
全ての真実を見通していたから参加しなかった智謀の士。
ルルーシュの要請(最終決戦時、ルルーシュはノネットへ協力要請をしていない)をひたすらに待っていた忠義の騎士。
死を恐れて決戦への参加をしり込みした臆病者。
諸説様々ではあるが、実際のところ彼女が何を思って我関せずを貫いたのかは今でも不明であり、元同僚であるジノですら知らない。
おそらく、その理由を知るのはノネット本人ただ一人だけなのだから。
そんな大戦を生き残った数少ないラウンズの一人である彼女は皇帝からの要請を受け、現在皇帝親衛隊の隊長という役職に就いていた。
勿論、警護する対象は神聖ブリタニア帝国第百代皇帝ナナリー・ヴィ・ブリタニアである。
「お前達も今夜のパーティーに招待されたのか?」
「ああ、そっちはやっぱりナナリー陛下の警護か?」
「その通りだ。今は部下に警護を任せているんで私は自由時間なのだが」
肩をすくめる元同僚の着るラウンズ専用の騎士服を見て、ジノとアーニャは僅かに目を細める。
軍人を引退したため、今はもう袖を通すことのない、誇りの衣装。
世界でもノネットを除いて身に着ける者がいないラウンズの証はラウンジでも注目の的だった。
「しかしこれで元ラウンズの生き残りが全員集合か」
「ああ、『全員』このホテルに集まることになるとはな」
「……うん」
ノネットの呟いた『全員』のニュアンスに気がつかなかったのはジノ一人。
アーニャとカレンはその単語の意味するところを悟り、視線を天井に向けた。
そこに、四人目の元ラウンズがいるであろうことを知っていたが故に。
- 154 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 11:00:31 ID:gd7slLbA
- 「ふむ? そういえばアーニャ、お前は一人のようだがパートナーはどうするんだ?」
通常、身分の高いものが集まるパーティにおいては異性のパートナーを同伴させることは至極当然のことである。
だからこそジノはカレンを誘ったわけなのだが、現在アーニャは一人きりだ。
「ジェレミア・ゴットバルトだったか……奴はどうした?」
「彼なら一緒に来てる。でも、私のパートナーは違う」
予想外の返事にノネットは僅かに目を見開く。
気持ちはわかる、とばかりにジノとカレンが頷くのが目に入り、アーニャは不機嫌そうに顔を顰めた。
「聞いて驚くなよ。アーニャのパートナーは俺達と同年代の美少年だ!」
「ほう……それはまた驚きの事実だな」
「……ジノ、ノネット」
怒りを多分に含んだアーニャの声音に二人は口を閉じる。
だが、彼らの目は相変わらず楽しそうに揺らめいていた。
勿論アーニャとしてはそんな彼らの姿が面白いはずもない。
結局、彼女が機嫌を直すまで少なくない時間がかかることになり、ジノ達が苦労する羽目になったのは言うまでもない。
(流石元同僚だけあって仲がいいのね)
そうカレンがしみじみと思ったのも無理のないことであった。
- 155 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/07(金) 11:01:58 ID:gd7slLbA
- 投下終了、支援感謝です。
ノネットさんとカレンは絶対出会ったら仲良くなると思うんだ。
こー、ノネットさんがカレンの頭を撫で回してカレンが「もう、子ども扱いしないで下さいよ」的な!
- 156 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 11:46:39 ID:5yo6WVwx
- >>155
年下専門卿、GJでした!
ノネットさん登場……いきなりバトル!?
戦いに餓えて不審者っぽい人に蹴りかかる、人としてどうよ、と思わなくとも無かったりしましたが
らしい、という思いの方が強かったり……いや、訳も聞かずに腹殴る人だし
ライはギリギリ逃げ切れた、といった所でしょうか。
>ノネットさんがカレンの頭を撫で回して
うん、なんか鮮明に思い浮かびます。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 157 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 14:02:42 ID:b7W/BP+a
- >>155
ああ、面白かった!幸せです。
今日はノネットさん大活躍で嬉しくてたまらないです。
怪しさにかこつけて興味本位で強襲、ノネットさんならやりかねんのですよ。
次々繰り出される攻撃と、ライのさばきっぷりに燃えました。
生き残りが全員、最後のひとり…。彼と、ライとの邂逅が楽しみです。
続きを拝見できるのを心待ちに。
ありがとうございました!
- 158 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 17:17:18 ID:87Rdj283
- >>155
GJ!面白かった!
ノネットさんを野放しにしちゃ危険だww
本編でノータッチだったルルタニアでのノネットさんの行動の描写にも彼女らしいと感じました。
ノネットさんとカレンとの絡みをもっと見てみたい気がする!
ラウンズの最後の一人がどう出てくるのか非常に楽しみです。
次回の投下も全力でお待ちしております!
- 159 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:36:29 ID:aBwBEMgf
- (・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#第1章後編。>>25 の続きです。前編ではたくさんのご感想ありがとうございます
#ご指摘が多かったライの性格ですが、親衛隊篇では特区のアレまで記憶が戻っていないのと
#平穏から悲劇へのギャップを作りたくてアホの子増し増しにしましたが、少しやりすぎた模様
#今回はやや控えめに。親衛隊篇だと周囲にボケてくれる人が少ないので困ります
予告と終了合わせて7レスです。支援無くても大丈夫かな?
- 160 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:39:24 ID:aBwBEMgf
- 親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 1* 血染め の ユフィ(後編)
「ゼロの狙いをどう見る」
あの時、コーネリア様が僕にそう尋ねたのはきっと気まぐれだったんだろう。
エリア11副総督による突然の《行政特区日本》設立宣言は電波に乗り、瞬く間に世界に流れた。ブリタニアにとって
一番気になるのは最大の対抗勢力・中華連邦の動向。ユフィの宣言が世間知らずのお姫様の余興ではない、本気の行動だと
知ったコーネリア様が真っ先に情報収集をさせたのはそれだった。その報告が届くのを待っている時のことだった。
僕は言葉を選びながら答える。
「おそらくゼロにとってもこの《行政特区》は寝耳に水の事態だったのではないかと思います」
《行政特区》。
善意で見ると地域限定ではあるが日本人の権利を回復し、「自由」が保証される構想。黒の騎士団を始めとする
日本人の抵抗にブリタニアが譲歩したように見えなくもない。しかしその裏を見ると今までの『名誉ブリタニア人』制度の
名前が『日本人』になり個人レベルではなく地域レベルに広がっただけで、更に言うならば地域を限定したために
『日本人』と《特区》外に住む『イレブン』との格差をさらに増長する結果になる。日本人内での格差は、独立への結束に
ヒビを入れかねない。
黒の騎士団側はそこを指摘してブリタニアの罠だと喧伝する手もあった。ゼロほどの役者なら良いパフォーマンスになっただろう。
だが先にユフィ自らゼロ、黒の騎士団に特区への参加の呼びかけを行われたことで先手を打たれてしまった。
もちろんユフィ本人にその意図があったとは思えない。だが放送を見た多くの日本人は苛烈なブリタニアにあって
慈愛の姫君と謳われる美しい少女(しかも彼女の騎士は日本人だ!)が自らの兄弟を殺したゼロを許し、日本人に自由を
求める姿に感じ入っただろう。特区構想の裏側に気づきもせずに。いつだって人は見たいと欲する現実しか見ようとしない。
- 161 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 22:41:13 ID:5FLzAXbg
- 一応、支援
- 162 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:41:26 ID:aBwBEMgf
- 特区に参加するとなると黒の騎士団は武装解除し解体される。あくまでブリタニアからの独立を望む一部の日本人からは
黒の騎士団がブリタニアの軍門に下ったと見なされるだろう。参加を断ればブリタニア側からの歩み寄りを拒絶したとして、
世論と《特区》参加を望む日本人から反感を受けるだろう。
これほどまで鮮やかに黒の騎士団を事実上無効化する方法を僕は思いつかない。
だが、ナンバーズを区別し強者による統治を国是とするブリタニア側からは間違っても出ないはずの提案。手の1つとして
予想は出来ても実際にそれが実行されるとは思ってもみなかっただろう。それだけに衝撃は大きいはずだ。
そう僕が説明すると、あまり面白くもなさそうにコーネリア様はふん、と鼻を鳴らした。
「行政特区の案をゼロから吹き込まれた可能性はない、か」
神根島でユフィとゼロが1日とは言え、一緒に居たのを気に掛けているのだ。
「ええ、ユーフェミア皇女殿下のお人柄は最初に述べられた《行政特区日本》の理念と合致しています」
《行政特区日本》は今のところ看板だけ立派で穴だらけな構想だ。しかしその「穴」が逆にユフィの善意を感じさせる。
僕が邪推したような黒の騎士団の無効化を狙った特区構想だとしたら、もっとつけ入る隙のない仕組みを先に作り上げるだろう。
「自由」の名の下に日本人を飼い殺すための仕組みを。
ユフィの凄いところはすべて計算ではなく素から出た行動だと言うことだ。天然とは恐ろしい。神根島で直接相対したゼロは
そんなユフィの性格を把握しただろうか。もし理解したのであればゼロは頭のいい人間だ、良い意味でユフィを利用して
ユフィが描いた《行政特区日本》と言う砂上の楼閣に柱を立て壁を塗り、ただの夢物語から現実に変えていけるかもしれない。
ユフィの理想とゼロの実行力、その2つで僕が想像も出来ないような優しい世界を作ることが出来るかもしれない。
…それはブリタニアが望む世界ではないかもしれないけれど。
- 163 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 22:42:30 ID:5FLzAXbg
- 支援
- 164 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:43:13 ID:aBwBEMgf
- 「ゼロが参加の条件として特区を運営する権限を要求する可能性が一番高いと思われますが、あくまで特区内であれば
問題は少ないと思われますし、それにユーフェミア皇女殿下は信念に背くようなことには絶対に同意しな…、いっ?!」
そこまで話したところでコーネリア様が半眼で僕を睨んでいるのに気づき、僕は言葉を飲み込んだ。
「…随分とあれの性格に詳しいのだな」
なぜか酷く不機嫌な声で呟かれ、僕の表情が凍る。
まさか時々呼び出されてはユフィの『世間を知る』手伝いをさせられているとはとても言えない。スザクが一緒の場合はまだいいが、
彼女はひとりで抜け出してくる時も多く(いわく「最近スザクまで口うるさいのよ」だそうだ。スザクの気持ちも分かる。
2階から飛び降りるのはもちろん、マンホールから出てきたのにはさすがに言葉を無くした)僕の精一杯と言ったら
ユフィが危険に飛び込まないよう未然に防ぐのと、ユフィが満足する頃合いをみてスザクにSOSメールを送るぐらいだ。
初めのうちは恐縮していたスザクだったが、最近僕にも風当たりが強くなっているような気がする。僕がユフィを連れだしてる
訳ではないし、正直あのスザクでさえ撒いてくるような彼女に僕がかないっこないと主張したい、全力で。
「いや、その、ユーフェミア皇女殿下の騎士スザクは僕の友人なので、話をよく」
冷や汗まじりに弁解する。でも、なんで僕は弁解なんかしてるんだ?別にやましいことはしてない、…はず。
「失礼します、報告書が…」
疑わしげなコーネリア様がさらに何か言おうとしたとき、運良くギルフォード卿が現れなんとか追及の手を逃れられた。
僕がギルフォード卿に心から感謝したのは言うまでもない。
- 165 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:44:41 ID:aBwBEMgf
- ユフィを心配させたくなかったから、あえて詳しくは言わなかった『気になること』。
それは黒の騎士団と言うよりはゼロ個人の思惑だった。
エニアグラム卿──ノネットさんが気にしていた、ゼロはコーネリア様を個人的に狙っているのではないかと言う疑問。
その時はあまり深く考えなかったが、今となってはその心配も理解出来る。ナリタの件にしても片瀬少尉捕獲作戦での
行動にしても、ゼロの狙いは総督の身柄に絞られているように見える。だが腑に落ちない。
ブリタニアが黒の騎士団を瓦解させたければ、首領であるゼロひとりを殺せばいい。なぜなら黒の騎士団はゼロという
カリスマに率いられた組織だからだ。だがブリタニア軍は違う。嫌な仮定だが例えばコーネリア総督を捕らえ、殺しても
ブリタニア軍は崩壊しないし日本は解放出来ない。一時的な混乱は起きるかもしれないが、またすぐに次の頭がやってくる。
それが大国と言うものだ。ゼロほどの人間がそれに気づかない訳が無い。
だとすると執拗にコーネリア様を狙う理由は別にあるのだろうか。彼女はこのエリア11の総督であると同時に
ブリタニア皇族でもある。先にクロヴィス殿下をゼロは簡単に殺しているのを考えると、皇族に恨みを持つ者かと
思ったが神根島でゼロと遭遇したユフィは殺されていない。
クロヴィス殿下はシンジュクゲットーで日本人を殺害したから?ユフィは副総督ではあるけど表立っての活動は
文化的な内容で、日本人に恨まれる理由は多くないから?
それだけの違いなんだろうか?
ともあれ、行政特区日本が成立すればゼロは「黒の騎士団」として表立ってコーネリア様と戦えなくなる。
その前にゼロが個人的にコーネリア様を襲うのではないかと懸念して、ここ数日はコーネリア様のお側を離れないようにしていた。
なんだか微妙に胡散臭がられていたような気もするが、ノネットさんにも頼まれていたし警戒するにこした事は無い。
しかし《行政特区宣言》以降、黒の騎士団はなんのアクションも起こしていなかった。
「…考え過ぎだったのかな?」
クラブの様子でも見てこよう。僕は格納庫に足を向けた。
- 166 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:48:11 ID:aBwBEMgf
- 特派を離れるときに餞別でもらったランスロット・クラブ。もったいないぐらいの僕の専用機。
メカニックに軽く挨拶をしてそのコックピットに収まり、もうすっかり慣れた手順で計器のチェックを始める。
今は親衛隊の1人として公式の行事に随伴したり、デスクワークを見よう見まねで勤しんでみたりするけれど
やはり失われた僕の記憶の断片が見え隠れするのは、戦場に身を置いたときだった。
「記憶、か」
チェックの手を休め、僕は独り言ちる。
僕の記憶は中に何が入っているのか分からない引き出しのようなものだ。ラベルは貼ってあるようで、例えば
《ナイトメアフレーム》と書かれた引き出しを迷い無く開けられる。そして開けてみて初めて、そこに第1世代から
第5世代まで一体どこで覚えたんだと呆れるほどの知識がぎっちりと詰まっているのを発見するのだった。
だけど自分に関する──《家族》や《友人》と言った引き出しをいくら覗き込んでも、ただ真っ暗でからっぽな空間があるだけ。
その真っ暗な底をみるのが嫌で記憶探しを続けてきたけれど、ふと引き出しを見やるとからっぽだったはずの場所に
キラキラと輝くカケラがしまわれている。それはミレイさん達アッシュフォード学園での思い出だったり、特派の家族のような
暖かさだったり、親衛隊での厳しいけれど充実した毎日だったり。それに気づいた時、僕は失われた記憶を求めるのをやめた。
これからだってコーネリア様やスザク、ユフィ達と一緒に沢山の輝く思い出を作れるんだ。
それこそ引き出しがいっぱいに溢れるほどに。
僕は時刻を確認する。もう式典が始まっている頃だ。特区の成功を祈って、僕はそっと瞳を閉じる。
- 167 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:49:25 ID:aBwBEMgf
- 《特区日本式典会場で大規模な暴動が発生した模様!黒の騎士団の介入が報告されている!
総員、緊急騎乗準備!整備士は至急サザーランドを所定の場所へ誘導せよ!》
突如鳴り響いたエマージェンシーコールがそんな僕のささやかな祈りを打ち砕く。暴動?!いったい何故?!
「お待ち下さい、コーネリア様!」
「ついて来られる者だけ来ればよい!」
ギルフォード卿の切羽詰まった声にコックピットから身を乗り出すと、マントを脱ぎ捨てたコーネリア様が
ご自身のグロースターに向かうところが見えた。僕と目が合った彼女は鋭く叫ぶ。
「出るぞライ!」
「イエス、ユア・ハイネス!!」
- 168 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 22:50:09 ID:f0xtLoPs
- しえん
- 169 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/07(金) 22:50:34 ID:aBwBEMgf
- #(・∀・)最後の最後に本文長杉でまた1レスオーバー…。1章終了です
#そろそろボケてる場合じゃないので全力で軌道修正
#創作の糧になりますので、遠慮ないご意見お待ちしています。無駄にライが理屈っぽいとかでもおk
#次章はずっとシリアスなターン「ブラックリベリオン」
#TVシリーズとの整合性と戦闘シーンに四苦八苦しているので少しお時間頂きます
- 170 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 23:14:31 ID:87Rdj283
- >>169
GJ!
マンホールから出てくる皇女……すごく、シュールですw
記憶を引き出しに例える表現はよくある方法ですが、書き方がうまいなあと思いました。
ライの一人称という語り口が柔らかいせいか、特区構想がすごく分かりやすかったです。
しかし、明るいのはここまでかと思うとちょっと辛い。
辛いと思いつつも次回の投下を心からお待ちしております!
- 171 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/07(金) 23:35:57 ID:5yo6WVwx
- >>169
(・∀・)卿、GJでした!
ラストの急展開には結構ドキドキしました!
このちょっとしたほのぼのは終わりなのですか、そうなのですか。
特区日本の概要がかなり分かりやすく説明されており読みやすかったでした!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 172 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 00:03:11 ID:knEHB2zd
- ジェレミアのみかん畑って和歌山にあるらしいな。
- 173 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 03:12:35 ID:RWc4xI8C
- >169
なんだかシリアスだ!漂う緊張感にドキドキとしてきます。
砂上の楼閣に柱を立て、壁を塗る。いいですね。
そんな世界もあったはずなのですが・・・続きを読むのが怖い。
ライは、コーネリアを支えることができるんでしょうか。
- 174 :エノコロ草 ◆svacoLr1WE :2008/11/08(土) 21:21:09 ID:9yqLuwSP
- 画像掲示板投下報告です。
0030−0893 夜、薫る より
「キンモクセイ」
前スレ埋めに投下されていた名前のない方のSSより。
降り散るキンモクセイの中のライとナナリーです。
(今回はちびキャラではなく、極力アニメに似せて描いた絵です。
横顔ですが、ライが顔出ししているので気になる方はご注意を。)
彼らのひと時を切り取った作品、
夜の闇とキンモクセイのオレンジの花のイメージが鮮烈で、
とても美しいと思いました。
静かな語り口も素敵だったと思います。
よろしければ、>>4の画像掲示板よりご覧いただければ幸いです。
- 175 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 21:38:52 ID:9RNy/mG7
- なんかここ数日すこしさみしいな
>>174
拝見させていただきました
この二人にぴったりなとても優しくてやわらかい感じがしました
- 176 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:05:34 ID:F71PD1Bi
- 22:20頃から投下します。本文・あとがき合わせて14レスあります。
- 177 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:12:50 ID:RWc4xI8C
- 支援待機します
- 178 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:21:29 ID:F71PD1Bi
- では、投下します。フィナーレが近づいてきました、『虫食い同好会』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:いざ、決戦の地へ!
(注意)
・完全にカオスです、真面目な展開はありません。
・オリキャラで朱禁城の兵士が出てきます。
本文・あとがき合わせて14レスあります。
- 179 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:22:00 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 180 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:24:05 ID:F71PD1Bi
- 『いざ、決戦の地へ!』
ある日、僕と卜部さん、そしてゼロは、虫食い同好会のアジトを訪れた客人と相対していた。
それは何と、敵対するプラント団の幹部であるエルンスト卿、モニカ、そしてニーナだった。
「モニカ、今日はみんな揃ってどうしたんだ?僕たちって一応、敵同士だよな?その僕たちに大事な用事って、一体何だ?」
僕の問いかけに、モニカが口を開いた。
「実は私たち、プラント団を脱退したの。」
「えっ!?プラント団に何かあったのか?」
僕は驚いた。卜部さんやゼロも驚きを隠せないでいる。彼らに一体何があったのだろうか。だが僕には、彼女たち三人が脱退する理由が何となくわかる気がした。
「南佳高……。」
ぼそっとモニカが呟いた。それは、できることなら今は聞きたくない名前だった。
「あいつのせいで、プラント団の方向性がおかしくなっちゃったの!私たちは純粋に植物を守りたいだけなのに、あいつは植物を利用して、ロリコンを広めようとしているだけなの!
そんな彼にドン・ウー様と星刻が同調して、どんどんおかしな事態になって。ついていけなくなった私たちは、脱退を決意したの。」
モニカの説明を聞きながら、僕は酷い頭痛に襲われていた。予想したそのままの理由だったからというのもあるが、そんな南があまりにも痛々しかったからだ。
「南の奴め、黒の騎士団が誤解されたらどうするつもりだ!」
ゼロが拳を震わせている。まあ、黒の騎士団の全員がそういう人間だという誤解をされると、大いに困るな。
- 181 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:24:37 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 182 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:26:58 ID:F71PD1Bi
- 「それで、これからどうするつもりだ?脱退した後も僕たちとは……。」
気になることを僕が尋ねると、モニカは首を横に振った。
「いいえ、これからは普通に暮らすわ。そもそも虫が植物を食べるのは食物連鎖の一環であって、それを私たち人間が捻じ曲げていいものではなかったのよ。
もし食べられたくない花とかがあれば、念入りに手入れしておけばいいだけの話だし。月下マンと敵対したのも、ノリだけの部分があったから。」
モニカ、それにもっと早く気づいてくれれば、ここまで話がこじれることはなかったのに。
ていうか、ノリでここまで話を大きくしたのか?それに付き合った僕たちも、半分はノリだったかもしれないが。
「最近では、どうして月下マンと戦っているのか、私たちでさえわからない時があったほどですから。これはちょうどいい機会だと思うんです。」
すっかり初心を忘れてしまっていたのか、ニーナ。いや、僕自身も何故こんなことになっているのか、時々わからなくなっていたが。
「私はモニカに脅されて、仕方なく参加していたからな。もうこんなくだらん話に付き合わなくて済むと思うと、ほっとするよ。」
エルンスト卿、あなたも被害者だったのですね。
「それで、ドン・ウーや星刻さんは今どうしている?」
卜部さんの問いに、エルンスト卿が口を開いた。
「彼らは今、中華連邦にいる。何でも、天子様を見に行くとか。頼む、ドン・ウー様を、いやオデュッセウス殿下をお救いしてくれ。あのお方をまともな道に戻せるのは、お前たちしかいないのだ。」
「ええっ!?ドン・ウーって、ブリタニアの第一皇子だったんですか!?」
「ああ、そうだ。だがこれは、くれぐれも内密にな。こんなことが世間に知れたら、皇族方の権威失墜に繋がりかねん。」
まさか、あんなに普通の人っぽいドン・ウーが皇族だったとは。
(まったく、世話の焼ける兄上だ……。)
ゼロは深いため息をついていた。一体何を思っているのだろうか。
- 183 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:27:22 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 184 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:31:04 ID:F71PD1Bi
- 「よし、それでは俺たちも中華連邦に行こう。おそらくそこが決戦の地になるだろう。」
卜部さんが立ち上がった。
「そうですね、これ以上騒ぎが大きくならないうちに収めましょう。そして向こうには僕たち三人だけで行きましょう。
他の人たちは僕たちのように変身できないし、あまり変な方向に向かわせたくありませんから。」
「そうだな、こんなバカな流れになったのも、私たちが虫食い同好会を始めたのが原因だからな。我々の手で決着をつけよう。」
こうして、僕とゼロ、そして卜部さんの三人で中華連邦に向かうこととなった。
「ライさん。これは、彼らが身に着けている『プラント・レンジャー・システム』の効果を解除する『ユーフェミア様印のきびだんご』です。
これを食べさせれば、二度と変身できなくなります。ちなみに商標登録済みです。」
僕はニーナから、きびだんごの入った袋を受け取った。袋には、何故か水着姿のユーフェミア殿下が写ったシールが貼られていた。
これはブリタニア的にいいのだろうか。そもそも、商標登録する必要があるのか?
「あ、ありがとう。彼らのことは任せてくれ。」
「はい、よろしくお願いします。それと…頑張って下さい。」
僕は静かに頷いた。袋については、あえて何も言わないでおこう。
「よし、それでは行くとするか。急がねば天子様が危ない。」
「そうですね。星刻さんが歯止め役になってくれているといいですけど。」
(待っていろ、ナナリー。お前は俺が守ってやるからな。そしてオデュッセウス兄上、あなたとは一度、拳で語り合わねばならんようですな。)
『ついに最終局面を迎える、虫食い同好会とプラント団との不毛な争い。
我々のナレーションも、もう少しで役目を終える。ロロ、心してかかれ!』(by藤堂さん)
『ええ、わかっています。あ、それとエルンスト卿、クルシェフスキー卿、ニーナさん、今までお疲れ様でした。』(byロロ)
「えっ!?もう出ないこと確定?ていうか、どうしてナレーションに決定権があるのよ!」
「言うな、モニカ。これ以上私をカオスに巻き込まないでくれ。」
「え、えーと。とりあえず、『お疲れ様でした』でいいのかな?」
- 185 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:32:43 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 186 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:35:11 ID:F71PD1Bi
- 「さあ、中華連邦に着いたぞ!」
翌日、僕たち三人は中華連邦の朱禁城近くまで来ていた。そして卜部さんは当然のように虫籠と虫捕り網を装備し、虫籠の中にはここへ来る途中で捕まえたトンボやらが入っていた。
ちなみに、「つい最近まで冬だったんじゃないのか」とかいう疑問は、横に置いといてくれるとありがたい。
「まったく。卜部さん、これは旅行や遠足じゃないんですよ。天子様をお守りし、プラント団と決着をつけるために来たんですから、もう少し真面目にして下さい。」
「わかっている、俺はいたって真面目だ。真面目に天子様を助け、真面目にプラント団と決着をつけ、そして真面目に虫捕りをするんだ。」
ダメだ、この人本気だ。
「実は二人とも、折り入って頼みがある。ドン・ウー、いや、オデュッセウスとは直接私の手で決着をつけたい。だから、彼が現れた時には手出しせず、一対一で戦わせて欲しい。」
ゼロが僕と卜部さんに訴えた。
「それは、ブリタニアに反逆する者としての決意か?」
卜部さんの問いに、ゼロは首を振った。
「まあ本来であればそうなのだが、今回はあまり意味を持たない。これは虫食い同好会名誉顧問として、プラント団の首領と決着をつけるため。彼の野望を阻止するためだ。」
お得意のゼロポーズをとりながら、ゼロが宣言する。裏を返せば、ナナリーをロリコンの魔の手から守るためだが。
「おお、ゼロ!ようやく虫食い同好会に本腰を入れて参加する決意を固めてくれたのか!感謝する、ありがとう!」
「あ、ああ。と、当然ではないか、私はゼロだぞ?」
卜部さんがゼロの手を固く握った。絶対勘違いしているよ、あの人。そして思わぬ方向に話が進んだためか、ゼロも動揺している。だがそれを表に出すのはどうかと思うぞ。
「ま、まあ、とりあえずドン・ウーが出てきたらゼロに任せましょう。残りの南と星刻さんは、僕と卜部さんが相手をするということで。」
「よし、それでいこう。」
「理解してもらえて嬉しいよ、諸君の健闘を祈る。」
方向性が決まった僕たちは、『ユーフェミア様印のきびだんご』を三等分して持つことにした。
- 187 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:36:34 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 188 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:38:17 ID:F71PD1Bi
- 「はあ、はあ、はあ。……きゃあっ!」
その時だった。朱禁城の中から一人の少女が出てきて、転んで道端に倒れた。ん?あの姿はまさか……。
「もしや、あなた様は天子様ですか?」
卜部さんが天子様と思われる少女に近づいた。
「そ、そうですけど、誰?」
天子様がビクッと肩を震わせた。まあ初対面な上に、卜部さんは外見が怖そうだからな。
「あ、申し遅れました。自分は卜部巧雪と申します、天子様をお助けに参上しました。そしてこちらの二人は、自分の部下Aと部下Bです。」
「「おいこら。」」
卜部さんの発言に、僕とゼロのツッコミがハモッた。
「ああ、すまん。場を和ませようとしたギャグだよ、ギャグ。」
「ギャグとはいえ、やっていいことと悪いことがあるだろう!まったく、お前はこういう少女の和ませ方をわかっていない。私に任せろ。」
ゼロがマントを翻しながら、天子様に近づいた。
「お初にお目にかかる。私の名はゼ…」
「こ、怖い……!お顔が怖い!」
「んなあっ!?」
ゼロが名乗り終えないうちに、天子様がチューリップ型の仮面を全否定した。そのことにショックを受けたゼロは、ガックリと地面に膝をついた。
「何てことだ、この仮面を否定されては、ゼロを否定されたも同然。私は今まで、何のために……。」
「いや、待て。ゼロの存在意義のすべてを仮面に求めるのは、あまりにもおかしい。仕方がない、僕が行こう。うまくいく自信はないけど。」
僕は天子様を怖がらせないよう、ゆっくりと彼女に近づいた。
『むっ、ついに本命が来たか。』(by藤堂さん)
『立つかな、またフラグ立てちゃうのかな?』(byロロ)
- 189 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:39:48 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 190 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:42:32 ID:F71PD1Bi
- 「天子様、僕はライと言います。今日はちょっとお見せしたい物があるんです。」
僕は懐から、桜色をした折り紙を取り出した。
「天子様は僕の知り合いの女の子よりも年下だと伺ったので、折り紙は好きかなと思いまして。
それと、外の世界に興味がおありなんですよね?これなら、少しだけ外の世界を知ることができると思いますよ。」
彼女に話しかけている間に僕は折り紙を折っていき、桜の花が完成した。以前ナナリーに作ってあげたのと同じ物だ。
「はい、どうぞ。」
「うわあ、かわいいお花!ねえ、何て言うお花なの?」
僕から受け取った桜の折り紙を見て、天子様は目を輝かせた。
「これは、主に日本に咲く桜の花ですよ。」
「桜、桜……。うふふっ、いいお名前!ありがとう、これ大事にするね!」
天子様が満面の笑みで僕に告げた。そして僕も、彼女に優しく微笑みかけた。
「ところで天子様、あの二人は僕の仲間なんです。決して怪しい者ではありませんし、何より星刻さんとは仲間だったんです。」
「星刻と?」
天子様が目を丸くした。
「はい。僕たちは天子様と星刻さんを助けたくて、日本から来ました。決して悪いようにはしません、僕たちを信じて下さい。」
「うん、ライが言うなら信じる。お願い、星刻を助けてあげて!」
「はい、仰せのままに。」
僕は片膝をつき、天子様に礼をした。そんな僕を、後ろからゼロと卜部さんが見つめていた。
「さすがは戦闘隊長殿、見事な人心掌握術。我々には真似できんな。」
「やはり彼を特区日本の外交担当にしたのは正解だったな。他国との交渉で失敗したことがない。だが交渉のたびに、カレンの機嫌が悪くなるのはいただけないな。
彼女が備品に八つ当たりするから、そのたびに扇が泣く羽目になっている。」
よく聞こえなかったが、「カレンが扇さんを泣かせている」だって?それは良くないな、一度ちゃんと話をしなければ。
- 191 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:43:42 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 192 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:45:41 ID:F71PD1Bi
- 「ところで、何故朱禁城の外に?護衛の者はどうしました?」
すると、天子様が顔を曇らせた。
「一週間くらい前かな、眼鏡をかけた男の人と緑の仮面をつけた男の人が、星刻と一緒に来たの。その二人の男の人が私を怖い目で見つめてきて、星刻はその人たちを注意したの。
そうしたら二、三日して、大宦官たちが星刻を捕まえちゃったの。何だか…ロリ?だったかな、私にはよくわからないことを言っていたの。」
「大宦官が!?」
何てことだ。南の奴、大宦官まで懐柔して味方につけたのか。そして邪魔になった星刻さんを捕まえた、と。
しかし彼が捕まったとなると厄介だ。大宦官を味方につけたということは、誰にも南を止められないということだ。ドン・ウーには申し訳ないが、そうとしか思えない。
「それで、天子様は何故外に出てこられたのですか?城の中で何かあったのですか?」
卜部さんが天子様に尋ねた。確かにそうだ、天子様がこんな場所にいるのは不自然だ。大宦官や兵士たちが放っておかないだろう。
「うん、私が眼鏡の人に捕まりそうになったから、香凛が逃がしてくれたの。その後兵士さんにも捕まりそうになったけど、その時も洪古が助けてくれたの。
洪古には『どこか安全な場所にお隠れ下さい』って言われたけど、私じっとしていられなくて。」
「なるほど、それで外に助けを求めに行こうとされたのですね?」
「うん……。」
僕の問いに、天子様が頷いた。お飾りになるのが嫌で、自分の力で何かを変えたくて、思い切って外へ出て自分の言葉を発信しようとされたのだろう。健気なお方だ。
- 193 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:47:04 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 194 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:48:24 ID:F71PD1Bi
- 「そうなると、ドン・ウーと南を倒しつつ、星刻とその二人の仲間も探さねばならんのか。
建物の構造はわかるが、中の兵士たちの配置がどうなっているかわからん以上、うかつには動けんな。」
ゼロが腕組みをしながら呟いた。その時、天子様が言った。
「それだったら、私も一緒に連れてって!私がいれば、兵士さんもあなたたちに手を出せないと思う。私も星刻を助けたいの、だからお願い、連れてって!」
「天子様。それはつまり、あなた様を捕虜として連れて行けと?ですがそれは危険です。大宦官が強硬策に出て、天子様を傷つけてでも僕たちを倒そうとする可能性もあります。
それでも、星刻さんを助けたいですか?それだけの覚悟はおありですか?」
僕の問いかけに、天子様は力強く頷いた。
「うん、大丈夫。少し怖いけど、それでも星刻を助けたいから。それに、ライたちがいてくれるから平気。だからお願い、私も一緒に行かせて!」
その言葉を聞いて僕と卜部さん、そしてゼロは、天子様の手に自分たちの手を重ね合わせた。
「わかりました。天子様は僕たちが全力でお守りします、一緒に頑張りましょう!」
「天子様、あなた様のお覚悟、しかと受け止めました!」
「その願い、私たちが叶えよう!」
「みんな……、ありがとう!」
こうして、僕たちは天子様を連れて朱禁城へ乗り込むことが決まった。
- 195 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:50:08 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 196 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 22:57:18 ID:sjSh9I19
- 自援、さるに引っ掛かりましたorz
- 197 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 22:59:55 ID:F71PD1Bi
- 「ゼロ、これからどう動く?向こうの出方にもよるが、兵士全員の相手をしているわけにはいかないと思うが。」
そして僕たちは今、作戦会議を開いていた。
「ふむ、こちらの戦力は我々三名のみ。しかも彼女を守りながらの戦いになる。これはなかなかのハンデだな、長期戦だけは避けたいところだ。」
天子様を見つつ、ゼロが言った。彼女には悪いが、確かに少し動きづらくなるか。
「確かに南たちと対決するまでは、なるべく体力は温存したいな。」
すると、卜部さんが立ち上がった。
「よし、ならば俺に任せろ。要するに、兵士たちを足止めすればいいんだろう?」
卜部さんは両腕を空に向かって掲げた。
「世界中に散らばる虫たちよ、俺に力を貸してくれ!」
何をしているんだろう、まるでナントカ玉でも作りそうな感じだが……?
「むっ、この何かが細かく振動するような音は何だ?しかも、かなりの数だ。」
ゼロが周りを見渡し始めた。すると、天子様が叫んだ。
「ねえ、あの黒い塊は何?」
見ると、空の向こうから黒々とした物体が近づいてくる。どうやら今鳴り響く音の正体はその物体らしい。あ、何だか嫌な予感がしてきた。
「天子様、ちょっと失礼します!」
「え?え?」
僕は素早く天子様を抱きかかえ、彼女の目と耳を塞いだ。もし予想通りなら、彼女に外の世界を誤解されてしまう。下手をすればトラウマものだ。
「よーし、来てくれたか。我が友である虫たちよ!」
卜部さんの頭上に集まったのは、大小様々な飛べる虫たちだった。さっきから聞こえていたのは、虫たちの羽音だ。
僕の予想通り、この光景はまさに世界の終わりかと思わせるものだった。
- 198 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:01:37 ID:7Pp4e330
- 支援追加
- 199 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:01:38 ID:8Eqq/pyI
- 支援をヘルプいたします!
- 200 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 23:03:38 ID:F71PD1Bi
- 「な、な、何だこれは!?卜部、何をする気だ!」
明らかに動揺しているゼロが、卜部さんを問い詰めた。
「簡単な話だ、彼らに城内の兵士たちの相手をしてもらう。」
「相手?それってまさか……。」
僕は、これから起こるかもしれない地獄絵図を想像して顔から血の気が引いた。
「そう、そのまさかだ。俺の必殺・百虫夜行!」
卜部さんが腕を振り下ろすと、虫たちは朱禁城内へと突入した。その瞬間、僕とゼロは心の中で城内の兵士たちに詫びていた。
『えー、ここから先は大変聞き苦しい音声が中心になるため、地獄絵図が終結するまでしばらくお待ち下さい。』(byロロ)
『何だか鳥肌が立ってきたな、全身がかゆいぞ。』(by藤堂さん)
やがて、城内から悲鳴が聞こえなくなった。全身が鳥肌だらけだ、まだ羽音と悲鳴が耳の奥でこだましている。そして僕と同じなのか、ゼロもガックリ膝をついていた。
「よし、終わったな。そろそろ行こうか。」
「いや、卜部さん。僕とゼロが立ち直るまで、少し待ってもらえますか。」
「何だ、これくらいのことでだらしがないな。」
いや、あなたと一緒にしないで下さい。
「ねえ、ライ。顔色が悪いけど大丈夫?一体何があったの?」
天子様が心配そうに僕を見つめ、その手を僕の頬に添えてきた。
「はい、大丈夫です。それと、今あったことはお気になさらないで下さい。この世には、知らない方が幸せなこともあるんです。」
「………?」
天子様、あなた様だけはどうか、その無垢な心をお忘れにならないで下さい。
- 201 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:05:28 ID:7Pp4e330
- 支援
- 202 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 23:07:32 ID:F71PD1Bi
- 僕とゼロが立ち直った後、四人は朱禁城に入った。あちこちに兵士たちが倒れている。彼らの服の中で何かがモゾモゾ動いているのは、見なかったことにしよう。
「ねえ、あの人たち大丈夫なの?」
天子様が不安そうな顔をした。
「ええ、大丈夫ですよ。少しショックを受けて気絶しただけですから。」
彼女の問いに、卜部さんが笑顔で答えた。あの光景を見て、ショックが『少し』で済むのだろうか。
「むっ、怪しい奴!」
そこへ、城内を警備する兵士たちが現れた。全員を倒したわけではなかったのか、しかも結構な数だ。
「あっ、この臭いは虫よけスプレーか!しまった、その手があったか!」
卜部さんが頭を抱えた。だがあれだけの数の虫ですら近寄れないスプレーって、どれだけ強いんだ。
「はっ、天子様!?貴様ら、天子様を人質にとるとは!」
「フハハハハハハ!さあ、彼女の命が惜しくば道を開けろ!」
悪人っぽい高笑いをしながら、ゼロが両手の親指と人差し指で作った二丁拳銃を天子様に突き付けた。はっきり言おう、何の威圧にもなっていないぞ。
「お、おのれ、何と卑劣な!」
「待て、何故そこで怯む。」
「はっ、しまった!つい雰囲気に乗せられた!」
僕のツッコミに、兵士たちが我に返った。ノリが良過ぎるぞ、こいつら。
「おのれ!こいつらを捕まえろ、天子様は傷つけるな!」
兵士たちが臨戦態勢に入った。言って聞いてくれる雰囲気ではないな。
「みんな、ここは逃げよう!」
僕は天子様を脇に抱えて走りだした。だが、ここで問題が発生した。
「むっ、オニヤンマ!待てー!」
卜部さんがオニヤンマと呼ばれるトンボを見つけ、虫捕り網を持って僕たちとは反対方向へ走りだしてしまった。
- 203 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:09:08 ID:RWc4xI8C
- 同時に猿だったようです。支援
- 204 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 23:11:08 ID:F71PD1Bi
- 「ちょっと卜部さーん!こんな時に何やっているんですか、こっちですってば!」
「ライ、あのバカは放っておけ!私たちはあの東側の建物に入るぞ!」
卜部さんと別れた僕たちは、東側の建物に入った。そしてそこにも兵士たちがいた。
「ちっ、しつこい奴らだ!」
「ライ、怖いよお!」
「大丈夫ですよ、天子様。ゼロ、どうする!?」
天子様を励ましながら、僕はゼロに尋ねた。果たして彼はどう出るか。
「仕方がない、お前たち二人は先に行け。ここは私が食い止める。」
「ゼロ、ここを君一人でか?それは危険だ、僕も一緒に…」
「ダメだ!そんなことをすれば、彼女は誰が守る?」
そう言われ、僕は天子様を見た。そうだ、僕も一緒に戦えば、彼女にも危険が及びやすくなる。もし彼女の身に万が一のことがあった時、星刻さんに申し訳が立たない。
「……ゼロ、すまない。頼めるか?」
「ああ、任せろ。Z・E・R・O・ゼーロー!」
ゼロは立ち止まると、『魔神零式改』を装備した。
「こいつがある限り、私は無敵だ。ライ、無事で会おう!」
「ああ、すまない!すべてが終わったら、ゆっくりお茶でも飲もう!」
僕は天子様を抱えて、さらにスピードアップした。
「天子様、星刻さんたちは必ず助け出します。そして僕の仲間も必ず無事で戻ってきます。だから天子様も、強い心を持って僕たちを信じて下さい!」
「うん、信じる!」
天子様は、僕の服をギュッと握った。
「みんな、どうか無事でいてくれ!」
こうして、それぞれの戦いが幕を開ける。
- 205 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 23:13:39 ID:F71PD1Bi
- おまけと言う名の予告編
「さあ、決着をつけましょうか。ドン・ウー、いや、兄上。」
「なっ!?ま、まさか君は!?」
ある者は妹を守るために。
「お前も虫を好きになれ!そうすれば、何かが見えてくるはずだ!」
「ふん!虫を愛でる少女など、想像もできん!」
またある者は相容れぬ考え方をぶつけるために。
「ライ……。これは国も組織も関係ない、男としての戦いだ!」
「どうしても、戦わなければならないんですね?」
「シンクー!ラーイ!」
そしてまたある者は男の意地のために。
『それぞれの戦い・ゼロ編・卜部編・ライ編』、そのうち公開!
『と、いうわけです。最終決戦の話は三つに分かれるのでご了承下さいね。』(byロロ)
『さあ、ついにクライマックスだ!心して待て。日本、万歳!』(by藤堂さん)
- 206 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:14:06 ID:RWc4xI8C
- 支援
- 207 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/08(土) 23:19:25 ID:F71PD1Bi
- 以上です、支援ありがとうございました。
三対三での決戦も考えましたが、三つのルートに分けました。
一応ライ編は最後です、残りのどちらを先に持ってくるかは、未定です。
途中さるに掛かってしまい、ご迷惑おかけしました。
- 208 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:35:00 ID:RWc4xI8C
- >207
おつかれさまでした!
重ねて支援しようとしたらさるだったときには一体どうしようかと。
天子様が一服の清涼剤のようです。
次回以降の煩悩対決を思うとなおさらw
卜部さんの秘儀に戦慄ですよ。本気出せば虫で世界を獲れますよ。
とっさに天子を虫の襲撃から隠すライの気遣いにときめきました。
どうか次回もかっこよく天子様を守ってくれと。
カレンが恐いかもしれないけど頑張ってください。
それでは、次回対決を楽しみに!
ありがとうございました!
- 209 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:35:21 ID:8Eqq/pyI
- >>207
乙でした!!
元気虫wwある意味最強の攻撃ですなあ
最終回を三回に分けるとのことですが
逆に言えばまだ三回も楽しみがあるという事ですね
貴公の投下を全力でお待ちしています!!
- 210 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/08(土) 23:58:14 ID:o33PNqSX
- >>207
余暇卿、GJでした!
いきなりプラント団から脱退する三人……南が強力すぎるwww
百虫夜行www泣くよ、子供泣くよwww大人も泣くよwww
ぶんぶん飛び回る虫の大群……迷わず逃げるね、うん。
虫よけスプレーが凄すぎるwwwゴールドスプレーレベルだwwwww
そしてノリが関西人ちっくだぞwww兵士wwwww
ダメだwwwww腹筋が行方不明だwwwwww
クライマックス×3、楽しみで仕方がありません!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 211 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 00:14:50 ID:MDrYVF+4
- 支援
- 212 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 00:33:32 ID:7dZB950a
- >>211
どこかの誤爆?
「支援」はSS投下の際の書き手の連投を助けるためのもので
いわゆる「応援」の意味ではないですよ。投下のないときには使いません。
- 213 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 00:48:34 ID:qM+e2qN0
- 誤爆か、一時間リロらないで思わず支援してしまったか。
>>207
いつも乙&GJ!
このシリーズもとうとう最終決戦かと思うと、寂しさと腹筋がもつかの心配でない混ぜになります。
プラント団の女子メンバーの脱退が余りにあっさりで、かえってリアルな気がしました。
なんていうか、はっと我に返る感じ?ww
エルンスト卿は災難だったとしか言いようがありませんがw
ライのフラグ建築士っぷりが見事です。
卜部の必殺技が怖すぎるwwショック死した人間もいるんじゃないか…
あと三回! 次回の投下も楽しみにしています!
- 214 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 12:08:40 ID:lK1+IKF3
- 誰かいますか?
- 215 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 12:10:12 ID:q7cJ72tn
- おりますよ
- 216 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 12:13:59 ID:2q349xsH
- おるでえ
- 217 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 12:35:45 ID:2q349xsH
- >>214
おーい、もしもーし!
- 218 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 12:44:42 ID:jtFT7liL
- 214はどうしたんだろう……
- 219 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 12:51:54 ID:lK1+IKF3
- 214です。
投下しようと思ったのですが、急に忙しくなってしまいました
今日中に投下します。お楽しみに。
※投下宣言ではありません
- 220 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 13:04:33 ID:2q349xsH
- 了解です。じゃあ寝るか
- 221 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 13:17:32 ID:tTZ5eT3M
- >>220
寝るのかよw
まあ俺も寝るけどwww
- 222 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:18:33 ID:lK1+IKF3
- 214です。
誰かいますか?
- 223 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:18:52 ID:2z2P6ucb
- いますよ〜
- 224 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:20:23 ID:4ZJDfI0u
- ノ
- 225 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:24:11 ID:FiE9RNPW
- 今日は、咲世子さんの誕生日
- 226 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:28:06 ID:ej3GeFfE
- 了解致しました!
我が全力を挙げて代理投下させていただきます!
>>427の下から三行目の会話文は「」「」の間を改行した方がよろしいでしょうか?
- 227 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:29:34 ID:ej3GeFfE
- しまった!
……214卿の後で代理投下いたします。
- 228 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 21:35:30 ID:lK1+IKF3
- どうも.
今日と言うひの大切さをぶち壊しかねないものです。
投下します。「紅と銀と碧」の後半です。
タイトルは、△ピザ
注意
わりと(かなり?)薄味です。
苦手な方は
おねがいデス。全力でスルーして下さい。
5か6ぐらい使います。
- 229 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:37:45 ID:ej3GeFfE
- では、支援
- 230 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:38:34 ID:lK1+IKF3
- △ピザ
家に帰ると、荒れていると部屋とC.C.だけがいた。
「珍しいな。一人だなんて。」
「そうだな。」
「何かあったのか?」
黙ったままだ。
「また喧嘩だろ。」
やはり、黙ったまま。
「食うか?」
そう言って、貰ってきたピザを取り出す。
「あぁ食べる。」
C.C.は自分の席に座り、早速ピザに齧り付いていた。
「しかし、狭い部屋だな。ここは。」
私服らしきブリタニア式拘束着をきたC.C.に言う。
「あの研究所の独房よりかましだろ。」
「記憶が戻ったか。」
僕は黙って肯定した。
- 231 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:39:11 ID:2z2P6ucb
- 支援
- 232 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 21:40:12 ID:lK1+IKF3
- あそこの扱いは酷かった。」
「飯は不味いし。」
「栄養バランス考えてなかったからね。死なない程度の量とバランスじゃ抜け出したくなるよ。」
「ベットなんて、固すぎる。」
「軍用の折り畳み式簡易ベットだったからね。酷いときは、床に寝ろって言われた時もあるし。」
「部屋の設備も悪い」
「しょうがないよ。元々金の少ない施設だったし。」
あの頃を思いではろくな事がなかった。
- 233 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:41:17 ID:ej3GeFfE
- 支援
- 234 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 21:42:49 ID:lK1+IKF3
-
ふとC.C.が尋ねてきた。
「お前はこれからどうする。あの男でも探すか?」
「見つけて、捕まるのも嫌だから、この時代で気長に生きるよ。C.C.はどうする?」
「そうだなぁ…」
「取り敢えず、ピザを食べる。」
僕はその答えのお陰で調子が狂った。
- 235 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 21:44:17 ID:lK1+IKF3
- 「なぁ、ライ。ナイトメアフレームは乗れるか?」
いきなりの質問で更に調子が狂う。
「乗れるけど。」
「なら、私と来い。」
「黒の騎士団にか?」
「よく判ったな。」
「断るよ。」
「何故だ?」
「只でさえ、あの男の一味に追われているのに、軍にまで追われる生活は精神が持たないからね。」
「お前はそんなに繊細だったか?」
「君に言われたくないC.C.。」
「お前…まぁいい。来たくなったら来い。」
「気が向いたらね。」
「で、お前は寝床はどうする?取り壊しが決まっているのだろ?」
「僕はイシカワに引っ越すつもり。」
「そうか、世話になったな。」
「そうだな。」
C.C.は鼻で笑い、何も言わず出ていった。
- 236 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 21:46:19 ID:lK1+IKF3
- その翌日僕は、荷物をマトメて、イシカワに向かった。その後を知る者はいない。
その次の週には、アパートは、バベルタワー建設の為取り壊され、その翌月に崩壊した。
そして、ゼロは復活した。
高飛車な碧の魔女によって。
- 237 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:56:05 ID:ej3GeFfE
- 支援!
- 238 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:56:15 ID:wfnJm/NE
- 猿?支援
- 239 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 21:57:42 ID:wfnJm/NE
- 念のため、もっかい支援
- 240 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 21:59:00 ID:lK1+IKF3
- 以上です。
寛大なる支援痛みいりました。
また投下します。
- 241 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/09(日) 22:03:54 ID:lK1+IKF3
- すみません。
少し言葉のニュアンスがおかしいデスね。
さいごの「また投下します。」は
この後また投下しますという意味ではなく、
次の作品が出来次第投下かします。といういみで。
ごきげんよう。
- 242 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 22:08:32 ID:ej3GeFfE
- >>241
御錬師卿、乙でしたー!
淡々と続いていく会話と背景描写の少ない文章は、狙ってやっているのでしょうか?
読者の想像に任せている感じで
そうだとするならなかなか万人には受け入れられないような気もします。
ハンバーグと違い、ライのその後の足取りが分からないのもその現れかな……と感じましたが、どうなんでしょう?
貴公の次の投下を全力で待っています!
2215より代理投下を開始します
- 243 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 22:09:53 ID:iPb63QIN
- >>241
お疲れ様でした。
気になった点を一つだけ。
薄味だと前置きされてますが、正直薄味以前の問題だと思いました。
もう少し、会話文以外も入れて欲しいのが個人的な感想です。
次回に期待します。
- 244 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:15:55 ID:ej3GeFfE
- それでは、代理投下を開始します。
今回は本当にどうでもいい短編です。
『親衛隊ルートが好きなのに書いたこと無いな〜』+『やっぱりナナリーが好き』+『咲世子さんの誕生日だって!?』
そんな無謀な足し算で生まれた作品。一応7レスを予定。
題名は……『嬉しい報せも時と場所を選ぶ』……命名にセンスがないOrz
- 245 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:16:12 ID:2z2P6ucb
- ここはエリア11政庁、総督の執務室。そこで机を挟んで向かい会うのは二人の男女。
一人は美しい赤紫の髪、高級軍服の上に白いマントを纏った女性。もう一人は一般的な青の軍服に銀髪の青年。
「うむ、よく出来た報告書だ」
「ありがとうございます」
ライにとって、コーネリア・リ・ブリタニアと相対する瞬間は大なり小なり緊張に満ちた時間である。
それは始めて会った時、ナリタ連山で始めてお褒めの言葉を受けた時、親衛隊の一員に任じられた時、何時でも変わらない。
「確かにゲットーでの治安維持部隊の行動は目に余るな」
「いかにナンバーズを差別するのがブリタニアの国是とはいえ、理不尽に虐げられて居ては……」
そしてライはこの緊張を心地よく、懐かしく思っていた。
本人すら遠い奥底で亡くした辺境の覇王、狂王ライとしての感覚が、コーネリアの放つ皇族の威厳に共感しているのかもしれない。
「無用な反抗心を抱かせる……か。それを上手く利用しているのが黒の騎士団だからな」
「はい、軍における綱紀の乱れは黒の騎士団への信を増徴させ、余計な争いを生みます」「解っている。統治して守り戦うべきブリタニアの騎士に正義も持たない者は相応しくは無い」
世界中にブリタニアの魔女と武勲を轟かせるコーネリアだが、決して戦いを欲しているわけではない。
故国の進むべき栄光の道の過程で現れる障害物を排除する。それ以上の理由など存在しない。
- 246 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 22:16:43 ID:Na0R5Wor
- 支援
- 247 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:20:15 ID:ej3GeFfE
- 「……と言ってもこの件は中々厄介だぞ? 軍の中枢ならばいざ知らず治安維持は警察との兼ね合いもある」
「それでもやらなければ成らない事です。もし良かった僕がその任を……」
『最初からそのつもりで報告書を持ってきたのであろう?』
そんな言葉をコーネリアは苦笑と共に飲み込む。この奇妙な部下は本当に面白い。
確かに自分の騎士であるギルフォード、古き部下であるダールトンは優秀である。
だがソレは所詮軍人、騎士の視点による。故に今回の件も中々上がって来なかったのだ。
『騎士ならば大局的に物を見よ』
そう叱咤したコーネリアだがライはもっと大きな規模で物を見始めている事を感じる。
それは正しく『王』の視点。そんな者が自分の親衛隊に居る。それだけでらしくも無いトキメキが止まらない。
「良いだろう、この件はお前に任せる。全力を尽くせ」
「イエス、ユア・ハイネス!」
「しかし軍人なのだから『僕』などと言う呼称を使うな! 私と言え、私と!!」
「……ィェス、ユァ・ハィネス」
意見が通った事による喜び、そして叱咤された事による畏縮。
完璧な返答に消えそうに小さくなった返答。その対比がまるで子供のソレであり、コーネリアは緩む口元を抑えられなかった。
先程感じていた王の風格などまるであってないような物。
「■■■■」
そこで不意に鳴り響く携帯の着信音。発信源はライの軍服の懐。
それ自体は別におかしくは無い。騎士とまで呼ばれる軍人ならば、仕事は戦うことだけではない。
多くの事案に責任を持ち、多くから連絡が来ると言う事。故に携帯電話を持っている事は珍しくも無い。
- 248 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:20:43 ID:2z2P6ucb
- 「すっすみません!」
だがエリア11トップであるコーネリアとの会話の中で鳴ってしまったのが問題なのだ。
本来ならばマナーモードなどに設定しておき、着信を一旦無視して後で掛け直すべきだったのだろう。
故にライは慌てたが、コーネリアはそれを気にした様子もなく告げる。優先されるべきは礼儀よりも任務。
「構わん、こちらの話は終わりだ。そちらの連絡を優先せよ」
もしそれがコーネリアの親衛隊として今、受けるべき電話ならば問題は無い。
しかしウィンドウに提示された名前は仕事とは全く関わりの無い名前。
そしてライが愛する者の名前だったから困ってしまう。故に苦し紛れに呟いた。
「しかしその……私的な友人からですので……」
そんな言い訳を聞いたコーネリアは面白くない。自分が『電話に出て良い』と言っているのに、気になる部下は出ないという。
「私が出て良いと言っているのだ! すぐさま電話に対応せよ!」
「イッイエス! ユア・ハイネス!!」
ビシリ!と見事な敬礼に似た動きで携帯電話を耳元に持って行き、ライは反射にも似た心境で通話のボタンを押した。
「あっ! ライさん、いま大丈夫ですか?」
これっぽっちも大丈夫じゃないのだが、耳に響いた恋人ナナリー・ランペルージの愛らしい声にライは表情を緩めた。
- 249 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:24:21 ID:ej3GeFfE
- 緩めたは良いが『ギラ!』なんて擬音が似合いそうなコーネリアの眼光を受け、ライは顔を引き締める。
「もっもちろん大丈夫だよ? どうしたんだい、ナナリー」
顔は任務のように引き締めながら、声だけは温かみと優しさを失わず、目は美しい顔を憤怒で歪めた上司から離さないのは難しい。
しかし『ナナリー』と言う単語のところで、コーネリアの顔色が微妙なモノに成ったのはなぜだろう?
「実は今日、咲世子さんの誕生日だったんです」
長年アッシュフォードに使える日本人のメイドだ。
ランペルージ兄妹やライ、クラブハウスに住まう者にとってなくては成らない優秀な人。
特に目が見えず、足も動かないナナリーにとっては幾ら感謝しても足りないほどお世話になっているのだろう。
「私もお兄様もソレをすっかり忘れてしまっていて……プレゼントだけでも今から買いに行きたいと思ったのですけど……」
今の時間は午後4時、完璧にディナーを買い物からして作り上げるほどの時間は無い。
しかし近場の商店街などに限定すれば、それらしいプレゼントを買う程度の時間はあるだろう。
「確かにそれは良い考えだけど、なぜ僕に? ルルーシュとか……」
ライはそんな質問をした事を深く後悔した。
『ギラ!』……電話越しにそんな感じの心臓に悪そうな音が聞こえたからだ。
- 250 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:24:47 ID:2z2P6ucb
- 「お兄様は朝から学校をサボってどこかに行ってしまいました! 生徒会の皆さんもお忙しそうでお願いできなくて……」
「あ〜それはタイミングの悪い事で」
無難な答えを返しつつ、ライは一つの直感を覚えた。ナナリーは怒っている、非常に珍しい事に。
「それに! お兄様ったら酷いんです!」
怒っている姿も容易に想像できる。それはそれは可愛らしい……いや、何時も可愛いが違った魅力がある。
何時まででもその話を聞いていて上げたいし、出来るならばその姿を見て話をしたい。
「何度もお電話したのに出なくて、やっと出たから『咲世子さんのプレゼントを買いに行きたい』って言ったら……」
しかしながら眼前にいるのはこのエリアの総督であり、ブリタニアの魔女と恐れられる武人であり、自分が守るべきブリタニア皇女。
そんな彼女が何だか先程よりも視線が鋭い。流石に総督の前で恋人と話すのは不味かったのだろうか?
直ぐにでも切り、後で電話をし直すのが正しいのかもしれないが、ナナリーの必至な声にソレができない。
「だからライさんにご一緒して貰おうと思って。あの……お時間ありませんか?」
「時間かい? そうだね……」
『残念ながら勤務中も勤務中。目の前に皇女殿下が居て怖い目でこっちを見ているんだ。
だからソロソロ電話を切りたいんだけど……良いかな? テヘッ♪』
……なんて言える筈も無いライに差し出される救いの手。
- 251 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:27:48 ID:ej3GeFfE
- 「お忙しいですよね? もしかしたらと思ったんですけど、ごめんなさい。
コーネリアおねぇ……総督の親衛隊ですもの。私ったらわがままを言ってしまって……」
『今だ! このまま電話を続けるのは命と精神の消費が激しすぎる!!』
そんな決意を内心で絶叫し、ナナリーを傷つけない会話終了の方法を348通りから選択して……
『そのまま続けろ』
そんな指示をコーネリアから受けた。美しい執筆で刻まれた筆談と言う形で。
何が目的なのか解らず、よく解らないブロックサインを送っていたライに再び刻まれる文字。
『お前の勤務時間は既に終了している。騎士として健康管理も出来ないようでは困るのだ』
軍人だろうと親衛隊だろうと人間は人間。一定の休息が無ければ戦場などでも力を発揮する事は出来ない。
戦場や政務で役立つ知識や見聞を得るのは間違いなく休日と言う時間だ。
『この脆弱者が!!』
続いて刻まれた文字は力強く、何時も怒鳴られているのと変わらない緊張をライの背筋を走り抜ける。
『恋人の一人も満足させられないようでは、私やブリタニアを守ることはできんぞ!?
退室しろ、このまま明日の昼のシフトまで休みを取れ。しっかりと反省して来い!』
- 252 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:28:06 ID:2z2P6ucb
- 『イエス、ユア・ハイネス!!』
それにやはりジェスチャーで答え、ライは執務室を後にした。
いまいち納得が出来ない点がある物のコーネリアの命令は彼にとってはありがたい。
何せナナリーのお願いを断る事無く、叶えてあげる事が出来るからだ。
「あの……ライさん? どうかされましたか?」
会話が途切れた事による不安そうなナナリーの声は先程からライの耳には届いている。
ただコーネリアの告げられた衝撃の内容で返事が遅れてしまっただけなのだ。
安心させるように最高に優しい声でライは返す。
「ナナリー、ちょうど休みを貰ったんだ。咲世子さんへの誕生日プレゼント、一緒に買いに行こう」
「本当ですか!? 嬉しいです!」
電話越しにも解る嬉しそうな声にライも政庁内である事を忘れてしまうほどの幸福を覚える。
それでも自分を物珍しそうに見ているダールトン将軍には気がついたし、シッカリと頭を垂れた。
「それじゃあ学園の正門で待ち合わせで良いんだね?」
「はい! そこまではクラスメイトに送って貰いますから……」
それでもダールトン将軍の自分を見る、ニヤニヤとした若人を見る老兵の目は恥ずかしいものであり、顔が赤くなるのを感じる。
その時はそれだけの事だった。
- 253 :貧弱な軍馬@代理人:2008/11/09(日) 22:30:05 ID:ej3GeFfE
- 以上です〜なんか中途半端でごめんなさい。
思いつきで時間制限があるとやっぱり厳しいです。
もしかして続きが気になる人がいらっしゃったら、続編を書きたいと思っていたり。
以上です。
さぁ、読んで感想を書きましょうかね。
- 254 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 22:37:14 ID:H62k7qOx
- >>253
貧弱な軍馬卿GJ&代理投下の方乙!
ネリ様がいい人だ、そして筆談でのやりとりで笑ってしまいました。
何か日常の一コマという感じで、ほのぼのしますね。続きが読みたいと思わせる作品でした。
さて、23:00から投下したいと思います。本文・あとがき合わせて10レスあります。
- 255 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 22:46:27 ID:ej3GeFfE
- >>253
貧弱な軍馬卿、GJでした!
ネリ様の筆談技術が凄いw
特に「この脆弱者が!!」、怒鳴るのと変わらない緊張を与えるとはッ!
やっぱりナナリーはいいね、和むね、うん。
是非とも続編にて咲世子さんの出番を!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 256 :すいません、252と253の後にこれを:2008/11/09(日) 22:50:38 ID:2z2P6ucb
- 「失礼します、姫様。いや〜しかしライも中々、隅に置けませんなぁ?」
執務室に入ってきたアンドレアス・ダールトンの言葉もある程度はコーネリアの予測するところではあった。
「これから学校の正門で待ち合わせだとか、言っておりましたが……」
「無断で働いていたので休みを取らせた。気を抜く事も知って居なくては長続きしない」
「お優しいですな、姫様……何か気に成る事でも?」
先程まで息子の恋路が気に成るダメオヤジな雰囲気を纏っていたかと思えば、コーネリアの僅かな異変に気がつく。
それこそがダールトンがコーネリアの古くからの重鎮たる貫禄の違い。
「あぁ……まさかとは思うが……」
コーネリアが備え付きの電話に手を伸ばす。見なくても解る番号をプッシュ。
繋がる先は今は租界に出ているはずの彼女の騎士の携帯電話。
「ギルフォード、先の案件は片付いたか? そうか……ではお前に極秘任務を頼みたい。
ライを尾行しろ……アッシュフォードの正門前に現れるはずだ。油断するな、抜けているようでヤツは鋭い。
……いや、違う。奴と共に買い物に出向くであろう『女』だ……嫉妬? 何の事だ!?
どんな人物だったかを後で私だけに教えろ。これは極秘任務だ……頼んだぞ?」
受話器を置いて、首を傾げるダールトンを数秒捨て置き、コーネリアは呟いた。
「ナナリーにルルーシュ……まさか……な」
- 257 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 22:51:57 ID:2z2P6ucb
- ……252と253の間、でしたorz
貧弱な軍馬卿、申し訳ありませんorz
- 258 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:01:23 ID:H62k7qOx
- そろそろ投下します。二日連続のカオスですいません、『虫食い同好会』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:それぞれの戦い・ゼロ編
(設定と注意)
・相変わらずカオスです、でも今回はちょっといい話かも。
・ウー様の扱いが、途中ひどいです。
・ウー様の七割以上は、優しさでできています。
・ルルーシュ視点で進みます。
本文・あとがき合わせて10レスあります。
- 259 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:01:59 ID:ej3GeFfE
- 支援
- 260 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:04:38 ID:H62k7qOx
- すいません、オリキャラで中華連邦の兵士が出てきますorz
『それぞれの戦い・ゼロ編』
兵士たちの放つ矢が、俺に向かって飛んでくる。だが絶対守護領域に阻まれ、矢は俺の手前で落ちた。
そして次の瞬間、俺は絶対守護領域を解除して攻撃に転じた。
「喰らえ、拡散構造相転移砲!」
「うわあああ!」
『魔神零式改』の胸部から放たれた光が、兵士たちを吹き飛ばした。
「怯むなー!奴を捕えろー!」
「くっ、しつこい!」
俺はすぐそばにあった階段を駆け上がっていった。
「来たぞ、押し戻せ!」
「くそっ、上にもいたか!邪魔だ、どけ!」
俺は絶対守護領域を展開したまま、兵士たちの群れに突撃した。
「ぐああああっ!」
俺は兵士たちを弾き飛ばしながら、上の階に進んだ。
「確か俺がいる建物は、主に外国からの客人をもてなすために使われるのだったか。ということは、兄上がここにいる可能性もあるな。
兄上のことだ、あまり危機意識もなく、呑気に茶をすすっている可能性も否定できん。それはそれで悲しくなるが。」
頭の隅に頭痛を感じながら、俺は先を急いだ。
「いたぞ、突撃!」
その時、俺の前方から兵士たちが迫ってきた。だが後ろからも、やはり兵士たちが追ってくる。
「くっ、囲まれたか!」
「取り囲め、奴はただ固いだけに過ぎん!物量で押せば、我らが有利だ!」
兵士たちが俺を取り囲んだ。
「くそっ、絶対守護領域があるとはいえ、これでは動けん!」
俺はまさに、八方ふさがりの状態だった。
- 261 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:07:09 ID:H62k7qOx
- 「ぐわあああっ!」
俺が覚悟を決めた時、前方の兵士たちの一角が吹き飛ばされた。
「な、何だ!?」
「大丈夫か、ゼロ!」
兵士たちを吹き飛ばして俺の目の前に現れたのは、何とスザクだった。
「なっ、枢木!?何故お前がここにいる!」
「咲世子さんから情報をもらってね、君たちが中華連邦で勝手に決着をつけようとしていると知ったから、すぐに駆け付けたのさ。」
さ、咲世子さん、余計なことを。
「まったく、水臭いんだよ君たちは。かつては敵だったけど今は特区も成立して、僕たちは虫食い同好会の同志になったんじゃないか。
もう少し僕たちを頼ってくれてもいいと思うけど?」
「だ、だがお前たちをこれ以上のカオスに巻き込むわけには…」
「そんなの今さらですよ、ゼロ。」
見ると、スザクの後ろからクルーミー中尉が現れた。
「なっ!?あなたまで何故?」
「最初に虫食い同好会に加わった時から、自分たちが変な世界に足を踏み入れているのはわかっていました。
それでも足を洗わなかったのは、このドタバタが好きだったんだと思うんです。戦争から解放されて、新たな刺激が欲しかったんですよ。」
「そういうことだ、ゼロ。これは僕たちが望んで関わった結果だ、今さら仲間外れはなしだよ。かつての僕なら、きっと君を許さなかっただろう。
でも卜部さんや君と深く関わることで、自分の中で何かが変わったんだ。僕は今を大事にしたい、だから……。」
スザクとクルーミー中尉が、俺の手を握った。
「僕も一緒に戦うよ。」
「私も微力ながら、お手伝いします。」
「二人とも……、感謝する。」
俺は心の中で涙を流していた。こういう世界も、いいのかもしれないな。
- 262 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:07:48 ID:ej3GeFfE
- 支援!
- 263 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:07:56 ID:2z2P6ucb
- 支援
- 264 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:09:38 ID:H62k7qOx
- 「ゼロ、ここは僕たちに任せて、君は先を急げ!」
「お前の心配はしていないが、彼女は大丈夫か?」
「セシルさんなら僕が守るよ、それに……。」
その時、兵士の一人がクルーミー中尉に襲いかかった。だが、彼女は逆に兵士を目で威嚇した。……今、背筋が凍りついたのだが。
「女性に乱暴して、ただで済むと思っているんですか?」
「な、何を言っている!」
「教えて差し上げましょうか?」
その瞬間、彼女が目をスッと細めた。
「き、貴様何を……アッー!」
一瞬目の前が光ったかと思うと、先ほどの兵士が目の前で気絶していた。
「お仕置きならロイドさんでやり慣れているから、まったく問題ないよ。」
「いや、にこやかに『慣れている』で片づけるな!彼女は何をしたんだ、彼女は何者なんだ!」
今のは普通ではない、怖ろしい何かが彼女から見え隠れしている!
「くすっ、女の子には秘密がいっぱいなんですよ。」
「ハハハ、セシルさんはお茶目だなあ。」
「おいこら!秘密で片づけようとするな、和やかに笑うな!」
ええい、この天然どもめ!卜部だけでなく、お前たちまでゼロを何だと思っている!
「ゼロ、この先にドン・ウーがいる。君は彼と決着をつけるんだ!」
「急に真面目モードになるな…って、そうか、奴がこの先にいるのだな?」
よし、ならばさっさと決着をつけるしかないな。
「枢木、クルーミー中尉!助太刀に感謝する、ここは頼むぞ!」
「ああ、任せろ!」
「頑張って下さいね!」
この場を二人に任せ、俺は兄と決着をつけるべく、先を急いだ。
「首を洗って待っていて下さいよ、オデュッセウス兄上!」
- 265 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:11:26 ID:ej3GeFfE
- 支援
- 266 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:12:18 ID:H62k7qOx
- そして俺は、貴賓室の前に立った。
「さて、兄上は何をしておいでか。これだけの騒ぎだ、さすがに落ち着いてはいまい。」
そう思いつつ、俺は扉を開けた。
「さあ、ドン・ウーよ!決着の時が来たぞ!……って、あれ?」
部屋の中はやけに静かだった。逃げた後か、それとも罠か。だが、そんな緊張感はあっさり打ち破られた。
「ぐー、ぐー。」
「じ、熟睡……。」
ドン・ウーがベッドの上でいびきをかいていた。あれだけの騒ぎでも起きないとは、大物を通り越している。そんな彼を見ていると、俺は無性に腹が立ってきた。
「ええい、起きんかー!」
「ぐほぉっ!?」
俺はベッドごと、ドン・ウーをひっくり返した。
「いたたたた、せっかく気持ち良く昼寝をしていたのに何事だい?」
「お前はこの非常事態を何だと思っているんだ!皇族なら皇族らしく、少しは緊張感を持て!」
「ん?あっ、君はまさかゼロ!どうしよう、どうしよう。困ったなあ、護衛なんか連れてきていないのに。」
「ええい、オロオロするなあっ!」
いかん、完全に向こうのペースだ。仕方がない、こうなれば。
「まずは落ち着いて話を聞いて下さい、オデュッセウス兄上。俺は、あなたと決着をつけに来たのですよ。彼女の兄としてね。」
俺は、ゆっくりと仮面を外した。
「なっ!?き、君はルルーシュ!ルルーシュなのかい?」
その時、兄上の顔が驚愕の色に染まった。
- 267 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:12:49 ID:9QnL1zf5
- 支援
- 268 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:15:36 ID:H62k7qOx
- 「ええ、そうですよ。俺はかつて、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと名乗っていた、あなたの弟ですよ。」
「そ、そうだったのか。良かった、生きていたんだね。でも何故、君がゼロに?」
「俺たちを捨てた父さんに復讐するため、そしてナナリーを守るためですよ。」
「ナナリー?彼女も生きているのか!そうか、良かった。さぞかし、かわいく成長しているんだろうなあ。」
兄上が若干うっとりした表情を見せた。……せっかくシリアスな場面だったのに、やはりナナリーの名前を出すのはまずかったか。空気がおかしくなり始めている。
「しかし今回は、兄上と個人的に決着をつけるのが目的!虫食い同好会の名誉顧問としてプラント団の首領を倒すため、ナナリーの兄としてロリコンどもを撃退するための戦いだ!」
俺は再び仮面をかぶると、兄上を指差した。
「さあ、決着の時だ!早く変身したまえ、ドン・ウー!」
すると兄上は、緑色の仮面をかぶってドン・ウーになった。
「まさか、君とこんな形で相対することになるとはね。積もる話はあるが、それは決着をつけてからにしようか。変身、ヴィンセントマン!」
彼は金色のスーツに身を包み、ファイティングポーズをとった。
「さあ、行くよ!」
「来い、ドン・ウー!」
俺たちは拳を振りかざしながら、全速力で相手目がけて突進した。そして彼が拳を振り下ろした瞬間、俺は拳を出すと見せかけ、それより早いタイミングで絶対守護領域を展開した。
「ぐはあっ!」
不意を突かれたドン・ウーはあっさり吹き飛ばされ、テーブルの角に頭をぶつけて失神した。
「ふっ、他愛もない。これくらいは計算済みですよ、兄上。だが、何か不完全燃焼だな。」
俺は、上げ過ぎたテンションのやり場に困っていた。
『ええっ!?ラストバトルがこれで終了!?』(byロロ)
『こ、これは見ている我々もすっきりしないな……。』(by藤堂さん)
- 269 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:16:14 ID:ej3GeFfE
- 支援!
- 270 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:20:02 ID:H62k7qOx
- 「いやあ、僕の完敗だ。本当に今まですまなかったね。」
意識を取り戻した兄上が、ひたすら謝っている。
「さて、まずはこれを食べてもらおうか。二度と変身できなくするためにな。」
「ああ、わかったよ。」
兄上は、俺から『ユーフェミア様印のきびだんご』を受け取ると、それを食べた。すると彼の体が光に包まれた。
「あれ?体から力が抜けていく、どうやら本当に変身できなくなったらしい。」
「よし、次だ。今日を限りにプラント団を解散しろ、そして二度と、我々とロリッ娘たちに近づくな。」
「ああ、約束するよ。それより……。」
兄上は、急に真面目な顔になった。
「ルルーシュ、こっちに戻ってこないかい?君とナナリーのことは、僕が守ろう。父上やシュナイゼルたちが何を言おうと、第一皇子として君たちを守ろう。
こんな凡庸な僕だけど、せめて二人に対してだけは、兄として力になりたいんだ。」
「お心遣い、感謝します。ですが俺とナナリーは、最早皇族ではありません。ルルーシュ・ランペルージとナナリー・ランペルージとして、今いる世界で、日本で暮らしていくつもりです。あなたのお力添えは受けません。」
「だが、今のように人目に隠れて、身分を偽ってまで生きるのは辛くはないのかい?本当の自分をさらけ出せなくて、苦しくないのかい?
僕は君たちをそんな目に遭わせたくない。たとえそれが、父上の命に逆らうことになってもね。」
ああ、兄上。あなたという人は本当にお優しい方だ、それも優し過ぎるほどに。だがその優しさは、時に危険をもたらしますよ。俺はそれが一番心配だ。
- 271 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:20:39 ID:ej3GeFfE
- 支援
- 272 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:20:43 ID:9QnL1zf5
- 支援
- 273 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:24:00 ID:H62k7qOx
- 「兄上、俺たちは大丈夫ですよ。俺たちの周りには、兄上のように心の温かい人たちが大勢います。たとえ一生身分を偽って生きることになろうとも、彼らと一緒なら俺たちはそれで十分幸せです。
そしてナナリーも、今の優しい世界がいつまでも続くことを望んでいます。ですから、ブリタニアに戻る気はありません。」
そして俺は、兄上の手を握った。
「兄上、お願いがあります。この優しい世界が続くよう、見守っていて下さい。今の平和が保たれるには、あなたのように広い心で人を包む人物も必要だ。
日本ではユフィがその役割を懸命に果たしています。あなたも少しずつで構わない、大きなことをしなくてもいい。ただ大らかな心だけは失わず、みんなを包んであげて下さい。」
「ああ、わかったよルルーシュ。君とナナリーだけじゃない、みんなが笑って暮らせるように、僕もできることから始めてみるよ。」
「ありがとうございます、兄上。それと……。」
俺は仮面の左目の部分だけを開き、ギアスを発動させた。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。ルルーシュとナナリーのことは忘れろ!」
「……ああ、わかったよ。ぐあっ。」
ギアスにかかった兄上の腹に一撃を加えて気絶させると、俺は兄上の体を床に寝かせた。
「兄上、あなたは優し過ぎる。あまり危険な場所に踏み込むべきではない、だが……。」
俺は立ち上がり、彼に向かって頭を下げた。
「その優しさ、心にしみ入りました。俺は一生忘れません。」
その時、俺の頬を一筋の涙が流れた。
「ふっ、こんな凡庸な兄の優しさに感動するとはな。俺も随分、涙もろくなったものだ。」
- 274 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:25:00 ID:9QnL1zf5
- 支援
- 275 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:28:22 ID:H62k7qOx
- 「まさか、ドン・ウーがオデュッセウス殿下だったなんて。」
その後、貴賓室にはスザクとクルーミー中尉が来ていた。二人とも無事で何よりだ。
「まったく。殿下、国際問題に発展したらどうするおつもりですか?」
「いや、面目ない。後でちゃんと天子様に謝るから。」
クルーミー中尉に叱られ、兄上が小さくなっていた。気絶させなければ礼も言えない弟をお許し下さい。ですが、もう少し皇族らしくした方がいいですよ。
「ゼロ、卜部さんとライはどこにいるんだい?一緒じゃなかったのか?」
スザクが俺に尋ねてきた。
「卜部は私たちとは反対方向に行った。ライは天子様をお守りしつつ、朱禁城の奥へと向かっているはずだ。」
「そうか、他のみんなと合流できればいいけど。」
「何?他の者たちもこちらにいるのか?」
「ええ、虫食い同好会全員集合です。みんな仲間が大事なんですよ。」
そうか、俺の周りはお人好しだらけだったのか。本当に心の温かいお人好したちだ。
「ふっ、どうしようもない奴らだ。」
「それは君たちも同じだよ、本当に無謀なんだから。」
俺とスザクは笑い合った。少し前までは想像だにしなかった、温かい空間だった。だが、一瞬でその空間を凍りつかせる物が俺たちを待ち受けていた。
「さあ、みなさんお腹がすいたでしょう?オスシを持ってきたので、食べて下さい。あ、殿下もどうぞ召し上がって下さい。」
クルーミー中尉、あなたって人は!
「やあ、おいしそうだね。二人も一緒に食べようじゃないか。」
「たくさんありますからね。」
俺とスザクは、この時ばかりは彼らの笑顔を呪った。そんな顔をされたら、断れるはずがない。
「「い、いただきます……。」」
十分後、俺とスザクと兄上は、温かくて優しい夢の世界へと飛び立っていた。
- 276 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:29:52 ID:9QnL1zf5
- 支援
- 277 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:30:37 ID:H62k7qOx
- おまけ
「何だか、途中で真面目な話になっちゃいましたね。」
「ああ、だがいい話だったな。」
ナレーションの二人組は、何とも言えない気分になっていた。
「あんなに殿下に思われて、兄さんとナナリーは幸せ者だなあ。」
「うらやましいのか、ロロ?」
藤堂の問いかけに、ロロは微笑んだ。
「まあ、少しは。でも、僕にはあなたがいますから。楽しいですよ、兄上と一緒にいることができて。」
「ふっ、そうか。さて、少々しんみりしてしまったな。そろそろ次回予告といこうか。」
「はい!」
ジャジャン!チャチャーチャチャーチャチャー♪(BGM)
『仁義なき兄弟の戦いは幕を下ろした。だが別の場所では、最もカオスで、最も危険な二人の男が相まみえようとしていた。
そして卜部のもとに、とんでもない助っ人たちが現れる!次回、ご期待下さい。日本、万歳!』(by藤堂さん)
『ああっ、ツッコミ役がいないよ!ど、どうしよう!』(byロロ)
- 278 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:33:36 ID:9QnL1zf5
- 支援
- 279 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/09(日) 23:34:34 ID:H62k7qOx
- 以上です、支援ありがとうございました。
せっかく兄弟が対面するので、兄弟としての会話は入れようと考えました。
ウー様なら、たとえルルがゼロだったとしても兄として何かしてあげようと思うはずなんです。
- 280 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:41:35 ID:9QnL1zf5
- >>279
GJ!
こんなカオスなのにちょっと泣いちゃったYO
しかし、ウー様相手ならゼロも戦闘で勝利できるのだなと思いましたw
次回、あの男たちがどんなカオスを繰り広げるのか、期待してお待ちしております。
- 281 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:56:00 ID:uTHwtzH4
- >>279
GJでした。
オデュッセウスらしいというかなんと言うかwww
楽しく読ませて頂きました。次回投下をお待ちしてます。
さて、楽しい話の後で恐縮ですが、前作の続きを投下したいのですが、
13レスほど使用しますので支援お願い出来ませんでしょうか?
- 282 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/09(日) 23:58:09 ID:c1d0+FAQ
- 支援しますぜ
- 283 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/09(日) 23:59:27 ID:uTHwtzH4
- 有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN01 魔神が目覚める日(前編)〜
カップリング なし
前作 〜 狂気の片鱗(後編)〜 の続きになります。
以下注意点
●根幹は黒騎士ルートを準拠してますが、オリジナルと言ってもいい内容です。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリキャラが数名出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
- 284 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:01:31 ID:c1d0+FAQ
- 支援
- 285 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:02:31 ID:y6Ga2V1q
- コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN01 魔神が目覚める日(前編)〜
ブラックリベリオンより1年。
トウキョウ租界では相変わらず餌の監視が続いていたが、ライは内心苛立っていた。それと同時に、彼にしては珍しく戸惑いに近い感情も抱いていた。
苛立ちの理由――。
それは黒の騎士団は未だ健在であり、活動状況については軍に放った草よりも詳細な報告が入っていた。
だが、嘗てゼロを筆頭として猛威を振るっていた頃の彼らからすれば、それは余りにもお粗末な活動でしかなかった。だからこそ、それが余計にライを苛立たせるのだ。
しかし、それは黒の騎士団に対してでは無い。
矛先は、寧ろそのお粗末な連中を一年経っても捕らえる事が出来ない軍部、主にカラレス総督に向けられていた。
ライはそれ程短気では無いが、かといって1年も待っていられる程悠長な性格も持ち合わせてはいないのだ。
次に戸惑いの理由として、前述の通り今もなお騎士団の活動は続いている。ルルーシュ一人に対してライが敷いた監視網。
それは幾ら契約者と言えども一人で乗り込んで奪還出来る様な、そんなぞんざいなものでは無いという自負があった。
ならばこそ、ライはC.C.がルルーシュを奪還する気があるのならば、いずれは騎士団を動かして来るだろうと踏んでいた。
しかし、騎士団はこの1年一度としてルルーシュ奪還に動くといった気配を見せる事は無かったかのである。
「そう簡単に飛び込んでくる程愚かでは無いという事か。それとも、ルルーシュに見切りを付けたか?」
嚮団のメインホールで、見飽きた報告書を片手にライは誰に聞かせるでも無く一人そう呟いた。が、それは直ぐ傍で聞き耳を立てていた存在に否定される。
「彼女がルルーシュを見捨てる事なんて無いよ」
その背丈に凡そ不釣り合いな椅子に腰掛けたまま、V.V.は両足をプラプラと宙に浮かしながら得意げに告げた。
ライはその様子を横目で見ながら、感想とも言える問い掛けをする。
- 286 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:03:19 ID:c1d0+FAQ
- 支援
- 287 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:05:01 ID:86npUlhs
- 支援
- 288 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:05:34 ID:mq1vIkPF
- 「理由は何だ?と言っても答えないか」
「良く分かってるじゃない。理解してくれて嬉しいよ」
V.V.は嬉しそうな笑みを浮かべてそう答えるが、ライは素知らぬ顔で受け流した。
「一年も行動を共にすれば、嫌でも理解する」
すると、V.V.は今度こそ心底嬉しそうな顔をした。
その表情を見たライは、あの日黄昏の間で皇帝より頼まれた案件を思い出すと、心が揺らいだのを感じた。
――それは、V.V.を監視しルルーシュ殺害に動いた場合は知らせる様に、との皇帝たっての願い事――
だが、今のところそれは小波程度のものでライの心を掻き乱すには至らない。その証拠にライはその事実を冷静に受け止めた後、まるでお笑い種だとばかりに打ち消してしまったからだ。
「何れにしても、機情の立案待ちか」
気を取り直したライは、どういった提案が出されるか考えるべく、その身を深紅の玉座に深々と沈めると静かに瞳を閉じた。だが、それはあっさりと見開かれる事となる。
「ライが立案すればいいんじゃないの?」
V.V.は片方の肘掛けに両肘をつくと、何で?といった様子を隠す事無くそう言ってのけた。
その言葉に、ライはやれやれといった様子で瞳を開くとその蒼い双眸をV.V.に向ける。
「では、ルルーシュを処刑するか」
口ではそう言ったものの、その方法は皇帝より禁忌とされておりそれに対してはライやV.V.も誓っている。その気は毛頭ない。少なくともライ自身には。
では、何故そう言ったかというと皇帝の懸念している事が誠かどうか探る為に、V.V.が乗って来るかどうか鎌を掛けたのだ。しかし、ライは少々失念していた。V.V.の性格を。
V.V.はふと口元に悪戯っぽい笑みを浮かべながら楽しそうに咎めた。
「いけない子だね」
その言葉にライは少々面食らったような表情を浮かべた。そして、逆に格好の餌を与えてしまった事に気付くと、一瞬眉間に皺を寄せる。次にその顔を張り付けたまま再び深々と玉座に身を沈めると、最後に自嘲するような薄笑いを浮かべた後今度こそ固く瞳を閉じた。
―――――――――――――――――
- 289 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:06:44 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 290 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:07:34 ID:86npUlhs
- しえん
- 291 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:09:00 ID:BsDPMAkf
- エリア11には特別な施設がある。それは元々重犯罪者専用の施設だったのだが、そこは今では黒の騎士団専用の施設となっていた。だが、それだけでは無い。以前とは違い、そこに入るには特別な許可を得た者でなければ例え総督であっても入る事は許されない。
当然の如く、取り調べに際しても総督権限は及ばない。それは皇帝直属のとある部隊が行っていた。
そんな厳重過ぎる施設の廊下に一人の男の声が響く。
「ここから出しやがれっ!!ブリキ野郎!!」
叫んだ男の名は玉城真一郎。彼は嘗て黒の騎士団で宴会を担当した幹部?だ。
玉城は力の限り叫んだがその声は空しく響くだけ。しかし、それでも看守達は咎めに来る気配さえ無い。
当初は少しでも叫ぼうものなら、決まって血相を変えた看守達が飛んで来ては手痛い仕打ちを彼に見舞ったものなのだが。
「畜生!ゼロが居ればブリタニアなんかにっ!」
玉城は最近さっぱり注意されなくなっていた事に安堵していた。その為これ幸いとばかりに続けるが、意外にもそれは身内から発せられる事となった。
「裏切り者の事など言うな」
凛とした女の声が辺りに響く。女の名は千葉凪沙。四聖剣の紅一点だ。
千葉は冷めた様子でそう吐き捨てたが、それはゼロの親友を自負する玉城にとって我慢ならない言葉だった。
「ゼロは裏切ってなんかいねぇ!」
咄嗟にそう言い返すと、それに同調するかのように人当たりの良さそうな男の声が後に続く。
「何か理由があったんだろう」
男の名は扇要。黒の騎士団にあって副指令の地位に居た男だ。だが、千葉はそんな二人の言葉を鼻で笑うと白けた様子で問い返す。
「理由?最終決戦で指揮官が離脱。これを裏切りでなくて何だと言うんだ?」
すると、今度は千葉の言葉に二人の男が同意する。
「俺も千葉と同意見だね。元々ゼロは信用出来なかったし」
「同じく」
憎々し気な口調を全く隠す事なく言う男の名は朝比奈省悟。そして、短くはあったが渋い響きを持った声色で同意した男の名は仙波崚河。共に千葉と同じ四聖剣だ。
だが、形勢が逆転したにも関わらず玉城は尚も食い下がる。
「信じねぇぞ俺ぁ!見てろ!ゼロはいつか必ず"あいつ等"を連れて俺達を助けに来てくれるんだっ!!」
- 292 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:12:21 ID:BsDPMAkf
- 玉城は自身満々といった様子でそう言い放ったが、千葉はそこにライが含まれている事を感じ取った。
それは他の者も同様だったようで、朝比奈は剣呑な表情を浮かべ、仙波は口元に悔しさを滲ませる。
ゼロとライ。彼等二人の生死について、彼等は幾度となく議論し合った。
ゼロの死については取り調べの際に告げられた。当初は敵の言葉など信じなかった彼らもブラックリベリオン以降ゼロが表舞台から姿を消してしまっている事を鑑みた時、徐々にではあるが本当ではないかと信じるようになっていった。
一方でライに関してはブリタニアからの発表は一切無い。
それは、当初ライは無事だと信じていた者達からすれば喜ばしい事だった。
その為、ライの生死について話し合うと決まって紛糾した。
だが、幹部である四聖剣はあの爆発を見ている。見ている者と見ていない者。更に幹部である四聖剣から生きていられる筈が無いと告げられてしまえば、見ていない者達は何も言えない。
既に、彼等の中で二人の生死については一定の答えが出ていたのだ。
しかし、それでも信じたくないといった者が居る事も事実で、受け入れている者達はそういった者達に配慮したのか極力その話題は避けようとした。
信じたくない者達も同様で語る事は控えていた。
そういった半ば不文律のような物が出来上がっていたにも関わらず、玉城は暗にそれを犯した。
その事に遂に我慢ならなくなった千葉は、その時初めて怒りを露にする。
「だから何度言えば分かるんだ!ゼロもあいつも死ん――」
「黙れっ!!」
空気が震えた。
言い争いを続ける彼等に対して、それまで沈黙を続けていた男が一喝したのだ。
男の名は藤堂鏡志朗。奇跡の藤堂とも呼ばれ、四聖剣を従え黒の騎士団では軍事総責任者を勤めた彼は、ブラックリベリオンにおいてはゼロに指揮を任されると最後までブリタニアに抗った。
結果として敗北に至ったが、それは藤堂が愚かだったからという訳ではない。予期していない様々な要因が重なったのだ。そしてこの場に居る者達は皆それを分かっている。
だが、当の本人は責任を感じていた。そして、ライの最後を見た藤堂はこうして囚われの身となった今、ライの喪に服すかのように余り言葉を発する事は無くなっていた。
その藤堂が久々に力強い言葉を発したのだ。
- 293 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:13:09 ID:86npUlhs
- 支援
- 294 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:13:53 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 295 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:15:56 ID:BsDPMAkf
- その声を聞いた者達は、玉城を初めとして皆一様に驚きにも似た表情を浮かべていた。
それは四聖剣も同じだった。が、その表情はどこか嬉しさも含んでいるようにも見えた。
だが、藤堂は突然大声を発した事に恥じたようだ。
「すまん。だが、ゼロも彼も死んだんだ」
藤堂は軽く謝罪した後、一転して静かな口調でそう告げるとそれっきり押し黙ってしまった。
その言葉を聞いた扇は、天井を見上げると蚊の鳴くような声で自身の思いを吐露する。
「本当にそうなのか?ライ……」
その問い掛けは壁に当たる事無く虚空に消えていった。
彼等の元にその答えが返って来るのは……まだ先の話。
―――――――――――――――――
「またあのイレブンが吠えてます!!」
玉城が叫んだ時、それを別室でモニター越しに聞いていた新人看守は、すぐ傍で雑誌を読んでいる先輩看守に対して鼻息荒く話しを振った。
が、振られた彼は飽き飽きした様子でこの使命感に溢れた新人を窘める。
「放っとけ、いつもの事だ。って事はもうすぐ昼か」
そう言うと、パタリと雑誌を閉じた後昼飯のメニューを調べ出した。
ここに配属された当初は、彼も新人と同じく使命感に溢れていた。 だが、今となっては半ば諦めていたのだ。幾ら痛めつけようとも全く懲りない玉城に。
最も、彼もプロである。目の前で喚こうものならそれなりの態度で臨む気はあるのだが、以前のように飛んで行く程の情熱はとうの昔に失せていた。
「良いんですか?」
そう言って訝しむ新人を余所に彼は淡々とした口調で語る。
「良いんだよ。注意しに行っても無駄だ。幾ら言っても聞きやしない。いちいち構ってたらそのうち私刑にしたくなるぞ」
それは彼の経験から来る忠告であった。ついでに言えば、前述の通り総督でさえも許可無しには立ち入る事が許されない場で、一看守に団員達を私刑に出来る権限などある筈も無い。
そう言った後、彼は楽しそうに口元を僅かにつり上げると未だ怪訝な表情を崩していない後輩に問い掛ける。
「それにだ。お前もここに配属されたって事は、アレを見たんだろ?」
- 296 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:17:59 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 297 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:19:55 ID:BsDPMAkf
- ここに配属が決まった者は、団員を殺さぬようにと決まってある者から忠告を受ける。銀色のゼロの仮面を被った男、カリグラに。
新人も例に漏れず、その洗礼を受けていた。
「ええ、まあ」
「どうだったよ?」
彼は楽しげな表情のまま更に問うと、モニター越しではあったがその男から感じた雰囲気を思い出した新人は、身体を僅かに震わせると素直な感想を口にする。
「寒気がしました」
その答えが気に入った彼は、そうだろうとでも言いたげな笑みを浮かべた。だが、その表情が気になった後輩は真剣な表情で問い掛けた。
「あの男について何か知ってるんですか?」
「知ってるって程じゃない。名前の通りヤバい存在って事ぐらいだ」
それを不思議に思った新人は首を傾げながらも更に問う。
「カリグラの名前がそれ程危険なのですか?」
すると、それを聞いた彼は拍子抜けしたかのような表情を浮かべた。
「お前、何も知らないのか?カリグラって言えば、帝国最初の暴君の名前だぞ?」
その言葉に新人は心底怪しんだ。新人もブリタニア人である。当然自国の歴史については知っていた。だが、そんな名前の皇帝など聞いた事も無かったからだ。
「ブリタニアにそんな名前の皇帝は居なかったかと」
「違う違う。ブリタニアじゃない。古代ローマの皇帝の名前だ」
新人の無知さ加減に呆れながらも、彼はそう前置きするとその皇帝の所業を話し始める。
やがて講義の時間が終わると、彼はそれを大人しく聞いていた後輩に忠告する。
「仮にだ。あのイレブンの学習能力の無さに耐えきれず、怒りに任せて私刑にでもしたとしようか。次は間違いなくお前だぞ?イレブン相手にそれは釣り合いが取れないってもんだ」
だが、新人は当然とも言える見解を以てそれを明確に否定する。
「その皇帝とあの男は違います。本当にそんな事をするとは思えません」
するとそれを聞いた彼は、その時になって初めて真剣な顔をすると静かに語り始めた。
- 298 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:20:59 ID:86npUlhs
- しえん
- 299 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:23:00 ID:BsDPMAkf
- 「これは余り言いたくなかったんだが……。お前の前任だけどな、あの男に文句言った翌日に異動になった。で、それ以来連絡が取れない」
その言葉に新人は心底驚いた様子で目を瞬かせる。が、彼は真剣な表情を崩す事無く尚も語る。ここで言い聞かせておかないと危険だと思ったからだ。
「それに、お前も寒気を感じたと言っただろ」
「それは……そうですが」
「俺もそうだった。だから俺は自分の直感を信じる事にしたんだよ」
彼からの指摘が余程説得力的を持っていたのか、新人はもう何も言わなかった。そして、彼は最後にこの血気盛んな新人に釘を刺すかのように告げる。
「分かったろ。ここでも機情は目を光らせてるんだ。俺達はあいつらが逃げないように監視してるだけでいいんだよ」
そう言った後普段通りの表情に戻った彼は、新人の肩を軽く叩くと再び昼食のメニューを調べる作業に戻っていった。
―――――――――――――――――
この1年ルルーシュの周辺に何の進展も見られなかった事に対して、機情の長カリグラは昨日より1計を案じるように実働部隊であるカルタゴ隊に指示を下していた。
そして今日、それを聞いたカリグラは呟くように部下からの案を反芻する。
「租界外縁部ニ出ス、カ……」
それを聞いて、部屋に緊張感が走る。モニター越しではあるが機械を通して語るカリグラの声色は一切の抑揚が無く、それは不気味の一言に尽きる。
だが、隊長を勤める男爵は静かに付け加えた。
「はい。現時点で飛び込んで来る可能性は最も高いかと」
「確カニナ」
カリグラの肯定。それは月に一度お目にかかれるかどうかも分からない程珍しい事だった。気を良くした男爵は、胡麻を擂るような雰囲気を醸し出しながら問い掛ける。
「では、お任せ頂けますか?」
「ダガ、コレハ"リスク"ヲ背負ウ事ニナル。ソレヲ理解シテイルノカ?」
カリグラの問い掛けは当然だった。機情の包囲網は学園周辺に限定されており、租界外縁まではカバー出来ていなかったからだ。
だが、驚くべき事に男爵はカリグラの問いに対して敢えて沈黙をもって答えた。
- 300 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:25:34 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 301 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:26:07 ID:BsDPMAkf
- その意味を理解したカリグラは暫しの間押し黙った後、突如として笑い出した。
「クハハハハッ!!良イダロウ、陛下ニハ私カラ話ス」
カリグラの笑い声を初めて聞いた隊員達は一瞬後ずさったが、一人それを耐えた男爵はここぞとばかりに願う。
「その際には是非!!」
「分カッテイル。貴様ノ発案トイウ事ハ伝エヨウ」
「ありがとうございます」
そう言うと男爵は下卑た笑みを浮かべた後、恭しく頭を垂れる。
「ダガ忘レルナ。万ガ一仕留メ損ナッタ場合ハ、ソノ身ヲ以テ償ワセル」
男爵の笑みをカリグラは咎める事はしなかったが、最後にそう釘を刺すと一方的に通信は切られた。
それを以て辺りに漂っていた緊張感も霧散すると、副官が男爵に詰め寄った。
「よろしかったのですか?万が一にも失敗すれば我々は……」
だが、男爵は特に気にした様子も無くあっさりと言い切ってしまう。
「仕留め損なわなければいいだけだ」
「ですが……」
そう言いつつも尚も不安げな表情でいる副官に対して、男爵は胸の内を晒す。
「分かっている。だが、そもそも陛下が許可なさるかどうかも分からん。それまではこの話に意味は無い」
「それはまあ、そうですね」
副官が理解を示した事に対して、男爵は安心させるかのように語る。
「陛下もお忙しい身だ。どうなるか分かるまでは今暫く時間が――」
「通信です」
突然言葉を遮られた事に対して、男爵は少々目を細めながらも問い掛ける。
「誰からだ?」
問われた隊員は、コンソールに目を走らせて発信者を確認すると首を傾げながら告げた。
「カリグラ卿からです」
それを受けて男爵も首を傾げる。
「何か伝え忘れた事でもあったというのか?まあいい。出せ」
- 302 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:29:11 ID:86npUlhs
- 支援
- 303 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:29:21 ID:dhiUX1y5
- 紫煙
- 304 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:29:22 ID:mq1vIkPF
- 隊員がその言葉に従ってパネルを操作すると、モニターに再び銀色の仮面が映った。そして、何事かと口を開こうとした男爵よりも早くカリグラが告げた。
「陛下ヨリ裁可ガ下ッタ」
それを聞いた一同は心底驚いた。こうも容易く皇帝より許可を取り付けたカリグラに対してである。
だが、唖然としている隊員を余所に男爵は、この男に付いて行けば更に出世出来る、と思いつつ静かに続きを待った。
「作戦決行日ハ2週間後トスル。コレヨリ情報ヲ流セ。餌ノ誘導ハ"アノ者"ニ行ワセル」
捲し立てるかのように告げるカリグラに対して、慌てた様子で副官が言葉を発した。
「お、恐れながら申し上げます。その日はカラレス総督が中華連邦の大使と会食する日となっており、その日に作戦となると――」
「ソレガドウシタ?」
カリグラが部下の言葉を遮った時、周囲に緊張が走った。モニター越しに伝わって来たそれは明らかな怒りだったからだ。更には、抑揚の無い声がそれを増幅させる。
だが、理由を問われたからには答えなければならない。副官は震える体を必死に押さえながらも何とか言葉を絞り出す。
「で、ですから、その日に作戦を行うとなると、万が一食いついて来た場合無用の混乱を――」
「アノ男ノ面子ナド無視シロ」
「は?」
一瞬、緊張を忘れた副官は惚けた表情を浮かべるが、カリグラは特に気にした様子も無く続ける。
「"カラレス"ナド、未ダニ残党ヲ捕ラエル事ガ出来ヌ無能者ダ。何故、私ガソノヨウナ者ヲ気遣ワネバナラナイ?」
仮にも総督という地位に居るカラレスを無能者と断じたカリグラ。それを聞いた隊員達は皆言葉を失ったが、
「Yes, My Lord!」
たった一人口元にあの笑みを浮かべた男爵がそう答えると、我に返った隊員達も皆それに習う。
「「「Yes, My Lord!!!」」」
それを聞いたカリグラは、仮面の奥で僅かに笑みを作ると部下の前に餌を釣り下げる。
「陛下ノオ言葉ヲ伝エル。成功スレバ地位モ名誉モ思ウガママダソウダ。命ヲ掛ケルニハ十分ダナ」
そう言い終わると、また一方的に通信は切られた。
―――――――――――――――――
- 305 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:30:58 ID:dhiUX1y5
- しえん
- 306 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:31:46 ID:798G7PeD
- 私怨
- 307 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:31:59 ID:86npUlhs
- しえん
- 308 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:32:38 ID:BsDPMAkf
- 私立アッシュフォード学園。そのクラブハウスの一室で、今宵もまた楽しげな兄弟の声が響く。
「ねぇ兄さん。そろそろ寝ないと明日の授業に差し支えるよ?」
淡い栗色の髪をした少年、ロロは自室の机に置いてある携帯をチラリと見ながら問い掛けたが、逆にそれを見逃さなかった漆黒の髪を持つ青年、ルルーシュは悪戯っぽい笑みを向けながら優しく返す。
「何だ?恋人からの電話でも待っているのか?」
からかわれているのは分かっていたが、突然だった為ロロは慌てた様子で否定する。
「そ、そんな人居るわけないじゃない!」
「ハハハッ!冗談だよ」
その様子が余程面白かったのかルルーシュはそう言って笑うと、少し臍を曲げた様子でいたロロの頭を軽く撫でる。
「それじゃあ、俺もそろそろ寝るかな」
撫でられた事で少し機嫌を良くしたロロではあったが、あくまでも確約を取り付けようとする。
「明日はちゃんとヴィレッタ先生の授業に出てね」
「やっぱりか。先生に言われたんだな?まぁ善処するよ」
「出ない気だね」
ジト目で抗議するロロに分が悪いと悟ったのか、ルルーシュは慌てた様子で撤退を開始した。
「あっ!兄さん!」
ロロからの静止にルルーシュはピタリと立ち止まると静かに振り向く。そして温和な口調で告げた。
「それじゃあな。お休み、ロロ」
「はい、お休み…なさい」
その声が余りにも優しくて、ロロは思わずルルーシュから確約を取り付けるという事を忘れてしまった。
そして、カチリとした音と共に扉が閉まるとロロは軽く息を吐いた。
先程の会話は実に他愛も無いものだった。だがそれでいて何故か暖かい気持ちになれるものだった。ロロは暫しの間、僅かに頬を緩ませてそれに浸っていた。
- 309 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:37:00 ID:BsDPMAkf
- だが、それは長くは続かなかった。突然携帯が震える音と共にロロの心からそれは消える。そして、ロロはそれまでの表情から一変して暗殺者のそれになる。
『私だ。ルルーシュについて変化は?』
携帯口から聞こえたのは自身に名を与えてくれたライの声。だがそれはルルーシュのものとは違い抑揚も温かみも何も無い凍てついたものだった。
昔のロロであれば特に気にもしなかっただろうが、今のロロはそれが酷く冷たいものだという事を感じ取るまでに成長していた。
だが、ライがロロにとって大切な存在である事に変わりは無い。ロロはたった今感じた思いを振り払うと同じく抑揚の無い声で応じる。
「いえ、今のところはこれといって……ですが、機情には変化がありました」
そういうとロロは昼間にヴィレッタより告げられた近々行われる作戦についての概要を説明した。
『そうか、では何があってもお前はルルーシュの傍を離れるな。C.C.が現れるとしたらその時をおいて他に無い』
ロロからの報告を受けたライは僅かに笑いを含んだ口調でそう告げる。すると、それを感じ取り少し不思議に思ったロロではあったが、敢えて尋ねる事はしなかった。
「はい、兄さ…いえルルーシュを盾にしてでもC.C.を仕留めます」
『そうだ。殺す事は不可能でも活動を止める事は可能だ。その後は速やかに拘束しろ』
それを聞いたロロは力強く答えると一つの疑問を口にする。
「はい。ですが、カルタゴ隊が先に仕留めた場合は?」
『始末するようにと命を受けているが、あの者達はC.C.が不死だという事は知らない。元々、学園に騎士団が乗り込んで来た時の事を考えての実働部隊だからな』
ライはそう前置きをした後、今度は傍目にも明らかに笑っていると分かる口調で告げた。
『放っておけ。C.C.がルルーシュを何よりも必要とするなら這ってでも向かうだろうからな』
その響きを嬉しく思ったロロは、ライからも聞きたいが為にあの言葉を発しようとしたがそれは叶わない。
「分かりました。それでは――」
『期待している。では』
一方的に告げられたその言葉から、ライが通話を切ろうとしているのを感じ取ったロロは突然声を荒げた。
- 310 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:38:00 ID:86npUlhs
- 支援
- 311 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:40:05 ID:BsDPMAkf
- 「あ、あのっ!」
だが、ロロの静止を待たずしてライからの通信は切れてしまった。
ロロは悲しそうな表情を浮かべると、携帯口から虚しく聞こえる音に対して伝わる事の無い思いを吐露する。
「…お休みなさい」
―――――――――――――――――
「10日後にルルーシュを奪還する」
C.C.の言葉を聞いたカレンは、逸る気持ちを抑えると努めて冷静に言葉を紡ぐ。
「やっと動く訳ね。待ちくたびれたわよ」
本人はあくまで平静さを保っていたつもりだったが、傍目にもその声は何処となく上擦っているのが分かる。
それを聞いたC.C.が微笑を浮かべると、カレンはばつの悪い顔をしながらも続けた。
「で、でも10日後は急過ぎるわ。準備は間に合うの?」
「死ぬ気でやればどうとでもなる」
あっさりとそう言い切ったC.C.にカレンは内心呆れながらもそれとは別に危惧している思いを語る。
「けど、学園に乗り込むんでしょ?それなりの準備は必要だわ」
そう、学園には生徒会で一緒だった仲間が居るのだ。
カレンはまた彼等を巻き込んでしまうという事を恐れていた。出来る事ならそれだけは避けたかったのだ。
あの時はゼロの命だったから従ったのだ。だが、C.C.相手なら遠慮する気はカレンには毛頭無かった。
だが、C.C.は再びあっさりと否定する。
「残念ながら学園では無い。そもそも、あんな所には行きたいとは思わない。蟻一匹入り込む事が出来ないからな」
そう、学園に敷かれた監視網は厳重過ぎたのだ。それはC.C.をもってしても舌を巻く程のものだった。C.C.は眉間に皺を寄せながら一枚の写真をカレンに手渡した。
無言で写真を受け取ったカレンは、それに目を落とすと疑問を口にする。
- 312 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:42:26 ID:dhiUX1y5
- しえん
- 313 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:42:28 ID:86npUlhs
- sien
- 314 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:43:42 ID:BsDPMAkf
- 「何処よ、ここ」
「新しく出来たビルでバベルタワーという。カジノやその他娯楽施設が入ってるそうだ」
それを聞いたカレンの目がスッと細められた。それは明らかに全てを理解している目だった。
「カジノってまさか――」
「ご明察。賭けチェスにでも行くのだろうな」
C.C.は飄々とした口調で返すが、それは火に油を注ぐ結果となった。
「あの男はっ!!私達の気持ちも知らずに優雅にチェスなんてっ!!」
カレンは勢いよく机を叩いて立ち上がった。が、C.C.はそんな彼女に対してあくまでも冷静に事実を告げる。
「おい、ルルーシュは記憶を失ってるんだぞ?」
「分かってるわよ。でも……何か許せないのよ」
その言葉に少し冷静さを取り戻したのか、カレンは渋々といった様子ではあったが認めると再びソファーに腰掛けた。
「フッ、ならそれは再開した時にでもぶつけてやれ」
それを認めたC.C.は少し笑った後席を立つ。すると、それを不思議に思ったカレンが問い掛ける。
「何処に行くのよ」
「他の者にもこの事を伝えに行く。特に、卜部には死に物狂いで準備してもらう」
C.C.がニヤリと笑いながら答えると、彼女の言わんとしている事に気付いたカレンも同じく笑いながら答える。
「そうね。これまでの失態を取り返してもらわないとね」
そして二人は最後にもう一度ニヤリと笑った。
―――――――――――――――――
- 315 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:46:05 ID:86npUlhs
- 支援
- 316 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:46:26 ID:BsDPMAkf
- C.C.が去り一人部屋に残ったカレンは先ほどの会話を思い出していた。すると自然と笑みを零している事に気付いたカレンは、その笑みを更に深くする。
「ねぇ、ライ。ルルーシュは変わって無いわよ。ほんと、相変わらずだわ」
居なくなってしまったライに対して柔らかく、そして囁くように告げると祈るように両手を胸元に持っていく。
そしてカレンは瞳を固く閉じると一転して真剣な面持ちでそっと指輪をなぞりながら、ライに届けと言わんばかりに願ったのだった。
「お願い、ライ。私達に力を貸して」
だが、彼女はまだ知らない。いや、仲間の誰もが知らないのだ。ライが生きている事を。
そして、ルルーシュとは違い記憶を失ったライが変わり果てた姿で自分達を待ち構えているという事を。
- 317 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/10(月) 00:47:32 ID:BsDPMAkf
- 以上で投下終了です。
カリグラはご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、気になる方はググってみるのも一興かと。
最後になりましたが、支援ありがとうございました。
- 318 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 00:58:34 ID:C6uLytV4
- >>279
余暇卿、GJでした!
ウー様のいい人っぷりに泣きそうになったぜ!
というか緊迫感の一切ないバトルw
……ヤヴァイ、次は真のカオスだwww
>>317
ライカレ厨卿、GJでした!
騎士団の面々は更に複雑な思いを抱えているようですね。
ロロは暖かさを知って、いや、暖かさを知ったからこそライの言葉に鋭敏になっていますね。
これは、やはり……ねぇ?
ライが生きている、しかし、見知らぬライとなっている。
それを知った面々はどの様な反応をするのか、不安でもあり、楽しみでもあり。
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 319 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 01:00:24 ID:dhiUX1y5
- >>317
投下乙でした
カリグラ怖いですね、何者なんでしょうか?
その一方で裏に色々あれど表面上は中の良いランペルージュ兄弟も出てきました
ロロの心中を二人の人物が占め始めていますがこれからどうなるのでしょうか
次回の投下をお待ちしています
- 320 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 01:28:48 ID:GkREY6Uo
- KOUSEI氏の投下は無いのだろうか?
- 321 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 01:37:37 ID:K2uWRBvW
- >>317
GJでした!ライとカレンのこれからが不安になりつつも、先が気になります。
>>320
そうゆうことは思っていても、口にはださない方がいい
- 322 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 07:44:54 ID:kwkD/W2W
- >>317
GJです!いよいよ本編突入ですか。
ライとカレンの行く末が気にかかりますね。カリグラも気になりますし。
次回も楽しみにしてます。
>>320
その発言がどんだけ顰蹙買ってるかいい加減気づけよ
- 323 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 09:03:05 ID:v16RRqLD
- 気長に待ちましょう。
- 324 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 09:46:32 ID:nKw1rz5H
- そうそう、今週は特番が入って休み。来週にご期待下さい!
ぐらいの気持ちで待ちましょう。
- 325 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 21:44:49 ID:pIt07sOs
- 誰も居ない?
投下、良いかな?
- 326 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 21:46:21 ID:Rjtzuaxq
- いますよー
- 327 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 21:46:35 ID:T5Fzrg7z
- いますよ。必要とあらば支援します。
- 328 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 21:49:39 ID:FW6xpIe8
- 支援します。何時ごろですか?
- 329 :風車 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 21:52:35 ID:pIt07sOs
- では支援お願いします。
・Nightmare of lie 一話 中編です。
・ライin悪夢版です。
・10+1レスの予定です。
- 330 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 21:53:23 ID:FW6xpIe8
- 支援
- 331 :風車 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 21:54:37 ID:pIt07sOs
- ああ、忘れてた。
22:00投下予定です。
- 332 :1/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:00:25 ID:pIt07sOs
- 「学生証と、生徒手帳?」
差し出されたそれを受け取り、ライはキョトンとした顔でミレイを見返す。
「そう、学生証は仮だけどね。
これで貴方はこの学園の生徒として身分が保障されるわ」
「あ…ありがとうございます」
「それと…」
「会長〜、制服持ってきました〜」
新品の制服と靴を抱えて女生徒が生徒会室に入って来た。
ストレートのロングヘアーの活発そうな少女だ。
「シャーリー、良い所で来たわ。それを彼に渡して」
「はーい、君がナナちゃんを助けてくれた人だね。
私はシャーリー・フェネット、ここの生徒会の会計をやってるんだ。よろしくね!」
「ああ、どっちが助けられたか微妙だが、よろしく」
向けられた屈託の無い笑顔に戸惑いつつ、制服を受け取りながらライは笑みを返す。
少々、ぎこちなくなってはしまったが……
- 333 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:00:55 ID:kj+80lkw
- 支援
- 334 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:02:29 ID:T5Fzrg7z
- 支援
- 335 :2/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:03:04 ID:pIt07sOs
-
第一話 中編
「あはは、そんな固い話し方じゃなくても良いよ」
「そ、そうか……あ、靴まで…」
一緒に渡された靴に気付き、ライは足元を見る。
借り物のスリッパにナナリーの兄の物らしい借り物の服、
最初に着ていた服は靴共々ボロボロで、もう使い物にならなくなっていた。
「本当に、何から何まで……」
「良いから、良いから、そんな事より着て見せて」
「サイズはルルと同じで良かったでしたよね。会長」
「んー、それで良いと思う。今の服がピッタリだし、どう?ライ」
試しに上着に袖を通してみる。そう言えばルルとは誰だろう?
話の流れから察するにナナリーの兄の様だが……
「ああ、ルルってのはルルーシュ・ランペルージ、ナナちゃんのお兄さんよ」
「今は本国に留学してるの」
「へぇ……」
- 336 :3/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:07:40 ID:pIt07sOs
-
どんな人なのだろう?背格好は自分と同じ様だが……
「でも会長、急な話ですよね?よくルルが受けましたね〜。
絶対ナナちゃんの側から離れないとか言いそうですけど……」
「え、それは…ええと……」
シャーリーの疑問にミレイの表情が変わった。
何か隠してる様な、話せない事情でもあるのだろうか?
「うん、サイズは大丈夫みたいだよ。ミレイさん」
二人の会話に興味はあったが、詮索はミレイに悪いと思い、ライはとりあえず割って入り話の向きを変える事にした。
「じゃあ、早速着替えてきますね」
「え、ええ、じゃあ、隣の部屋使って、こっちよ」
「あっ、会長〜」
ミレイに部屋の前まで連れていってもらう。
これで、この場の空気が少し位変わると良いのだが……
「すぐ着替えて来ますから」
- 337 :4/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:10:35 ID:pIt07sOs
-
そう言い残し、ドアを閉めて部屋を移り手早く着替える。
途中、廊下をバタバタと走る足音が聞こえたが、生徒会室の前辺りで消えた事から
遅れて来た生徒会のメンバーかな?
等と考えながらライは生徒会室に戻る。
「お待たせしました。
……変じゃないかな?」
「大丈夫、良く似合ってるわよ」
「うん、格好良いよ」
「へぇ、こいつが会長の言ってた記憶喪失君ですか?」
ミレイ、シャーリー、そして先程の足音の元らしい背の低い男子生徒がそれぞれ感想を言う。
「君は…」
「ああ、自己紹介まだだったな。リヴァル・カルデモンドだ」
「ライだ。よろしく」
彼も快活な、人好きのする印象だ。
自然に差し出された手を取り握手を交わす。
「で、貴方の明日の予定だけど…」
ここで、ようやく本題に入り、ミレイが書類をライに渡す。
- 338 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:11:21 ID:H6YGWOwG
- 支援
- 339 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:12:25 ID:H6YGWOwG
- ペースは・・・大丈夫かな。
もういっちょ入れときます
- 340 :5/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:13:47 ID:pIt07sOs
- 名前、身長、体重、血液型などの記入欄が並ぶ書類にライは首を傾げる。
「正式な学生証を作る為に必要なデータよ。
明日はそれを採らせて貰うわ」
と、病院のパンフレットも渡される。
一応、ライの素性は危険や不利益に繋がる可能性があるので、
この病院はミレイの実家の顔が利き、今はまだ外部に情報を洩らさないよう話は付けてあるとの事だ。
「病院へは……そうね」
うーん、と少し考える素振りをしたミレイはリヴァルに視線を向け、
「リヴァル、貴方に頼んで良い?」
「もっちろんです会長!このリヴァル・カルデモンドにお任せを!
明日もよろしくな、ライ」
「あ、ああ、頼む」
- 341 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:13:59 ID:H6YGWOwG
- 支援
- 342 :6/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:18:21 ID:pIt07sOs
-
何故か妙に気合いが入っているリヴァルにライは引きつつ、ミレイの方に向き直り。
「えーと、僕の事は今日の所それだけですか……
みんなは?」
「私達は生徒会の仕事よ」
「ルルーシュとカレンの二人抜けちまって、てんてこ舞さ。
全くルルーシュの奴、そういう予定は早く言って欲しかったぜ……
あぁ、儲け話が…ハァ」
溜め息を吐くリヴァルにシャーリーがジトリとした視線を向ける。
「リヴァル…貴方達まだやってたの?
そう言えば、カレンも大丈夫かなぁ……
また体の調子悪くしたらしいけど……」
「はいはい、無駄話はそこまで、さっさと終わらせましょう」
「「は〜い」」
- 343 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:19:22 ID:H6YGWOwG
- 支援
- 344 :7/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:22:31 ID:pIt07sOs
- ライは、無言でポケットに学生証と生徒手帳をしまい、空いてる椅子に座る。
「ライ?」
「何か手伝える事有りますか?
してもらってばかりじゃ申し訳ないですし……」
……結論を言えば、目一杯使い倒される事になった。
ほんの少しだけ後悔した。
まさかここまで遠慮無しに使われるとは……
正式な生徒会員でもないのに、重要そうな決済の書類まで回ってきたが、
本当に触っても良いものかと少し考えたが、
まあ、良いかとライは黙々とペンを走らせ続けた。
その中、気付いた事だが、
どうもキーボードを打つのは慣れてないらしい、すぐに指がつりそうにった。
それに比べると手書きの作業の方が断然早かった。
自分は今時珍しいアナクロな人間だったのだなと一人で感心してしまった。
- 345 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:23:07 ID:H6YGWOwG
- 支援
- 346 :8/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:26:58 ID:pIt07sOs
-
同時刻 シンジュクゲットー
「…はい、サザーランドのコクピットを発見、ログも回収しました。
しかし、目標は発見できませんでした」
閉鎖された瓦礫の街に一人の少女が携帯電話を片手に立っている。
戦場跡、その場に似付かわしく無い制服姿、
しかし、その表情は硬く、纏う空気は学生では無く兵士や戦士と言った方が良い。
「残されていたのは破損した仮面だけでした。ほかには何も……」
空いた手で足元の焦げ跡が付き半分に割れた仮面を拾う。
事前に渡されたモノと同じデザインの顔全体を覆うタイプの仮面、
捜索対象はこれが無いと能力を安定して使えないとの事だが……
周囲に該当する人物の死体も無い、どこかに逃亡したのだろうか?
足枷のある人造の能力者ならまずありえない選択肢だ。
前例はあるが、まともな考えではない。
原隊に帰還しようとするはずだ。
しかし、件の能力者は元々力を持っていた者を扱い易く精神を制御しただけ、
何かの拍子にそれが解けたのかも知れない。
なら、どこに逃げる?少女は思案する。
- 347 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:27:38 ID:H6YGWOwG
- 支援
- 348 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:33:08 ID:WGdyNw3A
- 猿の恐れあり、支援を支援
- 349 :9/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:33:23 ID:pIt07sOs
- 近隣のゲットー?
なら自分一人の手には負えない、範囲が広すぎる。
人数が必要だ。
表の部隊に真相を伏せて探させるしかない。不確実ではあるが……
では租界なら?
「租界の検問のカメラは?」
答えは少し間を置いて返って来た。
『それらしき該当が一件あった。これは……ほぉ……』
通信越しに忍び笑いが聞こえる。少女は不快から眉間に皺が寄るが……
『アッシュフォードだ』
「え……」
突然挙がった監視対象の名に目を丸くする。
『アッシュフォード家が保護をしている。
学園の生徒がゲットーで救助して、負傷していた実験体も学園で保護をした様だ。』
笑える位都合の良い展開だ。と忍び笑いが続く。
確かに監視対象が一ヶ所に集まっているのは任務に都合が良い。
しかし、危険はある。
自分にではない、大切な友達に実験体が危害を加えないという保証もない、今すぐにでも確認に行きたかったが……
- 350 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:34:19 ID:H6YGWOwG
- 支援
- 351 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:36:51 ID:WGdyNw3A
- 支援
- 352 :10/10 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:38:37 ID:pIt07sOs
- 『今日はもういい、帰還しろ。それに、手元に抑制剤はもう無いだろう?』
下った命令は非情だった。
「え…しかし……!」
『いらないのか?私は帰って来いと言っているんだが?』
抑制剤の無い人造ギアスユーザーの末路は遠からず苦しみ抜いた末、体組織が崩壊し死体も残らず崩れ去る。
しかし、抑制剤はそれを遅らせる事が出来る。
それでも使い捨ての飼い犬の首輪として十二分に機能する。
「分かり…ました……帰還します」
少女は携帯を切り、奥歯を噛み締めアッシュフォード学園のある租界を見上げる。
力を手に入れた事を後悔はしていない。
しかし、今の様に護りたい人の傍に駆け付ける事が出来ない自分の立場に悔しさを感じる。
これでは無力だった時から何も変わらない。
「ナナリー……!」
少女は親友の名を呟く、
今、彼女に出来るのは、実験体が学園で能力の暴走などさせない事を祈るのみだった……
- 353 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:39:19 ID:zK5UnfrB
- 支援
- 354 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:39:58 ID:WGdyNw3A
- 支援
- 355 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:43:03 ID:WGdyNw3A
- 支援
- 356 :風車 ◆zwLUq6k8oM :2008/11/10(月) 22:43:57 ID:pIt07sOs
- 以上です。
支援ありがとうございました。
相変わらず新しいキャラ出す度にらしく書けてるか不安で胃が……
改変したライの能力を考えたけどルールの設定が難しい……
- 357 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:51:28 ID:H6YGWOwG
- >356
おつかれさまでした!
まだ序章・・・これから起こる事態の胎動にドキドキと。
ライも、抑制剤を必要としているんでしょうか?
アリスのいる世界で、ライとナナリーはどういった関係を築いていくのでしょう。
風車さんの作られるギアス世界、楽しみにお待ちしています。
- 358 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:51:45 ID:hvRNrLGn
- >>356
ナナナ読んだ事ないんだが、乙でした。
キーボードを打つのは慣れてないらしい の件は、着眼点に感心してしました。GJ!
- 359 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 22:57:51 ID:FW6xpIe8
- >>356
乙です。まだ序盤なので展開が読めませんが…。あのお方の登場はだいぶ先っぽいですね。
- 360 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:02:28 ID:AtbX9GFm
- >>356
GJでした!
展開が非常に原作と異なるナナナ世界で同じく設定も異なるギアスユーザーなライ。
非常に続きが楽しみです。
ナナリーと、そしてアリスをはじめとするイレギュラーズ達は彼とどう接触するんでしょうか。
そしてやはりナナナのzero、もやしでなくマッチョとの邂逅も別の意味で楽しみですwww
- 361 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:06:54 ID:ZshIDZ/u
- 投下していいかな?
- 362 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:10:14 ID:dhiUX1y5
- 支援しませう
- 363 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:11:34 ID:ZshIDZ/u
- では支援してくれるとのことで投下します
「セシルさん奮闘記」の続きです
カップリングはライ×セシル
注意点は基本的にギャグですので寛大な心でお願いします
では投下
- 364 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:12:55 ID:ZshIDZ/u
- ここは特派の研究室。
「〜♪〜♪」
夜も遅くに、テンポのよい包丁の音と共に響くご機嫌なセシルの鼻歌。
背後から見るとまるで幸せな新妻のようであった。
切った野菜を鍋の中に入れるセシル。
好きな人のために料理を作る今のセシルは幸せであった。
もちろんその料理を食べる相手が幸せかどうかは別である。
「よし、下拵えは完了」
野菜に火が通ったのを確認し、セシルは鍋に蓋をした。
ガス台の火を消すとセシルは今にも踊り出したい気分を押さえ、帰り支度を始めた。
「ライ君、明日も喜んでくれるかしら」
明日もではなく明日は、なのだが今のセシルは気づいていない。
今まで褒められた味の料理が出たことは一度もないのにセシルはそれに気がついてないからだ。
「明日が楽しみ」
そんなことはお構いなしにセシルは上機嫌のまま帰宅して行った。
そして次の日
- 365 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:13:16 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 366 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:14:43 ID:ZshIDZ/u
- 「ねぇ、スザク………僕達は……どうしてここに居るんだろうね」
儚げな瞳で遠くを見つめながらライは独り言のように呟いた。
「ライ………気持ちはわかるけど現実を見た方がいいよ」
諦めたようにため息混じりでスザクは呟いた。
今は昼。
セシルの笑顔に押し切られたライとスザクの2人は、セシルが前の日から仕込んでいたという料理を昼食としてご馳走されることになり、迫り来る恐怖に怯えながら特派の研究室の机に座っていた。
ちなみにロイドはお昼休みになった瞬間にセシルが口を開くよりも早く、研究室から走り去って行った。
「その気持ちは嬉しいんだけどな…」
ライが少し視線をそらすとそこには嬉しそうに持参して来たガステーブルを使って鍋を温めているセシルの後ろ姿があった。
「でもなんだか嬉しそうだねライ」
スザクの一言にライはキョトンとした。
「嬉しそうな顔してた?」
「うん、今すごく幸せそうな顔をしてたよ」
スザクに言われ、小恥ずかしそうにライは頬を染めた。
「そ、そうかな」
照れ隠しにライはスザクの視線から顔を背けた。
そんなライの仕草を見てスザクがクスリと笑った。
「む、なんだいスザク。その顔は」
- 367 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:15:33 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 368 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:16:15 ID:ZshIDZ/u
- 気に入らないようにライが言うとスザクは笑いをこらえ、にやけた表情で謝る仕草をした。
「ごめん、ごめん。なんかライが可愛かったから」
おかしそうに言うスザクを見て、そういうことは女性に言ってくれ、とライは思った。
そんな和やかな雰囲気の中、ほのかなカレーの匂いが流れて来た。
「カレー?」
「カレーだね」
感じたままの感想を口走る2人。
その言葉にはどこか安堵感があった。
「カレーなら失敗はないよね」
「そうだね。カレーなら大抵のものを飲み込むからね」
声にこそ出さないが助かったと喜ぶライとスザク。
だがその時、2人の喜びをかき消すかのように青臭い臭いが流れてきた。
「く、臭っ! 青臭い!!」
「こ、これはカレーとは別の鍋からみたいだね」
ビクビクしながら調理中のセシルを見る2人。
「出来たわよ〜♪」
すると丁度タイミング良く料理が完成したらしく、満面の笑みでセシルが振り返った。
その優しい笑みを見たスザクとライは硬直した。
「どうしようライ……天国と地獄だよ」
「いや、スザク。今日は天国があるだけましだよ」
- 369 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:17:34 ID:dhiUX1y5
- 支援
- 370 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:19:32 ID:ZshIDZ/u
- ヒソヒソと小声で話す2人。
ちなみに天国と地獄の意味は天国=カレー、地獄=いつものセシルの料理である。
「はい、どうぞ。2人とも」
そんな2人を気にも止めずにセシルは、小さめの丼に盛り付けられ、料理を2人の前に並べた。
丼の中身を見て2人は思わず凝視した。
丼の中身には冷麺だった。
ただし、スープが青汁で麺の上に粒あんをかけたという破天荒な冷麺だった。
「…………これは」
「…………健康には良さそうだね」
チラリとライはスザクを見るとスザクの瞳が紅く輝いていた。
ゼロにかけられた生きろのギアスが反応している証拠である。
「さあ、どうぞ2人とも」
セシルの笑顔に後押しされ、2人は恐る恐る料理に箸をつけた。
「! 俺は生きる!!」
案の定、スザクにかけられたギアスが発動した。
「させるか!」
スザクのギアスが発動と同時にライの瞳に紅く輝く鳥のような紋章が浮かび上がった。
「ライが命じる、彼女の料理の前ではそのギアスに逆らえ!」
逃がしてたまるか。その一心でライは親友にギアスをかけた。
「ハッ………僕は一体…?」
- 371 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:21:13 ID:ZshIDZ/u
- ギアスをかけられたスザクが我に返ると、何が起きたかわからず呆然と立ち尽くして、辺りを見渡していた。
「な、何今の………?」
「別になんでもありませんよ。ちょっとしたおふざけですよ」
目の前の出来事に何が起きたのかわからず目が点になるセシルにライは何事もなかったかのような説明で誤魔化した。
「まあ、とにかく食べようかスザク。だって僕達は友達だろ?」
冷たい笑みでスザクに微笑むライ。
その様子を見てセシルは友達と料理が何か関係があるのかしらと首をかしげていた。
気を取り直し、恐々と青汁冷麺(アンコがけ)を口に運ぶ2人。
その感想は…?
「「ブフッ!」」
とりあえず吹き出した。
「もう2人して……ダメよ慌てないでゆっくり食べてね」
布巾を出して飛び散った汁を拭きながらセシルがおかしそうに笑った。
急いで食べて2人がむせてしまったと勘違いしてしまったらしい。
(これは……青汁の苦味と強烈な青臭さが麺に絡み合った粒あんとマッチして…)
(………味、食感共に酷いね)
口には出さず、互いの目だけで会話をする2人。
「そうそう、忘れてたわ。これをお好みでかけてね」
- 372 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:21:24 ID:dhiUX1y5
- 親友を逃がさないためにギアス…親友(笑
- 373 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:22:53 ID:ZshIDZ/u
- そんな2人の苦しみなど知らず、セシルは笑顔でタバスコを差し出した。
これ以上混ぜろと?
ライとスザクは心の中で言った。
「い、いえ、僕はこのままで満足です」
「そう? でもこれをかけたらまた違った味わいが…」
セシルがスザクにタバスコを薦めてる間にライは無理矢理青汁冷麺を口の中に押し込み完食をした。
「さあさあ、かけてみてスザク君」
(これが…俺の罪なのか?)
結局タバスコを2ビン分入れられ、涙目になりながらスザクも完食した。
「どうだったスザク?」
「辛味も入ってある意味冷麺には近くなったよ」
セシルが次の料理を持って来る間、そんなことを話しているとセシルが次の料理を持って来た。
「はい、次はこれよ」
次にセシルが用意したのはざるそばだった。
何故、麺の次が麺?などライは思ったがざるそばなら大丈夫かとホッと一息ついた。
だがその考えが甘かった。
2人がそばを箸でつかみタレにつけたその時だった。
「………あ、あれ」
「………麺汁じゃない?」
タレをくぐらせると明らかに妙な色になったそばを見て2人は硬直した。
- 374 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:23:48 ID:AtbX9GFm
- まさにギアスの無駄遣いwww支援
- 375 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:24:50 ID:ZshIDZ/u
- 「フフ、それね。普通の麺汁じゃ面白くないと思ってライ君にはチョコレートソース。スザク君にはメイプルシロップにしてみたの」
悪意のない煌びやかな笑顔で笑うセシル。
ライはチョコレートソースまみれになったそばを眺めながら何故面白さを求めたんだろうなと渋い表情になった。
そんなライを横目に、一度深呼吸をして覚悟を決めたスザクはメイプルシロップのそばを一気にすすった。
それを見たライもスザクに続いた。
その味はまさしく間違いの一言。
涙を浮かべ、2人は無言のまま天井を見上げた。
涙が零れないように…。
「どう?」
そんな2人を見て感想を求めるセシル。
「どうして出会ってしまったのだろう…………そう考えさせられる味です」
遠回しにそばとチョコレートソースは合わないと伝えるライ。
その視線は未だ上を向いたままだ。
「もう、ライ君ったら大袈裟よ。そんな深い味わいだったのかしら」
だがライの意図は伝わらず、セシルは照れながらライの肩を軽く叩いた。
(嫌、深い味わいじゃなくて、不快味わいです)
我ながら上手いことを言った(思った)とくだらない洒落に自画自賛をするライであった。
- 376 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:26:41 ID:dhiUX1y5
- ダメだこの連中ww支援
- 377 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:26:55 ID:ZshIDZ/u
- 「それじゃあ次はメインディッシュね」
そう言うとセシルは席を立った。
「待ってスザク。麺って普通主食だよね」
「きっとセシルさんの基準だと前菜なんだよ。海外だとお米が野菜なとこもあるし…」
セシルに聞こえないようにひそひそ話す2人。
「フフフ、それじゃあ、お待たせ〜♪」
2枚の皿を持ってセシルが戻って来た。
中身はカレーらしく、周囲にカレーに匂いが漂い始める。
だがスザクとライはある違和感に眉を釣り上げていた。
「何故……カレーと一緒に甘い香りが…」
「きっと蜂蜜を入れすぎたんだよ……ハハ」
ライが小声で言うとスザクは引きつった笑顔を見せた。
「はい、どうぞ」
2人の前にカレーの入った皿が並べられた。
そのカレーに中身を見て2人は驚愕のあまり声を失った。
なんとカレーの中にマシュマロが入っていたのだ。
熱々に温められたカレーの中でプシュプシュという音とともに形を崩し、甘い水飴のような匂いがカレーの匂いとともに部屋の中に充満した。
よく見るとキャルメラのようなものやラムネ菓子のような物までカレーの具の中に混じっていた。
- 378 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:27:03 ID:rmJQLCPT
- だれが旨い、いや上手いこと言えとw>不快>>>支援
- 379 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:36:16 ID:FW6xpIe8
- しかし、名古屋だと確かこのそばに似たスパゲティがあったはず。抹茶味だったかな?
支援
- 380 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:39:06 ID:hvRNrLGn
- 支援
- 381 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:45:12 ID:hvRNrLGn
- 感想の前に、支援してたんだが、IDが変わった。
なんか、支援だけで感想書いてないみたいでヤダな・・・
- 382 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:46:12 ID:ZshIDZ/u
- 「これね、カニの身をほぐして煮込んだカレーの中に蜂蜜の変わりにマシュマロやキャルメラを入れてみたの」
嬉しそうにカレーの説明をするセシル。
無駄にカニを使うあたりがセシルクオリティである。
「さあ、食べてみて2人とも」
セシルに言われとりあえずスープンでカレーをすくいライはスザクの方を見た。
スザクの目が紅く輝き、体が痙攣のようなものを起こし、それでもなお、スザクはスープンにすくったカレーを眺めている。
恐らく、ゼロがかけた生きろのギアスとライのかけたギアスがスザクの中で戦っているのだろう。
「スザク! もう少しだ頑張れ!」
そんなスザクを見てライが激励の言葉をかけた。
「ライ………わかった!」
ライの励ましにスザクはゆっくりと自分の口にスープンを運んだ。
その様子を見てライも自分の口にスープンを運ぶ。
(頑張れって何を頑張るのかしら?)
そんな中セシルは1人、ライのスザクへの励ましを聞いて、もしかしてスザク君はカレーが苦手なのかしらと首をかしげていた。
「…………!」
「…………!」
カレーを口に入れたライとスザク。
「「ーーー!!」」
声にならない2人の悲鳴が周囲に響いた。
- 383 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:47:54 ID:3Ow4pLoe
- >>379
いちごもある支援
ttp://park7.wakwak.com/~nymidi/mountain/photo/ichigos.jpg
- 384 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:48:19 ID:pATvzzj+
- 支援
- 385 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:48:49 ID:ZshIDZ/u
- その後、ロイドの都合により午後の作業は無くなり、ライとスザクの2人は具合の悪い胃を押さえ、机の上に倒れこんでいた。
「生きてるか2人とも?」
そんな2人の様子を見に、元気はつらつなノネットが研究室の戸を開け入って来た。
「生きてます……一応」
「かなりしんどいですけどね」
覇気のない2人の声を聞いてノネットは苦笑いを浮かべた。
「ほら、胃薬だ」
胃薬のビンを机の上に置くとノネットはキョロキョロと辺りを見渡した。
「ロイド伯爵が留守なのは知ってるがセシルはどうした?」
「外出中です。あ、胃薬ありがとうございます」
薬のフタを開けながら言うライの答えを聞いて素っ気なく手を振るノネットだったが、ここであることを思いついた。
「そう言えばライ。お前好きな女性が居るんだってな。誰だ?」
あまりにストレートな質問にライは口に含んでいた胃薬とミネラルウォーターを吹き出した。
以前セシルに恋愛相談されたノネットは、ライに思い人が居るのを知っていた。
そこでノネットはセシルが居ない内にそれが誰なのかを聞き出して、それを元にセシルにアドバイスしてやろうと考えたのだ。
「い、いきなりなんですか!?」
- 386 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:50:06 ID:hvRNrLGn
- 久し振りの誤字指摘支援
>>382
キャルメラ→キャラメル
スープン→スプーン
- 387 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:50:32 ID:ZshIDZ/u
- 突然の不意打ちに顔を真っ赤にしてライは言った。
「そういえばユフィもそんなこと言ってたね。誰なんだい? 僕の知ってる人?」
「な、スザクまで!」
真っ赤になって焦るライをノネットは後ろから覆い被さるように抱きしめた。
「の、ノネットさん……?」
突然抱きしめられたライは背中に当たる柔らかい感触と首筋に触れる吐息のせいで固まって動けないでいた。
「ほら、逃げられないぞ。白状しちゃえ」
落ち着いた静かな口調でノネットは囁いた。
「な、なんでそんなことを言わな……っきゃ!?」
ライの言葉が終わる前にノネットは後ろからライの首を締め付けた。
その様子を見ていたスザクは一応ノネットを止めようとするがセシルの料理で弱っているためか、なかなか口に出せないでいた。
「フフン、拒否権はないぞ。だって私はナイトオブラウンズだからな」
何がだってなのかわからないがノネットはやたら自信満々に言った。
「わ、わかりましたよ。白状します!」
- 388 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:53:20 ID:ZshIDZ/u
-
「もう、ロイドさんったら突然シュナイゼル殿下のとこに行くなんて………せっかくロイドさんの分も取って置いたのに…」
丁度そのころ、突然シュナイゼル殿下のとこに遊びに行って来る。という置き手紙を残して居なくなったロイドへの文句を言いながら、セシルは廊下を歩いていた。
「わ、わかりましたよ。白状します!」
「言ったな、なら答えてもらうぞライ!」
研究室の近くまで来ると、少し開いたドアの隙間からライとノネットの声が漏れてきた。
「あら、ノネットさん来てたのかしら」
せっかくだから一緒にお茶でもしようとセシルがドアノブへと手を伸ばしたその時だった。
「せ、セシルさんです」
ピタリとセシルの手が止まった。
「「え?」」
扉の向こうではスザクとノネットもセシルと同じように固まっているらしく2人の呆けた声が扉の隙間から漏れていた。
「え、本当に…?」
「い、いけませんか。セシルさんから見たら僕なんか恋愛対象にならないでしょうけど……それでも好きになるくらいいいじゃないですか」
照れを隠すようにやぶからぼうな口調でライは言った。
「少し、驚いたよ。ライってセシルさんのこと好きだったんだ」
- 389 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:54:01 ID:hvRNrLGn
- そろそろ限界、最後?の支援
- 390 :萌は文化:2008/11/10(月) 23:55:38 ID:ZshIDZ/u
- 「うん、ノネットさんもびっくりだ」
ライの告白に驚くスザクとノネットだがそれ以上に驚いていたのは部屋の外に居た。
「え…ライ君が私を……え、え? ど、どういうこと…!?」
顔から湯気が出そうなほど顔を真っ赤にして口をパクパクさせながらセシルは1人錯乱していた。
「ライ君が……私のことを……す、好きって…」
好きな人がいるというのは知っていたがまさかそれが自分だとは思っていなかったセシルは恥ずかしいながらも嬉しい。だがどうすればいいかわからずセシルは今はただただ赤くなっているだけであった。
- 391 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:59:19 ID:pATvzzj+
- 支援
- 392 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/10(月) 23:59:21 ID:3Ow4pLoe
- 支援を兼ねて気になったので形容詞ミス指摘
>>388
やぶからぼう → ぶっきらぼう
- 393 :萌は文化:2008/11/11(火) 00:02:20 ID:TzHcUWy9
- 以上で終了です
途中で規制にかかってしまってすいません
今回で完結予定が終わりませんでした
料理は前回に引き続き元ネタは実体験からです
マシュマロ(+α)カレーは人を殺せると思いましたよ
何げにこれで投下50作品目みたいです
質より量ですね私は
>>386
誤字指摘ありがとうございます
では支援ありがとうございました
- 394 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 00:03:42 ID:aft5C0jf
- 笑い死なないために誤字指摘
>>382
スープン → スプーン
支援!
- 395 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 00:05:31 ID:TzHcUWy9
- あ、失礼しました
>>392>>394
も誤字指摘ありがとうございます
駄目だな私orz
- 396 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 00:12:21 ID:aft5C0jf
- 萌は文化卿、ぐぐぐぐぐぐぐGJ!殺す気ですね!実体験のお裾分け!
深夜に爆笑する訳にもいかず、枕を抱えてのた打ち回りました!
気が付いたら半分かた食ってましたと言っても今なら信じて貰えるだろう!
たぶんそれでもライたちよりダメージは少ない!
……ああ、マジで苦しかった。残り半分の枕を抱えて腹筋を癒します。
リロードミスで要らん指摘、失礼しました。
- 397 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 00:37:10 ID:So36ipDA
- >>356
風車卿、GJでした!
ナナナの世界において、ライが今後どの勢力に属することになるのか非常に楽しみです!
……ん? 軍はダメっぽいか。
そして、やはり最も気になる魔王様!
彼を見てライが抱く感想がめちゃくちゃ気になるのでした!
>>393
萌は文化卿、GJ&乙でした!
またしても実体験だと!?
恐るべし、謎料理!
カレーを持ってしても攻略不可とはッ!
そして、ギアスの大安売りに吹きましたw
そして、ラストに衝撃の展開!
貴公らの次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 398 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 04:00:52 ID:Aq1FqGbh
- 風車卿、乙であります!
ナナナverのライ君。元ネタはあれほどハッチャけていますが、どれほどのものでしょう?
っつーか、ルルやスザクみたくやはりワイヤードなのでしょうか?
萌は文化卿、GJです!
これ読むだけでお夜食一食分が浮きますよw・・・マジで胸焼けしてきた。
次回のレシピも期待しておりますww
- 399 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 05:13:47 ID:pnpYF5pa
- 相変わらずギャグのセンスが素晴らしいですww
プシュプシュの音がリアルで前に食べた時を思いだしましたマシュマロが熱すぎて火傷したんだよなぁ・・・
- 400 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 06:28:53 ID:38rAfdsW
- ラクシャータのファミリーネームは
×チャウダー
○チャウラー
- 401 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 06:54:33 ID:THLZnS5r
- >>400
いきなりどうした?
- 402 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 07:53:41 ID:q0Qv208r
- 保管庫のトップ見てみ
- 403 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 08:52:41 ID:So36ipDA
- 理解は幸せ
でも、メール欄に書かれても分かりにくいです。
- 404 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 12:19:42 ID:YGEKlz4F
- チャウダーウマウマ
ラクシャータもの何か書いてみようかな
- 405 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 13:21:24 ID:GpDTkNXX
- 期待してます!
- 406 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 14:45:53 ID:aft5C0jf
- どなたかいらっしゃいますか?
- 407 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 14:51:18 ID:K+EKWpZl
- imasu!
- 408 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 14:51:36 ID:s1+WtX18
- はい。
エラーが出るようなので不安ですが、極力支援します。
- 409 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 14:53:23 ID:aft5C0jf
- ありがとうございます!
と言いつつ相談なのですが。
18レス行きそうなバカ長い代物です。
支援も大変なので、宜しければ半分ぐらいで切って、残りは後で…とも考えています。
ご都合、いかがでしょうか?
- 410 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 14:55:41 ID:s1+WtX18
- 携帯なので、猿と地下鉄入らなければ時間はOKです。
- 411 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 14:58:32 ID:aft5C0jf
- 支援表明ありがとうございます。では、15:00より投下します。
タイトル:Intermezzi #4〜ピンク・ハリケーン〜
ジャンル:ギャグ
カップル:ライ×ナナリー
保管庫0030-0381「Intermezzi #3〜ピンク・タイフーン〜 」の続きです。
・純血派編と学園編を並行→新シナリオへ?という展開です。
・なのでライはルルーシュ=ゼロを知りません。
・ただしスタート地点でルルーシュは利用を考えクロヴィスを殺していません。
(公式記録上で死亡とされ本国へ帰っており、以後の展開は同じですが)
・両シナリオ終焉のギアスの暴走やテロリストの襲撃は無かったものとお考えください。
・アニメを含む公式ネタが若干入ってます。
ナナリーの「優しい世界」実現のため、ひたすら和平路線でルルーシュの復権を
目標とするライのドタバタ風味の日常風景です。
既にジェレミアをルルーシュに引き合わせ、兄妹の騎士同士となる筈なのですが、
イレギュラー相次ぎ、純血派シナリオ本編以上にライの苦労が続いています……。
※今回のキーアイテムが直前作品とカブっているのは偶然です。
しかし、萌は文化卿のお許しが戴けるなら「運命の黄色い糸が足の小指に繋がってる」と主張します。
- 412 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:00:51 ID:s1+WtX18
- 支援
- 413 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:02:20 ID:aft5C0jf
- ユーフェミア皇女殿下……いや、ユフィ・エニアグラム嬢の学園生活は、意外と平穏に続いていた。
**********
08:30皇女殿k(二重線で消し)エニアグラム嬢、寮より登校。枢木k(二重線)君と歓談。
09:00副総t(二重線)エニアグラム嬢、1限目受講。隣席の枢木君とテキストを共用。
09:50ユーフェm(二重線)エニアグラム嬢、休み時間。枢木君と歓談。
10:00エニアグラム(二重線引きかけて中止)嬢、2限目受講。
ペンを落とし、担当のギルフォードk(二重線)先生を制しご自身で拾おうとされるも枢木君と鉢合わせ。
※枢木君の反応が遅すぎる。何故先んじて拾って差し上げない。
↑分かってらっしゃいませんね:VN←何だと?どういう意味だ!:JG←交換日記ですかコレ:LL
10:50エニアグラム嬢、休み時間。枢木君に手を振ってご学友と更衣室へ。
以後の監視はヴィレッタ先生に引き継ぐ。
11:00エニアグラム嬢、3限目。ナイトオb(二重線)エニアグラム先生《ややこしい!》の体育。
エニアグラム先生と組体操。ともに女生徒の羨望を集めた由。詳細不明。
11:50エニアグラムj(二重線)《間違った!》エニアグラム嬢、昼休み。枢木君と会食。
枢木君、購買で先陣切ってサンドイッチを買い込み、他学生のブーイングを浴びるも気付かぬ模様。
エニアグラム嬢、枢木君と二人、庭園で敷物も無しに地面に座られる。
ギルフォード先生が諫言もとい注意しに向かおうとするもダールトン先生が制止。以後特に問題なし。
**********
以上、ジェレミア先s(二重線)《って僕も間違った!》卿のメモより。ほぼ毎日、こんな調子だ。
もちろん他の生徒たちとも交流しているし、ノネットさnいや姉上(仮)と連れ立って街へも出かけたりして、普通の女の子暮しを満喫しておられる。
庶民の日常を知るには平穏無事な生活こそが相応しいのかもしれないが……特区日本の統治とか管理とか、どうなっているんだろう。
- 414 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:09:44 ID:s1+WtX18
- 早々に連投規制に。すみません
支援
- 415 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:11:35 ID:aft5C0jf
- 以前、手伝ってくれる人が居ると言ってたけど、ぶっちゃけ、それ、ルルーシュじゃないのか。
このあいだから殿下の独断先行をぷんぷん怒りながら、部屋で端末を叩きまくっているんだが。
何によらずやりだすと凝るほうだから、必要以上に授業をサボってのめりこんでる。
おかげで僕も、警護任務の傍ら代返その他で大忙しなんだけど、どうなんでしょう皇女殿下。
これって特派の仕事じゃないから、手当とか……出ませんよね、やっぱり。
とはいえ無給で深夜まで残業、じゃなかった頑張っているルルーシュを思えば、そうも言っていられない。
クラブハウスへ帰るとその日の報告がてら部屋へ行き、くたびれ顔を見て手伝おうかと申し出た。
「いや、もう粗方終わった。後は黒の……」
「黒?」
「いや、何でも無い。それより相談に乗ってくれないか。お前の意見が聞きたい」
真っ向からこう言うのは珍しい。たいてい一般論に見せかけたり、会話に紛らせたりしがちなんだが。
小さい頃から自分の判断だけで生きてきて、それをなかなか変えられずにいる彼だから、これはよほど困っての事だろう。
「オレ……いや、ジェレミアの事なんだが」
「今、オレンジって言いかけたな。やめろよ?」
あの人にしてはよく我慢してるけど、やっぱり時々抑えきれずに爆発してると言うと、ルルーシュは後ろめたそうに「いや、つい癖で」と言った。
いつどこで付いたんだそんな癖。
「ライ。率直に言う。おれは、あいつをどう扱っていいか分からない」
長い睫の下で、紫の瞳が揺らいでいる。
「おれはこれまで臣下など持ったことがない。小さい頃は侍従や侍女がいたが、おれに忠誠を誓う、おれだけの臣下など初めてだ。どう接したらいいのか」
「普通でいいじゃないか。最初に会った時だって、君はそのままで話していた」
「そうか。だが、あれからいろいろ考えたら、何か違っていたような気がしてならないんだ」
ふっと視線が遠くなった。
- 416 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:13:19 ID:s1+WtX18
- 支援
- 417 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:16:16 ID:aft5C0jf
- 「なあ、ライ。おれの騎士になるという事は、ええと、つまり、あいつはおれのなんだよな!このおれ個人の!おれだけの!」
「……ルルーシュ。今頃になって嬉しくなってきたんだな、要するに」
「う、うるさいな!初めてなんだから仕方ないだろう!」
高笑いしだす前に話題を変えよう。もう寝てるとは思うが、ナナリーや咲世子さんに聞こえたら変に思われる。
「で、その騎士たる相手に対して、自分をどう見せたいかって事なんだろう。全く、いいかっこしぃだな」
今さら取り繕っても仕方ない話だ。そもそも今、ジェレミア卿が悩んじゃってるのは、君が子供の頃にした貧乏生活に始まってるんだから。
君としては絶対に、そんな事知られたくなかったんだろうけど。
「苦労したのは事実だが、それで心を痛められても対処に困るんだ。こういう場合、どう言ったら解ってもらえるだろう」
大概の事は察するナナリー以外との関係が乏しかったルルーシュには、相手を説得するとか慰めるとかいうスキルが些か乏しい。論破ならお手の物だが、この場合は使えない。
だがそれで悩むところが可愛いものだよな、と思って顔を見ると、凶悪な目つきで怒っていた。前言撤回。
「……スザクの奴っ!」
「今さら言っても仕方ないだろう」
過去の件も、発端はどうあれ、君が身に着けたことが優れていると思ったからスザクは語ったのだと思う。
人の持つ色は、真正面から向き合ったら偽れるものではないだろう。
ありのまま、君がしてきた事にちゃんと意味があると解って貰えばいい筈だ。
僕がそう言うと、ルルーシュはようやく覚悟を決めたのか「やはりそれしかないか」と頷いた。
「じゃ、明日の夜、連れて来ていいな?」
「……そうだな、とりあえず試作の時間も欲しいし」
何のだと訊ねかけた時、端末の画面が目に入った。特区警備に採用する「日本人」人員についてだが、どうも数字がおかしい気がする。
「ルルーシュ。ここ、変じゃないか?」
「ん?いかん、これは最初の想定が間違っている!やはり手伝ってくれ、ライ!」
- 418 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:18:34 ID:s1+WtX18
- 支援
- 419 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:21:34 ID:aft5C0jf
- 翌朝さっそく問題の騎士(予定)ジェレミア卿ご本人に話を持っていった。
殿下に要らぬお悩みをとか、それでもお心をかけて戴けたとは身に余る栄誉だとか、例によってひとしきり賑やかな反応があった。
「よく伝えてくれたな、ライ卿!」
ルルーシュの様子を聞けただけで嬉しそうで、いつもに増して勢いがある。手を掴まれてぶんぶん振られたが、僕は眠くてそれどころではなかった。
「どうした!元気が無いぞ!よし、全力で発声!」
「オールハイルは止めましょう、学校では変に思われますから」
「……仕方ないな。それにしても、どうしたのだ?」
「昨夜遅くまでというか今朝早くまでルルーシュと作業してたんです。も、寝不足で……」
「そういえば殿下をお見かけしないな。遅刻か?」
サボってますと言うと、いかにも不本意そうに表情が難しくなった。
「軍の皆さんが大勢いるので、万一を考えてです。それにユーフェミア殿下もスザクも……なんというか、天然ですから」
うっかり口を滑らせたり、うっかり口を滑らせたり、うっかり以下略ってことは避けたい。
その種の危険度の高さではかなりなジェレミア卿でさえ、今のスザク相手では足元にも及ばない気がする。
毎日顔を合わせる度に幸せ度数が上がってて、いまや口から出るのは約80パーセントが「うんユフィ」「そうだねユフィ」だ。アーサーのほうがまだ役に立つかも。
「しかし、よもや授業について行けなくなりはしないか。ノートでもお取りしようか」
「他の先生の授業に貴方が出てどうするんです。僕がやります」
「クラスでの役割や当番もあるだろう」
「先生がするのは変でしょう。僕がやります」
「生徒会の仕事は?」
「もともと僕がほとんど代わってます」
ジェレミア卿は、まじまじと僕を見た。
「よくやっているな、ライ。昼食でもおごろうか」
労ってくれるのはこの人だけか……嬉しいような悲しいような。
「何も涙ぐまなくてもいいだろう。もう腹が減っているのか?」
「確かに朝は食いっぱぐれましたけど、そんなことで泣きませんよ」
- 420 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:38:10 ID:aft5C0jf
- 朝ごはん……食べたかった……ナナリーと。せっかくクラブハウスで過ごせてるのに、何が悲しくてルルーシュと徹夜仕事なんだ。
思い出したら空腹そのものも切なさ倍増になってきた。
「よしよし。ほれ」
ジェレミア卿は紙袋をくれた。大き目のデニッシュペストリーが幾つも入っている。
「早く出て租界を通りがけに買ってきたのだ。焼きたてで美味いぞ!」
教職員のミーティングに出なくてはと一つ頬張り駆けていく後姿を見送って、僕はそれをもぐもぐ食べた。
バターの香りが香ばしくて甘いのに、何故かちょっぴりしょっぱい気がした。
▼▼▼▼▼▼▼▼
というところで、支援の方が猿に捕まってしまいました。
たいへん申し訳ないのですが、時刻を改めて続きをお持ちしたいと思います。
不手際のだん、何卒ご容赦ください。
- 421 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:45:58 ID:K+EKWpZl
- すいません…
俺がうたたねをしたばっかりに…orz
- 422 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 15:48:21 ID:Z7lpmzUn
- 支援
- 423 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 17:47:21 ID:aft5C0jf
- 18:00から投下させていただきたいのですが、支援お願いできるでしょうか。
- 424 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 17:56:00 ID:Aq1FqGbh
- 支援
- 425 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 17:56:07 ID:lnD5HRIT
- イエス、マイロード!
- 426 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 17:56:23 ID:So36ipDA
- 我が忠義にかけて、全力で支援いたしましょう!
- 427 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:00:42 ID:aft5C0jf
- 支援ありがとうございます。
また、重ね重ね申し訳ない。>>411以降コテハン投下し損ねていました。
体調の悪い時にやるもんじゃーないですな_or2
トーマス卿にはまたまたご迷惑となり、お詫びの言葉もありません。
(>>413、>>415、>>417、>>419、>>420です)
では>>420の残り14レス、参ります。いざお覚悟。
- 428 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:01:11 ID:So36ipDA
- 支援
- 429 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:05:38 ID:aft5C0jf
- そういえばギルフォード卿との間に立てられた、あらぬ「どーじんし」の噂はどうなったのだろう。
あの後めっきり元気になって、昼休みに生徒達とサッカーしたりしてたから、想像された弱気なタイプと違うと分かって下火になったのだろうか。
あのサッカーでは、他の生徒が加勢に呼んだスザクやノネットさんやダールトン将軍まで飛び入りして大変な騒ぎになったな。
手抜きしろとは言わない、ただ手加減という言葉を知って欲しいと思ったっけ。
とかぼんやり思いつつ教室へ入ったら、シャーリーが当のソフィと連れだってきた。
「ライ、ごめんなさい。今、貴方が先生と居るのを見てたの」
この間「どーじんし」をがりがり書いてた時とは打って変わってソフィの口調はしおらしい。しかし何故謝る?
「ノネット先生にネームを没収された時、本人が目にする配慮をしなさいって言われたんだけど、この事とは思わなくて」
ネーム?いや、ていうか『この事』って?
「ジェレミア先生は、ライの本命だったのね。知らなかった。辛いでしょうね」
な、何でそうなる?
「ライは先生が好きなのに、先生は親友のルルーシュ君に一目惚れ!恋と友情との間で揺らぐ美少年!なのに鈍感な先生は分かってくれない!」
ちょっと待て!それ誤解!曲解!捏造!
「もう描かない。約束する。でもみんなで応援するからね!」
言うだけ言ってソフィは仲間たちのほうへ去ってしまった。皆あのキラキラな目でこっちを見てる。たーすーけーてー!
「シャーリー。君は生徒会に居るんだから、僕とナナリーの事は知ってるだろ」
「ごっめーん!だってライの困った顔が可愛かったんだもん!」
シャーリーは頬を染めて視線を反らし、けれど笑いながら僕の肩をぱしぱし叩いた。
「ソフィは自称『箸が転んでもえっちなお年頃』だから、勘弁してあげて!後でちゃんと説明しておくから!」
箸ってイレヴンの食器だよね。意味不明。どんなお年頃ですかそれ。
女の子って、残酷だ……いや、だから男に走るって意味じゃないからな!信じてナナリィィィイ!
- 430 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:06:52 ID:So36ipDA
- 支援!
- 431 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:10:10 ID:MbzcLIdb
- 支援。
- 432 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:11:35 ID:aft5C0jf
- そんなこんなで落ち着かない小事はあるものの、他の「先生」方の授業も思いのほか難なくこなされて、学園は当座の平和を保っていた。
ノネットさんの体育は阿鼻叫喚の坩堝になるかと思っていたが、あながちそうでもなかった。
女子にはちゃんと加減したバレーボールのメニューを用意していた。これはヴィレッタ卿が素案を出したらしい。
ヴィレッタ卿は授業に飛び入り参加の名目でアシストもしていて、女の子たちからこれまた羨ましがられたという。揺れが大事なんだとか。なんのこっちゃ。
男子のほうは初回で格闘技の組み手をやると言って「さあ、まとめてかかってこい!」と号令したものだから大好評だった。
みんな、あのプロポーションに目が眩んで、投げ飛ばされるのさえ嬉しかったらしい。感涙してるやつまで居た。
ご本人も死屍累々の山に立って、やる気のある生徒たちにご満悦だった。
ダールトン将軍は、最初はやはり外見で怖がられたようだ。
しかし落ち着いた声音で丁寧に解説される歴史は非常に聞きやすく理解し易く、皆すぐに引き込まれて授業に集中していた。
さらに、余談として軍記の一節を朗々と読み上げてくれたのは感動もので、皆の拍手喝采を浴びて照れておられたのが、実に微笑ましかった。
孤児を引き取って騎士に育て上げている彼のこと、実は一番、向いておられたかも知れない。
一部「お父さんと呼ばせてください!」とか叫んでた手合いのことは無視しよう。<<筆者ですが何か。
意外と不評だったのがギルフォード卿。
例の「どーじんし」の噂のせい……は無いと思う。答を間違うと真正面から顔を見つめ、ボードをコツコツ叩きながら考え直させるのが言い知れぬ緊張感を生んだようだ。
だが、それがイイ!もっと!と叫んでファンクラブを結成したコアな連中もいた。
それから稀ににっこり笑うのがツボ、という隠れ支持者。
休み時間に手帳サイズのアルバムを見てた時らしい。誰の写真か想像はつくが。
- 433 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:11:45 ID:So36ipDA
- 支援
- 434 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:14:54 ID:MbzcLIdb
- しえん
- 435 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:15:45 ID:aft5C0jf
- ヴィレッタ卿の家庭科は選択コースだったが希望者が多く、僕は遠慮した。
授業では、自分で作りたい料理があれば事前申告させその指導もしたそうだ。これは結構スキルが高くないと出来ないと思う。
家庭的なんですねと言うと、頬に血の気を上らせぶっきらぼうに「まあな」と言いつつ、試作品のつまみ食いをさせてくれた。
「セシルが来たがっていたから、本当は代わりたかったのだが」
それ、考えるのもやめてください。死人が出ます。
ちなみに皇女殿下はスザクと一緒に出席して、とても可愛らしいプチケーキを焼いたそうだ。
後でスザクが真剣に、永久保存する方法を相談してきた。味が分からなくてもいいのかと言ったら、人生最大の難事にぶつかったらしく頭を抱えて苦悩していた。
リヴァルと二人、全方向から撮影した後で食べてはと提案したが、悩みつつも殿下がそれを作った時の状況を克明に惚気るばかりで、僕らの言葉は完璧に素通りしていた。
問題は、ロイドさんだった。
ストッパー役のセシルさんが居ないものだから、ぬ・ふ・ふ〜★とか浮かべた笑いが、明らかにいつもと違っていた。
授業中はそれでも普通に過ごしていたが、科学部の連中が周囲を取り巻くようになってから、さらに雰囲気が変わってきた。
ちなみに科学部は以前から一部では『こんなこともあろうか党』とか『マッドサイエンティストになり隊』と呼ばれていたそうだ。
ケミカル系の化学部のほうはいろいろ騒動も起こしていたけれど、かれらは概ねおとなしく……というか自己主張せず内輪で理論を語り合うばかりだったので、表面上はノーマークだったらしい。
後で回収された実験記録映像によると、それはこんな風に始まった。
「実地検証こそ科学する心だよ、君たち〜?」
はい先生!と叫ぶ集団の中に、ニーナがにこにこ顔で加わっている。
同じ趣味の連中と接するきっかけが出来て、超・引っ込み思案というか対人恐怖症が解消されたのか。良かった。
と、思いたかったのだが。
- 436 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:16:08 ID:6pi3KmGX
- 支援
- 437 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:17:35 ID:MbzcLIdb
- 支援
- 438 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:19:25 ID:aft5C0jf
- 「薬品があれば混合する。スイッチがあれば押してみる。キノコがあれば食べさせてみる!」
「「「「「はい先生!」」」」」
「『普通』『平凡』『看過』は停滞すなわち思考の死だよ〜?」
「「「「「はい先生!」」」」」
何かアブナイ薬でも調合してキメ込んでるんじゃないかというほど、皆テンションが高い。
ロイドさんは、日頃セシルさんに抑えつけられてる反動が一気に噴出した観がある。
生徒の方も、普段は日陰者……引き篭り……まあ何というかとにかく理解してくれる先生という旗印を得た事で、圧縮されたものが爆発したような状態なんだろう。
「これまで君達が積み重ねてきた理論を結集した企画その1!」
「「「「「マシュマロマンを作ってみよう!」」」」」
かれらは体育館の片隅に据え付けられた、でっかい装置を指し示した。
「こちらがメインマシン、ファクトリーです。ここでユニットの組立を行います」
人というよりは蜘蛛型に近い、犬サイズの機械が装置の中からカシャカシャと出てきた。既に十台以上が並んでいる所へ、続々と加わって行く。
「ユニットの駆動系は超小型のナイトメアフレームとお考えください。内部でマシュマロを生成し、外殻をコーティングします」
完全自律走行のそれは、表面の孔からぷうとピンクのマシュマロを吹き出した。雪だるまに似ている。ピンクだけど。
「本来は特にフレーバー無しですが、最近ちょっと思うところありまして、ラズベリー味にしましたぁ」
ロイドさんは何故だか遠い目をしつつ、にんまりと笑った。
「あと、これは人間の存在を感知すると、自分から食べさせ……いやいや、プレゼントに行・き・ま〜す!」
行っきまーす!と科学部の連中が唱和した。何故だかちょっとニュアンスが違う。
「しかもこのマシンは、一定範囲内に仲間がいると合体変形しま〜す!」
合体でーす!変形でーす!と科学部一同&ニーナ。
「どんどん強力になりつつ、みんなの後を追って行くよぉ?楽しんでねぇ?」
「待て!それは危険では!」
発表の場に居合わせたギルフォード卿の制止の声が、機械の起動音にかき消された。
- 439 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:20:53 ID:So36ipDA
- 支援!
- 440 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:21:33 ID:MbzcLIdb
- 支援。
- 441 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:25:46 ID:aft5C0jf
- 危険に決まっている。仕様を考えれば単純な話だ。
動き出した機械は、まず感知範囲内の人間、即ち製作者たちをターゲットにした。
ロイドさんはそこまで想定済みだったようで、ちゃんと脱出用シュートを用意していた。
いつの間に、と僕は思った。
またやった、とジェレミア卿が言った。どこでだろう。
まあ、それは後の話で、ご本人が「えええ?みんな、どうして用意してないの!」と叫びながら消えた後はパニックなんてものじゃなかった。
科学部の連中と見物人は、合体変形しながら迫ってきたピンク色のマシュマロ集団に、瞬く間に追い詰められた。
ギルフォード卿はひとり、掃除用具入れから得物を取って果敢に生徒たちを救出に行った。さすが帝国の先槍と呼ばれた男。
しかし、逃げる生徒を追って外へ雪崩れ出て行くマシンの群を、単独で止め切れる筈もない。
そのうち敵の増殖に追いつけず包囲され、大喜びで暴れ込んだノネットさんにお姫様抱っこで助け出された。
嬉しそうに皇女殿下を抱え木から木へ壁から壁へと跳び、ついには屋上へと駆け上ったスザクと並んで、その日一、二を争う奇観だったと言っておこう。
何故かカレンが同じように走っていたという話もあったが、病弱で繊細な彼女にそれは無いだろう。変な噂を立てたがる奴がいるものだ。
僕がそいつと出くわしたのは、ロロに学園のイベントを説明している時だった。
どうやら部活動に興味の無い彼にミレイさんが生徒会入りを薦め、アルバムをごそっと渡して「ライに聞くといいわよ〜」とやったらしい。
おそらく、ユーフェミア殿下の特区構想発表でグダグダになった学園祭の補完として、何か企んで……いやもとい、計画しているんだろう。
前回の実行委員の僕に新人をあてがい、育成がてら実務を任せようというんだな。
さすがミレイさん、深慮遠謀。って僕、今ものすごく忙しいんですけど。
- 442 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:26:11 ID:So36ipDA
- 支援
- 443 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:27:08 ID:MbzcLIdb
- 地下に入る。後は頼んだ。支援。
- 444 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:31:12 ID:aft5C0jf
- 「なんですか、この『男女逆転祭り』とか『猫祭り』とかって」
「見た目を楽しむだけだ。考えるな!感じろ!って事かな」
現在教鞭を執ってる「先生」方を巻き込んで困らせたい気もしたが、こちらの視覚的ダメージを考慮して速やかに企画を脳内から消去する。
「あと学園祭のこれ、ライ先輩?」
「待て待て返せ。誰が撮ったいつの間に」
「……学校って、こういうものだったんだ」
何か深刻なギャップを感じたらしい。不満というか不審というか、いわく言い難い顔をしている。
「他は違うみたいだけど、まあいいじゃないか。とりあえず楽しいんだから」
「うーん」
納得しきれないらしく眉を寄せながら、それでもロロは熱心に写真を見ていた。
「ライ先輩。黄緑色の髪の女の子って居ませんか」
「居ないな」
そんなのは僕の知ってる範囲ではC.C.ぐらいだ。
ただ、確かに黄緑色の髪だけど、学生じゃない。
ギアスについて情報を握ってる、謎めいた……いや、ミステリアスな……違う違う、うさんくさい同居人だ。
というか、正体不明の自称魔女というかピザ食い虫だし。
少なくとも「女の子」なんて可愛いものではない。
その時、僕らの上に巨大な影が差した。
合体変形を繰り返したマシュマロマンは重力に屈し、既に形状を保てなくなって、ピンク色のぐにゃぐにゃした小山のようになっていた。
泡立ち膨れ上がりながら、あちこちに突き出したパイプから表面コート用のコーンスターチを吹き上げつつ、かなりの高速で迫ってくる。
「ブロブだな、あれは。絶対の危機だ」
校舎で避難の指揮を執っていたダールトン将軍が呆然と呟いていたそうだが、誰にも意味は分からなかった。
- 445 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:31:56 ID:So36ipDA
- 支援!
- 446 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:34:11 ID:6pi3KmGX
- 支援。
- 447 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:35:48 ID:aft5C0jf
- 僕はとりあえず、戦いを挑んだ。
「てぇいっ!」
横手から出てきた別のユニットを2台ほど蹴りで撃破しつつ大型の攻撃を退け、とんぼ返りでロロの傍へ戻る。
「すごい運動神経ですね!」
「感心してないで逃げろよ!ほら、こっち!」
彼の手を引いて駆け出そうとして、一瞬立ちくらみのような感覚を覚えた。我に返ると連中がすぐ後に迫っている。
「しまった、自動操縦か!」
ロロが呟いてる。何かあったのか?まあいい、今は気にしちゃいられない!
「電源が携帯端末なので、あと1時間ほど逃げ切れば大丈夫だそうよ!」
校内放送で、ミレイさんが嬉々として「怪獣」の誕生とその進路を実況しだした。
「BGMはGで始まる怪獣のテーマよ〜!頑張れ負けるな皆のもの!」とのこと。
学園中に轟き渡る緊迫感あふれるサウンドの中、オカルト研と文芸部の連中が詠唱する「ふんぐるいなんちゃら」の呪文が地を這う。
また、止せばいいのにわざわざ対峙しに行く奴も後を絶たず、時ならぬ悲鳴がその合間を彩って実に凄まじい。
天気は上々の青空なのに、何故かその辺りだけ暗雲がたれこめている気がした。
真っ先に案じられたのは、当然ながらナナリーの無事だった。
ミレイさんが元気に話し続けてるからクラブハウスは無事なんだろうが、いつ「皆さんさようなら〜」とかって放送が途絶しないとも限らない。
走りながら携帯端末を出し、ルルーシュを呼び出す。
「おれだ。ナナリーなら、ここにいるぞ」
「話が早くて助かる!」
最小限の会話で、彼らの無事は確認できた。
「替わろうか」
ルルーシュは僕の返事を待たなかった。
「ライさん、お話は伺いました。面白そうですね」
電話の向こうで僕の姫君が「マシュマロが追いかけてくるなんて、きっと可愛いのでしょうね」と夢見るように囁いた。
「ふっくふくー、ですね」
「そうなんだよナナリー。可愛いピンクのふっくふくーだよ」
実際には、ぶっくぶくーのごっぼごぼーなのだが。
傍らでロロが息を切らして「嘘つき」と言ったが、無視した。
男には、真実を告げられない時もあるんだ。
- 448 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:36:16 ID:So36ipDA
- 支援
- 449 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:39:07 ID:6pi3KmGX
- 支援!
- 450 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:40:04 ID:aft5C0jf
- ともあれ向こうは無事だと安堵して、ちょっと忙しいから後でねと電話を切ったら、既に退路が断たれていた。
「どうするんですか先輩!」
どうすると言われても、後はヤツの脇を駆け抜けるぐらいしか方策が無い。
しかし、ロロを連れていては無理だ。たぶん捕まってしまうだろう。
捕まってもマシュマロまみれになるだけだが、やはりそれは沽券に関わる。というか、凄く気持ち悪そうだ。
「ライ!」
「こっちだ!」
グラウンドから校舎裏に抜ける辺りに建っている巨大な金属製のオブジェから、声が飛んできた。
ちなみにこれはクロヴィス殿下が抽象系インスピレーションとやらでナイトメアを動員して作らせたものの置き場に困り、寄贈という名目で押し付けられたのだそうだ。
その、地上4メートルほどの一番下の枝先で、ジェレミア卿とヴィレッタ卿が呼んでいる。
絡み合った構造物の上の方には生徒が鈴なりでリヴァルやシャーリーの顔も見えたが、支柱周辺は蠢くピンク色に埋め尽くされている。普通に登るのは無理だ。
「ロロ、君だけでも逃げろ!」
「え」
僕はロロの首筋をひっ掴んだ。
「先生、パス!」
「えええ?」
片脚を軸に思い切りスイングさせ、二人に向かって投げる!
「任せろ!」
ジェレミア卿がキャッチして、横投げにヴィレッタ卿へパス。
「トス!」
「えええええ?」
「待てヴィレッタ、何をする!」
「ああっ!すみません!授業の癖で!」
だが口を「え」の形のまま静止させ上空へ飛んでいったロロは、リヴァルやそこらの男子連中にいいタイミングで受け止められた。俄か仕立てとは思えないチームワークだ。
これも日頃、ミレイさんに鍛えられた賜物だよな。ここ以外で何かの役に立つとは思えないが。
- 451 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:40:12 ID:lnD5HRIT
- 支援
- 452 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:40:18 ID:So36ipDA
- 支援!
- 453 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:43:25 ID:6pi3KmGX
- 支援
- 454 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:45:00 ID:aft5C0jf
- 「ライ、来い!」
ジェレミア卿はそのまま膝を引っ掛けてぶら下がり、真下へ駆け込みながら伸ばした僕の腕を掴んだ。
僕が地面を蹴るタイミングと合わせて、ぐいと上体を引き上げる。ヴィレッタ卿が素早く手を貸し、僕も無事に避難することができた。
「すっげー、先生!実は結構鍛えてる?」とリヴァル。
「ハッハッハ!任せておけっ!このぐらいは朝飯ま……え?」
細い鉄棒の上に立って胸を張ったジェレミア卿はバランスを崩し、今度こそ真っ逆さまに墜落しかけた。
「わぁ!ちょ、ちょっと、先生!」
僕らが必死で捉まえて、ようやく事なきを得る。
「詰めが甘いなあ」
一緒になって上着の裾を掴んだロロが無表情に呟く。
それから不思議そうな顔をして手を離し、僕を見て首を傾げる。なんだろう。
そこへリヴァルがロロの肩に腕をまわし、いつもの調子で声をかけた。
「よっ、お疲れ、転入生!そういえば生徒会に入るんだって?」
「え、まだ決めてな」
「わ〜、新メンバーね!よろしく!」
シャーリーが反対側から声をかけ、握手の手を差し出す。
「ぼ、僕は、任……いえ、用事があるんですけど」
「ライと組んでれば大丈夫だよ。心配すんなって!」
無責任なこと言ってくれるなよリヴァル。僕は今、全力で忙しいんだってば!
「ジェレミア卿、ご無事で」
「うむ」
かれらの間を離れ、僕らは小声で状況を確認し合った。
彼は事件勃発後、真っ直ぐクラブハウスへ行こうとして連中と出くわし、足止めがてら戦っていたのだそうだ。
ちなみに得物はオブジェから抜き取った鉄パイプ。どっかのホラーゲームのようだ。
そこへヴィレッタ卿に引率されて避難して来た生徒達が合流、皆を登らせている間に敵が集まってしまい、動きが取れなくなったという。
「あの御……いや、クラブハウスの方はまだ連中が行っていないようだが」
「ルルーシュなら大丈夫です。連絡したら『こんな事もあろうかと防壁を巡らせてある、今回は陣形F2のトラップで対処可能だ』と言ってました」
「普段どのような事を考えておいでなのだ、あの御方は?」
その台詞はロイドのような連中の決まり文句ではないか、と幾分苦々しげに呟く。まあ、若干似た部分はある。
- 455 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:46:01 ID:lnD5HRIT
- 支援
- 456 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:48:45 ID:6pi3KmGX
- 支援。
- 457 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:51:09 ID:aft5C0jf
- 「それにしても心配だ。なんとか突破できんか?」
「この状況では難しいですね」
オブジェの周囲はピンク色で埋め尽くされ、ごぽごぽふしゅーという音と甘酸っぱいラズベリーの香りが一面にたちこめている。
「かくなる上は止むを得ん。君、降りて行って囮になれ」
「助けておいて、それですか」
「冗談だ。殺気を放つな」
かなり本気の目だった気がしますと追求しかけた時、足元から衝撃が来た。さらに巨大化した小山のようなマシュマロの塊が支柱に体当たりしている。
「地上走行専用で助かりましたね」
念のため皆をもう一段ずつ上へ移動させながら、僕らはその名状し難い這い寄るシロモノを眺めるしかなかった。
「うーむ、結構美味いのだがな」
「あ、ほんとだ」
「だがいくら何でも食いきれんな」
「解決法としては穏便なんですけどね」
「味見してる場合ですか!」
ヴィレッタ卿の叱責が降ってきたところで、ようやくそいつの動きが止まった。
頭上を埋めた生徒達から歓声が上がった。
「やったぁ!」
「俺たちの勝ちだ〜!」
「逃げ切っただけでしょ」
「いいからいいから!ほれ!」
皆で歓声を上げてハイタッチし合い、ばんざーいばんざーいオールハイルブリターニアーとか叫び飛び跳ねていたら、何か不吉な音がした。
ナイトメアで戦った時によく聞く、金属が曲がり折れる音だ。
言うまでもなく、ここにナイトメアは無い。音は、僕らが登っていたオブジェの、支柱の根本から発していた。
……マシュマロと僕らの与えた衝撃が原因だろうけど、もしかすると鉄パイプは抜かないほうがよかったのでは。
「ちょ!」
「え!」
「わ!]
「ウソ!」
「不覚!」
「ぎゃー!」
結局、僕らはみんなマシュマロの海にダイブすることになった。
- 458 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:51:21 ID:So36ipDA
- 支援
- 459 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:54:07 ID:6pi3KmGX
- 支援!
- 460 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 18:56:36 ID:aft5C0jf
- 翌日から科学の担当はセシルさんになった。初日の挨拶で彼女はこう言った。
「皆さん、最初に覚えておく大切な事があります。『混ぜるな危険』です」
企画その2以降については永遠に封印され、ロイドさんの事は、誰も何も言わなかった。
悪いけど僕も気にしたくなかったとつけ加えておこう。
その日最後のイベントは、戦後処理だった。
といっても、今まで避難していた生徒が一斉に飛び出してきて、片端からマシュマロを持ち去っただけだが。
後に残った金属パーツは、科学部が責任をもって回収した。
どさくさ紛れに例のオブジェの残骸も持っていかれてしまい、ジェレミア卿はちょっと寂しそうな顔をして台座に鉄パイプだけを戻していた。
情景としては余計に寂しい気がするんだが、まあ、いいか。
赤い三角錐の台座に突き刺さった鉄パイプで、何かをイメージする人が居るかもしれない。芸術なんてそんなものだ。
「ジェレミアk……先生、彼をお願いできますか。脚をくじいたみたいなんです」
「心得た。君、ちゃんと掴まっているのだぞ」
他に目を回した生徒を一人小脇に抱えた彼がロロを背負い、僕は同じように着地に失敗した女子を抱いて医務室に向かうことにした。
ヴィレッタ卿は、何故か鼻血を出したソフィを支えている。たぶんまた何かで箸が転んだんじゃないかと思うが、聞かないほうがいい気がした。
そんなこんなで、僕がジェレミア卿を連れてクラブハウスへ帰った時には、もう夜もすっかり更けていた。
「殿下、申し上げても宜しいでしょうか」
皇族相手の礼儀なのだろう、ジェレミア卿はらしくもなく遠まわしに切り出した。
「話せ!」
階段の踊り場で、月明かりの窓に影絵のように立ったルルーシュが応じる。
「かような刻限に、またこのような風体で拝謁」
「構わん!本題に入れ!」
このような風体というのは、マシュマロまみれになったスーツの代わりに着た服の事だ。
寮住まいのクラスメイトに口利きを頼み体格のいい生徒のを借りてあげたのだが、かなり抵抗があったらしい。
「過日お目通り願った際、身の程も弁えず差し出がましい事を申し上げ、誠にご無礼を」
「そこまでだ!許す!」
- 461 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 18:56:52 ID:So36ipDA
- 支援!
- 462 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:00:40 ID:6pi3KmGX
- 支援
- 463 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 19:00:40 ID:aft5C0jf
- 謝罪を途中で断ち切って、ルルーシュは階段を降りてきた。ホールの明かりに、主従が照らし出される。
……Tシャツジーンズサンダル履きのジェレミア卿と、制服にピンクのエプロンのルルーシュ。
控えめに言っても変テコな光景だ。しかし二人とも、大真面目な態度を崩さない。僕は腹筋を試されてる気がしてしばらく呼吸を止めた。
「貴公が善意で助力を申し出てくれたのも、おれを案じてくれたのも分かっている。もう気に病むな」
ルルーシュはそう言って、僕のほうをちらりと見た。
「だがそれだけでは納得はできまい。どういう事か、これから見せよう」
ルルーシュはそう言って、かっこいいポーズとともにエプロンを翻して廊下を歩き出した。
「こっちへ来い。ライもだ!」
僕らが連れて行かれた先はキッチンだった。なんだかいい匂いが漂っている。
彼はそこのテーブルにつけと、幾分横柄に見える仕草で示した。
「今焼いてるのはキッシュだ。おれが作った」
「は」
何を始めるんだ、と言おうと思ったが、ルルーシュが僕を見てかぶりを振ったので言葉を飲み込む。
「パイの中に卵と生クリームを主とした生地が入り、具材はアスパラと挽肉を用いている!」
ジェレミア卿に向かって、ルルーシュは作り方の説明を始めた。
まず材料の選び方と購入場所から始まって、手順をひとつひとつ。ガワの部分がけっこう長かった。そして中身。
「卵を割るときは、殻が入らないように気をつけねばならん。これは初歩の初歩だ」
「は」
「また混ぜるのにも注意が必要だ。均一に、かつ空気が入らないよう丁寧に、だが手早く!」
「……で、殿下?」
「黙って聞け」
「はっ!」
「具材を均一に並べ、隅々まで行き渡るよう生地を流し込む!ここでも気泡を入れぬよう注意!」
以下略。
全部終わってからルルーシュは「覚えたか」と言った。
「い、いえ殿下、私には」
「だろう。だがおれは、これと同レベルのものを本にして20冊分は記憶している。しかも、デザートは別だ!」
- 464 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:01:20 ID:So36ipDA
- 支援
- 465 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:04:34 ID:6pi3KmGX
- 支援!
- 466 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 19:05:17 ID:aft5C0jf
- ルルーシュ、そのかっこいいポーズは本当に必要なのか。
ツッコみたかったが、話の腰を折る訳にも行かないので黙っている。
「確かに必要に迫られて始めたことだが、これだけ手の込んだことを、嫌々ながらで出来ると思うか?
貴公はスザクに聞いたことで苦労ばかりを思ったようだが、技術を磨くのもけっこう面白いんだぞ。
手順を組み立てるのには戦略的な愉しみさえある。
それに、ナナリーやライが美味しいと言ってくれると、本当に嬉しいんだ。
だから過去の事は無駄でも不幸でも無いだろう?」
ルルーシュにしては素直に語ったじゃないか、と微笑ましく思ったら、彼はこう付け加えた。
「ああ、言っておくが料理だけ得意な訳ではない。学業も常にそれなりの成績を維持しているぞ。安心しろ!」
それにだ、と言葉が続く。
「いいか、もとより山野の草など、知識が無くて食えるか!そして転んでも只で起きるおれではない!調理のメモからレシピ本を書き、ちゃんと元も取った!おれの勝ちだ!」
そんな事もしてたのか、君。ていうか勝ち負けってあるのかこの場合。
だがジェレミア卿からは、食べるにさえ事欠いてか弱く育ってしまった皇子様のイメージは払拭されたらしい。
「流石はマリアンヌ様の御子!見た目は優しげながら逞しくお育ちだ!」
本気で分からない。マリアンヌ皇妃様って、どんな人だったんだろう。
とりあえず、僕の母は違うタイプに違いない。そう思いたい。
そこでタイマーが鳴り、キッシュは焼きあがった。見事なタイミングだと言うべきなのか。
「では、食ってもらおうか!」ルルーシュ、その言い草は、なんだか違うんじゃないか。
「イエス、ユア・ハイネス!」ジェレミア卿が応える。これもやっぱり何か違う。
「泣くなよ!塩加減が分からなくなるからな」
「泣きませぬ!」
ジェレミア卿は不思議に穏やかな、けれど決然とした表情でルルーシュを見つめていた。
感動すべきなんだろうか。
それとも、この妙ちきりんな主従に呆れるべきなんだろうか。
- 467 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:05:30 ID:So36ipDA
- 支援!
- 468 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:08:45 ID:6pi3KmGX
- 支援。
- 469 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 19:09:12 ID:aft5C0jf
- 何はともあれ解決をみて、疲れと安堵の配分を決めかねつつ椅子に凭れた時、視界の端で何かが動いた。
黄緑色の、長い髪。
ノックもせずにドアを開け、C.C.が入って来ようとしていた。
スザク以上に始末が悪い。ぶち壊されてたまるか!これ以上厄介事を増やすな!
「ライ?」
「どうした!」
背後で二人が呼んだが、僕はラリアットの要領でC.C.の首をひっかけ、そのまま廊下を一気に抜けて自室へ駆け込んだ。
「痛いじゃないか」
彼女はいつものように淡々と文句を言った。
「罰としてピザを買え」
「罰も何も、最初からそのつもりだったろ」
「小賢しいな、坊や。さらに罰だ。二枚買え」
「分かった。買うから今夜はルルーシュのところへ行かないでくれ」
にんまりと魔女は笑った。
「あれは面白い玩具を手に入れたな。ちょっと騒々しいのが難だが、相変わらず愉快だ」
相変わらず?
「しかし、お前のせいであれは変わってしまった。わたしの目的には適わなくなる」
まあ、それも悪くはないかと視線を窓の外へ投げ、彼女は吐息のように囁いた。
「その罰も追加で三枚買え。ポイントシールも忘れるな」
いいだろう、魔女め。結ぶぞ、その契約!
四枚買ってシールは全部やろう。ただし、一枚は僕のだ。
今日は朝から菓子パンとマシュマロしか食べてないんだ!
- 470 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:10:07 ID:So36ipDA
- 支援
- 471 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:12:17 ID:6pi3KmGX
- 支援
- 472 :銀鰻 ◆yFhURPPFHA :2008/11/11(火) 19:13:00 ID:aft5C0jf
- 【Epilogue】
「ジェレミア卿のこと、お兄様に伺いました」
翌朝、登校前にようやく逢えた姫君は、これから僕が咥えて走る予定のパンをトースターに入れてくれながら言った。
「やっとお会いできるのですね。楽しみです」
「様子を伝えてるだけで、待たせてしまったな。彼に頼みたい事があるんだよね」
「ええ。わたしのお願い、聞いていただけるでしょうか」
たぶん、問題は無いと思うが。
「ねえ、ナナリー。それって、ルルーシュや僕じゃ駄目な事なのか」
「……内緒です」
な・い・し・ょ・と区切られた一音節ごとに心拍数が跳ね上がる。君は何という危険物。
「ところで、お兄様が何かお悩みのようなのですが、原因をご存じですか?」
ジェレミア卿と話してて、せめて数学の授業に出てくださいと言われたんだよ。
成績はいいけど出席日数が足りないから、下手をすると留年だって。
かっこ悪くて顔を出したくないらしいけど、仕方ないよな。
- 473 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:13:33 ID:aft5C0jf
- 以上です。1レスはみ出してしもたorz
時ならぬ長文投下にもかかわらず、ご支援いただきありがとうございました!
- 474 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:20:55 ID:6pi3KmGX
- 銀鰻卿GJです!
続きを心待ちにしておりました!
今回もテンポよくコミカルに展開されていて読みやすく、尚且つワクワクしました!
そして、相変わらずジェレミアを始め各キャラがいい味を出してます!ロロの動向も気になりますし
次回の投下もお待ちしております!!
- 475 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 19:32:32 ID:So36ipDA
- >>473
銀鰻卿、GJでした!
先生達が大活躍だwww
特にロイド先生ww生き生きとしてるwww
マシュマロマン、無駄にスゲーwww
あぁ、笑ったら負けだというのなら、私は完敗ですwww
シリアスなのに、脳内で再生される映像はシュールというカオスwww
あー、もう、続きが気になる!
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 476 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:08:48 ID:XRvjEr37
- >>473
GJ!! 楽しかった!!
先生方のタガのはずれっぷりがwww
ダールトン先生の歴史は受けてみたいです。真剣に。
なんだかんだ言ってルルーシュが楽しそうだww
ただ、ロロの動向がちらりちらりと見えてきて、ちょっと不安にも思ったり。
次回の投下も楽しみにしております!
- 477 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:48:15 ID:TzHcUWy9
- 人が居ましたら投下しますが居ますか?
- 478 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:49:43 ID:tYfHOVQH
- OKです
- 479 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:50:58 ID:ac2avdz1
- >473
おつかれさまでした!
あああもう本当に楽しかった!!
最初の日誌からラストの主従関係に至るまで、
なんてイキイキテンポがいいんでしょう。笑いが止まらない。もうみんな大好き。
ダールトン先生の歴史、受けたくてたまりません。
先生の軍記の詠唱なんて聞けたら一生ものの思い出だよ!!
湧き上がるキャラクターたちへの愛しさ、すばらしいと思います。
続きを拝見できる日を心待ちに。ありがとうございました!
- 480 :萌は文化:2008/11/11(火) 20:51:38 ID:TzHcUWy9
- では投下します
タイトル「プレゼント」
8レスくらいです
カップリングは終了宣言で明かすので好き嫌いがある人は終わってから判断してください
注意点
やっぱりギャグよりなので嫌いな人はスルーしてね
- 481 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:51:47 ID:ac2avdz1
- 支援待機いたします。
- 482 :萌は文化:2008/11/11(火) 20:53:06 ID:TzHcUWy9
- 明るく騒がしい夜の街中。
ライは1人ベンチに座り、待ち合わせの相手を待ち続けていた。
かれこれ1時間近く待っているライは通りすがりの女性に幾度となく声をかけられたが約束があると全て断っていた。
もう今日は来ないのかと諦めかけたその時、約束していた燃えるような赤い髪の少女を見つけ、ライは嬉しそうに微笑んだ。
「ごめんなさい、紅蓮の整備に時間かかっちゃって…」
いつも人前では病弱を演じる彼女だがこの時ばかりは遅刻した後ろめたさがあったのだろう。
ライを見つけた瞬間、すぐに駆け寄ったカレンはライの前まで来ると息を切らしながら頭を下げていた。
「気にしないでいいよ。無理にお願いしたのは僕だからね」
そんなことよりも忘れずに来てくれたのが嬉しいとライは優しく微笑んだ。
そんなライの微笑みにわずか数秒、カレンは見入ってしまい、すぐに我に返ると恥ずかしそうに視線をそらした。
「それじゃあ行こうか。早くしないとお店が閉まるからね」
そう言ってライは歩き出すと慌ててカレンもライを追いかけた。
そんなカレンの姿を見てライはクスリと小さく笑った。
- 483 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:54:13 ID:ac2avdz1
- 支援
- 484 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:54:40 ID:tYfHOVQH
- 支援
- 485 :萌は文化:2008/11/11(火) 20:54:51 ID:TzHcUWy9
- なんだかデートみたい。
夜の煌びやかな街を歩きながらカレンはそんなことを思い、1人赤くなった。
「でも突然付き合って欲しいってどうしたの?」
赤くなった自分の顔がライに気づかれないようにカレンは言った。
実は今日の帰り際、黒の騎士団での仕事を終えたライはまだ作業が残っていたカレンに一言「今晩買い物に付き合って欲しい」とカレンの返事も聞かずに伝えるとさっさと先に帰ってしまったのだ。
それでカレンは何故今晩なのかと不思議に思い聞くとライは恥ずかしそうに頬を人差し指でかきながらカレンから視線をずらした。
「えっと、実は…プレゼントしようと思って」
「え…?」
カレンの胸が期待で膨れ上がった。
(プレゼントって………私に)
顔を真っ赤に染め、カレンの視線が泳いだ。
「普段お世話になってるからね。だがらそのお礼にと思って…」
少し穏やかな口調で言うライの照れ笑いを見てカレンの心臓の鼓動が絶頂に達した。
「だから選んでもらいたいなと思って……」
照れるライの視線がとある店のウィンドウに展示されている商品に止まった。
- 486 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:56:25 ID:ac2avdz1
- 支援
- 487 :萌は文化:2008/11/11(火) 20:56:42 ID:TzHcUWy9
- 展示されている商品とライを見てカレンは驚愕した。
ライが照れながらも真剣に見ている商品は指輪だったからだ。
(ウソ……ライったらまさかいきなりのプロポーズ? そんな…私達まだ学生なのに…………でも約束だけならいいよね。私だってライが相手なら問題ないわ)
1人行きすぎた妄想にふけりながらカレンは自分で自分を抱きしめるような仕草をしていた。
「どうしたのカレン。寒いの?」
そんなカレンの姿を見て心配そうにライが尋ねた。
「え、あ、いやいや、これは、その…」
慌てて誤魔化すカレンにライは自分の上着を脱ぐとカレンにそっとかけてあげた。
「え………ライ」
「夜は冷えるからね。女性が体を冷やすのは良くないよ」
「………うん、ありがとうライ」
ライの気遣いにカレンは頬をほんのり赤く染め、体だけでなく暖かな気持ちになっていた。
「じゃあ、時間もないから少し急ごか」
「ええ」
早足で歩き出すライ。
その後ろをカレンは追うように歩き出した。
プレゼントなんていらない。
ただこの時間が長く続けばいい。
そんなことを考えながらカレンはかけてもらったライの上着を大丈夫そうに握りしめた。
- 488 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:57:18 ID:aft5C0jf
- 支援参加
- 489 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 20:58:25 ID:tYfHOVQH
- 支援
- 490 :萌は文化:2008/11/11(火) 20:59:35 ID:TzHcUWy9
- 「ねえ、カレン。これなんてどうかな」
とある店の前でライが立ち止まり、指差したのはショーケースの中の少し派手めなネックレスだった。
「うーん、少し派手じゃないかしら」
「そうかな。でも井上さんにはちょうどいいと思うんだけど」
「確かに井上さんには似合うでしょうけど………………井上さん?」
何故そこで井上さんが出て来るのか?
カレン表情が凍った。
「やっぱりそうか。ありがとうカレン。値段も手頃だしこれにしよう。すみませんこれ」
表情が固まったカレンに気がつかずにお礼を言うとライは店の中に入って行った。
「プレゼントって………まさか井上さんに?」
1人店の前に残されたカレンは舞い上がっていたこともあり、一気に突き落とされた気持ちになっていた。
「買えた買えた。ありがとうカレン。やっぱり女性の意見があると助かるよ」
そんなカレンの気持ちに気付かずに井上へのプレゼントを買えて喜んでいるライを見てカレンの怒りが頂点に達した。
「フフフ……ライ」
「何だいカレ………ッン!?」
カレンは胸倉をつかみ勢いよくライに背負い投げ喰らわした。
- 491 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:00:00 ID:aft5C0jf
- 支援
- 492 :萌は文化:2008/11/11(火) 21:01:25 ID:TzHcUWy9
- しかし、それだけではカレンの怒りはおさまらず、さらにそのままライの足をつかみカレンは1、2度ライを地面に叩きつけた。
「ライの………馬鹿ぁぁぁ!!」
ライを放り投げるてカレンは泣きながら走り去って行った。
「…………な、何故?」
自分の説明不足が招いた痛みに苦しみながらライは呟いた。
「あれ〜ライ君だ〜」
ボロボロになったライの元に、おぼつかない足でライの見知った人物が近づいて来た。
「井上さん…?」
「なんでライ君がボロボロになって倒れてるのかな〜かな〜かな〜」
ヘラヘラ笑いながらライを突っつく井上を見てライは思った。
酔ってる。
酔っ払っている。
どこかで飲んで来たのだろう。
井上の目がトロンとしていて頬もほんのりと赤い。
「あ〜もしかして捨てライ君かな?」
「そんなわけないでしょ。っていうか捨てライってなんですか」
痛む体を起こし、ライは井上に突っ込むが酔っ払った井上は聞いてなどいなかった。
「うーん、しくしく可哀想に。ライ君を捨てるなんて酷い飼い主ね」
「人の話を聞いてください」
- 493 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:01:39 ID:ac2avdz1
- 支援
- 494 :萌は文化:2008/11/11(火) 21:03:25 ID:TzHcUWy9
- 泣いたフリをしながらライをなでなでする井上。
周囲の目など気にしないのは酔っ払いだからだろう。
「安心して、ライ君は私が責任持って育てるから」
意を決したように井上は拳を握りしめた。
「育てるってなんですか育てるって!」
悪い予感しかしないライが叫ぶがもちろん井上はお構いなしだ。
「大丈夫〜♪ 私ライ君大好きだから」
「な! 井上さん………って何を」
酔ってるとはいえ井上に好きだと言われて赤面するライだったが、そんなライを井上は大事そうに抱き上げた。
恥ずかしくて抵抗するライだがカレンの一撃が原因で上手く体が動かず、井上の好きなようにされていた。
「それじゃあ帰るわよGO〜♪」
「は、離してください井上さん!」
結局ライは井上にお持ち帰りされ、井上が酔いつぶれまでお酌をしていたらいつの間にか朝になってしまい、ライが帰宅したころには昼過ぎになってしまったらしい。
- 495 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:04:37 ID:ac2avdz1
- 支援
- 496 :萌は文化:2008/11/11(火) 21:05:58 ID:TzHcUWy9
- おまけ
カレン「井上さん」
井上「ん、何カレン?」
カレン「私、負けませんから」
井上「?」
ゼロ「惚れたら負けとは言ったものだな」
C.C「お前が言うかそれを。で、どちらが勝つと思う?」
ゼロ「うむ、やはり学校でも一緒にいる分カレンではないか。そう言うお前は?」
C.C「私か? 私は私に賭けよう」
ゼロ「………本気か?」
C.C「何か問題か?」
ゼロ(あとでライの奪い合いの2次被害の対策を考えねばな)
- 497 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:06:18 ID:aft5C0jf
- 支援
- 498 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:08:33 ID:tYfHOVQH
- GJ! 色々と誤解を生んだ上にお持ち帰りされるライ乙w
酔っ払っていようとライをお持ち帰りできるパワーがある井上さんって(ry
そしてガンガレ、カレン。もう一度GJ!!
- 499 :萌は文化:2008/11/11(火) 21:09:04 ID:TzHcUWy9
- 以上で終了
ネタバレになるのでカップリングは最初に表記しませんでしたがカップリングはライ×井上、またはライ→井上でした
すみません誤字です
>>487
大丈夫そうに→大事そうに
では支援ありがとうございました
- 500 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:10:19 ID:aft5C0jf
- GJ!無自覚少年、不憫ながらある意味自業自得w
そしてこの後の騎士団の混沌っぷりが楽し…いやいや、気の毒になりますね!
- 501 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:10:28 ID:tYfHOVQH
- 面白すぎて投下終了宣言の前に感想を書いてしまった……スイマセン
- 502 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 21:19:42 ID:ac2avdz1
- >499
酒に乱れた井上さんの様子に、胸倉掴んでガクガクさせてながら
お前それでいいのか?彼女でいいのか?と問い質したい衝動にw
誤解させられたカレンが気の毒wですが、きれいな背負いを決めてくれた上に
それでもライをあきらめないその意気や良し!!
・・・ということでCC共々正々堂々取りあっていただきたいものです。
れっつ修羅場。
ありがとうございました!!
- 503 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:04:51 ID:So36ipDA
- >>499
萌は文化卿、GJでした!
ふっ、当然ながら見事に騙されたぜ!
あぁいいなぁ……と、思いつつ、ノットライカレで笑いましたw
そして出てくる井上さん、酔っ払いは手におえないw
ラストのゼロはやたら冷静ですねwww
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 504 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:24:34 ID:v7m0c+Lu
- 22:30あたりから投下しようと思うのですがよろしいでしょうか?
- 505 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:31:56 ID:oaHR96av
- まだいますか?
携帯でよければ支援できます
- 506 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:33:42 ID:v7m0c+Lu
- 予告と終了あわせて8レスなのでまったりお願いします。
(・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#第2章前編。>>167 の続きです。1章に引き続き鰤軍がメイン
#1期23話以降のネタバレを含みますのでご注意。R2に繋げるため基本的なストーリーは変わりません
#ナイトメアフレームについての捏造があると思われます。The Completeを買うべきでしょうか
- 507 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:34:32 ID:oaHR96av
- 支援
- 508 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:35:23 ID:v7m0c+Lu
- 親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 2*ブラックリベリオン(前編)
ユーフェミア皇女殿下が収容されたとの連絡を受けアヴァロンに駆けつけた僕が最初に耳にしたのは、
魂を引き裂かれるようなスザクの慟哭だった。僕は大切な友達をひとり、失ったのだ。
実は私たちも全てを把握している訳ではないの、そう前置きしてからセシルさんは状況をかいつまんで説明してくれた。
式典の直前になってゼロが単機やってきたこと、ユフィと2人きりで会談をしたこと、突然ユフィがひとりで戻ってきて
日本人の虐殺を命じたこと、自らの銃で日本人を殺しそれを引き金にブリタニア軍による日本人の虐殺が始まったこと、
直後に黒の騎士団が式典会場に突入したこと。
何もかもが悪夢のような話だった。
いや、きっとこれは悪夢なのだろう。証拠に視界はぐるぐる回っているし頭はハンマーで殴られたようにガンガンする。
あのユフィが、なぜこんなことに。
だって僕はつい先週、彼女と話をしたじゃないか。
花のような笑顔。希望にキラキラ輝く瞳。
どうして彼女の未来がこんな形で閉ざされなければならないのか!
「ユフィは虐殺なんて命じていない」
扉が開きスザクが姿を現した。彼はまだ血で濡れた礼服に身を包んだままで、その拳は固く握られている。
「スザク」
「コーネリア総督はどうされている」
「…この場は僕に任せられ、軍を整えるためにいったんトウキョウ租界にお戻りになられた」
愛する妹の死を知ったコーネリア様は戦闘の中止命令を出して政庁に引き上げてしまった。僕はギルフォード卿の判断で
アヴァロンに状況を確認しにきていたのだった。わざわざ足を運ばせたのはおそらく彼の心配りなのだろう。
- 509 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:37:15 ID:v7m0c+Lu
- 「…そう」
スザクは扉を振り返った。あの向こうにユフィが眠っている。彼女の愛らしい笑顔はもう二度と見られない。
「総督に伝えてくれないか。ユフィの仇は俺が、必ず俺がゼロを殺すと」
彼らしからぬ台詞に思わずスザクの顔を凝視してしまう。その時はじめてスザクと目が合った。
「…ッ!」
いつも明るい光を宿していた翠玉の瞳に暗い炎が灯っている。僕は息を呑んだ。
僕はこの瞳を知っている。底知れぬ深い憎悪を糧に暗く燃えさかる負の感情。でもどこで?
「じゃあ、…もう行くよ」
きびすを返すスザクの後をセシルさんが追う。僕はその背に掛ける言葉もなく立ち尽くすしかなかった。
この時スザクをそのまま行かせてしまったのを、僕はずっと後悔し続けることになる。
僕はアヴァロンを降りギルフォード卿の元に出頭した。コーネリア様は既に陣頭で指揮を執られているようだ。
今更ながらコーネリア様の強靱な精神力に感嘆する。
ごめん、ユフィ。
僕は心の中で大切な友達に語りかける。
まだ君のために涙を流せない。あの方が泣いていないのに、どうして僕が泣けるのだろうか。
「敵は黒の騎士団を中心としてトウキョウ租界を目指し進軍を開始している」
遅れて到着した僕のために、ギルフォード卿は租界周辺の地図を映しだしたモニターで手早く現状を説明してくれた。
「エリア11の各地でイレブンの蜂起が始まっているとの連絡も入っている。だが当面の敵は黒の騎士団、彼らをいま
抑えれば地方の動きも沈静化するだろう」
状況は防衛戦。一時的にトウキョウ租界を黒の騎士団に明け渡しシュナイゼル殿下の援軍と合流した上での反撃も
検討されたが、ここで悪しき前例を作るのは他の《エリア》の統治にも影響が出かねないとして却下となったようだった。
- 510 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:37:54 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- しえん
- 511 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:39:40 ID:v7m0c+Lu
- まずは租界への侵入を防ぐ。その上で援軍と合流し、速攻で黒の騎士団を叩く。今回はこれまでの局地的な戦闘とは
明らかに違う。黒の騎士団はこの一戦に賭けている。
ゼロとて戦闘が長期に及べば自分たちが不利だと分かっているだろう。それだけに租界外周は激しい攻防が予想された。
「ライ、貴公はテュール第3分隊をもってポイントD-4の守備にあたれ」
「イエス、マイ・ロード」
親衛隊直轄のサザーランド機動隊、イシカワ侵攻時に任された倍以上の戦力だ。あの時はダールトン将軍の指示のもと
特定のポイントを攻めるだけでよかったが、いま受け手に回っているのは僕らの方だ。
…特区日本式典会場にいたダールトン将軍の行方はまだわかっていない。
よほどこわばった顔をしていたのだろうか、ギルフォード卿は僕の緊張をほぐすように笑顔を見せるとポン、と肩を叩いた。
「臆するな、私も隣のポイントで指揮を執る。貴公の働きに期待しているぞ」
命令された配置につくために再び格納庫に急いだ。
僕のクラブはランスロットほど潤沢にサクラダイトを使用できていない。とりわけ違いが顕著なのは出力だった。
スザクのような無茶な動きをクラブでしようとすると大量にエナジーフィラーを消費してしまう。防衛戦ともなると
そう頻繁にエナジーの換装は行えないだろう。いっそう効率の良い戦い方が求められてくる。
クラブのデータをロイドさんが収集しにきた際に、エナジーの消費量について意見をしたことがあるが
『だからライくんの専用機なんだよ』とあっさり返されてしまった。スザクのランスロットといい僕のクラブといい、
搭乗者を選ぶようなピーキーな機体ばかり作って量産機にどうやって反映させるのだろうか。不思議でならない。
僕は悩んだ末にキュウシュウ戦役の際に取り付けられたフロートユニットを外すようメカニックに指示をした。
飛ぶ必要がなければただの重りでしかない。空からの支援は航空部隊に任せよう。
その足で指揮を任された第3分隊とのミーティングを済ませ、僕らは出撃する。ゼロが通告したという24時の
刻限まで、あと僅かな時間しかなかった。
- 512 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:40:26 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 支援
- 513 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:41:40 ID:v7m0c+Lu
- 両軍が対峙する中、時計がタイムリミットの24時を刻む。それと同時に地を揺るがす轟音が鳴り響いた。
「何ッ!」
トウキョウ租界のフロアパーツが次々と切り離され、崩落していく。租界の外周に陣を敷く形を取っていた
ブリタニア軍はひとたまりもなかった。
「ハーケンを放て!退避ッ!!」
僕はとっさにそう叫ぶと同時にスラッシュハーケンを放ち、崩れる足場を間一髪で逃れる。
崩落に巻き込まれ、ブロックに押し潰された戦車やナイトメアが炎を吹き上げながら眼下を滑り落ちていく。
いや、目の前だけじゃない。租界の外周に沿ってどこまでも、どこまでも。
その延々と続く破壊の光景と、遠いどこかの光景が重なった。
(ライが命じる、我が国に害なす者達を皆殺しにせよ!!)
(一兵たりとも生かして帰すな!)(国王ライ万歳!!)
(お兄さま、助けてお兄さま!!きゃあああああ!!)
(国王ライ万歳!!)(国王ライ万歳!!)(国王ライ万歳!!)
(──おやすみ)
ガクン、と激しい衝撃がコックピットを襲い、僕は我に返った。
《しっかりしろ!ライ!!》
僕のクラブはギルフォード卿が放ったハーケンに絡み取られ、かろうじて落下を免れている。過去の記憶に気を
とられていた僕は最初に退避した足場が更に崩れたのに気づかなかったのだった。
- 514 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:43:18 ID:v7m0c+Lu
- 思い出した、全てを。
思い出してしまった。
僕の愚かしい罪も、失った大切な人達も。
《ライ!どこか負傷しているのか!?》
ギルフォード卿からの呼びかけに否と答え、両手で頬を打ち頭を振って過去のビジョンを追い払う。
改めて操縦桿を握り直し、前方を見据えた。僕にはまだやるべき事が残っている。
さすがは親衛隊直轄の部隊と言うべきか、僕が指揮を任された隊の被害は軽微だった。ハーケンを命綱に無事崩落から
逃れたようだ。だが瞬時にして戦力の大半を失ったために兵の動揺が激しい。
これまでもゼロの戦い方は常に先手・奇襲で相手の戦力を大きく削り、指揮系統を混乱させての各個撃破。
だから今回も何か奇策を打ってくる。それはブリタニア軍も分かっていたはずだったが、宙に堂々と浮くガウェインの
威容とタイムリミット24時の宣告に、黒の騎士団が正面から攻めてくると思い込んでしまったのだった。
やはり戦略ではゼロが一枚上手。
この崩落でトウキョウ租界への入り口である幹線道路を封鎖していた部隊はほぼ壊滅してしまった。それに瓦礫の山が
租界を取り巻き、絶好の足場を築いている。これではどこからでも敵の侵入を許してしまう。すべて計算尽くか!
《全軍に告ぐ》
コーネリア様からの通信が届く。
《全軍ブリタニア政庁まで後退せよ!繰り返す、全軍ブリタニア政庁まで後退せよ!》
- 515 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 22:44:05 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 支援!
- 516 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:45:11 ID:v7m0c+Lu
- ブリタニア軍は戦力と地の利を失った。このままみすみす黒の騎士団に各個撃破を許すわけにはいかない。
僕は他の負傷者をかばうように隊の陣形を整えさせると政庁までの後退を開始した。だが、移動を始めてすぐに
隊の1機が遅れがちなのに気がつく。見ると右のランドスピナーの回転率が悪いようだった。
「5番機、駆動系に問題が?」
《先程の衝撃で破損したようです。多少出力は落ちていますが、まだ走れます》
「了解した、後方のフォローに回る。2番機、僕の位置に入れ。陣形を崩すな」
そう言って僕が遅れた5番機の後ろに回り込もうとした時だった。
レーダーに熱源反応が映った、と認識するより体が反応する方が早かった。振り上げた僕のランスと相手の刃が
ぶつかり合いギイィィイインと耳障りな音を立てる。続けざまに襲ってくる刃を下から跳ね上げ、空いた胴に柄で
突きを入れる。後方に跳ね、避ける敵にアサルトライフルで追い打ちを掛けるが、相手は刀を回転させてそれを防ぐ。
《隊長!!》
「僕に構うな!!行けッ!」
《イ、イエス!マイ・ロード》
走り去る5番機と敵の間をふさぐようにして僕はそのナイトメアに対峙する。
黒のカラーリング、頭部に二房の赤い飾り髪。
黒の騎士団のTYPE-03F──月下。
搭乗者は『奇跡の藤堂』。
- 517 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/11(火) 22:47:40 ID:v7m0c+Lu
- #(・∀・)支援ありがとうございました。2章前編終了、後編に続きます
#藤堂さんとは我が騎士との対戦後に遭遇したと言うことにして下さい。連戦お疲れ様です
#本編沿いはどうしても劣化コピーになってしまう…改めてLCシナリオライターさんは凄い
- 518 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:00:46 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- (・∀・)卿
gjです!
これからどう本編とどう変わっていくのか、それ以上に藤堂対ライにwktkだったりします。
>>499
gjです!
カプは井上さんでしたか!
酔っていたシーンはレナみたいな井上さんを想像してしまいました。
カレンには気の毒ですがさすが一級フラグ建築士ですねw
あいかわらず、上手かわいいSSごちそうさまです。
さて、自分も一つ16レス分のSSを投下しようと思っているんですが、23時15分から投下してもよろしいですか?
- 519 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:03:57 ID:at4YaNWm
- 支援はお任せを
- 520 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:16:27 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 俺式ロスカラ続編〜騎士団カレンルート〜 4話
一応シリアス系でタイトルどおり、騎士団カレンルートから特区日本の失敗ifからの続き。
ライカレ前提のお話ですが、今回は戦闘メイン
だいたいライ視点。
「ライくん002チャンネルで面白いものやってるわよ〜」
ちょうど今、中華連邦の山岳地帯で実地試験を行っていた最中だったのにラクシャータさんから通信がはいってきた。
今回の試験は前回のように輻射波動の試験ではなく、暁の指揮官機 残月のテストを僕がそれに乗って行うというもの。
外見や名前は以前の暁0式と変わらないものの、駆動系などの中身は明らかなチューンアップを実現していた。
試験内容はおもにペイント弾での模擬戦闘なので、以前より安全なところで行えるのである。
「日本人よ私は帰ってきた!聞けブリタニアよ、葛目せよ力をもつすべての者たちよ!」
モニターからは、一年前に見てからそれ以来見ることがなくなった仮面の男
『ゼロ』が大袈裟にマントを翻しながら演説を行っている。
「ついに成功したんだ!カレンたちは!」
模擬戦などほったらかして画面に釘付けになる。
「ラクシャータさん。当初の作戦通りただちに上海方面に戻りましょう!
たぶんブリタニアは、今つかまってる黒の騎士団の処刑を近いうちに行うはずです。」
- 521 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:17:02 ID:at4YaNWm
- 支援
- 522 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:18:03 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
-
ライの予想はしっかりあたっていた。
しかし、急いで試験を終わらせてトラックを飛ばしても中華連邦の奥地で模擬戦を行っていたため、
神楽耶のところに着いた時には処刑の一時間前。
「ゼロ様はこのピンチを潜り抜けられるでしょうか?」
と神楽耶が訪ねてくる。
「愚問ですな。咲世子 先々の手配を、それと戦闘隊長は新型の積み込みを。」
ディートハルトは当然というように自信たっぷりである。
はたして本当に大丈夫だろうか。
僕は移動中にゼロが起こしたバベルタワーでの情報を集めてみた。
あのタワーを爆破しその瓦礫によってカラレスを押しつぶした。
さらには倒れた塔を道として使い中華連邦の総領事館に立てこもったという。
この手並みから、あのゼロは本物で中身はルルーシュだと確信はできる。
けれど、アッシュフォード学園の状況は以前C.C.から聞いていたので
ルルーシュは常に記憶が戻ってないように行動しなければならな事もしっている。
はたしてここまでの逆境を跳ね返すことができるのだろうか。
「信じましょう。ゼロ様を。今の私たちにはそれくらいしかできないのだから。」
僕が心配しているとそれが伝わったのか神楽耶が僕の強く握ったこぶしの上に手をそっと置いた。
「私なら悪を為して巨悪を討つ」
それまでのギルフォードとゼロの会話はオープンチャンネルだったため、ライたちには全て聞こえてはいたが
ライは一切耳を傾けずにこの作戦が成功する事例を片っ端から想定していった。
しかし、先ほどの言葉がライを思考の世界から現実に引き戻してくれたのだ。
正確にはあの言葉もそうだが、直後に起こった音により引き戻された。
あの言葉の次の瞬間、映像の中からすごい音とともに処刑場が崩れて下がっていくのがわかった。
そう、それはまるで かつて僕が参加できなかったブラックリベリオンのように
処刑場の地面となる基盤の対震構造となるベースをパージしたのだ。
- 523 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:19:51 ID:at4YaNWm
- 支援
- 524 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:20:05 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 決闘の武器として鎮圧用の盾を借りた意味がようやく理解できた時、ルル―シュは既に中華連邦の総領事館に入っていた。
神楽耶の言うとおりどんな事例を想像したって連絡すらとれない今では意味がない。
最初から彼を信じていれば、歴史的瞬間をもっと落ち着いた状態で友を見守ることができた事に少し後悔を覚える。
僕らの基地ではみんなが大喜びしていた。
カメラからは崩れた地面の向こう側の情報はわからない。
このあとのブリタニア軍の追撃の様子は一切わからないが、そうかんたんには手だしできないだろうし
なによりも扇さんたちが救われた事は間違いない。
自分たちのこの一年の活動が実り、大きな成功を導けたこと、嬉しくないはずはない。
ディートハルトはモニターを抱えながら飛び回り、咲世子と神楽耶はハイタッチしている。
ラクシャータですら相当の笑顔でキセルをポンポンとリズムよく手のひらに当てながら喜んでいる。
ゼロが起こす奇跡によって団員が魅了され、作戦が成功する度に少人数でこうやって喜ぶ。
人数はかなり減ってしまったが、僕が入ったころの騎士団の様子とあまり変わらない。
咲世子と神楽耶が僕にハイタッチを求めてきた。
笑顔がとてもかわいらしく見えた事はカレンには口が裂けでもって言えない。
ただ、今はとてもうれしいし断る理由もない。
「これから忙しくなる事がこんなに嬉しいなんて思っても見なかったよ。」
と、嬉しくて頬が緩む。
「お義兄様はこれからいーっぱい働くんだから、いまの言葉 忘れちゃダメですわよ。」
いたずらっぽく笑いながら僕の胸を小突く彼女をまたもかわいいと思ってしまった。
いけない、いけない…
ふと浮かんできたカレンは紅蓮のコクピットから僕をひきつった笑顔で見下ろしていた。
たぶん長いあいだカレンにあってないから、色々溜まってるんだろう。
と都合よく解釈して頭の中で怒ってるカレンを気にしない事にした。
- 525 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:21:41 ID:at4YaNWm
- 支援
- 526 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:23:10 ID:ac2avdz1
- 支援
- 527 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:23:51 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- そして、その日のうちに僕とラクシャータさんは潜水艦の準備を開始し、咲世子さんは蓬莱島の手配に取りかかった。
数日経ってからゼロからの連絡がついにきた。
主な内容は卜部さんの戦死やバベルタワー、団員奪還作戦での被害状況。
それと、どうやら明日ナナリーが新総督として日本にくるらしいので
こちらの残った全戦力で奪取を試みるらしい。
向こうはありったけの戦力をぶつけるつもりらしいが、それでも戦力として乏しいものがある。
今回の通信目的は、その増援として直ちに出発せよとの事だった。
積もる話もあったが、ゼロと二人きりで話す そんな事はできないとわかっていたので、
“精一杯頑張ろう”とルルーシュへのメッセージを送った。
案の定、僕の発言の意味を知ってか鼻で笑いながら
”頑張るだけでは無意味であり結果が全て”と訂正してきた。
どうやら、兄としての覚悟は決まっているらしい。
「すまない。当たり前のことだったな。」
仮面のしたで彼はフンと鼻で笑ったのが相変わらずのしぐさであり、とても彼らしい仕草だ。
- 528 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:24:43 ID:ac2avdz1
- 支援
- 529 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:24:49 ID:at4YaNWm
- 支援
- 530 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:26:11 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 作戦開始から一時間がすぎている。
ブリタニア軍の東京からの援軍ももう到着しているだろう。
ライのテストへの参加により予定よりも早期に完成した暁が潜水艦には数機あったが、僕は単独で発進する事にした。
ゼロに実地試験でのラウンズによる奇襲を報告し、僕らが地下活動の時に集めた戦力で海洋警戒部隊の陽動作戦をするように頼んだ。
そのおかげもあって、この潜水艦は途中攻撃される事もなく日本にむかう事ができたものの、これから先 母艦への敵襲がないとは限らない。
それに、脱出した騎士団の回収も行わなければならないからだ。
出撃してすぐにナナリーの乗る旗艦を捕捉できたものの状況はすこぶるよくない。
こちらの戦力は少し前に朝比奈さんが脱出した上無事な機体はどうやら月下3機とカレンの紅蓮だけのようだ。
それに比べ、向こうはラウンズが2人もいる上に以前戦ったヴィンセントのような機体だけでも5機いる。
あらかじめ、僕らを警戒していたハワイ駐屯部隊の一部が合流していたのだろう。
「聞いてたとおり、戦力は多いわね。」
藤堂のハーケンを使い3機目のフロートユニット装備型サザーランドを仕留めた紅蓮のパイロットはそうこぼした。
護衛艦にとりついた機体が本艦に取りつくまで、敵の増援もあってか予定以上に遅れてしまった。
その上、こちらの戦力は全員がエースといえどたったの4機。加えてナイトオブラウンズまで出てきたという始末。
さすがに、この戦力差と作戦へのプレッシャーからは黒の騎士団のエースでも逃れることは難しいのだ。
「ライっ、はやく来て…」
一方そのころ、ブリッジにアラートが鳴り響いた。
大型物体が自分たちの船に接近している事を意味するアラート
「右翼護衛艦操舵不能!このままでは本艦に直撃します。」
「はぁ?!」
アーニャの駆る機体。ラウンズの中でも重装甲機であるモルドレットがシュタルクハドロン砲を構える。
- 531 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:28:47 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- しかし、彼女がトリガーを押すことはなかった。
なのにnけたたましい音と閃光が戦艦は爆発を起こす。
原因は斜め下からの赤黒い光線だった。
「相変わらずだな、モルドレットのやることは」
「……私じゃない」
「えっ?」
――――――――――――――
小型艦を撃破して間を開けず輻射波動砲弾を撃ちはなった。
固まっていたヴィンセントの部隊への射程距離はギリギリだったものの、ヴィンセントを二機撃破できた。
海のようなやや深い青色の機体、頭部についている機体より濃い青の毛束。
キラキラと銀色に光る水面のようにその機体の左腕は輝いている。
海を背景に海のような機体が飛んでくる様はとても綺麗でどこか幻想的だった。
以前の暁0式を残月用の試験機として改造した機体。先行試作型残月。
「みなさんお久しぶりです。こちらライ。これより援護します!」
- 532 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:29:27 ID:ac2avdz1
- 支援
- 533 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:30:46 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 誤字すいません。
なのにnけたたましい音と閃光が戦艦は爆発を起こす。
↓
なのに、けたたましい音と先行が起こり戦艦は爆発する。
- 534 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:31:18 ID:ac2avdz1
- 支援
- 535 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:31:26 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 「助かった戦闘隊長殿!!」
「ありがとうライ!」
音声だけの通信だけれど、みんなが喜んでくれているのが分かりこちらまで嬉しくなる。
以前 王と呼ばれ自ら戦にたった時にも、こういった歓喜を浴びせられるのは心地いいものだった。
ヴィンセントの残った部隊は混乱をすぐに回復し、藤堂さんたちに追撃をかけている。
どうやら優秀な指揮官がヴィンセント隊の指揮を取っているのだろう。
援護するために、機体を動かそうとした時。巨大なハーケンがこちらに飛んできた。
かわす事が無理だと判断し即座にシールドを展開する。
ハーケンが大きかったせいか機体へのダメージはないものの、かなりの衝撃をもらってしまう。
攻撃してきた機体は以前、試験を襲撃してきた機体とかなり似ていた。
「ちぃっ、あの時のラウンズか!」
特徴から、機体のバージョンアップだろう。パイロットは以前 孤島での奇襲時に戦ったであろうジノ・ヴァインベルグ。
しかし、こちらも暁のポテンシャルを超えた機体、残月の先行試作型を使っている。
以前よりも十分に強化されているだけでなく、勘を取り戻すためと言うよりはむしろ腕前を上げるために
シュミレーションでの 対精鋭多数戦や大幅な性能差がある機体との模擬戦など、僕自身も様々な努力をしてきた。
それらに加えて、この戦場には以前と違ってみんながいる。そのことがなにより心強い。
それらの好条件がそろい、今はとても澄んだ感覚で残月を操縦できる。
「この間のかりを返させてもらう!」
僕はトリスタンに狙いをつける。
- 536 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:32:23 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- ちょうどそのとき、別方向から新しい機体がこちらに向かってくるのが見えた。
どうやら少し離れた輸送艦からスザクがランスロットを発進させてきたようだ。
(しまった、こちらはトリスタンの相手とヴィンセントへの牽制で精一杯。)
「まずいカレン。艦の中へ!」
「でも、まだみんなが」
と言ってランスロットのヴァリスを輻射波動で受ける。
しかし、スザクは連続してハドロンブラストを放つ。
流石のグレンもこれには耐えきれず、右腕と頭部を破損させてしまう。
その衝撃により取り付いていた戦艦から落ちてしまう。
「紅月!!」
と千葉さんの月下が助けようとするが、間に合わないどころかモルドレットに捕まってしまい、傷ひとつ付けられないまま撃破されてしまう。
「だめ、脱出レバーが動かない。」
脱出勧告する画面は出ているものの一向に紅蓮の脱出機構は作動しない。
ガコッという音が虚しくコクピットに響き渡る。
「落ちちゃう。ごめんね紅蓮 お母さん、お兄ちゃん………………………ライっ。」
「カレン大丈夫かい?」
目の前にいるラウンズと戦いながら、音声だけで通信を行う
「ライ、どうしよう。脱出できないの」
「大丈夫だよカレン。もうそろそろだから。」
何の事かわからず落ち着かない様子で首を傾げるカレン
そこへいきなり、ラクシャータが通信を送ってきた。
「ベストポジションじゃない」
「ラクシャータさん!?」
「おまたせ〜 黒の騎士団特製、飛翔滑走翼。教本の予習はやった?」
「はい!」
「じゃあ問題ないわね〜 舞上がりな〜 飛翔滑走翼〜」
- 537 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:32:33 ID:at4YaNWm
- 支援
- 538 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:33:54 ID:ac2avdz1
- 支援
- 539 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:34:35 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 今、相手にしなければならない僕の敵は6機
そのうち3機は藤堂さんの追撃。援護したいのは山々だが、さすがにラウンズが三人もいる以上彼らから目を話す事は許されない。
ラウンズの機体は火力重視の機体と、スザクが駆るバランスのとれたランスロット。
そして、以前戦ったトリスタン
どう戦うか様々なシュミレーションを頭の中で即座に行いながら僕は残月のレバーをさらに強く握りしめた。
「二人とも、本気でいけ! あのパイロット ラウンズ並みの腕前だ。
奴に対して無闇に背中を見せるのは危険だ。総督はこいつを何とかしてから助けよう。」
「ジノがそう言うなんて、以外…」
「ジノがそこまで言うなんて…あの機体やっぱり……」
「おいおい、二人ともさり気にひどい事いってないか?」
そんな他愛もない会話を行っていてもやはり腕前は帝国最強というラベルをもらうことはある。
隙のない攻撃と間合い。ラウンズを簡単に突き崩せないという事を改めて実感せざるを得ない。
3機のラウンズ専用機が一斉に攻撃を行うがシールドと機体の反応速度をフルに利用した精密な操作入力で、
弾をかわしつつランスロットに斬りかかったものの、向こうもMVSで斬り防いぎ、鍔ぜりあいに持ちこまれた。
流石にもう油断はしてくれないみたいだ。
「ライ!ライなんだろう?ジノやロイドさんから話は聞いていたけど、やはり生きていたんだね。」
「あぁ、この通りな。でも、どこかの虐殺皇女様のおかげで本当に殺されそうだったよ。
そのせいでゼロも守りきれなかったしね。」
と皮肉を込めて挑発してみる。
「何も知らないくせにっ!ユフィを、ユフィを愚弄するなぁっ!」
「落ち着けスザク!」
案の定、 スザクは挑発に引っかかり、一度距離をあけてからこちらに突撃してきた。
どうやら、ジノの制止すら聞けない位に冷静さを失っているらしい。
「知ってるよ。キミのことも、そしてゼロのことも。」
- 540 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:35:50 ID:ac2avdz1
- 支援
- 541 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:36:09 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 輻射波動を構えるフェイントに簡単に引っかかったランスロットのヴァリスを破壊するのはとても簡単だった。
そしてちょうどそのとき、藤堂さんと仙波さんの月下は大破してしまったものの
残りのヴィンセントを紅蓮が全て撃破してからこちらの戦線に復帰した。
ついに黒の騎士団の双璧が、本当の意味で復活したのだ。
「カレン、こうやって君の背中に立てるのは久しぶりだね。」
以前日本で潜伏していた時もカレンと作戦をともに行うことはあったが、
乗っていた機体は現地の無頼だったためライは指揮を取る方が多く、前線で一緒になることは滅多になかった。
「そうね、今日はちゃんとした機体使ってるみたいだし期待してるわよ。」
紅い機体が突撃し、青い機体が紅い機体に向けて攻撃を行う機体を牽制しつつ突撃の補助を行う。
そして、カレンの突撃力の迫力もさることながら、ライの機転の利いた判断力や的確な敵行動の予測。
それらによってなされる完璧な連携攻撃は3対2の戦況をいとも簡単に優位な立場に持ち返す。
赤と青の機体が入り乱れ可憐な紫色の連携攻撃をしかける様は、他の団員にはとても綺麗な希望の色に見えただろう。
ランスロットの左足と左腕を破壊しスザクを退かすことに成功。
残りのラウンズも、僕らを警戒し後手に回っているようだったので、一気にたたみかけるように攻撃をしかけた。
「結構やっかい。」
赤黒く比較的大きな機体に乗る最年少のラウンズがボソッとこぼした。
- 542 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:37:52 ID:ac2avdz1
- 支援
- 543 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:38:53 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 戦況で言えば騎士団がやや有利。
しかし状況ではお互いに全く良くはない。
ゼロとナナリーを乗せた旗艦があと一分で沈没するらしい情報をライは聞いた。
(そうか、スザクの後退にはそういう理由があったのか)
「双璧をなめるな〜」
カレンがモルドレットのフロートを破壊する事に成功したので
ランスロットのむかう先にゼロがいる可能性が高いとカレンに告げ、ライはこの場を受け持った。
トリスタンと空戦機動力の低下したモルドレット。
モルドレットを攻撃しようとしてもトリスタンがうまく援護をおこなう。
以前と似たような状態がまた出来上がった。
しかし、今回は決定的な違いがある。機体はお互いに性能が上昇しているが、ライ自身の性能の差
以前より対精鋭多数に苦手意識がなくなった上、調子も良好 手応えはいい感じといったところだろう。
トリスタンの攻撃を全て紙一重でかわしながら、モルドレットとの距離をつめる。
モルドレットはミサイルやハドロン砲で牽制してくるのがやっかいだったので、
2つの機体が近づいた時ゲフィオンネットを発射してみた。
無論 このミサイルの効果は知られてるはずだが、これで動きをとめる事が目的ではない。
2つの機体を離す事が本当の目的。
こうして生まれた刹那の1対1の状況。
「逃がすかぁぁぁぁぁ!!」
- 544 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:39:36 ID:D0CwwXPl
- 支援
- 545 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:39:41 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 一気にブーストを使ってモルドレットに突撃をする。
ブレイズルミノスによって残月の左腕が直接モルドレットをつかむ事はなかったものの、
(この距離なら)
一気にボタンを押し至近距離で輻射波動砲弾をたたきこむ。
イケる。
そう思った瞬間、急に頭痛に襲われた。
「何だ?この人の意識みたいなものが流れてくる感じは」
どこかで味わった事のあるこの感覚。
必死に思い出そうとして、思いついたのは1年前の特区日本でCCに触った時の感覚にどことなく似ている。
しかしそんな事をうっすらと思い出せても、戦闘が継続できないくらい頭が痛いのは変わらない。
敵の目の前で意識を手放すという事は二度と目を覚ませなくなる可能性が極めて高い。
ふと相手の機体をみてみると向こうも動いていない。
それが死を直前にした恐怖から止まってみえたものと勘違いし、ライは絶望により意識を手放した。
このときのライには知る術もなかった。
モルドレットも自分と同じように落ちていたから動いていないように見えただけで、
モルドレットのパイロットもライと同じように頭痛に侵されていたという事を。
- 546 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:40:16 ID:ac2avdz1
- 支援
- 547 :B.B. ◆lpNb5xIsIU :2008/11/11(火) 23:41:18 ID:Nf/IhJ6i ?2BP(0)
- 以上です。タイミングのいい支援ありがとうございました。
前回に続き今回も戦闘メインです。
ssってイメージ湧いてもうまく表現するの難しいですよね^^;
まぁ、うまく表現できているかわかりませんが。。。それがss書く面白さだったり。
わたくし、第六話はR2で最終回と同じくらい好きなんです。
なので、あの時の紅蓮のかっこよささをライの機体でうまく表現できてたらいいなと思ってます。
それでは、次回も頑張らせていただきます。
- 548 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/11(火) 23:56:11 ID:ac2avdz1
- >547
投下おつかれさまでした!
ライの新型、残月の輻射波動バージョン。
藤堂さんと並んでも絵になりそうですね。
アーニャとライ、敵同士の位置にいて、どう絡んでいくのか。
マリアーニャは絡むのか?
気になることは多々あれど。
仙波さんが死なずに済んだみたいで嬉しかったり。
次回の投下を楽しみにしております。
>>517
とうとうブラックリベリオン突入。
鬼神と化したスザク、折れることができずにいるコーネリアが辛い。
彼らを気遣うライが切なく思えました。
ここで立ちはだかるのは藤堂さんなんですね。
以外に本編でいいとこ見せられなかったりする藤堂さんの
活躍が増えますように。楽しみになります。
しかし、辛いですね。ブラックリベリオンは。
この先どう変化した世界を見せていただけるのか、楽しみにお待ちしています。
- 549 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 00:05:42 ID:zcq+WNvz
- >>547 乙です。なんかライカレって安心しますよね。次作もお待ちしています。
- 550 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 00:50:07 ID:qGJgnToR
- >>517
(・∀・)卿、GJでした!
ユフィのあっさりとした死に口が開きっぱなしでした。
いや、確かにそうだったけど……やはり、辛い。
そして、アシバーストで全てを思い出すとは!
精神的にはかなり悪い時にVS藤堂、期待せずにはいられません!
>>547
B.B.卿、GJでした!
アシバーストでの勝利を見て喜ぶ騎士団の面々、なんかいいねぇ!
試作残月、登場がナイスなタイミング!
挑発により、スザクのヴァリスを破壊、さらにカレンとの連携!
……燃えるぜ!
ラストの描写は非常に気にかかりますね。
貴公らの次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 551 :うにゃら…:2008/11/12(水) 17:29:43 ID:IybxDZn2
- 投下します。
支援は必要ありません。
タイトルは「アッシュフォード生徒会の何気ない日常〜迷走編その2〜」
前回の続きです。
前作を読んでない方、前作を読んでつまらないと思われた方はスルーしてください。
また、終了レスはしませんので、文章の最後に<おわり>と出ていたら、それで終了です。
全部でこのレスを含め4レスです。
- 552 :うにゃら…:2008/11/12(水) 17:30:30 ID:IybxDZn2
- アッシュフォード生徒会の何気ない日常〜迷走編その2〜
ルルーシュから事実を知らされて一週間が経った。
だが、僕は迷い続けている。
僕は本当は何をしたいのか。
それさえも判らなくなっていた。
そんな時だった。
あの光景を見たのは…。
その日、僕は生徒会室に行きたくなくて一人で街を彷徨っていた。
皆と一緒にいることは楽しいし、嬉しい事だ。
出来れば一緒にいたいと思う。
だが、ミレイさんの顔を見るのが辛い。
いや、それもあるがそれが原因ではない。
自分自身を誤魔化してどうする。
優柔不断でやりたいことさえ判らず、不甲斐ない自分を見せたくないという自己的な理由じゃないか…。
逃げの口実を作ってしまってどうするというんだ。
なんて情けないんだ、僕は。
そう思っているとある光景が僕の目に入った。
普段だったら気にもしない街中のカップル達。
だが、そのカップルのうちの一組が問題だった。
- 553 :うにゃら…:2008/11/12(水) 17:31:35 ID:IybxDZn2
- そこには、眼鏡をかけた背の高い男性と二人で歩く着飾ったミレイさんの姿があった。
男性の腕に手を絡め、なにか楽しそうに会話をしているようだ。
そして、最近は見ることが出来なくなっていたミレイさんの楽しそうな笑顔が今、そこにある。
だが、その笑顔が向けられているのは、僕ではない。
僕は、それを見て悟った。
やはり、僕は…。
僕では、駄目なんだ。
あはははは…。
口から自然と自嘲の笑いが出た。
そして、気が付くと頬が涙で濡れている。
頭の中が真っ白になっていたが、その光景から目を離せないでいた。
そして、二人の姿が見えなくなると、ふらりとその場を後にした。
もう、どうでもいいや…。
自暴自棄というのはこういう気持ちなのかもしれない。
自然と僕はゲットーへと足を向けた。
もう、租界にも学園に戻りたくない。
その思いだけが僕を突き動かしていく。
そして、僕はこの街を後にした。
- 554 :うにゃら…:2008/11/12(水) 17:33:01 ID:IybxDZn2
- ライが学園に姿を見せなくなって3日が過ぎようとしていた。
部屋に戻った形跡は無い。
思い詰めていた表情だけが頭に浮かぶ。
あの馬鹿がっ…。
俺は焦っていた。
あまりにも言い方が冷たすぎただろうか。
そういう思いが沸きあがってくる。
だが、いくらオブラートに包もうが現実は変らない。
だから、俺ははっきりと言い切った。
やつなら、きっと大丈夫だと思ったし、会長を任せられると思ったから。
だからこそ、奮起のつもりで言ったはずだった。
それがこんな事になるとは…。
自分の読みの甘さとライの不甲斐なさに怒りさえ沸いてくる。
しかし、今はライを探し出すことが先決だ。
そう思い、俺はあらゆる情報網を使って彼を探した。
その手段の一部がゼロとしての力であったとしても躊躇しなかった。
それほど彼との関係は大切だと俺には思えたのだ。
ライは、俺の親友だからな。
気恥ずかしかったが、それが俺が出した結論。
だから、俺を失望させるな。
<おわり>
- 555 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 17:44:26 ID:b9ZqU5Qp
- >>554
お疲れ様です!ライはちゃんと戻ってきますよね!?
このシリーズが好きなので次に期待してます!!
- 556 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 18:24:39 ID:qGJgnToR
- >>554
うにゃら…卿、GJでした!
ライの受けた衝撃、ルルーシュの友情
あぁ、目から水が溢れてきた……
ライの行方、そして話の続きは如何に!?
貴公の次の投下を全力で待っています!
- 557 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 20:12:11 ID:9CJdBdp+
- 投下します。1レス物です。
タイトルは、『蒼き亡霊 ep00,11 〜過去。はじまりの銃声〜』
支援は要りません。(当たり前か…)
- 558 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/12(水) 20:13:09 ID:9CJdBdp+
- 蒼き亡霊 ep00,11 〜過去。はじまりの銃声〜
「君が姿を消したのは……あの力のせいだね。
とりあえず、君の好きなようにするといい。
でも、僕は君をあきらめないよ。
なんといっても、君は最高のデヴァイサーだからね。
それに、僕のクラブも持っていっちゃってるんだから絶対に返しにきてよね。
んっふっふっふ〜」
つい昨日、クラブのコックピットで聞いた言葉。
僕は、眠りにつくまえにやらなきゃいけないことがある。
そのために、僕は
少年は帝都へ梶を向けた。
為すべき事を為すために。
蒼き亡霊
連載開始。
変革の波が世界を揺るがす。
- 559 :御錬師 ◆u/BSqNBIsk :2008/11/12(水) 20:20:56 ID:9CJdBdp+
- 最後3行は作品ではありません。あとがきです。
最後の三行は保管しなくて結構です。
ps
トーマス卿へ
0031ー0230「紅と銀と碧△ピザ」のタイトルを、「紅と銀と碧〜△ピザ〜」
に変更と、0030ー0493「紅と銀と碧」カラのリンクお願いします。
- 560 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 20:39:58 ID:CzM6icro
- これは面白そうな話になりそうw
どんな展開になるか期待。
- 561 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 22:53:43 ID:qGJgnToR
- >>559
御錬師卿……ん〜、なんて言えばいいんだろう?
乙でした! でいいのかな?
なかなか気になる予告、本編が楽しみですね。
1レスでは先は全く読めず、待つしかないのは結構辛い。
貴方の次の投下を全力で楽しみにしております!
- 562 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:15:18 ID:tMFs0CBm
- 23:30に投下予定です
9スレほどになります、支援があれば嬉しいです
- 563 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:16:17 ID:VnL0vML+
- 了解、支援します
- 564 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:23:13 ID:Yr1MZys2
- とりあえずツッコもう
長っ!
- 565 :ピザの配達人 ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:30:20 ID:tMFs0CBm
- 毎度ありがとうございます、ピザーライです
久々にSSのお届けに参りました
今回は「コードギアス REGAIN COLORS」の22話を投下します
注意をよく読み、お召し上がりください
注意点
・これはライをR2に登場させたお話です
・「ギアス編」終了後からという設定になります
・ライを中心におくため本編をカットする場合があります
>>564
申し訳ありません、いつもこのくらい間隔あけていたので・・・・
- 566 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:31:08 ID:ACSVyty3
- 支援いたす。
- 567 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:32:21 ID:tMFs0CBm
- 第22話「悲しき願い」
「ここ・・・は・・・・・」
目を開けたライの視界に映るのは見覚えのある天井だった。
斑鳩の医務室だ、何度か怪我をしてここに来たことがあるし間違いない。
「目が覚めたみたいだな」
「藤堂さん?」
どうにか体を起こそうとするが、痛みが走り顔を歪ませてしまう。
「無理するな、脇腹に風穴を開けられていたんだぞ」
藤堂からあの後のことをライは聞くことにした。
ライはすぐに病院に運ばれて緊急治療を受けたそうだ。
その後、容態が安定すると第二の刺客の可能性も考えられるためライを斑鳩に移したらしい。
「しかし、あのゼロがあそこまで怒るとはな」
「怒る?」
「あぁ、仮面で表情は見えなかったが、刺客に対して並々ならぬ怒りがあったらしい」
無関係であったシャーリーが巻き込まれてしまった。
彼女はギアスによって幾度となく危ない目に合ってしまったのだ。
それがルルーシュにとって許せないことなのだろう。
幸いシャーリーの姿を見た男たちは殺しているため彼女に危険が及ぶことはないだろう。
- 568 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:33:43 ID:/r948Dqk
- 支援
- 569 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:35:11 ID:tMFs0CBm
- 「さて、私は皆にも君が目が覚めたことを伝えてくるとしよう」
そうやって立ち上がった藤堂にライは話しかけた。
「あの・・・・ゼロは?」
「極秘の任務中だ。内容は私たちでさえ教えられていない」
そうやって出て行く藤堂の言葉にまたしてもライは嫌な予感に囚われていた。
そういえばギアス嚮団について有力な情報を手に入れたと聞いていたのを思い出す。
当初はそこを押さえるための作戦にライも参加の予定だった。
しかし、それが行われる前にこの前の事件が起きた。
そして、今の話を聞く限り・・・・・。
「まさか・・・・・ルルーシュ」
ライはそう呟くと掛けてあった自分の騎士団の服に手を掛けた。
扇たちが見舞いに来た時にはライの姿はなくなっていた。
その直後、ライの暁が無断で発艦したという報せが扇たちの耳に届いた。
朝比奈たちが止めるために格納庫に行ったが、全機体の飛翔滑走翼が取り外されていたらしい。
整備員も何故自分が取り外したのか分からないと言っていた。
取り付け作業が終わった頃にはライの暁はレーダーの範囲外へと消えていた。
- 570 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:38:16 ID:tMFs0CBm
- 広大な砂漠を飛んでいると前方に爆発が見えた。
どうやら戦闘が行われているようだ。
カメラの最大望遠を使って確認するとそこには蜃気楼やロロのヴィンセントの姿があった。
相手はライもデータで見たことのあるナイトギガフォートレスと呼ばれていたものだ。
「ルルーシュ!」
『なっ!?ライ、何故お前がここにいる!』
ライの突然の登場にルルーシュは驚きの声を上げた。
「ルルーシュたちが心配だったんだ。心配した通りだったみたいだね」
『お前は撃たれているんだぞ!』
「大丈夫。僕の体は頑丈だからね」
バトレーの研究によってライの体は頑丈に出来ている。それに自然治癒も一般人とは違うのだ。
とはいえライが重傷であるということには変わりない。
ルルーシュも通信のモニターを見て分かるようにライは痛みを押してここにやってきたのだ。
- 571 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:39:52 ID:dwOcp5QX
- 支援
- 572 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:40:08 ID:qGJgnToR
- 支援……たぶん>>564は9スレの誤字にツッコミ入れてたんじゃ……
- 573 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:41:31 ID:tMFs0CBm
- 『へぇ、狂王ライまで来るとはね・・・・・・・本当に君は僕らの邪魔ばかりするね』
「僕はもうあんな思いをしたくないだけだ」
そう言って蒼い暁は一気にジークフリートへと詰め寄る。
ジークフリートのスラッシュハーケンが暁へと迫るが、暁はそれを器用に避けていく。
『君が僕とシャルルの盤上を狂わせた!君さえいなければ!』
1つのスラッシュハーケンが暁の眼前へと迫ってきた。
暁は左腕でそのスラッシュハーケンを掴み、輻射波動で爆散させる。
「君や皇帝のことなど知ったことじゃない、僕は僕にとって大切な人たちを守ってきた。
今までも・・・・・そして、これからも!」
ジークフリートへと斬りかかろうとするが、電磁装甲のため攻撃が弾かれる。
『無駄だよ、ジークフリートにはそんな攻撃は通用しないよ』
するといつの間にかロロのヴィンセントもジークフリートへと向かってきていた。
『今度はロロかな。君も僕に嘘をついたんだね、僕にギアスは効かないって知ってるくせに』
ヴィンセントは強引にジークフリートへと向かっていく。
『取り付くだけなら!』
『君はね、失敗作だったんだよ。ギアスを使っている間自分の心臓も止まってしまうなんて、いつ死んでもおかしく欠陥品さ』
『それでも・・・・・僕は兄さんのためなら!』
そう言ってヴィンセントはジークフリートに取り付く。
しかし、電磁ユニットによってヴィンセントを高圧電流が襲った。
兄のために戦うロロの姿を見た時、ライの体は自然と動いていた。
- 574 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:43:38 ID:qGJgnToR
- 支援
- 575 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:44:23 ID:tMFs0CBm
- 「良くやってくれた、ロロ。では、ここでお前と・・・・・」
そう言ってヴィンセントに仕掛けられた爆弾のスイッチをルルーシュが押そうとした時だった。
『うおおおおぉぉぉぉっ!!』
ライの暁がジークフリートに向かっていく。
「なっ!?ライ、離れろ!」
今の状況でヴィンセントを爆発させればライまで巻き込むことになってしまう。
暁は剥き出しになった電磁ユニットに取り付く。
ヴィンセントと同じように高圧電流がライの暁を襲う。
『ぐうぅぅっ・・・う・・・・うおおおおおぉぉぉぉぉっ!!』
そのまま電磁ユニットを左腕で掴むと輻射波動で破壊する。
それと同時にもう片方の電磁ユニットを砲撃が襲い、破壊していた。
ライはボロボロになったヴィンセントを抱えて、ジークフリートから距離を取る。
砲撃をした暁に乗っていたのは第二皇女コーネリアだった。
(まさかコーネリアがここにいようとは・・・・・)
しかし、今は目の前のジークフリートへと意識を向ける。
「ジークフリートの装甲は破損した!後は直接・・・・滅せよ、ギアスの源」
ルルーシュとコーネリアの攻撃によってジークフリートは墜落していった。
- 576 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:47:19 ID:tMFs0CBm
- その後、ジークフリートに乗っていたV.V.をルルーシュとライは探していた。
「ライ、無理はするな。もう後は俺に任せろ」
『そういうわけにはいかない。僕も一緒に行く』
先ほどの戦闘で傷口が開いていないのはライにとっては幸いだろう。
頑なに断るライにルルーシュも何も言うことができなかった。
もしかしたらC.C.ならライを止められたのかもしれないと頭の中で考える。
しかし、C.C.とは先ほどから連絡が取れていない。
『ルルーシュ!生体反応が!』
そんなライの言葉でルルーシュもセンサーの反応に気が付く。
2人がそこを見た時、傷だらけのV.V.の姿を見つけた。
「元の場所に戻っていたか、V.V.!」
『ルルーシュ!前の扉が!』
そちらを見ると神根島で見たことがある扉が開き、光が溢れてきていた。
「何っ!?しまった、これは神根島の!」
その瞬間、ルルーシュとライは光に包まれた。
- 577 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:47:46 ID:Yr1MZys2
- 支援
- 578 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:48:09 ID:qGJgnToR
- 支援!
- 579 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:49:24 ID:tMFs0CBm
- 気が付けば目の前に広がるのは見覚えのない場所だった。
まるで古代の神殿・・・・・・祭壇のような作りをしている。
隣にはルルーシュが立っている。
2人とも自分の機体から降りた記憶はなかった。
「何で僕たちは機体から・・・・・」
「それにここは・・・・ホログラムとかじゃない?」
「そのとおり!」
今の状況に戸惑っていた2人に目の前の祭壇の上から声が下りてきた。
「そして、ナイトメアなど無粋なもの。アーカーシャの剣、このシステムの前にはな」
ルルーシュは憎しみを持った視線で壇上にいる人物を睨む。
「貴様ぁ!」
「我が息子ルルーシュよ。そして、狂王ライよ。時は来た、贖いの時が・・・・・・」
ライとルルーシュをすぐに機体の陰に身を隠す。
「久しいな、ルルーシュ。そして、お初にお目に掛かる、狂王ライよ。」
ルルーシュはライの呼び名に疑問を持つ暇もない。
「8年前の質問に答えてもらう。何故母さんを守らなかった。
他の皇族たちが母さんを疎んじていることを知りながら!」
「人は平等ではない。お前たちは他のものにはない力、ギアスを持っている。その力で聞き出せば良かろう」
その言葉にルルーシュとライはお互い目を合わせる。
- 580 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:50:41 ID:qGJgnToR
- 支援
- 581 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:52:31 ID:tMFs0CBm
- (ルルーシュ、ここは僕のギアスを使えば・・・・・・・)
(いや、俺にやらせてくれ。ライ)
ルルーシュがシャルルを見るということはシャルルもルルーシュを見ることになる。
そうなるならば自分が出ようとしたライだが、ルルーシュはそれを断った。
シャルルの相手は自分だ、とでも言うようだった。
「どうした、狂王ライのギアスならば恐れることはなかろう」
「ふざけるな!お前の相手は・・・・・・俺だ!」
ルルーシュはそう答えると手に持っていたスイッチを押す。
その瞬間、蜃気楼の拡散構造相転移砲にある液体金属のプリズムが発射される。
そして、それが砕けてルルーシュたちの頭上へと落ちてくる。
砕けた破片は鏡となり、隠れたルルーシュの目の前に破片に映し出されたシャルルの顔が見えた。
「貴様は・・・・・死ね!」
「ぬわあああああぁぁぁぁぁっ!」
ルルーシュのギアスがシャルルへと届いた。
「よかろう」
シャルルは拳銃を取り出すと自分の胸に当て・・・・引き金を引いた。
- 582 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:55:39 ID:Yp52QpDY
- 支援
- 583 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/12(水) 23:55:59 ID:dwOcp5QX
- 支援
- 584 :コードギアス REGAIN COLORS ◆l.sZv3iNKk :2008/11/12(水) 23:56:35 ID:tMFs0CBm
- ライはハッと目を開ける。
「ここは・・・・どこだ?」
辺りを見回すが、そこは見覚えのない場所だった。
「確か・・・・僕は・・・・」
死んだはずのシャルルが生きていた。
それはシャルルがC.C.と同じように不老不死になっていたからだった。
そして、自分とルルーシュはシャルルが作動させた何かによって光に包まれて・・・・。
「くそっ、色々と理解できないことが多過ぎる」
そう呟きながら辺りを見回すが、ルルーシュの姿がなかった。
「ルルーシュ?ルルーシュ!どこにいるんだ!」
「ルルーシュは別の場所だ、ライ」
その声を聞き振り返るとC.C.の姿があった。
「C.C.!何で君がここに・・・・」
「なに、少し挨拶をと思ってな」
「挨拶?」
目の前にいるC.C.はいつものような顔をしていなかった。
とても悲しそうに・・・・・しかし、決意しているような顔だった。
「ライ、私の願いを知っているか?」
「C.C.の・・・・願い?」
「そうだ。私の願いは・・・・・・・」
ライはその答えを聞きたくなかった。耳を塞ぎたかった。夢であって欲しかった。
「死ぬことだ」
- 585 :ピザの配達人 ◆l.sZv3iNKk :2008/11/13(木) 00:01:54 ID:tMFs0CBm
- 以上です!いかがでしたでしょうか?
今回はほとんど本編準拠でオリジナルとすれば最後の部分のみ
しかし、次回の話からは自分のオリジナルがかなり入ってしまうと思います
それでもライを中心にしたお話なので入れておきたいものなので
それでは次回第23話「さよなら」の配達をお楽しみに!
そして>>562の誤字の注意ありがとございます。
9レスです、本当に9スレなんて無茶すぎますね。申し訳ありません
- 586 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 00:23:27 ID:KAfwNMQe
- >>585
ピザの配達人卿、GJでした!
今回も美味しくいただきました!
目覚めてすぐに嚮団へと向かうライ、そしてロロを援護……無理しすぎだ!
皇帝と合間見えたライ、その後で知ったC.C.の願い。
それを聞いたライの心境はやはり……
次回から更にオリジナルが多くなるとは! かなり楽しみです!
貴公の次の配達を全力を挙げてお待ちしております!
- 587 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 00:25:20 ID:KAfwNMQe
- ……あれ?
ゴメンナサイ、sage忘れました
- 588 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 11:45:53 ID:AlaH4ooL
- >>585
遅ればせながらもピザの配達人卿GJでした!
2,3回前辺りからオリジナル展開が目立ってきてるな〜と思ったら次回からは「かなり」ですか!
…これは期待せざるを得ない
卿の次回の投下を全力でお待ちしています!
- 589 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:09:36 ID:uggtvoUc
- 23:15あたりから投下しようと思うのですが、どなたかいらっしゃいますかー?
- 590 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:12:17 ID:uW/JK3QE
- imasu
- 591 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:13:12 ID:A80I1t3X
- 支援
- 592 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:15:36 ID:uggtvoUc
- (・∀・)つ|投下予告|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#第2章後編。>>516 の続きです。引き続き鰤軍メイン
#1期23話以降のネタバレを含みます。R2に繋げるため基本的なストーリーは変わりません
#ナイトメアフレームについての激しい捏造があります
#もうシリアスは疲れたよパトラッシュ
予告と終了あわせて9レスです。まったり支援願います。
- 593 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:16:11 ID:uW/JK3QE
- 支援
- 594 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:17:17 ID:uggtvoUc
- 親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 2*ブラックリベリオン(後編)
今の攻防でお互いの実力は知れた。さすがはスザクに武術を教えた男だけあって、そう簡単に倒せる相手ではない。
ただ、僕の目的は負傷者が政庁に撤退する時間の確保。
致命打は必要ない。足止めし、あわよくば相手の動きを鈍らせるような一撃を加えるだけで充分。
そう狙いを決め、改めて月下に向かい合う。
《君が『もう1体の白兜』か》
オープンチャンネルで藤堂が呼びかけてきた。
《変わった経歴の持ち主らしいが、なぜブリタニアに与する》
おかしい、僕はロイドさんが作った偽造のIDを持っているが、そこには平凡な経歴しか載っていないはずだ。
それに僕の過去を知っている人はもう誰も生きていない。あの【契約者】を除いて。
だがこうやって時間を稼げるなら好都合だ。僕は藤堂との会話に乗ることにした。
「僕を知っているのか?」
《『興味深い男がいる』そうゼロが話していた。記憶がなく、正体不明の男がコーネリアの親衛隊にいると》
「…記憶は、戻った」
《何?》
「確かに僕は『今の』ブリタニアにも日本にも関わりはない。言うなれば過去の亡霊かな」
自嘲気味な気持ちがつい言葉に乗ってしまった。藤堂の声に熱がこもる。
《ではブリタニアで戦う理由は何だ?奴らの卑劣なやり方に何も感じないのか?拾われた恩義なのか?》
「今のブリタニアが正しいとは思っていない」
- 595 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:17:39 ID:uW/JK3QE
- 支援
- 596 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:19:07 ID:uggtvoUc
- 僕は思う。
統治者として生き、その責任と誇りを体現するあの女性を。
その影で悩み、迷いながらも自分の道を歩み始めていた少女を。彼女を隣で支える白き騎士の姿も。
共に歩いていきたいと願った人たちを。
「でも僕は、行政特区日本の成立を心から望んでいた。そこから変えていけると信じた」
藤堂はしばらく沈黙した。
《…君の言葉は真であると信じよう。だが、今この場で相対したからには、お互い信じるものの為に戦うのみ》
カラーリングの違う同じタイプのナイトメアが2機、藤堂の側に現れる。しまった、増援か。
《参る!!》
藤堂ともう1機が左右から迫る。後から現れた2機目は僕の退路を断つような位置で控えていた。3機で来てくれれば
突破する隙も生まれようものの、ああやって見張られてては逃げようがない。
かと言って2機同時に相手をするのは自殺行為だ。僕はあえて藤堂機に向かって突っ込んでいく。廻転刃刀の突きに
対してスラッシュハーケンを合わせる。ハーケンごときじゃとても突きに対抗できるものじゃないけれど、動きを
一瞬遅らせるだけでいい。懐に入り込んでランスで腹部をなぎ払う。
しかしそれはあくまでフェイク!跳んで避ける藤堂機には目もくれず、背面に迫っていたヤツに対して振り向きざまに
突きを入れる。僕の狙いは始めからこっちだ。
「なっ!」
控えていたはずのもう1機の刃が僕を襲っていた。思わぬ方向からの斬撃に僕の反応が僅かにずれる。
刃を避けきれず、左肩のシールドパーツが持っていかれた。
腕の動作に支障はないが、左のファクトスフィアからの情報が途絶えている。控えてたヤツが戦闘に参加したってことは
退路が出来たんじゃないかと期待したけれど、今度は藤堂機がもう逃げ道を塞いでいる。
- 597 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:20:15 ID:uW/JK3QE
- 支援
- 598 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:21:11 ID:uggtvoUc
- やれやれ、彼らはただの増援じゃない。機体性能の差を絶妙なコンビネーションで補っている。
いや、補うどころか乗算の効果を挙げていると言ってもいいだろう。これが『奇跡の藤堂』とその懐刀たちの実力か。
もう充分に時間は稼いだが、今度は自分自身の脱出が難しくなってしまった。黒の騎士団のエース級3名を相手に
とても無傷では済みそうにない。どこか冷静な頭に、ロイドさんとの会話が甦る。
「クラブの起動キーを渡す前にひとつ言っておきたいんだけどね」
「…自壊コードでしょうか」
「ご名答!どうしてそうだと思ったの?」
「わざわざスザクに聞かれないように話す内容なら、僕にとってマイナスの事だと思いました」
「ふふーん?やっぱりキミは勘がいい。じゃあ理由は話すまでもないかな?」
このクラブは試作機とは言えブリタニア最新技術の塊だ。敵に捕獲され、その技術を奪われる事態は避けなければいけない。
特派の機体がどんなに強力でもそう頻繁に実戦に投入されなかったり、形勢が不利になったらいち早く離脱したりするのは
それなりの理由があるのだ。…もっともそれは本来の場合であって、今の特派が疎まれているのはデヴァイサーのスザクが
日本人であることが一番の理由である。
(コードを入力したら早く機体から離脱してね。キミ自身が一番重要な《パーツ》なんだから)
自壊コードを入力するとメインシステムの消去と共にコアルミナスに使われているサクラダイトが核融合反応を
引き起こし、機体を破壊する。それが最後の手段。
──いや、まだ手は残っていた。僕は眼窩の奥底で紅い鳥が今にも羽ばたこうとしているのを感じる。
使うのか、あれを。自国の民を滅ぼし大切な人を死に追いやったギアスを。
ユフィを助けられなかったのに、自分だけが生き残るために使うのか!!
- 599 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:21:41 ID:uW/JK3QE
- 支援
- 600 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:23:22 ID:uggtvoUc
- ふいに大量の熱反応をレーダーが感知した。
藤堂たちとの間を遮るようにミサイルが着弾する。包囲の一角に隙が出来たのを見逃さず、僕はアサルトライフルを
連射しながら突破を図った。追撃にきた相手の鼻先にハーケンをぶつけて怯ませ、安全圏まで距離をとる。
《隊長!ご無事ですか!》
第3分隊の数名が援護に戻ってきてくれたのだ。その中に1機、見慣れないグロースターがある。
「貴方は確かグラストンナイツの…」
《アルフレッド・G・ダールトンです。卿のお噂は父よりかねがね。もっと落ち着いた場所できちんと
ご挨拶したかったのですが、こんな状況なので失礼します》
近々このエリアに配属されると聞いていたダールトン将軍の『息子』だった。
《コーネリア殿下がお呼びです。ひとまず政庁へお戻りを》
それ以上藤堂たちは追ってこなかった。
見逃してくれたのか、僕たちに構っている時間が無かったのかは、わからない。
政庁に戻る間中ずっと、あの紅い鳥が頭から離れず僕は自己嫌悪に陥っていた。
メカニックにエナジーフィラーの交換を指示し、僕はいったんクラブを降りる。
政庁内は戦場のようだった。ああ、比喩ではない。ここは戦場なのだ。
各ポイントの状況が刻々と伝えられてくる。
航空戦力はガウェインのハドロン砲によって一掃されてしまった。空からの支援は期待できない。
放送局はすべて黒の騎士団に押さえられている。湾岸施設・航空管制塔も制圧されたようだった。
- 601 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:25:20 ID:uggtvoUc
- 《学園地区、黒の騎士団によって占拠された模様》
届いたばかりの情報に驚く。アッシュフォード学園!?あそこには民間人しかいない。人質のつもりなのだろうか。
ミレイさんたち学園の皆の無事を、今の僕は祈ることしか出来ない。僕は歯がみをする思いでその報告を聞いた。
こんな時スザクがいてくれたら、と虚しく考える。
僕の生きた時代と違い、現代の戦争は1人の力が及ぶ範囲は限られている。全体を見る戦略に対し、その流れに
個の力で抗えるのは一部の局面だけだ。ブリタニア軍に一度も負けなかった藤堂鏡志朗がいても日本は負けた。
個人は英雄にはなれるが勝者にはなれない。
だが、スザクは違う。彼の力は戦略をひっくり返せる。
スザクと2人ならこの綿密に練られたゼロの戦略をうち破れる。
でもいま、僕の隣に彼はいない。
「コーネリア殿下!」
屋上庭園に向かう廊下の入り口で、やっと僕はコーネリア様を見つけた。
「ライか」
彼女にしては珍しく、何かを言いかけてまた口を閉じる。そして少し眉を寄せて呟いた。
「…酷い顔をしているな」
「は?」
「自覚がないのか。…まあ良い。ライ、お前はグラストンナイツと共にギルフォードをサポートしろ」
「イエス、ユア・ハイネス。殿下はどちらへ?」
「私は祭の準備だ」
- 602 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:25:30 ID:uW/JK3QE
- 支援
すまない、誰か頼む。トイレ行きたい
- 603 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:27:02 ID:uggtvoUc
- コーネリア様に命じられた通り一度は政庁防衛の配置についた僕だったが、やはりコーネリア様のお側に親衛隊が
誰1人ついていないのは不安に感じた。グラストンナイツも全員前線に出ている。どこかで防衛線を突破され、
政庁への侵入を許せば万が一のこともありえる。やはり戻ろうか。逡巡する僕に通信が入った。
《…ライか》
「その声は、ダールトン将軍!ご無事でしたか!!」
行政特区日本の式典会場で行方不明となっていたダールトン将軍だ。僕は目の前が明るくなる思いだった。
《…姫様は今いずこにおられる》
「コーネリア殿下は政庁内に…。将軍、もしや負傷されているのでは?!」
将軍の苦しそうな声色が心配になる。僕が到着した時には既に式典会場は黒の騎士団に制圧され、近寄れない状態だった。
あそこから脱出してきたのであれば怪我を負っていても不思議ではない。
《大事ない、貴公は引き続き政庁を守れ。姫様はこのダールトンが責任を持つ》
「イエス、マイ・ロード!殿下をお願いいたします!」
ダールトン将軍が戻ってきた。それだけで希望が持てる。
クラブは策敵能力に優れたレーダーを持っているので、政庁防衛における僕の役割は直接相手とやり合うより
敵の規模や位置を把握し、応対する指示を出すのが主だった。藤堂たちとの戦いで左のファクトスフィアは
壊れてしまったから、そちら側に関してはカメラの目視しかない。その視界の隅を一瞬、白い輝きが横切った。
「ランスロット?出撃していたのか」
広域レーダーで確認すると、ランスロットの識別番号を表す光点が急速に戦場を離れつつあった。
「スザク、いったいどこへ…?」
最後に別れた際の彼の様子が気になっていたので後を追いたかったが、持ち場を離れる訳にはいかない。
それにフロートユニットを外してしまっている。エナジーも残り少ない。
成す術なくランスロットが去った方向を見やった僕の目に一条の光が射し込む。
夜明けだ。
- 604 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:29:22 ID:uggtvoUc
- 戦闘が始まってから5時間が経過した。錯綜する通信の中に混じったある情報が僕の気を引く。
《ゼロとの連絡が取れない》
黒の騎士団のナイトメアはブリタニア軍から奪った物も多く含まれている。混乱の中、黒の騎士団の誰かが誤って
オープンチャンネルを使って通信をしてしまったのだろうか。フェイクの可能性もあったが、この時間になって敵軍は
明らかに個々での応対を迫られているように見えた。もしこれがゼロの作戦だとしても、この最終局面では悪手でしかない。
「ギルフォード卿、敵の指揮系統に乱れがあるようです」
《ライもそう思うか。ここで攻勢に出れば亀裂を入れられるな》
「ええ、敵が再編成される前に叩くべきかと」
ギルフォード卿の決断は早かった。
《全軍突撃!反乱軍を一挙に粉砕する!!》
号令が響く。
ブリタニア軍の突撃を受け、浮き足立っていた黒の騎士団は脆くも崩れた。
政庁の包囲は崩れ、勢いはブリタニア軍に傾く。戦局は完全に決した。
その黒の騎士団の敗走を待っていたかのようにクラブのエナジーフィラーが尽きる。動かなくなったクラブのコックピットの中で
僕は深いため息をついた。力一杯握りすぎて固まった手を操縦桿から何とか引き剥がし、震える指でミレイさんの携帯に連絡を入れる。
何回かコールを繰り返し、僕が焦り出した頃になってようやく応答があった。
「もしもし、ミレイさん!?ライです。そちらの状況は?」
『ライ?こっちは無事。今はスザク君のところの…、なにか大きな航空艦に生徒を収容してもらったわ』
電話の向こうから(アヴァロンだよー)と、のんきに指摘する声が聞こえる。ロイドさんだ。
「良かった!そこなら安全だ。生徒会の皆も怪我はしていないか?」
『ルルーシュとナナリーは別の所にいるけど大丈夫、スザクくんが保護してくれているそうよ』
良かった。本当に良かった。
ホッとしたら力が抜けた。電話を切った僕はシートにもたれ、もう一度、それこそ肺が空っぽになりそうな程のため息をついた。
街の被害は計り知れない。両軍共に死傷者はかなりの数に上るだろう。それでも長い夜は終わったんだ。
- 605 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/13(木) 23:31:06 ID:uggtvoUc
- #支援ありがとうございましたー(・∀・)2章終了。3章アッシュフォード学園編に続きます。やっとR2…
#この頃スザクがルルーシュを「保護」してる訳です。悲劇回避補正のまるで無いライでサーセン
#軍人篇のライは隊長or後方支援型イメージ。ナイトメア無双はスザクに任せます
#R2に繋げるためとは言え、このライはフラグをミスり杉
- 606 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/13(木) 23:31:31 ID:BihR3mxx
- 支援
- 607 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/14(金) 00:01:50 ID:X1A+3FP/
- (・∀・)卿、乙であります!支援!!
っていうか、これで終わりじゃにですよね?続きますよね!?
- 608 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/14(金) 00:06:19 ID:aH9KTD06
- とりあえず3章に続きますよー。そして全力で自己訂正
>>601
祭→宴
ガウェインで政庁の屋上に現れたゼロ。そこで見たものは櫓が建てられ提灯きらめく祭り会場だった!
はっぴを着たコーネリアが太鼓を叩きながら叫ぶ。
「ようこそゼロ(ドン)、ブリタニア政庁納涼大会へ!(ドッドン)」
C.C「似ているな、アリエスの離宮に」
ルル「似るかッーーーーーー!!」
ごめん
- 609 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/14(金) 00:12:02 ID:NduP2AJR
- >>605
乙です。これからR2につながるということは、ナナリー達のことを知ったライはどう思うんだろう。
次回をお待ちしています。
>>608
ハチマキとサラシを巻いた、凛々しいネリ様を想像した。似合ってるなーw
- 610 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/14(金) 00:24:53 ID:X1A+3FP/
- >>609さん
まさに『いなせ』ですなw
- 611 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/14(金) 01:15:13 ID:y+IWnHh6
- >>605
(・∀・)卿、GJでした!
確かに色々ミスってますね、ライ
ニアミスというか、なんというか……
……しかし、逆に新鮮味があっていいかんじです!
ルルーシュを「保護」……あぁ、普通にそうなりますか
まぁ、仕方ないよね。
R2へと繋がるとのことで続きが非常に楽しみです。
貴公の次の投下を全力を挙げてお待ちしております!
- 612 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/14(金) 14:42:23 ID:ICIjzQrs
- >>605
GJ!
ああ、フラグをミスりまくっているライが悲しすぎる…
私達読者はいわゆる神の視点を持っているわけですからこの展開は見ていてもどかしすぎますね。
しかし半日以上書き込みがないとか珍しいなー
- 613 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/14(金) 22:21:49 ID:ig6C4+Yr
- 確かに書き込み自体が最近減ってきてるよね…。
久しぶりにロスカラやってロスカラ分を補給しよっと。
- 614 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 01:45:41 ID:KalPTaFy
- 皆忙しい訳ですね。
- 615 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 02:16:27 ID:Kms27JO0
- 実はロスカラ2のシナリオを協力してるんだよ、きっと
- 616 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 05:12:31 ID:3nYuSWja
- 少し経ったら長編ssを一気に投下してくれるんですね
わかります
- 617 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 07:44:26 ID:72Vn1NfZ
- まぁ、マジレスするとこの時期はリアルが忙しい時期だからな。
- 618 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 07:58:06 ID:KalPTaFy
- そうですねぇ。
- 619 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 11:46:48 ID:NLARla7I
- 誰かいますか?
- 620 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 11:50:52 ID:3IsVFKfI
- いますん
- 621 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 11:53:10 ID:3IsVFKfI
- ゴホン……います。いつもの癖で自動変換が出た
- 622 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 11:55:54 ID:NLARla7I
- 親衛隊アナザーの人です。
連投で申し訳ないのですが、都合で来週中に完結させないと年越してしまいそうなので…。
前置きと終了あわせて全11レス、12:00から投下します。
- 623 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:01:16 ID:NLARla7I
- (・∀・)つ|ご注意|
親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT
#>>604の続き、第3章の前編です。R2より半年前ぐらいの時間設定ですが2期のネタバレがあります
#メインは生徒会メンバー。2期なので当然ニーナとカレンはいません
#帝国の制度についてのかなりの捏造があります
#軍人篇と学園篇混ぜるな危険。ギアスにコスプレは必須のようなのでつい
#はっちゃけています
- 624 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:03:44 ID:NLARla7I
- 親衛隊篇アナザー/NO MATTER WHAT 3*偽り の 学園(前編)
主がいない政庁の屋上庭園。形ばかり修復されてはいるが、コーネリア様が愛した美しい庭園は見る影もない。
《ブラックリベリオン》と呼ばれるようになったあの夜から4ヶ月が経った。
焼き払われ無惨な姿を晒している花々、ランスに貫かれ破壊されたグロースターは炎を残し煙を上げていた。
傷ついたコーネリア様を抱え、医療班を呼ぶギルフォード卿の取り乱した声。すべて昨日のことのように覚えている。
ゼロと交戦し負傷したコーネリア様は治療のために本国に戻り、その怪我が癒えるか癒えないかの頃に忽然と姿を消した。
エリア11の総督の地位を返上し、誰にも、唯一の専任騎士であるギルフォード卿にさえも行き先を告げぬままに。
理由もなく職務を放棄するようなコーネリア様ではない。
あの夜にゼロと何があったのか、コーネリア様の行方を知るすべを探して僕ら親衛隊は奔走した。通信記録から
コーネリア様と最後に会話をしたのはスザクだと判明している。スザクはコーネリア様からゼロの居場所を伝えられ、
そして騎士の称号を授けられたのだった。後からそれを知った僕たちが当時の詳しい状況を尋ねようにも
既にスザクは捕らえたゼロを連行してブリタニア本国に戻っていた。その後すぐにスザクはナイトオブセブンに叙され、
…ラウンズに命令を下せるのはブリタニア皇帝ただひとりだ。
満足な捜索活動も行えず焦燥ばかりがつのるが、主不在の僕たちは圧倒的に権限が不足している。僕と言えば
エリア11に赴任してきたカラレス新総督の元、残されたレジスタンスの掃討に駆り出される日々だった。
気が進まないので、かなり手を抜いている。今の僕を見たらコーネリア様はきっと叱咤するだろうな。
『この脆弱者が』と。
- 625 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:08:15 ID:NLARla7I
- そんなある日、ギルフォード卿の呼び出しを受けた僕は政庁に出頭していた。
ブラックリベリオンの後始末やら復興作業やら、新総督就任に伴う異動人事のゴタゴタやらで僕は1ヶ月以上も
ギルフォード卿と顔を合わせていなかった。
「久し振りだな、ライ」
コーネリア様の肖像が描かれた絵皿に一礼し、ギルフォード卿は僕に向き直る。
「卿は確か学生だったな」
「はい。もっとも、この数ヶ月は休学状態でありますが」
「復学する気はないか」
「は!?」
耳を疑った。
「それはつまり、もう僕は親衛隊に不要ということでしょうか」
思わず刺々しい口調になってしまう僕をギルフォード卿は苦笑いで制した。
「ともかく話を聞け。…黒の騎士団は壊滅した。矯正エリアとして軍も増強されグラストンナイツも健在の今
エリア11を脅かす存在は多くない。それに卿は今の任務に納得していないのだろう?」
どうやら僕の手抜きはバレているようだ。
ロイドさんたち特派(「元」だ)がナイトオブセブンことスザクの専任機関となり、僕のランスロット・クラブは
ブラックリベリオンの際に受けたダメージの修理が出来ないまま格納庫で眠っている。本当は早く修理してあげたい
(きっとロイドさんも今のクラブを見たら泣くだろうな、ごめんなさい)が、スザクと共に転戦する彼らは
エリア11に立ち寄っている暇がない。だから僕は最近の戦闘では借り物のグロースターに騎乗している。
クラブじゃないと嫌だと言っている訳じゃない。人々に恐怖を与えるだけの戦いに僕のクラブが使われずに済んで
むしろホッとしていた。それに今クラブを見ると特派を、スザクを、ユフィを思い出してしまい正直言って辛い。
- 626 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:08:41 ID:3IsVFKfI
- 支援
- 627 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:09:09 ID:2RB1LfrL
- 推参支援
- 628 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:10:29 ID:NLARla7I
- ギルフォード卿は話を続ける。
「今の私は預かりの身。姫様の捜索がしたくとも思うように動けない。我らには自由に動ける人間が必要なのだ。
卿ならばそれを任せることが出来る。復学を理由に軍を休職し、この件の調査を行って欲しい。
必要なバックアップは出来る限りしよう」
本当ならば自分で、今すぐにでもコーネリア様を探しに行きたいに違いない。僕は彼の気持ちを酌むことにした。
「わかりました。その任、慎んでお受け致します。…でも休職なんて制度が軍にあったとは知りませんでしたよ」
「ああ、推薦状も書いたしな」
「…推薦状?」
「『右の者は文武両道に秀で、かつ判断力に優れた希有な人材であり帝国の発展に貢献することが期待される。
特例として官僚試験資格取得のために1年間の就学を要望する。ギルバート・G・P・ギルフォード』」
僕はのけぞった。官僚、官僚と言いやがりましたかこの眼鏡は。
絶句する僕を見てギルフォード卿はニヤリと笑う。ああ、これは『してやったり』って顔だ。
「推薦したからには試験も受けてもらうぞ、せいぜい励めよ」
「い、イエス、マイ・ロード…」
なんだか責任重大な気がしてきた…。
- 629 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:14:09 ID:NLARla7I
- あの学園祭以来のアッシュフォード学園だ。ブラックリベリオンでこの学園も戦火に巻き込まれたが、幸か不幸か
黒の騎士団の作戦司令部に使われた関係で施設の大部分は損傷もなく、今は授業も再開しているとの話だった。
でもねぇミレイさん、なんで貴女も当たり前のように学生やっているんですか…。
(まだまだモラトリアムは終わっていないのよ!!)
電話口で叫んでいたミレイさんの声を思い出して僕は笑う。コーネリア様の捜索と言う任務とは別に、またこの学園で
過ごせる時間を楽しみになっていた。学園に向かう足が自然と早くなる。
ところが学園の敷地内に一歩足を踏み入れた瞬間、僕は違和感を覚えて立ち止まってしまう。
何だ?
その原因を探るためにぐるっと周りを見渡した。校舎、中庭、クラブハウス、講堂。風景に変わりはない。
違うのはそこにいる人たちだ。
見慣れないあの教師、彼は軍の関係者なのか?軍人特有の訓練された歩き方をしている。それに生徒達、確かに僕は
そんなに学園に通っていた時間は長くはなかったけれど仮にも生徒会の仕事もしていたし物覚えも悪くはない
(過去の記憶を失っていたのはギアスによるものなのでノーカウント)。なのに、見覚えのある顔が誰ひとり
見つけられないのはどういうことだ?
- 630 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:19:27 ID:NLARla7I
- 学校の変化に戸惑いつつ、最初に生徒会室に足を向ける。ミレイさんが待っていてくれているはずだ。
「ライーー!!」
扉を開けるなりミレイさんとシャーリーが飛びついてくる。その後ろでルルーシュがひらひらと手を振って歓迎してくれた。
僕は心が暖かくなるのを感じる。迎えてくれる人がいるのはこんなに嬉しいものなんだな。
ミレイさんたちは、僕がいなかった間の近況を口々に話してくれた。
ニーナは独自に行っていた研究内容が認められ、ブリタニア本国に渡って研究開発室のチーフを務めているらしい。
人見知りで物静かだったけど、研究については目を輝かせて話してくれたニーナ。またどこかで会うことが出来るだろうか。
そしてカレン。彼女のことを考えると心が痛む。結局僕は、ブラックリベリオンの指名手配者リストにカレンの名前を
見つけるまでその正体に気付かなかった。記憶を無くした僕の『お世話係』として租界を案内してくれた彼女。
日本人の境遇に心を痛めているのは知っていたが、まさか黒の騎士団の、しかもあの紅い機体のパイロットだとは
考えもしなかった。今思えば、軍の仕事でスザクと一緒に授業を抜け出す僕の姿を、いつも何かもの言いたげな顔をして
見ていた気がする。
カレンは黒の騎士団が学園を占拠したときに、その素顔を晒して抵抗をしないよう説得したそうだ。
きっと学園の皆が傷つくのを見たくなかったのだろう。優しい彼女らしい行動だった。
「怪我をしていないといいけれど…」
ミレイさんが寂しそうに呟く。
- 631 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:25:11 ID:NLARla7I
- そうそう、とシャーリーが暗くなった雰囲気を変えるように両手を叩いた。
「そう言えばライ、学園祭のコスプレ喫茶でチャイナ服を着たんだって?」
「このミレイさんに黙って!ずるいわ!そんな美味しいものを!」
僕の顔が青くなる。なぜそれを。
生徒会でそれを知っているのは一緒に仮装をしたスザク(あまり思い出したくない)と、うっかり遭遇したルルーシュ…。
見るとルルーシュは手元の書類に没頭するフリをしている。間違いなく情報の漏洩源はここのようだった。
「いきなりだったから大した準備も出来なかったのが残念だわ」
そう言いながらミレイさんが紙袋から取り出した『それ』に僕の顔色は青を通り越して白くなった。
「おーっす、ライ!久し振りじゃないか」
リヴァルが生徒会室に入ってきた。中の様子に彼は目を丸くする。
「おろ?なんだか羨ましいことになってる?」
前からシャーリー、後ろからミレイさんに羽交い締めにされている僕は世間一般的に羨ましいと呼ばれる体勢なのかもしれない。
…この後に起こる悲劇を除けば。
「何だったら代わるか?」
そう聞いた僕があまりにも悲壮な顔つきをしていたのだろう、リヴァルは慌てて首を振り半笑いを浮かべながら後ずさる。
こうなったらルルーシュも道連れだ、きっと僕なんかよりずっと似合うに違いない。
ところがさっきまでいたルルーシュの姿が見えない。
「あー、ルルーシュならさっき『すまないライ!俺も自分の身が可愛いッ!』とか叫んで走っていった」
リヴァルが気の毒そうに告げる。
ル、ルルーシュ!!
「さーて、着替え着替え!!」
ミレイさん達に引きずられて行く僕をリヴァルだけが見送ってくれていた。
- 632 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:30:22 ID:NLARla7I
- 「兄さん、またヴィレッタ先生が…」
生徒会室に入ってきた少年と僕の目が合う。
「…………誰ですか」
真顔で呟く少年。そりゃレースひらひらのメイド服に身を包んだ男にいきなり遭遇したら警戒もするだろう。
メイド服というのは本来、旧英国ヴィクトリア朝時代を源流とする家事労働を行う女性使用人が制服として着用した
エプロンドレスで、ただし旧日本ではサブカルチャーとして流行した時代があったらしい。ちなみに僕が着せられて
いるのは後者の方だ。…しかし何を意図してバトレーは僕の頭にこんな情報を押し込んだんだろう。
「あら、ロロ。美人だからわからなかったかなー?ほら、ライよ!久し振りに戻ってきたのよー!!」
ミレイさんが僕の背中から抱きついて嬉しそうに少年に言う。お願いですから僕の偽胸を寄せて上げないで下さい…。
それに背中に、その、本物の感触がですね。
「ルルーシュならそのうち戻ってくるわ。それよりロロも!ライの復帰祝パーティ、一緒にやるわよ!!」
なんだろう、僕は彼を知らない。この少年の戸惑いぶりを見るに、きっと彼も僕を知らない。
だけどミレイさんも、シャーリーもこの少年が僕を知っているのを当然のようにしている。
「どうしたんだ、ロロ」
「あ、兄さん」
ほとぼりが冷めたと思ったのかルルーシュが生徒会室に帰ってきた。僕の惨状を見て目を逸らせたのは、少しは罪の意識を
感じてくれているのだろうか。だが本来ルルーシュの役割だったコレを僕に押しつけた罰は受けてもらうぞ。
僕は両手を組み合わせてルルーシュにずい、と迫ると精一杯かわいい声で言った。
「『お帰りなさいご主人様、今お茶をお入れします。レモンとミルク、どちらがよろしいですか?』」
「お、俺が悪かった。頼むから止めてくれ、ライ…」
冷や汗をかきながら謝るルルーシュに溜飲が少し下がる。どうだ、気持ちが悪いだろう!ちなみに今のは《メイドさん》と
書かれた引き出しに入っている『メイドさん萌え台詞傑作選』からの引用だ。…ええい、バトレーめ!私の頭に変な情報を詰め込むな!!
ルルーシュに一矢報いられたが、自分にもダメージが大きかった。後ろでミレイさんとシャーリーが目を輝かせて
いるのは見なかったことにしよう。
- 633 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:34:28 ID:Kms27JO0
- 支援
- 634 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:34:57 ID:NLARla7I
- そんな不毛な会話を呆然と見守っていた少年が、ようやく本来の目的を思い出したようだった。
「兄さん、どこに行っていたの?ヴィレッタ先生が探していたよ」
「また補習か。出席日数は足りているんだから体育なんて必要ないのに」
明らかにうんざり、といった様子のルルーシュに少年が食い下がる。
「兄さん!」
ルルーシュは少年の頭にポン、と手をおくと微笑んだ。
「ロロにまで迷惑を掛ける訳にはいかないな。会長、ちょっと行って来ます。ライ、また後でな」
…先ほどからこの少年がルルーシュを「兄さん」と呼ぶのが気になる。ルルーシュの唯一の肉親はナナリーだけだったはず。
あまりの溺愛っぷりにミレイさんは「あれはシスコンじゃなくてナナコンよね」と評していたぐらいだ。
ルルーシュに弟なんていたのか?疑問をそのまま口に乗せようとしたその瞬間、鋭い視線を感じて背中が粟立つ。
「…ッ!」
とっさに振り返ると、ロロと呼ばれた少年がルルーシュと共に出ていくところだった。栗色の髪が扉の向こうに消える。
何だ、今のは…殺気?
何かおかしい。僕はリヴァルを部屋の隅に引っ張って小声で確認する。
「リヴァル、ルルーシュの兄弟って何人いるんだ?」
「え?ルルーシュはあの弟のロロだけだぜ?おかげでルルーシュはロロに激甘だし、ロロもルルーシュべったりだし」
僕はリヴァルの顔をまじまじと見つめた。その顔はいたって普通で、冗談を言ったり嘘をついたりしている様子はない。
「…なぁリヴァル、『ナナリー』って誰だか分かるか?」
「『ナナリー』?いや、聞いたことがないな。うちの学校の子か?」
いったい何が起きているんだ。僕は気分が悪くなってきた。
ナナリーが消えて、ロロとか言う『弟』がルルーシュの側にいる。みんな何も疑問に思っていない。
よほど青い顔をしていたのだろう、ミレイさんたちが心配してくれて僕の歓迎会は早々とお開きになった。
- 635 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:36:05 ID:Kms27JO0
- 支援
- 636 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:38:37 ID:NLARla7I
- 久し振りの「我が家」。
親衛隊に入ってからは宿舎や遠征先のトレーラーで仮寝していたのでほとんど戻れなかったけれど部屋は綺麗だった。
僕が帰ってこない間も欠かさず掃除をしてくれていたのだろう。
(安心して帰ってこられる場所が必要なのよ)
ミレイさんの言葉を思い出す。記憶が戻ったことをミレイさんたちに伝えるべきなんだろうか。僕は過去の人間で、
ここにいるべき存在じゃない。でもここは本当に優しくて暖かくて、それに甘えてしまいたくなる。
ベッドに腰掛け、手元の端末でアルバムを読み出した。僕が学園を離れていた間も沢山のイベントを開催していたらしい。
ミレイさんのお祭り好きと行動力、何のかんの言いつつもそれにつき合う皆のノリの良さに笑顔がこぼれる。
でもページをめくるうちに笑みが消え、眉間にしわが寄ってきた。
ナナリーがいるべき位置に、あのロロと言う少年が入れ替わっている。
それだけじゃない、本来ナナリーがいた場所──その写真がすべて無くなっていた。
端末の電源を切り、天井を仰ぐ。
消えたコーネリア様、消えたナナリー、おかしな事になっている生徒会の皆の記憶。
ブラックリベリオンのあの夜が全部のきっかけだ。調査する価値はあるだろう。
- 637 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:39:15 ID:2RB1LfrL
- 支援
- 638 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:39:45 ID:Kms27JO0
- 支援
- 639 :(・∀・) ◆nJT0b6Jals :2008/11/15(土) 12:41:12 ID:NLARla7I
- #(・∀・)3章前編終了。次で完結です
#今回は1期6話とかのノリで
- 640 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 12:47:23 ID:2RB1LfrL
- GJ!ライならばこそのブリタニア側からの視点、お見事です!
そしてユーモラスな場面に冷水を浴びせるロロの存在感もまた然り。
これは先を楽しみにせざるを得ませんね。全力で期待しています!
- 641 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 13:28:46 ID:2RB1LfrL
- む、コピペミスで書き落とした。追記します。
ときに「バトレー将軍、貴方ってナニモノ?」という問いが脳内にコダマし続けています。
たぶんこの話でもBRの最中は政庁地下でアレを調整してたんでしょうが、本国へ戻るまで
ライと再会しないよう祈っておいてあげましょうwww
- 642 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 17:51:42 ID:SuNfy32j
- >639
うまくショートカットされていて読み易い!
ロロと予備知識なしに遭遇は心臓に悪いですね。
これは危険だ。逃げてー。
展開がどう変わっていくのかまた楽しみになってきました。
コーネリア捜索にもつながっていくのかな?
次回を楽しみにお待ちしています。
それでは!
- 643 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:24:52 ID:4WE5ql6G
- 誰かいらっしゃますか?
六時四十五分ごろから投下したいと思ってたりします。
OK?
- 644 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:27:12 ID:KS2ymje9
- >>639
(・∀・)卿、GJでした!
良いですね、これは!
ブリタニア側にいて、しかも学園から離れていた。
故に感じる違和感、疑問が素晴らしい!
このまま進めば、如何なる道を辿るのか!
ワクワクシテキマシタ!
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 645 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:35:39 ID:SuNfy32j
- できる範囲で支援いたします
- 646 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:46:13 ID:4WE5ql6G
- ありがとうございます。
今回は『吸血鬼の花嫁シリーズ 戦乙女の条件』をお送りします。
何と予定レス数が16(後書き含む)……バカな!? 正気か、私。
規制を喰らったらごめんなさい。
- 647 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:46:33 ID:SuNfy32j
- 支援
- 648 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:47:53 ID:4WE5ql6G
- 私 マリーカ・ソレイシィは大きな緊張の最中にあった。
貴賓室にて一度も座った事が無かったフカフカの椅子に座っているのに、体が緊張でガチガチ。
緊張の発端は彼女の後ろに立っている軍学校の先輩 リーライナ・ヴェルガモンに数日前告げられた内容。
『貴女をグランサム・ヴァルキリエ隊に推薦したい』
最初は何を言っているのか解らなかった。ヴァルキリエ隊とはリーライナ先輩が所属する親衛隊の名前。しかも唯の親衛隊ではない。
帝国最強と唄われるナイトオブラウンズの一人、ナイトオブテン ルキアーノ・ブラッドリー卿の親衛隊である。
リーライナ先輩がその所属になった時は「やっぱり先輩は凄いな〜私は地道にしかし確実に功績を積み重ねて〜」と嘆いていた。
それなのに! まさか私にまで声をかけてくれるなんて! 持つべきは優秀な先輩である。
「なるほど……確かに士官学校での成績は文句無しだね」
「きょっ恐縮です!! ライ卿」
そして緊張の原因は自分と対面する形で座る人物。私がヴァルキリエ隊に相応しいかを判断する人。
ライという名前、知と武に優れ、美しいと言う事だけが知られるヴァルキリエ隊の隊長。
その後ろに立つ同じくヴァルキリエ隊のお二人も、それぞれが違った魅力を放っているけど、彼女のソレは質が違う。
流れるように肩下まで伸びる美しい銀髪、片方の肩に纏うマントの下から伸びる細い手。
長い丈ながらも際どいスリットが入ったスカートから覗くしなやかな足、私の履歴書と内申書の字を追う憂いを抱いた視線。
それら全てが合わさって……なんだろう? この空気。
これがルキアーノ・ブラッドリーが唯一心を許す『吸血鬼の花嫁』の力?
- 649 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:48:22 ID:SuNfy32j
- 支援
- 650 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:50:38 ID:4WE5ql6G
- 「じゃあ軽く面接でもしようか」
「はっはい!!」
「そんなに緊張する必要は無いからね?」
ふっと空気が優しいソレに変わる。ライ卿の小さな微笑。耽溺の息と共に気合が出そうになるのを我慢。
緊張する必要は無いと言われても、これにはソレイシィ家の未来が懸かっているのだから、力を抜くリスクを負うことは出来ない。
「ヴァルキリエ隊への入隊を志願した理由は?」
「はい! 偉大なる母国、神聖ブリタニア帝国の礎となるべく…『あ〜そう言うのは要らないんだ』…え?」
士官学校で教え込まれたブリタニア賛美の一文は冒頭でやんわりと制止されてしまった。
軍隊に就職するならばコレだけ言えれば受かるとまで言われる殺し文句なのだが……
「私達の主がどんな人物か知ってる?」
「えっと……」
知っている。ヴァルキリエ隊については面接を受けるにあたり、調べつくしてきた。
ルキアーノ・ブラッドリー。実力こそが唯一の評価基準であるラウンズを体現しているような人物。
下級貴族から軍属へ、問題行動を多数起こすもその戦火を認められてラウンズに上り詰めた。
性格は極めて攻撃的且つ残忍、ついた渾名は『ブリタニアの吸血鬼』。
「そんな人の部隊だからね? 建前も礼儀も経歴も一切問わない」
- 651 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:51:49 ID:4WE5ql6G
- すっと伸ばされたライ卿のキレイな指が私の顔のラインを撫でる。
「さぁ、聞かせて欲しいな? 貴女の本心を」
指から伝わる暖かさと冷たさ、相反する二つの存在に心が昂ぶるのを感じる。
この人に全てをぶつけても良いと思った。
「誰もが認める功績が欲しいんです! 家のために! そして……兄の為に!!」
軍人だった兄、あのエリア11で命を散らした兄。大好きな兄に代わり、兄の為に家を守り栄えさせる。
その思いの丈を普通ならばありえないほどにぶちまけた。
「なるほど……オーリス」
「はい? 何かしら、隊長殿?」
『言い過ぎたかな?』とか『無礼に思われてないかな?』って若干顔を青くしている私から視線を外した。
後ろに控えていた美女の一人、ブリタニアには珍しい黒髪にメガネをかけた柔らかい雰囲気の女性に耳打ち。
そんな時、私は見逃さなかった。黒髪の女性の口元がオモチャを見つけたネコのように笑みを作った事を。
「クスクスッ……それは楽しそうですわね。さっそく責任者にお話してきます」
「ベッキー、外で待たせていた整備の皆さんに連絡とってもらえるかな?」
黒髪の女性は部屋を後にし、ライ卿はもう一人の逞しい健康的な女性にも一声。
- 652 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:51:58 ID:SuNfy32j
- 支援
- 653 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:53:52 ID:4WE5ql6G
- 「ん? なんだ、なんだ!? 何か面白い事か?」
「アレを演習場まで運んで欲しいんだ。駆動テストをしよう」
やはり何を言っているのか解らない。私の後ろに立っていたリーライナ先輩とも顔を見合わせて首を傾げる。
「はは〜ん、そりゃあ良い! 了〜解だ」
「あのライ卿? いったい何を……」
ライ卿は立ち上がり、見惚れてしまうような笑顔で言った。
「ヴァルキリエ隊の条件の一つは強さ……決闘と洒落込もう、マリーカ・ソレイシィ」
物騒なお誘いは舞踏会のダンス。
ナイトメア・フレームでの近接戦闘技術を磨く為のスペースは、ただコンクリートによって作られた平らなスペースだ。
中央には二騎が最初に向かい合うべき場所を示す二つの短い線。いわゆる格闘技全般の試合場と変わらない。
違う事があるとすれば人間とは違う大きさとスピード、衝撃に対応すべく広大に設定されている程度だ。
各国でのナイトメア・フレームの実戦配備が進んだこと。
そして第三皇子暗殺からブラックリベリオンまで、エリア11で高度なKMF同士の戦いが記録されたこと。
以上の二点により、ブリタニア軍がKMFの近接戦闘技術の向上を目的として、各基地に順次整備している施設。
- 654 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:54:49 ID:tSxF1Z2j
- 携帯に移って支援
- 655 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:55:33 ID:4WE5ql6G
- 「おい、何かあるのか? ずいぶんギャラリーが集まってるけど」
ボクシングなどの格闘技がテレビ中継される事に代表される事例として、『人間は他者同士が戦うのを見る事を好む』生物だ。
古くはローマ帝国にて剣闘士たちの戦いに熱狂したこと、新しくはKMF近接戦闘訓練も軍人達にとっては良い娯楽。
「あぁ! 何でもあのヴァルキリエ隊が模擬戦をするらしい」
「なんだって!?」
戦闘に巻き込まれない範囲に群がる軍人たち。既にフィールドの真ん中では一騎のナイトメアが待機している。
神聖ブリタニア帝国軍の主力ナイトメア・フレーム サザーランド。手には模擬戦用のアサルトライフルとランスがある。
「識別番号は……マリーカ? おいおい、大丈夫かよ」
「アイツなんかヘマやったのか? 吸血鬼の飼い犬は手加減を知らないぞ」
訓練場で相対する者を待つ鋼の軍馬の騎手はマリーカ・ソレイシィ。
先程までの緊張とは異なる戦場の緊張に身を委ね、武者震いにも似た震動を必至に抑える。
これから行なわれる模擬戦は彼女の全てが決まると言っても過言ではない。
ラウンズの親衛隊として認められるか、一軍人として再び日を過ごすか。
「来たぞ!」
かなりの数に達していたギャラリーの一角が声を上げる。
マリーカ機と相対する形、反対側からフィールドの入ってきた機体はサザーランドではなかった。
- 656 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 18:56:37 ID:tSxF1Z2j
- 支援
- 657 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:57:08 ID:4WE5ql6G
- 「アレは……まさか!?」
上位機体 グロースターでもない。第五世代と称されるナイトメア・フレームですらない。
サザーランドが騎士を模した兵器であるならば、そのKMFは鋼の騎士そのもの。
機械で再現可能なのか?と疑いたくなる人間らしすぎる柔軟な動き。
頭部にはツインカメラアイと飾り角。肩には大型のファクトスフィアが二つ。
機体色はヴァルキリエ隊のパーソナルカラーである薄紅色をメインに染められている。
装備こそマリーカのサザーランドと同様のモノだが、他の全てが違う存在であると主張している。
「第七世代か……」
特派と呼ばれる技術部がエリア11で開発し、シンジュク事変より運用した現技術の二つ上を行く存在だ。
名誉ブリタニア人部隊から皇女の騎士、ナイトオブラウンズまで上り詰めたクルルギ卿の愛機 ランスロット。
そんな名機を量産する事をコンセプトに作られた先行量産機。それこそライが騎乗する『ヴィンセント』である。
「さて始める前にルールを説明するね?」
「はいっ!」
ナイトメアのコクピットでウィンドウ越しに視線を交え、言葉を交わすのはライとマリーカ。
模擬的なものとはいえ戦場で対面してみて、マリーカはこれから自分を計る戦乙女の長の力を肌で感じる。
圧倒的な威圧がある訳ではない。ただ静かな……冷たい氷……鋭い刃のような。
- 658 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:58:03 ID:4WE5ql6G
- 「これは模擬戦という形式を取っているけど、どちらかが勝利する事を目的としない。
ただ私が君を『ヴァルキリエ隊の相応しいか?』という一点を見極める為に刃を交える。
故に君が私に勝利しても敗北しても審査の内容が決する事は無い」
両者のウィンドウで始まっていたカウントダウンが10を切ったところで、『もっとも……』とライは前置きして呟く。
「あまりにも早く終わる事が無い方が良いかな?」
「むっ!? ご期待には全力で答えます!!」
マリーカ・ソレイシィは何処にでもあるブリタニア貴族の家系に生まれた。
故に礼節も遠慮も弁えている。だが同時にブリタニア貴族であるが故に……前へ前へと進む力も強く……負けず嫌いだった。
サザーランドはアサルトライフルを腰に納め、両手で模擬ランスをシッカリと腰で構える。明確な刺突の体勢。
対するヴィンセントは両手の得物を構える事無く、腕部はダラリと垂れ下がった無の構え。
「きえぇえ!!」
カウントゼロ、先に仕掛けたのは体勢の語るとおりにマリーカだった。
自身を奮い立たせる裂帛の叫びと共に、地を捉えたランドスピナーが高速回転。
サザーランドの鋼のボディが構えたランスごと突撃を開始する。決して幼稚で無謀な行為ではない。
速度と機動性を武器とする全く新しい兵器であるナイトメア・フレームにとって、ランスを用いる突撃は立派な戦法である。
「思い切りは良し……でも!」
- 659 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 18:59:11 ID:4WE5ql6G
- しかし第七世代という新たな地平の突入したヴィンセントに、従来の戦法は通用しない。
本来ならばランスによる突撃は同じくランドスピナーを展開し、左右に移動する事で回避するのが定石。
マリーカもその回避を想定し、追撃など次の行動を考えていた。だがライの選択した方法は……
「なっ!?」
「とんだ……」
ギャラリーからも上がるどよめき。とんだと言っても『飛行』ではない。
一つ一つは小さなアクション。膝を屈め、重心を前へ……膝と呼ばれる部分の力を解き放つ。
サザーランドやグロースターなど、高速移動をランドスピナーに頼る第五世代KMFでは不可能な『跳躍』。
人間らしさを感じる自然な動きでありながら、大量のサクラダイトに裏打ちされたソレは高く、早い。
ランスの間合い、マリーカが想定した間合いを遥かに飛び越えて、ライのヴィンセントは宙を舞う。
高速で動く視界に惑わされる事なく、構えられたアサルトライフルが火を噴いた。
「このぉ!!」
ランスによる突撃が想定外の形で回避され、マリーカは舌打ち。
頭上というありえない場所から撃ち込まれる弾丸。スティックを捻り、機体が上げる悲鳴を無視して急加速。
間合いを計り直し撃ち返す。空中では姿勢制御が出来ないから狙い易い。
だが遅かった。薄紅色の敵機は既に地面に両の足を付き、ランドスピナーを展開。すぐさま開始された高速機動は……
- 660 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 19:01:08 ID:05vR+0LM
- 支援
- 661 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:09:25 ID:4WE5ql6G
- 「早すぎる!?」
「これが第七世代の性能か……」
マリーカよりも客観的に状況を見る事が出来た観客達がざわめく。
サザーランドが相手ならば間違いなく当たるだろうマリーカの正確な射撃が掠りもしない。
瞬く間に距離を詰め、ヴィンセントは重量級のランスで軽々と薙ぎ払う。サザーランドは慌ててソレを受け止めるが……
「パワーも……キャッ!?」
驚きを感じるまもなく、コクピットごとマリーカの小さな体を揺さ振る衝撃。
まるで耐える事も出来ず、サザーランドは吹き飛ばされて地面へと打ち付けられたのだ。
ディスプレイに愛機の悲鳴を示すサインを見つけながらも、マリーカは慌てて愛馬の体勢を持ち直す。
その背中に走るのは冷たい汗。自分が僅かにでも『勝って認めさせる』なんて絵空事にしか感じられない圧倒的な『差』。
「機体性能が……いや、パイロットの腕も……違いすぎる」
少なくとも訓練学校で主席を取ったマリーカの腕が悪いわけではない。それでもその腕前は学校の中でのモノ。
片やライはラウンズの親衛隊 ヴァルキリエ隊の隊長として、主が好むような激戦区を駆け抜けてきたのだ。
「なんで当たらないの!?」
先程の自分のように、ランスを両手で構え突っ込んでくるヴィンセントを見ながら、マリーカが叫ぶ。
- 662 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:11:42 ID:4WE5ql6G
- 直線的な突進であるならば、いかに早かろうと射撃を当てることは難しくない。
だがヴィンセントには当たらない。薄桃色の機体が直進しながらも、陽炎の様に僅かに揺れる。
すると当たるはずのペイント弾が地面へと赤い花を咲かせるだけに終わるのだ。
「さてマリーカ・ソレイシィ、ヴァルキリエ隊に入るには二つ……必要なものがある」
ランスで鍔迫り合いをしながらのオープン通信で、ライは静かに語り始めた。
本当は三つ『美しい女性である』と言うのが含まれるのだが、ライは今回そこの所を盛大にスルー。
「一つは『力』ナイトメア・フレームの操縦能力。これについて、君の能力は申し分ない」
「光栄……です」
「だがもう一つ、『覚悟』はどうかな?」
『覚悟』
その言葉にマリーカが思い浮かべた事のは……
「それは戦場で殺し殺される覚悟という事ですか!? そのくらい私だって……」
士官学校の情操教育で必ず学ぶような事柄。戦場に出た事がない新米だが、少なくとも形式的な覚悟は会得しているつもりだった。
しかしライが叫ぶのは否定の言葉。
「違うな! 間違っているぞ、マリーカ・ソレイシィ! ヴァルキリエ隊に『殺される覚悟』など必要ない!!」
「えっ!? じゃあ何を……」
- 663 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:13:15 ID:4WE5ql6G
- 「私たちに求められるのは『奪い続ける覚悟』!」
一見すれば『奪い続ける』と言う言葉には傲慢な考えしか感じる事が出来ない。
だがそれは違う。奪い続けると言うのは勝ち続けなければならないと言う事。
ナイトオブラウンズとは栄光と名誉で飾られた帝国の鉄砲玉に過ぎない。
たった個人で殺した数を計る事が出来るならば、ラウンズの平均は一般的な兵士を容易く凌駕するだろう。
皇帝が自由に動かし、一般軍人の被害を少なく戦争を早期勝利へ導く為、誰よりも多く血を被ることがその役目。
そこには名誉なき戦い、一方的な戦闘も含まれる。そしてラウンズには、その親衛隊にも敗北は許されない。
「一方的な虐殺も、達成困難に思える作戦も! ただ『イエス、マイロード』と返答する。
怨みが篭った断末魔にも、悲しみにも戸惑う事無く任務をこなす。
命を奪われる事など考えてはならない!! 最後の最後まで、地獄で前のめりに倒れるまで他者の大事な物を自分の為に奪い続ける覚悟が……」
不意にヴィンセントが力を抜いた事で、ランスによる鍔迫り合いは終焉を迎える。
理由は解らずともソレは勝利へのワンステップと理解し、マリーカが攻勢に出る前に……ランスが両断された。
「っ!?」
いつの間にかヴィンセントの手にはランスがなく、真っ赤な刀身の剣が一つ握られている。
MVS メーザー・バイブレーション・ソード。かのランスロットの装備がオリジナルとなった次世代の近接武装。
刀身が高速震動することで無類の切れ味を得て、如何なる物体も両断することができる。
その特性から言えば模擬戦には適さない。何処に当たっても確実に機体は破損するし、胸部に直撃すればパイロットは確実に死ぬ。
- 664 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:15:46 ID:4WE5ql6G
- 「君にはその覚悟があるか!? マリーカ・ソレイシィ!!」
しかしそんな武装だからこそ問い掛け、引き出す事が出来る答えがある。
今までの精錬された無駄の無い動きではなく、まるで儀式のように優雅な予備動作から、ヴィンセントが繰り出すのは突き。
狙いはサザーランドのコクピットブロックに寸分の狂いなく打ち込まれる。
『殺される』
そんな言葉が心の内で響き渡り、走馬灯のように幾つもの場面が過ぎった。
小さいながらも貴族としての体裁を持つ生まれ育った邸宅。訓練学校での厳しい日々。
そして……もう会えない大好きな兄 キューエル・ソレイシィの笑顔。
「私は……私はまだぁあ!!」
何も出来ていない。何も成し遂げていない。兄の志を成就する事無く、家を守り栄えさせる事もなく……
マリーカの脳内で光が弾けた。視界がパッとクリアーになり、意識が研ぎ澄まされていくのが解る。
付いて行くだけで精一杯だったライ操るヴィンセントの動きを冷静に見極める事が出来る。
「このぉ!!」
マリーカの無茶苦茶だが正確な入力により、サザーランドが僅かに身を捻った。
それでも避けきることは出来ず、先端を失ったランスが持っていた腕ごと斬り飛ばされる。
それでも命を奪われる事なく、MVSの間合いではなくサザーランドが持つ近接武装の間合いに引き込む事に成功。
掠るほど懐に引き込み、突きを回避したことにより、眼前に見えるのはヴィンセントのコクピット部分。
- 665 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:17:11 ID:4WE5ql6G
- 打撃と共に高圧電流を流し、敵機を機械的に戦闘不能にするスタントンファーを展開。
模擬戦では電流を切って使用するのだが、極限状態と言っても良いマリーカは反射的に、スイッチを入れていた。
密着するような体勢ゆえに高々と振り上げられた片腕のトンファーに紫電が宿る。
勝負が決した。見る者が見れば、最後の突きは吸血鬼の花嫁らしくないモノだったのだが、大部分のモノがそう思った。
「見事」
極限状態、振り下ろされんとする自機のスタントンファーを、ゆっくりと眺めていたマリーカにライは呟く。
「戦争の極限状態では『奪う』・『奪われない』と強く思った者に先が開ける。
戦闘中、常にその空気を感じる事が出来るようになれば君はもっと強くなるだろう。
だけど、今は一瞬でも見えたのならば……私に一撃を加えた君は合格だ」
「その為にワザと!?」
そこで通常の感覚に復帰したマリーカは、自分が上官にスタントンファーを振り下ろさんとする現状に気がつく。
ライもまさか反撃までしてくる優秀な娘だとは読みきれなかった。
だが止めを刺す行為として、スタントンファーの電源を入れたのは、むしろ評価に値する。
それだけ優秀な人材を確保できるならば、数瞬後に自分に襲い掛かるビリビリなど安いモノ。
ただライが心配するのは折角与えられたヴィンセントが、数時間と持たずにスクラップに成りはしないか?と言う点くらい。
だが衝撃も電流もライとヴィンセントを襲うことは無かった。
代わりと言っては何だがスタントンファーが残った片腕と共に粉微塵になった。
- 666 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:20:00 ID:4WE5ql6G
- 「なっ!?」
「キャッ!」
「この機体は……」
ギャラリーからは驚きの声、両手を失った機体が転倒したマリーカからは悲鳴、そしてライからは眼前に舞い降りたKMFについて。
その機体は頭部に一本角を生やし、背中には実用化されたばかりのフロートユニット。手にはミサイル発射機構を備えた盾。
そしてスタントンファーを粉砕した、ブレイズルミナスを発生させてドリルにもなる凶悪な爪。
ヴィンセントの上を行く出力と柔軟な動きが可能なこの機体の名前はパーシヴァル。
「じゃあパイロットは……『なかなか滾る熱い戦いだったぁ!』……ルキアーノさん?」
「ブッ、ブラッドリー卿!?」
ライは落ち着いた様子で、マリーカは慌ててコクピットから半身を出し、胸に拳を当てる臣下のポーズ。
数秒送れてパーシヴァルのコクピットから現れたのは、オレンジ色の特徴的な髪を逆立たせラウンズの衣装に身を包んだ長身の男性。
ルキアーノ・ブラッドリー。ナイトオブラウンズの十番、ブリタニアの吸血鬼と恐れられる戦闘狂。
そしてライの主であり、マリーカの新たな上官。
「ライ、お前から見てコイツはどうだった?」
ルキアーノは顎で示すようなテキトウなアクション。それでもマリーカからしてみれば、認められるかの緊張の瞬間。
問に答えるのはライ。大きく頷いて言った。
- 667 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:24:45 ID:4WE5ql6G
- 「まだまだ未熟ですが、これから戦場で磨けば…『ふ〜ん』…ご納得頂けない?」
「いや、お前の見立てなら信じるさ」
「じゃあ!」
ライとルキアーノの会話を合格発表を待つ女学生のように聞いていたマリーカに笑顔の花が咲いた。
「合格だ、お前をこの時からグラウサム・ヴァルキリエ隊の一員となる。血と殺戮と名誉をオレ様の傍らで与えよう」
「はいっ!!」
頷いた彼女は、いつの間にかサザーランドを上ってきたリーライナに抱き締められた。
かわいい妹分の大出世を喜ぶ基地の軍人たちによって胴上げまで開始される。
「やったわね、マリーカ!」
「大出世だな、それ〜」
「祭りだ祭りだ」
「キャーキャー」
その様子をヴィンセントの上から眺めつつ、ライは苦笑。
どうやら新しい仲間はブリタニア人には珍しく、人から好意を持たれやすいタイプのようだ。
しかしそんな彼女が敵からは忌み嫌われ、味方からは疎まれる自分たちの部隊で大丈夫だろうか?といまさら思ったり。
「おい!」
ふと声をかけられてライは視線を上げた。そこには何故か視線を合わせない上司が居る
- 668 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:26:27 ID:4WE5ql6G
- 「はい? なんですか、ルキアーノさん」
「お前の一番大事なものはなんだぁ?」
それは主従、吸血鬼とその花嫁の確認の儀式。
「私の大事なものは貴方です、ルキアーノ・ブラッドリー卿」
「ならオレ様の許可無しにくだらない理由であぶねーマネするんじゃねえよ」
何時も自分も他人も危険な道を巻き込んで突っ走るバトルマニアには似合わない言葉。
何処で話を聴きつけて戦場でもない場所でKMFによる飛行、基地に侵入し備品を破壊。
それだけならば唯の軍規違反なのだが、それがたった一人の部下の為にとなると……
余りにもらしくなくて、同時に可笑しくて可愛らしくて、ライは小さく笑い同意を示す。
「くすっ……イエス、マイロード」
男女ともに見惚れる美しい微笑だったのだが、浮かべたライ本人は勿論のこと、恥ずかしくてそっぽを向いていたルキアーノもソレを知る事はなかった。
- 669 :貧弱な軍馬 ◆Hrs3a0oJRE :2008/11/15(土) 19:30:20 ID:4WE5ql6G
- 以上でした〜……たぶん私は疲れていたんだと思う(ぇ
マリーカ視点は難しいし、長いだけでグタグタだし、戦闘には切れが無いし……
なんとかテンさんを詰め込みました感がバリバリだし……
あっ! 実はナナリーのエリア11行きに何の不幸か?
移動する航空艦のトラブルでご一緒する事になるルキアーノさんとヴァルキリエ隊一同と言う話を考えてるんだけど(ry
- 670 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 20:23:20 ID:SuNfy32j
- >669
こちらのシリーズ初読だったのですが、なんだか不思議な魅力のある話!
ライは女性?なんてミステリアスな。ルキアーノにわずかの人間らしさが?
マリーカの奮闘と、ライの超然としたさまにドキドキします。
保管庫行かなければ。
途中、諸事情により支援離脱し申し訳ありませんでした。
次回のお話を拝見できる日を楽しみにお待ちしております。
- 671 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:10:52 ID:Hh9/WaUb
- >>669
GJでした!!
最後のルキアーノの台詞で彼がツンデレに見えました。
マリーカ入隊を喜ぶ他のメンバーも可愛らしい。
次回の投下をお待ちしてます。
自分も前回の続きを投下したいのですが、22レスほど使用しますので支援お願いできませんでしょうか?
- 672 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:12:51 ID:4WE5ql6G
- 支援待機〜
- 673 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:13:02 ID:VFO1J5hB
- 支援しまっせ
- 674 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:14:12 ID:Hh9/WaUb
- 有り難うございます。ではその前に例の如く注意書き等を少々。
タイトル コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN01 魔神が目覚める日(後編)〜
カップリング なし
前作 〜 TURN01 魔神が目覚める日(前編)〜 の続きになります。
以下注意点
●根幹は黒騎士ルートを準拠してますが、オリジナルと言ってもいい内容です。
●王様ライの性格は自分の考えに依存してます。苦手な方はご注意下さい。
●オリキャラ出ます。同じく苦手な方はご注意下さい。
それでは、投下行きます。
- 675 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:15:31 ID:VFO1J5hB
- 支援
- 676 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:16:38 ID:4WE5ql6G
- 支援
- 677 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:16:59 ID:Hh9/WaUb
- ――バベルの塔――
その呼称は、ある書物では「混乱」を意味する「バラル」と関係付けられている。
それが正しい解釈であるかどうかは定かでは無い。
しかし、現代においてその名を冠したビル、バベルタワーは今まさに混乱の極みにあった。
至る箇所から黒煙を噴き上げているバベルタワー。それは人為的に起こされた「災害」によるものだ。
そして、その中で敵対する者達がぶつかり合えば引き起こされるのは「悲劇」のみ。
然らば、その先に待っているものは「崩壊」以外有り得ない。
災害、悲劇、そして崩壊。皮肉にも、それらはタロットに描かれている塔そのままの意味だった。
コードギアス 反逆のルルーシュ L2
〜 TURN01 魔神が目覚める日(後編)〜
深紅の玉座に腰掛けたライは、嚮団のメインホールでV.V.と共にモニターに映し出されるている映像を眺めていた。直ぐ傍には子供達の姿も見受けられる。
子供達はモニターに映る映像を見てそれが映画の世界ではなく現実に起きている出来事なのだと知らされると、やや興奮した面持ちで見入っていた。
既に最初の変化が起きてから数十分経つが、ライは一向に飽きる事なくモニターを見続けていた。
ライは表情にこそ出さなかったがルルーシュの身辺に明確な動きが出た事に内心喜んでいたからだ。
そんな彼等を余所に、一人眺め続けるのに少し飽きていたV.V.は暇つぶしにとでも思ったのだろうか、ライに問い掛けた。
「そういえばさ、彼への報告は?」
だが、ライは視線を移す事無く淡々とした口調で答える。
- 678 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:18:13 ID:VFO1J5hB
- 支援
- 679 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:20:02 ID:Hh9/WaUb
- 「機情に直接行わせた」
「なんだ、君が報告したんじゃなかったんだね」
V.V.の言葉は少し呆れた色を含んでいた。その為、少し引っ掛かったライが問い掛ける。が、相変わらず視線はモニターに釘付けのままだ。
「何か問題でも?」
「ううん、何でも。ただ、寂しがってるんじゃないかと思ってね」
「寂しがる?あの男が?馬鹿な――」
ライはその言葉を聞いた時、初めてそれまでモニターに向けていた視線をV.V.に移すと、少し驚いた様子で問い掛けたが最後は鼻で笑っていた。
すると、V.V.は得意げな表情を浮かべたまま話しを続ける。
「ライは知らないだろうけど、彼は君の事を凄く気に入ってるんだよ?話したがってると思うけどね」
だが、その表情を見たライはV.V.がまた自分をからかっているのだと思った。
「いつもこちらが一方的に話して終わりなのだが?」
そう尋ねると訝しむ視線を投げ掛けるが、V.V.は意にも返さない。
「決めた!報告に行ってきてよ」
「それは命令か?下らない事を――」
「これはお願いだよ。扉をくぐるだけじゃない。でも、断るなら断るで構わないけどね」
自身の中で勝手に結論を出したV.V.をライは咎めたが、あっさりと引き下がったV.V.の態度に何か引っ掛かるものを感じたようだ。
「お前がそう簡単に引き下がるとはな、嫌な予感がする。続きを言え」
「もし断るならこれから毎日ライとはアレで話そうと思っただけだよ」
それを聞いたライは心底嫌そうな顔をした。V.V.が言ったアレとは念話の事だ。
当初、V.V.はライの姿が見えない時は決まってそれを飛ばして来た。
ライもライで、初めの頃はその物珍しさと便利さから特に気にしてはいなかった。その結果、それはエスカレートする事となった。
- 680 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:21:22 ID:SuNfy32j
- 支援
- 681 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:23:09 ID:Hh9/WaUb
- やがて、V.V.はライが食事をしていようと風呂に入っていようとも、姿が見えないというだけでお構い無しに飛ばして来たのだ。
末期には就寝中にライはそれで叩き起こされた事もある。寝ている最中に頭の中で声がするのだ。それはどんな目覚ましよりも強力だった。ただし、目覚めは頗る不快だったが。
その為、ライはその事に文句を言うと共にV.V.の傍を離れる時は、必ず一言付け加えてから離れるようにしていた。
そのお陰か使用頻度も最近では殆ど無くなっていたのだが、アレがまた始まる事を想像して酷く憂鬱な気分になったライは、とうとう折れた。
「分かった。その代わり今まで通り緊急時以外は絶対に使わないと約束出来るか?」
その答えにV.V.は笑顔で頷いたが、次にライから小指を差し向けられると首を傾げた。
「何それ?」
「母から教わった。いいから同じ様にしろ」
V.V.は相変わらず首を傾げたままだったが、ライに言われるがまま自身の小指を差し出す。
すると、ライは素早くV.V.の小指に自身の小指を絡ませた。
そして事が終わると素早くその指を解く。するとライが独り言のように語った言葉を聞いていたV.V.は納得した様子で語る。
「ああ、針を千本も呑まされたくなかったら守れっていう事かあ。面白いね」
だが、ライはそれに答える事無く静かに席を立つと紅いギアスの紋章が彫られた扉に向けて歩き出した。
が、その足が不意にピタリと止まる。
「何か動きがあった場合は連絡しろ。それとV.V.約束は守れ。お前は先程冗談
のように捉えていたようだが、私はそのつもりで使ってはいないからな」
「ライ、君は意地悪だね」
V.V.は口をへの字にして抗議の声を上げた。それもそのはず。V.V.は如何に不死だと言っても痛みぐらいは感じるのだ。
そんな身体に針を千本も呑まされたら苦痛にのたうちまわる事請け合い。堪ったものでは無い。
普通なら、そんな事は拷問以外の何物でもなく行う人間は限られる。だが、ライはやると言ったら本当にやる存在だと言う事をV.V.は十分理解していた。
一方で、V.V.の抗議の声を聞いたライは満足げな表情を浮かべると振り返る事無く扉に向けて歩いていった。
- 682 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:24:27 ID:VFO1J5hB
- 支援
- 683 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:26:14 ID:Hh9/WaUb
- ―――――――――――――――――
炎に彩られた廊下で魔神は再び目覚めた。
「ナナリーはどうした?」
目覚めたゼロ、ルルーシュが最初に問い掛けたのは最愛の存在の行方だった。
だが問われた魔女、C.C.は言葉を濁す。
「探そうにも黒の騎士団が壊滅状態ではな」
「壊滅状態だと?」
C.C.の言葉にルルーシュは思わずそう反芻した。それは彼にとって聞き捨てならない言葉だったからだ。
しかし、その反応はC.C.には折り込み済みだった。更にはルルーシュが次に何と言うだろうかということまでも。
そしてその言葉に耐えるために、気付かれぬようそっと奥歯を噛んだ瞬間、
「ライはどうした?」
予想通りの言葉がC.C.の心を抉った。
「ライが居れば建て直しなど幾らでも……どういう事だ?」
怪訝な表情でルルーシュは問い掛けた。それは何故か?記憶を失っている間の事は覚えている。当然、町中に貼られた騎士団の手配写真の事も。
だが、何度思い出してもその中にライの姿が無かった事から、捕まる事無くC.C.達と逃走していると思っていたのだ。
だが、C.C.は直ぐには答える事はしなかった。
彼女にとって、本来であればこれは誰か他人に押し付けたい事だった。もしその誰かが引換にピザを奢れと言ってきたとしてもだ。
だがそれは出来なかった。いや、絶対にしてはいけない事だった。
それはC.C.がルルーシューシュの共犯者だからという事だけでは無い。
ルルーシュとライ。
共に王の力を持つ二人を誰よりも近くで見続けてきたC.C.にとって、これを他人に任せてしまえばもう彼女は魔女以下の存在にまで堕ちてしまう。
C.C.は暫しの間押し黙ったが、遂に意を決した。
- 684 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:27:25 ID:SuNfy32j
- 支援
- 685 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:29:10 ID:H0Z4Fk3/
- 支援
- 686 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:29:20 ID:Hh9/WaUb
- 「……あいつは、死んだ」
だが、決死の想いで告げたC.C.の言葉を、あろう事かルルーシュは鼻で笑った。
「記憶を取り戻したばかりだと言うのに、お前はいきなり何を言い出すんだ?」
それは完全に小馬鹿にした口調だった。だが、C.C.は何も答えなかった。その様子を見た時、ルルーシュの顔色が変わった。
本来このような口の聞き方をされれば黙っていない筈のC.C.が何も言わないのだ。
「……死んだ、だと……馬鹿な……ハハッ」
C.C.の有り得ない態度にそれが事実だと悟ったルルーシュだったが、それでも認めたくなかったのかそう言うと最後に笑った。が、悲しいかなそれに力は無かった。
ルルーシュの視線が虚空をさ迷う。そしてそれまで気にも止めなかった死体に目が行くと、思わず目を背けてしまった。ライの姿と重なったからだ。
その瞬間、ルルーシュは事切れたかのようにその場に膝をつくと俯いてしまった。
すると、そんなルルーシュを無言で見つめていたC.C.が激を飛ばす。
ルルーシュには一刻も早く指揮を取ってもらわなければならないからだ。
「今すぐ受け止めろとは言わん。だが、これは……」
「黙れっ!!」
C.C.の言葉は最後まで聞かれる事は無かった。
「頼む……それ以上は、言わないでくれ……」
その言葉を聞いた時、C.C.は思わず顔を曇らせた。
それは遮られたからでは無い。それはユーフェミアを撃ったあの日以来、聞く事の無かったルルーシュの悲痛な声だったからだ。
だが、今はあの時のようにしている暇は無かった。
先程から、少し離れた場所でナイトメアの駆動音が聞こえていたからだ。
そして、それは確実に近付いて来ていた。だが、それはルルーシュにも聞こえていたのだろう。
- 687 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:29:34 ID:4WE5ql6G
- 支援
- 688 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:33:15 ID:Hh9/WaUb
- 「分かった。だか、今は感傷に浸る時間は無い」
「分かって…いる」
ルルーシュが先程よりは幾分かマシな口調でそう告げた時、暗闇の奥から一騎のナイトメアが現れると、それを見たC.C.はスッと柱の影に身を隠した。
「此処で何をしているっ!?」
スピーカーから男の怪しむ声が飛ぶ。
だが、ルルーシュは顔を上げて涙に濡れた頬を見せつけると悲痛な声そのままに言葉を発した。
「軍人さん……ですか?良かった!助けて下さいっ!」
ルルーシュのその姿は、男に何故学生がこのような所に居るのかという疑念を吹き飛ばすには十分だった。
男は安心させる為にハッチを開いて地面に降り立つと、その姿をルルーシュの眼前に晒した。いや、晒してしまった。
しかし、それも無理からぬ事と言える。
先程のルルーシュは、傍目に見ても突然テロに遭いどうして良いか分からずに泣いている無力な学生にしか見えないかったからだ。
そんな存在に涙ながらに助けてと言われれば、軍人である男が、いや、その前に一人の男だ。無視出来る筈も無い。
だが、男は知らない。
このテロがたった一人の存在を甦らせる為に引き起こされたという事を。
そして目の前に居る学生服姿のひ弱な青年こそがそれであり、更には祖国にとって最悪の敵、漆黒の魔神とは知らないのだ。
男が安心させるために声を掛けようとした時、紅い鳥が羽ばたいた。
その様子を柱の影で見ていたC.C.は苦笑する。
「全く、大した演技だな。使えるものなら自分でさえも使うか」
それは全うな感想だ。
だが、果たしてそれは本当に演技だったのだろうか。
ひょっとしたら、先程の言葉はライを失った事への喪失感から来たルルーシュの魂の叫びだったのかもしれない。
だが、それは誰にも分からない。当の本人でさえも……。
- 689 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:33:21 ID:SuNfy32j
- 支援
- 690 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:36:23 ID:Hh9/WaUb
- ―――――――――――――――――
黄昏の間に二つの影が伸びていた。
その内の一つで、目の前に現れた光景に理解が及ばなかったスザクは最もな感想を口にする。
「ここは、一体……」
その問い掛けにもう一つの影の持ち主、皇帝は振り返る事無く厳かに答える。
「これは神を殺す為の武器、アーカーシャの剣という」
「武器、ですか?この神殿が?」
皇帝の答えはスザクを更に混乱させるものだった。だが、その問い掛けに対して皇帝から答えが返って来る事は無く、代わりに聞こえたのはスザク以外の誰かに向けられた声だった。
「何故、御主がここに居る?」
皇帝の背後でその言葉を聞いたスザクは一瞬怪訝に思ったが、それは直ぐに払拭される事となる。
「V.V.に脅された」
その言葉を聞いた時、スザクは無礼とは知りつつも皇帝の背後から覗き見た。
すると、そこに居たのは両腕を組むと神殿の柱に身を任せ、夕日に照らされた灰銀色の髪を目映く輝かせているライの姿だった。
「嘘を申すな。御主に脅しが通じる筈もあるまい」
ライの嘘を瞬時に見抜いた皇帝はそう言って咎めたが、口元は僅かにつり上がっていた。
「私にとっては切実な問題が一つあった。それを解決する為にここに来たのだ。ところで、何故その男をここに招いた?」
「この者はゼロの正体とギアスを知る者。知らせておいても問題はあるまい」
皇帝はそうまで告げると、静かにその場を立ち退いた。ライとスザク。二人の視線が交差する。すると、スザクは恭しく頭を垂れる。
「お久し振りです」
「ああ。枢木卿、貴公の武勇は聞き及んでいる。それとあの男、ルキアーノといったか。あれと共に白ロシア戦線では大層な活躍を見せたそうだな」
- 691 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:38:06 ID:KS2ymje9
- 支援
- 692 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:39:37 ID:Hh9/WaUb
- そう、白ロシア戦線でスザクはそれまでナンバーズを卑下して来た者達を一掃する程の、目覚ましい活躍を見せていた。
そして、同じくルキアーノもその異名を更に轟かせていた。
だが、それがあの日ライから受けた屈辱による怒りから来るものだったという事は、あの場に居た者達しか知らない。
「ブラッドリー卿はあの時殿下から――」
「止せ。ここに私が居るという事は、私がこの男の息子などでは無い事ぐらい気付いているのだろう?」
ライはスザクの言葉を最後まで聞く事無く、突如として剣呑な表情を貼付けた。
「だが、それ以前に貴公は私を知っているようだからな」
そう告げるとスザクより視線を移したライが皇帝を見やる。すると、皇帝はうすら笑いを浮かべたまま静かに頷いた。
そして、皇帝の同意を得たライは口元を僅かにつり上げた。
「話してみろ」
その言葉に今度はスザクが驚いた様子で皇帝に視線を移す。すると、皇帝はライの時と同じ様に頷いた。
それを見たスザクは、辿々しい口調で話し始めた。
「あな、たは――」
「待て。以前のように、だ」
スザクの口調に気付いたライが素早く咎めと、それを受けたスザクは思わず叫んだ。
「君とは……友達だった!!」
だが、その悲痛とも言える言葉はライには届かない。
「友達か。生憎と全く覚えていないな。それに、そのような者は今の私には必要ないものだ」
「君とはずっと友達でいたかったんだ!!友達……で……」
それはスザクの本心だったが、変わり果てたライを目にして最後の方などはもう言葉になっていなかった。
だが、ライは怪訝な表情のままに問い掛ける。
- 693 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:40:19 ID:SuNfy32j
- 支援
- 694 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:42:43 ID:Hh9/WaUb
- 「貴公はその言葉に随分と拘るが、何故だ?友を、ルルーシュを売った男が何を言う?」
「許せなかったんだ。彼はずっと僕に嘘を吐いてた。それにユフィにもギアスを――」
「ユーフェミアの件は置いておくとして、嘘を吐いていたのは貴公も同じでは?」
突然問われた事に何を指しているのか分からない様子でいたスザクを余所に、ライは愉快そうな笑みを浮かべながら続ける。
「色々と調べさせてもらった。貴公はあの白いナイトメアのパイロットでありながら、戦場に出る事は無いと周囲に嘘を吐いていたな?」
「それは……余計な心配を……」
痛い所を突かれたスザクが言葉を濁していると、ライは笑いを堪えるように囁いた。
「ルルーシュも同じだったかもな。いや、テロリストである以上向こうのほうが切実か」
スザクは最早何も言い返せないでいた。だが、ライは一転して柔らかい口調で語り出した。
「何れにしても、大切な存在を殺されたという貴公の憎しみは理解出来る。それが心許した友であれば尚更だろうな」
その声を聞いたスザクの脳裏に嘗てのライの姿が過った。だが、それは間違いだ。目の前に居るのはスザクの知るライでは無いのだから。
「やはり友など持つものでは無いな。煩わしい事この上ない」
柔らかい口調そのままに残酷な言葉を平然と使ったライに、これ以上聞く事に耐え切れなくなったスザクが言葉を発しようとしたが、ライはそれを左手で制した。そして、瞳を閉じたが直に開くと皇帝に向き直る。
「バベルタワーで動きがあった。私は戻らせてもらう」
「よかろう」
ライは皇帝から許可を取り付けると、再びスザクに向き直る。
「話せて良かった。貴公の話を聞いても私の心は揺るがない。つまりはその程度の記憶だったという事だ」
未だ呆然としているスザクを余所に、ライはそう一方的に告げると立ち去っていった。
ライが立ち去ると、皇帝はスザクに対して告げた。
「あれが彼奴の本性よ。あの者にとって他人という存在は利用出来る者か敵か。その二つしか無い。いや、友という概念自体理解出来ねばする気も無いのであろうな」
- 695 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:43:20 ID:KS2ymje9
- 支援!
- 696 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:44:01 ID:4WE5ql6G
- 支援
- 697 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:45:50 ID:Hh9/WaUb
- それを聞いたスザクは我に返ると先程の事を思い出す。だが、皇帝の言葉の通り嘗ての、優しく何よりも仲間を大切に思ったライの姿は何処にも無かった。
残酷な現実を再び思い出しながらも、スザクは何とか言葉を紡ぐ。
「皇帝陛下。彼は本当に……」
その問い掛けに皇帝は厳かな口調で答える。
「よかろう。話すとしよう」
そして語り出した。ライ、いや、ライゼルの血と狂気にまみれたおぞましくも哀しい伝説を……。
―――――――――――――――――
モニターから敵部隊の反応が次々と消えてゆく。
ルルーシュはそれを満足げな表情で見つめながらも指示を飛ばしていた。
すると、突然背後から声を掛けられた。
「順調そうね」
ルルーシュが驚いて振り返るとそこには紅髪の女が居た。
「カレン?21階に向かえと言った筈だが?」
「あなたの側に居たかったの」
それだけ告げると、カレンは手にした銃口をルルーシュに向けた。
向けられた瞬間、いやカレンがこの部屋に来た時点でルルーシュには分かっていた。
ルルーシュにとって最愛の存在がナナリーであるように、カレンにとってのそれはライだ。
あの後、結局ルルーシュはC.C.からライの最後までは聞けていなかった。
その為、ルルーシュはライの身に何があったのかまでは知らない。
だが、間違いなく自分に責任があるのだろうとは感じていた。
ナナリーを救う為とはいえ、大切な戦いの最中に戦線を離脱したのだから。
だがそんなルルーシュの思いを余所に、カレンが最初に語ったのはライの事では無かった。
- 698 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:47:07 ID:KS2ymje9
- 支援
- 699 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:49:38 ID:Hh9/WaUb
- 「聞きたい事があるの。ルルーシュ、あなたは私にギアスを使ったの?私の意思を捩じ曲げて、従わせてっ……!」
問われたルルーシュは迷った。確かにカレンにギアスを掛けたのは事実だったが、従わせるような事は言っていないのだ。その為どう答えれば良いか悩んだ結果、直接告げる事は避けた。
「神根島でゼロを見捨てた君がそれを言うとはな」
「そうね。確かに私はゼロを見捨てたわ。従わせてたら見捨てる事は出来ないでしょうね」
ルルーシュは自分の伝えたい思いが伝わった事に安堵する。
「分かったろう、カレン。君が決めたんだ。この…私を」
そして、諭すかのように告げるとルルーシュはゆっくりとした足取りでカレンの元に歩み寄った。
だが、カレンはそれを許さなかった。まるで拒絶するかのように、突然ルルーシュの額に銃口を突き付けた。
ルルーシュの表情が一気に強張る。そしてその時ルルーシュは悟った。まだ終わっていないのだと。
「これが最後の質問よ。ルルーシュ、あなたはライにもギアスを使ったの?」
その質問には、先程のような小細工は一切通用しない。カレンの瞳は雄弁に物語っていたのだ。それを行えば、引金を引くと。
ルルーシュもそれには直に気付いた。だからといって正直に告げて助かるかと言えば、カレンの瞳はそこまで教えていない。本来のルルーシュであれば、このような状況でも何か策を考え付くものだった。
だが、驚くべき事にルルーシュは考えるのを止めた。
「ああ、使った」
そう平然と言い放ったルルーシュの言葉を聞いたカレンの瞳に怒りにが宿る。
「随分と……正直に……なったのね」
カレンは怒りのためか上手く話す事が出来ないでいた。だが、それでもルルーシュは臆する事なく告げた。
「俺は、ライとナナリーの事で嘘は吐きたくない」
それはまごうこと無きルルーシュの本心。しかし、ずっと欺かれてきたカレンが納得出来る筈も無い。
- 700 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:50:33 ID:VFO1J5hB
- 支援
- 701 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:53:37 ID:Hh9/WaUb
- 「今更何よっ!ライを無理矢理従わせたくせに!」
「使わなければ、あの時のライは止められなかった!」
「へっ?」
ルルーシュからの予想外の言葉にカレンは思わず間の抜けた声を出した。
それもその筈。無理矢理従わせたと思っていたのに止める為に使ったと言いだしたからだ。
しかし、直ぐに気を取り直して目で続きを促すと、それを認めたルルーシュは軽く頷いて語り始めた。
「式典会場でライが意識を失ったと言っただろう?あの後直ぐにあいつは目覚めた。そしてフラフラの状態であろうことか月下に乗ると言い出した。止めるには……ギアスしかなかった」
「じゃ、じゃあ、騎士団に入隊したのは――」
「あいつの意思だ。多少強引だった事は認めるがな」
ルルーシュは話の最中一切カレンから目を背ける事は無かった。
その態度を見たカレンの心に、信じるとはいかなくても信じたいという気持ちが生まれていた。
それに気付いた時、カレンはまるで自分に言い聞かせるかのように問い掛けた。
「信じて……いいのね?」
「あいつの事で嘘は吐かないと言っただろう?」
「それはゼロとして?それともルルーシュとしての誓約かしら?」
それはカレンにとって本当の意味での最後の問いだった。カレンはやはりどうしてもルルーシュを信じ切れないでいた。だが、ゼロとしてなら信じてもいいと思っていた。
ルルーシュとして言ったのなら殴り飛ばす。だが、ゼロとしてなら信じようと。
だが、それは良い意味で裏切られる事となる。
「どちらでもない。ライと二人で居る時は、仮面の男ゼロでもなければ優等生ぶったルルーシュ・ランペルージでも無い。本当の意味での自分になれた。だからこれは、あいつを想う一人の友達としての誓いだ」
- 702 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:55:44 ID:SuNfy32j
- 支援
- 703 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 21:57:09 ID:Hh9/WaUb
- 本当の自分――。
それを聞いた時、カレンにはルルーシュの気持ちが痛い程理解できた。
カレンもまた、ライと二人で居る時は病弱なお嬢様では無く黒の騎士団のエースでも無い、一人の女になれたのだから。
「分かったわ、信じてあげる。21階に向かえばいいのね」
カレンはそう答えると足取り軽く出口に向かって歩き出した。カレンがこの一年胸に抱いていた蟠りはもう無いのだ。
だが、ルルーシュの言葉がそれを制した。
「カレン、教えてくれ。ライは本当に……」
ルルーシュはそれ以上言う事が出来なくなっていた。どうしても言いたく無かったのだ。その最後の言葉を。
だが、それはカレンも同じ事。そして、そこまで問われて何を聞きたいのか理解すると静かに振り向く。
「この一年皆も、C.C.まで必死になって探してくれたわ。でも、何も見つからなかった。ライが最後に残してくれた物はこれだけよ」
カレンはそう告げると左手にはめた指輪を見せた。
「……そうか」
明らかに落胆した様子でいるルルーシュ。だが、振り返るとカレンは再び出口に向かって歩き出す。
そしてそこまで来た時、不意にカレンは足を止めると、言うべきか言わざるべきか少し躊躇する。内心、卑怯だとも思っていたからだ。
だが、ルルーシュを奮起させるにはこれしか無いとも思えた。やがて、カレンは意を決すると振り返る事無く告げた。
「ルルーシュ。ここから無事に出れたら聞かせてあげるわ、ライの最後の声を。だから……皆を助けて」
その言葉は十分にそれ足り得るものだった。ルルーシュは決意を瞳に宿すと力強く応じる。
「ああ、約束しよう……ゼロとしてもな」
カレンはその言葉を背に受けると、感極まったのか少し瞳を潤ませながらも次には全速力で駆け出した。
―――――――――――――――――
- 704 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 21:59:05 ID:KS2ymje9
- 支援!
- 705 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:00:11 ID:Hh9/WaUb
- 嚮団に戻ったライは、黄昏の間での出来事によってここ最近抱えていた悩みが払拭された事に内心喜びながらも、努めて冷静に問い掛ける。
「変化があったそうだな」
「うん。見てよ」
V.V.に促されるまま、ライはモニターに視線を移した。
すると、そこに写っていたのはブリタニアの航空部隊とそこから降下したサザーランドが、タワーの外壁にハーケンを食い込ませて銃撃を加えている映像だった。
「カラレス、か……」
ライはそう言うと眉間に皺を寄せた。するとV.V.もその言葉に同調する。
「どうやら正規軍のお出ましみたいだね」
「大人しく無意味な会食を楽しんでいればいいものを……」
「でも、どうするの?彼等が出て来るのは想定に入って無いんじゃないの?」
「いや、予想はしていた。まあ、無能者のお手並み拝見といこうか」
そう言うと、ライは玉座に腰を下ろした。すると、それまで辺りに散っていた子供達が静かにライの足元に集まると、その中の一人が紅茶を運んで来た。
その子供は覚束無い足取りで階段を上りライの傍まで来ると、恭しくトレイを差し出した。
ライはその上に乗っている紅茶を無言で受け取ると口元に運び静かに香りを確かめる。
その紅茶はライの好みに合わせてブレンドされており、一口飲んだライは僅かに口元を緩ませる。
それを見たその子供は笑顔を浮かべた。そして、ライの足元の階段に座り込んでいる他の仲間の元に戻って行くと、ヒソヒソと話し始めた。
「次は私の番よね?」
「違うよ、僕の番だよ」
「さっき約束したのに……針呑ませるわよ?」
「……ごめん」
- 706 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:01:22 ID:KS2ymje9
- 支援
- 707 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:04:27 ID:Hh9/WaUb
- どうやら先程の二人のやり取りを見ていたようで、早速使ったのだろう。子供達は、次は誰がライに紅茶を運ぶのかと言い争いを始めていた。
しかし、それはあくまでもライの邪魔にならないようにと囁き程度の声だった。
その様子を傍目で見ていたV.V.は、やがてライに視線を移すと独り言のように呟いた。
「ロロは大丈夫かな?」
だが、ライはそれをバッサリと切り捨てる。
「あいつのギアスは知ってるだろう?問題は無い」
「そうは言っても不安じゃないの?」
「…………」
その指摘にライは見透かされている事に気付いた。ライはロロに全幅の信頼を寄せている訳では無い。
いや、そもそもライは二人以外の他人を心の底から信じた事など無いのだ。
だが、続けざまに言われたV.V.の言葉はライにとって甘い響きを持っていた。
「ならさ、連絡取ってみたら?」
「作戦中だぞ?」
「ロロのギアスは知ってるでしょ?はい」
V.V.は鸚鵡返しに答えると通信機を手渡す。それをライは渋々といった様子で受け取った。
だが、未だ決め兼ねていたライはそれから一時の間通信機を握り締めたまま、モニターに映る映像を眺めていた。
―――――――――――――――――
金色のヴィンセントが隔壁を破壊してエントランスに乗り込んだ時、操縦者であるロロの目には一騎のサザーランドとそれを護るように控える二騎のナイトメアが映った。
そしてその中の一騎が禍々しいまでの異形の右腕を生やした紅いナイトメア、紅蓮である事を認めると思わず呟いた。
「見つけた。恐らくあれが――」
- 708 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:05:13 ID:KS2ymje9
- 支援!
- 709 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:06:54 ID:SuNfy32j
- 支援
- 710 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:07:04 ID:DhmRas3L
- 支援
- 711 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:07:30 ID:Hh9/WaUb
- あのサザーランドこそ指揮官が乗る機体だと判断した。そして、このテロリスト達が黒の騎士団だという事も。
ならばこそ、C.C.という可能性も捨てきれない。
ルルーシュを見失ってから幾分時間が経ち過ぎていた。それにこの混乱したビルの中で一人の人間を発見するのは不可能に近い。
その為、未だ指揮官が誰であるか確証は持てなかったものの、ロロはC.C.捕縛というライとV.V.、二人の共通した命を優先する事にしたのだ。
「直に引き摺り出してあげますよ」
酷く陰惨な笑みを浮かべるとロロはそのサザーランドに向けて駆けだした。
だが、当然の如く目の前には二騎のナイトメアが立ち塞がった。
ロロも事前の情報は得ておりあの二騎、いや紅いナイトメアとまともにやりあえば勝つことはまず不可能だと理解していた。
しかしロロにはギアスがある。
凄まじい速度で突進してくる二騎に対してロロはギアスを発動させた。
動きを止めた二騎のナイトメアの傍をロロは嘲笑うかのように通り抜けた。
そしてサザーランドの近くまで移動すると、時は再び動き出す。
「馬鹿なっ!」
「嘘っ!!消えた?」
金色のナイトメアが突然目の前から消えた事に卜部とカレンは驚愕の声を発した。
慌てて振り返ると、卜部の視線の先にはあったのはゼロの乗るサザーランドに切りかからんとする金色のヴィンセントの姿。
その光景を前に卜部は気付いた時には全力で駆けていた。そしてそれに気付いた時、卜部は笑った。
卜部巧雪――。
彼はライと最後に会話した男だった。
卜部のこの1年を一文字で現すなら「悔」これに全て集約される。卜部はずっと悔やみ続けてきたのだ。
- 712 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:07:46 ID:4WE5ql6G
- 支援
- 713 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:10:53 ID:Hh9/WaUb
- 何故、あの時ライを止める事が出来なかったのかと。
だが、その答えはあっけない程に簡単で、卜部も十分骨身に染みている事だった。何の事は無い。ほんの少し恐れたのだ。
それに気付いた時からというもの、卜部はその事を後悔した日は一日として無かった。
もう二度と恐れる訳にはいかなかった。だからこそ、身体では無く心が卜部を突き動かした。
卜部は咄嗟に二機の間に割って入ると、サザーランドを押し退けてヴィンセントのMVSを受け止める。
「ゼロには指一本触れさせんっ!」
「このっ!邪魔をっ!」
ロロは再び邪魔をされた事に苛立ちを露にした。
そんな二騎の攻防を目の当たりしたカレンが叫ぶ。
「卜部さんっ!」
咄嗟に割り込んだ事もあって卜部の体勢はカレンの目から見て明らかに分が悪かったからだ。だが、卜部から返って来たのは予想だにしない言葉だった。
「紅月すまん。彼を死なせたのは俺のせいだ」
「えっ?」
突然告げられた謝罪の言葉。
カレンは慌てて問い返そうとしたが卜部は無視するかのように続ける。
「俺は止めようと思えば出来た筈だった。だが、身体が動かなかった」
「そんな事」
「俺は彼に救われた。本来なら俺はあの時に散っていてもおかしくなかった!」
その言葉から卜部の決意に気付いた二人が叫ぶ。
「卜部、お前まさかっ!」
「待って!」
- 714 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:11:04 ID:KS2ymje9
- 支援
- 715 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:12:45 ID:SuNfy32j
- 支援
- 716 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:14:21 ID:Hh9/WaUb
- カレンは紅蓮のペダルを深く踏み込むと止めようと駆け出した。
一方、ロロは卜部の月下をうざったく思っていながらも、背後を晒している姿を見て笑っていた。このままコックピットを狙えば脱出さえも出来ずに仕留める事が出来るからだ。
「さようなら」
そう告げてコックピットに狙いをつけたその時、ロロは凄まじい唸り声を響かせて突進してくる紅蓮を視界に捉えた。
「しぶとい連中ですね」
そう呟くと一気に片をつけようとギアスを発動させた。が、その瞬間ロロの携帯が鳴った。
慌てたロロは、咄嗟に卜部や突進してくるカレンから距離を取る。
発動中は負担が掛かるが、連絡には何があろうとも応じるようにとライから命じられている。ロロに拒否権は無かったのだ。
『私だ。C.C.はルルーシュに接触して来たか?』
携帯口から聞こえるライの声は明らかに怒気を孕んでいた。
「その……」
『発動中だろう?手短に話せ』
「まだ…です」
『分かった。引き続きルルーシュの傍を離れるな』
それだけ告げると通信は切られた。それをもって王の時間も終わる。
「また神速かっ!!」
突然背後から敵が消えた事に対して、決意を挫かれた形となった卜部は思わずそう吐き捨てていた。だが、それと時を同じくして卜部の傍に紅蓮が戻ると、二騎は再びゼロの前に陣取った。
「卜部さん、何を…しようとしたんですか?」
低く、奈落の底から響いてくるような声でカレンが問い掛けると、卜部はやや言葉に詰まりながらも答える。
「俺の命で……ゼロを救えるのなら」
だが、その言葉を聞いたカレンは遂に切れた。
- 717 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:15:43 ID:SuNfy32j
- 支援
- 718 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:17:45 ID:Hh9/WaUb
- 「ふざけんなっ!!ライに助けられたんでしょ!?何簡単に死のうとしてんのよっ!!」
「カレン。少し落ち着け」
「黙ってて!!」
ゼロとして命じたルルーシュだったが、今のカレンには効果が無かった。
だが、それでも卜部は食い下がる。
「しかし、そうでもしなければっ!!」
そう言って悔しさを滲ませる卜部であった。が、そんな3人の会話に突如としてC.C.が割り込んだ。
『新しい主従関係を構築しようとしている所で済まないが、準備が整った』
「そうか。卜部!お前はライに救われたと言ったな?ならば、あいつの分も生きて見せろ!」
C.C.からの報告を待ち望んで意いたルルーシュは、力強く告げると起爆スイッチを押した。
―――――――――――――――――
私立アッシュフォード学園。その地下に機情の監視施設はあった。
そこでは、褐色の肌をした女軍人が両肘を机につけて手を組みながらモニター越しに倒壊したバベルタワーを注視していた。
その一室に、通信を知らせる音が鳴る。すると、発信者を確認した彼女の部下が緊張した面持ちで発信者の名を告げた。
「ヴィレッタ卿!!カリグラ卿より通信です」
「出せ」
ヴィレッタと呼ばれた女軍人は、そう短く指示を飛ばすと椅子より立ち上がる。
程なくして、モニターには銀色の仮面が映し出された。
「報告シロ」
カリグラは部下を労う事もせず単刀直入に用件を告げた。
周囲の部下は冷ややかな視線を投げ掛けるが、既に慣れていた為何も言う事は無い。
それはヴィレッタも同じで、彼女は特に気にした様子を見せる事無く答える。
「はい、現在カルタゴ隊とは通信が途絶しています。ロロについても同様です」
「"アノ者"ノ事ハ良イ。時ニ"カルタゴ隊"ガ通信途絶ト言ッタナ?」
- 719 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:18:32 ID:KS2ymje9
- 支援!
- 720 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:21:43 ID:Hh9/WaUb
- カリグラがそう問い掛けた時、冷えた何かがモニターより伝わって来るのを感じたヴィレッタはやや萎縮した。
「は、はい」
「ソウカ」
そう言って珍しく軽く息を吐くと、やや落胆したかのような雰囲気を見せたカリグラに対して、部隊の壊滅を嘆いているのかと解釈したヴィレッタは静かに否定する。
「まだそうと決まった訳ではありません」
実際そうだった。
通信が途絶しているのもタワー崩壊の際に混線しているからだという可能性もあったからだ。
だが、カリグラは落胆などしていなければ部隊の壊滅を嘆いてもいなかった。
「命ヲ掛ケテモ成果無シトハナ。随分ト軽イ命ダッタヨウダナ」
「それは余りにも!!」
吐き捨てるかのように告げられたその言葉に耐え切れなくなったのか、隊員の一人があろうことかそう言ってカリグラの言葉を咎めようとした。
だが部下からの非難を何とも思っていないのか、カリグラは平然とした態度で返す。
「事実ヲ言ッタマデダ。ソレトモ、無体ダトデモ言イタイノカ?」
遂に我慢出来なくなった隊員は、身を乗り出すとカリグラに食って掛かろうとする。
が、咄嗟にヴィレッタに肩を掴まれた事で何とか留まった。
そして、ヴィレッタは部下が耐えた事に内心胸を撫で下ろしながらも努めて冷静に指示を請う。
「この後は如何致しますか?」
「ソウダナ。"アノ者"ガ付イテイレバ問題ハ無イダロウガ、念ノ為ダ。現場ニ出向キ"ルルーシュ"ノ生死ヲ――」
カリグラがそこまで告げた時、銀色の仮面を映し出していたモニターの隣に突如として漆黒の仮面が映し出された。そして、その仮面を被った者は開口一番雄々しく告げた。帝国にとって忌むべきその名を。
「私は…ゼロ!!」
「「「「なっ!?」」」
- 721 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:21:46 ID:4WE5ql6G
- 支援
- 722 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:24:13 ID:Hh9/WaUb
- その名乗りを聞いた瞬間、その場に居た誰もが唖然とした。だが、ゼロを名乗った漆黒の仮面は尚も語る。
「日本人よ、私は帰って来た!」
すると、たった一人動じる事無くその名乗りを聞いていたカリグラは、未だ唖然とした様子で聞き入っている部下に対して指示を飛ばす。
「発信元ヲ探レ」
「「「Yes, My Lord!」」」
カリグラの指示の元、我に返った隊員はコンソールパネルに指を走らせる。だが、その間にも漆黒の仮面の演説は続く。
「故に、私はここに合衆国日本の建国を再び宣言するっ!!」
「テロリストが、国を?」
それを聞いたヴィレッタがふざけるなといった様子で吐き捨てると、同時にトレースを終えた隊員が報告する。
「出ました。発信元は中華連邦大使館です」
「大使館だと?いったいどうやって?」
有り得ない場所から発信されている事にヴィレッタが声を荒げるが、カリグラは全てを理解したようだった。
「ソウカ。ソウイウ事カ」
短くそう呟いた後、カリグラは尚も続くゼロの独舌に耳を傾ける。
このゼロが本物かどうかまではカリグラも現時点では分かってはいない。しかし、カラレスの殺害とバベルタワーを道に見立てての脱出劇。それらを同時にやってのけたのだ。
その鮮やかとも言える手際の良さは、カリグラに報告書の中に記載されていた嘗てのゼロの姿を彷彿とさせた。
ならばこそ、現時点でこのゼロはルルーシュ以外には有り得ないと結論付ける事も可能であったが、次の部下の一言でそれは保留となる。
「ヴィレッタ隊長。学園内の監視員から報告です。対象が戻ったとの事」
その報告にカリグラは耳を疑った。だが、敢えて言葉にする事はせずに部下の会話に耳を傾ける。すると、それはヴィレッタも同様であったようで慌てた様子で問い掛ける。
「何だと!?ロロからの報告はどうした?」
「いえ、あの……ロロは確認出来ていません」
- 723 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:25:03 ID:KS2ymje9
- 支援
- 724 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:26:13 ID:4WE5ql6G
- 支援
- 725 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:26:53 ID:Hh9/WaUb
- 付いているべきロロが居ないという報告にヴィレッタは思わず首を傾げたが、それはカリグラも同じ事。 だが、カリグラはヴィレッタに深く考える猶予を与える事は無かった。
「ヴィレッタ。直ニ"ルルーシュ"ノ元ヘ向カエ。報告ハ定時ノ時ニ聞コウ。魅力的ナ物ヲ期待シテイル」
カリグラは一方的にそう告げると、通信を切った。
―――――――――――――――――
通信を切ったカリグラは再びモニターを見やるが、既にそこに漆黒の仮面の姿は無い。
だが、未だに見えているかのようにそこから視線を逸らそうとしなかった。
すると、すぐ傍に居た者が声を掛けた。
「ねえ、あのゼロはルルーシュかな?」
「サァナ」
カリグラは短く答えるとそれ以上言葉を発する事は無かった。やがて、カリグラは無言のままおもむろに自身を覆う銀色の仮面に手を掛ける。
そして、短い空気の抜ける音と共にゆっくりとした動作で仮面を外してゆく。
すると、そこから現れたのは銀の仮面よりもややくすんだ灰銀色の髪。そして、白磁器の様に白い肌と端正な顔立ち。
「ゼロが復活するとはな。……面白くなりそうだ」
カリグラの仮面を被る者、ライは陰惨な笑みを浮かべると蒼い瞳を輝かせながら静かにそう呟いた。
- 726 :ライカレ厨 ◆WLVpAM0ark :2008/11/15(土) 22:28:01 ID:Hh9/WaUb
- 以上で投下終了です。
指切りの話は何か頭に残ってたので使ったのですが、書き上げた後にライが知ってたかどうかと疑問に思ったのですが・・・。
そう考えると、本当にゲームに出てきてたか確認するべきだったかと反省中です。
カリグラのキャラは、こうでもしないと他のキャラと絡みようがないので・・・。
最後になりましたが、支援ありがとうございました。
- 727 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:32:34 ID:4WE5ql6G
- GJ! あ〜王様ライが新たな魅力再発見です。
どうでも良いが響団の子供がカワイイ。本編での扱いのヒドさと比べてもう……
カッコいいよ、卜部。死なない卜部にご期待下さい(ぇ
そしてガンバレ、ロロ。たぶんどんなロロよりもこのお話のロロが好き〜
何かゴチャゴチャ書きましたが、次のお話も期待しております!!
- 728 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 22:39:10 ID:KS2ymje9
- >>669
まずは、規制解除おめでとうございました。
貧弱な軍馬卿、GJでした!
戦闘描写、巧いと思うんですが……
というか初めてヴィンセント強いと思った。
とりあえずいつ女装に気付くのか、そしてその後の反応も楽しみですね。
>>726
ライカレ厨卿、GJでした!
スザクの、ルルーシュの悲しみが伝わってくるようで心が痛いでした。
意識せずに卜部を救ったライ、卜部の今後の活躍に大いに期待せずにはいられません!
子供たちが良いねぇww指切りを覚えたのかwww
あー大変面白かったでした!
貴公らの次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 729 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 23:29:59 ID:ihrL1WMi
- >>669
GJ!ライの女装が完全に板についた感じがもう、ねw
マリーカは本当にいいキャラしてるなあ、これからどう展開されるのか、期待します。
>>726
GJ!卜部さんが助かった、良かった!
ライと騎士団の進む道がこれからどう交わっていくのか、気になります。
次回をお待ちしています。
23:40から、さっきまでのシリアスとはかけ離れたものを投下します。
本文・あとがき合わせて10レスあります。
- 730 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 23:38:44 ID:VsyDW7G0
- 支援
- 731 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/15(土) 23:43:08 ID:ihrL1WMi
- では投下します。『虫食い同好会』シリーズです。
作者:余暇
タイトル:それぞれの戦い・卜部編
(設定と注意)
・カオスです。
・ルキアーノがもう別人です。
・萌は文化卿、すみません。
・オリキャラで朱禁城の兵士が出てきます。
・ロロ視点で進みます。
本文・あとがき合わせて10レスあります。
- 732 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/15(土) 23:45:38 ID:ihrL1WMi
- 『それぞれの戦い・卜部編』
ここは朱禁城近くの某所。僕と、僕が兄と慕う藤堂さんは、ある問題に直面していた。
「兄上、困りましたね。卜部さんが単独行動をとったということは、誰もツッコミ役がいませんよ。」
「ああ、これは直属の上司として、どうにかせねばならんのだろうが……。」
「やはり、ツッコミは慣れていませんか。」
兄上は静かに頷いた。それを見て、僕は小さくため息をついた。
「仕方がありませんね。わかっていたことですけど、僕が行ってきます。」
「すまない、では準備はいいか?」
僕が頷くと、兄上が日本刀を構えた。そして僕は、静かに目を閉じた。
「少々痛いが我慢しろよ。チェストォー!」
僕は兄上に、峰打ちでバッサリ斬られた。そして僕の魂は、床に倒れた自分の体から抜け出した。いわゆる幽体離脱だ。
『いたた……。うわあ、大きなコブができているよ。兄上、手加減できないんですか?』
「だが手加減しては、幽体離脱できずにただ痛いだけだぞ。」
『うう、それも嫌だな……。』
この危機的状況を打破するには、僕か兄上のどちらかが現場に行き、一時的に卜部さんに接触してツッコミをするのが妥当と結論付けられた。
そしてツッコミ役をすることが多い僕が朱禁城へ行くことになり、兄上の手で幽体離脱させられたのだ。
『それでは、行ってきます。』
「ああ、気をつけろよ。戻ってきた時、ちゃんと蘇生できるといいがな。」
『ええっ!?す、すぐに片づけて戻ってきます!』
大きな不安を抱えながら、僕は朱禁城へと向かった。
- 733 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/15(土) 23:49:21 ID:ihrL1WMi
- 某所を飛び出した僕は風に乗り、朱禁城に到着した。何だか体がスカスカで、違和感しかない。
『何だか気持ち悪いなあ。それよりも、卜部さんはどこだろう?』
すると、卜部さんが虫捕り網を振り回しながら西側の建物に入るのが見えた。
『見つけた!まだトンボを追いかけているのか、緊張感のない人だ。』
僕はすぐに彼を追って、西側の建物に入った。
「くそう、逃がしたか。おや、ここはどこだ?おーい、ゼロに戦闘隊長!おかしいなあ、はぐれたか。まったく、集団行動は連携が命なのに、まるでなっちゃいないな。」
『なっちゃいないのは卜部さんですよ!連携は四聖剣のお家芸なのに、こんなときにトンボなんか追いかけちゃって!緊張感がなさ過ぎです!』
「あれ?今誰かの声が聞こえた気がしたが?」
卜部さんが周りを見回している。幽霊である僕は彼らには見えない、僕の言葉も空耳程度でしか聞こえないのだ。
「まあいい。そろそろ南たちを探さないと……ん?」
すると、後ろから兵士たちが追ってきた。
「やれやれ、せっかちな奴らだ。これでも嗅いで大人しくしていろ、カメムシの臭い玉!」
卜部さんは懐からゴムボールをいくつか取り出すと、それを兵士目がけて投げつけた。それは兵士たちの上で破裂して、周囲は強烈な臭いに覆われた。僕も素早く鼻をつまむ。
「ぐわあああっ!」
「目が、目がぁーっ!」
「く、臭い……。」
悲鳴を上げる者、液体が目に入って大変なことになる者、失神する者。僕は彼らに向かって静かに手を合わせた。
「はっはっは、またな!」
爽やかな笑い声とともに、卜部さんは走りだした。鬼だ、この人鬼だよ。
- 734 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 23:50:15 ID:g/z8RA5W
- 支援
- 735 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/15(土) 23:55:25 ID:ihrL1WMi
- 卜部さんは、建物の中をひたすら走っていた。でも闇雲に走っているだけで、どこへ行けばいいかなんてわかっていないと思う。
「いたぞ、曲者だ!」
前方から兵士たちが迫ってきた。
「ふっ、歓迎ありがとうよ!報国変身、月下マン!」
卜部さんは月下マンに変身して、兵士たちの群れに突っ込んだ。
「カメムシの臭いつきグローブ装着!月下マンラーッシュ!」
特殊なグローブを装備した月下マンは、激しいラッシュを繰り出した。
「ギャアアッ!」
「やめろー!」
「た、助けてくれー!」
たちまち兵士たちの悲鳴が聞こえ始めた。卜部さん、それはあんまりです。
「さあ、道を開けろ!そして殴ると見せかけて、カメムシの臭い玉!」
また臭い玉が投げられ、強烈な臭いが充満した。だが、兵士たちも黙ってはいなかった。
「防臭マスク、装着!かかれー!」
臭い対策を施した兵士たちは、たちまち攻勢に転じた。
「ちっ、キリがないな!」
その時だった。
「ふはははは!よろしくお願いしまーす!」
「うわあああっ!」
どこからか名刺が飛んできて、兵士たちに刺さった。誰だろう?
「月下マン、助けに来ましたよ!」
そこには、七三分けにスーツ姿、大きな黒縁眼鏡をかけたブラッドリー卿が立っていた。
「テンさん!」
月下マンが彼を呼んだ。だが、彼はニヤリと笑った。
「残念ですが、今の私はルキアーノ・ブラッドリーではありません!私は世のサラリーマンが抱えるストレスを代理で発散する正義の味方、サー・ラリーマン!あ、これ名刺です。」
そう言うと、サー・ラリーマンは月下マンに名刺を渡した。
『……何これ?』
僕はただ、呆然とするしかなかった。あれが帝国最強の騎士?何かの冗談では?
- 736 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/15(土) 23:58:40 ID:g/z8RA5W
- 自援
- 737 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:00:43 ID:wf+ZDhd2
- 支援
- 738 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:02:22 ID:ihrL1WMi
- 「咲世子さんが『この格好で出れば、気分が高揚して気持ち良く戦えますよ』と言うのでな、中年男性に密かに人気があるアニメのキャラクターに変装したんだ。今はすごくいい気分だぜ。」
ブラッドリー卿が裏話を披露してくれた。咲世子さん、カオスを余計カオスにしてどうするんですか。しかもラウンズに何てことを。
「だが、何故俺たちがここにいるとわかったんだ。」
「ふっ、本国でオデュッセウス殿下が怪しい動きをしているのを知ってな、調べてみたらあのお方がドン・ウーだったのさ。そして殿下が中華連邦に行き、ちょうど時期を同じくして、お前たちも中華連邦に向かったと咲世子さんから聞いたんだ。
だからこうして、お前たちを助けに来たのさ。そうだろう、二人とも!」
すると、ブラッドリー卿の後ろから二人の魔法少女が出てきた。
「魔法少女ライマーユニー、頑張って月下マンをお手伝いします!」
「私はライマーユニー・ルナ。言っとくけど、アンタを助けたいわけじゃなくて、暇つぶしで来ただけなんだから!」
ライマーユニーに扮したマリーカさんと、ライマーユニー・ルナに扮したリーライナさんが、完全にキャラになりきっていた。これも咲世子さんの仕業だな。
「ああ、今のリーライナはツンデレの演技中だからな、あれでもすごく心配しているのさ。」
「うっ、うるさいわね!誰が心配なんか!」
「あの、先輩。そこまで演技にのめり込まなくても……。」
ブラッドリー卿に話を振られて赤面するリーライナさんに、マリーカさんがオドオドしながらツッコミを入れていた。もうカオス過ぎる、僕一人ではツッコミ切れない。
「まあ、そういうことだ。俺たちは仲間なんだから、もっと頼ってくれよ。俺たちも一緒に戦うぜ!」
ブラッドリー卿の言葉に、マリーカさんとリーライナさんも笑顔で頷いた。
「みんな、ありがとう!俺はいい仲間を持って幸せだ!」
卜部さんは感動して、袖で涙を拭った。彼らの服装さえまともなら、感動の名場面だったはずなのに。
- 739 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:02:50 ID:KS2ymje9
- 支援!
- 740 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:04:18 ID:DPZPWCQd
- 「卜部、この先に書庫がある。どうやらその中に南がいるらしい。ここは俺たちに任せて、お前はあいつと決着をつけて来い。」
「卜部さん、早くマリーカに平和をもたらして下さい。でないと、この子があの人たちに食べられてしまいます。」
「ひぃっ、先輩脅かさないで下さい、私なんか食べてもおいしくないですよぉ!」
「書庫だな。わかった、行ってくる。ここは任せたぜ!」
一名パニックになりかけている人が出たが、卜部さんはようやく目的地に向けて走り出した。
「さて、お前ら。派手に暴れようじゃねえか。」
「「イエス・マイロード!」」
残った三人は兵士たちを殲滅すべく、兵士たちの群れに突撃した。
「名刺乱れ咲き!」
ブラッドリー卿、もといサー・ラリーマンが、名刺を次々と投げていく。紙の角は意外と鋭いので、効果は抜群だ。
でもこんなことを嬉々としてやるラウンズって、どうなんだろう。
「マジカル〜♪ハンマー!」
マリーカさん、もといライマーユニーが、ハンマーと言いつつ何故かフライパンで兵士たちを叩きのめした。あれは底で叩かれるよりも側面で叩かれる方が痛い気がする。
「バカは大人しく寝ていなさい!マジカル・デスサイズ!」
リーライナさん、もといライマーユニー・ルナが、先端にトゲ付き鉄球を付けたハンマーを振り回した。どの辺がデスサイズなのかはわからないけど、きっとすごく痛い。
『と、とりあえずこっちは何とかなるかな。早く卜部さんを追わなきゃ。』
僕は、卜部さんを追って書庫へと急いだ。
- 741 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:07:04 ID:FdQs00Cr
- 支援
- 742 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:07:18 ID:DPZPWCQd
- そして僕と卜部さんは、書庫の前に立った。この中に南さんがいるのか。でも彼は、こんな所で何をしているんだろう。
「南、決着をつけに来たぜ!」
卜部さんが書庫の扉を開けると、南さんがこちらに背を向け、何かを見ていた。
「おお、これは二年前の天子様の写真か、やはりかわいいな。むっ、これは先々代の天子様の幼き日の写真!やはり血は争えないか、何とかわいらしい。」
……えーと、もしかしてアルバム?南さん、その発言は色々まずいですよ。
「おい、南。お楽しみのところ悪いが、少し付き合ってもらうぜ。」
「ああ、わかっているさ。まったく、せっかちな男だ。」
南さんはアルバムを本棚にしまうと、卜部さんと正面から向かい合った。
「南、もう少女たちを追い求めるのはやめろ。お前がしていることは、度を越しているんだよ。下手すりゃ国際問題だぞ。」
「ふん、それが朱禁城を虫攻めにする奴の言うセリフか?お前のやったことこそ、国際問題に発展しかねないと思うがな。」
いや、両方とも大問題だと思います。下心込みで天子様を追いかけるのも、虫をけしかけて朱禁城を生き地獄にするのも、結局は五十歩百歩ではないかと。
「お前も虫を好きになってみろ、世界が広がって、何かが見えてくるはずだ。」
「ふん、虫を愛でる少女など想像もできん。花を愛でるからこそ萌えるのではないか。その花を食い散らかす虫を好きになるなど、言語道断!」
「やはり俺たちは、相容れぬ運命なのか。」
「ふっ、どうやらそのようだな。残念だよ、卜部。」
いや、もう少し話し合いましょうよ。蝶が好きな女の子とかいるじゃないですか、その辺の矛盾点とか気にならないんですか?
「卜部、場所を変えるぞ。ここには貴重な書物や美少女達の写真が収められている。それらを破壊するのは忍びない。」
「ああ、いいだろう。それに屋内では動きづらいからな。」
卜部さんと南さんは窓から外へ飛び出し、僕も二人の後を追った。それにしても、いい加減に早く終わってくれないかなあ。
- 743 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:12:17 ID:DPZPWCQd
- 「大変身、斬月マン!」
外に出ると同時に、卜部さんは斬月マンへとパワーアップした。確か南さんは無頼マン、機体のスペック差を考えれば、既に勝敗は決しているはずだった。だが、僕の予想は裏切られた。
「大変身、暁マン!」
何と、南さんもパワーアップした。この辺は、さすがラスボスと言ったところか。でもあまり時間がかかると、僕が自分の体に戻れなくなりそうなんだけど。
「ほお、あのニーナとかいうお嬢さんの開発したシステムは、随分と優秀だな。」
「甘いな、卜部。俺は彼女が開発した変身システムを使っているわけではない。『暇つぶしになるし、見ているだけで面白そうだから』という理由で、夢の中でV.V.とかいう小僧にもらった力だ。お前と同じだよ。」
「何だ、お前もあの少年から力をもらったのか。」
……嚮主V.V.、このカオスはあなたの遊び心が原因ですか。いくら暇だからって、これはないでしょう。ツッコミは体力も精神力も消耗が激しいんですから。
「それでは、決着をつけるか。」
「来るがいい、卜部!返り討ちにしてやろう!」
二人は全速力でダッシュして、廻転刃刀で斬り合った。だがさすがは四聖剣、徐々に卜部さんが押し始めた。劣勢になった南さんが後ろに下がり始める。
「くっ、まずいな。」
「南、降参しろ。そして虫を好きになれ。」
卜部さん、まだ勧誘する気なんだ。
「しつこいぞ!いくら言われようと…」
「では、蝶を愛でる少女すらお前は否定するのか!」
「何?そんなの好きに決まって…って、あれ?おかしいな、何かが違う。」
矛盾に気づいた南さんが、手を休めて考え事を始めた。いや、戦闘に集中しましょうよ!
「あちこちガラ空きだぜ!これで終わりだー!」
「し、しまっ……!ぐああっ!」
隙だらけの南さんは、卜部さんによってボロ雑巾のようになるまで攻撃され、勝敗が決した。相変わらず緊迫感のない最終決戦だなあ。
- 744 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:13:54 ID:KsbZmMgk
- 寝る前に支援
- 745 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:16:07 ID:DPZPWCQd
- 「見事だ、この俺に隙を作らせるとは。完敗だよ。」
南さんが力なく笑った。ええ、最後辺りはすごく隙だらけでしたよ。
「南、これからは少女たちを追いかけるのはやめろ。こんなことをしても、嫌われるだけだ。」
「お前にそんなことを言われる筋合いはないような気もするが、負けたからには反論はしない。これからは大人しくするよ。」
そこへ、ブラッドリー卿たちがやってきた。どうやら向こうも片づいたらしい。
「卜部、終わったのか?」
「ああ、終わったぜ。ところで南、星刻さんはどこだ?大宦官に捕まったと聞いたが。」
卜部さんが南さんに尋ねた。
「あいつなら、さっき虫の大群が来た時の混乱に乗じて逃げたみたいだぜ。大宦官どもがあわてていたからな。
だが、今はどこにいるのかは知らん。おそらくロリコンに染まった大宦官を始末した後、天子様を追っているとは思うが。」
南さん、大宦官まであなたの色に染めたんですか。
「天子様は戦闘隊長殿やゼロと一緒だったから大丈夫だとは思うが、会えるといいな。」
「あー、ライさんが一緒か。もしフラグを立てていたら、多分血を見るわね。」
リーライナさんが不安そうに呟いた。あの、それってまさか……。
「ふおお!ロ、ロリッ娘ライマーユニー!」
突然南さんが復活した。何やら危ない目でマリーカさんを見ている。
「ひいっ、な、何だか怖いですー!」
「ぜひ握手して下さい!」
南さんがマリーカさんに近寄っていく。
「な、何かイヤー!」
「おー、豪快なホームラン。」
マリーカさんがフライパンをフルスイングして、南さんはどこかへ飛んでいった。リーライナさんが手を目の上にかざし、その行方を追っている。
ていうか、人ってフライパンであそこまで飛ぶのか。
『結局南さんは変わっていないな。ていうか、今回はやたら疲れただけのような気がする。早く帰ろう、元に戻れるといいけど。』
僕は疲れを引きずりながら、その場を後にした。
- 746 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:17:23 ID:wf+ZDhd2
- 支援
- 747 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:18:08 ID:DPZPWCQd
- 「ふう、やっと元に戻れた。」
魂を自分の体に定着させ、僕はほっと息をついた。
「向こうは相当なカオスだったようだな、疲労の色がかなり濃いぞ。」
「ええ、兄上。もう二度とあんな所に放り込まれたくありませんよ。」
もう次回は休みたい、本気で休みたい。
「さて、最終決戦も残り一回か。ロロ、早速次回予告だ。」
「ええっ、休ませてもらえないんですか!?」
ジャジャン!チャチャーチャチャーチャチャー♪(BGM)
『天子様の願いを叶えるべく、朱禁城を駆けるライ。紅く燃える修羅場をくぐり抜けた先で、ついに最終決戦の火ぶたが切って落とされる。次回、ご期待下さい。日本、万歳!』(by藤堂さん)
『あ、紅い修羅場ってまさか!ライさん、逃げてー!』(byロロ)
- 748 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:19:05 ID:wf+ZDhd2
- 支援!
- 749 :余暇 ◆kkvclxzIds :2008/11/16(日) 00:20:13 ID:DPZPWCQd
- 以上です、支援ありがとうございました。
ようやくこのシリーズもあと二回くらいで終わりそうです。
- 750 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 00:36:44 ID:wf+ZDhd2
- >>749
余暇卿、GJでした!
カオスすぎるwww
卜部もテンさんもマリーカもリーライナも南もみんなしてフリーダムすぎるwwwww
というかカメムシとか、どんな悪魔だw
ロロ、君はかーなーり頑張ったよ、幽体離脱までしてのツッコミ乙だ!
最終決戦はあと一回、楽しみだ!
貴公の次の投下を全力を挙げて待ってます!
- 751 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:13:56 ID:p290yPKL
- >>749
GJ!
しかし南は自重しろwww
1:30からの投下予告をいたしますので支援願います。
- 752 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:19:13 ID:MGISEWIG
- 支援できるかな。増援が欲しいところだ。
- 753 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:24:51 ID:pk/ii+bN
- >726
もうひとりの仮面の男の正体・・・
いいですね、まさにゼロと対を成す存在となったライ。
ライを引き戻すことのできなかったスザク、耐えるルルーシュ。それぞれの行末にドキドキが止まらない。
さらば卜部と思いきや、図らずもライに命を救われることとなりましたか。
さあ、次はどう出るのでしょう。
>749
なんて楽しいのでしょうか。
良かった。ロロが身を挺してツッコミ役になってくれて良かった!
藤堂さんは容赦ないですね。卜部さんもね。カメムシはくさいからね。
南大ホームランをかっ飛ばすマリーカが可愛くてときめきました。
次回を拝見できるのを楽しみにお待ちしております!!
- 754 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:29:37 ID:pk/ii+bN
- できうる限り。支援します
- 755 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:31:13 ID:p290yPKL
- 年下専門です、長編の続きを8レスほど投下します。
タイトルは「優しい世界で目覚めて 第十二話 お忍びプリンセス?」
・ギアス篇と学園篇の複合エンド後にしてR2終了後からの話
・ライは黒の騎士団入ってて学園篇エンドを迎えた、ルート的にはランペルージ兄妹メインに万遍なく頑張ったライ君
・ジャンル傾向はほのぼのしんみり系
・カップリングは今のところないですが「ライ←複数ヒロイン」の要素があります
・アフターに関しては情報が少ないため、自己解釈の要素を多分に含んでいます
- 756 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:33:13 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 757 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:35:32 ID:p290yPKL
- 「……ハァッ、ハァッ……に、逃げ切れたのか?」
何度も後方を振り返りながら戦々恐々の装いで独白する。
気がつけば必死に駆ける足はホテルの外にまで向かっていた。
辿り着いた場所はそれなりに人通りの多い場所らしく、息を切らしている銀髪の少年に注意を向けている者はいない。
とりあえずは一安心か。
そうホッと息を大きく吐き出すライ。
「しかし酷い目にあった……」
まさかただ廊下を歩いていただけで襲撃を受けるとは思ってみなかった。
しかも相手は妙齢の美女で貴族で強者。
こちらの素性を知っているようではなかったので、言い分通りこちらを不審者と思ったのは間違いないのだろう。
ハッキリ言っていい迷惑だと言わざるを得ないのだが。
(少し時間を置いて帰らないとな)
まだ彼女がホテルの中でうろついているかもしれないことを考えると、迂闊に戻ることはできない。
先程は逃げることができたが、今度も上手くいくとは限らないのだ。
どうしてこう僕はトラブルに巻き込まれやすいのだろうか。
ライはどこにいるとも知らぬ運命の女神様に向けてボヤく。
何故か青空に浮かんだ女神様はC.C.だった。
途端に何故か問答無用な納得感を覚え―――そして、彼は気がついた。
「ここはどこだろう……」
運動熱に火照って赤らんでいた顔が徐々に青褪めていく。
ロクに周囲も見ずに無我夢中で駆けていた代償か、周囲には見たことのない光景が広がっていた。
黒の騎士団時代、ライは情報収集の一環として地理の把握も欠かしてはいなかった。
しかし、トウキョウは度重なる戦争とフレイヤの投下による被害からの復興でその姿を大きく様変わりさせていたのである。
勿論、ライの頭にある地理データなど現在では何の役にも立たない。
「地図……売ってるのか? 最悪、人に聞けば……」
ある程度ほとぼりがさめるまで戻れないとはいえ、このままでは最悪迷子確定。
この歳でそれは情けなさ過ぎるとライは半ば願望のように呟きながら歩き出すのだった。
(……あの方は!?)
そんな銀髪の少年の姿を人ゴミの中から目ざとく見つけた人影が一つあったことに、気づくことなく。
- 758 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:36:02 ID:MGISEWIG
- なんで一回しか書き込んでないのに猿が出てくるんだ
わけわかんねえw
- 759 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:40:02 ID:p290yPKL
- (……つけられているな)
ホテルに帰還するべく歩くライは尾行者の存在に気がついていた。
親切な人から道を聞き、後は戻るだけという状況だったが彼の戦士としての勘は敏感に不審者の存在を感じ取っていたのだ。
変装用にと購入した帽子と眼鏡をさりげなく弄るフリをしながら後方を確認する。
すると、視界の端でチラチラと挙動不審に動き回る小柄な影が見えた。
(なんだ、あの稚拙な尾行は……?)
自分を尾行していると思われる影は、『自分は尾行しています!』と全力で声を大にしているような行動をとっていた。
電柱や建物の影を渡りながらそそくさと動き回っている姿はあからさまに怪しい。
遠目、しかもチラチラとした確認なのでハッキリとは見えないが、どうも相手は女性のようだ。
丈の短いスカートを初めとした服装と華奢な体型から見ても間違いはないだろう。
こちらと同じく帽子を被り、顔を伏せているため素性の判別はできない。
時折見える髪の色は黒であることから、相手は日本人だろうか?
身長から考えて、先程の物騒な女性ではないようなのでそこは安心ではあるのだが。
(どこかで見たような……けど、知り合いにあんな行動をとるような人なんて……)
注意の先を考えるに、自分が目的だということは間違いないがそれにしては行動が幼稚すぎる。
尾行者の気配を感じ出したのは変装用の道具を買う前なのだから、顔を見られたのは間違いない。
故に、尾行者はこちらの素性を知っていて後をつけてきているのだと判断できるのだが、その正体が全くつかめないのだ。
もしも相手が軍関係者であるならば先程も感じたとおり行動が稚拙すぎるし、知り合いであるならば声をかけてくるはず。
一番高い可能性としてはやはり相手は知り合いであり、こちらに確信がもてないから尾行という形をとっている。
そう考えるのが一番自然ではあるのだが、こうもあからさまだと流石に気になってくるというもの。
撒こうと思えばすぐに撒ける自信はある。
しかし、尾行者の一生懸命な行動を見ているとそれをするのは可哀想な気がするのだ。
(困った……)
まるで小さな子供を相手にしているような感覚をライは覚えていた。
- 760 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:40:24 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 761 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:41:26 ID:p290yPKL
- 「よし」
が、いつまでもこのままでいるわけにはいかない。
相手の目的が何であるかはわからない以上、直接聞くのが一番である。
幸いにも、尾行者には戦闘力があるようには見えない。
そう判断したライは素早く駆け出すと人通りの少ない路地に駆け込み、待ち伏せをすることにした。
- 762 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:43:05 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 763 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:45:24 ID:p290yPKL
- 「あ、あら?」
少し離れた場所から困惑した女性―――いや、少女の声が聞こえる。
警戒するのもバカらしいほど危険を感じさせない声音だが、演技という可能性が残っている以上は油断はできない。
曲がり角の向こう側でジッと息を潜ませ、ライは相手が近づいてくるのを待つ。
(けどこの声、どこかで聞いたことがあるような……)
子供っぽさを感じさせる響きの中に、凛とした声音。
その相反するはずの二つの音の融合した声は確かに記憶の中にある声で。
しかし、足音はもうすぐ近くに来ているためライはそこで記憶を探るのを中断する。
(―――今だ!)
小柄な人影が見えたその瞬間、たわませた足を一気に解放しダッシュをかける。
これ以上ないほどのタイミングでの不意打ち。
ライは尾行者の捕獲を確信し、そして次の瞬間腹部と胸に軽い衝撃を受けた。
「え?」
「きゃっ!」
二つの影がぶつかると共に、困惑と悲鳴の声音が交差した。
ライは後方にたたらを踏みながらもなんとかその場に踏みとどまる。
どうやら、ダッシュをかけた瞬間向こうも同じようにダッシュをかけたらしい。
隠れていたことに気づかれていたのか?
緊張が走りかけるが、ぶつかってきた少女は受身すら取らずに地面にお尻から倒れこんでいく。
すぐに体勢を立て直すわけでも、逃走を行うわけでもない。
それは完全に素人の反応だった。
おそらくはこちらが遠くに逃げたかもしれないと思い、走ろうとしたのだろう。
なんとも間の悪いことだ。
そう心中で苦笑しながらもライは相手の正体を確かめるべくサッと目を走らせた。
ぶつかった拍子に脱げたらしい帽子が地面に転がっているため、少女の顔がよく見える。
腰まで届こうかという黒い美しい髪に、人形のように愛らしく整った容姿。
どこかで見た顔なのは間違いない。
もっとよく見て―――いや、その前に助け起こさなければ。
一応罠という可能性も考慮しながらライは少女を助け起こすべく右手を差し出し。
- 764 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:45:49 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 765 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:48:24 ID:p290yPKL
- そして、目に入ったものにギクリと頬を上気させながら動きを止めた。
「うわっ」
「いたたた……」
少女が腰を擦りながら恨めしそうに見上げてくる。
その吸い込まれそうな大きな黒の瞳に見つめられながらも、ライの視線はある一点に集中していた。
倒れこんだ時の勢いで、少女のスカートが見事にまくれてしまっていたのだ。
ただでさえ短い丈のスカートなので、少女の白い太ももは完全に露出してしまっている。
それどころか、ライの視力はその上の部分―――平たく言えば下着までハッキリととらえてしまっていた。
なお、この時ライが己の視力を強化してくれたバトレーに感謝したかどうかは定かではない。
「もう、お尻を打ってしまいましたわ……」
眉根を寄せて痛みを訴えつつ、少女は立ち上がるべく差し出された手を掴もうとする。
どうやら、痛みから服の乱れにまでは気が回っていない様子だった。
「殿方でしたら、身を挺して―――」
ぷくっと頬を膨らませながら文句を言おうとした少女の唇が止まる。
くりっとした大きな瞳が更に大きく見開かれ、両手が差し出された手を無視して更に上に伸びた。
ライは下着を見てしまった動揺からか、反応が遅れてしまう。
仮にこの時少女がライを殺すつもりだったならば、彼は簡単に殺されていたことだろう。
しかし、少女の目的は少年の命ではなく、彼の身に着けている眼鏡と帽子だった。
「……へ?」
「ああっ、やっぱり!」
ライの間の抜けた声に一瞬遅れて少女の歓喜の声が響いた。
痛みを忘れたかのようにぴょんっと勢いよく立ち上がる少女を呆然と見やるライ。
変装道具を奪われてしまったにも関わらず狼狽しなかったのは、少女の反応が予想外だったからに他ならない。
だが、混乱も数秒のことだった。
我に返ったライは慌てて少女から眼鏡と帽子を奪い返そうと手を伸ばそうとし。
そして次の瞬間、それよりも早く胸に飛び込んできた少女に困惑するのだった。
「ライ様!」
潤んだ瞳で胸元から上目遣いでこちらの顔を見上げてくる少女が視界いっぱいに映る。
その瞬間、ライの記憶は少女の正体を表層に浮かび上がらせていた。
- 766 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:49:08 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 767 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:49:59 ID:MGISEWIG
- 支援
また猿出た。散弾銃でも欲しくなってきたぞ
- 768 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:52:00 ID:p290yPKL
- 「か、神楽耶様!?」
「お久しぶりです。やっぱり見間違いではなかったのですね!」
少女の名を驚愕と共に吐き出したライに構わず、黒髪の少女は密着度を更に高める。
皇神楽耶。
皇グループの代表にして日本の政財界に大きな影響力を持つキョウト六家の最後の生き残り、皇家の当主。
ゼロの提唱によって作られた超合衆国の合衆国日本代表と初代超合集国最高評議会議長を兼任した世界でも有数の権力者。
皇家の当主、という点を除けば全て『元』という冠がつくのだが、日本人で彼女の名前を知らないものはいないだろう。
(何故、この方がこんなところに!?)
ライの心中における悲鳴は当然のものだった。
少女の肩書きはどれ一つをとっても高名すぎる。
表舞台から引退し、一線を引いたとはいえ未だ彼女を慕い、尊敬する日本人は数え切れない。
そして、お金や権力を狙う悪人が目をつけてもおかしくはない立場にいる人間なのだ、皇神楽耶という人間は。
そんな少女がお供の一人もつけずに人ごみの中をウロチョロしていた挙句、人通りの少ない路地に入り込むなど。
(常識的にありえない……)
多大な呆れと冷や汗を感じつつも、ライはどこかで納得を感じていた。
この黒髪の少女は可憐な外見に似合わず、行動力が旺盛でパワフルである。
それはライの黒の騎士団時代から実証されていたことでもあった。
「神楽耶様……その、離れてはもらえませんか?」
「嫌です! 逃がしませんから」
「逃げません、逃げませんから……」
駄々っ子がそうするようにしがみついて離れない神楽耶をどうにか引き離す。
先程は私服姿を初めて見たということと、この少女がこんなところにいるはずがないという思い込みから
可能性を除外していたため気づくのが遅れたが、ハッキリと視界にとらえた今、見間違えるはずもない。
目の前にいるのは紛れもなく、日本最後の皇族の少女だった。
(この人の中に、僕と同じ血が流れている……)
ライの母は日本の皇族の血を引いていた。
すなわち、神楽耶とライは系譜的には遠いが親戚にあたるのだ。
母に良く似た長い黒髪と妹を思い出させる幼げな顔立ちが目に入り、少年はどこか懐かしさを覚えてしまう。
自分の母の血を継ぐ唯一の人間―――それはライにとって安心と親近感を抱かせるものだった。
- 769 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:52:48 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 770 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:54:13 ID:DPZPWCQd
- 支援
- 771 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 01:56:12 ID:p290yPKL
- 「まったく、それならそれで私にだけは言って欲しかったですわ……」
「いや、だからそれは僕が頼み込んでいたから……すみません」
路地を出た二人は再び変装をし、並んで歩いていた。
当然の如く今までどこで何をしていたのかを問われたライは何度目かの説明を実行。
その結果、除け者にされていたと解釈した神楽耶はへそを曲げる。
と、いうのが現在の状況であった。
ちなみに、神楽耶が後をつけてきた理由はライの推察通りだったりする。
「私に隠し事をするなんて……ライ様がいなくなった時、本当に悲しかったのですよ?」
「一身上の都合でして……」
ぷんすかと怒る少女をなだめるのはライをしてなかなかの難作業だった。
アーニャとは正反対で、どちらかというと妹の気性に近い神楽耶だが、気位の高さの分彼女のほうが対応は難しい。
しかも、彼女と自分はゼロを除けば―――あるいは、ゼロを含めても黒の騎士団の中で一番親しかったのだ。
自分から、というよりは神楽耶のほうが一方的に自分を気に入って構ってきたというのが実情ではある。
更に、自分が日本皇族の血を引いているということを知られたことで友好度は増し、気がつけば彼女の応対役まで任せられたという過去もある。
実際はかしましい少女の応対をルルーシュがライに押し付けただけという感もあるのだが。
閑話休題。
とにかく、黒髪の少女は親しかった自分にも黙って姿を消すとは何事かと怒っているわけなのだ。
勿論、本当の事情は言えるはずもなく、ただ平謝りするしかライには道はなかった。
「ええっ!? じゃあ本当に一人でのお忍びだったんですか!?」
「敬語は止めて下さいと言ったはずです!」
「あ……すみま、いや、ごめん……神楽耶」
よろしい、と機嫌良さそうに頷く少女にライは頬がひくつくのを止められなかった。
明らかに年下の自分に様付けや敬語は街中ではおかしいと指摘を受けたライがどうにか修正に苦心していたその直後。
神楽耶の口から出た言葉は少年の平常心を崩すには十分な威力を持っていた。
「け、けど護衛もなしというのは……」
「今の私はただの一般人なのですから問題ありませんわ。ちゃんと変装もしていますし」
大有りです!
そう叫びたくなるのをライは必死で抑えていた。
- 772 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 01:56:32 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 773 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 02:01:34 ID:p290yPKL
- 確かに皇グループからも政治の世界からも身を引いた神楽耶の身分は現時点においては一般人である。
唯一残っているのはキョウト六家の最後の血というものだが、これも現在ではそれほど大きな意味はもっていなかった。
元々日本は議院内閣制であり、皇族の血というのは一般人にはそれほど大きな意味を持ってはいない。
現に今の日本の元首は平凡な一般人出身の扇要なのだから。
が、それはあくまでも肩書きの中での話である。
黒の騎士団を初期の頃から援助し、蓬莱島の日本人をまとめ、超合衆国の初代最高評議会議長を務め上げた彼女が
表舞台から引退したからといってただの一般人を名乗っていいはずがない。
とはいえ、ライがそう感じたように、神楽耶のようなVIPがたった一人で市街を歩いているなど誰も予想だにしていないのは確かだろう。
そういう意味では彼女の安全はそれなりに高いのではあるが。
(今頃、皇家は大騒ぎなんだろうな……)
彼女に仕えている人たちの苦労を思い、心中で涙を流すライ。
と、そこに街頭テレビからの音声が聞こえてきた。
- 774 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 02:02:36 ID:p290yPKL
- 『こちらサミット会場の外から中継をお送りしています。現在、この中では―――』
街頭テレビの中ではミレイが至極真面目な表情でサミットの進行を解説していた。
それを立ち止まって眺める神楽耶の顔からは何を思っているのか読み取ることはできない。
思わず、ライは口を開いていた。
「……聞いていいです……いいか?」
「なんでしょう?」
「何故、表舞台から引退を?」
その疑問は彼女を知る人間全ての疑問だったに違いない。
戦後、実質的に世界の頂点に立っていたといっても過言ではなかった彼女の引退は当時大きな話題を呼んだ。
地位も名誉も望まず、それでいて引き継ぎは完璧にこなし何も語ることなく表舞台から姿を消した少女を惜しむ声は未だに多い。
扇要が現在務めている合衆国日本の元首の座とて、本来ならば神楽耶の地位だったはずなのだから。
「何故でしょうね……」
遠い目でテレビ画面を見つめる少女の瞳は寂しそうで。
それ以上の追求をためらわせる何かがそこにはあった。
理由を推測することはできる。
おそらく、彼女はゼロ―――ルルーシュを信じきれなかったことを悔いているのだ。
知らなかったこととはいえ、彼を非難し、最後の最後までその真意を悟ることができなかったことは痛恨の出来事だったに違いない。
- 775 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 02:02:51 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 776 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 02:04:55 ID:DPZPWCQd
- 支援
- 777 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 02:05:48 ID:p290yPKL
- そしてそれが例えギアスという超常の力の情報に惑わされていたからという理由でも、到底納得できるものではない。
ましてや、彼女はゼロの妻を自称していたのだ。
妻が夫を疑い、貶め、死に至る道を見過ごしてしまったという事実は神楽耶にとってはとても重い罪だったのだろう。
このような罪深い女が権力の座に就いていていいはずがない。
貞淑な日本人女性である彼女がそんな考えに至ったとしても無理はない。
(この少女は……こんな小さな身体に、どれだけのものを背負っているのか)
勿論、これはあくまで推測であり、真実は神楽耶の心の中にしかない。
だからこそライは後悔した。
軽率な質問をしてしまった自分に。
その場にいることもできず、何もできなかった自分に。
この少女に悲しげな表情をさせてしまったという自分に。
くぅ〜。
気まずい空気を断ち切ったのは、可愛らしい小さな音だった。
「……お腹、空いていませんか?」
バツの悪そうな顔で、恥ずかしげに問いかけてくる少女にライは感謝する。
お腹が鳴ったのは偶然だろう。
けれども、暗くなりかけていた空気は何時の間にか払拭されていた。
「私、この近くに美味しいお食事を出すお店を知っていますの。行きませんか?」
コク、と軽く頷いたこちらの手を掴むと、神楽耶はそれを引っ張るように歩き出した。
突然の行動にびっくりするも、ライは大人しく引かれるままについていく。
「どんな店なんだ?」
「ふふっ、それはついてのお楽しみですわ」
先程までの空気を一掃するように微笑む少女にライも嬉しくなって微笑を返す。
だからこそ、彼は知る由もなかった。
神楽耶の口元に浮かぶ悪戯っぽい微笑の意味を。
向かう先にある店の店主が自分のよく知る男であるということを。
神楽耶の頭に思い浮かぶのは喧騒の街並にぽつんと佇む一軒のバー。
その店名は『Bar Castle』である。
- 778 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 02:06:23 ID:pk/ii+bN
- 支援
- 779 :年下専門 ◆BheL.TnbIA :2008/11/16(日) 02:07:24 ID:p290yPKL
- 投下終了、支援感謝です。
まあ、次の話の登場人物はバレバレかと思いますが気にしないで下さい。
ちなみに神楽耶とぶつかるシーンは原作の青月編を意識しました、状況が違うので反応は違いますけどね。
- 780 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 02:18:51 ID:DPZPWCQd
- >>779
GJです。ここで神楽耶登場ですか、どんどん増えてきたなあ。
そして次回はあの人ですか、どんなやり取りになるのやら。
次回をお待ちしています。
- 781 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 02:20:26 ID:pk/ii+bN
- >779
おつかれさまです!待ちかねた一編、嬉しいです。
ノネットさんの魔手から逃れたと思ったらこんなところで青月編w やっぱりスカートまくれちゃうんですね。
丁寧にフラグを消化していくライが律儀でなんだか可笑しいです。
そして『Bar Castle』w 城てw ちゃんとお客さん入ってるといいんですが・・・
こんなアフターが見たかった、という部分を、
知りたいと思っていたひとりひとりの心情を
解き明かしてくれるこのシリーズが好きです。
次回を拝見できる日を楽しみに。ありがとうございました!
- 782 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 08:03:42 ID:2ZygERQw
- 玉城の店ですね
- 783 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 08:12:36 ID:wf+ZDhd2
- オハヨウゴザイマシタ
>>779
年下専門卿、GJでした!
このままでは迷子確定……見知らぬ道に出た時点で迷子になってる気が……
神楽邪登場、そしてその描写もGJでした!
城、うん、まぁ、ねぇ?
貴公の次の投下を全力を挙げて待たせていただきます!
- 784 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 15:23:34 ID:EWzO7r34
- もう次スレか。
最近900レス行く前に460kB越えるな。
- 785 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 16:02:06 ID:DPZPWCQd
- 10レス以上で文章が長い、容量の大きい作品投下が多くなったのでは。
初期に比べて単発の短編が少なくなったかも。
- 786 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:23:13 ID:MGISEWIG
- スレ容量が規定に達しましたので、次スレ建設を試みます。
- 787 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:30:59 ID:MGISEWIG
- 弾かれた…orz どなたかお願いします。
現在のテンプレに次の文言を足してください。
現在移転についての議論が持ち上がっています。
本レス番号900(この場合、レス900を越えたら次のスレを立てる)、もしくは次のスレ(33)が立った瞬間からこのスレにおいて移転するか否かの多数決を取りたいと思います。
また、この多数決に参加できそうに無い方はこのスレのどこでも良いので、賛成か反対かをレスして下さい。
(例)
支援、移転に賛成。
- 788 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:40:56 ID:eF3qmHRk
- 移転って?前言ってた創作板の事?
- 789 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:41:20 ID:i4/Dym8t
- 了解しました、全力でやってみます
何レス目に追加すればいいんですか?
- 790 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:44:22 ID:MGISEWIG
- そうです。頻発する猿に職人様も我慢の限界が近付いているようです。
- 791 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:45:21 ID:MGISEWIG
- >>789
5レス目でいいと思います。宜しくお願いします。
- 792 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 18:55:32 ID:i4/Dym8t
- スレ建テ、完了イタシマシタ。
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gal/1226828782/
五レス目に入れてオキました故に、確認願いマシタ。
- 793 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 19:02:23 ID:MGISEWIG
- >>792
重ねてお疲れ様です
- 794 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:03:58 ID:KawvlHdg
- >>792
スレ建て乙です。名前欄凝ってますねw
3レスのSSを投下します。支援不要。
・カップリングではないと思うライ&咲世子
・ジャンル的にはほのぼの
誕生日は過ぎたが……
- 795 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:07:02 ID:KawvlHdg
- 次スレの支援に徹します。
投下は後にしますので、こちらに投下される方がいらしたら、お先にどうぞ!
- 796 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:34:02 ID:KawvlHdg
- 感想も書き終わったので、投下します
- 797 :ささやかな秘密 1/3:2008/11/16(日) 20:35:17 ID:KawvlHdg
- 「お願いがあるんです」
秋風が気持ちの良い昼下がりのお茶の席。真摯な様子でそう切り出したナナリー・ランペルージをこの
世界の誰が無碍にできようか? 兄のルルーシュ・ランペルージは滅多に我が儘を言わない妹のお願いを
いつでもウェルカム状態で待っているし、生徒会メンバーの誰にもそんな無体なことはできない。
もちろん、僕も例外ではない。
僕は紅茶のカップをソーサーに戻し、ナナリーの顔を見つめた。視力を失っていてもナナリーは気配で
ひとの動きを敏感に感じ取る。見えないからと言って、余所見しながら話を聞くような真似はとてもできない。
ナナリーはそっと僕の手を握った。
「明日、夕方まで咲世子さんとお出かけしてくださいますか? 咲世子さんのお誕生日のお祝いをしたい
のですけれど、準備を内緒にしたいんです」
■□ ささやかな秘密 □■
篠崎咲世子はアッシュフォード家から派遣されたメイドであるが、ランペルージ兄妹とも深い絆で結ば
れている。なにかと不自由の多い兄妹からの信頼は絶大で、かつその期待に応える。家事処理能力は
ルルーシュを上回り、クラブハウスは常に快適に保たれている。気配り上手でいて、決して出しゃばるこ
とのない姿はメイドの鑑といえよう。
- 798 :ささやかな秘密 2/3:2008/11/16(日) 20:37:20 ID:KawvlHdg
- 「買い物、でございますか?」
制服とも言えるモノクロームのメイド服を着込んだ咲世子さんが少し困ったように立っている。前で
指先を組んだいつもの姿勢はぴんと背が伸びていて清々しい。
「ええ、ご迷惑でなければ」
「迷惑だなんて、とんでもないことでございます。それよりライ様、折角のお休みですのによろしいのですか?」
「僕のことならご心配なく。今日は一日空いていますから」
「左様でございますか」
咲世子さんは頬に手を当ててちょっと考え込んだ。
「では、お言葉に甘えて……」
僕は勿論、と笑顔で答えた。
咲世子さんと向かった先は租界のショッピングモールだった。モールの半分を過ぎた辺りで一度曲がる
と、長い行列があった。先頭はかなり先だが、目を凝らすと赤と黒のシックな看板が見えた。
「なんですか、この列は?」
「評判の洋菓子店なんだそうです。本店はブリタニア本国の老舗で、エリア11はここが一号店だとか。
何度か通りがかってはいたのですが……」
咲世子さんは少しだけ言いにくそうに口籠った。僕は周囲を見回して察した。並んでいるのはブリタニ
ア人ばかりだ。この中で長時間並ぶのは苦痛かもしれない。
「ミレイ様もナナリー様もお好きだったとお聞きしましたので、いつかはと思っていたのです」
こんな時でもこの人は――。
「こんなことでよければいくらでもお付き合いしますよ」
長い列も時間が経てばきちんと順番がやってくる。ルルーシュやナナリーのこと、学校のこと、そして
咲世子さんのこと。僕たちが他愛もないお喋りをしているうちにあっという間に時間は過ぎ、二人は
ショーケースの前に辿り着いた。
淡い色で彩られた繊細な細工がガラスケースの向こう側に澄まし顔で並んでいる。咲世子さんは迷う
ことなくケーキと焼き菓子をいくつか注文した。
「咲世子さんはどれがいいですか?」
店員が箱詰めしている間に僕は彼女の隣で小声で囁いた。
「え?」
「咲世子さんの分です。折角ですから、プレゼントさせてください」
咲世子さんはすごく驚いた顔で僕を見ている。やがて小さく笑みを浮かべると、赤い花弁の載った
ピンク色のケーキを指名した。
- 799 :ささやかな秘密 3/3:2008/11/16(日) 20:39:43 ID:KawvlHdg
- 帰り道は少し遠回りした。
駅前で安売りしていたトイレットペーパー十二ロールと大きなケーキの箱は僕が抱えて、一つだけ入っ
た小さな箱は咲世子さんが持っている。
十一月に入って日が落ちるのが早くなった。太陽はビルの窓を反射して世界をオレンジ色に染めていて、
道路に長く伸びた影が二人分並ぶ。なんだかもっと咲世子さんと話をしたい気分だったが、我が家である
クラブハウスの屋根が見えてきてしまった。
エントランスに人影があった。スザクだ。
「おかえり! 早かったね」
彼は人懐こい笑顔で手を振り、僕の持っていたトイレットペーパーを不思議そうに見た。
「デートだって聞いてたけど、どこへ行ってたんだい?」
「デート?」
「うん。ナナリーが君と咲世子さんが一緒に出掛けたって」
僕は咲世子さんと顔を見合わせた。スザクはにこにこしている。
「スザク様、ライ様は私の買い物にお付き合いくださっただけで、デートというわけでは」
「そうだ、スザク。女性と出掛けたからと言って必ずしもそれがデートになるわけじゃない。だいたい、
咲世子さんに失礼だろう」
「あら、ライ様。失礼だなんてそんなことはございませんわ」
咲世子さんはぱちりと瞬きして僕の目を見つめた。夕陽のせいか彼女の頬も染まって赤く見える。
西日って結構熱いんだな。僕自身も頬に熱を感じながら、しばらく咲世子さんの茶色い目を見ていた。
「咲……」
「三人とも玄関先で何やってるんだ」
途端に夕陽の魔法が解けた。
呼びかけた名前は途中で遮られ、僕ははっと我に返る。扉を開けたルルーシュが怪訝そうにこちらを窺っていた。
「只今戻りました、ルルーシュ様」
咲世子さんはいつも通りに帰還の挨拶をし、スザクはルルーシュに笑いかける。ルルーシュはそれでも
まだ眉間に浅い皺を刻みながら僕を見ていたが、スザクに背中を押されるようにして屋内へ戻っていく。
続いた咲世子さんはこっそりと僕を振り返り、人差し指を一本立てて唇に当てて見せた。
再び橙色の魔法に囚われた僕は太陽の一片がビルの谷間に消えるまでそこに立ち尽くしていた。
- 800 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:41:43 ID:KawvlHdg
- 以上です。
咲世子だからと言って薔薇色になるとは限らないんだぜ。
でも選んだケーキはやっぱりバラなんだぜと付け足しておく。
- 801 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:48:33 ID:TmzHP4br
- >>800
あ〜咲世子さんカワユス
しかしまあ、スザクは空気読めるのか読めないのか……よく分からんね
GJでした!
- 802 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:55:05 ID:TmzHP4br
- 次スレにある移転関連の議論ですが、明らかに説明不足と思われますので勝手ながら付け足したいと思います。
最近、残念ながらこのスレの勢いが滞っている状態がちらほら目につきます。
支援無しでは長文は投下出来ず、しかし支援している人が規制「バイバイさるさん」に引っかかっている者が出る始末。
また、「バイバイさるさん」を気にして3分間隔で支援を待ちつつちまちま投下するのも、非常に疲れます。
職人がより楽に投下出来る環境として、ここギャルゲー板から引っ越さないかという議論があがっている訳です。
引っ越し先は創作発表板です(後で説明します)。
そこならば、支援もいらずに、今までの倍の分量が1レスに書けるというスレです。
賛成意見、反対意見があるなら出来るだけ明確に伝えましょう。議論も、投下の邪魔だけはしないように。
- 803 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 20:56:41 ID:TmzHP4br
-
〜創作発表板について〜
‡創作発表板とは?
最近新設された板です。ローカルルールも至ってアバウト、創作物なら絵でも何でもアリなスレ。当然二次創作もアリ。エロは×。
新設故に過疎っているので基本的に荒れてはいない。
‡板の特徴
・BBS_LINE_NUMBER=30
つまり、1レスの最大行数が60行で、現在の板はBBS_LINE_NUMBER=16で32行だから、約2倍改行できる。
・BBS_NAME_COUNT=64
名前欄が長めに書ける。
・BBS_MAIL_COUNT=64
メール欄まで長めに。
・BBS_MESSAGE_COUNT=4096
1レス内の最大文字バイト。約2048文字で、現在の2倍書ける計算。
・BBS_THREAD_TATESUGI=64
スレッドを立てる権利の回転が速いので、「立てられなかった…」が防ぎ易い。
・timecount= &timeclose=
設定されていない。つまり連投規制は今のところ無し。
・バイバイさるさん
「一定時間内の書き込み/一定新規レス内の書き込み」に対する規制で、本スレの天敵。
CGIに直書きなので間隔は不明だが、恐らく殆どない。もしかしたら存在しない可能性もある。あってもすぐ解除されるか。
※板で見た中で、16レスの連投が確認できました。つまり、最低でも現在のスレの32レス分の投下が支援無しで行える計算。
‡その他
現在ギアス関連のスレとして「コードギアス2期を作り直すスレ」があります。今のところ職人さんお一人でのSSが連載中。
が、板的に何ら問題無し。作品の重複扱い等の規定が存在しないので、こちらも自由にスレを立てられます。
ローカルルールが未整備であったり、また投下しやすさ故の荒らしやすさも問題かと思われますが、皆さんの意見を募りたいと思っています。
- 804 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:18:18 ID:zuzB8ZvK
- 今回は1000まで行くかな?
- 805 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:19:15 ID:arXJ/jZH
- とりあえず埋めますか?
ついでに移転賛成と申し上げる。現状はキツい!
- 806 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:20:47 ID:TaA7z8rR
- 投下してよろしいでしょうか?
それとも議論をこっちでやって、投下は次のスレがいいんでしょうか?
- 807 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:23:58 ID:MGISEWIG
- >>806
投下どうぞ。支援が必要なら致します。
- 808 :うにゃら…:2008/11/16(日) 22:30:57 ID:TaA7z8rR
- 投下します。
支援は必要ありません。
タイトルは「アッシュフォード生徒会の何気ない日常〜迷走編その3〜」
前回の続きです。
前作を読んでない方、前作を読んでつまらないと思われた方はスルーしてください。
また、終了レスはしませんので、文章の最後に<おわり>と出ていたら、それで終了です。
全部でこのレスを含め5レスです。
- 809 :うにゃら…:2008/11/16(日) 22:32:39 ID:TaA7z8rR
- アッシュフォード生徒会の何気ない日常〜迷走編その3〜
身体中が痛い。
それはそうだろう。
さっきまで何人かの男たちにボコボコに殴られ、蹴られていたのだから。
治安の悪いゲットーを一人だけで夜に歩いていたらこうなってもおかしくないだろう。
僕はよろけるように立ち上がるとふらふらとその場を後にする。
いつの間にか降り始めた雨が熱を持った身体を冷やすかのように僕を濡らしていく。
これほどボロボロになったというのに、なぜだろう。
まだ心の方が痛いのは…。
この痛みから逃れるのは、死ぬしか方法がないのかな。
そんな事をぼんやりと考えてしまう。
そういえば、昔、こういう感情になったような気がする。
もしそうなら、その時、僕はどうしたのだろう。
ああ…記憶がないというのは、こうまで不安になるとは思いもしなかった。
そして思い出す。
そっか…。
いつも僕の周りには、ルルーシュやスザク、シャーリーやカレンやナナリー、そして…ミレイさんがいたから…。
皆が僕を支えてくれたから、僕は不安にならず生きてこれてたんだ。
そう実感する。
- 810 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:33:59 ID:wf+ZDhd2
- >>800
GJでした!
ナナリーの気遣いや咲世子さんの気遣い、ライの気遣い……なんか皆が皆優しくって良いねぇ!
スザクが空気を読んでたのにルルーシュが空気を壊すとは、流石親友同士!
貴公の次の投下を全力でお待ちしております!
- 811 :うにゃら…:2008/11/16(日) 22:35:20 ID:TaA7z8rR
- だが、僕はそこから逃げ出してしまった。
あははは…。
ほんとに馬鹿だな、僕は。
失って気がつくなんて…。
僕は、自分の愚かさに呆れかえった。
その瞬間、ぐらついていた足の力が抜けてひっくり返ってしまう。
仰向けに倒れたまま、雨の降る空を見上げる。
自分の心のように暗く曇った天気が見えた。
ああ、なんて酷い天気だよ。
雨の振りが激しさを増していく。
起き上がろうにも身体は意思を無視して休息を優先する。
死ぬかな…。
ふとそんな事が頭に浮かぶ。
だが、それもいいのかもしれない。
そう思うと一気に気が楽になる。
そして、僕の意識はだんだんと暗闇の中に沈みこんでいった。
- 812 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:35:30 ID:wf+ZDhd2
- ごめんなさい、リロってませんでした
支援
- 813 :うにゃら…:2008/11/16(日) 22:37:13 ID:TaA7z8rR
- 「ちょっと待ちなさいよ、玉城っ。女性に荷物押し付けてどーすんのよぉ」
非難めいた声が雨音にかき消されそうになりながらも聞こえてくる。
「いーじゃねぇかぁ。男女平等だよ。び・ょ・う・ど・うっ」
「それ違ってるって…。ほんと、あんたは学がないねぇ…」
呆れ返った声が戻ってきた。
「大きなお世話だっ。ほんと、女っていうのはうぜぇなぁ…」
そう言いながらも井上の方に戻って荷物を持ってやろうと考えている俺って意外と紳士かもな。
とか考えていると悲鳴に近い井上の俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「どうしたっ」
慌てて井上の側まで走っていく。
そこには、ずぶ濡れで倒れこんでいる男としゃがみこんで生死を確認する井上の姿があった。
「行き倒れみたいね」
「みたいだな…」
すごく嫌な予感がするぜ。
俺は、その場から離れたい心境だった。
こういう時の予感は当たるんだよな。
そして、みごとに大当たり。
「つれて帰るわよ」
「えーっ、つれて帰るのかよぉ…。無視して行こうぜ」
その俺の言葉に井上は非難めいた視線を向けてくる。
くっ…。
だから、井上と買出しは嫌だったんだよぉ。
そう思ったが後の祭り。
- 814 :うにゃら…:2008/11/16(日) 22:39:14 ID:TaA7z8rR
- しかし、少しでも逃げようと考えをめぐらすもいい案が浮かばない。
こういうのは苦手なんだよなぁ。
そう思っていたら、1つだけ浮かんだ。
「連れていくったってどこだよ?騎士団の所には連れて行けないぜ。だからさぁ…」
そう言いかけた俺の言葉を井上の言葉が打ち消す。
「私のところでいいわ。責任は私が持つから手伝いなさい」
そこまで言われてしまえば、反撃の術はない。
あー、なんでこう井上相手だと言い返せないのかねぇ。
そして、そう思いつつも手伝う気になっている自分自身の不甲斐なさに情けなくなる。
「運ぶの手伝うだけだかんな」
「わかっているわよ。そっち持って…」
「ああ、わかったよ」
そして、俺は行き倒れの男の右側に回りこむと抱えあげたのだった。
《おわり》
- 815 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:57:24 ID:v3y8W6Pm
- 乙でした。
これは井上フラグですかな?これで、自宅に運ばれて美味しくいただけられてしまうのか?
次回の投下を楽しみにしています。
さて移転の話ですが概ね賛成なのですが。向こうのギアススレには了解を取っているので
しょうか?向こうの住人してみれば似たスレの乱立になるのでいい感じはしないと
おもうのですが?とりあえず向こうのスレにこのことを書き込んで向こうの住人の了解
を取ってからのほうがいいとおもうのですが?
- 816 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/16(日) 22:59:27 ID:wf+ZDhd2
- >>814
うにゃら…卿、GJでした!
ライが無茶苦茶マイナス思考に!
そして、倒れちゃいましたか。
そこに通りかかる玉城と井上……やっぱりお持ち帰りか!
貴公の次の投下を全力で待たせていただきます!
- 817 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 18:14:39 ID:lOt+ERXW
- 埋めるか?
- 818 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 20:24:08 ID:xsnfQB6t
- 埋め
しかし、狂王って単語は一体どこから出てきたんだろうな
- 819 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:14:45 ID:zCFFGBd6
- 狂王っていうのは完全な創作らしいけどね。埋め。
- 820 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:30:49 ID:ddDoT5Dc
- 埋めついでに移転賛成
- 821 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:43:47 ID:e7OIUPVb
- 劇中で狂った王という表現はあったからそこからでは?埋め
- 822 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:46:56 ID:xsnfQB6t
- 梅梅
>>821
なるほどな
作品内で統一感があり過ぎるから
最初の頃は公式設定にあるのかと思ったよw
- 823 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:49:28 ID:drG15ODb
- ロスカラのSSがギアス系ブログで出始めたと同時に広まり始めた「狂王」
SSスレで出てから広まったという話もある
- 824 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:50:15 ID:hlZ2e2HA
- 埋め梅。移転賛成に一票。
支援してる時に猿がくるのはつらい
- 825 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:50:15 ID:drG15ODb
- >>821
それってどの辺り?
探してんだけど見つからない
- 826 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 21:57:31 ID:tT2jFHiA
- 移転の議論自体はどこでやるのかもう決まってるの?
まだ次のスレッドの埋めで多数決とるところしか出てないよね
また週末に時間とって相談かな?
- 827 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 22:44:44 ID:NbBvPE8k
- 埋め
- 828 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 22:58:50 ID:+7bASdZL
- というか、わざわざ多数決取るまでもなく、もう裏ではトーマス卿と一部職人さんの間で
決まってるんじゃないの?
>>803自体は以前今後の参考って形で話題にあがった記憶あるけど、
いきなり>>790とか>>802とか断定しているしさ
確かに、支援減ってる感はあるし、それ自体は何度かレスに上がってるけど、
このスレを移転で検索かけても>>787が初出で、具体的に移転の話題なんてどこにも出てないし
体裁整えるために本スレ持ってきて多数決の形にしようとしてるんだけじゃないかな?
まあ、このままでも移転でもどっちでもいいんだけど、一部で話が進んでるっぽいのは萎えるね
自分が見落としているだけで、ちゃん本スレで進行した話題なら勘ぐってスマソだけどさ
- 829 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 23:15:26 ID:/KAJmLma
- >>828
別に一部で話が進んでいたとしても、内容自体はこのスレにとってプラスの方向性で、且つ此処を良くしようという善意からきているし、意見を示した上で多数決をとるという形は正当なやり方なのだから、体裁を取り繕っているわけではないと思いますが
私なんかから見ると、あなたの方が「別に良いんだけどさ…」という体裁を取り繕いながら、「自分を通さないで出された意見なんか気に入らない!」という本音を持っているのではないかと邪推してしまいます
- 830 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 23:35:44 ID:5uhci3Fg
- >>829
改行しろ
- 831 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 23:40:14 ID:tT2jFHiA
- 改行云々はいいよ。
とりあえず頭からメリットデメリットを上げていくとして
意見を出す日時を決めないかい。
絵の扱いを決めていたときは日曜日の9時だった気がするけど
- 832 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 23:44:10 ID:T9D+rpNJ
- まぁ、いきなりで面食らうっていうのはあるかな。
いきなり話が上がって、一気に決まったという感じがある以上、正当といわれてもピンとこないのはあると思う。
もうほぼ決定事項に近い事をいまさら多数決っていうのはねぇ。
なんか、萎えるよ。
- 833 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 23:52:33 ID:2a/IznHU
- でも現実問題として、この板だと連投規制や猿が厳しくてちょっと長めのSSだと一時間かかったりする。
移転で解消されるなら支援者としても職人としても有り難いなあ。
一時間トイレにも行けないってキツイぜ。
- 834 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/17(月) 23:58:15 ID:+7bASdZL
- >>829
議論の質の問題じゃなくて、手続きが問題なんだよ
移転してもしなくてもどっちでもいいって言ってるんであって、
本スレで進んだ話題じゃないものを、いきなり>>787みたいな形で出すのはおかしいと、
取り繕う気もなくハッキリ思ってるよ
仮に自分が議論に参加できなくても、本スレで進行したことなら
スレ住民の総意だと思うけど、本スレに案内しない状態で違う場所で行われた話し合いなら
たとえそれが保管庫管理人であるトーマス卿を含んでいたとしても、一部住民の暴走だと思う
(暴走は明らかに言い過ぎで良くない表現なのは判ってるけど、ちょっと、今適切な表現が浮かばないので勘弁)
当たり前だけど、このSSスレはスレ住民全員のものであって、トーマス卿個人のものじゃない
でも、2ch初心者多いみたいだし、そのあたり微妙に勘違いしているんじゃないかって思えるレスが
今までに何回もあったから、ちょっと過敏になっているかもしれないとは思うけどね
反論はしてもらっても構わないけど、続けても感覚の違いで結論でる話じゃないと思うから、
以降、この件についてはレスしないです
- 835 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 00:04:28 ID:+7paXx/q
- >>834
その通りだと思う。
- 836 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 00:16:33 ID:V+YMbyPp
- 確かに配慮のない切り出し方だったな。
人手不足は実際問題結構困ったところまで来てると思うので
とりあえず移転云々を検討するのはいいと思う。
だから手続きの粗はこの際目をつぶるよ。
書き手にとっても色々不都合が出て来ていると思うけれど
ほぼ読み専、支援のみの人員にとって見ても今の状態は苦しい。
支援は突発的に入る拘束時間だから複数居ないときついんだよね。
短くても30分程度、長ければ一時間以上。携帯を使っても猿だの虫だの。
ひとり支援のときに連続でで投下があると、嬉しい反面
支援から抜けられずに辛くなる。
- 837 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 01:06:44 ID:JfDIpzY4
- で…
どうなるのこの場合。
次次スレ立ってから次スレで多数決票を募るなら、
移転が決まったとしても移るのは早くても34から?
最近進み緩やかだけどいつのことになるんだろう。
深刻な状況にしては悠長な気も
- 838 : ◆0rhUU6uqDE :2008/11/18(火) 01:10:38 ID:QoaEucvn
- 手続きを急ぎ過ぎは事実ですね。いきなりテンプレに入っててびっくりしました。もっと緩やかに進行する物と思ってましたが…。
まあ、過ぎた事ですし、このままgdgdしてもしょうがない。
話が一方通行に進んでいるので、勝手ながら意思の疎通を行います。意見があればどうぞ。議論の時期については皆さんにお任せします。
‡1.
>>802-803は慌てて私が付け足しましたが、その他創作発表板について聞きたい事があれば遠慮なく言って下さい。
賛成者も反対者も、一度は創作発表板やローカルルールを見ておいた方がいいでしょう。文化カテゴリから入れます。
‡2.
>>815
現状、移転についての議論が一度も行われていない状況で確認を取りに行くのもおこがましいかと。
まずは移転の方針が固まってきてからだと思います。ぶっちゃけ、あちらの住人は書き込んでいる人がほんの数人で、左右され過ぎるのもどうかと考えるので。
‡3.
一応、明日くらいにあちらの自治スレに移転そのものに問題はないか聞いておこうと思いますが、よろしいでしょうか?
- 839 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 01:53:10 ID:JfDIpzY4
- >>838
交通整理ですか。お疲れ様です。
803見る限り、投稿に関する障害はほぼなくなるように見えます。
デメリットがないのかと逆に心配になりますが。
‡3.については賛成です。
- 840 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 01:58:50 ID:Z4VAX6ah
- >>838
3について、よろしくお願いします。
一応ここの余りでも議論してみますか?
実際に決定するのは来週、あるいは33スレ目立てる前くらいとして。
私の個人的な意見としては、別に移転する必要は無いと思います。
一応00分を挟むように投下すれば、10スレ位なら猿無しで投下できた筈ですし
節目節目ならスレを覗く人もいるでしょうから。
- 841 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:11:24 ID:V+YMbyPp
- >>838
3について、よろしくお願いします。
>840
00分というのは、一時間ごとということでしょうか。
節目節目にスレッドを覗くというのは・・・正直、よくわかりません。
自分は、ただ覗ける時に、気が向いたときに覗いています。
連投規制や過剰投稿にかからない明確な方法があるならば
明確なマニュアルがあると良いのではと思います。
ただ、時間的にマニュアルどおりの方法を取れなかったり、
そこまで厳密な管理が必要なスレッド(板)での投下は
結局敬遠されることになってしまう気もしますが
- 842 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:16:18 ID:3h3JvWiv
- 議論とか意見と言われても、32スレの5であがってるのは、議論じゃなくて移転するかしないかの
多数決だけなんだよねえ
まあ、そこが不味いわけで、>>802-803の内容が次スレの5-6あたりに来てたら違う流れになってるよ
ちゃんと議論をするなら、時期を足した上で>>802-803の内容を新スレに改めて貼った方がいいんじゃないかな?
まあ、とりあえず思い付くだけメリット、デメリットを上げてみる
他にも気付いたら補足ヨロ
〈メリット〉
・支援がいらないので、職人が時間帯などを気にせず自分の都合のいい時に投下しやすい
・1レスの容量が多く、連投規制がないことから、長編でも今までより短時間で投下可能で職人自体の拘束時間も減る
(単純にレス容量だけでみても、今までの半分の時間)
・投下に必要な時間が減ると言うことは、投下がガチあう可能性が減る
また、ガチあっても待ち時間が少なくて済むので、投下のタイミングを逃す可能性が減る
ひいては投下機会を逃してモチベーションが下がる可能性が減る
〈希望的観測によるメリット〉
・投下に必要な時間が短縮されることにより、気軽に長編投下が可能
長編が増えるかも?
・支援する必要が無くなるので、支援していた人は感想に専念できて感想が充実するかも?
〈デメリット〉
・移転による脱落者は多少の差はあれ確実にいる
(保管庫から追いかけられるので比較的軽微だとは思うけど、なんとも言えない。
発言せず、gdgdした時点で脱落した層も確実にいると思う)
・板移転による新規住民の流入によりスレの雰囲気が変わるかもしれない
(ただし、活気付く可能性もないわけではない)
・まだ出来たばかりの板なので、何が起こるか正直わからない
(SS系が多いけど、創作全般ってことで、絵はもとより音楽とか立体造形とか短歌とか
料理まであるカオスな板なんだぜ…)
まあ、現時点では職人側に明確なデメリットはないんじゃないかなあ?
真摯に支援していた人も負担はなくなるけど、気楽に楽しんでたまにしていた層だと、
逆に支援不要なんでつまらなくなるかも?とか、支援したから感想も書くという人からの感想がなくなって
感想が減るかも?とか可能性だけならあげだしたらキリがないけど、そこまではさすがに先読みし過ぎな気がする
- 843 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:24:45 ID:JfDIpzY4
- 料理??
…なんか創作発表板そのものに興味がわいてきた
- 844 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:34:57 ID:Z4VAX6ah
- >>842
なんでだろう。
移転云々よりもそのカオスっぷりにワクワクしてきた。
短歌って、なんかイイ。
>>841
節目節目は自分が変なところで几帳面なだけなんであんまり気にしないでください。
あと、深く考えずにスレ建ててごめんなさい。
- 845 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:35:51 ID:EZC3ywfp
- 「コードギアス2期を作り直すスレ」
http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1219960812/
- 846 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:36:41 ID:/z+WBX5q
- YOU来ちゃいなよ
- 847 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 02:47:57 ID:V+YMbyPp
- >844
いや・・・絡んだりするつもりでは毛頭ないんだけれど
節目節目に人が集まるから支援不足が解消されるという話なのに(?違ったのか)
自分だけですからと言ってしまったらお終いなんでは
- 848 : ◆0rhUU6uqDE :2008/11/18(火) 03:10:30 ID:QoaEucvn
- >>845のスレに話が行ってしまいましたので、フォローしておきました。あちらの住人の反応を待ちます。
自治スレには、本日中に聞いておきますね。
メリットデメリットは>>842が主として、後は議論ですか。
一応日曜日21時からという案が出ていますが、どうなのでしょうか?
- 849 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 07:35:01 ID:Z4VAX6ah
- オハヨウゴザイマシタ
>>848
異論は有りません。
- 850 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 07:55:55 ID:+7paXx/q
- ………
何を言ったらいいのかわかんない。
なんか、知らない間に、どんどん話が進んでいってるような気がする。
- 851 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 08:16:40 ID:Z4VAX6ah
- ならばこそ、議論が必要と思いますが
- 852 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 08:33:14 ID:+7paXx/q
- ほほ決定事項のように意見が出て、文句を言われて慌てて多数決や意見を求める。
知らない間に根回しが進んでいて、文句を封じるためだけに形だけの多数決や意見を求めているようにしか見えない。
だから、
何を言ったらいいのかわかんない。
なんか、知らない間に、どんどん話が進んでいってるような気がする。
と書き込みました。
議論すると言うけど、ここまでやっちゃったら移転しかないんじゃないの?
事情のわからない人置いてけぼりで進めちゃったから、そういう人たちは呆れて意見いう気なんておこらないと思いますよ。
実際、私もそういう感じですもの。
- 853 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 08:49:21 ID:3h3JvWiv
- 完全に白けちゃった層はどうしょうもないもんね
もってき方が不味すぎたから、どうしても規定路線が出来上がっているように見えちゃうのは仕方ない
移転しなければ惰性で見るけど、移転しちゃったらそれを区切りにすると思ってる人も確実にいるだろうし、
そういう人は議論に参加しないだろうし、サイレントマジョリティがいる可能性は
常に念頭に置かなければいけない
議論に参加しなければいないも同然という論もまた然りだけどさ
>>848
前にその時間を設定したのは本放送中で、見終わった後各スレ回って
落ち着く時間がそれくらいだろうって想定だったんだよね
ネット繋いでる確率高そうな日時で、参加率高くなるんじゃないかと思って
今だと月曜日のこと考えちゃう日曜より、土曜夜の方が参加率望めるんじゃないかなあ?
「次の」ってことだと告知期間短くなるから、一長一短だけど…
>>851
言ってることには賛同しなくもないけど、成り行き上「裏側」にいるように見える全力さんが言っても
逆効果じゃないかなあ?
あと、本気で真面目に議論するつもりなら、ネタレス形式にするのはやめた方がいいと思う
- 854 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 09:29:23 ID:Z4VAX6ah
- >>853
ごめんなさい、いつの間にか口調が染み付いちゃってた。
まず、議論をするか否かを決めるとして
するならば、土日の夜にかけてということでよろしいんでしょうか?
私としては自前の方法があるんでこの板のままでいいんですが
他のスレ住民さん達の意見やその理由を見てからこのままか否か決めるべきでしょうし
議論には賛成の意を表明します。
- 855 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 11:36:21 ID:wGBPAUoM
- 向こうの書き込みとこっちの書き込み見る限り、新しいスレ立てしなくても向こうに
間借りする形で長編だけ向こうのスレに投下すればいいんじゃね?で、こっちには
向こうのスレに投下したって書き込みすればいいでしょ。
どうしても向こうにスレ立てたいんなら将来的に統合も視野に入れて向こうに投下した
時の向こうも住人の反応等を見つつ決めていけばいいじゃね?
ここで議論しても時間が掛かるし決まっても最初の提案見ると次々スレ後らしいからそれじゃ
遅いと思うんだよね。
- 856 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 12:35:37 ID:3h3JvWiv
- 向こうの規定は二期を作り直すのであればゲームの要素を盛り込んでもOKだから、
R2ベースのSSならそれも有りかもしれない
でも特区成立エンドベースや一期の設定内だと、現行ではスレ違い扱いになると思うよ
あとR2ベースで多い連載ものが途中から移動になるのは保管庫的にはどうなんだろう
まあ、どっちの保管してるのもトーマス卿だからリンク自体はなんとでもなるだろうけど、
管理番号の処理とか、ご本人的にはどうかとか訊いてみないとわからないなあ
- 857 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 13:38:20 ID:qkMtrFMr
- こりゃ…あかんな。
いろんな意味で…
- 858 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 13:57:12 ID:+21J64cn
- 「提案」として出されたものを、出所を問うて時間を無駄にしても仕方ないやね。
そもそも主導者不在の2chの掲示板で、俺が俺がと言うのも虚しいし。
対案の無い反対をする気はないが、今ひとつメリットデメリットの秤分けが出来ないので
話し合いに参加させていただきたいと思います。
しかし議論として行うなら、個人特定はIDでいいのかな?一時的にコテつける?
そのへんも含めて、提案者に仕切って欲しいな。
その際は、きちんと経緯をまとめて告知し直しが必要かと。
- 859 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 14:35:41 ID:8UaQDovp
- 創作発表板の住人です
>>803の『>エロは×』 という一文ですが、
これは全て×ではなく「エロメインだと×」です
話の流れでセックルしてしまう程度なら、黙認状態です
エロゲ並にあまりにも濃い描写の場合は、ちと困るかもですが
あと、件の「コードギアス2期を作り直すスレ」ですが、
もし移転する場合は合流しても構わないし
新たにスレを立て直してもらっても、どちらでも構いません
上記スレは、いっそ活性化のために
「コードギアス総合スレ」にしたらどうかという話もちらほら出ています
というか、ぶっちゃけ創作板は
「マナーさえ守れば、どんどんウェルカム」状態なので
キャラごとに単発スレ立てまくるとか、そういうのでもない限りは
あまり細かいこと気にしなくてもオッケーです
- 860 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 14:51:42 ID:EZC3ywfp
- コードギアス総合スレを基本にして中で分岐させればいい
「コードギアス2期を作り直すスレ」(R2再構成)
LOST COLORS SSスレ(ゲーム主人公介入)
クロスオーバーとかも追加してさ
要はガンダムとかと同じにすりゃいい
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1226476158/
- 861 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 14:58:23 ID:wGBPAUoM
- 859,860さんに質問なのですが、避難版でこの話題が出たとき統合を提案してる人が
いたのですが、ロスカラの主人公ライに拒否反応を起す人が居るから絶対分けた方が
良いという意見で却下されていたのですが、其処の所はどうなのでしょうか?
- 862 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 15:17:14 ID:JfDIpzY4
-
そろそろ500KB
書き込めなくなります注意
なにかとにかく混乱していて
何が決まっていて何が決まってないかもよくわからない状態なので
とりまとめの方の包括待とうと思います
- 863 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 15:19:39 ID:EZC3ywfp
- >>861
分けるべき 住み分けはしとかないとね
- 864 :859:2008/11/18(火) 15:34:31 ID:8UaQDovp
- >>861
創作板住人から見れば「別に住み分ける必要ないんじゃね?」
が正直な意見かと。特定の話題だけの板ではないので、
いい意味でも悪い意味でも創作板はカオス状態です。
創作料理に、音楽作曲までやってるような板ですからね。
ライに拒否反応起こすような人も、ほとんどいないのではないでしょうか。
個人的
- 865 :859:2008/11/18(火) 15:36:08 ID:8UaQDovp
- 書き込み失敗しますた。連投失礼します。
個人的な意見とすれば、件のスレがコードギアス総合スレになりそうなので
合流してもらった方がいいかな、とは思います。
その理由も、創作発表板はまだ新板なので過疎っているため、
同じギアススレが板内に2つもあるよりも、合流した方が
住人増加に繋がるからという、それだけの理由です。
- 866 : ◆0rhUU6uqDE :2008/11/18(火) 16:20:49 ID:gfvJ+Ckv
- すみません、なかなか時間が取れなくて・・・。
私も片手間で見ているので、何が決まっているのかいないのかよく分からない状態。
ただ、このままじゃ埋まってしまうので、とりあえず仮の避難所を作りました。
ここを使うかどうかは別問題として、一応の話せる場所を用意しておきたいと思いましたので。
コードギアス反逆のルルーシュ LOST COLORS SSスレ避難所(仮)
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12122/
- 867 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 17:40:07 ID:JfDIpzY4
- ご苦労様です。
避難所ありがたいです。
とりあえずお邪魔しようと思います。
- 868 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 17:52:14 ID:v3ugN523
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- 869 :名無しくん、、、好きです。。。:2008/11/18(火) 17:52:49 ID:v3ugN523
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