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もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら14泊目

1 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/11(日) 21:56:00 ID:meuPJ9D50
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+ 最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら13泊目
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1209480163/l50

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dqinn.roiex.net/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/40919/

ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/

お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/


2 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/11(日) 22:10:08 ID:QtZlN8Nq0
パーラリーラリッタッターン

3 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/11(日) 22:28:23 ID:A1fbxD630
スレ盾おつー

4 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/11(日) 22:42:58 ID:iqohOFSjO
俺の盾が盗まれていた

5 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/12(月) 01:22:32 ID:IXCSXNa50
>>4
大変だっ!誰がそんなひどいことをっ!!
で、4の盾はこの金の盾ですか?銀の盾ですか?

6 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/12(月) 02:31:48 ID:8pyL1o4jO
皮の盾です。

7 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/12(月) 02:40:50 ID:+T8S6xocO
ゆうしゃは女郎の乳房に顔を挟まれ窒息死してしまいました。
めでたし、めでたし。

8 :レッドマン ◆U3ytEr12Kg :2009/01/12(月) 21:45:16 ID:M+jcA8xe0
乙でありんす。


9 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/13(火) 04:19:17 ID:+AnyE7wRO
【もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら保管庫@モバイル】
http://j.orz.hm/?dqinn.roiex.net/
に変更したはず。
>>8
新作を期待して待ってます。

10 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/13(火) 20:15:42 ID:sgEKvKZP0
久しぶりにお絵かき掲示板に行ったら新しいのが来てた。

>>9
ここで報告されたとおりに変更しました。

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら13泊目
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1209480163/442

11 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/17(土) 16:48:19 ID:osGQCGBKO
まりなさん待ち保守

12 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/17(土) 20:04:35 ID:1F8kAuHtO
総長夜露死苦保守

13 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/18(日) 12:14:54 ID:Meu8ZbVNO
ぬるぽ

14 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/18(日) 12:44:35 ID:TKnJvV0hO
ガッ

15 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/19(月) 07:23:34 ID:1zx7AcA/O
ええい!タカハシはまだかっ!?

16 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/19(月) 23:14:26 ID:HShlULzR0
>>15
今すぐ避難所の「動作テストスレッド」を確認する仕事に戻るんだ。

17 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/23(金) 02:07:37 ID:SP8pfWNKO
このスレも14泊目か保守

18 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/23(金) 12:09:27 ID:XD0UhMAbO
ξ・∀・)

19 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/25(日) 00:54:47 ID:Tjz9VKR3O
職人さん降臨祈願保守

20 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/25(日) 19:52:04 ID:qppcs9BK0
タカハシさんお疲れ様でした。
ひとつの歴史が終わって寂しくなったな。


21 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/26(月) 00:07:35 ID:pd+1i+dP0
>>20
え?どーゆーこと?

22 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/26(月) 01:01:13 ID:Zt0KLmenO
避難所の投下した分でタカハシ氏の物語は終了ってこと?ぬるぽ?

23 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/26(月) 05:23:25 ID:WAxidJ2W0
ガッ

24 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/27(火) 13:55:47 ID:AnUDFREhO
ここはぬるぽしてガッされるスレになりました


25 : ◆DLQmf08qD. :2009/01/28(水) 16:04:36 ID:oXFjbjnt0
前スレに書き込もうとしたけどエラーになった(汗)

第五話 「天下無敵(?)の奴。いや、ジャイアンじゃなくて」

さて、おバカな俺が妖精の世界とやらにやって来ましたよ。
「ベラ。人間の世界から連れてきたのはその者ですね?」
声がした方向を見てみるとキレイな妖精がいた。

「あなたは?」
「ポワンといいます。」
なるほどこの人が妖精の村で一番偉いというポワン様か。
「俺に頼みがあるんですってね?その頼みとは?」
「実は季節を呼ぶ春風のフルートが何者かに盗まれてしまったのです。
なので力がある人間のあなたに取り返してもらいたいと思っていたのですが・・・」
ポワンが俺の体を見ると苦笑いをする。
それを見てベラが慌てて意見した。

「ま、待って下さい!この者は子供ですが私はこの子にこの件を任せてもいいと思いました!
ですからこの者に任せてみては・・・?」
「分かってますよ。この者は子供のようですが力はおありにあるようですからね」

俺は子供になってしまったけどそれでも魔物を倒していくうちに
強くなったつもりだ。たぶん、いや前の俺よりも強いだろう。

「任せて下さいよ。見た目は子供、中身は大人。ただしアホな俺でよければね」
「ふざけるんなら帰って下さい」
ポワンが即座に答えた。
俺はアホっていうことは事実なのだが・・・謝らないといけないのか?
「すみません」
とりあえず謝った。
「いいんですよ。謝れば。ですが、またふざけたら首の骨をへし折りますよ?」
ポワンは笑いながらこう言ったが心では怒り狂っているように見えた。いや怒っているだろう。
なぜならばポワンは笑いながら側近の妖精に八つ当たりして殴りまくっているからだ。

26 : ◆DLQmf08qD. :2009/01/28(水) 16:06:01 ID:oXFjbjnt0
側近はもうすでに虫の息だ。すぐ意識を失うだろう。
だが意識を失う前に俺の事を睨みつけた。「オマエ呪イコロス」目がそう言っているようだった。
なにコレ?俺が悪いの?何気ない事を言っただけだなのになんでこんなことになったわけ!?

ポワンは運動をし終わったようにフーと息を吐いた。
「では、春風のフルートの件、任せてもいいんですね?」
「は、はい。任せて下さい」
俺は内心震えていた。
「そうですか。良かった。ではベラ、あなたもこの子についていってあげなさい」
「はい分かりました」
ベラはポワンの意識を失っている側近に目もくれず返事をした。なれているのか。
「では行きましょ」
こうしてベラと春風のフルートを取り返すという事になった。

この妖精の世界はキレイだ。雪が積もっていて本来の姿は分からないが
おそらく雪が溶けたらキレイなのだろう。事実、雪が積もっている今もキレイだからな。

27 : ◆DLQmf08qD. :2009/01/28(水) 16:06:56 ID:oXFjbjnt0
聞き込みをしてると犯人は氷の館に逃げたらしい。
氷の館に入るにはドワーフ洞窟にあるカギの技法を手に入れなきゃいけないんだとか。
もっと情報を集めたいので宿屋近くにいたじいさんに話しかけた。
しかしじいさんは「ウホッ、いい子供!」とか言ってきたので
そこら辺にいたスライムを掴んで思いっきりじいさんに投げてやった。

バコーン!といい音でスライムがじいさんに当たる。

会心の一撃だった。

「グボハァッ!・・・」
やばっ!もしかしてじいさん死んじゃった!?
「ふう・・・おどろかせやがって・・・」(←無傷)

つえー!!このじいさん半端ねえ!つえぇ!!
「わし強いじゃろ?」
「半端ないっすね!」
はっ、そういえばスライムは?
スライムの方を見てみると泡を吹いて倒れていた。
まあ、どうでもいいか。
やくそうを置いておけば大丈夫だろう。

28 : ◆DLQmf08qD. :2009/01/28(水) 16:08:07 ID:oXFjbjnt0
だが、数分後、”奴”がきた。
「あやしいやつはみんなタイーホ!!」
ピーポ君キタ――――(゚∀゚)――――――!!(泣)

やばい、このままあいつに捕まったら俺の人生が!!
俺はベラとベビーパンサーを置いて猛スピードで逃げる。

俺はピーポ君よりも少しばかり速い。しかし、ピーポ君も負けちゃいない。
でも、このままなら逃げられる!!と思っていた次の瞬間

ピーポ君はドラゴラムを唱えた!!

「な、なんだってーーーー!?」

なんでだよ!なんでピーポ君が呪文唱えられられるんだよ!
ドラクエの世界だから?いや、そんなことはどうでもいい。
巨大な竜になったピーポ君、この事をピーポドラゴンとでも呼ぼうか。

ピーポドラゴンは逃げる俺に火球やらこごえる吹雪やらを吐いてくる。
俺は必死に避ける。一発でも当たったら即死だろう。
にしても、つえーよあいつ。
さすが警察のマスコットキャラクターを勤めるだけのことはあるよ。

逃げてばかりで疲労がたまる。くっ、もうダメか・・・。
「待て!!そいつを殺すな」

29 : ◆DLQmf08qD. :2009/01/28(水) 16:09:12 ID:oXFjbjnt0
その声の主はさっきじいさんに投げて痛い思いをさせたスライムだった。
「お、お前は?どうして庇ってくれるのか?」
「ふん、お前を倒すなはこの俺だ。誰にも横取りさせん」
スライムはかっこつける。
「お前は何者なんだ?」
「俺はスーパースライムだ!!」
その言葉を言い終えたか終えなかった時に
スライムはピーポドラゴンに踏み潰された。
その隙を見て俺はピーポドラゴンが俺の近くまでいなくなるまで岩陰に隠れた。

数時間後、ピーポドラゴンは元の姿に戻り帰って行った。
怪我人は一人も無し、さすが警察のマスコットだな。

さて、とんだ邪魔が入った。
ベラとベビーパンサーと合流して
ドワーフの洞窟になった。いや洞窟になってどうする。行く事になっただ。

30 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/28(水) 23:30:00 ID:Qu1ccA9DO
DLQ氏、乙!デストロイヤーなキャラばかりだこと☆ぬるぽ☆

31 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/29(木) 00:40:18 ID:TSUSvnzA0
>>30
がっ

32 :暇潰し ◆ODmtHj3GLQ :2009/01/29(木) 22:17:59 ID:lqaNQY810
みなさま明けましておめでとうございます!
新スレ立ても乙乙です( ´∀`)
少し前に避難所の方にも書いたのですが、
ようやく3章が仕上がりましたので本スレでご挨拶です。

いつものようにテキストうpで味気ないですが、楽しんでいただければ幸いです。

真理奈・3章
http://www.uploader.jp/dl/ifdqstory/ifdqstory_uljp00003.txt.html

宿スレあぷろだが消去されてしまったみたいなので、
もう一度1章2章も上げておきますね。

1章
http://www.uploader.jp/dl/ifdqstory/ifdqstory_uljp00001.txt.html
2章
http://www.uploader.jp/dl/ifdqstory/ifdqstory_uljp00002.txt.html


それではこれからもよろしくお願いします!!
またぬぇ〜( ´∀`)ノシ

33 :第三章:エンドールの宿屋 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:23:13 ID:KvCIodjL0

>>580-587 ぐらい?

 アリーナちゃんたちとは未だ会えない。たぶん、近いうちに再会することも叶わないと思う。
あのとき、旅の扉に拒絶されるようにこの国に留まることを強制されたのは理由があってのことなんだろう。
そうとでも思わなきゃ、今私がここにいるのがどうしてか、ずっと考えてしまう。
 カジノは武術大会が終わったからって、しばらく休業するらしい。演奏を披露するステージがない今は、
街の広場や宿屋の酒場でギターを弾き、小金を稼ぐ日々を送っている。そんな生活が、今日でだいたい一週間。
寝泊りには困らないけれど、なんだか体が鈍ってきそうだった。街の外へ薬草を取りに行く道具屋のご主人を
護衛したりして、なんとか戦闘の感覚が鈍るのを止めている。そんな日々。

 夕方、することもなくベッドの上で一人転がっていた。そういえば、朝からなんにも食べてないなぁ。
一人で食べる食事は味気なくて、今までだってご飯は一人で食べてきたのにどうしてもおいしく感じられなかった。
ライアンさんやホイミンくん、アリーナちゃんやクリフトくんやブライ様。みんなと一緒の食卓は、楽しくて、
おいしくて、つい数日前のことなのに懐かしい。
 だけど、さすがに朝から飲まず喰わずというのは体が空腹を訴えるみたいで、しぶしぶ起き上がり部屋を出た。
 「五日間で六百ゴールドです。……確かに。それでは、契約の日まであなたの旅に同行することにしましょう」
 竪琴を持った吟遊詩人が、この世界では結構なお金を受け取り、とある男性の後ろにつく。詩人の前には、
その男性のほかに、もう一人戦士のような男性がいた。
 一番前で、口ひげを生やした中年男性が、私がドアを開けた音で振り返る。ああ、まただ。またこの感覚。
見えないものに体を透過されるような、鋭くて力のある。
 ……それにしたって、なんでこんな、その……メタボなおじさんに。
 「……用心棒をお探しですか?」
 ライアンさんたちと、アリーナちゃんたち。それぞれにあったあの感覚が、この人にもあった。
ということは、やっぱり私はこの人についていくべきなんだろうと漠然とではあるけど思った。
 「ええ。ですが、もう二人も雇ってしまったことですし、間に合ってま」
「一週間で百ゴールド。……いいえ、払いたくないのなら払わなくても結構です。唱えられる魔法はホイミ・
スカラ・メラ・ヒャド、槍も使えます。洞窟や塔の探索も経験があります」
「一週間ただ働きを頼んでも受け入れていただける。そういうことですかな?」
 長い棒にそろばんがついた武器をしゃんしゃんと慣らして、ふくよかな男性は小首を傾げてみせる。
 「姉ちゃんよぉ、やめときな。俺たちがこれから向かう洞窟は、女の細腕で乗り切れるような場所じゃない」
 戦士風の男性が呆れたように言うが、そんなことに構ってはいられない。私はこの人についていかなきゃ
いけないんだ。誰に導かれてるか知らないけど、今までだってそうしてきたし、これからもそうなんだ。
 「そこの詩人さんよりは力もあると思いますけど。……こんな特技だってありますし」
 廊下の窓を開け、左腕を空に向けメラを連続でぶっ放す。魔力のタメなしに出現し空に消えた火球を見て、
そろばんの男性は「一週間で、最低三百ゴールドはお支払いしましょう。よろしく」と握手の手を差し出した。

34 :女神像の洞窟 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:24:03 ID:KvCIodjL0
 私は今、重くてゴツくて無骨すぎる鉄の鎧を着ています。いつもの革ジャンはどうしたかって?
……思い出すのも悲しいことが起こってしまいましてでございましてね……。

 「銀の女神像?」宝石や貴金属が大好きな私としては、夢が現実にぽっと出てきたような言葉だった。
「ええ。私は今、エンドールの街に自分の店を持つことを目標としておりまして。街の西側に、店を譲って
隠居したいというご老人がいるんです。二万ゴールドで店を譲っていただけるそうなので、資金源に
なるであろうお宝を探してるんですよ」
 に、二万ゴールド……。この世界に来てから金銭感覚がすっかり変化しちゃった私には、途方も無い
金額だなぁ。だって、武術大会前のカジノで聞いた話だと、この世界ではギター一本が二万ゴールドでしょ?
ってことは、エンドールの宿屋の部屋に置いてきたアレは、純銀製の像一体分の値段ってことだよね。
ギター一本我慢すれば店が買えるなんて、この世界は凄まじい価値観をお持ちなことで。
 「それにしてもだ。こんな水没しきった洞窟の中に、そんなもんがあるのか?湿気で変色した女神像なんて、
対した価値もないような気がするが」
 戦士のスコットさんが鉄の槍を肩に背負いなおしながら言う。この洞窟に向かうまでの戦闘で思いっきり
戦って見せたら、スコットさんは私の腕を信じてくれた。詩人のロレンスさんも左に同じく。
 「ですが、奥のほうからなにやら神秘的な気配がします。ひょっとしたら、最深部に眠る女神像が
トルネコさんを待っているのかもしれませんね」
 トルネコさんというのが、このお腹がぼいんなおじさん。ライアンさんやアリーナちゃんとまではいかなくても、
なかなかの力持ちで重そうな武具を使いこなしている。行商で足腰が鍛えられたと笑いながら、正義のそろばんを
じゃらじゃら言わせながら魔物に振るう様は結構圧巻だ。
 「んぉ!?メタルスライム!」
 乗っているイカダから、スコットさんが身を乗り出した。向こう側の床、宝箱の陰で銀色に光る丸いものが
こそこそ動いていた。このメタルスライムってのが、オイシイんだなぁ〜。
 一匹やっつけると、それだけでやたらと成長した気分になれる。魔力や体力が上がったりと、不思議なことが
起こるんです。冒険者たちはそれこそ、あの銀色のボディを見れば躍起になって追いかける。
 ただね、スコットさんみたいな重量級の人と、それにつられたようにスコットさんのほうへ寄るトルネコさんが
イカダの一方にいるということは、イカダの反対側にいる私とロレンスさんがバランスを崩すわけであって。
 イカダの真ん中らへんに立っていたロレンスさんは、あわてて足を踏みしめたから良かったんだけど、
私はというと、恥ずかしいことにトルネコさんとスコットさんと一緒になってメタルスライムに気をとられていた
もんだから、左足がじゃぶんと音を立てて水に落ちるまで、自分がどれだけ危ないところに立っていたかなんて
気づかなかった。
 どぼーん、と派手な水しぶきを上げてイカダから落っこちた。当然どこもかしこも水浸し。
あー革ジャンが痛む〜なんて思いながらイカダに上がると、案の定メタルスライムには逃げられてしまった。
びしょびしょのままじゃ可哀想だからと、トルネコさんが貸してくれた鉄の鎧を装備して、現在に至る。
 なんだかこの世界で時が経つにつれて、どんどんキャラがかっこ悪くなってる気がする……。

35 :女神像の洞窟2 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:24:37 ID:KvCIodjL0
 「うっわー……」
 地上から漏れてくる光が反射して、優しく光っている。携帯があるなら写真撮っておきたいぐらい綺麗。
 洞窟の最深部に眠っていた銀の女神像は随分と古いものらしかった。でも、そんなことは微塵も感じない
輝きを放っていて、こんなすごいものを買うのはどこぞの大金持ちかと考えて反吐を吐きたくなった。
 日本は今、不況の真っ只中。少しずつ上がり続けていた学生の就職率も、今年度に入ったら下がったそうだ。
どこのテレビ局でも総理大臣の漢字の読み間違いを叩き、バカ騒ぎを繰り返すだけのバラエティ番組で
いろんなことを忘れようとしてる。反面、景気が悪くなったのはサブプライムローンがどうとか、
環境に悪いから車は低燃費のハイブリッド車が好ましいだとか、とりあえずの形で真面目ぶっている。
少子高齢化が進んで医療費が跳ね上がるとか、その裏では人口爆発で食糧危機の時代が訪れるのも時間の問題とかなんとかかんとか。
 女神、ねぇ……。
 もし本当に「神様」なんてものが存在したとしても、人間の幸せのためになんて動いてくれないと思うよ。
神様だってもの考えるもんでしょ。なんの見返りもなしに人助けなんかしないさ。
―――あれだけ人間が増えちゃったら、神様だって手が回らなくて面倒見切れない。そんなもんだ。
 「メイさん?メイさーん?どうしました?ぼんやりして。女神像は手に入れましたから、
エンドールに戻りましょう?」
「へ?あ、ああ、はい!」
 つい、しょうもないことを考えてしまった。危ないなぁ。ここらへんの魔物はそこそこ強いから、
気を抜いたら後ろから襲い掛かられちゃう。現に道具屋のご主人の薬草つみに付き合ったとき、
魔物に後頭部を強打されたのはイイ思い出だ。
 「それにしても、なんと神々しいお姿をされているのか。命なき『物』であることを忘れそうな美しさですね」
 トルネコさんの背中で眠る女神像を見ながら、ロレンスさんはほぅと息をつく。
 「本当だな。俺は神学や魔法には詳しかねぇが、見てるだけで心が洗われるようだぜ」
 ……そういうもんなのかな。私だって、この世界の神学や魔法には詳しくない。
魔法は使えるけれど、黄金の腕輪を初めて見た時だって何も感じなかったし、今この女神像を前にしたときだって、
綺麗だとか高そうだとは思ったけど、他の三人が感じるような崇高なものは湧き上がってこなかった。
 単にトシのせいで鈍感になってるのかとも思ったけど、トルネコさんとスコットさんも感じるみたいだし。
 改めて、誰かに問いたい。私は一体何者なのか。この世界において、魔力を抱く腕輪や神格化された像に対して
何の感情も抱かない。なのに、黄金の腕輪はまるで私と意思疎通でもしているかのように思い通りに力を貸す。
 暗い考えを持ちそうになるのは、洞窟の中が暗いからだ。湿っぽい気持ちになるのは、水の中に落ちたからだ。
 鎧の下に着ているシャツの袖、その下で静かにしている黄金の腕輪を撫でる。
 慰めるように温かくなるこの小さな金塊が、本当に禍々しい魔力を秘めた葬り去るべきものなのだろうかと
不安になった。

36 :エンドール ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:25:17 ID:KvCIodjL0
 銀の女神像はエンドールの大金持ちの家に二万ゴールドで売られていった。
「何だかバチあたりな気もしますがねぇ」と苦笑しながら受け取った大金で、トルネコさんは念願叶って
自分のお店を手に出来た。トルネコさんの故郷の村から家族を呼んだり、お店の中の片付けなんかであっという間に
五日間が過ぎ、契約が切れたからと二人の用心棒は私たちの元を後にした。
 今トルネコさんは、エンドール王から武具の発注を受けて、武器屋や防具屋を渡り歩いている最中だった。
私もそれに付き合って、北にあるボンモール王国なんかに足を運んだ。そんな仕事の最中に、不意にまた体調を崩した。
 夏バテだろうと、貰った休みを休養に当てた日の夜、宿屋に訪れたトルネコさんはやけに神妙な面持ちをしていた。
 「具合はどうですか?あ、これは私の妻が作った弁当なんですが、よかったら食べてください」
 スカラの魔法が封じ込められたランチョンマットに包まれたお弁当箱を差し出される。防御力向上の魔法をかけた
布で包んでおけば、食べ物が細菌にやられて痛むのを遅らせることができるんだって。お弁当用の保冷材よりも便利だね。
 夏バテとは言っても、私の体はこっちに来てから「暑い」も「寒い」もろくに感じない。感覚が麻痺しちゃってる。
爪は相変わらず伸びない。髪の毛もそう。半時計周りの渦で移動するたびに季節が変わってるってことは、
時間もそれなりに流れているんだろう。それなのに、だ。
 「うわあ、おいしそう。ありがとうございます。奥さんにもお礼を言っておいてください」
「なんのなんの。妻は料理が好きでしてね。自分が作ったものをおいしそうに食べてくれる人が好きなんですと。
だから私みたいな男が、あんな美人と家族を持てたのでしょうね。ふふふ」
 幸せそうに笑うトルネコさんだったけど、不意に真剣な表情を作ってこっちを向いた。
 「つかぬことをお聞きしますが、メイさん。あなた、その腕輪をどこで見つけたんですか?」
 短いシャツの袖にも隠れるよう、黄金の腕輪は二の腕の付け根あたりまで上げてある。
今この場でトルネコさんの目には入らないはずだった。
 「……なんのことですか?」
「とぼけちゃあいけませんよ。左腕にしている腕輪です。この間、女神像の洞窟でイカダから落ちた時に、
革の服を脱いでいましたよね。そのときにちらっとだけ、見えたんです。……教えてください」
 何か、鬼気迫る表情だった。気迫負けして仕方なく腕輪を手首のところまで下げて見せると、脅えたように、
それでもしっかりと、トルネコさんは黄金の腕輪に触れて品定めを開始した。
 「錬金術というのを、ご存知ですか?」
 錬金術? そういえば、アニメでなんとかの錬金術ってやつが放送してた気がする。ファンタジー系のアニメだっけ?
確か、こう、両手を合わせたら橋がかかったりするような人間離れしたストーリーだったような。
 「なんにもないところから、何かを作る術のことですか?」
「平たく言えばそういうことになります。……いえね、私も詳しいことは専門外なのでわからないのですが、
左手からメラを連発するのを見て『ああ、これは何か仕掛けがあるなぁ』と思ったんです。そしたら、あなた。
私がお貸しした鉄の鎧を着るとき、不気味な輝き方をする腕輪が見えるじゃありませんか。あ、いえ、別に、
その腕輪が悪いものだと言っているわけじゃないんです。ただ……」

37 :エンドール2 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:25:49 ID:KvCIodjL0
 もう一度、トルネコさんは私の手をとって腕輪を肘のほうに上げたり、質感を確かめたりした。
 「そのお弁当を包んでいる布も、スカラの呪文が封じ込められています。そういう魔法のアイテムを作るには、
魔力をものに込める『錬金術』が必要なんです。私の知っていることはこのぐらいですが、錬金術は高度なものになると、
影響を与えられた人の力を考えられないほどに増幅させ、恐ろしい進化を遂げるという伝説があります」
「そうは言われましても。この腕輪、はずせないんですよ。ほら、手首まで持っていくと、縮んで抜けないんです」
 輪ゴムが伸びるようになんの違和感もなくサイズを変える黄金の腕輪を見て、トルネコさんはひどく関心する。
 「武器商人が通称『死の商人』と呼ばれているのは知っていますか?」
 あー、そういえば戦時中に武器を売る商売やってる人はそう呼ばれてたっけ。頷いてみせると、苦笑交じりに
トルネコさんは口ひげを撫で付ける。
 「確かに私たちは、命を殺す道具を売っている。ですが、それは守るための刃であると考えています。
戦わないで守れるなら、それほど嬉しいことはありませんよ?でも、戦わないと守れないものもたくさんあります。
『死の商人』は、『命の商人』でもあるのです。……だから、言わせてください。お願いですから、その腕輪を
悪いことには使わないで下さいね。その腕輪は、メイさんの魔法の力を増幅させ、魔力のタメなしでも魔法を連発する
ことができる。それはきっと、あなただからこそ、腕輪が力を貸してくれているのかもしれませんし」
 黄金の腕輪を手にしたのも、人攫いをするような悪い奴等に持ってくるよう命じられたのがきっかけだった。
みんなが口を揃えてこの腕輪を不気味だ不気味だと言うけど、私にはそう思えない。むしろ、自分の持ってる力を
十分に理解して、守るための刃を輝かせようとしているように感じられる。
 「……約束します」
 深く頷いてみせると、信じてくれたらしいトルネコさんは部屋に備え付けてあった水差しから水を汲んで渡してくれた。
冷たい水が胃の中に流れていって気持ちが良かった。
 「錬金術……。トルネコさん、その錬金術を詳しく知るためには、どこの誰を尋ねていけばいいかわかりませんか?」
 さっきも「専門外だ」と言った彼にこんなことを聞いてもいいものかとも思った。
でも、今の私にはこの世界で頼れるのはトルネコさんしかいない。行商で世界各地を回っていたなら、
何かそれらしいことも知っているかもしれない。
 「そうですね……。十数年前に南の大陸に行ったことがありますが、コーミズという小さな村に住む錬金術師は、
素晴らしい腕を持っていると聞きました。この国から出ている定期船で南の大陸に渡れます。……行くつもりで?」
 少し、考える。きっとこの先トルネコさんについていっても、私が求めるものは見つからないだろう。正直に言う。
この世界で残りの一生を過ごすつもりはない。元の世界に戻る目的もないけれど、あの魔力めいた反時計回りの渦や
この腕輪の正体を知るのは、私がこの世界で旅を続ける目的だもん。
 「……考えています。……う、うぅ……?」
 ぐらぐらと頭の中が揺れた。再び体調を崩した私をあわてて横にさせて、トルネコさんは心配そうな顔で部屋を出た。
「カジノに数人はいるだろう仲間の商人と情報交換をしてきます」。そう告げて。

38 :※THE OUTER MISSON 3 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:26:19 ID:KvCIodjL0
 トルネコは恐怖していた。スコットやロレンスと同じく頼れる用心棒であった彼女が鎧を着る時に見えた、あの腕輪に。
人格異常があるわけでもなく、メイという女は重い武器を持ち、魔法を放ち、雇い主であるトルネコを従順に守った。
そんな戦いぶりとは裏腹に、至極穏やかな物言いをし、水に落ちたぐらいでひどく悲しそうな顔をする。
時折気が抜けたようにぼんやりと宙を見ていた。洞窟探索の最中に、彼女が異界の人間であることを聞いたが、
もしそれが本当なら、そうやってどこか遠くを見つめているときは異界のことを思い出し、恋しがっているのだろう。 
 トルネコには息子が一人いるが、メイを見ていると彼女もまた自分の子のように思えた。
 「あれ?」宿屋の地下に併設されたカジノへ下りたトルネコは、拍子抜けしてしまった。
 エンドールのカジノといえば、大勢集まる人々を目当てに世界中の商人たちが商いに励んでいるものだった。
それが、今は従業員がまばらにちらほらと見えるだけで、誰もが退屈そうに箒や雑巾を手に掃除をしている。
 「三週間前に武術大会がありましてな。大きな行事が終わったあとは、カジノもしばらく休業するのだそうです」
 あたりを見回していたトルネコに声をかけたのは、背の高い屈強な戦士だった。
身に付けている鉄の鎧、その左胸に光るのは、はるか北方の軍事国家バトランドのものであると記憶していた。
 「そうでしたか。いやぁ、ここにくれば仲間の商人が何人がいるかと思ったんですがねぇ」
 困ったように頭をかくトルネコを見て、戦士は迷うようなそぶりを見せてから切り出す。
 「初対面で失礼だとは思いますが、二、三聞きたいことがあるのです。わたしはバトランド王宮戦士ライアン。
伝説の勇者様を探して旅をしています。あなたは、伝説の勇者様についてのお話を、何か知ってはいないだろうか?」
「伝説の勇者?あの、神学や歴史の教科書に載っている?」
 伝説の勇者など、トルネコが子どものころ学校で習って以来聞いていない言葉だった。教科書に載ってはいたが、
その多くがおとぎ話と化していて、勇者についての真実は何一つとして定かではない。ただひとつ、北西の小さな
島に浮かぶ水の都スタンシアラには、伝説の勇者が身に付けていた兜が祭られているという話はあった。
 「北西のスタンシアラ王国には、伝説の勇者が使っていた兜があると聞いたぐらいですね。
私が知っているのはその程度です。お役に立てず申し訳ありません」
「そうでしたか……」
 戦士はわずかに残念そうなそぶりを見せ、二つ目の質問を切り出した。戦士の出した名前に、トルネコは身をこわばらせる。
 「では、あなたは『メイ』という背の高い女性をご存知か?私よりも少し小さい程度の背格好で、
黒い髪で、白っぽい黄色の肌をして、黒革の服を着た、色眼鏡の女性なのですが」
 王宮戦士が、彼女を探している?
 トルネコは代金の計算で鍛えた頭を必死に回した。王宮戦士が彼女を探しているということは、おそらく彼女の持つ
腕輪の効力と、それを体からはずせないことを知って、危険人物とみなし捕らえようとしているのではないか、と。
 「……申し訳ありませんが、その方についてもわかりません。『メイ』という女性は、たくさんいますし……」
「そうでしたか。……ありがとうございました。町の外の魔物も最近は凶暴です。道中、お気をつけられますよう」
 丁寧に礼をしてカジノから出て行く戦士を、トルネコは冷や汗を流しながら見送った。

39 :※Can't Live Without You 1 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:28:07 ID:KvCIodjL0
 メイは己の耳を疑った。たった五人のバンド王として君臨するかのごとく絶対的な存在であるベーシスト佐呂間博成は、
カートンで買った煙草と六本一ケースのビールを茫然自失のボーカリストに突き出して、続ける。
 「新しいボーカルを入れる。俺の好みが低い声だったことを恨むんだな。お前は明日からギタリストに回す。
反論は認めない」
 メイはボーカリストであることを強く自覚し、煙草はまったく吸わず、酒で喉が焼けるのを恐れ飲酒もしない。
炭酸飲料もほとんど口にしないという徹底振りだった。
 「……冗談はやめろ。この三年間、私はずっとアンタのバンドで歌ってきたんだ。ボーカルやめてギターになれ?
そう簡単に『ハイそうですか』って返事が返ってくると思ってんのか!?」
 スタジオ内の防音の固い壁を殴りつけようとした手をつかみ、止める。手のひらに爪を食い込ませていた指を無理やり開かせ、
佐呂間はなおも続けた。
 「お前の声は高すぎるんだ。シャウトが出来たって、重さがないなら客は喜ばない。そろそろこのバンドにも、
新しいものが必要なんだよ。もうボーカルは呼んである。そろそろ来るぞ。お前が好きだって言ってた、あの声の持ち主が」
 心の底から反吐を吐きそうな顔で、メイは手首を掴んでいた佐呂間の手を振り払った。
完璧に作ったように美しい佐呂間の顔がメイは嫌いでならない。視界に入るたび苛立つほどだ。
見せ付けるように手首を服になすりつけ、汚いものでも見るかのように佐呂間を睨みつける。
 ドアが二回、外から叩かれた。
ドアが開き、スタジオ内の様子を伺うように入ってきた少年は、佐呂間とメイを交互に見つめ、おずおずと喋りだす。
 「あの……『ブラックアウト』ってバンドの人ですよね?」
「あいつが新しいボーカルだ。知ってるだろ?ヘタクソなギター以外の音は全部打ち込みで歌ってた」
「あっ、やっぱりそうだ!俺、今日からボーカルやらせてもらう、木暮貴志です。よろしくお願いします!」
 「対バンに一人でステージに立つ奴がいる」と聞いて、興味本位で木暮の歌を聞きに行ったメイは愕然とした。
音域も質も、何もかもが彼女の感性を刺激する声だった。メタルミュージックの基本をすべて叩き込んだような声で、
下手糞なギターのみを演奏し、ドラムやベースはコンピュータで打ち込んでバックに流すというありえない方法で
ライブに出演していた。
 「……よろしく」
 メイの中から、佐呂間に対する異論がすべて消え去った。握手を求めて差し出した手が、木暮によって握られる。
触れられた瞬間、全身に炎が走ったようだった。歌声を聴いただけで恋に落ちる程度の若さを、この時メイは持っていた。
 「決まりだな。……吸うか?」
 薄化粧の下で赤く染まる頬を隠しもせず、メイは佐呂間からライターを受け取り煙草に火をつけた。
もうボーカルには戻らないという決意の味は、思いのほか苦かった。
 後悔を飲み下す代わりに、ビールのプルタブを持ち上げて一気に煽る。満足げな佐呂間の目がわずかに細くなった。

40 :※Can't Live Without You 2 ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:28:52 ID:KvCIodjL0
 「あ、もしもし?佐呂間さん、今どこにいます?もしかしてメイさんの家?」
 新しいが簡素なアパートの一室の前で、佐呂間は何もせず立っていた。呼び鈴を慣らしても応答は無い。
もうとっくに帰り着いていてもおかしくない時間に、メイはこの部屋にいなかった。不意に鳴った携帯は、
彼のバンドでドラムを叩いている男からの着信だった。
 「アパートの前だ。家主はいないがな」
「マジ?メイさんまだ帰ってないですか?……実は『あいつ』の遺品の中から、『メイさんへ』って書いたプレゼントが
出てきたって親御さんから連絡あって。こないだ、メイさんの誕生日だったでしょ?そのために用意したやつだと思うんすけど」
 秋だか冬だかわからない時期に生まれたとこぼしていたメイの誕生日は、佐呂間を除くメンバーに祝われた。
そのとき、サプライズを狙っていたためサイドギターとドラムしかその計画を知らなかった。
「教えてくれればプレゼントぐらい用意できたのに!」と憤慨するボーカルを、「いつかまた」とたしなめたのは、
ほかでもないメイだった。
 「いやね、スタジオ出た時に佐呂間さんがメイさん家の方向に行くの見たんですよ。佐呂間さんに電話すりゃ、
メイさんと連絡つくかと思って。メイさん、いくら携帯と家電に電話しても全っ然出ないんですよ」
 何かに対しひどく苛立ちながら、佐呂間は再び呼び鈴を鳴らす。
背後では雨が降り注ぎ、頬が痛くなるほどの風は雪の気配すら孕んでいた。
 「……いないな。どっかで寄り道でもしてんだろ」
「それはないっすよ。メイさん、スタジオ入りする日の次の日が仕事ってときは、絶対まっすぐ帰りますもん。
今日が日曜日で、明日月曜日でしょ?だったら仕事っすから」
「……なんにせよ、家には帰ってない。じゃあな」
 一方的に通話を切り、白い息を吐きながら玄関ドアに背中を預け、膝を折る。かちかちと歯列が鳴っていた。
寒かった。もう気温が氷点下まで下がる季節が訪れている。数日前は初霜が降りた。地下鉄の駅が近いからと、
たいした防寒もせず革のジャンバー一枚でスタジオに通う彼女が、こんな時間まで一体どこで何をしているのだろうか。
 「……くそったれが。死んでからも手ぇ焼かせやがって」
 握り締めたままの携帯電話のアドレス帳を開き、ほとんどかけたことのない番号へダイヤルする。
画面に表示された彼女の名は幾度も点滅を繰り返し、数十分前から嫌というほど聞かされた機会じみた女の声を流す。
 どこに居やがる―――? どこにも居ない―――!
 上背があり、その気になれば腕力もそこらの貧弱な男どもより強い。強かったとして、メイが女であることに変わりはない。
 冷静でいようとする意識とは裏腹に舌打ちとため息を何度も繰り返した。
手持ち無沙汰になった佐呂間は、銀色に染めた長い髪をただ弄んでいた。
 
 
 第三章 完

 
Lv.13 メイ
HP:58/58 MP:56/56
E ホーリーランス
E 鉄の盾
E 革の服(革ジャン) ※鉄の鎧はトルネコに返却済み
E −
E サングラス・黄金の腕輪

戦闘呪文:ホイミ・スカラ・メラ・ヒャド
戦闘特技:なぎ払い・連続魔法(黄金の腕輪の効果)
所持金:671G(トルネコからの報酬400G分がプラス)

41 : ◆fzAHzgUpjU :2009/01/30(金) 01:29:31 ID:KvCIodjL0
スレ立て乙でした。このスレでもよろしくお願いします。

42 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/31(土) 13:16:06 ID:kl8EoYlt0
スカラを込めたランチョンマットとか便利だな
呪文が生活にも活用されてるとか面白いや

43 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/31(土) 15:31:36 ID:BT/H62PO0
メイさんストーリーの人、乙です。
トルネコの体型をさまざまに表現するのに可笑しさがこみ上げてきました。

ところでどうでもいい事に近いんだけれど、佐呂間という苗字の人って実在するんですかねぇ?

44 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/01/31(土) 17:09:14 ID:oKJpX52q0
個人サイトなので、ttpでリンクするが・・・
ttp://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/index40.html
ttp://park14.wakwak.com/~myj/

佐呂間は検索したら0件だった。
北海道常呂郡の某所に住んでいるわけじゃなさそうだなw

あったとしても非常に珍しい苗字かな。

まあ、作品の楽しさには影響のないことなのでsageます。

45 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/01(日) 08:20:06 ID:hva2+P800
メイさんの方お疲れ様です。

作者さん達には申し訳無いんですけど
各キャラクターの紹介文みたいなのを書いて下さったらありがたいですね。
作者さんによってはキャラクターの扱い方が違うと思いますから。
それに感情注入して読む事が出来ますし。


46 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/03(火) 03:48:05 ID:SJm5i2VRO
前も紹介文あるといいという意見があって作者さんは書いてくれたよね

47 :※ALIEN NATION ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:11:48 ID:IjeyjFvM0
>>33-40の続き

 エビルプリーストは疲れきっていた。僕である魔物を大勢派遣し、古に伝わる魔法「バシルーラ」で
サントハイム王国にいた人間すべてをどこかへ消し去った。殺しても良かったが、ひとつの国を滅ぼすのは
たとえ相手が人間だったとしても多大な労力を必要とする。太古の昔、バシルーラは唱えられた対象がもっとも
長くいた土地へ飛ばす効果を持っていた。
 だが、無理に復活させた不完全な魔法では、どこへ飛ばしたのか術者さえもわからない。
 世界の中央に位置する小さな島、その島の横に、地図にも載らないようなさらに小さい島がある。
島と言うよりは、わずかに土が隆起しただけで、ほんの十数分もあれば周囲をぐるりと回れるほどだ。
 簡素な家が一軒建っていた。中には小さな子供が一人、ベッドで眠っている。おとぎ話の絵本が枕元に散在しているのを見て、
持て余した孤独な時間をこの子がしのいでいたことを知ると、エビルプリーストはぐっと眉間に皺を寄せた。
 「……ちちうえ?」
 子どもの目が薄く開いた。眠る姿は何の変哲も無い人間だった。だが、目蓋が持ち上がった下にある双眸は
人間の細胞ではけっして作り出せない色をしており、父を呼ぶ唇から覗く歯はするどく尖っていた。
 「おお、ミルディス。すまないな、父はお前を起こしてしまったか」
 寝ぼけ眼をこすりながら、「ミルディス」と呼ばれた子どもはベッドから起き上がって父に抱きついた。
多くの愛情を含んだ両腕で抱きしめながら、エビルプリーストは濡れた鼠のような色をした我が子の髪を撫でる。
 「ちちうえ、ぼく、ははうえのゆめをみました。ゆめのなかで、とってもやさしく、ぼくにキスをして……」
 言葉の途中で再び眠りについたミルディスを起こさないようベッドに寝かせ、エビルプリーストはこの子の亡き
母を想った。優しく聡明で、命あるものを差別することは絶対にしない。まるで女神のような女だった。
彼女が人間でなければ、もしかすると今は別の今を歩んでいたかもしれない。
 魔族と契った魔女として火あぶりにされ彼女が殺されたのは、いったいいつのことかも思い出せなくなっていた。
 ミルディスは、母が殺されたあの日から成長を忘れた。人間がその生涯を終えるための時間を、この子はすでに
生きている。
 「……ミルディスよ。もうすぐ、もうすぐだ。あとほんの少しで、お前も父も静かに穏やかに暮らせる時代が
やってくるぞ。そうしたら、こんな小さな島は出て、広い花畑で思い切り遊ぼう。美味なるものもたくさん食べられる。
甘い菓子もだ。……だから今しばらく、お前を省みない父を許しておくれ……」
 薄い布団をかけなおしてやろうとした手が、止まる。ミルディスの肌には無数の傷跡があった。
何匹ものホイミスライムを呼び回復呪文を唱えさせても、ミルディスの傷は完璧には消えなかった。
 魔族の子。魔物の子。
 そう罵られて同じ年頃の人間の子どもから受けた無邪気で残酷な虐待は、心の傷をそのまま現すかのように
石色の肌に残ったままだ。ミルディスの存在を知ったホイミスライムをすべて殺し、エビルプリーストは途方にくれた。
 「ピサロめ。見ておれ……わしはお前などに進化の秘法を渡すわけにはいかんのだ」
 家を出て、鍵をかけ、ルーラを唱える。死の色をしたローブの襟を直して堂々たる態度で入るのは、
色と酒と宝石を求めて多くのごろつきが徘徊している、エンドールのスラム街だった。

48 :第四章:南の大陸へ ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:12:46 ID:IjeyjFvM0
 車は運転専門。助手席に乗せてくれるような人もいなかったし、確実に目的地まで行ける公共交通機関のほうが
私には性にあってる。乗ってる時間も短いし、何よりプロが運転するから変なふうに揺れたりしないし。
 「うっ……ぇええええ……げほっ、げほ……」
「おぉ〜い、大丈夫かねえちゃん。ほれ、水飲め、水!」
「ありがぅぷぇえ」
「ひー!ホントに大丈夫かよー!?」
 私は今、エンドールから出る最後の定期船で南の大陸に向かっている。ふ、船がこんなに揺れるものだとは。
足元はしっかり踏みしめているのに空を飛んでいるみたいに床が上下する。加えて、強烈な横揺れ。
室内にいたらこもった空気でさらに胸が悪くなるから、寝るときと簡易型のお風呂に入るとき以外は甲板に出っ放しだ。
 あんまりにもひどいもんだから、船乗りさんはこぞって私の面倒を見たがる。なんでも、私は「べっぴん」だからだそうで。
しかも、いま南の大陸なんかに行こうとする奴がいるのは非っ常に珍しいらしいので、おもてなしモード全開。
 周りを見れば、商人の団体や腕試しの旅をしている剣士など、船旅にも慣れた人しかいなかった。
船乗りさんたちが私を甲斐甲斐しく世話するのは、そこらへんにも理由があるみたい。
 「っうぅー……す、少し落ち着いてきました……。毎度毎度ご迷惑おかけしてすいません……」
「いーってことよ。どれ、背中さすってやるよ。ついでに前もさすらしてくれっか?へへへ」
 悪戯に笑う船乗りさんに苦笑を返すと、ふいに背中で上下に動いていた温かい手が止まった。
船乗りさんたちも含め、私以外の人間の顔が突然険しくなる。背中から手が離れた。その手はまっすぐ前を指差している。
 「見えたぜ……ハバリアの港だ。ねえちゃん、気をつけな。今この大陸は、『キングレオ』の圧政に何もかもが鎮圧されてる。
それに輪をかけて魔物も凶暴化してるって話だ。あと少しで、ハバリアとエンドールを結ぶこの定期船も廃止される。
用が済んだらすぐエンドールへ戻るんだ。……な?」
 エンドールから東に向かうトンネルが開通したあと、トルネコさんと別れた。彼は伝説の勇者が使っていたという
「天空の剣」を求め、大陸の東へ行った。私はこのとおり、黄金の腕輪と関連が深い「錬金術」について調べるために、
南の大陸に進路をとった。
 別れ際に、トルネコさんは奥さん特製のお弁当と一緒にこんな警告をくれた。
 ―――メイさん、十分に気をつけてください。あなたは私なんかよりも戦いが強く、魔法にも長けています。ですが、
今の南の大陸は何もかもが非常に危険だと聞き及んでいます。絶対に、その腕輪のことを他人に口外してはいけません。
錬金術について少しでも情報を得ることが出来たら、エンドールの私の店を訪ねてください。
あなたが来たときには仕事と給与を与えなさいと、妻に伝えてあります。……まさかとは思いますが、絶対に死んじゃ駄目ですよ。
 用心棒として雇った女に、トルネコさんがどうしてああまで言ってくれるのかはわからない。下心はないと思う。
彼の好意と心配を無駄にしないためにも、私はこの大陸に進まなきゃいけなかった。
 ぎゃりぎゃり、と金属が擦れる音が聞こえる。碇が下ろされたらしい。

49 :ハバリア ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:13:27 ID:IjeyjFvM0
 酒場でギターを演奏して小金を稼いで宿をとり、動かないベッドでゆっくりと眠った。
ああ……床が揺れないのって最高。エンドールに戻る以外は、もう二度と船になんか乗らないんだから。
 酒場での演奏のとき、やっぱり黄金の腕輪は音色を喜ぶかのように温かくなった。
小さな酒場はおろか、町全域にまで届くんじゃないかってぐらい大きな音を出させようと、
私の肌を伝わせてじわじわとギターに魔力を送り込んでいた。おひねりの金額はそれなりで、装備も整えられそうなほどだ。
 音色に反応して、黄金の腕輪はギターに力を与える。演奏を終えたあと、聴いてくれていた人たちを少し観察した。
悪い影響は見られなかった。トルネコさんの言うように、もしかしたら本当に、この腕輪は「私だから」力を貸してくれて
いるんじゃないかと思う。
 「ねえ、あなたすっごいのね!名前を教えてもらってもいいかしら?」
 おおおお!? 何この娘! すっごい可愛い! やめてやめて! こんなおばさんの隣に来ないで!
老けてんのが浮き彫りになるから!
 「……メイって言います。あなたは?」
「あたし?あたしはジル。この酒場つきの踊り子で、ウエイトレスよ。昔はモンバーバラの劇場で踊ってたこともあったの」
 聞けば、ジルちゃんは私の演奏にえらく感動してくれたんだそうだ。オーディエンスからの褒め言葉ほど嬉しいものはない。
そこでジルちゃんは、私もそのモンバーバラの劇場で演奏したらどうかと申し出てきたわけだ。
 「あたし、この町で生まれ育ったから、ここから本格的に移住するつもりはないの。だけど……あなた、北の大陸から
渡ってきたんでしょ?だったら、あまりこの町には長居しないほうがいいわ。そろそろ本格的に王国が領土を強制支配
しだすらしいから。……劇場だったら、まとまったお金も稼げるし。何か目的があって来たなら、モンバーバラに行って。
人も大勢いるから、いろんな話が聞けるだろうし」
 ……誰もが口を揃えて「こんなところからは早く出て行け」と言う。それほどまでに国民を追い詰める王様って、
いったいどんな人でなしなんだろう。
 もしかしたら、ホントに人じゃなかったりして。……いやいや、やめよう。怖いって。そんなことを考えながら眠りについた。

 女神像の洞窟でずぶ濡れになった革ジャンは痛みが激しかった。防具屋でめぼしいものはないかと商品を物色していると、
工房の中がちらっと見えた。黒塗りの革のロングコートが何着もある。それに動物の毛皮を貼り付けていた。
 「あの。あそこの黒い革のコート、ください」
「ええ?あれはまだ毛皮の部分を貼ってない、ただの革のコートですよ?
確かにあれなら少し安く済みますけど、『ゴージャスさ』って面を考えると……」
 売るのを躊躇する防具屋のご主人に詰め寄って、二割引にしてもらった革のコートを着る。
羊の皮らしく、前の革ジャンよりもずっと柔らかくて着心地が良かった。縫い目も頑丈で、体を覆う面積も多いから、
防具としてもなかなか優秀そう。この世界に来てから、面積も質量も重さも何も関係なくなんでも収納するようになった
シザーケースに革ジャンをしまいこみ、南にあるというモンバーバラに向けてハバリアを出た。

50 :モンバーバラ ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:14:15 ID:IjeyjFvM0
 早朝から昼過ぎまで歩いて、やっとのことでモンバーバラにたどり着いた。
魔物がね、強いの。今までだってそれなりに強敵とは戦ってきたけど、この大陸の魔物はなんだか違う。
 殺意が、あからさますぎた。まるで何かに人間を殺すことを強制されているみたいに襲い掛かってくる。
危なくなって逃げ出そうとしても、とんでもない速さで行こうとする道に回りこまれる。
連続魔法を使いすぎて、これ以上魔物が出てきたらヤバイって状態で、ようやくモンバーバラの街が見えてきた。
 安心しても気が抜けない。北の大陸にいた、悪戯好きの子どもみたいな魔物を相手にするのとは違う。
殺さないとこっちが殺される。これまでは「やっつける」だけだったけど、今はもう「殺っつける」だ。
もう魔物が出ても魔法を打ち出す力は残っていなかった。
 なるべく足音を立てないように数百メートル先に見えた街の門まで走る。息を切らして街に入った瞬間、
膝の力が抜けて座り込んでしまった。行き交う人がちらちらとこっちを見てたから、なんとかして立ち上がる。
 劇場は街の北にあるらしい。昼のうちに座長さんと話をつけて、今晩中にでもお金稼いで明日は情報収集だ。
 「あの、すみませ」
「いいじゃなーい!ワンステージだけ!ねっ?」
 座長さんは誰かと話している最中だった。その誰かってのがまたすごいカッコした娘だった。
白いブラみたいなのに……ふ、ふんどし!? ふんどしかあれは!? いわゆるクラシックパンツというアレですか!?
 「あっ……?」視界が揺らぐ。例のあの感覚に襲われた。でも、強すぎる。これは……。
「うーん……わかったよマーニャちゃん。今日は特別だ!」
「きゃーっ!やったぁ!ありがと座長さん!」
 ふんどしの彼女は座長さんのほっぺにキスをして、その場でくるくると踊っている。こっちはというと、
もうそれどころじゃない。あの娘の発する感覚はとにかく強すぎる。ああやって陽気なふりしてるけど、
何か黒くてキツイものが腹の底にどっしりと構えているような、痛烈な覚悟を決めて腹をくくっているような。
 「じゃ、さっそくミネアにも伝えてくるわね!……あら、あなた誰かしら?」
 黒い水晶みたいに光る目が私を見上げる。視線がかちあった瞬間、私はこの娘を見ていてはいけないような、
そんな罪悪感が沸き起こってきた。なんでまた、こんな普通の娘に……。
 「あ、ギタリストだ。めっずらしい。ここ、歌と踊りの街って言われてるけど、あなたみたいな女のギタリストが
来るのは初めてよ」
 そんな好奇の目で見ないでほしい。そう叫びだしたいのを我慢して、露出の高いこの娘を適当にあしらってから
私は座長さんの前に歩み寄る。用件を伝えると、途端に後ろにいたその娘が喚きだす。
 「ちょっとぉ。明日じゃだめ?今日はあたしがステージで踊るのよ」
「じゃあ、この人の演奏でマーニャちゃんが踊るってのはどうだい?」
 心臓が頭蓋骨の中に入ってるみたいな感触がして、私は二人の話を半分も聞いていられなかった。
黄金の腕輪がどんどん冷たくなっていく。まるで氷を当てられてるみたいだ。
 ……脅えてる? ……まさかね。

51 :モンバーバラ2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:14:55 ID:IjeyjFvM0
 あのふんどしの衣装はこの世界では有名な「踊り子の服」ってやつで、
上質の布地と装飾に使う宝石のおかげで高値で取引される高級なものなんだって。
 そのふんどしの彼女の名前はマーニャといい、世界中の芸能が集まるこのモンバーバラの劇場でもナンバーワンの
踊り子さんなんだそうだ。
 昨夜は、私のギターに合わせてマーニャちゃんが踊るというステージになった。いつものようにケースから
ギターを出し、弾いた。音は大きくならない。別にならなかったとしても劇場の中はどういう仕組みか音響効果が
良かったから、彼女の踊りにも支障は出なかった。おひねりを拾い集め、出演ギャラを貰う。
このお金はマーニャちゃんと六対四に分けた。聞けば、彼女は妹と一緒にある目的のために旅をしていたという。
その旅の途中、路銀が尽きてしまったからと、彼女はもともと所属していた劇団で一夜限りのステージを行い、
お金を稼いでいたんだってさ。
 黄金の腕輪は昨夜のステージでのみ、力を貸してくれなかった。頼んでいたわけでもないのに私の路銀稼ぎを
手伝ってくれていたこの腕輪は、なんだか人目につくのを嫌がるように、何かから隠れるように、ずっと大人しい。
 ―――まるで何かに脅えるように、存在を隠してるみたいだ。
 「ねぇ、メイは北の大陸から来たんでしょ?なんだってこんな治安の悪いとこに来たわけ?しかも、女一人でさ」
 昨夜のギャラがいつもよりも多かったらしく、マーニャちゃんはすごくご機嫌だった。昼間は暇だという踊り子家業に
付き合って、私はマーニャちゃんに昼食を奢られている。おそらくは、この娘も大人ぶって入るけど私より年下だろう。
ちょっとそこらへんが情けないというかむずがゆいというかだけど、彼女とのおしゃべりは楽しかった。
 ただ、黄金の腕輪が無反応なのを除けば。
 「んー……?探し物というか、探し人というか、そんなような目的があって。
とりあえず、今はこの街の北にあるっていう『コーミズ』って村に行くつもり。何か知ってることってあるかな?」
「コーミズ?知ってるも何も」
 木のコップに注がれた林檎のジュースを飲みながら、マーニャちゃんは肩をしゃくって見せた。
 「あたしと妹の故郷よ。なーんにもない辺鄙な村よ?そんなとこにメイの探し物があるとは思えないけど」
「うっそ。……まあ、その目的のアレコレがあるらしいってのも、十数年前の話だっていうからね。無理ないか」
 口ではこう言ってみせるけど、正直私はこの後マーニャちゃんと別れたらすぐにでも北へ向かうつもりだった。
マーニャちゃんと落ち合う前に道具屋で大量に買い込んでおいた薬草でシザーケースの中をパンパンにしてある。
準備に抜かりは無いはずだ。
 「あ、そうだ。行くつもりだったらさ。あたしの妹に占ってもらったらどう?あたしの妹、占い師なのよ。
よく当たるってここらじゃ有名よ?」
 占いですか。……ごめん、言わないからひとつ思ってもいい? ……「胡散臭い」。
 私の心中を察してかそうじゃないのか、マーニャちゃんはランチの会計をさっさと済ませて私の手を引く。
 「平気よ。あたしの妹はね、目に見えないものを見るプロなんだから」
 ……何を見るっていうの。怖いからやめてよー……。

52 :モンバーバラ2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:15:35 ID:IjeyjFvM0
 地面に膝をついたまま立てない。左腕が凍りついたように冷たい。震えが止まらずに上下の歯がかみ合わない。
「ちょっと!大丈夫?どうしたの?」と大きな声で言いながら私の右手を取って立ち上がらせようとする
マーニャちゃんだったけど、明るいオレンジと黄色のローブを身に纏った彼女の妹であるらしい占い師が、
その行動を慎重に制した。
 マーニャちゃんのときと同じ、……正確に言えば、今まで旅をしてきた人たちと出会ったときに必ず
来る例の感覚が、また来た。眉をしかめて口をぽかんと開けたままの占い師は、しゃがみこんでいる私を
見下ろして、じっとある一点に視線を集めていた。左腕、肘と肩の間。……黄金の腕輪があるところを。
 「あなたは……誰ですか。眩しいのにひどく暗くて、温かいのにとても冷たくて、……何もかもが、
だぶって見えます。まるであなたという存在が、一人で二つの人生を歩んでいるような、そんな……」
「ぐ……うぅうう……!」色気のない唸り声が胸の中でどもる。
 目の前でなんか言ってるみたいだけど、正直もうこっちはそれどころじゃない。
黄金の腕輪が冷たくなりすぎて、肌が痛い。火傷してるらしかった。コートの袖の上からぎゅうっと押さえつけて、
何度も何度も腕輪に対し「落ち着きなさい」と語りかけた。しばらくして、腕の痛みが消える。
どうやらなんとかコイツは落ち着いてくれたらしかった。
 「だ、大丈夫?復活したかしら?」
「ん……平気。……それより、ええと、マーニャちゃんの妹さん」
「ミネアといいます。代金は結構です。見せてください、あなたのことを。あなたの目的を。
もしも私と姉に危険を及ぼすような存在ならば、いますぐこの街を、いいえ、この大陸を出て行って!」
 おっかないなぁ。この娘、本物だ。占いなんて、先のことを見たり見えないものを言い当てたりするようなものだ。
……私が何をひっつけて歩いてるか、この娘には見えてるんだろう。
 「プライバシーの侵害もいいとこだね、ホント。……でもまあ、見てもいいから、私が探してる目的のアレソレが、
いったいどこにあるのかも占ってくださいよ。この大陸にいる目的がないなら、ハバリアからの定期船で
さっさと出て行きますから」
 こっちの世界に来てから、随分と大胆になったもんだと自分で思う。前はこんなこと、口が裂けない限り言えなかった。
言えなかったからこそ、ギタリストから突然ボーカリストにされたり、……年の差を気にして好きだった相手に
言うべきだったことを言う前に死なれたんだろうから。
 「……大きな緑色の光を中心に、七つの小さな白い光が集まろうとしています。
小さな光は、皆それぞれの道を模索し、迷っている最中です。……大きな緑の光のそばに、同じぐらいの大きさの
赤い光が見えます。……赤と、緑の間に、……これは……?色を持たない小さなきらめき……?あっ!」
 ……光だのきらめきだの、何それ。ススキノにある風俗店の電飾じゃないんだから。
そんなこと言われたって、わからない。
 「……今のは、私がこれまで見てきた『伝説の勇者様』を表す未来です。あなたは、勇者様でも赤い光でも、
白い光でもない、……不思議な存在」

53 :ハバリア2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:16:10 ID:IjeyjFvM0
 トルネコさんの助言どおり、右隣を歩いているモンバーバラの姉妹には黄金の腕輪のことを一切話していない。
占い師のミネアちゃんが私に何を見たのか、ろくすっぽ神仏を信じたことなんてない私にはわからなかった。
でも、彼女は大きな緑色の光のことを「伝説の勇者」だと言っていた。そして、今はまだどんなものかわからない
赤くて大きな光。その間にある小さなきらめきが、どうやら私らしかった。
 「ひとまず、ハバリアの街でお嬢さんがたの装備を買い揃えましょう。あそこは交易が盛んですから、
店の品々もきっとよいものが揃っているはずです」
 先頭を歩くオーリンさんに、私は未だ「錬金術」とは何かを、詳しく聞けないでいる。
 私がなぜ、マーニャちゃん、ミネアちゃん、オーリンさんと行動を共にしているかといえば、
コーミズ村に行くと告げた途端に「私も行きます」とまるで監視役でも買って出たかのようにミネアちゃんが
切り出した。そして、尋常じゃない妹の雰囲気を察してか、マーニャちゃんまでもがついてきた。
 ついてきたとはいっても、もともとコーミズ村は二人の故郷だからおかしな話ではないんだけれど、
まだミネアちゃんは私のことを信頼してはいないようだった。黄金の腕輪は相変わらず静かだ。
 コーミズ村で、錬金術師・エドガンのことを耳にする。錬金術という言葉があの小さな村で聞けたこと、
そして、そのエドガン氏がマーニャちゃんとミネアちゃんの父親で、すでに殺されていると聞いて、
驚いたあとに意気消沈して早々にこの大陸を出ようとした矢先。
 エドガン氏の弟子であったオーリンさんが、西の洞窟に身を潜めていると聞いた。もしかしたら、
高名な錬金術師の弟子であるその人から、詳しい話が聞けるかもしれないと目論んだ。
洞窟の最深部に身を潜め、怪我を癒していた彼と同行し、今に至る。
 モンバーバラ近辺からコーミズ付近の魔物は雑魚ばっかりだったから、今のところ連続魔法を放つことはない。
ハバリア近辺の魔物は強いことがわかっているから一時はどうなるかとも思ったけど、オーリンさんと二人で
肉弾戦に持ち込めば、後ろの姉妹のサポートもあって比較的ラクに切り抜けることができている。
 「エドガン様……お父上も無念でしょう。不足する物資を錬金術で生み出し、貧しい人々を少しでも豊かに
しようとお考えだった研究で、あのようなものを見つけ出してしまって。……私は、バルザックの奴を許せません」
 ハバリアの町のゲートをくぐったとき、潮の匂いと共に苦い声でオーリンさんは呟いた。
 「あのようなもの?」
「進化の秘法です」
「……なんだか仰々しいというか、なんとやらですね」
 ポーカーフェイスを取り繕うのが得意なことに対して自分に感謝した。元々表情がないタイプだからかもしれないけど、とにかく、だ。
 進化。ブライ様とトルネコさんが口を揃えて言っていた、恐るべき道。
 魔法の力がある物体と、進化の辿る道。二つが誤った方向へと交われば、影響を受けた者に恐ろしい結果をもたらすもの。
 ひゅう、と風が吹いたように左腕が冷たくなる。二の腕や背中にぞっと鳥肌が立つのを感じながら、
私は三人と一緒に何の違和感もなく再び戻ってきたハバリアの町中を歩いていく。

54 :進化の秘法 1 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:16:46 ID:IjeyjFvM0
 「父さんはね、世界で一番すばらしい力を持っていた錬金術師だったのよ」
 「鉄の扇」に油を塗って艶を出す作業をしながら、マーニャちゃんはふと呟くように言った。
ハバリアで買い物を終えた私たちは宿に二つの部屋を取り、女三人とオーリンさんに分かれてそれぞれが思い思いに休んでいる。
トイレの個室で、コートの下に着ていたシャツを半袖から新しく買ってきた長袖に替えた。色は黒。これで腕輪は完全に隠れる。
 理由はわからないけれども、どうやら黄金の腕輪はこの姉妹のことを怖がっているらしい。
 この娘たちの父親が、進化の秘法なんていう恐ろしいものを見つけた人で(それは不本意と偶然が重なった結果だけれども)、
挙句、……さっきから話を聞いてれば、彼女たちの父親が亡くなったのは殺されたからで、
その犯人は進化の秘法を独り占めするために愚かな殺害を実行した。
 「ほら、世界って広いじゃない。メイが北からこの大陸に来るまで、船で何日かかった?
……たとえばさ。ここから東にある大陸には、干ばつで作物が上手く育たなくて、お腹が空いて死んじゃう子どもが
たくさんいるのよ。あたしの踊りを見てった旅の商人が言ってたわ。『死にそうな子どものために格安で薬を売ったけど、
飲んでからちゃんと栄養がとれなくて死んでしまった』って。父さんは、錬金術で大地に力を与えて、
作物が育つようにする研究を続けてた……」
 ふうん、私の世界で言うバイオテクノロジーってやつかなぁ。生物学は専攻じゃないからよく知らないけど、
遺伝子組み換え作物だとかクローン牛だとかが色々と話題やら問題やらになってたっけ。
そうやって考えると、エドガンさんの研究は、目的は非常によろしいものだけど、結果が怖いものだ。
 「ですが、それが悲劇の始まりでした」
 口をつぐんでしまったマーニャちゃんの代わりに、ミネアちゃんが本の続きを読み聞かせるような口調で言う。
 「その研究の過程で、例の秘法が出てきちゃったわけだ」
「ええ。……父は、いつも言っていました。『草も木も花も、野菜も果物も肉も魚も、もともとはひとつの"命"なんだ』と。
父の研究は確かに、死んだ大地に活力を与えて食料生産の増加を促す目的を持っていました。
それが"命"の進化を早め、使い方をひとつ誤れば、恐ろしい生物を生み出してしまうことに気づかなかったのです。
誰が想像しましょう?農夫に愛され漁師に尊敬された錬金術師が、そんなものを見つけてしまうだなんて……」
 命の進化、か。進化なら今ここにいる人間だって、それなりの進化を経てこの形になってる。
アウストラロピテクスとか、クロマニョン人とか、そういう類人猿だかなんだかの類を辿って、人間は生きている。
 もしも、そういう進化がとんでもないスピードで早まったら、いったいどんな凄まじいもんが生まれるんだろう。
原始人だの類人猿だのの外見と今の私たち人間の外見は、何億何十億という時を経て進化して、あからさまに違う。
これだけいろんな人が恐れる「命の進化」を辿るってなら、……進化の秘法で生まれるのはたいそう恐ろしいバケモノに違いない。
 「進化の秘法って、その秘密の方法だけで実行できるものなの?何かしら特定の条件が必要なら……」
「ええ。まだ、間に合うはずなんです」

55 :進化の秘法 2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:17:33 ID:IjeyjFvM0
 絡み合わせた指をぎしぎしと握り締めるミネアちゃんを見て、マーニャちゃんは寝そべっていたベッドから降りる。
そっと妹の肩を抱き、真剣な眼差しで見つめ合っている。強い誓いを秘めた瞳を見たら、また左腕が冷たくなった。
 「進化の秘法には、あるものが必要です。それがない進化は完全なものではありません」
「この大陸にはなかったの。オーリンがこの大陸中探し回っても見つからなかった。
どこにあるのかは知らないけど、他の誰かが見つけちゃう前にあたしたちが見つけてぶっ壊さないと」
 ……なんとなく、見当はついた。ついたけど、ついたからって私にどうしろっていうの。
 「黄金の腕輪って言ってね。見た目はただの金のブレスレットよ。でもその中に秘められた魔力は普通じゃない。
黄金の腕輪の魔力は、父さんの見つけてしまった進化の秘法に嫌んなるぐらいぴったりの性質なんだって。
……ねえ、メイは何か知ってることある?メイのいた大陸に、黄金の腕輪の話って伝わってなかった?」
 痛い痛い痛い痛いって。叫びだしそうなぐらい痛いっての。
 ミネアちゃんの口から「黄金の腕輪」という単語が出てきた瞬間、左腕がもげそうなほど痛い。
 そうか。だからか。私が腕輪のことを言わなかったとしても、もしなんらかの形で見つかってしまったら、
きっとこいつはオーリンさんに捻じ曲げられ、ミネアちゃんのバギで切りきざまれ、マーニャちゃんのイオで粉々にされる。
黄金の腕輪は進化の秘法にもっとも近いこの娘たちを怖がって、冷えたりいらだったりを繰り返してたんだ。
 ……だけど。
 私には何も感じないんだってば。この腕輪がどれだけ恐ろしいものが聴いた話でしか知らないけど、
そこまで邪険にする必要がどこにあるんだろう。もしもこの腕輪が、意志を持ち、自分の力を理解した上で
力を貸してくれているなら、進化の秘法なんかには使われたくないと思ってるはずでしょ?
 きっと、この腕輪はあの洞窟で眠っていたかったんだ。なのに、欲にまみれた奴が腕輪を利用したがって、
たくさんの殺し合いが起きてたくさんの血が流れたんだ。フレノールの南の洞窟に黄金の腕輪が封印されていた理由は、
こいつをめぐっての争いが絶えなかったからだと町の人が言っていた。
 わかった。わかったよ。守ってあげる。元の世界へ戻る方法がわかったら、あなたは私の腕を解放してくれるんだろうから、
ちゃんともとあった場所に戻してあげる。きれいな箱に入れて、頑丈な鍵をかけて、土の中深いところまで埋めてあげる。
そしたら、その魔力で大陸の土を豊かにして、たくさんの食物を育てなよ。おいしいものを食べて力をつけた戦士に
船を守らせて、育てた食物を輸出させればいい。ここから東の大陸の国にいる子どもたちに、お腹いっぱいご飯を食べさせてあげて。
 「んー……残念だけど、なんにも知らないや。ごめんね」言うと、痛みは嘘のように消えていく。
「……そう……ですか……」
 端切れの悪いミネアちゃんの声を最後に、陰鬱な話題に終止符を打ったのはマーニャちゃんだった。
 「さ、こんな話はおわりおわり!さぁて、ちょっと酒場に行ってくるわ!あんたたちはしっかり寝てるのよ〜」
 怒って引き止めるミネアちゃんの声も虚しく、軽いステップでマーニャちゃんは酒場に行ってしまった。
苦笑しながらベッドに入ってミネアちゃんに「おやすみ」を言って、眠りについた。

 ―――深い眠りが覚めたのは、パン! と何かが弾けるような音と衝撃のせいだった。

56 :進化の秘法3 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:18:19 ID:IjeyjFvM0
 左腕が痛い。この腕そのうち千切れ飛ぶんじゃないの? 一日のうちに何度も味わわされた痛みにため息が出そうだ。
 「うっ……うぅ……」
 魔物の襲来かと思ったけど、あたりにそんな気配はしない。酔ったマーニャちゃんがぶつかってきたのかとも思ったけど、
彼女はまだ帰ってない。何かと思って起き上がってみると、床に上に投げ出されたミネアちゃんがいる。
 「なっ……!?ちょっと、ミネアちゃん大丈夫!?」
「こ、来ないで!」
 あわてて駆け寄ろうとした私を見る目は、常人に見えないものを見るミネアちゃんが恐ろしいものを見るような目。
突如された拒絶に、全身の毛穴に針でも刺されたような悪寒が走る。
 「わたし……今、あなたの左腕に触りました。そうしたら、あなたの袖の下で何かが光って弾き飛ばされたんです。
服の袖の下に、見てはいけないものが見える。光と闇、炎と水、男と女。そのどれでもない両極端があなたの左腕に見えるんです!」
 自ら壁際に追い詰められてぶるぶる震えているミネアちゃんから後ずさるように離れて、
同じように震えているように冷たい黄金の腕輪を袖の上から撫でる。このバカ。触られてビビッてこんなことを。
 「私は、ミネアちゃんたちの味方なんだと思う。マーニャちゃんとあなたに出会った瞬間、この娘たちと
一緒に行かなきゃいけないって思った。そういうの、わかるんだ。でも、私が感じたあなた達の力は鋭すぎた。
……今度は私が聞く番。あなた達が旅をしているのは、進化の秘法をこの世から葬り去るためだけじゃないんでしょ?
本当は、違う目的があるんでしょ?」
 でなけりゃ、出会った瞬間に膝から崩れ落ちるほどの例の感覚は来ないと思うんだ。
マーニャちゃんにあった、腹の底にわだかまる黒い覚悟が、ミネアちゃんにはさらに強く感じられる。
 「……力になりたい。私は今までもそうしてきた。これからもそれは、変わらない」
 今まで、というのが、彼女たちに出会ってからなのか、それともライアンさんと行動を共にしてきてからなのか、
この際もうどっちだっていい。
 私が理解できてること、思うことは、こんな若い娘たちがあんなドス黒い覚悟を決めるのは良くないってぐらいだ。
 「父の、仇、なんです」
 搾り出したようなミネアちゃんの声に悲しみが湧いてくるのは、哀れんでいるからじゃない。
何かに導かれるように今この場へ、この世界に招かれた私が、最低限守らなくちゃいけないものを見つけたからなんだ。




Lv.13 メイ
HP:47/58 MP:32/56
E ホーリーランス
E 鉄の盾
E 革のコート(毛皮のコートの守備力-2)
E −
E サングラス・黄金の腕輪

戦闘呪文:ホイミ・スカラ・メラ・ヒャド
戦闘特技:なぎ払い・連続魔法(黄金の腕輪の効果)
所持金:615G(途中、薬草をいくつか買い足しています)

57 :登場人物紹介 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:21:40 ID:IjeyjFvM0
現時点で登場したキャラクターの説明です。第四章のキャラクターについては、五章に入ってからまた。

 第一章

・ライアン
 バトランドの王宮戦士。
 この物語の上で王宮戦士とは、城を守る「静」の近衛兵とは違い、
 調査や魔物との戦闘など「動」の役目を果たす国王直属の騎士のことを指す。
 イムルの神隠し事件で世界に対する不安の元凶を探すため、事件解決後に伝説の勇者を探す旅に出た。
 年齢はメイと出会った時点で三十七歳。

・ホイミン
 見た目は普通のホイミスライムだが、高い知能を持ち人語を話す。
 スライム族は戦闘能力の低さから魔族・人間など種族を問わず友好的な面を持っている。
 中には知能指数の高さと人語の発声が可能な声帯を持つスライムもいて、言語によるコミュニケーションが可能な者もいる。
 ホイミンはまさしくこういったスライムにあたる。いつか人間になるのが夢。年齢はおそらく十歳前後。

 第二章

・アリーナ
 サントハイム王女。
 魔力を受ける才がなく魔法が使えない代わりに、その細身からは信じられないような力と素早さを誇る。
 相手の間合いに入り込み拳打や蹴りを叩き込む武道家のような戦法が得意なおてんば姫。
 一見すると戦いや腕試しのことしか考えていないように見えるが、他者の考えを察する鋭さも垣間見える。
 ただ、クリフトのことをどう思っているかは定かではない。
 年齢はメイと出会った時点で十五歳。

・クリフト
 サントハイム王国の神官。
 この物語において聖職者の地位は、上から神官・神父・牧師と位置づけられている。
 若くして優秀な神学の成績を収め、剣にも精通する模範青年のように見えるが、
 神に仕える身でありながら君主の一人であるアリーナに恋情を抱くなど、煩悩を捨て去れずにいる面も。
 年齢はメイと出会った時点で十六歳。

・ブライ
 サントハイム王国の魔法使い。
 幼い頃から城仕えの魔法使いとなるべく訓練と勉学に励み、今や国王や大臣も一目置くほどの老魔道士である。
 勤勉と実直を尊びそれにしか目を向けなかったため、妻はいないらしい。
 その分の時間や労力をアリーナの教育に当てているが、当のアリーナは少し迷惑そうである。
 年齢はメイと出会った時点で五十七歳。

58 :登場人物紹介 2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:22:18 ID:IjeyjFvM0
 第三章

・トルネコ
 まん丸お腹と口ひげがチャームポイント?の商人。
 下積みを長く重ね経験を積むことが大成の一歩と考え、武器屋の親方の元で仕事をし家族を養ってきた。
 世界が不穏な動きを始めている今こそ、鍛えぬいた商いの実力を発揮する時であると一念発起。
 エンドールに店を持つが、その後も商売の腕を駆使しながら伝説の勇者と天空の剣を探すため旅を続けている。
 年齢はメイと出会った時点で三十七歳。ライアンと同い年である。


 異世界(メイの言う『元の世界』)

・メイ
 ハードロックやヘヴィメタルを中心に活動するバンド「ブラックアウト」のバッキングギター。
 元々はボーカリストだったが、バンドリーダーである佐呂間博成の意向でギタリストに転向させられる。
 ギターの腕は本人いわく「ストレスで血ヘド吐くほど練習した」成果か、アマチュアの中ではかなり上手い。
 黄金の腕輪を装備しても禍々しさは感じず、腕輪との意思疎通めいたやりとりをする。
 腕輪の力を借り、魔力のタメなしに連続して魔法を放つことが可能である。
 過去に色々とあったらしく、時折見る夢で嫌な目覚め方をすることも。
 アンプ運びで鍛えた筋肉はなかなかのもので、金属製の武器でもそれなりに使いこなす。
 背が高く、胸が大きい。年齢は本人がなかなか言いたがらない。ただ「おばさん」と言うほどの歳ではない。

・木暮貴志(こぐれ たかし)
 「ブラックアウト」のボーカリストだった青年。
 ミーハーな部分があり、アマチュアバンドの中で神懸り的な存在である佐呂間のバンドで歌いたいと本人に直訴。
 その後まもなく「ブラックアウト」のボーカリストになった。
 それ以前は彼が弾く下手糞なギター以外の音を打ち込みで流し、ライブに出ていた。
 それを揶揄され、「独り舞台」を意味するあだ名がついている。
 自身のせいでボーカルの座を下ろされたメイに対して罪悪感はあるが、後悔はしていないようだった。
 バンド加入から四年後、交通事故で死亡する。享年十九歳。

・佐呂間博成(さろま ひろなり)
 「ブラックアウト」のリーダー兼ベーシスト。
 メイいわく「完璧に作ったような美しい顔(が嫌い)」で、長く伸ばした髪を銀色に染めている。
 昔から顔のいい奴は性格が最悪だという話はあるが、佐呂間はまさに典型。
 傍らに人無しがごとしといった態度でバンドを統括している。木暮をボーカルに迎えた張本人。
 メイはそんな彼のことを、影でなかなかひどいあだ名で呼んでいる。
 年齢はメイよりもひとつ上。

59 : ◆fzAHzgUpjU :2009/02/04(水) 22:35:49 ID:XbCyppGlO
>>43
>>44のサイト以外のところでも探しましたが、佐呂間という苗字は実際にはないようです。
佐呂間について詳しいことは後ほど明らかにします。
彼の名前については今はここまでとさせて下さい。
44さんありがとうございました。

各キャラクターについては>>57-58のような感じです。

60 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/04(水) 23:01:33 ID:BQyiSitG0
乙!
点と点が繋がって線になってきてどんどん楽しみになってきた

しかしブライが57歳だと…!?

61 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/05(木) 03:15:33 ID:EBpmWtt50
うおおお、めちゃくちゃおもしろい。
黄金の腕環に対するメイさんの心意気、惚れた。
そしてミネアちゃん・・・。どうなってしまうのだろう・・・。

悪の根源だと思っていたエビルプリーストもそんな事情があったとは・・・。

>>59
むむむ・・・。佐呂間さんの名前にも何か意味があったとですか。
変わった苗字だなとか、魔術師っぽい名前だなとも思いましたが、そこまで深く考えませんでした。
今後の展開を楽しみにしてます@^^@

ところで、連投規制ってなくなったんでしょうか(59だけはIDかわってますが)。
それとも黄金の腕環が力を貸してくれて連続で投稿できるように進化したとか?

62 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/05(木) 16:19:06 ID:nc9SJwbQ0


63 :43:2009/02/05(木) 21:01:24 ID:WqKgmC9p0
苗字(佐呂間姓)についての報告をくださった44さんと作者さんありがとうございます。

ブライが57歳か・・・
欧米系の人は日本人が想像するより老けて見えることが時々あるけれど、
ブライもその口なんでしょうか?

64 : ◆fzAHzgUpjU :2009/02/05(木) 22:26:42 ID:HknrjyxI0
ブライ「どうやら作者のアホがわしの歳を書き間違えておるようじゃの」

メイ「ブライ様の年齢は正しくは『67歳』です。申し訳ございませんでした。
   もう。カッコつけて漢数字なんか使ってるから頭の中でこんがらがるのに……」

ブライ「ただ、この世界の平均寿命は一般男子で65歳、女子で68歳程度となっておる。
    そういった意味では、わしが57歳でもおかしくはないやもしれんの」

メイ「(;´゚◇゚) ………」

ブライ「なんじゃそのバケモノを見るような目は。わしのような城仕えの人間は、
    それなりに給料ももらっとるからの。庶民よりは長生きできるようないい生活を遅れているやもしれん」

メイ「民の血税で、そのような鉄球魔人も恐れおののくほどの長寿を誇っていらっしゃるのですね」

ブライ「服の中にヒャドを唱えられたいのか?」

メイ「ごめんなさい」



マーニャ「それと、>>55の11行目『ミネアちゃんの口から「黄金の腕輪」という単語が出てきた瞬間』ってあるけど」

ミネア「黄金の腕輪のことを最初に言い出したのは姉さんです。『ミネア』から『マーニャ』に置き換えてお読みください」

マーニャ「あと、>>56の4行目の後半『床「に」上に投げ出されたミネアちゃんがいる』って、助詞がおかしいわよね」

ミネア「床『の』上に投げ出されたんです、私は」

マーニャ「読んでくれてる皆さん、ホンットにごめんなさいね。それにしても、なんで今回こんなに誤字が多いのかしら?」

ミネア「作者がorzしながら就職活動中だからでしょ。作者自身、誤字脱字はチェックしてから投下していますが、
    時折このような間違いがあると思います。ご迷惑をおかけしますが、あたたかく見守ってやってください」


ブライの年齢について戸惑わせてしまってすいません。
以後、誤字脱字や設定の齟齬等はなるべく出さないように気をつけます。

65 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/05(木) 22:52:42 ID:EBpmWtt50
伏線の組み方とか、構成とか、もしかしたらプロかセミプロかと思っていましたが・・・。なんと、就職活動中とは。
就職活動ふぁいとですよ〜^^

66 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/06(金) 01:08:18 ID:u5cczzJs0
面白い〜〜!!!!!!!
導かれし者たちとこれからどう関わっていくのか凄く楽しみだ

メイのキャラクターいいですね!

67 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/06(金) 23:19:31 ID:Zi8JcsHh0
お絵描き掲示板のメイさんもかわいい(かっこいい)ですね。
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

68 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/07(土) 09:41:19 ID:HBkrNdacO
メイさん乙。
文章が上手くて引き寄せられる。これからいよいよ五章だね、楽しみだ。
就活中か、今なかなか決まらないよな。

69 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/07(土) 16:33:37 ID:YTQevLo9O
乙っす〜
黄金の腕輪かわいいなw

三茶の某ライブハウスの楽屋に「バンドマンよ、血ヘド吐くまで練習しろ!」的な事が書いて張ってあったのを思い出した

70 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/11(水) 03:06:38 ID:IBTOCis30
みんな乙保守

71 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 14:53:32 ID:Xq+jpBf4O
血ヘドぬるぽ

72 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/12(木) 18:08:09 ID:8Bk7oVbh0
がっ!

73 :ハバリア3 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:01:45 ID:oxPI+RR60
>>47-56の続き

 あの〜……この旅って急ぐものじゃなかったっけ?
 「ミ〜ネ〜ア〜……二日酔いに利く酒精解毒の薬草買ってきて〜……」
 ほぼ裸に近い格好でマーニャちゃんはベッドにだらーんと寝そべっている。二日酔いらしい。
そりゃ、あの時間に酒場に行けば飲んだ量にもよるけど朝までアルコールは残るでしょ〜……も〜……。
私は別にいいよ? 「錬金術と黄金の腕輪に関する情報を得る」って自分の用事はもう済んでるし。
でもあなた達はなんか色々とやるべきことがあったような気がするのですよおばさんは。
 「もう!姉さんのバカ!」
「あっ、ミネアお嬢さん!」
 ぷんすか怒って宿の部屋を出て行ってしまうミネアちゃんだけど、その手にはしっかりとゴールド銅貨が入った
革袋が握られている。なんだかんだ言って二日酔いに効く薬草買いに道具屋まで行くんだろうなぁ。
 ミネアちゃんを追って、様子を見に来ていたオーリンさんも行ってしまった。なんだかんだ思いつつも
冷たい水で絞ったタオルをマーニャちゃんの額に当ててあげたり飲み水をコップに注いでいる私は、マーニャちゃんと置いてきぼり。
 足音が聞こえなくなった。窓の外には、鮮やかなピンクの髪を揺らしながらどすどす歩いていくミネアちゃんと、
追いかけるオーリンさんの背中が見える。
 「……よし、あの二人はいなくなったわね」
「みゃあ!ちょっとマーニャちゃん!そんな勢いよく起き上がって大丈夫なの!?頭痛は!?吐き気は!?」
「『みゃあ!』って何語よ『みゃあ!』って……。あのねぇ、このマーニャ様がワインの二本や三本で二日酔いになるわけないでしょ?」
 いやいやいや、十分に二日目も酔ってそうな量ですよおねーさん。
 「昔っからそうなのよ。あたしがなんかやらかすと、ミネアが怒って飛び出してっちゃうの。
で、それをオーリンが追っかけて慰めるわけ。ま、あのコも優しいから、あたしの言葉を信じて二日酔いの薬草を
買いに行ったんでしょうけどね」
 薄布ごしにたわわな曲線をしならせながら、マーニャちゃんはベッドヘッドに背中を預けて座り、私をまっすぐに見つめる。
 「メイには話しておかなきゃなんないことがあるのよ。実はね、私たちが追っているのは進化の秘法だけじゃないの。
父さんを殺し、進化の秘法を己の私利私欲のために持ち去ったある男を捜して、殺す。それがこの旅の本当の目的よ」
 昨夜、ミネアちゃんが悲壮感に満ちた顔と声で言った「父の仇」という言葉が脳裏に蘇る。
あの話をしたあと、私は笑いながらミネアちゃんの頭を右手で撫でて、もう一度「おやすみ」を言って眠った。
今朝、彼女は何事もなかったかのようにいつもどおり私に接してくれた。好かれてはいないかもしれないけど、
信じてはもらえてると思ってもいいよね。
 「……知ってる。昨夜マーニャちゃんが酒場に行ったあと、ミネアちゃんから聞いた。……でも、本当にいいの?
いくらなんでも、人殺ししたら罪になるんじゃない?」
「はぁ?なるわけないでしょ。正当な仇討ちは武力を持って実行してもいいって、世界共通の法律じゃない。
それとも……メイは仇討ちが禁止されてる国にでもいたのかな?そんなことないわよねぇ。だって、世界共通の法律だもん」
 内面を見透かすような黒水晶の瞳が、賢そうにちらりと光る。
きれいな三日月をなした唇を崩さないマーニャちゃんを見て、私は仕方なく元の世界からこの世界に来た事情を話した。

74 :ハバリア4 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:02:27 ID:oxPI+RR60

 「……っていうわけで、私は錬金術だの魔力をこめた道具のことだのを調べまわってるの。
もちろん、私のいた世界にはどんな理由があろうとも仇討ちを実行していいなんて法律はなかったよ」
 こんなこと、普通の人に言っても信じないだろう。でも、マーニャちゃんはにこにこ笑ったままで言ってのけた。
 「すっごいじゃないの。何にも知らない世界で、なんだかんだここまでやってきたんでしょう?
そのギター一本でさ。常人の神経だったらとっくにおかしくなってるわよ。メイは偉いね〜」
 あははは、とからから笑いながら私の頭をぐしゃぐしゃに撫でるマーニャちゃんは、私のことを妹みたいに見ているんだろう。
昨夜は私がミネアちゃんに同じことをした。なんだろう、女の子同士って、すごくいい。嬉しいっていうか、楽しいっていうか。
 「まあ……ね。メイのいた世界は仇討ちが禁止されてるなら、あたしたちの考えに納得いかないのも無理ないわ。
理解を強制させようとなんて思っちゃいないもの。でも、誰にだって殺したいほど憎い相手はいると思う。
メイだっているでしょ?そういう奴」
 何もかもを悟っている口ぶりだった。きっと、マーニャちゃんはミネアちゃんほど仇討ちに対して熱くなってない。
……いや、熱くなっていないっていうのは語弊がある。殺したって、お父さんが生き返るわけじゃない。
進化の秘法が消え去るわけでもない。悪しき秘法を葬り去れば、その仇の男だってただの人間だもん。
ミネアちゃんと違って、それをわかっているんだ。やっぱり、お姉さんだね。
 「殺したいほど憎い人、か……。……うん……確かに……ね……。いるかもしれない……」
 言葉が終わりに近づくにつれて歯切れが悪くなるのは、自分の中で処理しきれない怒りがあることを認めたくない証拠だろう。
殺意を抱いたところで、それが報われるわけでもない。殺したって仕方ないのに死ねばいいとすら思う。
人には優しく。自分にも優しく。そうやって生きることで、胸中のドス黒いものを封じ込めてきたから。
 「ふーん、いるんだ。魔物だって殺さないような顔して」
「な、何それー!さっきは『メイにもそういう奴いるでしょ』なんて言っておきながらぁ!」
「あははは!冗談よ、冗談。いいじゃない、憎んだり憎まれたり、愛したり愛されたりするほうが人間らしいもの。
あんた、最初に会ったころよりずっといい女に見えるよ。
初めて見たときなんて、当たり障りの無い生き方しようとしてるのが丸見えで、それが逆にムカついたもの」
 あー……そういう考えの人もいるだろうね。
子どものころみんなに嫌われてたから、成長するにつれて万人に好かれたい欲望が丸見えになってるわけだし。
 「ね、聞いてもいい?どんな奴なの?メイが殺したいほど憎い奴って」
「んー……?」
 苦笑を作ろうとして、頬の肉がぴくっぴくっと引きつった。この娘になら、ちょっとぐらいは話しても許されるだろうか。
「……ピンサロ野郎」
「ぴさろ野郎?」
「ピンサロ。私の世界で言う、やっすい性風俗のこと。……フルネームが『ヒロナリ・サロマ』っていう人でね。
そっから文字って私がそういうあだ名つけたの。殺したい理由は……言いたくないから言わないけど、
その人のことなら殺しても構わないだろうって考えてた時期もあった。まあ、ピサロ野郎でも間違ってはいないよ。
たまに『ン』を省略して『ピサロ』とか呼ぶこともあったし。どこのガイジンの名前だってのねーって影で馬鹿にしてた」

75 :ハバリア5 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:02:56 ID:oxPI+RR60
 初めて、私の中の佐呂間さんに対する思いを打ち明けた。その相手が異世界の住人だってのもおかしな話だけど、
話すことによって彼を憎むことを許されたような気がした。
 ……きっと、私が佐呂間さんを憎む「原因」を教えれば、大抵の人は誰だって私の味方になってくれると思う。
 なんだかんだ言って、私は佐呂間さんのバンド活動方針には従ってきた。後付の理由だけど納得も出来ていた。
ボーカルを下ろされたことだって、話を切り出された瞬間こそ沸騰したみたいに怒ってたけど、
そのおかげで「彼」と同じステージに立つことが出来たんだもの。それに対してはいかなる不満だってもうない。
 だけど、私は佐呂間さんを許すことが出来ない。一目見れば彼だとわかる気持ち悪いぐらい綺麗な顔も、
東洋人の癖に銀色に染めても変に似合う長い髪の毛も、私を見下ろすような高い身長も、
佐呂間さんを象徴するものは何もかもが目障りで、大嫌いだ。
 「メイ。めーいっ!」
「はっ、んぁ?」
「なんなのよもー!さっきから奇声発したり魔物もびっくりな怖い顔で考えごとしてたり!」
「あ、ああ、ごめんね」
 憤慨するマーニャちゃんを笑いながらあしらって、私はなぜだか幸せな気持ちになっていた。
 アリーナちゃんたちと出会ったあの日―――フレノールの宿での目覚めは最悪な過去の夢によってもたらされた。
 小学校高学年のころ、流行りの音楽を聴かないという理由で仲間はずれにされて、それがいつのまにかイジメに発展した。
大人になったいま考えてみれば、とてつもなくしょうもない理由でイジメられてたってわかるけど、
愛されたがりで仲間意識の強い子どもたちにとっては、自分たち大多数の人間と違う相手は異質以外のなんでもない。
 違うことは罪であると、宗派の分かれたキリスト教徒は戦いを繰り返していた時代があった。
宗教―――文化によっては自らの存在意義を左右するものですら、「違う」というたったそれだけの理由で悲惨な争いが起きる。
それがまだ分別もつかない子どもなら、差異を排除しようとするのはなおさらだ。
 イジメは中学に入ってからも続いた。男子に生理用ナプキン振り回されたり、
女の子からは女子トイレの個室に閉じ込められて上から水ぶっかけられたり。偏差値の低い学校だったから、先生も止めてくれなかった。
 高校は地元で一番偏差値の高いところに入った。同じ中学の出身者は誰もいなかった。
これ幸いと軽音楽部に入って、佐呂間さんと出会った。私が一年生で、佐呂間さんが二年生。あの当時は「先輩」って呼んでたっけ。
 大学受験に失敗して国立をあきらめた私と、私が志望したその国立大学に入学していた佐呂間さんとは、
違う大学にいながらも一緒にバンドは続けてて、それで……「彼」と出会って。
 思えば、今まで私の周りには他人という存在がほとんどいなかった。気心知れた大学で出来た友達数人と、バンドのメンバーのみ。
この世界に来て良かったと思うのは、私が「異」世界の人間だと打ち明けてもあたたかく受け入れてくれる人と出会えたこと。
それが一番。女の子の友達と普通に会話して笑いあうことができるだなんて、あの頃の私なら考えられなかったもの。
 いろいろ考えをめぐらせていた私を疑問符をいくつも浮かべた顔で見つめるマーニャちゃんに、
理由もいわずただニヤニヤ笑いかけていたら、ミネアちゃんたちがドアを開ける音に驚いて椅子から転げ落ちた。
部屋には四つの幸せな笑い声がじんわりと心地よく充満している。


76 :アッテムト ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:03:25 ID:oxPI+RR60
 ああ、絶望の町だ。
 たちこめる死の臭いと鼻腔や頭にツンとくる強烈なガスの臭いが立ち込める鉱山都市、アッテムト。
ローカルニュース番組で財政破綻した町として取り上げられた夕張市と、状況は同じなのかもしれない。
違うのはただガスが出ているだけだ。数百年後……あるいは数十年後の私の世界も、こうなっているんだろうか。
 吹き出る紫色の毒沼、転がって腐ってる死体、土気色の顔で咳き込む数少ない住人。
何もかもが死を連想するこの町は、むかし金が採掘されると随分賑わっていたらしかった。
今はそんな華やかな過去など微塵も見せず、ただただ朽ちきるのを待つばかりだ。
 私たちがこんなところにいるのは、キングレオという国の臆病大臣をおびき出すために、轟音を出す火薬を手に入れるためだ。
なんでも、キングレオの大臣はえっらい臆病な人で、ちょっと大きな音が出たらすぐさま王様のところへ飛んでいくんだって。
玉座の間が外観からはわからないキングレオ城に侵入し、火薬で轟音を出して大臣を玉座の間へ行かせる。
その後を追っていけば、諸悪の根源であるキングレオ王の居場所がわかるだろうという魂胆だ。
 なぜキングレオ王が諸悪の根源であるか。それは、彼女たちの父の仇がキングレオ王の元にいるからだ。
どういう経緯でそうなったかは聞かない。彼女たちの追う男は、国家権力をバックにつけて、
じっくりと進化の秘法をその身に染み渡らせているからだろう。
 「ミネア。あんた洞窟好きだって言ってたわよね。……どうなのよ、この洞窟はさ」
「姉さん、いくらなんでも怒るわよ。……不謹慎だわ」
 不謹慎だとは言われていても、マーニャちゃんの顔は真剣で、危機感と焦燥感に満ち溢れている。
冷たい汗が流れる褐色の肌を何度も手で擦ってから、身軽なマーニャちゃんから坑道の中へ降りていく。
私たちもそれに続き、体をくねらせながら入り込んだ。
 坑道内は町中よりもずっと濃密なガスが充満していた。呼吸のたび胸が焼けるように苦しくなる。
 「ここは以前の栄えていたアッテムト鉱山とは違います。ガスが出たのと同時に、魔物も出現するそうです。
皆さん、気をつけて行きましょう」
 オーリンさんの言葉に、私は深く頷きながらホーリーランスの柄を握り締めた。
魔力めいたものや黄金の腕輪の禍々しさは未だにわからないけれども、生物がうごめく気配なら感じ取れる。
 たくさんいる。今まで殺りあったことのない魔物も、わんさかいる。たちこめる殺気もガスの臭気も、
ただ暗くて冷たい死の暗示でしかない。
 「……さっそくお出ましってわけ?もう。やんなっちゃうわ」
 頭が三つある気色悪い花に、真っ赤なサンショウウオの群れ。
火の玉を吐き散らしながら襲い掛かってくるサンショウウオを踏みつけて、深く深く槍を突き刺した。
体液にブーツが濡れて、嫌な臭いが鼻につく。
 マーニャちゃんがギラの火炎で気色悪い花たちを焼き払い、ミネアちゃんがホーリーランスで、オーリンさんが鉄の槍で止めを刺す。
こうやって頭の中で行動を整理すればなんてことはないように感じられる。
でも、戦闘はやたらと体力も魔力も消費するし、本当なら避けて通りたい道だ。
 でも、そんなことができないのがこのアッテムト鉱山で、この大陸なんだ。
 「この調子で出てこられたら、私たちの体力が削られるばかりね。……不本意ですけど、息も足音も潜めて進みましょう」
 彼女たちには時間なんてないはずだった。苛立ちがガスの密度を高めていく。

77 :アッテムト2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:06:05 ID:oxPI+RR60
 土を削って歪な段差をつけただけの階段ともいえない階段を下りて、地下に向かう。
 魔物たちは人間の侵入を拒むかのように襲い掛かってくるし、歩きにくいでこぼこ道にすら体力を奪われる。
ガスに引火する可能性があるから、メラが使えないのは痛かった。威力はギラやヒャドよりも劣るけど、
消費魔力の少ないメラは敵の動きを止めるのに適している魔法だからだ。広範囲で低温の炎を出すギラとは違い、
メラは小さな一点を高温の火の玉で攻撃する魔法だから、引火してしまう温度にもしもメラの火の玉で達してしまったら、
こんな狭くて薄暗くて息苦しい場所で生き埋めになる。冗談じゃない。
 「はあ、はあ……。お嬢さん方、大丈夫ですか?メイさんも顔色が優れませんが……」
 こんなときでも他人を気遣うオーリンさんだけど、彼が一番いろいろなものを消耗しているはずだ。
姉妹を守りながら、私の前を歩いている。隊列で言うと、前衛がオーリンさんと私、後衛が彼女たちだ。
肉弾戦が得意な人間が私だけじゃないことに感謝しつつも、こっちだってオーリンさんが心配だよ。
 「私は平気です。目的のものを見つけたら、すぐにでも出て行きたいですけどね」
 平気とは言っても、正直なところ限界は近い。マーニャちゃんはさっきから、ガスのせいで鼻がつまって口呼吸だ。
埃っぽく乾燥しているこの空間で、喉の渇きは尋常じゃないだろう。でも、水を飲みすぎると疲労が増すからと
ほとんど革袋の中の飲み水は口にしていない。ミネアちゃんはというと、無造作に埋められて柱の材料に使って
あまった木材をいい加減に突き立ててあるだけの墓標に精神力を消耗しきっていた。土の中から、肉が溶けて
骨がぽかんと浮き出ている手なんかが生えてるから、卒倒しそうな気持ちも痛いほどわかる。
 「難儀なところに当たっちゃったモンね。か弱い女の子が来るところじゃないわよ、こんなとこ」
 嘲笑を浮かべ、マーニャちゃんは妹の頬についた泥を拭っている。そうされて、自分もしっかり気を持たなくてはと
意志を取り戻すミネアちゃんの瞳は、まだ死んでない。
 「もう少しです。私たちの捜し求めるものは、この奥にあると地形に出ています」
 ……すごいなぁ。岩の崩れ具合でも占いができるんだ。万物は世界であり、世界は我々であり、
我々は万物の一部であるとでも言いたげな方法だ。
 ぎゅり、ぎゅり、ぎゅり……
 首筋や肩にぞわっと鳥肌が立つような嫌な音が、どこからともなく聞こえてくる。なんの音だろう。
船の碇が下ろされたときの音にも似てるけど、もっとこう、それよりもずっと嫌な感じの音だ。
 「……っ!姉さん!危ない!」
 いち早く危険を察知したのはやっぱりミネアちゃんで、マーニャちゃんの背後を睨みながら叫んだ。
同時に、マーニャちゃんの後ろの壁が崩れて、……いや、爆発するように砕いた岩壁の大きな破片を吹き飛ばした。
身軽な彼女だから致命傷は免れた。踊るようにひらりと身をかわして、羽のようにふわりと飛びのき、地に下りる。
でも、不意を突かれた攻撃を完全に交わすことができなかった。
 「あぁッ……!」
 顔をゆがめるマーニャちゃんの左足に、サッカーボール大の岩が当たって血を噴出す。
 武器を構えて前を向くと、そこには鈍く銀色に光る大きなサソリが一匹いた。
 「メタルスコーピオン……!」オーリンさんが冷たい唾を飲み込むように呻いた。

78 :アッテムト3 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:06:34 ID:oxPI+RR60
 「このぉ!よくも姉さんを!」
 ミネアちゃんのホーリーランスが銀色のサソリ、メタルスコーピオンに襲い掛かる。
鋭い切っ先は的の大きいサソリの中心にがぁんと轟音を立てて当たったはずなのに、表面に傷が少しついただけだ。
なんて固さ。ミネアちゃんだって、力は弱いほうじゃないのに。
 「みなさん、気をつけてください!こいつは固くて重い装甲を持っていますが、信じられない速さで動きます!」
「何食べてこんなに育ったのこのサソリは!メタルでスコーピオンだからちょっとカッコイイと思ったのに!」
 ずがぁん! ととんでもない音と破壊力で地面が削られる。先の尖った尻尾を振り回しながら暴れる
メタルスコーピオンに、私は今までの戦闘では感じたことがない恐怖感を湧き上がらせた。
サソリの関節が動くたびに例の嫌な音が耳について、鳥肌を立てながら、とにかく尻尾から逃げる。
 「ギラ!」
 後方から飛んできた橙色の炎がメタルスコーピオンを覆い尽くした。
すごい熱量だけど、ガスに引火しない程度までちゃんと威力をコントロールしてる。彼女の魔法の才は本物だ。
 「オォォオオン!」サソリって鳴くんだーなどと頭のどこかで思いつつ、私は未だ槍を突けずにいる。
 ああもう、こんなときに背が高いのがネックになるなんて。男性にしては小さい(だけど筋肉質)オーリンさんが
メタルスコーピオンの足元をかいくぐって鉄の槍を突き刺していくのを、ただ攻撃を避けながら見てるしかできてない。
 「オーリンさん!関節を!鉄の装甲の継ぎ目を狙ってください!」
 自身の腕力じゃ武器による攻撃でダメージを与えられないと判断したミネアちゃんが、後方からホイミを唱えながら
叫ぶ。サソリの尻尾をかわしながらガンガン前に行くオーリンさんだけど、かすり傷をいくつも負っていた。
ちまちました傷が体力と気力を消耗させて集中力をそぎ落としていく。優しい癒しの光に血を止めたオーリンさんが、
サソリの脚を一本、ちぎり飛ばした。
 「アァオオオオオ!ギュゥルルルル……」
 爛々と光る充血した目がこっちをとらえている。満身創痍で喚き散らしながら私に向かって突進してくる
巨大なサソリは、はさみと尻尾を振り上げながら猛スピードで砂煙を巻き起こした。
 左右は壁、壁。逃げると言っても後ろ側にしかいけない。でも、後ろには魔法援護の二人がいる。
傷を負ったマーニャちゃんもいるし、ミネアちゃんだってこいつの攻撃を避けきれるかわからない。
 鉄の盾を構えて、受けるダメージを軽減しようとじりじり音を立てながら踏ん張る。
 金属の擦れる音、怒気を孕んだ呼吸、はさみと尻尾が鳴る音、それらと一緒に、なんだか奇妙な音が聞こえてきた。
ぱこん、ぱこん、ぱく、ぱく、って感じの音。
 サングラスをずらし、視界をクリアにして突進してくる妙な音を追いかける。見えたのは、メタルスコーピオンの
胸のあたりで開閉を繰り返す穴のような部分で、そこにはハンドボール大の肉の塊があった。
それは一定のリズムで収縮を繰り返し、呼吸のたびに外側の蓋のような金属部が開け閉めされている。
 「……心臓?」
口の中で疑問を呟いて、盾を構えるのをやめた。代わりに、ホーリーランスの切っ先がサソリの肉の塊を捉えている。

79 :アッテムト4 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:07:04 ID:oxPI+RR60
 ビリヤードの球を打つように槍を構え、腰を落とす。後ろでマーニャちゃんの怒号にも似た叫び声が聞こえた。
でも、ここでこいつをしとめないと、目的を達成する前に引き返さなきゃいけなくなる。退却なんてごめんだもの。
二度とこんなところには来たくない。誰だってそう考えてる。なら、ここで終わらせる。
 前から後ろ、背中のほうに尻尾が曲線を描きながらぎゅるんと回り込んでくる。同時に、こっちも突進した。
槍を構えたまま、開け閉めを繰り返す蓋に照準を合わせ、踏み込んだ膝を落として上半身のバネを最大限まで縮める。
 サングラスのフレームがサソリの心臓の真下に合う。あそこだ。よし……!
 「行けぇえええぇえッ!!!」
 ホーリーランスを支えるために前へ出していた左腕を引き、肩から先ごと食わせてやるかのように右腕を突き出す。
聖なる金属で作られた槍は収縮のリズムをひとつ終えた心臓を捉え、その真ん中に風穴を開けた。
 周囲すべての動きが止まる。槍を引き抜くと、先のほうは肘から先ぐらいの長さをサソリの体液で濡らしていた。
金属が擦れる音が止んで、白目をむくサソリは地に臥せった。
 「……あー……危険な賭けだった。こんなギャンブルは好きかい……?私は嫌いだけどね……」
 もうちょっとカッコイイ台詞を言いたかったけど、余裕の無い戦闘初心者が言うことなんてこんなもんだ。
 「おお!見事な突きの一閃でしたね!」
「もぉー!やめてよちょっとぉ!見てるこっちがひやひやしたじゃないの!」
「ほ……本当に!あんなの駄目ですよ!」
 オーリンさんからの賞賛とマーニャちゃんとミネアちゃんのの叱咤に情けない笑顔をこぼす。いや〜……安心した。
あそこで今のが決まらなかったらどうしようと思ったよ、ホント。
 「……ッ!!!」
 見開かれたミネアちゃんの目線の先が、気になった。ゆっくりを後ろを振り返る。お約束な展開がそこにある。
 白目をむいたままのサソリは、最期の力で坑道内の壁や天井を破壊し始めた。このまま私たち侵入者を生き埋めにするつもりだろう。
 「……冗談じゃない」
 今すぐにトドメを刺そうと槍を構えるも、自我すら失っているらしいサソリには届かない。
逃げながら見えたものは、マーニャちゃんが躊躇い、悩んでいる顔と、そのすぐ後に彼女が嫌う類のギャンブルに出た光景だった。
 イオの魔法が崩れる天井をさらに吹き飛ばす。サソリの尻尾やはさみが届かないところまで壊して、
体制を立て直してから攻撃をしようと考えたんだろう。だけど、サソリだって一筋縄には逝ってくれない。
すぐそばにいたミネアちゃんを壁ごと破壊しようと、暴走する巨大なネズミ花火みたいに転がりまわった。
 危ない。
 ただ、それだけを考えた。突き飛ばしたミネアちゃんがオーリンさんによって受け止められるのを見てから、
シャッターでも下ろしたかのように見える世界が暗くなる。同時に、背中からバキッと言う音が響いてきた。
体の中に直接手を入れたような痛みで、声すら出せない。腰の辺りがぬるぬると濡れてその場に倒れこむ。
少年漫画に出てくるように様になる庇い方なんて出来やしなかった。理想は額からつーっと一筋だけ血を流して、
「大丈夫?」なんて微笑んでるような光景だったのに。庇って、背骨折れて、しかも生き埋めって。
 崩れた壁の向こう側に、何か得体の知れない建造物が見える。なんだろうあれ。なんて思ってると、
黄金の腕輪が暴れだす。腕を締め付けたり緩めたりを繰り返した。見るなとでも、言い、た、

80 :アッテムト5 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:08:28 ID:oxPI+RR60
 ―――……ぼんやり、と見えてきたのは、泣きながら私の手を握っているミネアちゃんだった。
暗い部屋の中は、坑道じゃないみたい。ガスもだいぶ薄かった。右のほうでゆらゆらとランプの火が光っている。
 「め、めい、さん……」
 しゃくりあげて、ミネアちゃんは強く強く私の手を握り締めた。祈るような姿に、何が起きたのか知りたくなる。
 「……生きてるよ。大丈夫、この世界じゃ死なないと思うし……」
 頭はくらくらするけど、背中の痛みはなかった。きっと、ミネアちゃんが何度も何度もホイミを唱えてくれたんだろう。
かわいそうに。ミネアちゃんだって疲れてるでしょうに。ああ、よしよし。そんな泣かないでよ。
 ピンク色の頭を撫でたくなった。のに、どうしても空いている左手は動こうとしてくれない。
それというのも、二の腕のあたりがやたらめったら重かったからだ。黄金の腕輪は、ミネアちゃんに触れるのをまだ怖がったままだ。
 「火薬は……?」
 口の中がねばねばじゃりじゃりして、ろくに喋れなくなってる。
水差しから水を飲ませてもらってからもう一度尋ねると、ミネアちゃんは泣きながら何度も頷いていた。
 「あ、あなたが倒れたすぐそばに、あったんで、す。うっ……う、メイさん……ごめんなさい、ごめんなさい」
 うーわ何これ。私、余計なことしちゃった? だって、庇われたぐらいでこんなに泣いて罪悪感持っちゃうなんて、
思ってなかったし。仕方なく、頭を撫でれない代わりに手を握り返してみた。
 「いーよ……。マーニャちゃんとオーリンさんは、もう寝てるんでしょ?み、ミネアちゃんも早く……寝なよ」
 正直なところ、ミネアちゃんに寝て欲しいってよりは私が眠いからなんだけど。
 目が覚めた朽ちた宿屋で、私は再び目蓋を下ろした。




Lv.13 メイ
HP:58/58 MP:21/56
E ホーリーランス
E 鉄の盾
E 革のコート(毛皮のコートの守備力-2)
E −
E サングラス・黄金の腕輪

戦闘呪文:ホイミ・スカラ・メラ・ヒャド
戦闘特技:なぎ払い・連続魔法(黄金の腕輪の効果)・一閃突き
所持金:943G

81 : ◆fzAHzgUpjU :2009/02/15(日) 02:10:13 ID:oxPI+RR60
たくさんの感想をありがとうございます。
続きをwktkされるとものすごく嬉しいです。就活頑張れエールもありがとうございました。
宿スレのすべての住人に光りあれ!

82 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 12:27:02 ID:ZbIabZr60
新作乙です!
同じ道民として、執筆も就活も応援いたしてます。
(佐呂間さんだとかススキノとか、「ローカルニュースで夕張」とか
 これは作者さんが北海道在住の人としか考えようがないw)

83 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/15(日) 16:14:01 ID:/u1yHwhl0
メイさん、かっこいい・・・。
これでまた姉妹(とオーリンさん)とのきずなが深まりましたね。
それにしても、メタルスコーピオン、Tueeee。

84 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/16(月) 11:46:04 ID:CXyDTNVn0
ピンサロピサロにテンション上がった!こっちのピサロとの関係が気になりすぎる
それから、女の子どうしの関係が、いい面も悪い面もリアルだなぁ
ミネアとの絆ももっと確固たるものになりそうで良かったです。乙乙!

85 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 22:54:49 ID:nWWPBYROO
住人様方はじめまして、このスレで色々な作品を読ませていただいています。

突然ですが私も何か書いてみたいと思い、今日から貼らさせていただきたく思います。

素人の稚拙な文で大変申し訳ありませんが頑張って続けていこうと思っていますのでよろしくお願いします。

86 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 22:55:26 ID:nWWPBYROO
〜序章〜


頭が痛い、割れそうだ。

「この年になって二日酔いか・・・、私もまだまだだな」

40も半ばに差し掛かり、酒の飲み方は充分心得たつもりだったが昨夜は違った。

「久しぶりに羽目を外し過ぎたか、伊代の結婚式だったからな・・・」

大切な一人娘の嫁入り、嬉しくも寂しい日だ酒も進む。

「今何時だ?会社に行かなくては、いや、まずシャワーを浴びよう・・・」

近くの棚の上に置いてある眼鏡を取りかける。

「・・・・・・?ここは・・・どこだ?」


87 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 22:57:28 ID:nWWPBYROO

六畳ほどの部屋だろうか、小さなベッドと小さな棚が一つ
部屋の中央にはこれまた小さな丸いテーブルと背もたれの無い椅子が一つ
テーブルの上にはすっかり短くなってしまった蝋燭が弱々しい灯をともしていた。

「私の・・・部屋では無いな、一体ここは何処だ?」

まだ夢でも見ているのだろうか?思えば昨日どう帰ったのかすら思い出せない。
だが二日酔いの頭痛だけは妙にリアルだ、まるで脳が体に起きろ!
と警鐘をならすように頭だけでなく体全体に響いている。

88 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 22:59:06 ID:nWWPBYROO
「むう・・・、水を・・・」
「あら、目が覚めた?」

驚いて声のする方向に向き直す、勢い良く振り返ったせいか頭が揺さぶられまた頭痛が・・・。

「いたたたたた・・・」
「ダメよ、無理しちゃ。まだジッとしてないと」
「あの、貴女はどなたですか?ここは・・・」
『打ち所が悪かったのかしら?』
「大丈夫?何も覚えてないの?」
「すみません、まず水を一杯いただけませんか?」
「どうぞ」

差し出された水を一気に煽る、うまい。
ぬるいただの水がやけにうまく感じた、身体中を染み渡る。

89 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 23:00:47 ID:nWWPBYROO
「ありがとうございます、ごちそうさまです」
「お粗末様、少しは気分良くなった?」
「はい、お陰さまで」

確かに気分は良くなった、だが見覚えの無い場所にいる自分、どうやって来た
かもわからない自分、日本語が通じるあたり国内なんだろうが・・・。
良く見るとこの女性少なくとも日本人には見えない。

雪のように白い肌、色むらの無い金髪はポニーテールにしているが胸くらいまではあるだろう。
少しタレ目気味な目尻にホクロが一つ、優しそうな表情を際立たせている。
何よりも瞳、透き通る青一色が日本人では無い事を物語っているように見える。

うむ、美人だ。

90 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 23:02:35 ID:nWWPBYROO
「私の顔に何か付いてる?」
「いやいや、すみません。美しい方だと見いってしまって」
「まあ!おべっかばっかり!でも嬉しいわ、ありがとう」

照れた姿に可愛らしさすら漂う、絵に描いた美人とはまさにこの事か。

「ところで・・・。あっ!私、龍三寺薫と申します。」
「はいはいカオルさん、何でしょう?」
「ここは何処なんですか?そして貴女は?」
「はぁ〜・・・、やっぱり強すぎたかしら?」
「はい?」

肩を落としてため息をつく、一瞬チラッとこちらを見た後申し訳なさそうに彼女は語りだした。


91 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 23:04:00 ID:nWWPBYROO
「私はルイーダ、ここは私の店ルイーダの酒場よ、それで今いる場所は二階の客間」
「はい」
「カオルさんが今ここにいる理由はね・・・」
「何でしょう?」
「私が昨日の夜街のゴロツキと間違えてフライパンでぶっ飛ばしちゃったせいよ」
「なんと!」
「ごめんなさい!だって暗くて良く見えなかったし目だけがギラギラ光ってたし・・・」

目だけが光ってたとは眼鏡の事だろう、昨日は泥酔していたしフラフラして
それはそれは不審な姿に映っただろうな・・・。

「それで介抱していただいていると」
「本当にごめんなさい!宿代は良いから完全に治るまでいくらでも休んでいって!」

とりあえずここで寝ていた理由はわかった、二日酔いの上に頭も殴られてちゃ頭痛が酷いわけだ。


92 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 23:05:15 ID:nWWPBYROO
「あの、ルイーダさん?」
「まだ何かある?カオルさん」
「それでここの地名はなんですか?」
「んっ?あぁ〜・・・、もしかして記憶も飛んじゃったのかしら」
『そんなに強く?』
「ここはストロス・ル・アリアハン五世様の治めるアリアハンの城下町よ」
「アリアハン・・・、聞いた事あるような無いような・・・・・・!」

いや、聞いた事はある、京子に呆れられながらも毎日やっていた大好きなゲームだ!

93 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 23:06:25 ID:nWWPBYROO
「ちょっ!どうしたの?急に起き上がっちゃキャッ!」

私は突然起き上がり、頭の痛さも体のダルさも忘れて窓に走る。

『まさか!そんなバカな!!』

あり得ない、だがどうしても引っ掛かる。

『ルイーダ・・・、アリアハン・・・、そしてこの部屋・・・』

どうしても信じられない、だが窓を開けた先の光景が疑惑を打ち払ってくれる。
窓に雪崩れ込むように開け、恐る恐る顔を上げる・・・。

「なんてこった・・・」
「ちょっと!カオル!?」

あまりのショックに気を失った私が見た物は
いかにも中世的な町並みと夕日に映えるアリアハン城だった・・・。




カオル
職業:サラリーマン
Lv:1
HP:25
MP:0

所持品
ヨレヨレのスーツ 名刺
ネクタイ 携帯 タバコ
ライター

所持金
0G(日本円では5000円)

特技
家事全般(戦闘特技は無し)

94 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/17(火) 23:13:08 ID:nWWPBYROO
開幕からグダグダと長くすみません、次回からはもう少しドラクエっぽいパートに入ります。

2chにこういった長文を投下するのは初めてなので読みづらかったり至らぬ点が多々あるとは思います。
都度指摘していただければと思います。

批評酷評も避難所の方に書いていただければ幸いです。


よろしくお願いします。

95 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/17(火) 23:23:39 ID:IwJEmLOxO
リーマンさん、乙!ドラクエらしい展開を望みながらもこれはあなたの物語なのだから自由にやってくれ。
なるべく完結してくれると読み手としてもありがたい。
応援しているよ。

96 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/17(火) 23:36:51 ID:LvUq8j640
新作乙です〜。
主人公さん、戦闘特技もない元サラリーマンさんだから、家事全般の特技を生かしてやっていくのかな。
でもDQ3世界のことを知ってるし、今後の展開が楽しみです。

ルイーダさん、そんなに美人なのか〜。DQやるとき、意味もなくルイーダの酒場に入り浸ってしまいそう。
あと、IDが大文字ばっかりで、ネ申

97 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/17(火) 23:39:38 ID:kd5kJJRY0
新人さん乙!!
この主人公は新しい!
まさかの40代リーマンが、しかもレベル1w

続き楽しみにしてます〜

98 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 10:15:56 ID:2qGEHY3o0
何かリーマンの所持金5000円のリアルさに吹いたwww

99 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 11:13:16 ID:W/22HRpc0
うん。しかも硬貨だったら、まだドッカの国の貨幣だとわかるかもしれんし、鋳潰して地金としての価値は少しはある(特にアルミとかはこの世界では作れないかも)が、紙幣だと本当に紙切れだからなぁ。
まだ羊皮紙とか使ってる時代だったら、パルプから作った紙と言うのも貴重かもしれんが使い道があまりない。透かしとかもはいってるし、ホログラムみたいなのもはいってるし、コレクター向けだな。

100 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:29:10 ID:lpRFV4r3O
皆様こんばんは、リーマンです。

今夜もまた貼らさせて頂きます。

前回にくらべてかなりの超長文ですが最後までお付き合いお願い致します。

101 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:33:43 ID:lpRFV4r3O
>>86-93の続き

私が失神した日から一ヶ月がたった、今のところルイーダさんの酒場でお世話になっている。
現在私は殴られた原因での記憶喪失を装っている、ルイーダさんには申し訳ないがこの方が色々と都合が良いだろう。

彼女はいくらでもいて良いと言ってくれたが何もしないわけにはいかないので雑用をやらせてもらっている。
独身貴族が長かったのもあり家事は得意だ、掃除・洗濯・炊事なんでもそつなくこなせる。
夜の酒場ではツマミを作り、昼はランチを作る。彼女は大喜びだ。

「カオルさ〜ん今日のお昼はなぁに〜?」
「今日はクリームパスタとシーフードサラダですよ」
「キャー!また初めての料理ね!楽しみだわ〜」

私がいた世界とこの世界では食文化が違うようで私の知っている料理はこの世界で未知の物のようだ。
例えば小麦、私達の世界では様々な物に姿を変えて食べられているがこちらではパンくらいしか無いらしい。

「ハイ、出来ましたよ」
「良い匂いね〜・・・、う〜ん美味しい!最高!!」
「どういたしまして」
「あの時カオルさんをぶっ飛ばしてある意味正解だったわ、毎日こんなに美味しい料理が食べられるなんて!」
「そんな物騒な事言わないで下さいよ!最近やっとコブが引いたんですから」
「や〜ね、冗談よ!でも料理が美味しいのは本当よ、お世辞じゃ無いわ」

彼女の一番の喜びは食べる事、これだ。しかし自分は全く料理ができないらしく
本人曰く「料理ができなくったって困る事は無いわ」だそうで・・・。
ランチ時には近所の奥さんに手伝ってもらい、夜は乾き物のみを出していたらしい。
それでも言い寄ってくる男は多い、彼女ほどの美貌の持ち主なら料理ができないくらい対したハンデにはならないだろう。

それにしても毎日驚くほど沢山食べているのに素晴らしいスタイルだ、本人曰く「美容の秘訣は自分に素直な事よ」だそうだ。



平和だ、この世界は全てがゆっくりと進んでいる。

人も皆優しいし暖かい、空気も澄んでいてとても穏やかな気持ちになれる。
もちろん街の外にはモンスターがいる、アリアハンの回りはたかが知れているが
私としては自社製品に対するクレーマーの方がよっぽどモンスターだ。

正直私はワクワクしていた、確かに家族と別れて寂しい気持ちもある、だからと言ってメソメソしていても仕方ない。
何れは帰る方法を探す為に旅に出なくてはならないだろう、旅に出るとするとあの伝説の勇者と大冒険に出るのだ!!
少年時代の夢追う頃に戻ったようだ、家族を背負い、仕事に追われた自分とはまったく違う人生を体験できるのだ!


伝説の勇者と旅に出る、と言うのは残念ながら叶わない事だったのだが・・・。


「おっ?うまそうな物食ってるじゃないか!」
「あら?おかえりなさい、お勤めご苦労様」

そう!私が一番驚いた人物がこの街にはいたのだ!



102 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:35:17 ID:lpRFV4r3O
「おかえりなさいませ、お疲れ様です」
「おう、また食いに来たぜカオルちゃん」

フルフェイスの鉄仮面と無数の細かな傷が付いた鉄の鎧を脱ぎ、2メートルはあろうかと言う分厚い特注品のバスタードソードを
壁に立て掛け、楯の変わりにと鉄板を幾重にも重ねたガントレットを無造作に放り投げ巨体を椅子に預ける。

あの伝説の勇者の父、オルテガだ。ちなみにパンツマスクではない。

最初私は誰かわからなかった、なぜならパンツマスクではないのだ!
オルテガと言えばパンツマスク、カンダタなど目じゃないほど宇宙一パンツマスクの似合う男オルテガ。
第一オルテガの素顔を見たことのある人間がいるのか?ドットではない顔だ!

例えるなら某狂戦士を少し穏やかな表情にした感じだろうか?普通にダンディーでカッコいい。
それがなんであんな姿に・・・。

その屈強な戦士がオルテガだとわかった時、私は思わず訪ねてしまった。

「あの・・・パンツマスク姿では無いのですか?」
「はぁ?何言ってんだ?俺はデスストーカーじゃねえぞ?」
「そうですよね、失礼致しました」
「あいつらなんであんな恥ずかしい格好で外歩けるんだろうな?俺にはぜってーできねえよ」
「ですよね〜」

謎は深まるばかりです・・・。




アリアハンは世界でもっとも弱いモンスターが出現する地域である、それは何故か?
二百年も前は世界最強の軍事国家であり強大な騎士団を有していた、アリアハン王国は世界を支配していたらしい。
世界制覇を成し遂げた後、初代アリアハン王は自国のモンスターを完全に全滅しようとしたのだ。
当時のアリアハン大陸は今とは比べ物にならないほど強力なモンスターがいたらしく相当数の騎士達を投入して
なんとか駆逐したようだった。しかしモンスター討伐にと多くの騎士が出払っていた隙に革命を起こされ
あっさりと成功、騎士団は自衛ができる程度の物に一気に縮小され、軍事国家としての力も規模も小さくなってしまった。


今現在のモンスター討伐はオルテガが一手に引き受けている。
たった一人で大陸中を歩き回り、他の大陸からきた手強いモンスターや突然変異などを退治して回っているらしい。
最近では元来からいたスライム・ドラキーなどはオルテガを見掛けると逃げ出してしまうようで
行商人や巡礼神父の付き添いもしているとの事。

「モンスターも恐れる男」「世界最強の男」「不死身のオルテガ」など数々の異名を持つ。
他にも「本気を出すと天地が狂う」「地球のへそはオルテガが開けた」「光輝くオルテガが南の空へ飛んでいった」
など眉唾物な逸話にも事欠かない。
しかしおおらかな性格もあってか国中の人々から愛されており国民的な英雄として慕われている。

他国でも有名なオルテガ、それがなんであんな姿に・・・。


103 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:37:06 ID:lpRFV4r3O
「どうした?カオルちゃん、変な顔してよ」
「あっ、いえ、なんでもありません」

「そういえばオルテガさん、アンナの調子はどう?あんまり心配させちゃダメよ?」
「言うなって、俺はそう簡単に死なねーよ」
「そういう問題じゃないでしょ〜、この時期くらいそばにいてあげなさいよ!」
「わかってるよ、でも生まれてくる子供の為にも頑張らねぇとな」


どうやら私がいるこの世界と私が知っているこの世界は若干時代がズレているようでまだ勇者は生まれていないようなのだ。

するとしばらくの後にオルテガは旅に出るのだろう、そしてあの壮絶な運命を向かえる事になる。


「ゴホン」

酒場の入り口から気付けとばかりにわざとらしい咳払いが聞こえた。

「オルテガ、帰ってきたならまずはワシの所にだな」
「おう!ストロス!すまん、忘れてた」
「今日は遅かったわね、王様」
「ようこそおいで下さいました陛下、さあ、こちらに」
「うむ、今日も美味そうじゃ」

服装こそ質素な物だが気品ある立ち振舞い、柔らかでいて威厳ある物腰、国王ストロス・ル・アリアハン五世である。

「陛下、本日のメニューは・・・」
「カオル、ここへ来た時は陛下と呼ぶな、前にもそう申したじゃろう?」
「はっ、失礼致しましたストロス様」
「まあ良い、いただくとしようか」

彼もまた私の料理のファンなのだ、こうして良くお忍びで食べにくる。
しかし来る時は必ずオルテガがいる時だけ、普段はオルテガが城へ報告にいった後二人で来る。
たまにオルテガが城に行く前に店に来てしまうのでその場合は町民に扮した近衛兵を引き連れて来る。
店はそのつど貸し切り状態、今も私・ルイーダ・オルテガ・王しかいない。
確かに世界最強の男がいれば衛兵は必要ない。

いくら平和な国だとしても一国の主が一人で外を歩く事はできない、それは王自身もよくわかっているようだ。

「ふむ、美味い。特に気持ち薄味なのが良いな、最近味の濃いものはどうもな」
「何を言ってんだストロス、モウロクするにはまだ早いぜ!」
「お前も口は相変わらずじゃな」

世界広しと言えど国王に対して対等に、しかも呼び捨てで話せる男はオルテガくらいだろう。
話しによると昔からの親友なのだそうだ、しかしこんな口振りでもオルテガの王に対する忠誠心は高い。

王とオルテガは二回り以上年が離れているがまるで幼なじみのように笑いあい、私とルイーダも楽しく談笑していた。



リイィィィィィィン・・・


104 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:41:04 ID:lpRFV4r3O
突然耳鳴りにも似た音が響いた、音は小さいが確かに鳴っている。

「なんだ?ストロス!」

音が次第に大きくなるにつれ、店の奥の方に一筋の光が降り注ぐ。
オルテガは壁に立て掛けてあった剣を取り構える、私も何と無く菜箸を構える。
二人してルイーダと王の前に、二人を庇いつつジリジリと店の出口へと後退する。

『モンスターか?いや、バカな』

オルテガは考える
『ここいらのモンスターは雑魚ばかりだ、スライムやドラキーどもにこんな芸当はできる訳がない』

『出口まで後数歩まで迫った、ここまで来ればたとえ爆裂系呪文を使われても充分逃げ出せる』
『何をされても三人は守りきれる、鎧兜を脱いじまってるが俺も一撃で死にやしないだろう』

一筋の光は徐々に太くなり、明るくなる。
異変に気付いた外の近衛兵達が店の中に雪崩れ込み、自らを楯にせんとオルテガと私達の間に割って入る。
光が集束しはじめ、何かを型どろうとした瞬間オルテガが躍り出た!

「先手必勝!喰らえオラァ!!」

相手に向かって斜め上に飛び、壁を蹴って何かを襲う。
斬撃は水平に近い撫で斬り、2メートルはある分厚いバスタードソードから繰り出される斬撃は並の剣ならそれごと両断してしまうだろう。
相手は避けるしかない、しかし・・・。

斬撃は相手を両断したかに見えた、だが剣がその体をすり抜けたのだ。

「うぉッッ!」

勢い余ったオルテガはそのまま後ろのカウンターに激突、しかしすぐに体制を立て直し距離をおく。
剣が効かないと見るやすぐに呪文の詠唱に入る、オルテガの左手が赤く光り放とうとした瞬間・・・!!

「待てオルテガ!待つのじゃ!!」
「ぬおぉ!!!」


ドオォォォン!!!!


無理やり方向を変えられた呪文は店の壁を破りすぐ隣の城壁を派手に吹き飛ばした。

「バカ者!こんな部屋の中でメラゾーマを唱える者がおるか!」
「なんだってんだよストロス!何故止めるッッ!!」

気が付くとあの耳鳴りのような音は消え、光があった場所には一人の女性が立っていた。

「お久しゅう御座います、相変わらずお美しい」
「久しぶりですねストロス、変わりはありませんか?」
「はい、あれから30年、約束は違えておりません」

王がひざまずき、畏まる。
私も含め、その場にいた全ての者が事態を飲み込めずにいた。

「ストロス!どうしたんだ?なんだこの女は?」
「畏れ多いぞオルテガ、ルビス様だ」


105 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:44:31 ID:lpRFV4r3O
ルビス

この世界の全てを造った創造神ルビス、本来の名は“精霊”ルビスだがこの世界の人々は神として崇めている。

「オルテガ、驚かせてしまったことを許してください」
「あっ?あぁ〜・・・、こっちこそいきなり斬りかかってその・・・、すまなかったな」
「オルテガ!口の聞き方をわきまえろ!!」
「良いのですよ、ストロス」
「はっ、失礼致しました」
「他の者達も許してください」


開いた口が塞がらないとはまさにこの事か、一体何が起こったと言うのか?
オルテガの凄まじい攻撃と魔法に驚いていた矢先にあのルビスが現れた、しかもなんと美しい事か。
スラリとした細長い手足、目の冴えるような深緑の髪は床に届く程の長さでいてまるで羽根のように揺らいでいる。
目・鼻・眉・耳・口、顔を作る全ての部位が文字通り神の御技のように人間が想像しうる究極の美を型どっている。

ルイーダも確かに美しいがルビスはそれとはまるで別次元だ、人間が触れてはいけない神々しさがある。

「カオル」
「はっ、はひっ!」
「武装を解除していただけませんか?」

私はハッとして両手に握っていた菜箸を床に落とした。
ん?なんで私の名前を知っているんだ?



106 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:48:03 ID:lpRFV4r3O

「して、ルビス様本日は如何なる御用で?」
「ストロス、まずは楽にしてください」
「はっ」
「それと兵を下げていただけませんか?」
「かしこまりました、お前達、出よ」

王の言葉に我に変える近衛兵達、顔が若干紅潮しているのが見える。
無理もない、私だってただただ見とれてしまっていた。

グイッッ!

「いたたたたた・・・」
「カオルさんてば何よ、鼻の下延ばしちゃって・・・」

ルイーダさんに耳をつねられた、ムッとしているのか口を尖らせている。

「ほら、お茶持ってきてよ!」
「わ、わかりました少々お待ちを」
「俺ビール」
「オルテガ!」
「わーてるって、冗談だっつの」

一応人数分用意しようか、精霊はお茶なんて飲むのだろうか?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「これは何ですか?」
「ミルクティーです、美味しいですよ」

コクン
アツッ!

ルビス様猫舌だよ!

「ルビス様、今日は?」
「今日来たのは他ではありません、闇の魔王が復活しつつあるのです」
「なんと!それは誠ですか?」
「なんだ闇の魔王ってのは?」
「もしかしてあのおとぎ話の魔王の事?」
「あれはおとぎ話ではありません、全て事実なのです」
「おとぎ話とは何ですか?」
「お主は記憶喪失だったな、良かろう、話してやろう」
「ありがとうございます、お願いします」
「その前に・・・、茶をもう一杯くれんか?」
「私もお願いします砂糖を二個で」

うぉッッ!ルビス様甘党!!

改めて湯を沸かしに台所へ、カウンターはオルテガが突っ込んだせいでメチャクチャだったが竈は無事だった。

『しばらく酒場は休業かな?』

ポットごと持って席に戻り全員に注いで回る、全員に注ぎ終わったころ王が語りだした。

「おとぎ話とは言っても古い言い伝えのようなものでな、正直ワシもルビス様が仰るまで作り話だと思っておった」



107 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:49:17 ID:lpRFV4r3O
内容はこうだ

気の遠くなるほど遠い昔、ルビスは世界を造った。まずは大地と水を、次に生命を造った。植物、動物、そして人。
しかし光ある所に陰があるように心清き者と悪しき者と、全ての生命は二つに別れてしまった。
全ての摂理であり法則ゆえいかにルビスであっても抗いようのない物であった。

その摂理はルビスとて例外ではなかった、ルビスが世界を造ったと同時に、ルビスと対等な力を持つ悪しき者も生まれてしまった。
本来心清き者の中にも悪しき心が、悪しき者の中にも清き心が存在するものなのだが。
絶対的な善であるルビスの半身は絶対的な悪であった。
ルビスは持てる力の大半を使ったが滅する事はどうしてもできず、半身を地下世界に封印したのだ。

「その半身ってのが闇の魔王っつんだな」
「うむ・・・そうじゃ、カオル、茶を」
「私もお願いします」

ルビス様三杯目!

なるほど、私はあまり詳しく無いですが私の世界で言う聖書の中の話みたいな物なんですかね。

「お茶どうぞ」

王の話しに真剣に耳を傾ける私とルイーダ、黙して語らずのルビス、飽きてほとんど寝てしまっているオルテガ。

だが次の一言でオルテガは跳ね起きる事になる。

「あなたが倒しに行くのですよ、オルテガ」
「はぁ?んだそりゃあ!?」
「ル、ルビス様?」
「今日ここに来た理由の一つがこれを伝える為です」
「オルテガさんどうすんの?」
「・・・、別に良いよ」
「誠か!オルテガ!!」
「だってよ、魔王が復活したら世界は滅びるんだろ?」
「はい」
「んじゃあ行くしかねぇな」
「オルテガ、もっと悩む物では無いのか?魔王を討伐しに行くんじゃぞ?」
「だから悩んだって」
「ものの数秒じゃろうが!アリアハンでモンスターを間引くのとは訳が違うのじゃぞ!!」
「俺はよ、もうじきガキが生まれんだよ、そのガキが生まれた時魔王に支配された世界なんて悲惨すぎんだろ」
「な、なんと・・・」
「何もしないで死ぬんだったら一匹でも多くモンスターをぶち殺して死んでやる!」
「オルテガさん・・・」
「ま、俺はそう簡単に死なねぇけどな」

惚れた!
今まで私はこれほど感動した事は無い!なんと清々しい男か!!

「素晴らしいぞオルテガ!流石は我が友じゃ!!」
「オルテガさんカッコいい!」
「応援しますよオルテガさん!」
「早速他国にも知らせねば!お前だけに辛い思いはさせぬ!!」
「それはいけません」

「「「「はっ?」」」」( ゚д゚ )


108 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:50:30 ID:lpRFV4r3O
「闇の魔王の存在は今ここにいる者以外に知らせてはなりません」
「ぬぁぁぁぁぁぁぁぜですかルビス様!何故知らしめてはならんのですか!?」
「闇の魔王は生物の絶望を糧として力を得ます、世界にはあなた方のように勇敢な人間だけでは無いのです」
「しかしルビス様」
「魔王の名には呪いがかかっています、その名を聞くだけで恐怖と絶望に飲み込まれてしまうのです」
「それに魔王は恐ろしい力を持ち、おぞましい姿をしています。良く訓練された兵でも平常心を保てるかどうか・・・」
「ですが・・・」

いや、ルビス様の考えもわかる。この世界の人口は何人なのかわからないがわざわざ全世界に公表して悪戯に絶望する人間を増やす意味もない。

「希望が魔王の力を弱める、と言うのは無いのですか?」
「残念ながらありません・・・」

なら決まりか・・・、オルテガさんには酷かも知れないが極秘に行くしかない・・・。
ゲームでもバラモスの存在を知っていたのは極僅かな人間だけだったし。

「マジかよ〜・・・、モンスターって何匹いるんだ?すげぇ疲れそう」
「オルテガ、そんな気楽な問題では無いぞ・・・」
「俺が一人でやるんだから別にどう考えたっていいじゃん」
「一人ではありませんよ、カオルも行きます二人で行きなさい」
「「「「えっ?」」」」( ゚д゚ )

ちょっと待って、何故私が?しかもたった二人で?

「カオルちゃんよぅ、あんた戦えんのかよ?」
「えっ?あの・・・、え〜と・・・」
「今闇の魔王は急速に力を増しています、私の力でももう抑えきれません」
「勝手に話し進めんなよルビスさんよ〜」
「時間にして後一ヶ月程で復活を遂げるでしょう」
「一ヶ月ですと?これはまた急な・・・」
「急いで終わらせねぇとガキの誕生日に立ち会えねぇな」

私が・・・?オルテガさんと二人で?確かに帰る為の冒険は覚悟していたがゲームみたいに四人で行くもんだと・・・。
第一オルテガさんの旅は史跡くらいしか残ってないし全くわからない。
しかもあの最期、元の世界に帰る前に死んでしまうのではないか?

「カオルちゃんそんな真剣に考えんなって、俺がみっちり鍛えてやっから」
「とにかく時間がありません、ストロス、オルテガ、カオル、貴方達は今すぐにでも旅に向けて備えなさい」
「俺のしごきはキツいぞ?カオルちゃん、頑張れよ」
「魔王の存在を隠し尚且つ各国の王に助力を得る方法を探さねばならぬな・・・」
「京子、伊代、父さんはもうダメかもしれん・・・」


109 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 21:51:36 ID:lpRFV4r3O
「ルビス様、私は何をすれば良いのですか?」
「ルイーダ、貴女はオルテガ・カオルの二人が旅立つまで手助けしてあげなさい」
「それだけですか?」
「とても重要な事なのです特にカオルは記憶喪失の身、貴女が支えてあげなさい、それと同時に帰る場所になってあげるのです」
「支えですか〜・・・」
「旅に出たからと言って魔王を倒すまで帰ってこないとは限りません、それに待っている人がいれば人はより強くなれるものではないですか?」
「なるほど〜・・・、わかりました!私頑張ります!!」

ええい!私も男だ、覚悟を決めよう!!どのみち元の世界に帰る為には行くしかないのだ!

「わかりました、私もお供させていただきます」
「よし!決まりだな!」
「頑張って!カオルさん!!」
「最後にルビス様、せめて我等四人にだけその魔王の名前を教えていただけないでしょうか?」
「ストロス・・・、わかりました、おしえましょう。闇の魔王、その名もバラモス」

『えっ?』

「なんと禍々しい名じゃ」
「血と骨、か」
「嫌な名前ね」
「この名を聞いて平静でいられる所を見るとあなた達を選んだのは間違いではないようですね」
「・・・・・・」
「どうした?カオルちゃん、怖じ気づいたか?」
「あっ!いえ、違います」
「ならいいが」
「何故血と骨なんですか?」
「古くから伝わる今常用ではほとんど使われていない言葉があってじゃな、バラは血、モスは骨を意味するんじゃ」
「古代語ですか」
「そうじゃ、我々の使う魔法の名もその一つじゃな」

ルビス様は嘘を付いている、大魔王はゾーマだ、バラモスは配下に過ぎない。
でもバラモスの名しか明かさないという事は・・・、もしかしたらオルテガさんの運命も知っている?。

「そして最後に・・・、カオル、貴方だけに話があります」
「は、はい」
「皆は席を外してもらえますか?」
「カオルだけ、ですか?」
「ええ、とても大切な話なのです、お願いします」
「わかりましたルビス様、さ、オルテガ・ルイーダ、出よう」

『やはり・・・』

ルビス様の言葉に他の三人は素直に従い店を出る、ルイーダさんは少し心配そうな顔を見せたがオルテガさんに肩を叩かれ出ていった。
私とルビス様だけになった、ルビス様のカップにお茶を注ぎ入れた所でルビス様がとても悲しげな表情をしている事に気が付いた。

「カオル、どうか私を許してください」
「私をこの世界に呼び寄せた事ですか?」

ルビス様は一瞬だけ驚いたような表情を浮かべたがすぐにまた悲しげな顔に戻った。
ルビス様が現れた時点で薄々気付いていた、どんな理由があるにせよ私をこの世界に呼び寄せたのはこの方なのだろうな、と。


110 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 22:18:26 ID:W/22HRpc0
うおお、リアルタイム遭遇きた〜。
ルビス様光臨&サラリーマンのカオルちゃんが冒険に出動。燃える展開です。
カオルちゃんやオルテガといい、猫じたで甘党でお茶好きなルビス様といい、なんかキャラが立ってて、いいな〜。

連投規制か、今回の投稿ははここまでかわかりませんが、一応支援のつもり・・・。

111 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 22:39:33 ID:lpRFV4r3O
「気付いていたのですか」

「私のような異世界の人間を呼び出すなど魔法の発達したこの世界でも人間にはそう簡単にできないでしょう」
「貴方はこの世界の事を良くご存知ですね?」
「はい、細かな所は欠けていますが大体は覚えています、結末まで」
「貴方にはお願いがあるのです」

これも何となく予想がついた。

「自分が異世界から来たのを隠す事、オルテガの運命を誰にも言わない事、ですか?」
「はい・・・」
「前者は良いとして、後者は何故ですか?」
「申し訳ありませんが今はお教えできません」
「そうですか・・・」
「本当にごめんなさい」

やはり全て知っているようだ、私がどういった人間なのかも知っているらしい。

「私も質問があるのですが良いですか?」
「可能な限りお答えします」
「私を呼び寄せた理由はなんですか?」
「今はお答えできません」「貴女は全て知っているのですか?」
「お答えできません」
「彼は成し遂げると思いますか?」
「お答えできません」

やはり間違いない。

「何故彼を見殺しにするのですか?」
「・・・お答えできません」
「・・・ふぅ、では最後の質問です、私は帰れますか?」
「必ず帰れます」
「貴女は勝手な方ですね・・・」
「許してください」

私は自分のカップに残ったミルクティーを一気に飲み干した。

「とりあえず貴女の願いは聞き入れます、今は答えられないと言われた質問もいつか必ず教えてください」
「ありがとうございます」

その言葉を発すると同時にルビス様は立ち上がった、その顔は初めて見た時の優しい表情に戻っていた。

「貴方にはこれを授けましょう」

リイィィィィィン

またあの音が聞こえる、テーブルの上に一筋の光が差し込み、現れたのは一振りの刀だった。

「これは・・・」
「これはジパングの名工が打った無銘の刀、貴方にはこちらの方が扱いやすいでしょう」
「なんでもお見通しですか・・・」
「それでは私はこれで、旅立ちの時、またお会いしましょう」
「お茶、とても美味しかったですよ」

女神のような微笑みを残し、ルビス様は光の中へ消えていった。

私は店を出て外で待っている三人を呼びに言った。


112 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 22:40:48 ID:lpRFV4r3O
「行ってしまわれたか、ルビス様はなんと?」
「申し訳ありませんストロス様、お答えできません」
「そうか、まあ無理に聞く事はせん」
「所でカオルちゃん、そりゃなんだ?」
「これはルビス様から授かった物です」
「ちょっと見せてくれ」

やはり興味があるのか半ば強引に取られてしまった、オルテガさんは鞘から抜き縦に眺めたり軽く振ってみたりしていた。

「うむ、良い刀だ、お前等ちょっと離れてろ」

オルテガは刀を鞘に納め腰を深く落とし居合いのような構えをとった。
およそ5メートルほど離れた木に狙いをすまし一閃。

「ぬん!」

ひゅっ

風を切る音とともに発生したつむじ風、風は次第に集まり一つの刃に変わる。

カッッ!

真横に両断された木、そのまますぐ後ろの岩に深い切れ込みを入れ風の刃は消えた。

「カオルちゃん、この刀の名は?」
「無銘だそうです、ジパングの名工が打ったとか」
「ジパング、なるほどな」
「ジパングの刀剣技術は失われたのではなかったか?」

ストロスの問いかけに刀を鞘に納めながら答えるオルテガ。

「失われたのは百年ほど前だ、保存状態が良ければ良い物は今でも残ってるよ」
「現在確認されている物はわずか数本と聞くがルビス様ならお持ちになっていたとしても不思議ではないの」
「ありがとよ、カオルちゃん」

ひょいと投げて返すオルテガさん、受け取ったものの全く重さを感じない。
なんと軽い刀なのだろうか・・・。

「カオルちゃん、構えな」
「はい?」
「何をするオルテガ?」
「ルビスが刀を授けたってんなら使い方を知ってんだろ?」
「ちょっとオルテガさん!何言ってんのよ!!」
「刀ってのは扱いが難しいんだ、俺だって使いこなせねぇ」
「さっき風の刃を放ったじゃないですか」
「あれはただ思いっきり振っただけだ、俺が適当に振っただけであれなら達人は山も切れる」

確かに私は刀を扱った事がある、剣道も昔やっていた。
でも居合いは叔父さんに基本だけ教えてもらっただけだし剣道だって二十歳までだ、もう四半世紀竹刀には触ってない。

「早くしろ、なんならこっちから行くぞ?」
「オルテガ!」
「オルテガさん!」
「外野は黙ってろ!行くぞ、カオル!」

113 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 22:42:32 ID:lpRFV4r3O
言うが早いかオルテガは自慢の愛剣を片手に突っ込んできた、さっきまでとは違い目はマジだ。
瞬く間に私の目の前まで距離を詰め、上段から剛剣が襲い掛かる!!

『オイオイオイオイ、こんなもの食らったら確実に死ぬって!受ける?いや、刀ごと両断されるに決まってる!反らせ、なんとか反らすんだ!!』

とっさに刀を抜き左側面を庇うように斜めに構える、
後ろに引いて遠心力のプラスされた一撃を受けるより前に出て支点に近い方で受けた方が僅かながら軽減できるはずだ!

オルテガの左側面に向かって右足を踏み込む、剣の軌道から体を反らす事ができた!
後は刀がもってくれるのを祈るのみ!!

「ぬうん!」

ギャギャギャギャ!ドンッッ!!

「ぬぁッッ!」

なんとか反らす事ができた、オルテガの剣はそのまま地面を切り裂くかの如く深く突き刺さる。
なんという重い一撃だ、手が痺れて・・・。

オルテガは外れたやいなや腰を捻り時計回りに一回転、ハンマー投げの要領でこんどは右から真横に払う。

『避けられない!受けるしかない!!』

痺れた両手をなんとか動かし右側面をガードする、刀の背に肩を当て思いっきり踏ん張る。

「ぬぅりゃ!」

ガキィィィィン!!!!



・・・・・・・・・。

「カ・・・」
「ん?」
「カ・・・ルさ・・・」
「なんだ、京子か小遣い月5000円はさすがに辛いよ・・・」
「カオルさん!」

気が付くと私はルイーダさんの膝枕に横たわっていた。

「気が付いた?どこか痛いところは無い?」
「私は・・・?」
「すまねぇ、ちとやりすぎた」

オルテガが申し訳なさそうな顔をして鼻を掻く。

話を聞くと私はあの横払いを受けきれず3メートルほど宙を飛んで気絶してしまったらしい。

「当たり前よオルテガさん!模造刀ならまだしも真剣で・・・、カオルさんが死んじゃったらどうすんのよ!!」

ルイーダさんの瞳には涙が浮かんでいた、無理もない、私だって死んだと思った。

「だから本当にすまねぇって」
「謝れば済むってわけじゃないわよ!バカ!!」
「まあまあ、ルイーダさん、無事だったし良いじゃないですか」
「でもカオルさん・・・」
「ところでストロス様は?どちらに?」

114 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 22:42:51 ID:2qGEHY3o0
wktkで支援

115 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 22:44:08 ID:lpRFV4r3O
「ストロスは帰ったよ、色々やらなきゃならねぇ事もあるみたいでな」

私とオルテガの立ち会いの後、オルテガに対して烈火の如く怒っていたそうだ。
一通り説教を終えた後城壁の修理の手配や諸王の件は早急にと城に戻ったらしい。

「ストロスから言付けも頼まれてる、明日謁見せよだとさ」
「わかりました」
「それにしてもカオルちゃん、中々良いスジしてんな」
「昔取った杵柄ですよ20年以上も前のものですが」
「いや、俺の斬撃に対して前に出るなんて驚いたぜ」
「ああしないと死んでしまうと無我夢中でしたからね、たまたまですよ」
「色々と足りない部分もあるが、鍛えりゃ中々のものになりそうだ」
「それに刀も良い物だ業物だな、俺の一撃に刃こぼれ一つねぇ」

オルテガが刀をまじまじと見つめる、刀は淡く光っているようだった。

「あの、一つ良いですか?」
「あん?」
「もし私が死んだらどうされてましたか?」
「そんときゃ教会だな、死後1日以内なら生き返るしな」
「さようですか・・・」

気になったので聞いてみたらこの世界では死人の蘇生は当たり前のようだった。
ただし色々条件があるらしく、病死・寿命・呪いによる死・死体の損壊が激しい場合などは蘇生できないとの事。
それ以外にも多々条件があるらしいが実際に蘇生を試みてみないとわからない事もあるそうだ。

「まあ今日は休め、腕の骨折はベホマで治したが特訓はとりあえず明日からで良いだろう」
「えっ?骨折してたんですか?」
「ああ、あの曲がりかたは傑作だったな」
「あなたがやったんでしょ!」
「治ってるのなら良いですよ」

あの一撃を受けて骨折だけで済んだのならある意味幸運だったのかもしれない。


116 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 22:45:25 ID:lpRFV4r3O
「今日の夕食は私が作るわ、カオルさんはゆっくり休んでて」
「ルイーダさん料理できないって・・・」
「が、頑張ります!」
「王の所に行かなきゃならんしルイーダちゃんの店も直さなきゃならんしな、アンナに無事な姿も見せてぇし」
「とにかくゆっくり休んで、ね?」
「わかりました、ではお言葉に甘えて・・・」

立ち上がろうとしたがフラフラとへたりこんでしまった、体に力が入らない。

「無理しないでカオルさん、あんなゴリラにぶっ飛ばされたんですから」
「ほれ、掴まれ、部屋まで運んでやる」
「すみません、ありがとうございます」

オルテガに肩を貸してもらって二階の部屋へ、ベッドに入ると急激な睡魔に襲われた。

『今日は本当にいろんな事があった、明日から鍛練もしなきゃならないし王に謁見もしなければ』

「じゃあ明日ストロスのところに行った後俺の家に来い」
「夕食ができたら持ってくるからそれまで休んでてね」
「ありがとうございます」

『京子と伊代は元気にしてるだろうか?あっ、干し肉を取り込まなくては、明日の朝食は何に・・・しよう・・・か・・・』

睡魔に勝てず私は眠ってしまった・・・。


カオル
職業:サラリーマン
Lv:1
HP:6
MP:0

所持品
E.
E.ヨレヨレのスーツ 
E.ネクタイ 
携帯 タバコ 名刺 ライター

所持金
100G(ルイーダからのお小遣い)
(5000円札は大事にしまってある)

特技
家事全般(戦闘特技は無し)

117 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 22:56:10 ID:lpRFV4r3O
>>110様支援ありがとうございます。

今回のアップは以上です、強引な話の進め方、無理矢理なキャラ設定、それに加えた稚拙な文章で今回もお目汚し失礼しました。

またよろしくお願い致します。

118 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/02/19(木) 23:21:04 ID:lpRFV4r3O
>>114様もありがとうございました。

119 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/19(木) 23:30:50 ID:W/22HRpc0
後半も楽しく読ませていただきました。
カオルさんが剣をつかえたとは。人はみかけによらないものですね^^

ルイーダさん、カオルさんに気がありそう・・・。でも無意識とはいえ膝枕で違う女性の名をつぶやいちゃったのは減点されちゃいましたね(笑
アリアハンの人は日本風の人名に気が付かない可能性もありますけどねwww

ルビス様はもっと質問にこたえてよって思いつつもなんか憎めないキャラですね。
カオルさんになにか成し遂げることを期待しているとはおもいますが・・・。

120 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 00:23:33 ID:bz40CQQ10
ドラクエ世界で日本刀を使いこなすリーマン、イイ!!
オルテガと旅立つってのは予想外でした。
料理できないルイーダにも萌えるwww

続きに期待!!!

121 :俺の空 ◆yeTK1cdmjo :2009/02/20(金) 01:09:53 ID:pTCucpDx0
竜王の城
「まだ息があるか……よかろう。スターキメラ、この三人を人間どものいる町に運んでやれ」
「かUこまりまUた」
「――また徒党を組まぬよう、それぞれ別々の町にな」
「こσ男σ死体はぃかか〃ぃたUまUょぅ」
「ラダトームに届けてやれ。竜形態のわしに傷をつけた最初の人間だ。――大魔道はいるか?」
「ここに」
「わしは地下で傷を癒す。何人たりとも入れぬように結界を張っておけ」
「御意」


ラダトーム城
「やはり死んだか……。勇者ロトが生まれたと云う異世界、地球。
 あの男も同じ地球の人間であったな、ムツヘタ」
「異世界とアレフガルドでは時間の流れが違うのかもしれませんな。
 あの男のいた地球は、勇者ロトのいた時間よりも遥か未来の世界か、遥か過去の世界。
 もしくは地球という名の異世界が数多に存在するのやもしれません」
「兵力を減らさずに竜王を斃す方法――第二の勇者ロトの召喚は精霊ルビスでなければできないということか」
「安心されよ、ラルス陛下」
「新たな予言を得たか?」
「やがてこの地に、ロトの血を引く者が現われる。その者こそが竜王を滅ぼすであろう――と。数年前の我が予言、現実のものとなりそうです」
「勇者ロトの子孫が?誠か?」
「我が予言は絶対のもの。故にドムドーラを滅ぼせました」
「……その通りであったな。ではムツヘタよ、勇者ロトの子孫を得た我がラダトームはどうなる?アレフガルドの――いや、この世界の覇者となり得るか?」
「恐らく精霊ルビスの力が働いているのでしょう、そこまでは見えませぬ」
「そうか……。良い、新たな予言を得たらすぐに参れ」
「我らがラダトームに光あれ」

122 :俺の空 ◆yeTK1cdmjo :2009/02/20(金) 01:11:09 ID:pTCucpDx0
ガイラの町
「……私の宝箱が……」


マイラの村
「んで、結局ヤリ逃げされちゃったわけ?」
「違うよ……ぱふぱふしただけだよ」
「この絹のような乙女の柔肌に顔をうずめて舐めて揺らして揉んで挟んだのよ? これをヤリ逃げと言わないで何をヤリ逃げって言うのよ。
 先っぽだけ入れられても入ってないからセーフって言ってんのと同じよ!」
「露骨な表現使わないでよ」
「ハー……ま、いいわ。で、そいつらどこに行くか聞いてんの?」
「えっと、リムルダールだったかな?」
「リムルダールね。んー、ちょっち遠いかな」
「姉さん、まさか取立てに行くんじゃ……」
「アンタの分と私の分、合わせて20ゴールド。
 それじゃ足りないから倍の40?利息も含めて50ゴールドで勘弁してあげる」
「人の話聞いてる?」
「それじゃリムルダール行ってくるわ。ちゃんと100ゴールド持って帰ってくるから楽しみに待ってなさいよ!」
「増えてる! 増えてるよ!! 姉さん、姉さーーーーん!」


リムルダールの町
「あいつらが戻ってきませんようにあいつらが戻ってきませんように……」
「(なあ、宿屋の親父熱心に祈ってるけど『あいつら』って誰のことだ?)」
「(ギラで宿屋をぶっ壊した連中のことだよ)」
「(あー……。でもよ、宿泊拒否すりゃいいだけじゃね?)」
「(拒否したけどムリヤリ泊まってったらしいんだよ。剣で脅されたってウワサだぞ)」
「光の神アウラ様、精霊ルビス様、何卒あいつらが戻ってきませんように!何卒何卒!あいつらが戻ってきませんように……」
「(奴らはとんでもないものを壊していったな)」
「(ああ。宿屋全壊だもんな)」
「(いや、親父の心です)」
「何卒何卒何卒なにとぞNANITOZO――」

123 :俺の空 ◆yeTK1cdmjo :2009/02/20(金) 01:12:17 ID:pTCucpDx0
ガライの町
「……ここは?」
「ようやく目が覚めたかい? ここはガライの町」
「ガライ? なぜここに?」
「しばらく前にアンタが空から降ってきたんだよ、それもひどい重傷でな」
「重傷? なぜ?」
「そこまではわからんよ。巨大な化物に噛まれたような傷がついてたぜ。いや、ありゃ爪痕か?」
「私は、一体何を……」
「血の流しすぎで記憶が飛んだのかもしれねえな」
「キム、こう……?」
「キムこう? そいつを探してるのかい? だったらここで養生も兼ねて待ってたらどうだい? そのうち相手も迎えに来るだろ。」
「ああ、そうさせてもらう。――私はキムこうを待たねば……しかし何かを、誰かを……」


マイラの村
「おい、宿屋。あの怪我人はまだ起きないのか?」
「まだだ」
「そうか。火傷は大体治ったみたいだが、他にも傷が?」
「精神がな。よほどの恐怖か絶望を体験したのかうなされている」
「ってことは」
「心が折られているだろうからな、恐らくもう戦えまい」
「史上最強の、誰よりも弱い村人か」


リムルダールの町
「えーん、ゆうていー!みやおうー!どこだすかー!」

124 :俺の空 ◆yeTK1cdmjo :2009/02/20(金) 01:15:12 ID:pTCucpDx0
竜王の城 最深部
「ラルスの野心を砕いてから貴女に会いに行こう。
 今しばらく待っていただきたい。――母よ」


数ヵ月後、ラダトーム城
「おお! 勇者ロトの血を引く者よ――」







                     to be continued to DRAGON QUEST

125 : ◆yeTK1cdmjo :2009/02/20(金) 01:17:43 ID:pTCucpDx0
といったところで投下終了です。

エピローグを書くと言ってから一年。
リアルで忙しくなったりアク禁に巻き込まれたりで遅くなりましたがこれで本当に終わりです。

126 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/20(金) 11:52:17 ID:P8GpGamH0
おおお、投下乙でした。

江良井たん・・・・。
今回で本当に終わりなので、セーブしたところから生き返れたのか、本当に死んじゃったのか、元の世界に戻れたのか、読者の想像にゆだねられましたね。
キメラの発想、ドムドーラ崩壊の真相がおもしろかったです。

次回作に期待しちゃいます。

127 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/21(土) 00:08:42 ID:HGqMSXEtO
リーマン氏乙。
某RPGでは日本刀が登場するがドラクエの世界ではまずないので日本刀を振り回すリーマン氏を楽しみにしている。
俺氏お疲れ様でした。最近来ないと思ったらアク禁食らっていたんだな。
最後まで書き終えると安堵感と寂寥感があったりしないかw
最後の英文はドラクエらしく、背景黒で白字が浮かんでいるような風景が浮かんだ。
これで完結か…。長い間楽しませてくれてありがとう。お疲れ様でした。

128 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/21(土) 07:47:13 ID:TTqNKhtC0
>ドラクエの世界ではまずないので
っ王者の剣

129 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/21(土) 12:50:49 ID:l5cVDQut0
>>128
じパングのモデルは卑弥呼の時代だから日本刀はまだ無いぞ

130 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/21(土) 18:29:00 ID:udtK4JPr0
モデルはともかく、流石に卑弥呼の時代よりは進んでるように見えるけどなあ。

131 :※ALL GOD'S PEOPLE ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 03:19:41 ID:5nDTXzSD0
>>73-80の続き


 裸のまま、メイは暗闇を漂っていた。重力も引力もない世界で、優しい黒に抱かれている。
 ―――聞きなさい。勇者を目覚めさせるものよ。
 あなたは誰? と問いたかった。だが、メイの唇は動かず、声も出ない。
 ―――今のあなたたちでは、あの男に勝てません。勇者を見つけ、目覚めさせるのです。
 水のような、風のような、炎のような、嵐のような、何ともつかないものに包まれたまま、メイは浮かび漂う。
 ―――すべてはお前の導きのもと。さあ、行きなさい。あなたは勇者を導くもの。神の寵愛を受けるもの。
 「私は、そんなの嫌だ」
 突如出た声に、突如開いた目蓋に、メイは驚きもしなかった。
 「神様のチョーアイだのなんだのって、そんなのよくわからない。私は私。私の世界の神様は私だけしかいないもの。
……私なんかを超愛してる暇があったら、さっさと神様がその勇者とやらを導いてあげればいいでしょう。
人を知らない世界にほっぽっといて、勇者を導け?冗談じゃない」
 ―――すべてはお前の導きのもと。行きなさい。生きなさい。
 「だから。私は、私のためだけに生きてるの!そんなに言うなら、私に彼を返してよ!……"  "を返してよ!」
 ―――すべてはお前のもとに。いのちを抱くお前のもとに。
 「こっ……んの……!」
 振り上げようとした拳が空を切った。
 ―――すべてはお前の導きのもとに。すべてはお前のもとに。行きなさい。生きなさい。
    わたしは神のお告げを受ける者。神の声を授ける者。
    いずれ、お前は出会うでしょう。求め続けたその人「たち」に。
    行きなさい。生きなさい。すべては神の御許に。すべての民は神のもとに。

 「……ざけんじゃねぇぞ……このクソアマが……」
 彼女の口からは聞いたことも無いような汚い寝言に、ミネアはぎょっとしてメイの顔を覗き込んだ。
 メイは何かにうなされているように眉をしかめていたが、すぐにもとの穏やかな寝息を取り戻した。
 予知夢か、神からの言伝か。どちらともつかない夢で目を覚ましたミネアは、メイの存在に不思議な力を感じていた。
説明のつかない大いなる力。見たことも感じたこともない両極の存在。それは光と闇でも、炎と水でも、男と女でもなく、
それらすべての根源にある、まるで……。

132 :キングレオ ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 03:20:18 ID:5nDTXzSD0
 ギターを背負いやってきたのは、姉妹の父の仇がいるキングレオ王国だ。中に入った瞬間、胸が悪くなるような甘い気配に襲われる。
 甘いワインの香り。甘いのはワインの香りだけじゃなくて、女物の香水や化粧品の香りも混ざっている。
 豪奢なドレスを翻し、きゃっきゃと追いかけっこにいそしむ少女たち。その目にはどれも欲望が光る。
酒、金、服、宝石、男。ひとの欲望はとにかく浅ましかった。欲望の無い人間はつまらない。でも、度を過ぎれば―――。
 「バルザック……!」マーニャちゃんが噛んだ唇の隙間から漏らす、あの男の名前。
 マーニャちゃんとオーリンさんは、それぞれの武器を手に今にも城の中央に攻め入らんばかりの気迫だ。
私はといえば、……昨夜見た変な夢のせいで闘争心なんかこれっぽっちも湧いていないのが正直なところだった。
ひどい夢を見るものだと自分でも思う。これから殺し合いに行くっていうのに、「勝てない」なんて言われたらねぇ。
 「姉さん、あの……」
「……ん?なーにミネア?怖いのかしら?」
 ぽんぽん、とミネアちゃんの肩を叩くマーニャちゃんは、冷静でいようと必死に見える。お姉さんぶってても、この娘はまだ若い。 
 「……ううん。なんでもないの」
 ホーリーランスを握るミネアちゃんの手が、震えている。もしかしたら、ミネアちゃんも同じような夢を見たのかもしれない。
だけど、そう思いたくはなかった。だって、最初から勝てないとわかっている戦に誰が武器を取る?
 臆病大臣の部屋。そのドアの前に火薬の入った壷を仕込む。さっき聞いた話だけど、この壷の中に入ってる火薬は湿気ていて、
大きな音を出すぐらいしかできないらしい。でも、私たちにはそれで十分だ。さあ、早く出て来い。
 耳を塞いで、じっと息を潜める。耳の穴に突っ込んだ指から、甲高い女の子の声がしみこんできた。
 そして、直後に聞こえる凄まじい轟音。マーニャちゃんのイオのような爆発音だった。
こっそり壁際から様子を伺って見ると、硝煙のような鉄のくすぶる臭いと薄い煙を出しながら、火薬壷は静かにそこにいる。
さっきセッティングしたそのままだ。
 「うわあああああ!」
 情けない悲鳴を上げて、壮年の男性が飛び出してきた。それを追いかける私たち。マーニャちゃんとオーリンさんは速かった。
私とミネアちゃんは、ほんの少しはなれて彼女たち二人を追う。
 走っていった先の壁に、少しだけ色の違うところがあった。手垢で汚れたような色だ。大臣はおぼつかない手つきでそこを押す。
壁の石造りの部分が音もなく組み変わり、そこにぽっかりと縦に長い長方形の穴が出来る。
 あそこが。……あそこに……!
 「バルザック!」
 鉄の扇を開きながら、マーニャちゃんは威勢よく部屋の中に踏み込んだ。ここが玉座の間、ってやつらしい。
 部屋に入った瞬間、ウッと胸がつかえた。気持ち悪い。汗と、唾液と、……私が大嫌いな「人間の体液」の臭いが混ざっている。
空気はじっとりと湿っぽく、塩気を含んだ生臭い粒子をたっぷりと抱いていた。
換気の行き届いてないラブホテルの部屋は、こんな臭いなんだろうか。
 口元と鼻を押さえながらあたりを見回す。裸の女の子が何人も、いろんな汚いものにまみれて横たわっていた。
 誰も彼も焦点が定まらない気色の悪い目つきで、こっちを見るでもなく視線を向けている。
 「来たな、エドガンの娘たちめ」目の前にいる獣が言語を介したことに、黄金の腕輪が凍り付いている。

133 :キングレオ2 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 03:20:44 ID:5nDTXzSD0
 「進化の秘法で豚に成り下がったのかしら?……やっぱりあれは、アンタみたいな下衆には似合わないわね」
 鉄の扇の羽の一枚一枚にイオの魔力を宿らせながら、勇ましい姉は踊り子の服を翻す。対する妹は……。
 「……ミネアちゃん、後ろ下がってて。私も飛び込むから回復は全部そっちに任せる」
 さっきまでの情けない心意気はどこへやら、あの人間語を喋る獣を見た瞬間、こいつだけは片付けなきゃいけないと思った。
オーリンさんも、ミネアちゃんをかばうように前に出て槍を構える。
 「ふん、この素晴らしい秘法を葬り去ろうなどと愚かなことを考えるバカな人間など、死んで当然なのだよ、マーニャ。
お前の父は、なんとも下らん男だったな。……なぜ顔も知らん連中の貧困や飢餓のために、ああまで必死であったのか。
エドガンは、神にでもなりたがっていたのだろうか?なぁ?」
「父を愚弄するなぁあああッ!」
 火薬壷の音なんか比べ物にならないようなイオが部屋中を砕いていく。戦いの狼煙が上がったのを見たように、
私とオーリンさんが上へ下へとそれぞれ飛び上がったり滑り込んだりしながら槍を獣に突き刺した。
あんなのは人間じゃない。欲にまみれたただの獣だ。いいや、獣と言うのですら獣に失礼だ。そのぐらい腹立たしくて、禍々しい。
 「ハハハハハッ!脆弱だなぁ人間というものは!」
「うっ……ぐぁああ!」
 オーリンさんの左手首から肩までを、獣の巨大な手が握り、爪を突き刺していた。槍を引き抜き、もう一度刺す。
獣の左肩の上に乗っていた私は、今度は頭を狙ってホーリーランスを振り上げた。切っ先が青い体毛を掠める。
ぱらぱらと短く切り込まれた毛が床に落ちた。
 「ん〜……?」
 淀んだ金色の目が私を捉えた。オーリンさんの腕を掴んでいた手がこっちへ伸びてくる。避ける時間がない。
鉄の盾を構えて、悪あがきでもするかのように足の裏を支えていた獣の肩を思い切り踏みつける。思い切り、だ。
この固い革のブーツの踵でなら、骨にヒビぐらい入るはずなんだ。
 「お前は見ない顔だなぁ〜……?くんくん……フハハハッ、随分といい匂いをさせている。これはメスの匂いか?
それとも、……強大な魔力の臭いか?」
 背筋と左腕にぞっと冷たいものが迸る。肩から落ちてもいい。こいつから離れないといけない。
 「汚ぇ手で触んじゃねぇよ、このブ男が!」……言葉を作ってる余裕すら、もう無かった。
 槍の切っ先からメラを放って隙を作る。目元にあたった火の玉は、まるでそこに虫でもぶつかってきたかのように振り払われた。
その拍子にこにつの肩から落とされて、右ひざを思い切り床に打ち付けた。
チクショウ、奴の肩の骨にヒビが入る前に、こっちの膝の皿がイカレそうだ。
 「知ってる。知ってる。知ってるぞ……。お前の匂いは進化の秘法の匂いだ。
俺がこの素晴らしい肉体を手に入れた瞬間に嗅ぎ取った、天国の匂いだぁああ!」
 涎を垂らしながらこっちに突進してくるバルザックに、強烈なギラの炎が襲い掛かる。だめだ。ほとんど効いてない。
 「メイさん!走って!」
 ミネアちゃんのホイミで右ひざの痛みが消えた。オーリンさんが薬草で腕の止血をして奴の後ろに回りこむ。
バルザックの胸からオーリンさんの鉄の槍が突き抜けてきた。なのにまだこいつは動いている。

134 :キングレオ3 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 03:21:18 ID:5nDTXzSD0
 「進化だ!進化だ!『いのち』の進化の匂いだ!」
 オーリンさんの攻撃も、マーニャちゃんの魔法も、ミネアちゃんの神秘の気配も、もはやこの男には見えていない。
進化の秘法でこんなバケモノになった今、バルザックは目の前で嗅ぎ取った黄金の腕輪の匂いを追って、
……ひいては私を追って、凶暴な拳を振り上げ、火を噴く。
 「メーーーーーーイ!!!」マーニャちゃんの絶叫が私の名前を呼ぶ。
 狭い玉座の間の中を、ひたすらに逃げ回る。ときどき柔らかいものを踏んづけて「ぼきん」という鈍い振動が脚から伝わってきた。
それがさっきまで横たわっていた女たちの腕や脚だとわかって、腰が抜けそうになる。
私に踏まれて骨を折られても、女たちはなお生きているのか死んでいるのかわからない顔でうち捨てられていた。
 「ハァハハハ!お前が今踏みつけている女共も、進化の秘法で俺好みにしてやったのだ!理想の肉体を手に入れた代わりに、
理性なんぞとうの昔に崩壊しちまったがな!」
「メイさん!待っていてください!今加勢します!」
「だがお前は完璧だ!美しい顔、大きな乳房、細い腰、締まった尻、何もかも揃っている!それはお前の持つ、その魔力の塊のせいか?
それとも生来の器か?どちらにせよどうでもいい。よこせ!お前の左腕で震えているそいつをよぉ!」
「ギラッ!」
「それさえよこせば、お前とエドガンの娘たちは生かしておいてやる。俺の女として一生の寵愛を約束してやろうぞ!
さあ、早くよこせぇぇええ!」
「ホイミ!オーリンさん、逃げて!」
 ……うるせぇ。どいつもこいつもピーチクパーチク。いろんな声と音が交錯しすぎて、耳から苛立ってくる。
 ここでも「寵愛」ですか。神様になりたかったのはマーニャちゃんとミネアちゃんのお父さんじゃなくて、
ほかでもないあいつだったんじゃないの? でも自分でそう思うのも、強靭な肉体を手に入れたとはいえ神にはなりきれてない
現実を認めるのも嫌なんだ、あの獣は。
 もういい。何もかも吹き飛ばしてやる。あいつはこの世に存在したままでいいもんじゃない。
殺すのも殺されるのもまっぴらごめんだったけど、あいつだけは死ななきゃいけない。……あなたもそう思うでしょ?
ならちょっと力を貸しなさい。マーニャちゃんが使っている、あの何もかもを吹っ飛ばす魔法を使うから。
 くるりと振り返って、バルザックが目と鼻の先まで迫った瞬間に、右手を突き出し大声で叫ぶ。
 「イオ!」
 即席にしちゃ上出来だ。鼓膜が破れるんじゃないかってぐらいの音が至近距離で爆発する。
青い体毛を焼き焦がし、血と内臓の一部を撒き散らしたバルザックは、あっけに取られたような顔で自分の腹をさすったあと、
わなわなわなわなと震え始めた。
 「貴っ……様ァアアァアァア!」
 腕を振り上げるのを目で追えなかった。左の太腿あたりに何かがぶつかって、そのまま弾き飛ばされる。
私を受け止めようとしたオーリンさん、巻き添えを食ったマーニャちゃん、弾き飛ばされた私たち三人に巻き込まれるミネアちゃん。
 壁に叩きつけられてもなお立ち上がろうとした私たちが最後に見たのは、紅の炎だった。

135 :キングレオ4 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 03:22:14 ID:5nDTXzSD0
 冷たい石畳の感触で目を覚ます。ほかの人たちはまだ臥せったままだった。
あわててみんなにホイミを唱え、傷を癒してゆすり起こす。まずはマーニャちゃんを。
そして、マーニャちゃんがミネアちゃんを、私がオーリンさんを、同じように起こす。ここはどこだろう。暗い。
 「四人とも、目を覚ましたかい……?」
 乾いた咳と共に流れてくる声は、年老いた老人のものだった。右の人差し指にメラを灯して周囲を探る。
ぼろぼろの衣服を着たおじいさんが、濁ってしまった目で心配そうに私たちを見ていた。
 「ここは……?」痛むらしい頭を押さえながら、ミネアちゃんが不安げに言う。
「キングレオ王国の地下牢じゃ。ゴホッ……ゴホ……お前さんたちは、錬金術師エドガンの娘たちだね。
バルザックに殺された父の無念、晴らすことが出来なかったのはさぞ悔しかろう」
 冬の木の枝のような指で、おじいさんはそっとミネアちゃんの頬を撫でる。そのしぐさに、姉妹の顔が驚愕の色に染まった。
 「王様!」「キングレオ様!」姉妹のそっくりな二つの声が、重なる。
 キングレオ? バルザックはこの男のもとについていたんじゃないの? だって、王様で、キングレオって……。
そういえば、バルザックはあの玉座の間に一人だった。じゃあ一体誰がこの国を治めてるって言うの?
 「すまない。今この国を治めているのは、魔族にそそのかされて魂を売り渡してしまったわしの息子じゃ……。
姉妹たちよ。北の大国エンドールへ行くがよい。あの国は大きい。人も多い。そこを拠点に、伝説の勇者を探すがよい。
バルザックは、けっしてこの世に生かしておいてはならぬ。その手で、父の仇を討ちなさい」
 マーニャちゃんとミネアちゃんの頭をそれぞれ撫でて、薄汚れたベッドの下に、王様は細い腕を滑り込ませた。
そこから、くたびれた封筒を取り出してマーニャちゃんに握らせる。
 「王様、これは……?」
「ハバリアからエンドールへ向かう定期船の乗船券じゃ。これでエンドールへ向かいなさい。誰にも見つからないように」
「で、でも!王様は!?王様はどうするの!?こんなところに閉じ込められて!」
 泣き出しそうな顔でマーニャちゃんが叫ぶ。ミネアちゃんも何度も頷いて、王様のもとへ駆け寄った。
 「この国がこうなったのもすべてわしの責任じゃ。わしはまだ、この国を見守らねばならぬ。
……お前たちは行きなさい。いつかまたここへ来る時に、わしを助け出しておくれ」
 王様の目はその一瞬だけ強く輝いていた。再び体の苦しさで淀んでしまった目を私とオーリンさんに向けて、
王様はかすれた声で言った。
 「お主たちは……?おお、お主はエドガンの弟子ではないか。お前がいても、バルザックには勝てなかったか……。
奴め、進化の秘法をなんという愚かなことに使ったのか。……守ってやりなさい、この娘たちを」
「国王陛下……。わかりました。このオーリン、命に代えてもお嬢さん方を守り抜きます」
 ぐっと目を閉じて、オーリンさんは王様の足下に跪き、裸の脚の先に口づけをした。強い忠誠と誓い。
そのすべてを込めて。
 「して、お主は……?それは、ギターか?そうか、旅の楽芸師か……。見たところ、かなり腕が立つようじゃ。
お前もこの娘たちの力になってやりなさい」

136 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/22(日) 03:27:06 ID:z3gtxF8GO
トリップないけど自分で連投回避。
リーマン氏乙です。
「なんと!」がツボですw

137 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/22(日) 03:27:51 ID:z3gtxF8GO
連投回避

138 : ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 03:29:49 ID:z3gtxF8GO
連投規制に引っかかったorz
こないだは8回まっいけたんだけどな。
続きは明日にでも投下します。切れ切れで申し訳ありません。

139 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/22(日) 04:38:08 ID:wtdNTqw80
あれま、連投規制乙です・・・。
そう、ここでは勝てないんですよね・・・。勝てないとわかっていても手に汗握る戦いでした。
玉座がここまで荒廃していたとは。ほんと生かしておいてはいけない輩です。
即席イオ、メイさんすごいっ!腕輪は・・・無事なのかまだわからないけど、明日楽しみにしますね^^

140 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/22(日) 08:19:34 ID:d8MUsUHH0
いや原作は勝ったけど止めを刺す前にキングレオが出てきてやられた。

141 :キングレオ5 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 23:09:44 ID:5nDTXzSD0
>>131-135の続き

 「がくげいし」という言葉は初めて聞いた。多分、音楽を芸にした生業のことだろう。
ギターを持つ私を認めてくれる、やたら格好いい言葉だった。言われたのが今この場であることが、ひどく悲しくて悔しい。
 「はい。必ず」私がそう返事をした瞬間だった。
「おい、うるさいぞ。あんまり騒ぐとキングレオ様に報告する。静かにしていろ」
 鉄格子の扉の向こう側、薄暗い廊下で一人の兵士がこっちに背を向けて立っている。見張りだろう。
いらだったような、緊張しているような声と様子で、なんだか落ち着きが無い。舌打ちを飲み込んで静寂を決め込むと、
見張りの兵士は鉄格子の扉に寄りかかり、背中を向けたまま俯いた。
 「お前達が騒ぐから、私は疲れて眠くなった。これから私が何を言おうと、それは寝言だ。気にするな。
……この地下牢には、昔捕らえていた盗賊が掘った抜け道がある。壁が壊れているところをもぐっていけば、城門の前に出るだろう。
これは寝言だ……。いつか、お前達が伝説の勇者を引き連れて、この国を元の美しく平和な国に戻してくれることを祈っている」
 最後のほうは、声が震えていた。
 一人の兵士が、壊れていく国家にどう抗えるって言うんだろう。どれだけこの人は悔しい思いをしただろう。
 「……行くわよ。王様、あたしたちは必ず戻ります。必ず、伝説の勇者をつれて、この国を元に戻しに来ます」
 マーニャちゃんが王様の手を握り、しっかりと目を見つめて言った。王様は深く頷き、「さあ」と私たちを促した。
鉄格子の間から差し込む光を頼りにしながら、手探りで壁をなぞる。ミネアちゃんが「あっ」と小さく声を上げた。
 「ここです……ここから……」
 暗い穴を、武器やギターをかいくぐらせて、体をくねらせながら抜けていく。ごつごつした急斜面を這い上がり、
行き止まりになっている天井のような部分をオーリンさんが強く押し上げた。
細い光が差し込む。力任せにオーリンさんが天井をこじ開ける。
 城の城門を開ける時も、こうやってオーリンさんが道を開いてくれた。
 抜け穴から出ると、真昼の太陽がじりじりと肌を焦がした。地下よりは幾分きれいな空気を胸いっぱいに吸い込もうと
口を開こうとした矢先、男の人が驚く声が降ってきた。
 「なっ、何奴!?ええい、曲者か!」
 昨夜見た夢を思い出す。神様が本当にいるなら、こんな最悪なタイミングで最悪なことが起こるはずもない。
やっぱり神様なんていないか、いたとしても増えすぎた人間をすべて守るのには手が回らないってことじゃないかと思う。
 私たちを見つけた兵士は、伸び放題になった芝生を踏みつけて仲間を呼ぶ笛を吹いた。ピィーという甲高い音が耳障りだ。
 ギターを引っ掛けないように、それでも素早く穴から抜け出たその時、……オーリンさんは笛を吹いていた兵士に飛び掛った。
 「きっ、貴様、何をする!大人しくしろ!」
 体当たりを食らって吹っ飛ばされた兵士はすぐさま立ち上がり、鉄の槍をオーリンさんに振り上げた。
金属がぶつかる音が、ガキィンと空に溶けては消えを繰り返す。
 「やはり見つかったか……。メイさん、お嬢さんたちを頼みます。ここは私は引き止めます!さあ!」
 そして、最悪のタイミングに起こったことはさらなる最悪に向かって速度を上昇していくものだと、やり場の無い怒りと
絶望にぶち当たった私は思うんだ。

142 :キングレオ6 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 23:11:43 ID:5nDTXzSD0

 「そんな、無茶よ!たった一人でそんなことができるはずないわ!こっちへ来て!オーリンさぁああん!」
 今にもオーリンさんに加勢しようと走り出しそうなミネアちゃんを、とっさに羽交い絞めにしてしまった。
ああ、こんなことしたら、私またこの娘に恨まれるじゃん。
 ……でも、でも、……ここでミネアちゃんを行かせたら……。だって、駄目じゃない。そんなの。
この娘たちには、まだやるべきことがある。やらなきゃならないことがある。
奴を、バルザックを倒せるのは、今はまだ無理だとしても、この娘たちにしかできないことじゃない。そうでしょ。
 城門が乱暴に開いた。大勢の兵士達が、オーリンさんと槍を交わしている仲間に向かって武器を構え、走ってくる。
いくらオーリンさんが力自慢であっても、あの数を相手にしたら。
 「おいおい、なんだぁ?」
「なんかお城の外が騒がしいわねぇ」
「何かあったのかしら?」
 城内で遊んでいた人間達が、男女入り混じって城門の前まで出てきた。始まりそうな喧騒に嬉しそうなヤジを飛ばし、
きゃーきゃーと喜ぶ女たちの声に、男たちはさらに盛り上がる。
 「酷い状況に出くわしたもんね……。ミネア!メイ!下がってな!……あの数ならイオの一発程度で全員死にはしないはず!」
 硝煙の匂いに似たイオの魔力が、マーニャちゃんの鉄の扇に集まりだす。
ある程度力を抑えているのは、兵士とはいえ人間だからなんだろう。
 「ほう……どこから抜け出してきたのだろうな、お前たちは」
 城のバルコニーから、男の声がする。見上げると、そこには獅子のような金髪を風に揺らしながら立っている若い男がいた。
石畳に刻まれた紋章と同じものが、その胸に光っている。……あれが、魔族に魂を売ったっていう、キングレオ王の息子?
……そうだ。そうに違いない。あいつが、諸悪の根源か。それとも、あいつをそそのかした魔族が悪いのか。もうわからない。
 「わたしの愛しい国民たちよ。あの色眼鏡の女を見ろ。奴の左腕、肩から先をもぎ取って私に持ってきた者には、
望むとおりの褒美をとらせよう。さあ、行くがよい」
 男は楽しそうに言ってから、すぐに城内へ戻ってしまった。
 望むとおりの褒美。
 酒、女・男、貴金属、食べ物、綺麗な服。すべて揃ったこの城にいて、これ以上、この欲望にギラついた目をした人間たちは
いったい何を望むんだろう。ワインを豊満な胸元にこぼして遊びながら「この国に来て良かったわ!飲んで遊んで踊って。
ここはまるで天国ね!」と叫んでいた女を、城に入ってから最初に見た。
 欲望を満たせる場所が天国なら、あの人間達が死んだ後に行き着く先は、どこだって言うんだろう。
 ざっと見ても兵士の倍近い数の人間が、どこにそんなにいたのかってほど、こぞって城内から飛び出してくる。
「色眼鏡の女?」「あいつだ!」「左腕をよこせ!」と叫びながら、食事用のナイフだの酒瓶を割ったものだのを手に向かってくる。
 「……なんて、数なの……!」
「姉さん、オーリンさんが……」
 正直者がバカを見るってのは、どこもここも変わらないんだ。私が今、虚しいと思うことすら愚かなんだろう。
黄金の腕輪が冷たく凍えている。恐怖ではなく、悲しみに温かみを手放して。

143 :キングレオ6 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 23:13:03 ID:5nDTXzSD0
 サングラスで隠していた両目から、ぽろぽろっと一粒ずつ涙が流れた。それ以上は泣く余裕も気持ちもなかった。
脳が命令したとおりに左腕が上がり、私と同じように泣いているのであろう黄金の腕輪が無理な熱を持ち始める。
強がりが得意なこの神器は「自分を悪魔にさせないでくれ」と願うように、閉ざしていた力を再び私へ送り始めた。
  「……メイ、あんた、その力でイオを打ったら―――!」魔力を溜め始めた私にマーニャちゃんは叫ぶ。でも。
 ごめん、マーニャちゃん。今の私はあの人間たちを慈しもうとは思えないよ。姿かたちは私たちと同じでも、
ああなってしまったらもう、ただの肉の塊で、からっぽの中身は欲望で埋め尽くされているようにしか見えないんだ。
 萎縮する喉を意識的に広げ、肩幅まで脚を開き、めいっぱい息を吸い込む。肺に溜まった空気を押し上げて、声帯が震えた。
 「イオ!イオ―――――っ!!!!」
 城の右の塔と左の塔。「二つ」の爆発が起きる。崩れた瓦礫の下敷きになって、大勢の兵士と人間たちが死んだだろう。
オーリンさんは苦肉の策を見たかのような顔で一度だけ私を振り返り、唖然とする兵士の腹に槍を突き刺して叫ぶ。
 「さあ!お嬢さん方!」逃げろ。行け。オーリンさんの悲痛な思いが声に混じっていた。彼が犠牲になら泣ければ全員が死ぬ。
マーニャちゃんもミネアちゃんも、もちろん、私も。それはもう、変えられない。
 「め、い。あんた、いま」
「………」
 恐怖と驚愕に震える姉妹の手を引いて、私は走り出した。ミネアちゃんが泣き叫びながらオーリンさんを呼ぶ。
すべてを悟り諦めで腹をくくったマーニャちゃんの手を握っていた左手を離し、再び城へ引き返そうとするミネアちゃんの
鳩尾に一撃、素手の拳を叩き入れる。力なく倒れようとする体をギターと一緒に背負い、私たちは走った。北へ、北へ。

 走って、走って、ハバリアまでたどり着いた。南の空には高く高く煙が上がっている。爆発のせいで火事でも起きたんだろう。
 マーニャちゃんは町へ着くと、動きづらいからと言って戦闘のときは脱いでいた毛皮のコートを着た。
同じものをミネアちゃんにも羽織らせる。姉妹でお揃いの髪飾りを取り、リボンで髪を束ねた。これだけで随分印象が変わる。
 「……メイ」
「ん……?」
 船着場で乗船券を渡し乗り込んだ船の甲板で、マーニャちゃんは強い意志を秘めたあの黒水晶の瞳で私をにらみつけた。
……もう、何をされる覚悟も出来ている。この娘たちの前で連続魔法を使ってしまったことは、
黄金の腕輪を私が持っていると大声で言いふらしているようなものだ。直接説明しなくてもあんな芸当が出来ることぐらい、
進化の秘法を生み出した錬金術師の娘ならわけもなく知っているだろう。
 「言いたいことはいっぱいあるけど……あんたは逃げなさい。古い魔法だから、どこに飛ばしちゃうかわからないけど」
 私から離れてマーニャちゃんが集めた魔力は、攻撃魔法のものとは違う匂いがする。何をするつもりだろう。
 「……メイさん。わたし、ちゃんと、ちゃんとあなたのこと―――……」
 泣きながらミネアちゃんが私にホイミを唱える。癒しの光が消えた途端、矢を番えた弓の弦を限界まで引き伸ばすように
魔法を構えていたマーニャちゃんが握り締めていた魔力を手放した。
 「バシルーラぁ!!!」
 白い光に包まれた私が一回の瞬きの後に見たのは、はるか下に船を臨む大空だった。

144 :※THE OUTER MISSION 4 ◆fzAHzgUpjU :2009/02/22(日) 23:14:55 ID:5nDTXzSD0
 父の研究手記に記されていた古代魔法の封印を解いた姉は、その手から迸る魔力がなくなった瞬間崩れ落ちた。
彼女をどことも知れない場所へ飛ばしたことは間違いではないと言い聞かせ、季節はずれの毛皮のコートの袖を握り締める。
 妹は、出会った最初の頃こそひどく彼女を嫌っていた。得体の知れない力を感じる。そう言って近づきもしなかった。
しかし、ある日を境に妹は彼女を怖がらなくなった。
 「優しい人だった」。それだけ言って、不器用な性格で精一杯彼女を好いていた。
 姉は女三人で他愛の無い話をしている最中、ずっと願っていた。どうか妹の思いが彼女に伝わっているように、と。
 船が出港する直前、ハバリアの自警団が「キングレオから反逆罪の女たちを追えと連絡があった。
踊り子と占い師、色眼鏡の怪しい女を見たら知らせてくれ」と姉妹に呼びかけた。
高価な毛皮を纏った姉妹は、踊り子にも占い師にも見えなかったし、色眼鏡の女も見当たらない。
自警団は言うだけ言って、船から降りていった。ほどなく、船は出向した。
 「姉さん……メイさんは、ちゃんとわかってくれたかしら……。あんな酷いことを言ったわたしを、許してくれたかな……」
 銀のタロットを波で揺れる船の床に広げ水晶玉を手にしても、何も見えてこない、と妹は嘆いた。
 「あったりまえでしょ。あんたはこのマーニャ様の妹なのよ?メイだってあんたがいい子だってことぐらいわかってるわよ」
「……ええ。そうね。きっと、わかってくれているわよね……」
 姉妹は甲板でぬるい潮風を浴びながら、水平線に沈む夕日を見つめていた。彼女たちの誓いも、あの色と同じように燃えている。



 第四章 完


Lv.14 メイ
HP:55/61 MP:43/58
E ホーリーランス
E 鉄の盾
E 革のコート(毛皮のコートの守備力-2)
E −
E サングラス・黄金の腕輪

戦闘呪文:ホイミ・スカラ・メラ・ヒャド
戦闘特技:なぎ払い・連続魔法(黄金の腕輪の効果)・一閃突き
所持金:943G


※『アッテムト5』の時点で、メイのレベルは14まで上がっていました。
 >>143のタイトルは『キングレオ〜ハバリア』です。訂正してお詫び申し上げます。
 

145 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/23(月) 00:41:25 ID:KEqFFAiC0
乙でした〜。

ふと気付くと、かなしい顔をして読んでました。

あなたの文章、大好きです。

146 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/23(月) 02:39:13 ID:bve2j3ep0
>>144
超乙
いよいよ5章か
皆との再会にwktk

リーマン氏も全然稚拙な文章なんかじゃないぜ
めっちゃ面白いぜ

147 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:30:18 ID:/YC/F6zk0
こんばんは。GEMAです。
第17話後半投下します。

深夜ですがお付き合いのほどヨロシクです。

148 :17話後半【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:34:27 ID:/YC/F6zk0
「ルラムーン草の光は、嘗て暗い夜道を照らすランタン代わりに使われておった。
 ルーラという呪文の派生よりも古い時代から人々の足を守ってきたのじゃ。
 今、ルーラは己の存在の意味を見失って言葉だけが宙に浮いている状態。
 ルラムーン草はルーラに本来の意味を取り戻させる最高の触媒なのじゃ」

実験の最終段階に移る前に、爺さんの講義が始まった。
顔を真っ赤に上気させ、興奮した様子で講釈をまくし立てる。
無理もないよな。長い時間を費やした研究がやっと実を結ぼうとしてるんだもんな。

「それでは…わしの半生を賭けた実験もいよいよ大詰めじゃのう…
 …のう、サトチーや。ルーラはお主の手で復活させてやってはくれんか?」

その顔を煮え立つ釜に向けた爺さんが、ふと、寂しそうな顔を見せる。

「この呪文に一番必要なのは、暗い道を恐れず前へ進もうとする『探究心』じゃ。
 若いお主とは違って、わしには前に進む時間も少ない事じゃしのう。
 わしの役目は失われた過去の遺産を若い世代に伝える事。
 それによって、お主らが新たな探究心を抱いてくれる…それが一番じゃ」
「わかりました。ルーラの呪文とその心は確かに僕が受け継ぎます。
 そして、先々の世代にも責任を持って伝えていきます」

爺さんとサトチー。
子と孫ほどに歳が離れている二人。
釜を煮立てる赤い炎と、サトチーの手の中で青白い光を放つルラムーン草。
力強く、優しい光で照らし出された二人の顔が同じ方向に向けられる。

「よいか、サトチー。イサミ。いかなる時も探究心を忘れてはいかんぞ。
 強い探究心は勇猛なる竜の如き力の奔流となって、未知への扉を切り開く。
 決して忘れるではないぞ!」

爺さんの檄を合図に、サトチーの手に収まっていた光の束がふわり…と宙を舞った。

149 :17話後半【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:36:01 ID:/YC/F6zk0
釜に投げ込まれた淡い光。

それが一瞬弾け、光の渦を形成し部屋中に迸る。

目を開けているのか閉じているのかもわからない。

轟々と唸り声を上げる世界の中。

激しく、優しく視界を駆け巡る光の濁流の中。

何かがそこに生まれたのを感じた。

150 :17話後半【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:41:03 ID:/YC/F6zk0
視界が晴れると、部屋は元のまま静寂を保っている。
さっきと違うのは、俺達を照らしていた炎ともう一つの光が消えており、
ようやく顔を出し始めた太陽の頼りない光が窓の隙間から差し込んでいる事だけ。

―もう、朝なんだなぁ…

薄暗い部屋で、俺もサトチーも爺さんも呆然と立ち尽くす。

そうだ。ルーラは?

「…サトチー?」

サトチーは沈黙したまま、ただただ呆然としている。
まさか…失敗?

「…あぁ、ごめん。ついボーっとしてしまって…」
「して、どうなのじゃ?」

ようやく我に返ったサトチーに、主語のない問いが向けられる。

「この、サントチエロ・アメティスター。長い長い時間を超えて、
 古代魔法ルーラを確かに受け継ぎました」

サトチーが爺さんにうやうやしく礼を向ける。
窓から漏れる一条の朝日に照らされたその姿は荘厳で気高く、
まるで聖職者か王侯貴族のような雰囲気を醸し出す。


151 :17話後半【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:44:00 ID:/YC/F6zk0
「本当に…こやつは手のかかる子じゃった…」

ぺたぺたと、すっかり冷え切った釜を手の平で叩きながら爺さんが呟く。

「この魔法の研究に取り掛かったのはいつの日じゃったかのう。
 何十年も前に古い文献でふと目にしたルーラという魔法…それからじゃ。
 何度も失敗して、何度も何度も古文書や魔導書を読み漁って…
 気付けばわしはこんなにも老いさらばえておったわい」

ついさっきまで俺達に力強い檄を飛ばしていた爺さんの背中が小さく見える。
それは、俺が上京する時に電車の窓から見えたホームに立つ母親の姿のようで…

ふと、向こうの世界の家族の姿を思い出す…

真っ白な記憶の向こう側に、父ちゃんと母ちゃんを探す…

「では、そろそろルーラを見せてもらおうかの」

爺さんの言葉で意識が引き戻された。
それに応え、サトチーが頷く。

―俺までぼんやりしちまったなぁ。そういえば一睡もしてねえや。

目を瞑じたサトチーの手がさぁっと広げられる。
蜃気楼のようにぐにゃりと歪む景色。
この世界の魔法に詳しくない俺にもわかる空気の変化。
そして、その言葉が解き放たれた。

        ル ー ラ


152 :17話後半【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:47:03 ID:/YC/F6zk0
部屋に一人残された老人。
静かになった部屋の中、しゃがれた笑い声が響く。

「ふぉっふぉっ…若い者はえぇのう。若者は巣立ち、育ち、育み、そして遺す。
 若者はこれからどのように育ち、どのような未来を育み、何を遺すのかのう」

薄汚れた書物や、毒々しい色の薬瓶が散乱する部屋を一通り見回し、
部屋の中を一周した瞳が再び無口な釜に戻ってくる。

「ふむ…わしにはまだまだ遺す物がたっくさん残っておるわい。
 限られた時間じゃが、お主にももう一仕事してもらうかのう」

こーん…と、細い拳で小突かれた大きな釜。
老人の探究心に返答するように、静かに…心地よい音を反響させていた。





イサミ  LV 17
職業:異邦人
HP:80/80
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鉄の胸当て
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――

153 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/02/23(月) 03:52:52 ID:/YC/F6zk0
第17話投下終了です。

ちょっとリアルでいろいろありましてだいぶ間が開いてしまいました。
なんとか最後まで続けようと思いますので、これからもよろしくです。

154 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/23(月) 04:04:27 ID:b/zHq1g40
GJです。
楽しみに待ってた甲斐が有りました。
これからも楽しみにしています。

155 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/24(火) 02:58:55 ID:XJn7ciX60
GJ!!
原作ではそんなに深く考えないでルーラを覚えたが、
あの爺さんでこんなに感動するとは…!

156 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/25(水) 15:38:19 ID:gDP1nuiLO
ぬるぽ

157 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/25(水) 17:34:28 ID:1V/ddVnF0
いまどきぬるぽする人がまだいたのか。
がっ。

158 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/02/26(木) 08:03:29 ID:bPwqeZny0
毎回寝る前に「目が覚めたらDQの宿屋だったら・・・」と妄想して
布団に入ってからウトウトするまでストーリー妄想し続けてる



159 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/01(日) 13:40:34 ID:cjmfCxW6O
保守

160 :保守代わりに ◆fzAHzgUpjU :2009/03/03(火) 00:54:43 ID:vk9cTgPI0
マーニャ「どうもー!えー、『ドードードリー』と申しますけどね。今日もマーニャとメイで漫才して行こうと思いますけd」
メイ「男性読者のみなさん!メイのオッパイは空いてますよぉー!?」
マーニャ「……えー、ねぇ。今ちょっと卑猥な言葉が聞こえたんですけども」
メイ「ヘェッ!w」
マーニャ「えー、はい。今日も元気に漫才やって行こうと思ってるんでね、イケメン読者の皆さんよろしくお願いしますね」
メイ「どー見てもイケメンじゃないのばっかりだろ!」 バシッ!
マーニャ「失礼でしょ!(ベチッ!)謝んなさいよアンタ!」
メイ「ごめんネwww」
マーニャ「えー、謝ったら許してあげて欲しいんですけどね」
メイ「だが今モニタの前にいるお前は(゚听)9mどーみてもイケメンじゃないけどな!」
マーニャ「指を指すんじゃないわよ!」 ベチッ!
メイ「土下座しろよ!」 バシッ!
マーニャ「アンタがしなさいよ!アンタの代わりに謝ってあげてんだから!」 ベチッ!
メイ「ウィ」
マーニャ「ウィじゃないわよバーカ。えーなかなかね、この話の作者含め書き手の皆さん忙しいみたいでマターリ進行なんですけど、
     もしこのドラクエの世界にね、別の世界から来たとなったら皆さんどうするでしょうね?」
メイ「最初のスライムに殺られるよ!」 バシッ!
マーニャ「ストーリー進まないじゃないのよ!(ベチッ!)ちったぁ考えなさいよアンタは。死にたいわけホントに。
     でね、えー、もしも皆さんが夜眠って朝起きたら」
メイ「私はこっちの世界じゃ死なないよ!」バシッ!
マーニャ「じゃあ大人しく息してなさいよ!」 ベチッ!


161 :保守代わりに ◆fzAHzgUpjU :2009/03/03(火) 00:55:11 ID:vk9cTgPI0
マーニャ「……えー、突然そこがドラクエ世界の宿屋だったらまずは目を疑うでしょうけど」
メイ「普段から妄想して旅してるから疑わねーよ!」 バシッ!
マーニャ「妄想狂かアンタは!(ベチッ!)普通は起きてドラクエの宿屋だったらびっくりするもんなのよ!」 メイ「ウィ」
マーニャ「えー、でね。ドラクエの世界には魔物が出るわけですから、まずは身を守れる防具をちゃんと買いたいところですよね」
メイ「私は武器派だよっ!」 バシッ!
マーニャ「……で、ですね。あたしは魔法が使えるけど力がないんで、
     まずはしっかりと身を守るために固い盾が欲しいと思うんですけれども」
メイ「固い防具で身を守る前に身を固めろよ!」 バシッ!
マーニャ「うるさいわね!(ベチッ!)もーアンタちょっと黙ってなさいよ!
     えー、それで、あたしがいつか装備したいと思ってるのが『メタルキングの盾』なんですけれどm」
メイ「いや私が黙ってたら漫才できなくない!?」
マーニャ「そこはもう終わったわよ!(バシッ!)アンタを盾にして単身キングレオ城に突入するわよ!?」
メイ「お前それ本気で言ってんのか?」
マーニャ「本当に本気だったら今まで一緒に旅してきてないでしょ」
マーニャ・メイ「ェヘヘヘヘヘヘッ!wwwww」
メイ「まあ、私は本心でお前らと旅がしたかったわけじゃないけどな!」
マーニャ「感動ブチ壊しじゃないのよ!(ベチッ!)いい加減にしろ!」
マーニャ・メイ「どうも!ありがとうございましたー!」





メイ「……何やってんだろう私……。保守なら『保守』ってちょっと書き込むだけでいいってのに……」
マーニャ「作者がオー○リーにハマった後にRさんとこのタツミくん・アルスくんコンビのオリラジ読んじゃったのが運の尽きよ……」

おそまつさまでした。

162 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/03(火) 01:57:07 ID:9d/RP3SD0
メイのオッパイ・・・・一番乗りかな?
ハァハァ(;´Д`)

163 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/03(火) 06:54:25 ID:7hRZaKgIO
左のおっぱいはもらった

164 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/03(火) 21:18:21 ID:DWqp3GKOO
二人の漫才が目に浮かぶような文章でGJ。面白かった。

165 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/04(水) 08:10:27 ID:ci+VSANY0
二人が漫才してる所想像して吹いたwwww
キセルから飛び出した煙草で足をやけどしちまったよw

166 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:18:59 ID:QWCjuF4zO
皆様こんばんは、リーマンです。
今夜も少し投下させていただきます。

今回もグダグダ長文ですが最後までお付き合いいただけたら幸いです。

167 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:19:51 ID:QWCjuF4zO
>>101-116

急展開を迎えた1日から一夜が明けた、結局私は朝まで眠ってしまったようだ。
右手を動かしてみる、本当に骨折していたのだろうか?まったく痛みは無い。

魔法か・・・、ゲームでは数字のHPが回復するだけだったけど実際に体験してみるとなんとも不思議な力だ。
オルテガさんはベホマをかけてくれたみたいだ、是非とも次は意識がしっかりしている時に見てみたいものだ。

しかし疲れて眠ってしまった事を思うにホイミ系は傷の治癒はできても体力の回復はできないのだろう。


「あら?起きた?」
「おはようございますルイーダさん」
「気分はどう?良く眠れた?」
「とても良い気分ですよ、ありがとうございます」

思い切り疲れてグッスリ寝たのだ、今までに無いくらい気分は良かった。

「では朝食を作りましょうか」
「起き抜けで悪いけどやっぱりカオルさんの手料理が食べたいわ」
「昨日の夕食が食べれなくて残念です」
「ん〜・・・、食べなくて正解だったかも?」
「失敗してしまいましたか?」
「あははは〜・・・、ちょっとね〜・・・、味見はしてもらったんだけど・・・、ね」
「お気になさらず、練習すれば上手くなりますよ」


ベッドから出て階段を降りる、どうやら疲れは完璧に取れたようだ、体がとても軽い。
階段を降りるとカウンターも壁も元通りに治っていた、たった一晩で?オルテガさんも多才な方だ。

「綺麗に治りましたね、オルテガさんが一人で?」
「城の兵士達も手伝ってくれたわ、城壁のついでにって」

流石にオルテガさん一人では無理か。

「そうですか、王の謁見のついでにお礼を言いに行きましょう」
「お願いね」

かなりお腹は空いていたが今日はオルテガさんの特訓もあるので朝食は軽めに済ませた。
トースト・ベーコンエッグ・サラダ・スープとシンプルなものだったがなんでも美味しいと食べてくれる人がいると嬉しいものだ。
京子も伊代も私の料理を喜んで食べてくれていたな、今頃どうしているだろうか?

「ごちそうさま、今日も美味しかったわ!」
「お粗末さまでした、では私は王城へ行ってきます。その後オルテガさんの所へ行ってきますが昼頃には一度帰ってきますよ」
「は〜い、いってらっしゃい。でも今日のランチはお手伝いを呼んであるから大丈夫よ」
「わかりました、でも一応帰ってきますよ」


168 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:20:46 ID:QWCjuF4zO
城へ行くのは今回で二度目だ、一度目は一ヶ月前ルイーダさんと一緒に、新しく城下町に住む人間としてお目通しをする為に。
それ以来一度も行っていない、まあそうそう用のある場所では無いので当たり前の話だが。
ゲームでは1〜2分で着くのだが実際に歩いてみると30分くらいかかる、だがその30分がこの上なく楽しい。

まるで中世を思わせる街並み、朗らかに笑う人々、土の香り、心地よい風、水のせせらぎ。
その全てが私の心を洗う、15年前、京子と新婚旅行で行ったイタリア南部カプリ島。
青の洞窟目当てに行ったのだが途中寄った小さな村ののどかな景色に私はとても感動して夢中でシャッターを押しまくったっけか。

このアリアハンはその村とどことなく似ている、いや、それ以上に素晴らしいかもしれない。
そんな事を考えながら歩いていると王城の門にたどり着いた、私に気付いたのか門兵がギロリとこちらを睨む。

「何者か?」
「ルイーダの酒場のカオルです、王に謁見するため参上致しました」
「しばし待たれよ」

この門兵は何度か店で見掛けた事がある、来るたびに毎回違う種類のパスタを頼み終始無言で食べるとすぐに帰ってしまう方だ。
私はこういった無口で無愛想な人が少し苦手だ、何を考えているのか表情から読み取れず接し方に困ってしまう。

『パスタが好きそうってのはなんとなくわかるんですがねぇ・・・』

「早朝にご苦労、さ、王がお待ちだ」

出てきたのは二人の兵と恰幅の良い男性、服装をみるに要職に付いている方だろうか?
その男の後ろについていく、二人の兵は私の前後に。門を通る時門兵に会釈するも門兵は真っ直ぐ前を向いたまま、やはり苦手だ。

城の内部は様々な装飾が施されており見事の一言だ、入り口から階段室まで若干狭い直線の部屋なのは外敵に侵入された際の対策だろうか?
垂直の壁を見上げると二階部分はテラスになっているようだ。
素人なりに考えてみてもこの構造ならもし城内に侵入を許しても入り口と階段室とを 塞いでしまえば二階から優位な位置で攻撃できるだろう。

「あまりキョロキョロしないように」
「あっ、すみません」

後ろの兵に怒られてしまった。
階段の手前で立ち止まり恰幅の良い男は言った。

「この階段を登れば謁見の間です、くれぐれも粗相の無いように」
「わかりました」


169 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:21:58 ID:QWCjuF4zO
階段を登りきるとさらに豪華な装飾を施した部屋にでる、改めてみると本当に素晴らしい。
一階も見事なものだったが二階の比ではない、柱一本一本に施された美麗な彫刻や活けてある花、絨毯など細部まで全てが
この国を統べる王一人だけの為にあるのだろう。

部屋の中央まで進むと恰幅の良い男が止まれと無言のまま手をかざす、そのまま男は王の横へ。
私の前後を歩いていた兵も玉座の前の段両脇に移動する。

そして玉座にはいつも店で見掛ける穏やかさはなく凛々しく、険しく、それでいて慈愛に満ちた表情を浮かべる男がいた。

ストロス・ル・アリアハン五世、この国の絶対的な支配者。

「ストロス陛下、本日はご機嫌麗しくお招き頂き・・・」
「カオル、前置きは良い、楽にせよ、昨日はご苦労じゃった」
「はっ」
「今日呼んだのはな・・・、大臣」

先程の恰幅の良い男は無言で会釈して横の部屋へ、大臣だったのか。

「カオル、今日はそなたに渡す物と願いがあってな」
「はい」
「先に願いを、良いか?」

170 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:24:11 ID:QWCjuF4zO
「対したものではないがな」
「何なりとお申し付けください」
「うむ、まずお主の知っている料理の幾つかを城のコックに教えてやってはくれぬか?お主が旅に出てしまっては食えぬからな」
「仰せのままに、定期的に城へ来てお教えしましょう」
「頼む、それともう一つ、あやつを、オルテガを頼む」
「はい」
「あやつもあの性格じゃ、何かあった時、導いてやってくれ」
「かしこまりました」

王とは言えやはり人の子か、この王に限っては当たり前だろうと思っていたが私は何故かホッとした。

「さて、あまり長く話しているとオルテガが城に乗り込んでくるやもしれん、最後にこれを授けよう、大臣」

気が付いたら大臣は戻ってきていた、手には小箱を一つ。
箱を開けてみると中にはやけに派手な靴が一足入っていた。

「城の司祭達に作らせたしあわせの靴じゃ、それを履くと歩いているだけで経験を得られる」
「このような貴重な物を・・・」
「気にする事は無い、受け取ってくれ、訓練に役立てると良い」
「ありがとうございます」

ゲームでははぐれメタルのドロップアイテムだったっけ、手に入れたときには無用の長物だったなぁ・・・。

「ただ欠点があってな、履いた瞬間から丸一日経つと消えてしまうのじゃ、所詮模造品にすぎぬ」
「丸一日ですか・・・」
「おそらくお主に苦労をかける事になる、許せ」
「苦労、ですか?」
「うむ、まあ自ずとわかるじゃろう」

王が一瞬ニヤリとした気がした、何か嫌な予感がする・・・。

「さて、これで話は終わりじゃ、オルテガの元へ行くが良い」
「はい、ありがとうございました」
「雑務が溜まっておってルイーダの所へはしばらく行けんだろう、その代わり次にお主が来たら何か振る舞ってくれぬか?」
「かしこまりました、腕によりをかけましょう。それでは陛下、失礼致します」

来た道を戻る、帰りは前後の兵二人だけで大臣は付いてこなかった。
来た時とはまた違う顔を見せるアリアハン城、本当に見ていて飽きない。

『私に建築の学があればもっと楽しめたのかな?』

王直々に訪問を頼まれたのだ、この街での楽しみがまた一つ増えた。


171 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:25:37 ID:QWCjuF4zO
「ではここまでだ」
「お見送りありがとうございました」

門まで戻り、二人の兵は城内に戻っていった。
あの無口な門兵は相も変わらず直立不動のまま真っ直ぐに前方を睨んでいる。
軽く会釈をして行こうとした時門兵に声を掛けられた。

「カオル殿」
「何でしょうか?」
「また城へ来るのか?」
「はい、それが何か?」
「では、その・・・、次来た時にあの“ぱすた”なる食べ物の作り方を教えてもらえんだろうか?」
「はい?」
「酒場で食べた時、この世にこんな美味い物があったのかと驚いてな、妻と娘にも食わせてやりたいのだ、ダメか?」

少し恥ずかしそうに言う門兵の申し出に私は思わず笑みを溢してしまった。

『見掛けによらず優しい人なんだな・・・』

「もちろん、良いですよ!作り方を紙に書いてお渡ししましょう」
「ありがとう」

やはりこの街の人々は皆暖かい、とても暖かい気持ちになる。

『さて、早くオルテガさんの所に行かなくては』

来た時と同様にゆっくりと歩いて景色を眺めていたかったがあまり待たせるのも良くない。
昼までまだ時間はあるが早めに会いに行こう。

オルテガさんの家は城下町入り口のルイーダさんの店の向かいにある、私は足早に向かう事にした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

オルテガさんの家に着くとすでにオルテガさんは家の入り口に仁王立ちで待っていた。

「遅いぞカオルちゃん、もうすぐ昼じゃねーか!」
「遅くなりましてすみません、色々とありまして・・・」
「どうせカオルちゃんの料理をお抱えコックに〜、とか言ってたんだろ?あいつは食い意地はってるからな」

鋭い・・・。

「えぇ、まあ・・・、色々と・・・」
「まあいい、所でカオルちゃん、アレはちゃんと貰ってきたみてーだな」
「アレ、とは?」
「小脇に抱えてるそれだよ、何も知らねぇっつー事は・・・、あのオヤジもひでぇ野郎だ」
「あの、何が?」
「あぁ?何でもねぇよ気にすんな、ほれ、これに着替えろ」

172 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:26:34 ID:QWCjuF4zO
渡されたのは只の旅人の服、これは一体・・・。

「何故ですか?」
「いいからとっとと着替えろ!特訓はもう始まってんだよ!」
「は、はい!」
「着替えたらしあわせの靴履いて刀持って付いてこい」

オルテガさんは小箱の中身を知っていた、王の意味ありげな笑みも気になる、嫌な予感がする。
そもそもどこへ行こうと言うのか?いきなり実戦訓練だろうか?かなり豪快な方だからな、無茶苦茶な事をやらされそうで不安は尽きない・・・。

「着替えたか?良し、じゃあ行くぞ」
「あの、オルテガさんどちらへ?」
「そこら辺だよそこら辺、グダグダ言わねーで付いてこい!」

アバウト過ぎる、不安は増すばかりだ・・・。
そんな事を考えながら城下町をでる、すると突然オルテガさんが走り出した。

「どうされたんですか?突然」
「どうされたんですか?じゃねーよ、お前も走るんだよ」
「えっ?」
「えっ?じゃねーよ、しあわせの靴履いてんだろ?んで1日しか使えねーんだろ?だったら走るしかねーだろ」
「しかし・・・」
「だーもーつべこべ言うな!行くぞ!おら走れ!!止まるな!倒れるまで走れ!一歩でも多く走れ!!」

メチャクチャだ、言ってる事もやってる事も全てがメチャクチャだ・・・。

「走れぇぇぇぇぇぇい!!!!」


173 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:27:18 ID:QWCjuF4zO
「課長、例の三丁目計画の件ですが・・・」
「何かあったか?」
「工事が滞っているようで・・・」
「そうか、よし、現場行くぞ」
「お供します」


『あれ?なんで仕事してるんだ?私はたしか・・・』

「すぅぅぅぅ・・・」

ザメハァァァァァァァ!!!!!!

「うわっ!」
「良く眠れたか?カオルちゃん」
「耳がキーンってなってます」
「俺の本気ザメハだ、一発で目ぇ覚めただろ?」

『それは魔法ではなくただの大声では?』

「お陰様で、頭がガンガンしてますが」
「まだ痛みは残ってるか?良いのもらったみてーだしな、走り込みに連戦はひ弱なカオルちゃんにはキツかったか」

そう、オルテガさんと二人で走り込みを始めて途中何回も吐きながらなんとか「誘いの洞窟」付近までやってきた所だ、
ロマリアからやってきたと思われるさまよう鎧の集団と鉢合わせ戦っていたのだ。
オルテガさんは「戦闘訓練だ、一人でやってこい」と静閑を決めていたが私は途中から記憶が無い。
頭がかなり痛いので多分さまよう鎧に殴られて気絶してしまったのだろう。

辺りを見回すと凄惨な光景が広がっている。
溶けて原形を留めていないもの、真っ二つに裂かれたもの、半分くらい地面にめり込んだものやバラバラに吹き飛んだものもある。
相手が無機物系のモンスターだったから良かったもののこれが動物系モンスターだったらとんでもないスプラッタな現場だっただろう。

「2〜30匹はいただろうな、全部倒せるとは思っていなかったが5匹もヤるとはなかなかやるじゃねーか」
「無我夢中でした、何匹倒したとか数えていませんでしたよ」
「まあ一匹も倒せない用じゃ困るからな」
「頑張ります・・・」
「さて、立てるか?」

立ち上がってみようかと思ったが足にきてしまっていて立ち上がれない、昔父に木刀で殴られた時と同じだ。

『あの時も暫く動けなかったなぁ・・・』

「少しだけ時間をください」
「そうか、んじゃまあ休憩がてら特訓その二だ、魔法の講義に入る」


174 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:28:09 ID:QWCjuF4zO
講義が始まってかなり長い時間がたった、途中私も回復したので歩きながらの講義になった。

「つまりだな、魔法っつーのは高い集中力とセンスが必要でな」
「はい」
「要素は誰にでもあるんだが、得手不得手があってだな」
「はい」

オルテガさんの話しによると全ての物に魔法の素養は備わっているらしい、有機物・無機物関係無くだ。
意思を持って使うには人間のような知性を持っていなくてはならないがさっきのさまよう鎧のように
無機物に魔法を込めて意思を持たせる事ができるのもそれに魔法の素養があるからなのだという。

もしかしたら私も魔法が使えるのだろうか?だとすればなんと素晴らしい事だろう!

「おい、聞いてんのか?」
「えっ?、あ、はい、もちろん聞いてますよ!」
「ちゃんと聞いとけよ、ここからが大切なんだ」
「はい」

魔法を使うには三つの方法があるとの事。

1.使う魔法に対する呪文を詠唱してから放つ方法
2.頭の中で明確にイメージしてトリガーとなる呪文を唱えて放つ方法
3.明確なイメージとトリガーとなる呪文全てを完璧に頭で再現し無詠唱で放つ方法

1は自分のレベルを遥かに凌駕する高位の魔法を放つ時に使われる手法だという、発動までに長い時間がかかったり呪文を間違えたりすると自分に降りかかってしまうのでまず取られない方法らしい。

2は慣れた魔法を放つ時に使われるもっともポピュラーな方法である、高い集中力を必要とされるが訓練しだいで誰でもできる物らしい。

3は最下位の魔法などに使われる応用例で普通は高名な魔導師や賢者と言った魔法のエキスパートじゃないと習得できないらしい。

ちなみにオルテガさんは3の方法ではバギ・メラの二つしか扱えないとの事。
ただし魔法の込められた武具を触媒にすれば練習しだいで誰でも使えるそうだ。

「ここまではわかったか?」
「はい、正確なイメージが大切なんですね」
「そうだ、とりあえずメラからだな、イメージ的には火の玉を投げつける感じだなそのイメージを指先に移動させてそこから放つんだ」
「わかりました」
「あそこにちょうど良い木がある、一発かましてみろ」
「はい」

立ち止まって集中する、目を瞑って火の玉をイメージする。

『野球ボールに火が付いてる感じかな?いや、銃の弾丸が火の玉って感じに・・・』
『銃を使うとしたらあの男しかいない、そうだ・・・』

イメージが固まってきた、私は超A級スナイパーだ、今まさにライフルを構えて火の玉を打ち出すのだ。
そっと目を開け手を前方に伸ばす、10メートルほど離れた木に向かって人差し指と中指で目標をセット。

「メラ!」




175 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 00:29:34 ID:QWCjuF4zO

ボッ! パンッッ!

私の指先から発射された火の玉は目標の木を反れ遥か離れた丘に着弾した。
『出来た!私にも魔法が使えたんだ!!』

「すげぇスピードだな、魔法の威力なんかはイメージした物に依存するもんだが・・・、何をイメージしたんだ?」

『ライフルだなんて言ったってわからないだろうしな・・・、この世界にありそうな物で。』

「巨大な弓です、張り詰めた弓ですよ」
「ほう、やるじゃねーか、まあ後は反復練習だな」
「はい!」

今はまだメラ一発放つのにも時間がかかってしまうが練習すればもっとスムーズに、また命中精度もあがるだろう。

「んでこっからは俺のオリジナルなんだがな、良く見とけ」

そう言うとオルテガさんは超高速で数メートル移動した、まるで瞬間移動のようだ。

「えっ?これは一体・・・」

何かの魔法だろうか?でもドラクエに移動系魔法はルーラ・バシルーラ・リレミトしか無いしピオリムか?それにしても速すぎる。

「足元にバギを発生させて風の力で移動したんだ、調整が難しいんだがな」

足元に規模の小さいバギを発生させ竜巻の威力を移動力に変換させているようだ。
なんとなく魔法は手の平ないし指先から放つ、というイメージが強いがこちらも応用なのだろう。
ゲーム上ではなかった使い方だがオルテガさんならもうなんでもありな気がしてきた。

「他にもメラを剣に纏わせて火炎斬り、イオをガントレットに纏わせてイオパンチとかいろいろあるぜ」

オルテガさんの話しによるとこんな使い方ができる人間は世界にも数人いないだろうとの事、自慢気に笑っていた。

「まあ俺と旅に出るなら移動法くらい覚えてもらわねえとな、まずはバギからか」
「が、頑張ります」

『なんか簡単にメラが使えてしまったがこんなものなんだろうか・・・』

「よし、休憩終わり、走るぞ」
「は、はい!」



176 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/05(木) 01:16:01 ID:QWCjuF4zO
てす

177 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 01:17:21 ID:QWCjuF4zO
走り込みを再開し、途中出くわしたスライムやいっかくうさぎ相手に魔法の練習。
走る・戦闘、の繰り返しでしあわせの靴の効果が消えた頃にはボロボロになってしまった。

「・・・」
「丸1日たったか、今日の訓練は終わりだ」
「・・・」
「生きてるか?」

今日という日は本当に長かった、ホイミも効かない程疲弊してしまった私はオルテガさんに担がれてアリアハンに帰還した。
ルイーダさんの激怒していた声が聞こえた気がしたがもう何もわからない状態だった。

『まだ特訓初日か・・・』

旅に出る前に死んでしまいそうだ・・・。


カオル
職業:サラリーマン
Lv:9
HP:2/51
MP:0/18

所持品
E.無銘の刀
E.旅人の服(スーツはルイーダに預けてある)
E.ネクタイ
E.派手な靴(しあわせの靴の効果は無い)
携帯 タバコ 名刺 ライター

所持金
276G(途中倒したモンスターからの物)
(5000円札は大事にしまってある)

特技
メラ・家事全般

178 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/05(木) 01:17:55 ID:rDflcZY40
なんだか楽しそうなスレ発見
保管庫行ってきます

179 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/05(木) 01:24:33 ID:QWCjuF4zO
今回は以上です。

私はこれが人生初の物書きなんですが文章をまとめるのが難しい事難しい事。
改めて他の書き手さん達の偉大さが身に染みてわかりました。

今回は私なりに何度も何度も推敲してみたんですが、読みにくい箇所や日本語下手な所もあるかと思います。

何卒ご容赦を。

でも応援していただけたり楽しみにしていただけると本当に嬉しいものですね!ありがとうございます。

また頑張って書きますので次もよろしくお願い致します。

180 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/05(木) 01:43:04 ID:NW05Wod/O
リーマン氏、乙。
無駄のない文章でさっくり読める。


181 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/05(木) 02:00:02 ID:lJcG+8ik0
リーマンさん乙!
初めてとは思えないくらい読みやすいし面白いよ!

しあわせの靴履いて走れ〜ってのはイイw

182 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/05(木) 10:17:26 ID:v2tAopKS0
読みやすい文章でキャラの個性や背景もリアルに伝わってくるよ!
いつも楽しませていただいてます

旅人の服装備してるのにネクタイも装備してるとは・・・
一瞬頭に巻いてる姿を想像してしまったwww

183 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/05(木) 20:52:53 ID:mAMS9r7z0
>182
無茶言うなwww

184 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/06(金) 13:51:16 ID:0N0mc7VH0
リーマンさん、お疲れ様です。面白いです。

185 :※The Prince ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:41:04 ID:ZBzuJVn90
>>141-144の続き

 「逃げられたか」
 キングレオ王の髪が、さわさわと怒りに震えて逆立った。
まるで本当の獅子がそこにいるかのような怒気にも、バルザックは顔色ひとつ変えずに頷いた。
 「は……。しかし、あの女共の向かう先は決まっています。ハバリアからの定期船でエンドールへ逃げたのでしょう。
乗船券はもはや非売品。そう簡単にこの大陸を出られますまい。密航でもすれば話は別ですが」
 めきめき、と骨が歪んで肉が盛り上がる。
ひとの体から魔物の体へ形が変わり行くキングレオ王の歪な背中を見やり、バルザックは目を細めた。
 (ふん……所詮はいいとこのおぼっちゃんよ。獅子になったところでもはや本気を出した俺の力には叶うまい。
単純なことだ。この男には、もとより野望が足らんのだ。ここから去るのも時間の問題か)
 ほくそ笑むバルザックの前で、キングレオ王の表皮には輝かんばかりの体毛と鬣が生え始める。
背中から出現した六本の腕は、進化の秘法でいのちを進化させ、ひとつの個体が二つ以上の行動を可能にした結果だった。
 「まあよい……。いずれエンドールも我が支配下にしようと思っていたところだ。
……時にバルザックよ。お前は前々から、自分の城が欲しいと言っていたな。エビルプリースト様が北方の国をひとつ滅ぼしたそうだ。
……行くか?そうすれば、いずれお前が好いていた『あの女』にも会えるだろう」
「おお、ありがたいことです」
 俺が「あの女」を追いかけていたのは色恋沙汰のせいだとでも思っているのだろうか? めでたい奴だ。
 口の中で噛み砕いて飲み込んだ言葉を腹に収め、バルザックは恭しくキングレオに跪いてみせた。
 (あの腕輪は俺のものだ……。ピサロ様などに渡してたまるか)

186 :北の大陸上空? ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:42:01 ID:ZBzuJVn90
 慢心―――このせいだろうか。
 あのとき私がバルザックに向けて至近距離で放ったイオは、完璧なものではなかった。
マーニャちゃんほどの威力も熱量もなく、あの距離でなければ奴を負傷させることもできなかっただろう。
黄金の腕輪に力を借りている。それが私に、どこか危ない安心感を持たせたんじゃないだろうか。
腕輪がある限り、多少無理をすれば見よう見まねで魔法は使える。ブライ様が以前、私の魔法使用特性はメラ系とイオ系だと言っていた。
あのときイオを打てたのは、黄金の腕輪が私の使用特性を見抜いてくれたからに他ならない。
 連続魔法で放った二発のイオも、黄金の腕輪が力を貸してくれたからあんな破壊力だった。「私の」魔法による破壊ではない。
 もっと私に力があれば、彼女たちの父の仇を討てたんだろうか。
 私はいま、空を飛んでいる。飛んでいる、というよりは、飛ばされている、と言ったほうが正しい。
マーニャちゃんが唱えた古い魔法で、どことも知れない空をぐんぐん突き進んでいる。
 背負っていたギターを胸に抱え、固く目を閉じた。うまく着地できるんだろうか。この高さで。
 不意に、移動速度が遅くなる。白い線が流れていくように見えていた雲の輪郭がはっきりしてきて、ゆっくりと体が重くなる。
 「っ……わあああああああ―――――!!!???」
 落ちる! 落ちる! いや落ちてるんだって! 現在進行形のingよ!? 待って待って待って!
この高さで落ちたら間違いなく死ぬってぇええええいやああああああ!!!!
あああミネアちゃんごめんね、この世界じゃ死なないなんて豪語して! 
お母さんごめんなさい、私はあなたの知らない世界で星になりますぅううう―――――!

 人間、あまりにも高いところから落ちると意識を失うって言うけど、それって本当みたい。
目の前が真っ暗になって、そこから先のことはまったくわからなかった。

187 : ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:42:37 ID:ZBzuJVn90
エンドールからはるか東の山奥に
名もない小さな村がありました。

その村に住む人々はけっしておもてには出ず
よそ者を寄せつけず
ひっそりと暮らす毎日。

村人たち以外はそんな村があることさえ知らないはずでした。



しかし……。





188 :第五章:山奥の村 ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:45:24 ID:ZBzuJVn90


 ぱしゃぱしゃ、と台所なんかで水が揺れている音が聞こえた。
 乾いた目を開ける。何度も瞬きを繰り返して、やっと周りが見えるようになった。あー、やっぱりこの世界じゃ死なないね、私。
 視界の色がクリアなのはサングラスがないせい。あのぐるぐる水から出て宿屋で目覚めた時みたいに、
枕元やベッドの周りを見回してサングラスを探す。
 ……あ、あれ!? ない!? ないないない!! ……ちょっと待ってよ……、あれすごく高かったのに……!
レイバンの六万もしたやつなのに……!!!
 「……あ、あれ!気がつきました!?」
 広い部屋の中、慌てふためいてサングラスを探している私を見て、中年の男性がエプロンを振り乱して驚いている。
 「ご主人!私の色眼鏡知りませんか!?フレームが銀で、レンズの色が黒と茶色のコントラストになってるやつ!」
 か、勘弁してよ……! 買値が高いのもそうだけど、長時間、人様に素顔を晒すなんて仕事のとき以外は考えられないのに!
子どものころブスだのキモイだの言われてたときのこと思い出しちゃうじゃない! ひいー!
 「あ、ああ、それなら村外れの大根ぼうやが持ってきましたよ。なんでも、『まだ直せる』とかなんとか言って」
「村外れのダイコンぼーやですね!」それが誰だかも知らないのに、私はベッドから跳ね起きた。
 「あ、ちょっとお姉さん!あなた、そんな体でいきなり飛び起きたら!まずはご飯にしましょうよー!ねぇー!?」
 のどかな風景だった。爽やかな風が吹いて、草や花の香りがふわふわと漂っている。人工的に作られたものなんてひとつもない。
透き通るような青い空の下には、緑色の大地が萌えている。そんな世界を、私はろくに見もしないで走り、村のはずれに向かった。
 一軒の家がある。なぜか、私の脚はそこで止まった。確かにここは村はずれと言ってもおかしくはない場所だ。
この家に、その「ダイコンぼうや」がいるんだろうか。
 ドアをノックして、出てきた優しそうな中年女性に切れ切れの息でなんとか事情を話す。
 「お、お宅の息子さんが……わ、私、の、色眼鏡」
「ああ!あれのことですね。ごめんなさいね。うちの子ったら、あなたに何の断りもなしに持ってきてしまって」
 はたから見たら怪しいことこの上ない見ず知らずの女を家に上げて、女性はお茶を出してくれた。
切れ切れの息でそんなもの飲み込めるはずもなく、私は座るよう促されたイスでぐったりとしているだけだった。
 「あら……?どこにやったのかしら。あの、すみませんが息子が帰ってくるまでお待ちいただけますか?
あなたの色眼鏡、あの子がどこかにしまっちゃったみたいで……」
 砂糖漬けのいちごみたいなものを出しながら彼女は言う。今日中に戻ってくるならそれで構わないという由をつげ、
私はしばらくこの女性の話し相手になっていた。
 この村は深い森と高い標高で外界と隔離され、人が訪れることはないらしい。よそ者を村に入れてはいけないという掟もあるほどだ。
そんな平和な村に突然、一人の女が降って来た。村人みんなが本でしか見たことのない「ギター」というものを抱えて、
木の細い枝々をクッションに村の奥地にある森に。そんな私を発見したのが、この家の息子さんだという。

189 :山奥の村2 ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:46:02 ID:ZBzuJVn90
 で、目が覚めたとき宿屋にいたのは、職業柄、人を泊めたがっていたご主人が私の介抱をかってでてくれたからだそうだ。
人情ってすばらしい。
 「もうそろそろ日も落ちますね。息子も帰ってくるはずです。……それで?エンドールのカジノはどのような場所なんですか?」
 閉鎖された村では、外の世界の話はまるで別次元のものに聞こえるみたいだった。
アリーナちゃんたちとわずかな時を過ごしたエンドールの話をしたとたん、女性は目をきらきらさせながら食いついてきた。
まずは武術大会の話、そして今はカジノの話。クリフトくんが神のご加護のせいかは知らないけどスロットでスリーセブンを
たたき出した話題を出そうとした、その時。
 「ただいま。あれ、父さんは?まだ釣りから帰ってきてないんだ」
 まだ若い、……いや、若いっていうよりは少し子どもっぽさの残る声に、心臓が口から出るかと思った。
背中と肘のあたりがざわざわと脈打つ。耳に馴染んで鼓膜を心地よく震わせる振動は、もう私の心を動かすことなんてできないあの声で。
 「あら、随分遅かったのね。お腹すいたでしょう。ご飯のいまご飯の支度にするからね」
「うん。もーお腹ペッコペコ。ロジャー先生、いつになく今日は激しくって。……あっ!元気になったんですか!?
よかったぁ。びっくりしたんですよ?いきなり僕の頭の上からあなたが落ちてきたんだもん」
「こらこら。お客様の前で騒がしくするんじゃありません。そういえばお前、この方の色眼鏡を持っていたでしょう?
あれは直ったのかい?」
「あ、んー……直そうと思ったんだけど、枠が曲がってて片方のレンズが入らなかったんだ」
 硬直したままの私の前を通り過ぎる、緑の影。スローモーションのようにゆっくりと、確実に網膜に刻まれる光の陰影が
はっきりと形作ったのは、私が求めてやまなかった、「彼」の……。
 「はい。ごめんなさい、ちゃんと直るかと思ってたんですけど、……これ以上はちょっと無理みたいです。
や、やっぱりレンズが片方だけじゃ駄目ですよね……?」
 口元に滲んでいた血を乱暴に手で拭い、汚れた服を少し気にしながら壊れたサングラスを差し出した「彼」は、
まるで私のことなんか最初から知らなかったように無邪気な笑顔に若干の申し訳なさを含んでこっちを見ていた。
最初から知らない? ……違う。知っているはずがないんだ。この子は「彼」ではない。ただ、似ているだけなんだ―――!
 「まったく。仕方のない子だこと。名前くらいちゃんと名乗らないといけませんよ。お客様がびっくりしているでしょ」
 優しく我が子を叱る声も、苦笑しながら頭をかく「見慣れた」しぐさも、何一つとして相違ない。
唯一違うとすれば、生まれ持ってきたことを誇示するように違和感の無い緑の髪と青い目を、「彼」が持っていなかっただけだ。
 「なんか、一方的に喋っちゃってごめんなさい。僕は『ソロ』。『ソロ・ディーコン』。頭が緑で白いズボンだから、
『大根のソロ』なんて呼ばれることもあるよ。……あ、でも、普段はちゃんと名前で呼んでくださいね?あははっ」
 ―――目の前で微笑むその顔と未熟でもしっかりとした肉体が神は与えたものだとしたら、
今すぐに大声で感謝の言葉を空に向かって叫び、両腕を突き上げて天を仰ぎたい気分だった。

 神様がもう一度、私に「ソロ」を与えてくれた。

 そう、思いたかった。

190 :※LOVE PHANTOM ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:46:32 ID:ZBzuJVn90
 「ねえ、佐呂間さん。メイさんって人見知り激しいタイプなんですか?」
 譜面の読み方がいまひとつわかっていないボーカルに事細かな説明をしていた佐呂間がわずかに眉根を寄せる。
唐突に切り出された話題は、今この場と雰囲気に相応しいものではない。 
 「突然なんだ。あいつは元々ああいう奴だ」
「でも、俺のこと一ッ……向〜にあだ名呼びとかする気配ないんですけど」
「そんなことは個人の自由だ。あいつがお前のことをどう呼ぼうがあいつの勝手だろう。……ひとつの小節に四つ四分音符が入っ」
「俺もメイさんにあだ名呼びされたーい。メンバー内の距離を縮めたーい」
 わざわざ佐呂間の言葉を切ってまで小さな訴えをやめないボーカルの頭を丸めた譜面で叩く。
タバコをくわえて火をつけ、一口目の煙を吐き出してから、佐呂間は落ち着きを取り戻して講義を続けようとする。
 「四拍子だったら、1・2・3・4のリズムで行くだろう。その中に何分音符がどれだけ、どの位置にあるかで」
「だって、さん付けとか君付けとか、まるで他人みたいじゃないですか。
こんなこと言ったらまたひっぱたかれそうですけど、メイさん、自分より年上の清水さんとか湯沢さんのことも
『しーず』とか『ざーちゃん』とか呼ぶのに、佐呂間さんだけ『佐呂間さん』でしょ?なんていうか、呼び方ひとつとっても、
佐呂間さんとメイさん、仲悪いの丸見えで怖いんですよ」
 意思に反して見開いた目を無理やり閉じ、佐呂間は深く深く煙を吸い込んだ。なぜか肺の中まで濃い煙が入ってこない。
気づけばフィルターをきつく噛み締めていた。前歯がギシギシと嫌な音を顎に伝わせる。
 「……あいつが清水や湯沢をあだ名呼びするのは、奴らが俺たちより遅くこのバンドに入ったからだ。
ギターの募集を見た清水があいつの、ドラムの募集を見た湯沢が俺の携帯にかけてきて、それぞれ加入の話をした。
あいつのほうが清水や湯沢より先輩なんだよ、このバンドでは。だからあだ名呼びだろうがなんだろうが、違和感はないだろう。
それに、このバンドは元々俺が作ったものだ。俺を綺麗な呼び方で呼ぶのは筋が通ってる。おかしくはない」
「佐呂間さんがそうやって長々と喋るときって、大抵なんか隠し事あるときですよね」
「木暮。少し黙れ。なぜことあるごとに話をしないといられないんだ、お前は」
「でも、その理論で行くと、俺まだメイさんにちゃんとメンバーだって認められてないってことになってそう。
ねえ、まずは佐呂間さんから俺のことあだ名呼びとかしてくださいよ!そしたらきっとメイさんも真似すると思うし!」
 こうなってしまったら、この少年は何を話しても右から左だ。木暮のこういうところにいちいち付き合うメイを思って
再びフィルターを吸うと、佐呂間は講義の続行をあきらめ話に付き合うことにした。
 「だったら、お前のあだ名はなんだ。……まさか、決めてないとは言わないだろうな」
「……あ、あはは。そのまさかだったりしたら、佐呂間さん怒りますか?」
 舌先が前歯をほんの一瞬撫でる。見事な舌打ちを繰り出され、木暮はびくびくしながら佐呂間の顔色を伺った。

191 :※LOVE PHANTOM 2 ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:47:10 ID:ZBzuJVn90
 「……ソロ」
「へ?」
「ソロ、だ。一人でステージに立ってたお前を見て、俺はそう呼んでた」
 与えられた新しい名前に輝きに満ちた笑顔を見せ、「ソロ」は携帯電話でさっそくメールを打ち始めた。
 『里奈ちゃん里奈ちゃん!俺、バンドの人にあだ名つけてもらっちゃった!超嬉しい!』
 不意に見えてしまった文面が佐呂間の苛立ちをさらに募らせた。
 「あいつ」はこんなにも叶う望みの薄い恋に、なぜ囚われたままなのだろうと胸を煙に膨れさす。
メイは知らない。「ソロ」に恋人がいることを知らない。歳若いくせに本気で愛し合っていることを知らない。
メイは自覚している。ソロがメイよりも七歳年下であることを。このバンドに加入して本気で喜んでいることを。
 「都合のいいことだけしか頭に入ってないのかよ、あのバカは」
 メール送信後にすぐかかってきた電話をとってもよいものかと再度佐呂間の顔を見るソロに「勝手にしろ」を吐き捨てて、
幸せそうな会話に夢中になっているのを尻目に呟いた。
 


 メイの自宅アパートの玄関ドアに背中をつけて座り込む。
口元を緩めたら歯がガチガチ鳴りそうで、佐呂間はひたすら寒さと睡魔を相手に戦っていた。
日付はとうに変わっている。市販のカレンダー通りの休日を与えられているメイの職業柄、
月曜日である明日を前に一人でふらつく理由も考えられない。
 (まさか、後を追ったわけじゃないだろうな……)
 考えて、やめた。雨はみぞれに変わっていた。気温が下がっている。携帯電話を開こうにも、手がかじかんで思うようにいかない。
メイの携帯電話には、佐呂間からの着信履歴がいくつも残っているだろう。それを彼女がどう思うかなど手に取るようにわかる。
それでも、通話ボタンを押さずにはいられなかった。
電波が届かない場所にいる。その機械的な声が、バンドの練習にも通勤にも「地下鉄」を使う彼女の最悪の事態を想像させた。
 「どんなに恋しがったって、死んだ人間は生き返らないんだぞ……?」
 こちらはお留守番伝言サービスセンターです。おかけになった番号は、電波が届かない場所にいるか、電源が入っていません。
ピーッという発信音のあとに、メッセージをどうぞ。
 「………」
 口を開いた瞬間、電話が切れた。かみ合わない歯列を疎ましく思いながら、佐呂間は立ち上がることが出来ずにいる。




Lv.14 メイ
HP:61/61 MP:58/58
E ホーリーランス
E 鉄の盾
E 革のコート(毛皮のコートの守備力-2)
E −
E サングラス・黄金の腕輪

戦闘呪文:ホイミ・スカラ・メラ・ヒャド
戦闘特技:なぎ払い・連続魔法(黄金の腕輪の効果)・一閃突き
所持金:943G


そろそろ4の世界以外の登場人物の名前の元ネタとか※のついた話のタイトルの元ネタがわかる人が出て来そうですねw
完結したらそこらへんの出典もちゃんと書きます。
さて、貼ってきた付箋をバリバリはがしていくとするか……。

192 : ◆fzAHzgUpjU :2009/03/08(日) 00:49:44 ID:ZBzuJVn90
リーマン氏乙です。
カオルさんとうとう呪文まで使えるようになった!
着実な成長を見せる中年男性を見ていると、まだまだ世の中には希望があるように思えます。

193 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 15:23:24 ID:FZtEhRxoO
皆様こんにちは、リーマンです。

今出先ですがまた投下させていただきたいと思います。

◆fzAHzgUpjU様、また支援していただいた方々どうもありがとうございます。
頑張っていきますのでよろしくお願いします。

194 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 15:24:44 ID:FZtEhRxoO
>>167-177

翌日

不意に目が覚めた、酷い筋肉痛を覚悟したがほぼ痛みも無く体を起こす事ができた。

『何故だ?昨日あんなに無理したのに・・・』

トサッ

『ん?これは・・・』

身体中に薬草が貼り付けられていた、湿布みたいなものだろうか?
服を脱がされ身体中に貼ってある。

『ちょっ!パンツも脱がされてるんですけど・・・』

布団は掛けられていたが全裸であった、そして隣には椅子に腰掛け静かな寝息を立てるルイーダさん・・・。

ドドドドドドドドドド

『ま・・・まさか・・・』
あたりを見回すも服が見当たらない。

『まずい、起こす前に何か着なくては!』

しかし現実は非常である。

「あら、おはようカオルさん」
「お、おはようございますルイーダさん」
「体は大丈夫?薬草は効いたかしら?」
「は、はいお陰さまで」
「そう、良かったわ」

そして沈黙、非常に気まずい・・・。

「あの、ルイーダさん?」
「なに?カオルさん」
「私の服は・・・、それに下着も・・・」
「全部洗濯してるわよ、昨日の夜から乾かしてるからもう乾いてると思うわ」
「それもそうですが、その・・・」
「ああ、なんで裸なんだって?」
「ええ・・・」
「私が脱がせたのよ」
「何故ですか?」
「だって凄い汗臭かったんですもの、声掛けても起きないし勝手に脱がして体を拭いたのよ」
「では、その・・・、全部?」

そう言った瞬間ハッと顔を赤らめてルイーダさんは立ち上がった。

「服はあそこの窓の所に干してあるから、朝御飯用意してくるわね」


『京子、すまない』


195 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 15:25:36 ID:FZtEhRxoO
階段を降りるとちょうどオルテガさんが入ってきた。

「おう、カオルちゃん」
「おはようございますオルテガさん」

ルイーダさんは返事をしない、やはりやらかしてしまったか・・・。

「どうしたルイーダ?何かあったのか?」
「なんでもないわよ!」
「なんでぇいったいよぉ」
「まあまあ」

肩をすくめるオルテガさん、私が悪いんです私が、本当にすみません。

「それより二人とも今日の朝飯はうちで食わねーか?アンナがご馳走してぇってよ」
「本当!?アンナが?」

突然カウンターから顔を出すルイーダさん。

「良かったぁ、ちょっと自信なかったのよね」
「何を作っていたんですか?」
「いーのいーの見なくて、さ!行きましょ行きましょ!」
「おしっ、付いてこい」

『きっと失敗したんだなぁ・・・』

オルテガさんの家はルイーダの酒場の向かいにある、実は私は家に行くのもアンナさんに会うのも初めてなのだ。
ゲーム中の会話からもとても優しそうな雰囲気が取れる人だ、きっと美人なんだろうなぁ・・・。

「アンナ、連れてきたぞ」
「あら、早かったわね」
「カオルちゃんは初めてだったな、俺の嫁のアンナだ」
「はじめましてアンナさん、カオルと申します」
「はじめましてカオルさん、いつも夫がお世話になっています」

栗色の髪は身籠っているからかショートにしていた、とても優しそうな表情に柔らかい眼差し。
大きなお腹は美しい流線形を描いている、美しい方だ。

「アンナ大丈夫?もうそろそろでしょ?」
「大丈夫よ、少し体を動かした方が楽なのよ」
「あんま無理すんなよアンナ・・・」
「大丈夫よあなた、今準備するから座って待ってて」

そう言うと奥のキッチンへゆっくりと歩いて行った。


196 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 15:26:32 ID:FZtEhRxoO
「美しい方ですねぇ」
「へへっ、良いだろ〜」
「もう、カオルさんったら・・・、そういえばアランさんは?」
「親父は今レーベに行ってるよ、収穫の手伝いでな」

今の時期レーベでは作物の収穫期間なんだそうだ、村人達だけでは手が足らずアリアハンからも人手を貸しているのだそうだ。

「今日はアンナの頼みだからアレだが明日からは朝から晩まで訓練だぞ!」
「お手柔らかにお願いします」
「あんまり無理させちゃダメよ!」

ガチャン!

談笑している所に突然大きな物音が。

「なんだ?」

奥のキッチンで物が割れたような音がした、三人でキッチンへ向かうとそこにはアンナさんが倒れていた。

「アンナ!どうした?何があった?」
「あなた・・・、産まれる・・・!」

『破水したのか?』

「オルテガさん、あなたはアンナさんの手を握っていてください、私は湯を沸かします」
「わたし神父様呼んでくる!」
「アンナ、あぁ、アンナ・・・」
「オルテガさん!!あなたが狼狽えてどうするんですか!アンナさんが不安になってしまいます、気を確かに持ってください!」

私の一喝が効いたのかアンナさんの手を握り優しく抱くオルテガさん。
気持ちはわかる、私も伊代が産まれた時は酷く狼狽したものだ。

「連れてきたわ!」

ルイーダさんに手を引かれて来たのは神父とシスター二人、走ってきたのだろうか四人とも息があがっている。

「後は私達に任せてくだされ、オルテガ殿以外は外へ」
「頑張ってアンナ!」
「オルテガさんも気をしっかり持ってください」
「ああ、すまねぇ」

私とルイーダさんは外へ、あの神父様は落ち着いていらしたのでもう大丈夫だろう。

「子供かぁ・・・」
「どうされました?」
「うん、凄いなぁって」
「凄い事ですよ」
「私もいつかあんな風になるのかなぁ・・・」
「ルイーダさんの子なら男の子でも女の子とても可愛いんでしょうね」
「うん・・・、でも相手を見つけないとね」
「きっといい人が見つかりますよ」
「・・・、そう、ね・・・」

私も言葉に詰まってしまった、でも仕方ないのだ・・・。


197 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 15:27:25 ID:FZtEhRxoO
「私は軽くつまめる物を作ってきますね」
「私は王様に報告に行ってくるわ」
「よろしくお願いします、私は少し間をおいてオルテガさんの所に戻ります」
「わかったわ、私も一度店に戻ってくる」

そう言って私は店に戻って行った。

『安産だと良いが・・・』

おそらくアンナさんは初のお産だろう、母子共に健在なのは知っているが心配なものは心配だ。

私は軽食にとサンドイッチとアンナさんの為にシチューを作った、お産が終わって時間がたてばお腹が空くだろうし何かを作りに行くような野暮な事もしたくない。

一通り作り終え、私とルイーダさん、それともしかしたら来るかも知れない王の為にお茶を用意し始めた頃ちょうどルイーダさんが帰ってきた。

「ただいま!」
「おかえりなさい」
「ワシも来たぞ、オルテガの子が産まれると聞いてはな」
「おはようございますストロス様」
「うむ、オルテガの所には兵を一人やった、何かあれば知らせに来る」

国一番の英雄であり親友の嫡男が産まれるとあって王も駆け付けた、二人の間には強い絆があるのだろう。

「お茶になさいますか?用意はできています」
「貰おうか」
「私も!」
「それにしてもストロス様自らおいでになるとは」
「まあ腐れ縁とでも言うのかの、どれ昔話をしてやろう、あ奴と、ワシのな」
「お願いします」
「私も聞きたいわ」

初めて出会った時の事、オルテガに命を救われた時の事、アンナと結婚した時の事、それ以外にもイタズラされた事、喧嘩をした時の事など様々な話をしてもらった。

「さっきは腐れ縁などと言うたがの、ワシにとって息子のような、また弟のようなものじゃな」
「へぇ〜、そんな事があったのね」
「歳はだいぶ離れておるが苦楽を共にした真の友じゃ」

うらやましい、一生で心の底から親友と呼べる人間などそう簡単に出会えない。
今日も立場など関係無く友として来たのだろう、そしてこれからも。

「なんじゃ?カオル、お主泣いとるのか?」
「いえ、そうでは無いですがちょっと」
「カオルさんったら案外涙もろいのね」

ダダダッ!

慌ただしく兵が入ってくる。

「陛下!」
「産まれたか?」
「ハッ!産まれた子は「よい、直接確認する」
「ハッ!」
「よし、行こうか」

どうやら産まれたようだ、三人は小走りにオルテガの家へ向かった。


198 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/08(日) 16:08:37 ID:KqPvUYe70
あう・・・連投規制?
とりあえず、支援

199 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:13:24 ID:FZtEhRxoO
「オルテガ!どうじゃ?男子か?女子か?」
「おうストロス、見ろよ、男だ」
「そうか!でかしたぞアンナ!」
「うわ〜可愛い!おめでとう!」
「おめでとうございますオルテガさん!」
「ありがとな」
「アンナさんも良く頑張りましたね」
「お疲れ様、アンナ」
「ありがとう」

立派な男の子だ、顔立ちは母親に、目元は父親にそっくりだ。
きっとカッコいい男になるだろう。

「では私達はこれで、祝福にはまた明日来なさい」
「うむ、お前達もご苦労じゃった」
「お疲れ様でした、良かったらこれをお持ちください」
「ありがとうございます」

神父とシスターは王と私達に会釈して出ていった。

「では私達も帰りますか、アンナさんも疲れている事だしたまには家族水入らずで」
「そうじゃな、オルテガもたまにはアンナのそばにいてやれ」
「みんなすまねぇな、後でまた顔出すからよ」
「軽くつまめる物を作ってきたので食べてください、アンナさんには後でシチューを」

リイィィィィィィン

またあの音だ、精霊まで駆け付けてくるとは。

「おぉ!ルビス様までおいでに!」
「ただガキが産まれただけじゃねーか」
「まあ良いではないか、ルビス様に祝福していただけるのじゃ、素晴らしいではないか」

一筋の光は次第に太くなり女性像を型どっていく、しかし現れたルビスは先日とは少し様子が違っていた。
立体映像にノイズが走っているかのようで映像が乱れている、表情も深刻な面持ちだった。

ただ事ではない、皆がそう思うには充分であった。

「ルビス様?いかがなされたのですか?」
「まずはオルテガ、第一子の誕生おめでとう」
「ありがとよ」

ルビスはまだ名前のない子の頭をそっと撫で、慈愛に満ちた、それでいて憂いを持った眼差しで赤子を見つめていた。

「皆二階へ行こうか」

何かいつもと違う、そう感づいたストロスがそう言った。

200 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:14:17 ID:FZtEhRxoO
ルビス・ストロス・ルイーダは無言で二階へ。

「あなた・・・」

アンナは心配そうにオルテガに声を掛けた。

「大丈夫だ、心配するな、すぐ戻ってくるからお前は少し寝てろ」

お産を終えたばかりのアンナはオルテガの手を強く握り目を閉じた。

私とオルテガさんも無言で二階に、四人が揃ったところでルビス様が語りだした。

「闇の魔王が復活を遂げました」
「何?ホントかよ!前に言ってたよりはえぇじゃねーか!!」
「魔王は私の予想を遥かに上回る力をもっていました、逆に私は肉体を封じられてしまい、精神だけはなんとか逃げてこられたのですが・・・」
「なんという事じゃ・・・」
「まだ完全に復活したわけではありませんがもう私にも完全復活までどれ程かかるのか予測がつきません」
「では出発も早まるので?」
「魔王は現在ネクロゴンド山脈に居城を築き完全復活に向けて活動を開始しています、なるべく早く出発したほうが・・・」
「チィッ!!」

オルテガさんが珍しく苛立っている。
無理もない、産まれたばかりの我が子と少ししか一緒にいられないかも知れないのだ。

「本当にごめんなさい」
「いや、あんたが謝ったってしょうがねぇよ」
「ごめんなさい」
「まさかこんなに早く復活してしまうとはのう・・・」
「現在私は精神体だけで辛うじて活動していますがこちらもいつ封印されてしまうか・・・」

ジジッ!!

ルビスの映像が大きく乱れる!

「まさか、もうここまで力を!」
「ルビス様?どうなされたのじゃ?」
「思念すら・・・印されて・・・」
「ルビス様!」
「も・・・時間・・・、世界・・・を・・・たの・・・」

それだけ言い残しルビスは虚空に消えてしまった・・・。
しばらくの沈黙の後一番最初に口を開いたのはオルテガだった。

「やるしかねぇか・・・」
「オルテガ・・・」
「ガキの誕生にも立ち会えたしな、チャチャッと終わらせっか」
「オルテガさん・・・、そうですね、早く帰ってきましょう!」

まるで自分に言い聞かすように私は言った、前にも言ったようにやるしか無いのだ。

201 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:15:01 ID:FZtEhRxoO
「ずいぶんやる気じゃねーかカオルちゃん」
「ちょっと行って魔王倒して帰ってくるだけですからね」
「ははっ、ちげえねぇ」
「カオルさん・・・」

もちろんそんな楽観視できるような旅ではない、たった二人で魔王軍相手に戦いを挑むのだ。
それに結末もあれだし・・・、だが私には一つの決意があった。

『あの結末はなんとしてでも防ごう、私なら、いや私にしかできない!』

ルビス様は運命をオルテガさんに告げるなと言っていたが運命に干渉するなとは言っていない。
ゲームと内容が変わってしまっても関係無い、少なくても私が感じた暖かみや優しさはゲームなんかじゃない!この人は死なせてはダメだ!!

「オルテガとカオルがそう言うならワシはもう止めん、お主達の好きにするがよい」
「大丈夫だって、心配すんなよ!それより今夜は宴会にしようぜ、ガキの誕生と俺達の旅立ちにな」
「うむ、いつまでも悲観していては仕方あるまい、ここは一つ王城で盛大に」
「いや、ルイーダの店でやろう、式典ってのは堅苦しくってな」
「では私が腕によりをかけてご馳走を作りましょう」
「ぬう、それも捨てがたいがしかし・・・」
「まあ良いじゃねえか、友として来てくれよストロス」
「オルテガ・・・、あい分かった、お前の言う通りにしよう」

ストロスも何かを感じ取ったようだった、分かり合えた友だからこそだろう。

「よし、んじゃ一旦解散だな、夕暮れにルイーダの店で落ち合おう」
「うむ、ワシは早いとこ雑務を終わらせねば」
「カオルちゃん、お前は料理の準備の前に魔法の訓練をやっとけ、配分は任せるがやりすぎるなよ」
「わかりました」

ここでずっと黙っていたルイーダさんが立ち上がった。

「私、店を片付けてくるね」

そういうと足早に階段を降りて行った。

202 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/08(日) 16:27:06 ID:KqPvUYe70
ルイーダさん、かわいいよ、ルイーダさん。
こんな時だからこそ、気丈にふるまっているのでしょうね。

いきなり別世界に放り出されて、魔王も復活しちゃう絶望的な状況でもみんなを守ろうとするカオルさんの決意もかっこいいです。

203 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:28:04 ID:FZtEhRxoO
「追わなくて良いのか?」

ストロスとオルテガはニヤニヤとしていた。

「申し訳ありませんが・・・いいのです」
「罪な男よの」
「仕方ないのです」

薄々気付いてはいたが応えるわけにはいかないのだ。

「まあ良い、お主自身の問題じゃからの」
「すみません」
「ではオルテガ、また後程な」
「おうストロス、後でな」
「では失礼します」

三人で階段を降り、オルテガさんはアンナさんのもとへ、アンナさんと子供は静かな寝息をたてていた。
オルテガさんは二人をいとおしそうに見つめ、そっと頭を撫でると近くの椅子に座りじっと眺めていた。

私とストロス様は音がたたないように静かに扉を閉め、出ていった。
私はストロス様に無言で会釈をし町外れの空き地に向かって歩いて行った。

オルテガさんはやりすぎるなと言っていたがそうも言ってられない、私は夕方まで魔法の訓練以外に素振りや走り込みも行った。

204 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:28:51 ID:FZtEhRxoO
「さて、たくさん作らなければなりませんね」
「そうね〜、多分街中の人達が来るだろうし・・・」

料理をするのは好きだが如何せん量が多すぎる、下手したら百人単位の人間が来るかもしれないし・・・。
どうしようか悩んでいた所に宮廷料理人の集団が現れた。

「あなたがカオル殿ですか?」
「はい、そうですが」
「陛下の命により今晩の宴会の準備を手伝いに参りました」
「凄い人数ねぇ〜、こんなに入らないわよ」
「ご心配なく、店の隣に仮設厨房を設置致しました、我々はそちらで」

友として、なんて言ってもちゃっかり城の人を動かしちゃってる。
友の為なら手段をいとわない、仁義のあるお方だ。

「それともう一つ命がありまして」
「なにか?」
「貴方様の料理の数々を学んでこいと仰せでした」

なるほど、本命はこっちか。

流石は宮廷料理人か、手際も良いし指示した事は絶対に間違えない。
騒ぎに気付いた街の人も集まってきてルイーダさんと会場の設営を手伝ってくれた。
景色が赤く染まる頃にはすっかり準備が整ってしまった。

王も到着し主役であるオルテガ親子も登場した。

「皆の者、今日は我が友オルテガの為に集まってくれて礼を言う」

会場の所々から歓声があがる、皆にとっても嬉しい事なんだろう。

「今日は無礼講じゃ!皆大いに食らい、大いに飲もうぞ!」

王は王冠を脱ぎ捨て叫んだ!

「今この場だけワシは王ではなくオルテガの友じゃ!さぁ!祝杯をあげよ!!」

怒号にも近いくらい大きな声で乾杯の声があがりそれと同時にオルテガ親子への祝福の声もあがった。

205 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:29:35 ID:FZtEhRxoO
「めでたい、今日ほど嬉しい日はないぞ」
「へっ、これで心おきなく死ねるな」
「何を言うか、ルイーダの婿を見るまで死んでも死にきれんわ!」
「何言ってるのよストロス様!」
「ストロス様飲み過ぎですよ」
「うるさい!カオルもカオルじゃ!こんな美しいおなごを・・・」
「ストロス様!?」
「なっ、ちょっと!」

ストロス様はかなりハイペースで飲んでいる、もはやお節介焼きのおじいちゃんだ。

「ところでオルテガ、子の名前は考えたのか?ポカパマズなどどうじゃ?」

あの名前の由来はアリアハン王だったのか!!

「なんだその間抜けな名前は!そんな名前つけるかッ!!」
「じゃあど〜んな名にしたんじゃ?」
「アレルだ」
「ほう・・・、良いではないか」
「カッコいい名前ね」
「良い名だろ?ずっと考えてたんだ」

後の勇者アレル、君には平凡な生活を送ってもらおう、私がきっとなんとかするよ。
これだけの騒ぎの中アレルは静かに眠っていた、まるで何も知らないかのようだ。
アンナさんも来ていたが無理してはいけないと早々と帰っていった、胸にアレルを抱いた姿は幸せそのものだ。

明日からまた大変だ、だが今この時だけは全てを忘れて楽しもう。

人々は飲み歌いオルテガの息子の誕生を祝い、また国の平穏を願い大いに楽しんだ。

そして夜が明けた!

206 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:30:20 ID:FZtEhRxoO
結局ほとんどの人は家に帰らず会場でそのまま眠ってしまったようだ、私もオルテガさんもルイーダさんも、もちろん王も例外では無い。

頭が割れるように痛い、昨夜の途中から記憶が無い、どれほど飲んだのか、いつまで飲んだのかすら覚えていない。
椅子に座ったまま寝ていたせいか体も痛い。

「おはよう、カオルさん」
「おはようございますルイーダさん、さ、水をどうぞ」
「うん、ありがとう」

ルイーダさんに水を差し出す、ルイーダさんもしこたま飲んだのだろう。

王とオルテガさんはまだイビキをかいて寝ている、王は最初からハイペースで飲んでいたがオルテガさんは街中の人達から酒を進められそれに全てこたえていた。
まだしばらくは起きてこないだろう。

「今日はいよいよ旅立ちね、この一ヶ月いろいろあったわね」
「はい、毎日がとても楽しいものでした」

ルイーダさんは手渡された水を一口含み、確かめるように飲み込んだ。

「私も本当に楽しかったわ、本当に・・・、カオルさんに会えて良かった」
「ありがとうございます」
「少し散歩しない?体を伸ばしたいわ」
「お供しますよ」

二人して街外れの教会に向かって歩いていく、街中の人が会場に集まっているからか驚くほど静かだった。

「覚えてる?初めて会った時の事」
「もちろん覚えていますよ、あの時は介抱していただいてありがとうございました」
「良いのよ、私も悪い事しちゃったんだから」
「あの痛みは半日たっても消えませんでしたからね」
「それは忘れても良いわよ」
「忘れたくても忘れられません」
「うふふ」

二人で笑い合いながら教会までたどり着いた、普段ならこの時間教会内から礼拝の声が聞こえてくるのだが
今日は神父様もシスター達も酔いつぶれて寝てしまっている、今日くらいは礼拝をさぼったって神様も許してくれるだろう。

207 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:32:58 ID:FZtEhRxoO
「本当にいろいろあったわね、カオルさんの料理はどれも美味しかったし、それにお店も繁盛したわ」
「居候の身ですから、お手伝いするのは当たり前ですよ」
「でも助かったわ、やっぱり女手一人じゃ大変だもの、旅から帰ってきたらまた手伝ってね」
「ええ、もちろんです」

言い終えた後でチクリと胸が痛んだ、嘘をついてしまった。

教会の入り口までたどり着くとルイーダさんが立ち止まった、肩に掛けていたケープを頭から被り振り返った。
まるで表情を隠すかのようだ。

「約束して、必ず帰ってくるって」
「時々顔を出しに帰ってきますよ」
「違う、全部終わってから・・・」
「ルイーダさん・・・」

彼女の細い肩が微かに震えていた。

「お願い、約束して」
「・・・、わかりました、約束しますよ」

また胸が痛む。

「約束よ・・・」

そう言って抱きつくルイーダさん、私は・・・。

ガサガサ!

「誰!?」

物音がした方向に振り向く、木の陰から出てきたのは王とオルテガ親子、そしてオルテガさんに抱えられた神父様だった。

「ストロス、邪魔しちまったんじゃねーか?」
「若い者は良いのう」
「あなた、出るタイミングが早かったみたいね」
「皆さん、どうして?」
「アレルの祝福だよ、昨日言ったじゃねーか」
「なるほど、そういえば確かに・・・」

もしかして一部始終を見られていたのだろうか?皆して人が悪い。

「いつまでも見せ付けてくれるのう」

ハッとして離れる、多分私もルイーダさんも顔は真っ赤だろう、皆クスクス笑っている。

「おし、じゃあ神父さん頼むぜ」
「ぬうぅ、ではこちらへ」

頭を抑えながら教会に入っていく神父様、昨日は「私が子を取り上げたんだ!」と浴びるように飲んでいたしなぁ・・・。
心なしか足元がおぼついていないようだ。

「ゴホン!では祝福の儀を執り行う、夫妻は前へ」

208 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/08(日) 16:33:58 ID:KqPvUYe70
さらも支援〜^^

209 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:34:01 ID:FZtEhRxoO
オルテガ親子は祭壇の前に立つ、神父様は盃に水を入れアレルの前へ。

「この聖水がこの御子の魂を浄め、また振りかかる全ての災厄から身を守ってくれるだろう」

儀礼用の短剣を盃に浸しその切っ先から滴る雫を一滴づつアレルに垂らしていく。
両手、両足、そして額。

神父様は盃と短剣を祭壇に置き、アレルをアンナさんから受け取って高々と持ち上げた。

「大いなる神、ルビスよ!今日この子アレルは神の祝福を受けました!アレルが生を全うするその日までその慈愛に満ちた御心で御守りください!!」

「さ、祝福は終わりましたぞ」
「ありがとうございます神父様」

「さて、やる事はやったな、じゃあカオルちゃんぼちぼち行くか」
「はい」
「もう行くのか?」
「ああ、さっさと片付けちまわねぇとな」
「あなた・・・」
「心配するなアンナ、なにも心配はいらねぇよ」
「お願いだから無理はしないでね・・・」
「任せとけ、留守を頼むぞ、アレルもな」

アレルの頭を軽く撫で、アンナさんと一緒に抱き締める。
アレルは眠そうにあくびをし、目を閉じてしまった。

「ストロス、アンナとアレルを頼む」
「任せておけ」
「頼りにしてるぜ」

オルテガさんと王は拳を合わせる。

「ストロス様、よろしければこれを門兵に渡してもらえませんか?」
「これはなんじゃ?」
「いろいろな種類のパスタのレシピです、直接渡したかったのですが・・・」
「そうか、わかった、ワシが責任持って渡しておこう」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」

あの門兵は王からレシピを渡されるとびっくりするかな?

「では行ってきますね」
「うん、行ってらっしゃい」

そう言うとルイーダさんは私の頬に口付けをした、そしてまたケープを頭から被ってしまった。
一瞬見えた瞳は少し赤くなっていた。

「じゃあ行くぞ!カオルちゃん!!」
「はい!」
「あなた、カオルさん、行ってらっしゃい!」
「無事を祈っておるぞ!」
「気をつけてね!」

210 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 16:35:40 ID:FZtEhRxoO
肩を並べ二人で歩いていく、これから長い長い旅が始まるのだ!

「それにしてもよ、カオルちゃんも隅に置けねぇなあ」
「私、こう見えて結構モテるんです」
「ほ〜、言うねぇ」
「本当ですよ?」
「ははっ!まあよろしく頼むぜ相棒」
「こちらこそよろしくお願いします、相棒」

こうして私とオルテガさんの旅は始まった。



カオル
職業:サラリーマン
Lv:9
HP:51/51
MP:18/18

所持品
E.無銘の刀
E.旅人の服(スーツはルイーダに預けてある)
E.ネクタイ

携帯 タバコ 名刺 ライター

所持金
276G
(5000円札は大事にしまってある)

特技
メラ・イオ擬き・バギ擬き・家事全般


211 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/08(日) 16:49:13 ID:KqPvUYe70
執筆&出先からの投下お疲れ様でした。14レス分の力作ですね。

ルビスさまも封じられちゃったみたいで、これからどうなってしまうんでしょうね・・・。
でも、オルテガさん、ストロス陛下やカオルさん、兵士の皆さんみたいな人がいれば、きっと素晴らしい未来が拓ける・・・・といいですね。
wktkしながら待ってます^^

212 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/03/08(日) 18:55:41 ID:FZtEhRxoO
今回の投下は以上です、やっとこさ旅立たせる事ができました。

現在も執筆中ですがもしかしたら投下ペースが遅くなるかもしれません。
今後ともよろしくお願いします。

今回も支援してくださった方々ありがとうございます!
前回に続き今回も途中で中断してしまいました、今後は連投規制対策も考えねばなりませんね・・・。

213 :携帯まとめ人:2009/03/10(火) 23:17:50 ID:QC2NkxII0
いつも楽しませてもらっています。
このたび、宿スレ保管庫@PC(ユーザー更新型)公開をいたしました。
まだ試運転の段階ですので不具合がありましたらご連絡ください。
作者様陣にはぜひユーザー登録をお願いいたします。

【宿スレ保管庫@PC】
http://dqinn.roiex.net/
※PC・携帯で自動振り分けされます


214 :携帯まとめ人【↑についてご相談】:2009/03/11(水) 12:52:39 ID:H9m1Zv330
……とユーザー登録型で一応システムを組んではみたのですが……。

ちょっとみなさんにご相談なのですが、
いっそWikiスタイルで全ページフリーアクセスにした方がいいですか?
自分の作品も他人にいじられることにはなりますが、
すべてのページを住人全員で管理していく、
という共同コミュニティ型でもいいかなと思い始めています。
ここの住人さんはみなさんいい人ですし。

いかがでしょう?
「Wikiの方がいい」というご意見が多いのであれば、
全部破棄して作り直そうかと思ってます。
(今回のデザインやシステムは他に流用します)


※なぜか避難所が書き込みできないのでこちらに書かせていただきました。
 書き込みできるようでしたら、ご意見はこちらまでお願いします。
【避難所:保管庫@PCについての質問・意見交換】
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40919/1236587748/l50

215 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/11(水) 23:49:26 ID:NjSkUifn0
規制解除やっとキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
豪華な二本立て乙!

メイさん遂にそのエピソードに突入か〜
勇者役が面白い!
あの鬱プロローグをどう料理するか楽しみです。

カオルさんも遂に旅立ち!
ルイーダとのやり取りが面白かったからチョイ残念だけど
オルテガとの漫才に期待してます

216 :生還、そして…編1  ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:06:03 ID:obdpot2tO
バラモス…。
ぼくが倒さなければいけない、世界を恐怖におとしいれる者。無限の魔力を持ち、全てのモンスターを統べ人間を滅ぼそうとしている。
ぼくの父、オルテガは偉大なる英雄でありバラモスを倒すべく旅立ったのだけれど、何年も帰ってくる事はなかった。生死も分からない。
各地にその強さが語り継がれ、打倒バラモスを期待されていた…。生きているとしたら今はどこにいるのだろう…。
帰れない事情がもしかしたらあるかもしれない。…実のところオルテガが、モンスターとの戦いに敗れたという目撃は、絶無なのだ…。

さっきから周りが暗く、生暖かい感覚がある。海で漂っているようなそんな感覚。
「ゆき……」
ぼくはどうしたんだ…。
思い出せない。
「…ゆき……」
この声は?
そうだ……ぼくはまだ……。
「ゆきひろ…!」
戦いにもどらなくちゃいけない!
真っ暗だった海から、光に包まれた輝く海に変わった。
やさしい泡が天に向かっていく。その光と泡に導かれ、聞こえた声の主のところに戻ろう。
エリー、きみのところへ!

217 :生還、そして…編2  ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:26:30 ID:obdpot2tO
降り頻る雨…。
起きるとエリーが涙を流しながらぼくに何かを語りかけている。雷音まじりの雨と風にさえぎられ聞こえなかった。
しばらくして雨が弱まり、少しエリーの声が聞こえるようになってきた。いまは体調がよくないせいか聴力が弱まっているのかもしれない。
女武闘家エリー「よかった…」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「聞こえたよ…エリーの声、だから帰ってこれたんだ」
女武闘家エリー「あんたみたいな無茶する人! どうするのよ……死んじゃったら………」
エリーには心配をかけちゃったみたいだ…。よく見ると目がはれている。
ぼくがもう少し強ければ……もっと…。
みんなを守れるほど強ければ誰も傷つかなくてすむのに―。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ごめん、とにかくクッタクタだ。もう体もろくに動かせない…ちょっと起こしてほしい」
なぜかこの雰囲気に合わないトーンで話してしまった。
女武闘家エリー「ばかね…」
起こされると浮いていてクルクル回っている冒険者カードが見えた。その傍でナナが顔を腕でうずめ伏せて座っていた。…あの冒険者カードはサイモンだろう。

218 :生還、そして…編2の続き ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:30:20 ID:obdpot2tO
全滅すれば全員カードに収納されたまま復活の為最寄りの教会にルーラで飛んでいくが、今はそうではない。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「早く帰りたいけど…国宝がないとな…」
女武闘家エリー「…屋根にあるって言ってたよね、あいつ。ちょっと待ってて」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ああ」
その屋根は一部雷で吹っ飛んでいた。…金の王冠がそこにあったとすると非常にまずいことになる…。
女武闘家エリー「ねえ! あった! あったよ!」
エリーが屋根に上がりこっちに王冠を向けている。
あったのか…。
エリーが屋根からおりてきた。
女武闘家エリー「そういえば、あいつ。カンダタが言ってたよ、『強かったまた会える気がする』って。逃げられちゃったけどね」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「カンダタか、たしかに…また会う気がする」
エリーが持つ金の王冠を見てふとそう思った。

219 :生還、そして…編3  ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:33:16 ID:obdpot2tO
キメラの翼を使いロマリアへ向かった。辺りはすでに雨上がりの夕暮れだ。
教会に行くとあきらかにやる気の感じられないしょぼくれた初老の神父がいた。
ロマリアの神父「なんだぁ? どうしたんだ辛気臭い顔して。若者がそんな顔しちゃいけねぇよ」
辛気臭い神父にそう言われるのだからぼくらも相当辛気臭いに違いない……。
女武闘家エリー「ひとり死んじゃってるから生きかえらしてよ。疲れてるから早く宿をとらないといけないの」
エリーのサイモンに対する冷たさは異常なほどである。サイモンが死んでもそれは変わらないらしい。
ロマリアの神父「めんどくせえなー。明日じゃダメなのかい? まあやるんなら深夜特別料金で4000Gになるがな…」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「い…いま幾らあったかな」
女武闘家エリー「バカらしい…。サイモンを生き返らせるのなんて、レベルと必要性から言って100Gよ。100Gで生き返らせなさいよ!」
女僧侶ナナ「そんなヒドイ…。サイモンはこれまでゆきひろさんのお役に立っていたはずです…それなのに」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「幾らでもいいから早く生き返らせるべきだよ。エリー」

220 :生還、そして…編3の続き ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:42:02 ID:obdpot2tO
女武闘家エリー「明日ならもうちょっと安くなるんでしょ? 押しかけてるのはこっちなんだから、
いますぐ生き返らせる事にこだわることないわ。仮にずっと放置したとしても本当の意味で死ぬ事はないんだから…」
ロマリアの神父「なーんにも知らねーんだな、ペチャパイの姉ちゃんは。そんな便利なうたい文句…そんな便利な冒険者システムはもう使えねえ。魔王の乱調的な波動が世界に影響しててな。
死亡後にルーラでこっちに送られるシステム以外は殆ど通用しねぇんだ。ここ一年くらいでますます魔王の魔力が俺らに影響を受けてきてるのさ。簡単に言っちゃえば時間が経つごとに生還率は下がる、
明日の朝にはそいつの生き返る確率は68%にまで下がってるぜ? 今なら92%生き返るがな」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「…………そんな。じゃあいますぐに生き返らせて下さい!」
ロマリアの神父「へへ兄ちゃん…。その目なんか気に入ったぜ、希望があらぁな。よっしゃいますぐ生き返らせてやんよ、こっちの言い値で構わないんだな?」

221 :生還、そして…編4  ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:44:49 ID:obdpot2tO
お願いしますと僕は告げた。
ロマリアの神父「よっしゃまかしときな! サンモンのみたまよ、戻って来いや!」
目が子どものようにキラキラしていた。これが本来のこの神父さまの姿なんだろう…。…サイモンの名前を間違えてるけど……。
ロマリアの神父「終わったんだぜ」
女武闘家エリー「え」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「え」
道具袋から、冒険者カードが勢いよく飛び出した!
女僧侶ナナ「あ………。サイモン!」
ドサリと冒険者カードから解放され生き返ったサイモンが現れ地についた。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ず、ずいぶん生き返るのはやい……」
女武闘家エリー「あらら……ナナ、あなた」
女僧侶ナナ「サイモン!!」
泣いてるのかうれしいのか複雑な表情でナナはサイモンの胸に飛び込んでいった。なんという男冥利につきるやつだ、サイモン。
男戦士サイモン「…あらま、もうカンダタ戦は終わっちまったのか…。はは、ナナ心配かけたか?」
サイモンはいつも通りけろりとしている。どこか斜めに世を見ているようで、熱く純真な心をかくしたがる、ぼくらの…サイモンだ。

222 :生還、そして…編4の続き ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:47:28 ID:obdpot2tO
ロマリアの神父「よしよし、感動の再会は果たしたんだ、早く4000Gだしな」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「分かりました。神父さま、どうもありがとうございました」
ぼくは約束のGを渡した。
ロマリアの神父「いまどきの若者にしては感心な者達だ。どこに行く旅なんだい?」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「バラモスを倒さなければいけないんです」
ロマリアの神父「ほ…ほう、そりゃ……」
神父さまは言葉をつまらせた。
ロマリアの神父「まさか勇者ご一行とは思わなかったぜ。よし! もう1Gもいらねえ。困った時は必ず此処に来な! できる限り力になるぜ。なーに気に入ったんだおまえらをな。魔王バラモスをぶっとばしてきてくれ!」
神父さまはニコニコしながら手を振って見送ってくれた。

223 :生還、そして…編5  ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:50:28 ID:obdpot2tO
飲めや歌えの大にぎわい。なぜか宿屋で酒を買い込んで飲むことになった。主犯はサイモンであるが、エリーやナナも止めることはなく珍しくノリノリであった。大盗賊カンダタを倒した祝い―、サイモンが復活した祝いなども兼ねていた。
明日はたぶんいろいろとロマリア国王からも金の王冠を取り返したご褒美も出るだろう。
ぼくも酒を飲んでみたがキツい味だ、なにやら胃があついような気がする。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「フラフラするのに…今日くらい寝て過ごしたかったよ」
愚痴が出てしまう。
女武闘家エリー「あらやだぁ勇者がそんな小さくまとまってどーすんのよ。飲みなさい、飲みなさい」
エリーも飲んでいた。この世界は飲酒は何歳からになるんだろうか…。酒場では止められたはずだが…。
ナナはというとジュースである。やはり酒は飲まないらしい。
ぼく(男勇者ゆきひろ)「ああ、じゃあもう少し…」
男戦士サイモン「おいおい少しじゃなくて沢山飲めよ、あと三ケースあるんだぜ!」

224 :生還、そして…編5の続き ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:52:41 ID:obdpot2tO
女武闘家エリー「さあいきなさい!」
ぼく(男勇者ゆきひろ)「うわ…やめろって」
この流れにあらがう事は出来なかった。
ぐるぐると視線が回り、明らかにもう限界に近づいてきていた。エリーがコップに酒をつぎまだ飲ませようとしてる。
不思議だ。今はこうして深い絆がある、少し前とは違う。
冒険する術を手に入れ、バラモスへの道が見えてきている。バラモス…。世界を震撼させ、闇に覆う破壊神。
近づくごとに遠くなり、遠くなるごとに近づいて来ている気がする。

男勇者 ゆきひろ レベル19
女武闘家 エリー レベル18
男戦士 サイモン レベル17
女僧侶 ナナ レベル17

225 : ◆Tz30R5o5VI :2009/03/15(日) 18:58:48 ID:obdpot2tO
一年ぶりに書きました
バラモスとの決戦を書きたくて連載したのに、いつ書き終わるやら

>>1
乙です^^

226 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/17(火) 08:32:28 ID:ZNi38Y1vO
ぬるぽ

227 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/19(木) 10:51:52 ID:xAxy8m9w0
放置されるぬるぽほど哀れなものはないなw

228 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/19(木) 23:33:21 ID:Cyeghrt8O
>>226-227
ガッ

229 :魔子 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/20(金) 18:29:21 ID:fS01kVw0O
「ん…?誰か来たぞ。」
「親分!?親分なのか!?」
「いや、違う。ガキだ。しかも女。」
「何!?まさかこの間の女じゃないだろうな?」
「いや、さらにガキっぽいな。ガザーブの村のガキが迷い込んだんじゃないのか?」
シャンパーニ塔の最上階、ここをアジトにしている見張りの二人組は、塔に近づいきた
一人の幼い女の子の様子をしばらく眺めていた。
何をしているのか女の子はなかなか中に入らない。ふと塔の頂上を見上げる女の子。
見張りの二人の男と目が合う。目が合うなり女の子はニイッと笑みを浮かべ、次の瞬間。

バシュン!
「ひぃっ!!」
「悪い人達見〜つけた!きゃっきゃ!」
「ななんだコイツ!飛んできやがった!」
「おい!!なんだお前は?」
「私はマコ。遊びにきたのよ〜。」
「な、何が遊びだ!?ざけてるんじゃねーぞ!」
「別にざけてないのよ〜。悪者退治と言うなのお遊びなのよ〜。」
「退治?俺達をカンダタ一味と知…」
「べぎらご〜ん!!!」
女の子は呪文を唱えると、一瞬にしてフロア全体が炎に包み込まれ、さらに2階下までの
物、人、モンスター全てを焼き尽くした。
丸焦げに果てた二人の見張りの男を確認すると女の子はきゃっきゃと嬉しそうに階段を降りて行った。

230 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/20(金) 19:34:18 ID:ltS7F5pI0
ちょwww金の冠も焼失・・・(金だから溶けるか・・・)

231 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/21(土) 11:20:18 ID:1IpOafaoO
オアシスから北にあるピラミッド。
俺達はそこへ黄金の爪を始めとする金銀財宝を求めてやってきていた。
ピラミッドに着くなり、俺達は地下に潜り黄金の爪が隠されているという隠し階段を探していた。
「…なあ。まだ見つからないのか?もう2時間は経つ…。騙さたんじゃ…」
「うるせぇなあ!俺様の情報に狂いはねえんだ!!間違いはねえ!!大体てめぇが船欲しいつったんだろ!?」
「あ、あぁ。」
「だったらつべこべ言うんじゃねえ!!俺様だって探してやってんだ!」

4フロアにも分かれる地下室、土に埋もれた地面をひたすら掘り返す作業。
さらにモンスターも沸き、ミイラも沸いてくる。一向に作業は進まない。
その中でアイツは約2時間前にぐっすりと眠りについているもんだから、カンダタは半ギレ状態。
愚痴を聞きながらの作業は俺の体力をどんどんと奪うものだった。
しかしこれも全て船を手に入れるため。黄金の爪とやらを見つけて売れば大金が入る。
…やるしかないな。

…………。

………。

……。

…。

zzz…。

ガツンッ!!!

「痛っ!!」
「ソラ!!てめぇまで寝てやがったな!!マジで殺すぞボケが!!殺すぞおらあ!!」
ガキンッ!!
「わ、悪い悪い!今探すから落ち着け!頼むから斧振り回さないでくれ。」
「けっ。てめぇが寝てた間に見つけたぜ隠し階段。」
「ほ、本当か!!!」
「ああ。誰も掘り返した形跡が無ぇ。きっと宝は眠ってるぜ。」
「よっし!おいサキ!起きろサキ!隠し階段見つけたぜ!」
「ん………。起こすな…。眠いんだから…。」
「眠いじゃ無い!行くぞ!」
「…無理だ…。おぶれ…。」
「お前っ…。ったくどんだけ眠れば気が済むんだ…。」

疲れきった身体でサキを背負い、俺達は隠し階段を降りていった。

232 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/21(土) 11:23:49 ID:1IpOafaoO
細い通路を進んで行く。きっとこの先に黄金の爪が眠っている。
それを売った金で船を買おう。船で未だ見ぬ世界を旅をして強くなり、そして魔王を倒し…。
そしたら俺は思い出せるだろうか。アリアハンの宿屋で目覚めた理由を………。

ガンガンガン!!

「くそっ!!駄目だこの扉!びくともしやがらねえ!!」
宝を目前にして俺達は頑丈な鉄の扉に阻まれた。
「どうする……?ここまできて諦めきれないぞ。どこかに鍵でも有るのか?」
「ちくしょうっ!!俺様にもっと力があればこんな鉄扉なんぞ…!」
「ここではなぜか魔法も使えないしな…。」
「………降ろせソラ。私がやる…。」
「サキ?」

眠そうな目を擦りサキは鉄扉の前に立つと、俺達の前で初めて木刀ではないもう一方の剣を引き抜いた。

「真剣っ……!!」
俺は息を呑んだ。どんな時でも木刀で全てを片付けてきたサキがついに真剣を握っている。
その雰囲気だけで、別に俺に向けられている訳でも無いのに足が竦み上がり一歩も動けなくなっていた。
「んっ…!!」

ピィィン!!!!
一瞬だった。分厚い鉄扉が真っ二つに斬れたかと思うと次々に亀裂が入り粉々に粉砕されたのだった。
真剣を背中の鞘に納めたサキ。背丈程もある長い黒髪についた舞い上がった埃を振り払い手櫛で整えている。
次に真剣を見れるのは何時になるのだろうか。
…強すぎる。なぜあの小さな身体で細い腕で…。これが勇者の血を引きし者の力なのか?
俺は、本当にコイツに追いつけるのだろうか…?
「……疲れた。ソラおぶれ。」
「え…、あ、ああ…。」

233 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/21(土) 11:28:18 ID:1IpOafaoO
「おい見ろよ!!祭壇!!黄金だ!!黄金の爪があるぞ!!」
「よっし!これで船が買えるな!やったなサキ。」
「……眠い。早く帰るぞソラ…。」
「…お前なぁ。まあいいか。」

黄金の爪を袋に詰め込んで出口の方へと振り返った瞬間、俺達は目を疑った。
「えっ!?」
今通って来た通路が隙間もないほどミイラの群れで埋め尽くされていたのだった。
「いつの間に!?」
百?二百?数えられたものではなかった。こんな数相手に出来る訳が無い。
「サキ。おいサキ。こいつら斬ってくれよ。」
「…イヤ。眠い…。お休み…。」
「お休みじゃねぇ!!!おいサキ!!ふざけんな!!」
「……すぅすぅ。」
「なぜ寝れる!!!なぜこの場で眠れるんだお前は!!」
「ちっ!やるしかねーぜソラ!!偶然だろうが俺様を倒した時の様な力期待してんぜ!!おりゃあああ!!」
「無理だっての!!おいカンダタ!!ちくしょう!」

カンダタは鉄の斧を振り回し一振りでミイラ男を3〜4体薙ぎ払っていくものの数が尋常ではない。
無理だ。いずれ力尽きてやられてしまうのは火を見るより明らか。
こうなったら無理矢理にでも起こすしかないな。…死ぬかもな俺。

「おいサキ。いや…起きろよ貧乳女!!!!!この洗濯板!!!このぺったんこ!!」
「……………な…」
「ん!?起きたか洗濯板!!!てめぇがやらなきゃ…がっ!!」
ボキッ!!!
「誰が洗濯っ!!せっせっ洗濯板じゃない!!!!」
「痛つつ…やっとおき、おぐっ!!!!」
バキッ!!
お、起こさせることは出来た…。だが俺はもう、ぐぎっ!…駄目のよう…だ。後は頼んだぜカンダタ。サキ……、んがっ…!

「皆…皆殺してあげる…。丁度いい数じゃない。絶対、絶対許さない!!!」

怒りの矛先をミイラの群れに向けたサキは、群れに飛び込むと竜巻でも発生させたのかの様に
ミイラを次々と紙屑にして吹き飛ばしていく。
隙間なく埋め尽くされていたミイラの群れはサキが通った所だけ通路が開けていた。
カンダタはぶちのめされた俺を担ぎ、サキの作った「道」を通りミイラの群れを突き抜けていったのだった。

234 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/21(土) 11:41:34 ID:1IpOafaoO
久しぶりです。
しばらく書いてなかったので上手く話が繋がってないかもしれませんです
ではまた

235 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/22(日) 19:07:56 ID:YdhHFzerO
黄金の爪を手に入れた俺達はオアシスへ戻ると、それを惜しみもせずに早速商人に売り払い、持ち切れないほどの
大金を手に入れることが出来たのだった。
このお金で船を手に入れるため今度はオアシスからロマリア地方へと戻り、ポルトガという国に向かっていた。
その途中、久々に暴れ猿やさ迷う鎧などのロマリア地方の敵と遭遇したのだが難無く倒すことが出来るようになっていた。
自分達がどれだけ成長出来ているのか試すいい機会。
しかし余りに手応えがなさすぎたのでモンスターと戦っている最中でも、仲間と雑談を交わすことも余裕だった。

「なあソラよ。船を手に入れたら俺様はジパングって所へ行きてえんだ。なんでも黄金が眠る国らしいぜ。」
「黄金?ピラミッドの黄金よりすごいのか?」
「さあな。だが船なんて買ったら多分俺達無一文だからな。だから絶対行くべきだぜジパング!!なあソラ!」
「…なんか目的ズレてないか?まあ世界中を回るつもりだからいずれ行くことになるだろうけど…」
「いずれ?一番最初に行くに決まってんだろ!他の奴に奪われちまうじゃねえか!!こうしちゃおれん!早く来い!」
「おいおい待てよ(…まだ船も手に入れてないしジパングに黄金があるって確証も…)なあサキ?」
「………。」
返事がない。しかし今日は寝ている訳でもない。昨日のことで俺は完全に無視されているのだ。…………。
「…そ、そういやカンダタ。お前のアジトってこの辺りだったよな?子分達に顔見せていったらどうだ?」
「あぁ?別に構わねえよ。俺様がいなくたってアイツラはしっかりやってるはずだ。」
「そうか…。」
「んなことより俺様の今の目標はジパングだ!!行くぜジパング!!」
「おいおい落ち着けよ、ここはリーダーの意見を聞いてだな……ん!?」
「…なんだ?誰か走ってくるぞ!モンスターか?」
軽く身構える俺達。だが向かって来る何者かは襲ってきたのではなく助けを求めるものだった。
「親分っ!!はぁはぁ!っ助けっくだっ!親分!!」
「(…親分?)カンダタの子分か!?」
「なんだ!?どうしたんだ!お前一人か!?」
「っはぁはぁ!な、仲間っが、はぁはぁげほっ!げほっ!」
ひどく息を切らしている様子だった。必死にカンダタに何かを伝えようとしているがまるで解らない。
解らないが、呼吸もままならない程の必死な子分の様子からは何かとてつもない恐怖を感じ取れた。
「落ち着け!息を整えろ!アジトか!?アジトで何かあったのか!?」

「説明するまでもないのよ〜。」

幼い声。少し離れた所から聞こえたその方向へ振り向いた瞬間だった。

236 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/22(日) 19:11:43 ID:YdhHFzerO
ズドドドドドドン!!!!!!!!!!

かわすことも防ぐことも出来ずに俺達全員に、強力な呪文が襲いかかり辺り一面を吹き飛ばした。
生えている草や花を一瞬にして焼け焦がし、辺りの木々をも薙ぎ倒し、なおもその熱風は余韻を残して広がっていた。
「つっ……。」
それぞれがそれぞれを守るだけで精一杯だった。俺もサキもカンダタも四方に吹き飛ばされたが無事ではあった。
だが…。
「子分が……。俺様の子分が!…やってくれるじゃねえか!!どこ行きやがった!!出てきやがれ!!」
見失ってしまった。いや、初めから声だけで存在だけしか感じ取れなかった。それが今は感じない。
「サキ。分かるか?」
「………。」
「おい、こんな時まで無視すん…」
「黙れソラ。今探ってる…。」
「っ……。」
表情はいつもと変わらないが、そのいつもよりハッキリとした口調からサキの本気を感じ取ることが出来た。

ざっざっざっ…。
歩く音。やや離れた所からそれは姿を現した。その姿を見て俺達は驚いた。

「子供…!?」
「親玉見つけたのよ〜。観念するのよ〜。」
一目でみて分かる子供だった。背丈は俺の約半分しかないほど幼い。
魔導師のローブを被っただけの姿で、とても先程の大呪文を放った術者には見えなかった。
きっと術者は別にいる。俺はそう思った。

237 :喪失 ◆GlJDOSjJ1Y :2009/03/22(日) 19:17:30 ID:YdhHFzerO
「貴様がやったのか!?」
カンダタは今にも切り掛かりそうな声を上げて問いただす。
「そうなの。悪者は全部やっつけるのよ〜。」
それに対し幼い女の子はこれからおままごとでも始めるかの様な口調で答えた。
「けっ!相手がガキだろうが関係ねえ!!殺すぜ!」
「待て!!カンダタ!!」
「止めても無駄だぜ!子分が殺されたんだ!止めるようならてめぇとの仲はこれまでだ!」
「カンダタっ!きっと何かの間違えだ!戻れ!」
もはや聞く耳も持たないカンダタはその女の子目掛けて切り掛かっていく。
「ちくしょう…!」
それでも止めるしかない。相手は幼い人間の子供だ。殺させる訳にはいかない。
ガキィン!!
しかしサキはなぜか俺を制止させた。
「何をする!?」
「ソラ。聞け…。私が時間を稼ぐ。ソラは逃げろ。」
「は!?」
「私でもあいつに勝てない…。カンダタは諦めろ。」
「!?何言って!?とにかく止めなきゃ駄目じゃねえかよ!?」
「落ち着け。」
「落ち着いてられるか!女の子が!!どけ!」
俺は身体を止めているサキの木刀を振り払い、サキを突き飛ばしカンダタと女の子のもとへと走った。
「仕方ない…。」

「!?」
ピッと突如激しい閃光が走り俺は目が眩み思わず立ち止まる。そしてその後すぐに、

「イオナズン。」

そう聞こえた。もうその後には俺は何も解らなくなっていた。

238 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/22(日) 22:47:04 ID:nTvzvObA0
支援〜。かな。
マコちゃんの話、つながっていたのか〜。
さすがのサキも強力な呪文には弱いのね。

239 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/23(月) 18:00:25 ID:Uu2cGrhIO
FC版DQ4ではすでに定番となっているコイン838861枚で4ゴールド、迷い込んだ人が覚えていたら絶対やるよな?

240 :携帯まとめ人【お知らせ】:2009/03/24(火) 23:03:23 ID:M0vpW3IV0
いつも楽しませてもらっています。
>>213-214でWikiと迷っているとお伝えしましたが、
現在の形式で運営することにいたしました。
改めてユーザー登録を募集いたします。

【宿スレ保管庫@PC】
http://dqinn.roiex.net/
※PC・携帯で自動振り分けされます

【ユーザー登録申請フォーム】
http://dqinn.roiex.net/cgi/form-regist/

今後、新たに投下された作品は私の方ではまとめ(られそうもあり)ません。
なにとぞご協力よろしくお願いいたします。

※まとめる人がいない作品は過去ログのみとなります。
有志が代わりにまとめていただけるとものすご〜く助かります(別途専用IDを発行します)。
したらばに話し合い専用スレを設置しておりますので、そちらをご利用下さい。

【保管庫@PCについての質問・意見交換】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/40919/1236587748/


241 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2009/03/25(水) 14:46:50 ID:H6nDzMy70
住人職人のみなさま、お疲れ様です。
タカハシの物語はようやく最後を迎えます。
納得いかない箇所は多々ありますが、これで一応の完結です。

物語自体が長いため、最終部はまとめサイトへ直接アップロードしておきました。
携帯電話の方には申し訳ありませんが、変換ブラウザを通すか、まとめられるまでお待ちください。
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

また後日、何か書き込みます。
たくさんの意見や感想を頂き、本当にありがとうございました。

242 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/25(水) 18:44:46 ID:dmSUj2rm0
いやぁ、読みました。
終盤、素晴らしいアイディアがいっぱいつまった衝撃的な展開でしたね。

ラストも感動的でした。ネタばれ?になってしまうから詳しくは書きませんが、タカハシの疎外感に共感したり、最後のルビス様(もしかしたら精霊か神々?)の言葉がじ〜んときました。
メイの正体(?)にもびっくり。

ルビス様かわいいよ、ルビス様。


243 :タカハシ ◆2yD2HI9qc. :2009/03/27(金) 16:29:44 ID:3EVLHmQW0
>>242
ありがとうございます。
アイデア詰まってるといってもらえると、とてもうれしいです。
いろいろと補足が必要な展開になりましたが、それはまたの機会に……

で、携帯電話から閲覧出来るURLを用意しました。
アプリとかではないので、だいたいの携帯電話でみられるはずです。
http://mobazilla.jp/?http://ifstory.ifdef.jp/story/story_2yD2HI9qc_006.html


244 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/27(金) 23:25:56 ID:MDhYUPii0
良スレage

245 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/28(土) 07:19:36 ID:DQ9m8o5j0
...目を覚ますと、IDに DQ9 が入っていて驚く私であった...。 

246 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/28(土) 08:19:15 ID:uI+fBcUv0
>>245
すげえええええええ!

247 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/03/31(火) 13:40:56 ID:l4wFouDM0
ゅしほ

248 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/04(土) 01:49:20 ID:uATjCISF0
もし目が覚めたらスレがネット世界の倉庫だったら困るので保守

249 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/09(木) 00:31:47 ID:u09atDSj0
ほっしゅん

250 :ぬるぽ:2009/04/12(日) 10:23:46 ID:pdiYaE0KO
ぬるぽ

251 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/04/13(月) 22:30:37 ID:MqGbHNRP0
―怠惰だよ寿老人―

 同じ部屋で寝ている兄弟がいた。
「……ねえ、兄ちゃん。起きてる?」
「寝てる。」
「ツッコミ入れた方がいい?」
「どっちでもいい。」
「じゃあ、流す。」
「了解。」
「それでさ。」
「ああ。」
「今、何時?」
「俺の勘では朝5時半。」
「あのさ。」
「なに?」
「時計見てよ。」
「そんなものより、俺を信じろ。」
「信じるよ。時計さえ見てくれたら。」
「それは残念だ。」
「どうして?」
「俺は弟に信用されない兄として生きていかねばならない。」
「いや、そんな生き方選ぶくらいなら時計見てよ。むしろ見ろよ。」
「それができたら、とっくにしている。」
「何それ。いつにも増して意味不明なんだけど。」
「簡潔に説明するとだな、時計がない。」
「どこにやったの? 怒らないから言ってごらん。」
「知らん。言ったんだから怒るなよ。」
「止まってるんじゃなくって、なくなってるんだよね、時計。」
「それよりも、もっと重要なことがある。」
「なに?」
「ここ、俺たちの部屋じゃなくない?」

252 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/04/13(月) 22:32:10 ID:MqGbHNRP0
 弟は窓を見つめたまま固まっていた。
「……なにこれ?」
「びっくりだよな。俺も思わず二度見しちまったよ。」
「おかしいよね、これ。絶対おかしいよね。明らかにおかしいよね。」
「ああ。部屋の外も全くの別世界だもんな。」
「この窓って液晶画面でさ、みんな映像なんじゃないの? あれも、これも……」
「残念ながら違うようだ。それにしてもさ、なんだろなこの部屋。宿屋みたいだが。」
「まさか。ドラクエじゃあるまいし。」
「宿屋といえばドラクエしか思い浮かばないとは、さすがは我が弟。」
「僕たちさ、どうしてこんなところにいるんだろう。」
「さっぱり分らんな。夢にしてははっきりくっきりしてるし。」
「なにか手掛かりないかな。ここがどこなのか探るための。」
「部屋を出ていろいろ調べてみるしかないだろうな。」
「ドアに鍵は……かかってないね。」
「少なくともこの部屋に監禁されているわけじゃないみたいだな。」
「現状じゃそれがいいことなのか悪いことなのかすら分からないね。」
「まあ、探ってみよう。」
「調べる前に確認しておきたいことがあるんだけど。」
「なんだ?」
「兄ちゃんは、ほんとにタカカズ兄ちゃんだよね。」
「それは難しい問題だ。」
「どうして?」
「俺の知っている俺はこんなところにいないからな。」
「僕の知っている兄ちゃんがいいそうなセリフだよ。」
「じゃあ、俺はお前の兄のタカカズってことでいいんじゃないか。」
「だね。兄ちゃんは僕のこと僕じゃないかもって疑わないの?」
「疑ったところでさ、お前は自分がフミトモであるって証明できるのか?」
「難しいと思う。」
「だろ。疑ってみても仕方ない。」
「兄ちゃんって長生きしそうだよね。」
「いやー、そんなに褒めるなって。」
「……流すよ。」
「あいよ。とにかく、ここがどこなのか調べよう。」

253 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/04/13(月) 22:33:22 ID:MqGbHNRP0
 兄弟は部屋の外へ出ていろいろ調べてみた。
「それでさ。」
「ああ。」
「調べてみてもよくわかんなかったね。」
「何を聞いても期待する答えは得られなかったな。」
「なんだか話がかみ合わなかったね。」
「少なくとも言葉が通じることだけは救いだけどな。」
「言葉が通じても話が通じないことってあるものなんだね。」
「思ったんだけどさ。」
「なに?」
「怒らないで聞いてくれるか?」
「僕が怒るようなことなの?」
「言ってみないと分からない。」
「とにかく話してみてよ。怒らないから。」
「待てよ。怒るって言うより呆れるかもしれないな。」
「呆れるの?」
「もしくは悲しむかもしれない。」
「いいからさっさと話せよ。」
「……怒らないって言ったのに。」
「わざとやってない?」
「思ったんだけどさ、ここってほんとにドラクエの世界じゃないか?」
「本気で言ってるの?」
「やっぱり呆れるよな。」
「いや、だって、それは、さすがに、あれでしょ。」
「でもな。いろいろそれっぽいところあるじゃんか。」
「それっぽいだけでゲームの世界に来ちゃいましたって言うの? 言っちゃうの?」
「ならば、確かめてみるか。ここがドラクエの世界かどうか。」
「どうやって?」
「家に忍び込んでタンスや壺をあさってお咎めがなければここはドラクエ世界だ。」
「ふーん、なるほどね。でもさ。」
「なんだ?」
「それだとここがドラクエ世界じゃなかったときのリスクが高くない?」
「確かに。ドラクエ世界じゃなかったら別のところに入れられて出られなくなるな。」

254 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/04/13(月) 22:34:34 ID:MqGbHNRP0
 兄と弟の話し合いは続く。
「別の方法で確認するしかないね。ほかにドラクエの世界ならではのルールってない?」
「あるぞ。普通さ、小説なんかってカギカッコの最後に句点ってつけないよな?」
「句点って文末につける小さい丸だよね。」
「ああ。それでな、ドラクエでは会話文の最後に句点が付いているんだ。」
「そうなんだ。」
「ただし後ろのカギカッコがない。」
「なにそれ、そんな気持ち悪いことあるわけないじゃん。」
「ほんとだって。ドラクエするなり動画サイト行くなりして見てみろよ。」
「ゲーム機もパソコンもないのにどうやって調べるんだよ。」
「ドラクエの世界にいるのにドラクエのことが調べられないとは、なんてもどかしさ。」
「ここがドラクエの世界だってもう認めてるよね、その発言。」
「ま、句点のことが分かったところでここがどこかなんて判断できないんだけどな。」
「意味のない豆知識だったね。」
「別のドラクエらしさを考えるか。」
「何か、いいのあるの?」
「あとは、呪いの重ねがけができないなんてルールがあったな。」
「それって8だけじゃないの?」
「ところがだ、そうとも言えない。」
「そうなの?」
「ドラクエ6の主人公もムドーにより呪いを掛けられていたのをご存じだろうか。」
「そうだっけ。」
「ああ、そうなのだ。」
「それじゃ、ドラクエ6の主人公も呪いにかからないの?」
「確かに主人公にかかる呪いはない。なぜならドラクエ6には通常の呪いがないのだ。」
「そうなの?」
「ドラクエ6の教会では呪いを解くという選択肢がないのだ。」
「で、それを知ったところでどうするの? 呪われて確かめてみようって言うの?」
「まあ、そうそう都合よく呪われないだろうけどな。」
「仮に都合よく呪われてもさ、ここがドラクエ世界じゃなかったとき悲惨だよね。」
「そもそも呪いのアイテムの重複装備はほかのシリーズでできた気がしてきた。」
「お守りっていくつも持つと効果ないって言うけど呪いは違うのかもね。」

255 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/04/13(月) 22:35:36 ID:MqGbHNRP0
 あたりは日が暮れようとしていた。
「結局ここがどこかわからないまま今日が終わろうとしているな。」
「なんでこんなことになっちゃったんだろうね。」
「泣いているのか?」
「え、別に泣いてないよ。」
「お前、普通ここは泣くとこだろ?」
「泣きたいのはやまやまだけどさ、泣くタイミングを失ったよ。」
「いまだに自分たちの置かれている状況を把握できていないからな。」
「状況は分からなくてもさ、僕たちいつもとあまり変わらなくない?」
「まあ、いつものように馬鹿げた会話をしているからな。」
「大変なはずなのに、いまひとつ緊張感がなかったね。」
「だな。そういや今晩はどこに泊まろうか。」
「また宿屋に泊ればいいんじゃない? 幸いお金みたいなのも持ってるし。」
「ああ、それでいいか。」
「もしかしたら明日の朝には元の部屋で目覚めるかもしれないよ。」
「そう願いたいもんだな。明日の朝はいつもの部屋で目が覚めるかもしれない。」
「きっとそうだよ。」
「ここはドラクエ世界でクリアするまで帰れないなんてのは願い下げだよな。」
「それは辛そうだね。楽しいのはゲームであって冒険することじゃないもんね。」
「さ、もう宿屋に戻ろう。」
「うん。明日の朝、元の世界に戻ると信じてね。」
「あ、そうだ。お前、1つ頼まれてくれないか?」
「なに?」
「念のためちょっと家に帰ってドラクエの攻略本を持って来てくれない?」
「あのさ。」
「なにかね。」
「ツッコミ入れた方がいい?」
「どっちでもいい。」
「……もういいや。今日は休もうよ。」
「そうだな。難しいことは明日考えよう。」

―続く―

256 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/13(月) 22:43:14 ID:ZzKoHRFF0
>家に忍び込んでタンスや壺をあさってお咎めがなければここはドラクエ世界だ。
そりゃ確かめるのに丁度いいがリスクが大きすぎるwwww

この兄弟淡々としすぎで最高におかしいw
兄のドラクエマニアぶりがいいな

257 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/14(火) 08:29:52 ID:1YZdJn150
シュールでおもしれえwwwww

258 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/16(木) 00:48:18 ID:DmgLc+Yu0
冒険の書の人、ついに7か
いつも凄く楽しみにしています
今回はどんな仕掛けが!

259 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 10:26:12 ID:R5jlhXdk0
どうしてもこの兄弟を連想してしまうw
          ∧_∧
    ∧_∧  (´<_`  )
   ( ´_ゝ`) /   ⌒i
   /   \     | |
  /    / ̄ ̄ ̄ ̄/ |
__(__ニつ/  FMV  / .| .|____
    \/____/ (u ⊃

260 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 13:27:20 ID:v2izG6R70
ノートパソコンの文字をDQ7にしたらもっとよいかも?

261 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 16:56:05 ID:Q2o/XM7J0
こんばんは。GEMAです。
第18話前半投下します。

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262 :不逃不屈の日輪【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 16:58:55 ID:Q2o/XM7J0
水鏡から湧き出でる灼熱と零度の風。それは本能が拒絶する絶対的な威圧感の具現。
その吹きすさぶ意思の中央に影が二つ。

「仰せのままに…それでは我々は引き続き任務を遂行致します。
 冷厳にして偉大なる王ミルドラース様に栄光あれ」

煌びやかな衣装に身を包んだ一つの影が眼前の水鏡に最敬礼の動作を見せる。
流動する赤黒い液体が張られた水鏡。そこに映し出される二つ目の影。
その姿がかき消えると同時に、石造りの小さな部屋に乾いた空気が戻ってくる。

「…と言う訳で、引き続き触媒となる奴隷を集めよ。これが王の指示じゃ」

腹心である単眼の巨人に主からの指示を告げる初老の男。
その吐き捨てるような口調からは不機嫌である事がはっきりと窺え、
目の前で跪く巨人がその巨体を僅かに縮み込ませる。

「あの…ゲマ女史の件に関してミルドラース様は何と?」
「…放っておけ…だそうじゃ」

男が凍える吹雪混じりの盛大な溜息を吐き、巨人が『しまった』と言わんばかりの
慌てたような表情を見せ、さらにその体を縮ませる。

「まったく…ゲマの奴めが不穏な動きをしている事は主も気付いていように、
 なぜ何の咎めもなく好き勝手やらせておくのか、王の考えが理解できん。
そもそもミルドラース様とゲマの奴めは元来我々とは異な…」
「イブール様!!」

その身を小さく小さくしていた巨人がその身を起し、男の言葉を遮る。

「…ふむ、これは禁句であったな。まぁよい、我々は我々の任務を遂行するのみよ」

奴隷達の生活は今日も変わらない。

263 :不逃不屈の日輪【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 17:03:21 ID:Q2o/XM7J0
            ◇
空間を支配する零度の風。それは本能が拒絶する絶対的なKYの具現。
その吹きすさぶ意思の中央に影が二つ。
温かな光が射し込む王宮の一室。そこの空気はひどく冷たい。

大口を開けたまま、これ以上ないくらい情けない顔で固まったヘンリーと、
ケーキを刺したフォークをその大口に運ぶ途中で固まったマリアさん。

ぼとり…と、スローモーションのように大粒のイチゴがヘンリーの膝に落ちると同時に
その場にいた全員が我に返った。

「うん。それじゃ、お邪魔しました」
「待て待て待て待て!何いきなり帰ろうとしてやがる」

一瞬で回れ右をしたサトチーをヘンリーが呼び止める。

初めてのルーラが発動し、移動した先はラインハット。
久々にヘンリーに会える。ちかちかと光が組み換わって姿を変える景色の中
それほど離れていたわけでもないのに、なぜかとても懐かしい友人の顔を思い浮かべた。

そして、開けた視界の中で一番に飛び込んできた懐かしい友人の顔はあまりにアレで…

「ま…まぁ、よく来たな。あれからお前達を探し回ったんだけど見付からなくってな。
 …あ〜その…なんだ、俺達つい最近結婚したんだ」

なるほどね。さっきのアレは『マリア、あ〜ん(はぁと』『仕方ないわねぇ。あ〜ん』
…の最中だったわけか。

「…みだりによそ様の生活圏に足を踏み入れる行為は自粛する事を勧める…」
「うん、以後気を付けるよ…」

スミスの常識的、且つ辛辣な言葉にサトチーが本気で肩を落とした。

264 :不逃不屈の日輪【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 17:06:27 ID:Q2o/XM7J0
再会の瞬間はアレだったけど、久々の再会って事でお互いの近況の報告、
そしてサトチーとヘンリーは和やかに雑談を続けている。
マリアさんにケーキを切り分けてもらってご機嫌なブラウン。
紅茶の温度が適温ではないと給仕係に作法を教えるスミス。
俺はと言うと

「デールさんは今忙しいかな?」
「いや、今日は謁見の予定もないからヒマしてるんじゃねえ?」
「ふ〜ん…ちょっとデールさんに挨拶してくるわ」

自分も一緒に挨拶を…と言うサトチーを押し留め、部屋を後にする。
この機会にどうしても確かめたい事がある。
この国では色々ありすぎて、すっかり記憶の隅に追いやられていたけど

こっちの世界に存在してはいけない存在…

俺と同じ存在…

それを思い出した。

「どうも、お久しぶりです。デールさん」

謁見の間。不慣れな跪礼を取る俺をデール王が子供のような笑みを浮かべて歓迎する。
―へぇ、デールさんってこんな笑い顔するんだ。
 そっか、なんだかんだまだ二十歳にもなってねぇって話だもんなぁ。

二言三言の挨拶と近況報告の後、本題に入る。

―初めてこの城に侵入した時、デールさんは確かに火を出す道具を使った。
 あれは俺がよく知っている道具。こっちの世界に存在してはいけない道具。
 からくりの兵士の事もそうだ。あの知識と技術はいったいどこから?

265 :不逃不屈の日輪【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 17:10:21 ID:Q2o/XM7J0
「僕の方でも不思議でした」

一言、デールさんはそう言うと傍に立つ大臣に何やら指示をする。
そして、しばらくして大臣が持って来たのは大量の古い本や巻物、古文書の類。
一人では持ち切れない大量の書物を、何人かの学者達と手分けして持って来た。

「あの一件の後、僕は独自にあれらの技術の歴史を調べました。
 発生・開発・伝播…全ての流れを城の学者達にも調べさせました。
 ところが、ラインハットの歴史にもこの世界の歴史のどこにも
 あれらに関する記述がないのです。『いつの間にかそこに在った』かのように…
 しかし、僕達はそれが何に使う物なのかを認知している…」

その言葉だけでは『奇妙な話』それで終わってしまうだろう。
でも、俺にはわかる。

―俺がこっちの世界に持ち込んだ―

俺が持ち込んだ物が世界の一部になっているこれが何を意味するのかはわからない
…待てよ?あのからくりの兵士は?
俺はあんな物騒な物に覚えはないし、直立歩行でびゅんびゅん動き回る機械なんて
俺の世界でも高度な技術が必要…ってかまだ実現不可能な筈。

疑問が解けたようで何も解けてはいない。
それどころか、新たな疑問が浮かんでは消える。

書物の山に視線を移し、デール王が続ける。

266 :不逃不屈の日輪【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 17:13:07 ID:Q2o/XM7J0
「確かにこれらは世界に存在すべき物ではないのかもしれません。
 世界を冒涜する物なのかもしれません。しかし、そこに存在するのは事実です。
 存在を呪い、排斥するの事こそ世界への冒涜だと僕は考えます。
 これらは善でも悪でもない。なら、僕達がどのように存在を活かすか…
 僕はこの国とこの世界のためにこれらを活かそうと考えています。
 善でも悪でもないからこそ、善の為に使うべきだと考えています」

子供っぽい、中性的な作りの顔が引き締まる。
それは紛れもない一国の王の顔。

―存在する事実を呪い、排斥する事こそ世界への冒涜
善でも悪でもないからこそ、善の為に使う―

腹の中で木霊する王の言葉。
まったくの無意識に、王の前で跪礼の姿勢を取っていた。

「やめてくださいよイサミさん。ほら、サトチーさんも兄も部屋で待っているのでは?
 夕食の準備ができたらお呼びしますので、今夜は旅の疲れを癒していって下さい」

子供のような顔に戻ったデール王が、くしゃりと子犬のような笑顔を見せる。

「なんつ〜か…やっぱり王様なんすね」
「まぁ、兄には『威厳が足りねぇ!もうちっとシャキシャキしろい!』なぁんて
 よく言われるんですけどね」

俺より年下だか年上だか、それとも同い年だかよくわからないけど、
同年代の王様と俺が顔を見合わせて大声で笑い出す。

その無作法に大臣がちょっとだけ嫌な顔をしていたけれど、見てないフリをしておいた。

267 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/04/19(日) 17:15:56 ID:Q2o/XM7J0
18話前半はここまでです。

なんでルーラで街や城の入り口までしか行けないかって、
中まで入っちゃうと【2】みたいな事になりかねないので
各々術者が自粛してると考えた訳です。

268 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 21:26:15 ID:xWB96Hiv0
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!

そうだよなー下手に相手が宿屋でギシアn(ry

269 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/19(日) 22:56:47 ID:R5jlhXdk0
乙でした〜!
それでルーラは入り口までなのかw
絶対的なKYの具現は嫌だwww

270 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 11:37:08 ID:yEsTxvRBO
こんにちは、リーマンです。
今日は有休なので久しぶりに投下します。

>>194-210より続き。

271 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 11:38:06 ID:yEsTxvRBO
「まずはどちらに?」
「とりあえずレーベだ、親父に会いに行かないとな」
王は遣いを出したが、やはり昨日は来れなかったようだった。
ここからレーベまでおよそ半日、アリアハンを出たのが早朝だったので夕方には着けるだろう。

「道中しっかり鍛えてやるからな、覚悟しとけよ?」
「お手柔らかに・・・」

途中何度かモンスターに襲われた、オルテガさんは一切手を出さなかったが私も成長したのだろうか?難なく撃退できた。
しかしついこの間までオルテガさんの顔を見るだけで逃げ出していたスライムなどが平然と襲いかかってきた。
魔王復活のせいだろうか以前よりも狂暴になっているのだろう。

かなり格下のモンスターばかりなので私は魔法だけで倒すように心掛けた、メラしか使えないがスムーズに発動できるように、それと命中精度アップの為だ。
オルテガさんはメラ以外にもバギ・イオ・ヒャドも練習しろと言っていたが私はバギ擬きとイオ擬きしか使えなかった。
どうやらヒャドの素養は無いみたいだ。

だいぶ日も傾き、世界が赤く染まる頃ようやくレーベにたどり着いた。

「やっと着きましたね」
「まだまだここは近いほうだ、これから先街から街の移動に何日もかかる場合もあるぞ」

考えてみれば確かにそうだ、この世界も広い、地球を徒歩で踏破するのと同じようなものだろう。
魔法や戦いに慣れる事も大事だが長時間歩く事にも慣れないとなぁ・・・。


272 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 11:39:25 ID:yEsTxvRBO
「親父!調子はどうだ?」
「おお!オルテガ!遣いから話は聞いたぞ!!」

オルテガさんに負けないくらい大柄な男性が振り向いた、立派な体格の方だ。

「はじめまして、カオルと申します」
「アランだ、君が噂のカオル君か」
「噂?ですか?」
「あのグルメなストロス王をも唸らせる料理を作る凄腕の料理人と聞いてるぞ!」
「そんな、大したことありませんよ」
「是非とも味わってみたいものだな」

そんな噂が流れていたのか、ただこの世界に無い料理を作っていただけなのに・・・。
なんだかズルをしているような気分になってしまった。

「親父、多分いろいろ聞いてるんだろうが話があるんだ」
「うむ、とりあえず宿に行くか」

レーベ滞在中アランさんは宿の一室を間借りしているそうだ、行商のシーズンと収穫のシーズンは違うから空いているのもあり無料で借りてるらしい。

宿に着くとオルテガさんはまるで我が家のように二階へ行き最初から知っていたように一番奥の部屋へ入っていった。
どうやらオルテガ家は毎年必ずこの部屋を借りているらしい、オルテガさんも昔来たことがあるんだろうな。

「親父、それでな」
「どうせアリアハンに戻れって話だろ?」
「それもあるんだがもう一つ」
「なんだ?」
「俺達が誘いの洞窟に入ったら入り口を封印して欲しいんだ」
「何故だ?あの洞窟は行商の要だぞ?それを封印するのか?」
「ああ、そうだ、封印するんだ」
「理由は聞かせてくれるのか?」
「すまない、それはできない」
「そうか・・・、まあお前の事だ確かな理由があるんだろ?」
「すまない・・・」
「今は構わんがいつか必ず教えろよ?」
「ああ、約束する」

273 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 11:40:36 ID:yEsTxvRBO
やはり親子か、多くを語らずとも相手に通じる。
魔王の事は親子と言えども話せない、心配させたくないってのが一番の理由だろうな。

「カオル君、せっかくだから何か作ってくれないか?」
「はい、ご馳走を作りましょう」

その晩は親子の話で大いに盛り上がった、一番驚いたのは親子喧嘩で一度たりともオルテガさんに負けた事が無いという話だった。
オルテガさんも信じられないくらい強いのに・・・、一体アランさんはどれほどなのだろうか・・・。

食事が済んだ後は魔法の練習だ、と言っても村の中で魔法を発動させるわけにもいかないので精神集中が主だった。
明日も早いし、練習が済んら早々と眠ってしまおう。
そう思っていたら信じられない事が起きた。

タタンタンタタン♪
タタンタンタタン♪

突然携帯の着信音が鳴り響いた、常識的に考えてあり得ない。
この世界はいわば中世時代、携帯どころか電気という概念すら無いだろう。

もちろん何度か自分の携帯画面を見た事もある、しかし当たり前のように圏外であった。
自分の持ち物の中で自分がこの世界の住人では無いと確認できる数少ない物、そう思って大事にしまっていたが・・・。

『いったい誰が?』

私は恐る恐る呼び出しに応えた。

「も・・・、もしもし?」
「あぁ、良かった、私の声が届きましたね」

相手は女性の声だった、もしかしてルビス様か?とも思ったが違う人物のようだ。

「どなたですか?」
「私は精霊ルビスの遣いです、アレフガルドのとあるほこらから貴方に話し掛けています」

『アレフガルドのほこら、もしかしてあの性格診断の人か?』

「ルビス様が大魔王に封印されてしまった時、最後の力を振り絞って私にあなたの手助けをするよう仰せつかりました」
「そうですか・・・」
「今後あなたには様々な困難が待ち受けているはずです、しかし挫けずに頑張ってください」
「はい・・・」

この女性も知っているのだろうか?

274 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 11:42:04 ID:yEsTxvRBO
「あの、あなたはルビス様よりどこまで聞いているのですか?」
「どこまで?それはどういう意味ですか?」
「え〜、たとえばオルテガさんは無事に旅を終える事ができるのか?とか・・・」
「あなたはなんと言う事を・・・!」

少し声色が変わった気がした、怒らせてしまったか?

「ルビス様が選んだ者に限ってそのような事はありません!!」
「そうですよね、失礼しました」

どうやら何も聞いていないようだ・・・。

「あなたは疑り深い性格のようですね、まあ良いでしょう、これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」

そう言うと通話は切れてしまった、妖精が携帯片手に話している姿を想像して少し笑ってしまった。
改めて画面を見てみるとやはり圏外表示、どうやってこちらに掛けているのだろう?それにいつ私の番号を知ったんだ?

いろいろ考えてみたがどうせわからない、そもそも余り驚いていない自分に気が付いた。
考えても無駄だと悟ってしまったのか、それとも不思議な事に対する免疫がついてしまったのか。
酷くどうでもよく思えてしまった。

部屋に戻るとオルテガさんは既に眠っていた、予想と違い寝相は良いようだ、いびきもしていない。

「さて・・・、寝るか」

まるで自分に言い聞かすように独り言を言って私はベッドに入った。

275 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/20(月) 12:16:47 ID:6qXxqaIfO
支援

276 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 13:20:18 ID:yEsTxvRBO
昨夜はあんな事が起こったにもかかわらず寝付きも良くぐっすりと眠れた。
疲れも残っていないようだ、体も軽いし気分はとても良い。

隣のベッドを見るとオルテガさんの姿が無い、シーツや毛布もきちんと畳まれオルテガさんの装備だけが横に置いてあった。

『几帳面な人だな、どこに行ったんだろう・・・』

自分のベッドを片付け顔を洗いに階下の水場に向かうとオルテガさんはそこにいた。

「やっと起きたか、良く眠れたようだな」
「おはようございます、お早いんですね」
「日課の走り込みだよ、俺は毎日日の出には起きて走ってる、まあ旅の途中ではそうもいかねぇがな」

太陽の高さから見るに今は朝8時くらいだろうか?地球と同じならだけど。
この人の強さの根元にはこういったストイックさがあるんだなぁ。

「さて、朝飯食って出るぞ」
「はい」

宿に戻るとアランさんがいた、なにやら大量の荷物を抱えていた。

「親父、支度してくれとは言ったがよ、そんなにいらねぇよ!」
「ばかもん、ロマリアまでと言えどこれぐらい必要だ」
「食糧ですか?」
「そうだよカオル君、それに薬草や毒消し草もある」

まさに山のような荷物、運ぶだけで疲れてしまいそうだ・・・。

「そんなに心配するなカオル君、私が持つから安心しなさい」
「あっ、はい・・・」

顔に出ていたのだろうか?見事に考えを見透かされてしまった。

「飯食ったらとっとと出るぞ、ロマリアには今日中に着いときたいからな」
「わかりました」
「相変わらずせっかちな奴だ」

朝食はパンとミルク、簡単に済ませ早々と出発する事にした。

277 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 13:21:14 ID:yEsTxvRBO
まずは泉の祠を目指す、あの大荷物はアランさんが一人で持っている。

「お一人で大丈夫ですか?」
「ハッハッハ、心配しなくても大丈夫!これくらい大したこと無いさ」
「気にすんなカオルちゃん、こいつは人間じゃねーんだから」
「親に向かってこいつとはなんだ!」
「冗談だって」

オルテガさんの例えは後に事実だとわかった。

レーベを出て少しすると魔法使いやいっかくうさぎの集団に鉢合わせた、私が構えようと刀に手を伸ばした時にはすでにとても嬉しそうな顔をしたアランさんが集団に突っ込んでいた。

アランさんは武闘家なのだろう、蹴り飛ばされたいっかくうさぎは宙を舞い、踵落としを食らった魔法使いは地面にめり込む。

人間にこんな事ができるのだろうか?あながち嘘ではないかも知れない・・・。

『まるで漫画みたいだ・・・』

「親父ー!カオルの訓練にならねーよ!」

モンスターの集団をものの数分で蹴散らし、満足したような顔でアランさんは帰ってきた。

「カオル君にはもうこの辺のモンスターでは相手にならんだろ」
「カオルちゃんはまだまだやる事が一杯あるからそれでも良いんだよ」
「良いじゃないか、たまには俺にも運動くらいさせてくれよ」
「ったくよ」

その後の戦闘も全てアランさん任せだ、遠くで見ているとよく分かるが凄まじいスピードで相手を翻弄している。

「あのスピードで一撃がやたら重いんだ、俺が一太刀入れるうちに数発くらっちまう」
「なるほど、あのスピードでは防ぎきれませんね・・・」
「グリズリーだって素手で倒しちまうくらいだ、ムカつくが魔法無しじゃキツい」

ゲーム中じゃ立派なおじいちゃんなのに・・・。

「さ、行くぞカオル君、オルテガ」
「あいよ」
「はい」

スタミナも半端じゃない、あの大荷物を背負ったまま連戦につぐ連戦で息一つ乱していない。
親子揃ってバケモノだ・・・。

「おっ?見えてきたな」
「ふむ、じゃあ食事とするか」

278 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 13:22:29 ID:yEsTxvRBO
昼過ぎ頃に泉の祠に到着した、村を出発してかれこれ四時間は歩き通しだったがあまり疲労は感じられなかった、少しは慣れてきたのかな?

「オルテガ、ロマリアに行った後はどうするんだ?」
「ロマリアの後はノアニールだ、どうしても会っておきたい奴がいる」
「女性ですか?」
「うるせえ」
「すみません」
「その後はポルトガだ、船を手に入れなきゃな」
「そうか・・・」

食事中は三人とも無口だった、ここから泉の洞窟までは目と鼻の先。
アランさんとも別れとなってしまう。

「さ、行こうか」
「あぁ、行くか」

祠を出て数分で洞窟が見えてきた、その間も三人は終始無言だった。

「どうだ?親父、うまくいけそうか?」
「俺を誰だと思ってる、任せておけ」
「あぁ、頼んだぜ」
「一度村に帰って図面をおこす、それから材料の調達だな」
「どれくらいでいける?」
「なに、二・三日もあれば充分だ」
「そうか・・・」

アランさんは部屋を見回しながら言った。

「やはり理由は聞けんのか?」
「親父、すまん」
「そうか・・・、生きて帰ってこいよ」
「あぁ、必ず帰ってくる、アンナとアレルを頼む」
「任せろ」
「じゃあ、行ってくる」
「行ってこい」

アランさんは軽くオルテガさんの肩を叩き、そして抱き寄せた。

「カオル君も気を付けてな、このバカを頼むよ」
「おいおい、バカはねーだろ」
「何がだ?考え・行動全てがバカそのものだろう?間違ってはいないだろ?」
「ちっ、カオルちゃんとっとと行くぞ!」
「は、はい」
「はっ!とっとと行っちまえ!!」
「アランさん、それではいってきます」

一礼して顔を上げるとアランさんはヒラヒラ手を振っていた。

279 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/20(月) 13:31:27 ID:yEsTxvRBO
今回は以上です。

次回はロマリア編突入になります、ゲーム本編の約16年前を題材に扱っておりますが私が勝手に想像して書いていますのでもしかしたら話が食い違ってしまう事もあるかもしれません。

その時はご容赦ください。


いまの所カオル・オルテガ・アランの三人だけは様々な所からモデルをとっています。

カオルは某刑事ドラマの右京さん、オルテガは某狂戦士漫画のガッツある主人公、アランは某弟子虐待漫画の無敵超人がそれぞれモデルです。

なんとなく頭で思い浮かべながら楽しんでいただけたら幸いです。


それではまた次回。

280 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/20(月) 15:01:46 ID:XLDBGB3R0
アランさん、誰?と読み返してしまいました。アランさん、Tueeeee。
携帯もキーアイテムになる予感。
#当時、アルミラージのラリホーや、キラービー(?)の麻痺攻撃にはなすすべもなくやられて泣けたなぁ・・・(滝汗

次回も、あのロマリア王が相手ですから、またひと波乱ありそうですね。wktkしながら待ってます^^


281 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/20(月) 19:34:32 ID:yQU6k5e40
リーマンさん乙〜!
キャラクターが完全に脳裏に焼きつきましたwww

282 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/20(月) 21:41:00 ID:JHFJCEpP0
わーい、リーマンさんだ、カオルさんだ〜!
続きを楽しみに待っていた甲斐がありました!

283 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/22(水) 22:04:47 ID:FwSbcviP0
おお!いっぱい投下来てるー!! 職人さんがた超乙でした!
このスレはいきなり爆発するから油断ならないw
さてもう一回読んでこよう〜。

284 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/22(水) 22:39:00 ID:QojIF0RRO
ところで元々男性だった自分が、目が覚めたら女勇者になっていた、とかはありだろうか


285 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/22(水) 23:07:12 ID:GGlegQAg0
\アリだー!/

286 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/23(木) 00:05:42 ID:G3wWv/dA0
>>284
読者の好みによるかも^^;
ちなみに自分は性転換系を苦手としている。
でも、楽しみにしてる人がおおぜいいるのなら書いてもいいんじゃないかな。

もともと人間だったのが起きてみたらモンスターになっていた、とかいうのは個人的にはあり。
(なんかF.カフカを思い出させるが)

287 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/23(木) 00:28:16 ID:MMgq6QrFO
竜王バリバリ隊

288 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/23(木) 09:45:57 ID:AiKlQD0LO
>>284
俺もアリだと思う
ただ下ネタばっかりに終始するのは勘弁な
物語を面白く盛り上げるために使うのはアリだが、どぎついのや意味ないエロは要らない


さじ加減が難しいと思いますが楽しみに待っときます
ガンガレ

289 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/23(木) 16:59:54 ID:edPqYCvq0
>>284
むしろ萌えるぜ。
女勇者になった戸惑いと・・・。DQ世界戻ってきたあと男性に戻っちゃってorzと一粒で二度おいしい。
ニューハーフにめざめちゃったり(爆

>>288
激しく同意

290 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/23(木) 18:50:48 ID:GaavKFoU0
俺も性転換物は好きだが
>DQ世界戻ってきたあと男性に戻っちゃってorz
これはあんまり好かんな
まあ作者の自由にやってもらえればいいんだが

291 :290:2009/04/23(木) 19:46:32 ID:edPqYCvq0
たしかに。戻る、戻らないとか、そのまま暮らすとか、戻ってこれないとか構成は作者さん次第ですものね。
良い作品が投稿されるのを楽しみにしています^^

292 : ◆fzAHzgUpjU :2009/04/25(土) 08:03:48 ID:2Er/KPEcO
お久しぶりです。続きを投下しようとしたら規制食らいました。
保管庫に>>185-191の続きをアップしました。新しい保管庫の使い方に慣れずリンクが上手く張れてませんが、よかったら読んでいただきたいです

293 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/25(土) 21:38:28 ID:jQFS/cZf0
読みたいのにどこにあるかわからないよ。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン


294 : ◆fzAHzgUpjU :2009/04/25(土) 21:52:31 ID:2Er/KPEcO
ttp://dqinn.roiex.net/index-pc.shtml

ここの保管庫の総合目次にあります。「山奥の村」というのが今回新しく投下しようとした分です。
説明足りなくてすいませんでした。

295 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/25(土) 23:31:51 ID:fevcLjx80
乙でした!
メイはいい歳だからいろいろ背負っているものはあると思ってましたが、
結構ドロドロなものを背負っているんですね。
トウのたったヒロインですから、この流れも断然アリです!面白い!

296 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/26(日) 00:40:02 ID:1mO2IzoO0
>>294
ありがとう。読みました。
話が重かったけど面白くて一気に読めました。
いよいよ伏線消化って感じですね。
今後も楽しみにしてます。


297 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/26(日) 23:37:31 ID:ajG45I8Y0
ところではぐれメタルとか倒すと大量の経験値もらえるわけだが、あれどうしてなんだろうな?
倒しにくいのをたおしたから得られるのか?たまたま会心の一撃でぶっ倒して
一気にLVUPして強くなるってどんな感じだろうな

298 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/27(月) 11:05:30 ID:/JQedigNO
>>297
オルテガ「はぐれメタルだ!絶対に逃がすなよ!!」
カオル「初めて見ましたがやっぱりテンション上がりますね!」
はぐれメタル「フハハハハ!そう簡単にやられはせんぞ!!」
オ「ヌンッッ!」
は「遅いッッ!!」
カ「つきぃッッ!」
は「甘いッッ!!」

私達の攻撃をことごとくかわすはぐれメタル、まるで嘲笑うかのようだ。

は「そこのでかい親父、お前は攻撃が大味すぎて見切るのが容易だ!」
オ「なにぃ!?」
は「それとそっちのヒョロイ親父は太刀筋が甘い、甘すぎる!!」
カ「くっ!」
は「フハハハハ!どうした?そんなものか?逃げてしまうぞ?」
オ「待ちやがれ!」

はぐれメタルは逃げようとしたがオルテガさんはすかさず回り込み退路を断つ!

は「素晴らしい!今のは良いぞ!!」
オ「ぬぅん!!」
は「おっと、初めて攻撃が当たったな、悪くは無いがまだまだだ」
オ「クソが!」
は「俺を倒したいんだろ?人間どもが!本気でかかってこい!!殺してやるとなぁッッ!!」
カ「ハァァァァ!どぉーーーー!!」


会心の一撃!!


は「ウボァー!!や、やるじゃねぇか・・・、人間のくせしてよ」
カ「はぁ、はあ・・・」
は「まったく、最後のは良い動きだった、忘れるなよ?会心の一撃ってのは偶然なんかじゃねぇ、日々の鍛練の積み重ねが生む必然なんだってよ」
カ「はぐれさん・・・」

はぐれメタルの体は淡く輝き今にも消え入りそうだった・・・。

は「ヒョロイ親父、名は?」
カ「カオルです」
は「カオルか、覚えとくぜ、生まれ変わったら・・・一緒・・・に・・・」
カ「はぐれさぁぁぁぁーん!!!!」

オルテガとカオルはレベルが(精神的にも)上がった!


カオル「というのはどうでしょうか?」
オルテガ「漫画の読みすぎだろ、しかも最後の方俺空気だし」

299 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/27(月) 16:02:15 ID:/I7Mb02n0
>>298
ちょwww噴いたwww
はぐれさんが稽古をつけてくれてるわけですね。
そして、はぐれさんを超えたとき、大量の経験を得ていることに気づく・・・。

敵の弱点を見切り、的確な太刀筋で強打する。
これがまさに経験値上昇の秘密なのかもしれませんね。

300 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/28(火) 07:51:34 ID:nbUBm4220
>297
こんなん? …って書いたのに規制されてて投下できんかった

 ゼー、ハー、ゼー、ハー……はぁぁぁぁ…。
ったく何だよなんなんだよ!? なんでいつも通りパソコンして寝て起きたらリムルダールなんかにいるんだよ!?
あれか!? 寝る前に「もし目がryだったら」スレ見たからか!? 呪われてんのか!? ああ!?
しかも起きたら起きたで宿に連泊扱いになってるわ、「宿代が払えないなら働け」だとかふざけんなっつーの!
こちとら10年以上親のすねをかじり続けた筋金入りのニート様だっての! 働き方なんか知るか!!
…って言えるわけねーから仕方なく町の人の薬草とり手伝うはめになったけど、俺Lv1じゃね? そんな奴がリムルダールのフィールドに出たらフルボッコじゃね? 体だってでかいんじゃなくてデブなだけじゃね?

 なんて考えてるうちにはぐれて迷子になったわけだが……。
はぁ…ゲームじゃ何マスか歩くごとに敵が出てきてたけど、実際歩いてみっと縮尺が違うっつーかゲーム中の1マスは歩くと何歩になるかわかんねーし、もう一歩歩くごとに敵が出てくる気がしくぁwせdrftgyふじこlp;@:「

*はぐれメタル が あらわれた!

ちょwwwwwwwwっをまwwwwwwwwwwwLv1wwwwwギwwwwラwww1wwwwww発wwwwwwwwwww
おおおおおおおおおおちつけおちけつ俺! そうだここはCOOOOOOOOLに…逃げるんだよォ!スモーキーーーーーーッ!!!

*ああああ は つまづいてころんだ!
*ころんだひょうしに ああああ のぶきが はぐれメタルにぶつかった!
*9のダメージ!
*はぐれメタルを やっつけた!
*40200ポイントの けいけんちをかくとく! 10ゴールドを てにれた!

301 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/28(火) 07:53:07 ID:nbUBm4220
 …え? 俺の名前「ああああ」? ってはぐれメタル倒したのかよwwwwwwwwwメシウマwwwwwwww
いやー迷子になった俺マジ神! いや神なんてもんじゃないね! 神以上となると何だ?
(パパラパッパッパパー)
*ああああ は レベルがあがった!
 HPが 4あがった!
 MPが 0あがった!
ちから   +1 かしこさ  +0
すばやさ  +0 うんのよさ +13
たいりょく +2

*ああああ は レベルがあがった!
 HPが 2あがった!
 MPが 0あがった!
ちから   +0 かしこさ  +0
すばやさ  +1 うんのよさ +12
たいりょく +1

*ああああ は レベルがあがった!
 HPが 25あがった!
 MPが 0あがった!
ちから   +0 かしこさ  +0
すばやさ  +0 うんのよさ +9
たいりょく +3

 やった! …って体いってええええええええええええええええ俺の全身という全身が急激に筋肉ついててってきめえええええええええ痛ってええええええええええええしかもこの運のよさが上がり方は俺遊び人wwwwwwwwwwwオワタwwwwwwww

*ああああ は レベルがあがった!
*ああああ は レベルがあがった!
*ああああ は レベルがあがった!

 やめろおおおおおおおおおショッカああああああああああマジいってええええええええええ

*ああああ は レベルがあがった!
*ああああ は レベルがあがry
*ああああ は レベry
*あああry

302 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/28(火) 07:54:55 ID:nbUBm4220
 ああああ
あそびにん
  Lv21

ちから   19
すばやさ  13
たいりょく 43
かしこさ  7
うんのよさ 189
さいだいHP 85
さいだいMP 13


 ………なんでか俺のステータス画面見れるしオレンジ枠だし……つーかなんでレベルアップして余計に疲れんだよ…あ、QKF(急に筋肉が増えたので)か?
どっちにしろ薬草なんて持ってねえし、このままじっとしてても誰も助けにきてくれねーよな………よし、俺は俺の運の良さに賭ける! いざとなったら教会で生き返してもらえるjかmくぁwせdrftgyふじこ

*はぐれメタル が あらわれた!

 うわああああああ(AAryもうレベルなんてあがりたくNEEEEEEEEEEEEEEEEEEE

303 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/04/28(火) 17:47:28 ID:AG1xt6/o0
ちょwww噴いたwwww
QKFなのに力19、不憫だ・・・。

304 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/04/29(水) 00:17:53 ID:cwTiccCvO
ちなみに私のはぐれさん像はこんな感じです。

http://q.upup.be/?zeFXyyZKvD

きっと純情派だと思います。

305 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/01(金) 11:54:57 ID:P7lC2+SWO
ぬるぽ

306 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/01(金) 16:30:43 ID:SLOYYe7X0
がっ☆

307 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/05/05(火) 00:22:24 ID:X9xqkEXQ0
>>251-255
―暴食する恵比寿―

 兄弟がこの世界に来て次の朝を迎えた。
「おはよう兄ちゃん。」
「おはよう我が弟。」
「宿屋だったね。」
「宿屋だったな。」
「さっき宿の人に聞いたけど、ここってグランエスタードってところなんだって。」
「グランエスタードってことはドラクエ7か。」
「やっぱりドラクエの世界なんだね。」
「信じられないけどな。ほかに手がかりもないし、その方向で話を進めよう。」
「ゲームってことはクリアしなきゃならないってことかな?」
「クリアすることでこの世界自体がクリアされて後には何も残らなかったりしてな。」
「その発想はなかったよ。」
「ドラクエ7の世界もある意味魔王にクリアされかけてるんだけどな。」
「僕ドラクエ7って未プレイなんだけど、兄ちゃんはやったことあったよね。」
「あるとも。」
「どんなストーリーなの?」
「細かいことは忘れた。」
「頼りにならないね。」
「よせやい、照れるじゃないか。」
「覚えているところだけでも教えてよ。」
「早くも流すよとすら言わなくなったか。」
「ドラクエ7で覚えてることない?」
「あれだ。まず、主人公の職業が漁業。つまりは漁師。」
「漁師? 勇者とか王子とかじゃなくて?」
「そう。初めて知ったときはビックリマンチョコの一本釣神帝を連想したものだ。」
「なにそれ?」
「他のキャラが昔話の主人公をモチーフにしている中、1人だけ単なる釣り人の神帝。」
「兄ちゃん、ほんとは歳いくつなの?」
「いくつに見える?」
「今のは笑えない。」

308 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/05/05(火) 00:23:41 ID:X9xqkEXQ0
 兄はドラクエ7のことを思い出そうとした。
「そうだ。ドラクエ7といえばあれだよ。会話システム。」
「仲間と会話ができるんだっけ。」
「このシステムのおかげで仲間のキャラが立ち個性が出るようになったのだ。」
「でも、ドラクエ7だけのシステムじゃないよね。」
「戦闘中に会話できるのは7だけだったように思う。」
「敵と戦っているとき会話なんてしてる余裕あるのかな。」
「会話と言っても簡単なものだけどな。」
「それはそうだろうね。」
「会話で思い出したがドラクエ世界っておかしなこと言う人がいるよな。」
「ギャグ的な意味で?」
「ある意味では。」
「具体的にはどんなこと?」
「武器や防具は装備しなきゃ意味がないってセリフとかさ。」
「そのセリフがないと装備し忘れる人がいるからでしょ。」
「ゲームでやる分にはそうだけど、いざドラクエ世界に来てみると不自然さが分かる。」
「言いたいことは分かるよ。注意されるってことはそうやる人がいるんだよね。」
「武器を買ったのに装備しない人がいるわけだ。」
「鎧を買ったのに気ない人がいるんだね。」
「新しい剣を買ったぞ! あれ、威力がないな。あ! 素手で殴ってた! こうだぞ。」
「とんでもないドジっ子だね。」
「ドラクエ世界で生きるということはこういう奴らと付き合っていくことだ。」
「いきなり気が重いね。何度話しかけても同じことしか言わないしね。」
「その点会話システムは優秀だ。」
「違うこと言うの。」
「パターンは決まっている。だが、何度も話しかけると何も言わなくなるのだ。」
「ああ。もう話しかけるなという無言の圧力だね。」
「街の人は話しかけられば何度でも答えてくれるのに、仲間なんて冷たいものだ。」
「仲間キャラは嫌なことを聞き流すのかもね。」
「それはプレーヤー側もできる。Aボタン連打で再現されてるじゃないか。」
「ああ、それで重要なこと聞き逃したりするんだよね。」
「もう一回話しかければ言ってくれるあたり親切だけどな。」
「基本ドラクエの人っておしゃべりなのかもね。」
「主人公になると無口になるけどな。」
「……理不尽な世界だよね。」

309 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/05/05(火) 00:24:53 ID:X9xqkEXQ0
 話を戻して再びドラクエ世界のことを思い出そうとした。
「他にドラクエ7の特徴と言えば、宗教色が強いことだな。」
「そうなの?」
「サブタイトルからしてエデンの戦士たちだからな。」
「エデンって楽園ってことだよね。」
「そう。ただし、偽りの楽園なんだけどな。」
「偽りなんだ。」
「そして楽園から出るには禁断の実を食べる代わりに禁断の地へ行く必要がある。」
「あれ、元の話だと楽園って偽りのものじゃないよね。」
「たしかそうだな。」
「大丈夫なの? 宗教っていろいろやばいんじゃないの?」
「俺に聞かれても困るんだけどな。これ以外にも類似点がある。」
「どんなこと?」
「禁断の実を食べるようにそそのかしたのは蛇だが、ラスボスが蛇っぽい。」
「蛇と言えば、日本では干支にまでなってるのにね。」
「あとさ、禁断の実はリンゴで表現されるだろ。」
「うん。アダムとイブが食べたんだよね。」
「ドラクエ7のパッケージではマリベルというキャラがリンゴを食べている。」
「これも関係あるのかな。リンゴくらい白雪姫でも食べるけどね。」
「あっちは毒リンゴだけどな。まあ、こっちにも毒はあるけど。」
「そうなの?」
「食べてる方にな。」
「意味が分からないんだけど。」
「まあ、世の中知らない方がいいことも多々あるものだ。」
「ふーん。そのマリベルってキャラがイブにあたるわけだね。」
「イブというより魔王に近いけどな。」
「マリベルって敵キャラだっけ?」
「いや、仲間。」
「あ、仲間モンスターなんだ。」
「いや、ヒロイン。」
「それでもイブより魔王に近いの?」
「イエス。」

310 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/05/05(火) 00:27:44 ID:X9xqkEXQ0
 話はドラクエ7の宗教のことへ。
「ほかに宗教的なところってなにかないの? たとえば天使が出てくるとかさ。」
「そういえば羽の生えた人たちがいた気がする。」
「天空シリーズの天空人みたいな人たちかな。」
「向こうは天空に住んでいるがこっちはどこかの村にいたと思う。」
「それじゃあんまり天使っぽくないね。」
「ただ、この人たちに羽が生えているのは遺伝的なものらしい。」
「天空人は違うの?」
「あの天空人のものは付け羽であるという説がある。なんちゃってウイングであると。」
「なんちゃってってどういう意味? 偽物の羽ってこと?」
「うむ。天空シリーズで、羽の生えた服を作るってセリフがあったのだ。」
「あの羽って衣裳だったんだ。」
「ただ、アイテムだとしても普通のアイテムじゃないかもしれないな。」
「そうなの?」
「空飛ぶ靴みたいに生きている魔物を加工したアイテムかもしれない。」
「ファンシーなアイテムから急に呪いのアイテムっぽくなったね。」
「羽は別生物だったものが、そのうち天空人の背中に寄生してきたりしてな。」
「発想がグロテスクだよ。」
「そうでもないぞ。細胞内のミトコンドリアももともと別の生物だという説が有力だ。」
「一緒にされてもね。」
「そのうち羽が意思を持って天空人を支配しようと……」
「だからそういう発想はやめてよ。」
「昔、こんなホラーあったよな。ミトコンドリアの反乱ってやつ。」
「パラサイト・イヴでしょ。」
「それそれ。あ、そう考えるとマリベルはイブでもいいかもな。」
「なんかうまいこと言ったみたいな顔してるけどそうでもないよ。それに偶然だよね?」
「今のは偶然だが、兄ちゃんは貪欲に狙っていっているぞ。」
「そういえば、さっき返事でイエスって言ってたけど、あれも宗教とかけてたの?」
「お前、スルーしたのかと思ったら気付かなかっただけかよ。」
「気付いていてもスルーしたかもしれないけどさ。」
「そんな話題蒸し返すなよ。微妙に恥ずかしいだろ。」

311 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/05/05(火) 00:28:55 ID:X9xqkEXQ0
 今日のまとめ。
「それでさ、結局ドラクエ7のことは何か思い出した?」
「少しは。状況を見るに今のここは偽りの楽園状態だと思われる。」
「さっき言っていた奴だね。」
「そう。ゲームはこの偽りの楽園から始まるのだ。」
「つまり今はゲームがスタートする前か、したばかりってわけだね。」
「そうだな。このゲームをクリアするには最初から冒険しなければならないようだ。」
「まあ、普通はそうだよね。主人公は何もしていない状態だよね。」
「物語のはじめに主人公は仲間を求めるものだ。うまくだまして協力させよう。」
「僕、この主人公ってよく知らないんだけどうまくやっていけるかな。」
「なんとかうまくやってくれ。冒険が嫌ならば1つ提案がある。」
「なに?」
「このままゲームを始めずにずっと偽りの楽園で過ごすというのはどうだろう?」
「おいおい。」
「我々は禁断の地に踏み入るものがいないよう妨害する立場に回るわけだ。」
「禁断の地に行くのって主人公一行じゃないの?」
「もしかしたらほかに行く人間がいるかもしれないし、みんな阻止すればいい。」
「兄ちゃんは家に帰りたくないの?」
「だって、冒険って面倒だぞ。」
「このままずっとここで生活するってわけにもいかないでしょ。」
「近くにフィッシュベルって漁村がある。魚を食べるのには困らないさ。」
「でもさ。」
「なに?」
「肉も食べたくない?」
「魚だけでは物足りぬと申すか。」
「まだまだ育ちざかりなもんで。」
「仕方ないな。後悔するなよ。7の冒険は長く険しいぞ。」
「そうなの?」
「この冒険のために我々が何をすべきか分かるか?」
「分からないよ。」
「俺も分からん。まあ、難しいことはまた明日考えよう。」

―続く―

312 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/05(火) 02:57:07 ID:cucWr/yZ0
乙!
ゲームの話しかしていないwwwwwww

313 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/05(火) 09:31:29 ID:uEp+LzkV0
乙です!
こいつら一歩も外でてないwせっかくドラクエ世界にきたのにw
と思ったら冒険するかもしれないのか・・・
冒険の書シリーズのキャラにしては珍しいな。
3以来?

314 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/07(木) 14:27:24 ID:BrXGQf1kO


315 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/07(木) 20:49:31 ID:XUTgZHFm0
んっ…

316 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/07(木) 21:30:48 ID:/NxvffmxO
勝手に人の部屋に入り、タンスを漁って金目の物を得て生活していく

317 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/08(金) 02:11:20 ID:dQ2TipA40
俺がコレクションしていた小さなメダルがなくなっているんだけど、お前のしわざかっ!

318 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/08(金) 03:17:13 ID:zKKN8Kvh0
コレクションとか言う割にはでかい箪笥に一枚しか入ってないアレのことか

319 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/08(金) 13:31:55 ID:dQ2TipA40
いや、壺の中にいれておいたんだが・・・。

320 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/08(金) 15:31:54 ID:uaHRbHwW0
それなら俺がもらった

321 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/08(金) 15:43:05 ID:MWCKL33h0
いやいや俺が貰った

322 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/08(金) 23:13:12 ID:dVJLNOle0
ほらほら、みんなのものでしょ、ね

323 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/09(土) 00:49:35 ID:ZcNg9kqeO
いいや、メダルは全部ワシのもんじゃ

324 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/10(日) 00:18:42 ID:/iO4kh3T0
メダル王、乙

325 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/14(木) 09:22:15 ID:TKaACVkM0
ほす

326 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/14(木) 11:25:55 ID:2wdPmcCEO
ところで何十年単位で封印されていた遺跡の宝箱の中身、なんでそのまま使えるんだろう?
薬草とか朽ちるよな
剣や鎧だって錆びるんじゃなかろうか

327 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/14(木) 20:36:06 ID:ltDf4/CL0
なんで何十年単位だと思うのさ

誰かが隠したかもしれんのに

328 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/14(木) 20:40:37 ID:WnvFR2e90
>>326
宝箱開けるまで中身の時を止める魔法がかかってるとか

329 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/14(木) 22:04:45 ID:mIkFgVQSO
保存性能が目茶苦茶高いシェルターが普及してる世界なんだろう

330 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/14(木) 22:30:10 ID:2Kxjg3m00
>>328
ちょっと、俺、宝箱の中に入ってくる・・・・。

#そういえばDQ世界じゃないけど、クロノトリガーで宝箱に閉じ込められた大臣も、入れたときそのままの新品同様でしたねw

331 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/15(金) 00:09:39 ID:yVkJBE2n0
死体を入れても経時変化が生じないので完全犯罪に使える!
…と思ってしまった俺はやばいかも。
女性なら、若さを保ちたいがために宝箱の中に入って寝る人とかが出てきそうだ。


続きまだ?

332 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/15(金) 10:33:59 ID:mWfKW8ooO
>>330
クロノトリガーの場合、現代だけに限定して言えばゲームスタート時から1日経過してないんじゃなかったか?
とてもそうは感じないがw

333 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/15(金) 19:00:07 ID:SKnB8HBu0
しかし、宝箱の中で寝ると、現実世界の時間だけが経過して、翌朝になっても睡眠が全く取れてないという罠w

>>332
なるほど。たとえ移動先で何日すごそうとも、出発直後の時間に戻ってくればいいわけですね^−^

そういえばDQ6で幻の大地に行ってる間の時間というのは経過しているのでしょうかねぇ。
レイドック王の例をみれば、片方の世界で起きたきりになると、片方の世界で寝たきりになるから、時間の経過はリンクしているようですが・・・。


334 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/15(金) 23:29:16 ID:4wrbr0nuO
>>332
王国裁判とか脱走とか、一日かかってないんだろうか。
千年祭って一日っきりだっけ?

335 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/16(土) 20:07:53 ID:3MUZt4I+0
王国裁判は(最大)3日かかってるね。
つ〜か、お祭りの開催中によく、裁判の傍聴人があんだけあつまったものだ。
無罪で3日間謹慎するだけのはずのクロノを処刑しろといったりしたから、あの時点ですでに大臣は偽物だったはず。
やはり3日以上、飲まず食わずでも大臣が死なないように、薬草も風化しないようにできてるわけだな。
#しかし時間の感覚はちゃんとあり、救出時にすぐにパレードの準備にかかっている。
一応、初期には堀井雄二氏もからんでるから内容物保存宝箱の設定はDQとクロノトリガーで共有されているとみた。

普通に考えれば洞窟の中の宝箱は冷暗所ではあるが湿気がこもりやすく保存条件としてはあまりよくないはずだから、内容物保存の魔法が掛けられている可能性は高い。
ロトの剣も3→1の間に何世代かかってるか知らないがその間に錆びないように、あえて自分の城の宝物庫ではなく宝箱に保存しておいたとか(ぉぃ

336 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/16(土) 22:55:08 ID:E0O7NTi/O
>>307>>311
冒険の書7氏の兄弟の会話が何故か鬼太郎に出てきた川男の口調で再現されるww

一本釣神帝って兄いくつだよww
恵比寿って何かと思ったら七福神なんだな

337 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/17(日) 09:25:12 ID:ZVLkAgpM0
>335
いや錆びたからあんだけ攻撃力下がったんじゃないのか

338 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/17(日) 14:48:10 ID:6NlkqmRP0
>>337
なるほど。
ロトの剣なんて2の世界ではただの雑魚剣だものなwwww
おおかなづちと同じ攻撃力。
いかづちのつえよりも弱いwwwww

攻撃力120→40wwww

339 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/17(日) 22:07:56 ID:d9S4I3ML0
技術レベルが上がったのかもよ。

攻撃力だけで判断すれば三倍と見積もれるくらい
1当時に比べて2の武器製造レベルが上昇したのかもしれない

じゃあ3は何よって話になるが。

340 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/18(月) 12:57:01 ID:nNPbxnZtO
3→1
ラダトーム城で大事に保管されていたロトの剣を竜王がローラ姫と共にお持ち帰りして宝箱にしまっておいた。

1→2
1主は竜王を倒すときローラ姫を抱いたままだったので、姫が邪魔です竜王にささった険を回収できず。
後に竜王の息子か娘が見つけて遺体から剣を抜くも、体液やなんかで既に刀身が腐食していた。
自業自得とはいえ父親をやった凶器を目に着くところにおいておくのは嫌で目に付かないところ(ダンジョン内であまり通る必要のないところ)にある宝箱に放り込ませた。

341 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/18(月) 13:14:18 ID:sP+53NR0O
>>340
2のロトの剣腐食説は小説にも出てくるね
錆びてボロボロのロトの剣を、稲妻の剣(破壊の剣除けば最強の剣)を使って復活させてた

342 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/18(月) 13:59:12 ID:iMc/QGF+0
>>339
そうそう、材料工学と冶金技術が進歩して、脆性を押さえつつ、最大限の硬度を発揮し、さらに殺傷力を高める形状を3D CADとGA(遺伝的アルゴリズム)で解析して最適化して・・・・。
それにしたって攻撃力3倍のインフレはすごい。
まるで末期のドラゴンボールのようだ。そういえばDQ1のモンスターは鳥山明氏だし、ドラゴンボールとドラゴンクエストは4文字ほど似てるな。

>>341
ジパングの鍛冶職人が、目が覚めたらそこがDQ世界の竜王城の貴賓室(厳密には宿屋じゃないけど)で、剣の修復をさせられる話きぼんぬ。

それはそうとこんな説もあるようだ。すると王者の剣というよりむしろカンダタの剣だったのかぁwwwww
http://www23.atwiki.jp/dq_story/pages/23.html

343 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/19(火) 17:42:09 ID:dBLMD2KFO
ここはいつからDQ世界を考察するスレになっているんだ

ぬるぽ

344 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/19(火) 18:01:59 ID:PSu8gG3bO
>>343
ガッ

職人さん来ないからね〜
個人的にはタツミの人待ち


345 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/19(火) 23:06:39 ID:aaW2n3Df0
カープが勝ったからいくらでも待つぜ!

346 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/05/19(火) 23:57:54 ID:0qlLajapO
タツミさんの人ではありませんが少し投下したいと思います。

よろしくお願いします。

347 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/05/20(水) 00:00:17 ID:0qlLajapO
>>271-278

アランさんと別れ、階段を降りている途中でオルテガさんが呟いた。
なんとなく気になった私はその呟きにこたえる。

「さて・・・」
「どうかされました?」
「見ろよ」

オルテガさんは一瞬ニヤリと口の端を動かし、同時に背負っていた剣を構えた。
私が目を前方にやると眼前には無数の目が薄暗い洞窟に光っていた。

「洞窟内だ、イオは使うなよ?刀だけでいけ」
「・・・、はい!」

さそりばち、バブルスライム、まほうつかいなど数える気すら起きないほどモンスターで溢れかえっていた。

「さっきは親父のお陰で退屈してた所だ、カオルちゃんもそうだよな?」
「私は・・・、別に・・・」
「な〜に言ってんだよ、体なまっちまうぞ?」

カラカラと笑うオルテガさん、正直この人にはついていけません・・・。

先んじて襲い掛かってきたさそりばちをガントレット平手打ちで叩き落としてみせた。
大量のモンスターはその光景に怯むことなくむしろ興奮しているようだった。

「お〜お〜ヤル気満々みてぇだな!」
「勘弁してください・・・」
「俺がいるから大丈夫だって、ヤバくなったら近くに来いよ、ホイミくらいかけてやるからよ」
「巻き添えなどくらいたくないのでアランさんから貰った薬草で頑張ります」
「いい心掛けだ!行くぞ!!」
「はい!!」

二人で大群に突っ込んで行く!

オルテガ「うぉるぁ!!!!ぬぅん!!」

カオル「めぇん!こてぇ!!」

「カオルちゃんよぉ!『フン!』その妙な掛け声なんとかなんねーのか?」
「えぇ!?無理です『どおぉ!!』よぉ!!」
「ちぃ!ベギラマ!!」

オルテガさんはベギラマで炎の壁を作りモンスターを怯ませた、その隙にズカズカと私の方へ向かってきた。

348 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/05/20(水) 00:01:02 ID:0qlLajapO
「真面目にやってんのか?め〜んとかこて〜とかよぉ?」
「私はいたって真面目ですよ!なんて言うか・・・、癖です!!」
「どんな癖だよ・・・」
「後で詳しく説明します」
「まぁいいか、それにしてもこう数が多いと面倒だな」

戦闘が始まってかれこれ数十分は経過しただろうか?二人でかなりの数のモンスターを倒したはずだが一向に減ったように見えない。

「これも魔王の影響か・・・、ったくよ・・・」
「さすがにこのままだとじり貧になってしまいますね、アランさんに手伝ってもらいますか?」
「バカ言ってんじゃねーよ、俺に策がある」
「策?ですか?」
「あぁ、任しとけって」

とても嫌な予感がする・・・。

「カオルちゃん、壁に刀を深く刺してしっかり捕まってろ」
「え?」
「良いから言う通りにしとけって、な?」
「は、はい・・・」

言われた通りに刀を壁に刺し、両手でしっかりとしがみついた。

「よし、まあ見とけ」

そういうとオルテガさんは剣を背中に戻し魔法の詠唱を始めた。
とても小さな声だったので内容は聞き取れなかったがオルテガさんが詠唱に集中しているのだ、きっと高位の魔法に違いない。

「ハッ!」

詠唱が終わったようだ、発現した魔法はすぐに効果を現さずオルテガさんの左手の上で球体の形を保っていた。

「お〜しうまくいった」

左手の光球を右手のガントレットの甲の部分に宿らせる、分厚く武骨なガントレットは黄色い光を放っていた。

「カオルちゃん、目を閉じてできれば耳も塞いどけ、多分派手な光と音がでる」
「えっ?」
「いくぜモンスターども、新魔法!オルテガウェーブ!!」





チュドン!!






349 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/05/20(水) 00:01:52 ID:0qlLajapO
「カオル君!カオル君!」
「・・・、ん?」
「おぉ!良かった!気が付いたか!!」
「ア、アランさん?」

気が付くと目の前にはアランさんがいた、どういうわけかわからないが気を失っていたようだ。
体を起こして回りを見るとここは泉の祠のようだった。

「私はどうしてここに?」
「あそこに座ってるバカがまたやらかしおった!」
「おう」
「何が『おう』だ!大馬鹿者が!!」
「仕方ねぇだろ?想定外の出来事だったんだ」
「だから大馬鹿者なのだ!洞窟内でイオナズンなど唱えたらどうなるかくらい想像つくだろうが!」
「わかったからそんな怒鳴るなって、俺が悪かったよ」
「いったい何があったんですか?」
「ああ、すまん、説明しよう」

オルテガさんとアランさんからそれぞれ説明してもらった。

まずはオルテガさんから。
オルテガさんがあの時詠唱していた魔法はイオナズンだったそうだ、それを右手のガントレットに宿らせた。
そのまま力の限り地面を殴ってからは記憶がないらしい。

次はアランさんから。
レーベに帰る途中泉の洞窟の方角から凄まじい爆発音と土煙が上がったので急いで引き返したそうだ。
洞窟内の一つ目の階段を降りた所ですぐに壁にめり込んだオルテガさんと刀に捕まってぶら下がっている私を見つけ祠まで担いできたとの事。

いまいち要領を得ないが少なくともあの時オルテガさんが叫んだ「オルテガウェーブ」が原因なのだろう。

「すまねぇな、カオルちゃん」
「いえ、気になさらずに」

オルテガさんのボコボコな顔が物語っている、私が目覚めるまでの間アランさんにこってり絞られたのだろう。

「今日はもう無理だろう、ロマリアへは明日にしてもう休みなさい」
「えっ?」
「さすがに俺もいろいろと疲れた、今日はここで休んどこうぜ」
「俺はカオル君に言っているのだ、お前は村まで食糧を取りに行ってこい」
「はっ?俺?」
「誰のせいでこうなったと思ってる?あぁ?殴られたりんのか?」
「わ〜かったって、行ってくるよ」
「さっさと行け!」
「へいへい」
「オルテガ!!」

350 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/05/20(水) 00:02:43 ID:ldMxaI+GO
オルテガさんは壁にめり込んでいたと聞いたが大丈夫なのだろうか?走っていくさまを見ると問題なさげだが・・・。

「気分はどうだい?」
「お陰さまで問題なさそうです」
「そうか!それは良かった、あのバカはしょっちゅう暴走するからね」
「でも凄いですよね、新しい魔法を作ったり応用力が高いと言うかなんと言うか・・・」
「多分妻の才能を継いだのだろうな、あれは紛れもなく天才だった」
「奥さまはどちらに?」
「あぁ、死んだよ、新魔法の開発中に起きた事故でな」
「嫌な事を聞いてしまって申し訳ありませんでした」
「気にするな、もう20年以上前の話だ」
「すみません・・・」
「たまには思い出してやらんと可哀想だろ?良いんだよ」

やっぱりアランさんはいい人だなぁ・・・、言葉の一つ一つに暖かみがある。

「どれ、あのバカが帰ってくるまでにたまには昔話でもしようか」
「よろしくお願いします!」
「まずはあいつがガキだったころに「今帰ったぞ」」
「えっ?早くないですか?」
「ちんたら走って行ってられるかよ、ルーラだよルーラ」
「お前は空気も読めんのか!」
「あっ?なんの話だよ?」
「まぁいい、カオル君、また今度な」
「楽しみにしています」
「なんだ?なに話してたんだ?」
「気にするな、大したことじゃない」
「そうか?ならいいが、それより飯にしようぜ!」
「準備しますよ」

そう言ってオルテガさんの持ってきた荷物を開けてみる、予想通り肉しか入っていない。

「オルテガ、もっとバランスをだな」
「こまけぇ事言うなよ目についたもん持ってきたんだよ」
「まったく・・・、お前には何を言っても無駄だな」

目元を抑え呆れたように首を振るアランさん、多分本気で呆れてるんだろうな。

「まあ、食事にしましょう」

351 :リーマン ◆fOZritkFNE :2009/05/20(水) 00:05:47 ID:ldMxaI+GO
今回は少な目ですがここまでです。

このペースだとロマリアに着くのは一体いつになるのやら・・・。

物語の進行スピードが遅すぎるような気もしますが何卒お許しください。


今後も頑張って書いて行きますのでよろしくお願い致します。

352 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/20(水) 02:54:53 ID:4eOCNCgH0
オルテガウェーブwwwwwww
威力的にはオルテガゲイザーじゃないのかw

353 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/20(水) 07:43:35 ID:na82LYyPO
リーマンさん乙
昔話をさせないオルテガのKYさがイイww
アランさんに手伝ってもらいますか?のひとことにアランさんは召還可能なのかとビビったww
でもギガアの大穴前で呼んでも普通に現れそうな気がするww


354 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/20(水) 10:20:52 ID:2GSC2hY/0
面白かった!
乙!!
オルテガwwwまるで蠅を追っ払うのに手榴弾を投げるようなマネをwww

355 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/20(水) 10:45:25 ID:xJRzPWGi0
実体験してみたいゲーム、1位は『ドラゴンクエスト』
http://life-cdn.oricon.co.jp/66128/full#rk


356 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/21(木) 06:32:08 ID:exvrNU9m0
やはり洞窟内ではイオ系はご法度か・・・。
剣道のかけごえ、わらた。

357 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/22(金) 22:16:04 ID:NJBZNhdOO
古参の作者さんはやくきて〜はやくきて〜

358 :これでいいのだ ◆yeTK1cdmjo :2009/05/23(土) 00:12:42 ID:ckW3seks0
「起きろ愚弟、もう朝だ」
「う……う〜ん……あと5分……」
「もう8時になるけど遅れても知らないからな」
「おっぱい揉ませてくれたら起きる」
「……ホントに起きろよ?」

 虚しい一人遊びをやめて俺は目を開けた。
 俺には血の繋がらない義姉どころか姉そのものがいねえ。

「今日も元気で何よりだ、ムスコよ」
 毎朝の日課としてしっかりと目が覚めているムスコに呼びかける。
 今日も地面と平行なのを確認。
 やっぱりこれをやらなきゃ爽やかな朝を迎えられないってなもんだ。
 どうでもいいけど日課とワッカって似てるよね。ホントにどうでもいいけど。

 枕元に置いてあった携帯に手を伸ばして時間を確認――しようとするも見慣れぬ風景に呆然とする。
 いや、ある意味見慣れた風景ではあるのだが。

 目覚まし時計として枕元に置いてある携帯(N900i)、夜中遅くまで遊んでたDSL、100円ライター、タバコ。
 どっかで見た光景ですね、どっかで。
 なんか比較的最近見た光景です。

 あー、すんませんがちょっとだけ叫ばせてください。

「またかよちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

 ――魂のシャウトを聞きつけた宿屋の親父が到着する前に、俺は窓から飛び出していた。
 宿賃?そんなもん知るかボケェ!

359 :これでいいのだ ◆yeTK1cdmjo :2009/05/23(土) 00:14:17 ID:ckW3seks0
 そんなわけで現状を把握してみよう。。
 前回は竜王に光の玉を奪われたせいで暗闇に閉ざされた世界アレフガルド……の主要国ラダトームだった。
 だが今回は違うようだ。
 大きな違いは陽光。
 空を見上げると目が痛くなるほどの青。どう見ても精子――もとい、青空です。
 場所も違う。見るからにラダトームとは違う。
 ま、一人で考えても仕方ないので道具屋らしきおっちゃんに訊いてみた。

「なあおっさん、ここなんて町?」
「町じゃねえよ、城だよ城。おめえ、ローレシア城知らねえのか?」
「把握した。どうもな」
「おい」
「ん?」
「何か買ってくのが礼儀ってもんだろ」
「いや、薬草と毒消し草だろ?いらん」
「   何   か   買   っ   て   け   」
     ∧         ∧          ∧
      / ヽ      / ヽ_       / .∧
    /   `、___/   `、⌒ヾ⌒ヽ/  ∧
  /        /    (.....ノ(....ノ   / ヽ
 .l::::ノ(        |   ι      ι::(....ノノ 
 |:::::⌒ -=・=-  / ̄ ̄ヽ      ::::::::::::::/`ヽ
 .|:::::::::::::::::  \_(___..ノ     :::::::::::::::::::(....ノノ
  ヽ:::::::::::::::::::  \/ヽ   ι ::::::::::::::::::::::::::ノ




 おっさんの喉に一撃食らわせて逃げた。

360 :これでいいのだ ◆yeTK1cdmjo :2009/05/23(土) 00:16:12 ID:ckW3seks0
 何とか逃げのびた俺はローレシア城の外で前回のことを良く考えてみることにした。

 前回、俺は目が覚めたらラダトームの宿屋にいて、竜王討伐の旅に出た。
 ゆう帝、ミヤ王、キム皇のファミコン神拳を仲間にして竜王とバトル。
 全然歯が立たずボロクソに負けて死んだ。

 そう、死んだんだ。
 だが、次に目が覚めると現実世界のベッドの上にいた。
 時間的にはホテルにチェックインしてすぐの時間だ。

 変な夢を見たってことで自分を納得して翌日の結婚式に備えて早く寝ようとベッドにダイブ。
 眠りに落ちる直前までDSLでドラクエをやってたらいつの間にか寝たらしい。
 で、目が覚めたらローレシアの宿屋だったと。
 どういうこと?どういうことなの?
 なんなの?バカなの?死ぬの?
 ああそうか。これは夢。夢なんだね。だってほら、世界はこんなにお日様で満ち溢れているんだ!

「イヤッフーーーーーーー!!」
 素晴らしき哉!MY人生!!
 俺達の旅は始まったばかり!

361 :これでいいのだ ◆yeTK1cdmjo :2009/05/23(土) 00:21:42 ID:ckW3seks0
 現実逃避はやめにして現状を再度把握しよう。
 目覚めた場所はローレシアの宿屋。
 これだけでわかる。
 俺は「また」ドラクエの世界に来てしまったんだね。
 できれば夢オチであることを願いたいがそうもいかないことを知ってる俺。
 経験って大事だね☆

 異世界への移動。
 ドラクエ世界でこれができるのは限られた者のみ。
 ルビス、ラーミア=レティス、ハーゴン、マガルギ、旅の扉。
 この選択肢の中から選ばれるのは旅の扉とハーゴン。
 仮定に仮定を重ねるのは極めて無意味ではあるが、2における旅の扉は空間移動のみと俺は考える。
 旅の扉で異世界へと移動できるのはこの世界ではなさそうだ。
 カムイエデンではギアガの大穴は開いたものの、あれはシドーをぬっ殺した後だし、あくまでも創作だ。
 となると、選択肢は一つ。

「ハーゴンか」
 氷雪が吹き荒ぶロンダルキアの大地に悪霊の神々を召喚したハーゴンの実力は本物だ。
 破壊の神シドーのみならず、アトラス、バズズ、べリアルも異世界から召喚した……はずだ。
 ゲーム中で一切触れられていないが、あの三悪魔(たった今命名)もそれぞれ召喚されているからこその悪霊の「神々」なんだろう。
 ともあれ、ここでウダウダ考えていても仕方が無い。
 ハーゴン城を目指してどうにかするとするか。
 何一つ具体的な案が出てこないあたり、さすがだな俺。

362 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/23(土) 00:23:24 ID:n78VNwAnO
リアルタイム遭遇ktkr
俺さん、帰ってくるの待ってたよ!
竜王に負けてどうなるのかと思ったら、いきなり2の世界とか先が読めん。
次も楽しみにしてます!

363 :これでいいのだ ◆yeTK1cdmjo :2009/05/23(土) 00:24:00 ID:ckW3seks0
 ふと思い立って携帯を見てみる。
 前回はアレフガルドが闇に包まれていたせいで電波状況がダメだったのかもしれないという淡い期待は打ち砕かれるわけだが。

俺「……やっぱり圏外か……」
携帯「そこに気付くとは大したヤツだ……」
俺「ちくしょう……ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 知ってた。
 うん、携帯が繋がらないことくらい知ってたよ。
 だって前回もそうだったじゃない。
 だからどっかの宿屋で一晩たてば元の世界にいるはずがないことも知ってる。
 現状を打破するためには自力で戻るしかないことも知ってる。
 ……ドラクエ世界に迷い込んじゃった人はどうやって戻ってるんだろう。
 ま、迷っても仕方ないか。

「よっしゃ!行くぜ!」
 こうして、俺の冒険が再び始まる!



 ――始まらなくてもいいんだけど。



LV:11
HP:39/39  MP:27/27
E:なし E:ジャージ E:なし E:なし
呪文:ギラ ホイミ レミーラ ラリホー
特技:思い出す 舐めまわし 百裂舐め ぼけ つっこみ 雄叫び 口笛 寝る 穴掘り
    急所突き マヒャド斬り
道具:携帯電話 タバコ×10 100円ライター
DSL:聖水 鍵×18 曲がった釘×6 網 炎の剣 鎖かたびら 皮の盾

364 : ◆yeTK1cdmjo :2009/05/23(土) 00:31:19 ID:ckW3seks0
前回同様、何の予告もなく投下させてもらいました。

お久し振りです。
恥ずかしながら戻ってまいりました。

またよろしくお願いします。

365 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/23(土) 05:27:06 ID:4dqkTT300
>>360
あ〜〜〜。DQ1の人でしたか^^
一度は現実世界に戻れてよかったですね。
特技を結構おぼえているのが強そう。炎の剣ももってますし。Eがジャージだけですが・・・実は主人公は装備できないとか?
ともかく、楽しみにしてます^^

366 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/23(土) 06:23:44 ID:qfJgqyQgO
DSLってなんですかね?

367 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/23(土) 10:25:55 ID:HahyRaE+0
乙です!
相変わらず面白いwww

鍵×18はDQ2でどうすんだろうw

368 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/23(土) 13:34:32 ID:28qaMkPEO
乙です!こういうコミカル路線好きだw
総長投下予告あったけどこないな…

369 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/23(土) 15:32:41 ID:4dqkTT300
>>366
つ http://www.nintendo.co.jp/ds/series/dslite/index.html

370 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/24(日) 11:01:21 ID:mieodFrmO
2で思い出したがレッドマン最近投稿してねーな。

371 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/26(火) 21:38:35 ID:Cv0fnF+1O
確かにここで止めたら勿体無いな。
レッドマンの更新に期待しますか。

372 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:50:17 ID:qMlkeGng0
1.序章

【かの森から】

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
『――――貴様など 救い無き虚空から ただ大地を眺める 天の奴隷

 ドラゴン風情がニンゲンを語るなど 愚かの極みに他ならぬ

『私は宣言する 私の背に揃いし翼が

 天の象徴 貴様の翼に代わり 世界を蹂躙する

 貴様の威光 肉体を喰らい 貴様亡き世界で 私が神となる

 これは神殺しではない 貴様など 最早神ではない!』


『・・・・我は知っている そなたの軌跡を 

 神を語る者よ その身に刻みし幾千年

 彼の果てに その誇り高き眼に映るもの 我は知っている

『我は そなたを討ち滅ぼすもの

 そなたは地の底より聳える峰 天駆ける我が身の越えるべき峰!

『我は今こそ宣言する この生を賭し そなたを討つと

 神に仇成すものよ 今こそ召喚せよ そなたの名を

 我を討つに相応しき お前の名を!』


『私は今こそ召喚する 生きとし生ける 一と全に対し

 真なる私の名を 私が身に相応しき名を!

『神をも超越せし魂の誕生を 崇高なる意志の頂を

 伝説から神話へ飛翔する 我が物語の燦々たる輝きを

 我が名と共に その身にしかと 刻みつけるがよい!

 我が名は――――――』
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373 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:53:06 ID:qMlkeGng0


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なんだかくすぐったいな・・・・。風?窓、開けっ放しだったっけ。
あぁ天井は・・・・青・・・緑・・・??あれ?
・・・・・・・・・・・・・空?・・・・!!!
「うぉ!?何で空?壁は?なんだここは!」

仰向けの姿勢から目を明けると青色が見え、
その周りに沿うように、おぼろげに緑色が囲んでいた。
寝ぼけ眼で頭が回らず、その青が空の色であり、
緑は空を囲む木々の葉の色だと気付くのに、短くない時間を要した。

僕は反射的に立ち上がる。

目を明けたら家の中じゃない。一体どういうこと?
そもそも明らかに場所が違う。見たこともない場所なのだ。

ここはどこ??いつこんな所に?
それより今何時だ!?1・2限目のTAには間に合うか!?

完全にパニックだ。何を考えても意識が飛ぶ。
そんな状態にもかかわらず、僕は昨日の夜のことを思い出す。


374 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:54:40 ID:qMlkeGng0

昨日は確か・・・学校を夜10時前に出て・・・学校近くのラーメン屋で・・・
それでそれで・・・最寄駅から・・・コンビニでゲッサン創刊号を読んで・・・
リンドバーグが面白くて・・・あとベルセルクとかワンピとか読んで・・・

・・・1時前には家に居たな。母さんはもう寝ていて・・・
風呂入って論文読んで・・・・3時頃には寝たはずだ。
3時間も眠れば大丈夫、と思ったんだし。
いつものように携帯に充電コードを挿して枕元・・・・あ!

体がピクン!と応え足元を2,3度と見回すと、すぐ近くに携帯が見つかる。
どうやら、僕が昨日部屋に置いた場所と、位置関係は同じようだ。
しかし充電コードは、その途中でぷっつりと切れている。

電源は・・・・
「お!よっし!」
入った!

家と連絡が取れる!・・・とあえず家に電話して・・・
今何時だ?・・・あー!時計が初期設定に戻ってる。
まぁ、僕の携帯にはよくあることだ。
それより、もう母さん仕事に出てるんじゃ・・・そしたら110番だ!
警察にこの状況を知らせて・・・・・って、圏外じゃん。

状況を打開できると感じた希望を削がれ、目を瞑りへなへなと座り込む。
でもこれをきっかけに、他にも何か傍にあるのではと思った。
再び膝を立たせ、寝ていた場所の辺りを探し回ってみる。
・・・・結局、昨日まで僕を囲んでいたものは、携帯以外見つからない。

僕は立ったまま途方に暮れてしまう。

携帯が圏外ってことは、ここは山の中・・・・奥多摩辺りか?
家まで・・・遠すぎる。何でそんな場所に僕が?
一人で夜歩きして勝手に来た?夢遊病?そんなばかな。
母親曰く僕のいびきは凄いらしいが、そんな病気とは聞いてないぞ。

もしや昨日は帰りに酔いつぶれてここに来て、あの記憶は違う日のもの?
・・・・って僕は今パジャマ姿じゃないか。昨日は確実に家で寝てる。
そもそも酒なんかほとんど飲まないし。

375 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:56:04 ID:qMlkeGng0

じゃあ僕はいったいどうやってここに?・・・・・!
・・・・・誰かに・・・連れ出された!?

誰が?父さんは元から居ないし、友達は・・・・大学の奴は家の場所を知らない。
母さん・・・論外。家の中なら引っ張り回された経験があるけど。
いったい誰なんだ。意味が分からねぇ。
・・・・・・・えっ?

一つ一つ可能性が潰され、その瞬間僕の体に戦慄が走る。
僕は家から連れ去られた・・・・・・・何に?

なんて見当違いのことを考えていたんだ。もっと早く気付くべきだった。
そもそも人間の知覚に悟られずここまで運ぶなんて、人間にできる訳がない!

・・・・・・・・・・神隠し。
人間が消されるとか遠くの地に飛ばされるなんて、
巷に溢れる怖い話の類で、自分は話の外の傍観者と思っていた。
今もそうだと思いつつも、僕は確かにここに立っている。・・・・・・!

途中で切れた充電コード・・・・・
僕の周りの空間ごと、部屋から切り取られた?
じゃあ被っていた布団は?

途端に周りの空気を不気味に感じる・・・後ろを振り返れない・・・・。
ここは何か霊的な場所なのか。あの木々の向こうには何が潜んでいるのか。
・・・・気が付くと足が動かなくなっている・・・心が揺れ落ちそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
戦慄の瞬間から少し経ち、僕は徐々に周囲を見回せるようになる。
相変わらず得体の知れない怖さはあれど、緊張が解れてゆく。

誰も・・・・何も・・・無いのか。
ここからは遠くが見えないし、何も分からない。
そういえばここ、空き地みたいだな。結構広いぞ。

この場所を動き探索したいという思いが次第に強くなる。
そして少し後、ここの全貌を知るため、
僕は取り巻く不気味さを押し殺し、意を決し動き始めた。

376 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:58:00 ID:qMlkeGng0

・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ここは森の中の空き地みたいだが、歪な形をしていて、
どこに立っても張り出した木々に視界を塞がれ、全体は見渡せない。
空き地を囲っているのは、素人目に見る限り若々しい木々だ。

その木々はどこも同じ種らしく、丈は僕の身長の2倍くらいが一番数多い。
木々はどの場所でも鬱蒼とは生えておらず、結構向こうまで見渡せたが、
森の中は少々暗く、奥深いようだ。探索前の不気味さが少し蘇えってしまう。

また、空き地からどこかに繋がる道のようなものも見当たらない。
さらに、丈の短い草がこの空き地の地面の大部分を覆っている。
ところどころに名前の浮かばない花が咲いている。最早ここは草原だ。
リスや鳥などの森の動物は見なかったが、バッタが草の上で跳ねている。
そして、空に向かって大地が開けているためだろう。全体はとても明るい。

未知の空間を動き回りながら、だんだん僕は冷静な気持ちを取り戻してゆく。
そして、どれだけ時間が流れたか分からないが、帰巣本能だろうか、
最初寝ていた場所の辺りに腰を下ろす。僕はそこで、探索に一区切り付けた。

ええと・・・・なんだろうこの状況・・・まだほとんど理解できないや。
ただ、日の高さから判断すると、今は朝か昼間みたいだ。
僕は本当に神隠しにあったのかもしれない。まぁ今はそんなに怖くないな。
・・・・森の中はまだちょっと怖いけど。

それに、僕の身に起こったことがたとえ神隠しだとしても、
森を抜ければ何かしら道へ出られるはず。
ここが家から離れた場所なら、どこかで人に助けを求めないと。

あ・・・でもよく考えたら、僕は今パジャマ姿なんだ・・・・。
ここを抜けて人に助けを求めても、こんな姿じゃ・・・・。
でも、ずっとここにいても何の進展も無い。ここは行かないと!

・・・・あぁこんなことがバレたら友達は何と思うか。
後輩の卒研生にもいろいろ突っ込まれだろうなぁ・・・。
いやむしろ話のいいネタになる・・・。はぁ・・もういい・・・ここを出よう。

こうして弱々しいながらも、僕は脱出を決意した。


377 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:59:05 ID:qMlkeGng0

さて、行くと決めたし、なんとなく携帯開いて・・・圏外だよなそりゃ。
そういえば、圏外のまま電源入れてると、携帯が基地局の電波を探すために
普段より電池を食うんだよ。これ豆知識な。
森を出るまでの少しの間だけでも、電源切っとくか・・・・よし、できた。

型が古いため、ちょっと使うとすぐ電池残量が減る。
普段はバッグの中にも電池を1個常備してるが、今は携帯に入ってる分だけ。
就寝中にここに来たのなら、充電は不十分かも。大切に使わなければ。

決意ついでに森の上部や空を見てみる。・・・・・!
そこで初めて気が付く。ここで目覚めた瞬間は全く気付かなかったこと。
探索中も全く気にならなかったこと。今見ると明らかにおかしいこと。

今、初めて意識する。それは色彩。
空の色が、僕の知るあの空色ではなく、真っ青に見えるのだ。
記憶に無いような、真っ青。

あれ?空の色ってこんなのもあるのか?
太陽光の関係で、見る場所によって多少、色の濃さは変わるはず・・・。

うーん。確か、短波長光に対して起こるレイリー散乱が、
地球の大気中においては青から紫くらいの色の波長で起こり、
さらに昼は紫光より青光が大気に残りやすく、空は青く見えるんだよ。
日本にはこんな場所もあるのか。

・・・まぁいいや。ぼちぼち森に入ろうかね。
方角は・・・・確か金田一少年の事件簿の亡霊兵士事件であったな。
木の苔が生える方向が北だとか。よしよし冴えてる・・・・って、おい。
方角なんて意味無ぇよ。地図無いし。・・・・えぇい!ここを真っ直ぐだ!

たまたま目の前にある森に僕は踏み入る。

中の様子は、背後の草原と異なり、地面は土がむき出しの部分が多い。
そこに群生する植物は、丈は草原の草花と同じくらいだが
森の中に転々と生えているに過ぎず、その形・色・伸び具合は
背後の草原に生える植物と種が違うことをはっきり示している。

また、雄雄しき木々の緑が空から降る日の光を遮っているために、
隙間から漏れた光が、一部の地面をスポットライトのように映し出している。

だから・・・・暗い。そして・・・・深い。暗く深い森の中に僕は一人。
暗く澱んだ世界が感じられ、足元の草は名も知らぬ先へ導く道標のよう。
すぐ背後には燦々と輝く草原があるのに、
自然の境界一つでこんなにも明確に空気は変わるものなのか・・・。

・・・・そ、そんなことはどうでもいい!日本は森も多いが、
なんだかんだで抜けた先も日本に違いないんだ!行くぞ!

森に入り三度蘇えった不気味な影を、僕は無理やり吹き飛ばし歩き出した。


378 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 21:59:48 ID:qMlkeGng0

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ハッハッ・・・余裕!余裕!・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
なんのなんの・・体が暖かいぜ・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ハッ・・ハァ・・・思ったより・・広い・・ここ・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
み・・・・みず・・・・・・・・・・水・・・・・・・・・・・・を・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
俺・・この旅が終わったら・・・あの子に・・告白・・・するんだ・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






379 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 22:00:24 ID:qMlkeGng0






・・・・見えた・・・・・・・・・・・・・・・
あぁ・・・お父さん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな川の向こうで手を振って・・・・こっちに来いって?・・・・・・
・・・・あぁ・・・・そっちは暖かそうだ・・・うん・・・今行くよ・・・・・

・・・・・・・・・・・・・って!・・・・待て待てちょっと待て!
しっかりしないか!ちょいと死の淵だからって幻覚なんか見るな!
そもそも俺の父さんはまだ生きているだろうが!どこにいるか知らんが。
へへまだだ・・・まだ大丈夫。気をしっかり持て。もう少しで外・・・・に・・・・!!

幻覚じゃない。父さんは露と消えたが、ここは確かに・・・・森の外!
目の前には川・・・川?・・・川!・・・・うおおぉぉおぉ!水!みず!!ミズぅ!!!
・・・・ゴゴゴ午後五語宕後呉・・・ゴクン・・・・・・・・ヴァァァ・・・体に・・・染みる・・・。
辺り構わず突っ込んだ。パジャマの前がびしょびしょだ。だからどうした!
うおおぉおお!!!飲むぞ飲むぞ飲むぞぉ!!!!


・・・・・・・・・一頻り喉の渇きを癒し、僕はやっと落ち着く。
・・・・・・日の光が・・・とても懐かしい。

周りを見渡してみると、水を補給した川の横幅は僕の身長くらいで、
左から右に亘る、とても緩やかな下り平野の上を流れている。
そして川の流れは、森の側面に沿いながら平野の向こうへ伸びている。

森の端から川のこちら岸にかけても、同じくらい緩やかな下り平野だが、
川の向こう側は平坦で、少し先に、横に広く大きな逆さ扇形の丘が見える。

その丘を見て僕は、もしかして、と思う。思い立ったらまず行動。
川の中にある石の上を歩き向こう側に渡り、
短い草が生え所々土が見える草原を足早に進み、そのまま丘を上へ登る。
思ったより急斜面で苦労したが、なんとか頂上に到達し、
緊張しながらもすぐ振り返る。


380 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 22:01:28 ID:qMlkeGng0

「・・・ほら・・・・やっぱり」
遠い眼下には僕が抜け出た森。左右に、そして奥にも。
僕の目に、その端が見えないくらい広大な緑の面を見せ付ける。

そしてさっき、もしかしてと思ったこと。
森の中では気付かなかったが、僕は森の中で下り道を歩いてきたらしい。
森が広がる場所に、奥に向かって少し上り傾斜があるからだ。
その証拠に遠くの木々が正面に見え、その奥の木々はさらに上に伸びてる。

遠すぎて確信が無いが、さらに奥のおぼろげに映る緑も、森の一部だろうか。
だとすれば森の最奥部はここより遥かに高い。山脈面に生えているのだから。

森の中のあの草原は・・・・ダメだ。見えない。遠く見えないのか。
でもあれ程長時間歩いたんだ。まっすぐ進んでるとも限らないな。
正面から外れてあっちは・・・・やっぱり見えないか。
それにしても、日本にはまだこんな場所があるのか・・・。

奥にはその全貌が見えない巨大な山脈。
手前に下ると左右にも広がるあの森。
そして僕の眼下を左右に横切る、一本の線にも見える川。
なんだか自分を中心にして、世界があるような気がする。

Hywwuuuu・・・と背後から風が吹きつける。僕を目覚めさせるように。
丘の反対側のことを思い出す。さっきはあの森に夢中でろくに見てない。

先ほどと違いさっと振り返る・・・・・・!!

「・・・・・すげぇ・・・・・・・・」
後ろの山脈や森や川が、狭い扇の中の世界だったと知る。


遠く広がる緑の大平原!彼方には青の水平線!
終わりの見えない大世界が今、目の前に広がる。
僕は自然大好き人間ではない。でも、この世にこんな場所があるなんて!
空と海と大地が意思を持ち、それらの声無き声が
この場所を飛び交っているようだ!

・・・今、僕は確かにこの大地に立っている。
途方も無く広い平原を見下ろして。
本当なら、ここには家路の見えない絶望があるはずなのに。

「・・・・綺麗だ・・・・・」
けれども僕は、なぜか少し安心した。




381 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/26(火) 22:03:01 ID:qMlkeGng0



静かな緑の森の陰から 男は世界を垣間見た
何も知らぬその世界 男は何を忘れたか

森を抜け目に見た草原 小さく聞こえる宙の音
それは男が感じたもの または男が求めた安らぎなのか

空と海と大地と己 果てぬ思いは永遠に
知らぬ世界の森を発ち 男は世界を知り尽くす

己を名乗るも憚れる 世界の理奥深く
彼の無能を唯見るが如く 大なる存在そこにあり
大なる存在その中に 男は矮小に映りたし

男は目指した 記憶の果て
男は目指した 人たる者の希望の頂
人が幾度も目指しつつ 終に足折れたその先を

あぁ何処へ 招かれざるものよ
あぁ何処か 男の心は 勇気の心は

HP ???/???
MP ???/???
<どうぐ>携帯(F900i) E:パジャマ



読み方注:「彼の かの」「聳える そびえる」「燦々たる さんさん」
「鬱蒼 うっそう」「一頻り ひとしきり」「亘る わたる」
「宙 そら」「憚れる はばかれる」「矮小 わいしょう」
「終に ついに」「何処 いずこ」


382 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/26(火) 22:07:41 ID:QFOoYDjh0
支援

それともちょうど投稿が終わったところかな?

また独自性のある主人公が出てきて面白くなりそうだ。

携帯の充電コードが切れてるというのは初めて見た演出だな…空間ごと切り飛ばされたら確かにそうなるかも。

383 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/26(火) 23:38:15 ID:PqZMbAr80
状況説明がきちんとしてていい感じ。
これは期待

384 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/27(水) 05:37:00 ID:PaMuYl8E0
どうなるんだろう。
丘の上の光景の描写すごいな〜。
とにかく今後も期待しちゃいます。


385 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/27(水) 08:10:33 ID:QfmUVM0lO
読み方補足です。
最後の方にある二回目のの「彼の」は「かれの」と読みます。
細かいですがしっかり書きたいので。
「男の」と読み替えても結構です。

あまりレスしたくないので少しだけ。
言葉は力です。
お誉めと期待のお言葉、ありがとうございます。

386 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/27(水) 12:59:06 ID:vfCL76dF0
あとで読み方の注釈をつけるのも手だけど、()で後ろに読みを振ってもいいと思うよ。

例:あぁ何処(いずこ)へ 招かれざるものよ
  あぁ何処か 男の心は 勇気の心は

最初は語調を崩しそうな気がするけど、意外と読んでるうちに慣れてくる。
もし文字数を合わせて行の上下の区切りや文末を合わせようと思っても、
ここを見てる大半のWinユーザーが使ってるフォントはプロポーショナルなんで、
まずズレるから気にしても仕方ないw


本文
出だしの謎めいた会話にwktk
DQのどの世界なのか明かされるのが楽しみ!
ひとつ気になったけど、大自然をズンズン突き進んでる主人公は、
とりあえず靴は履いていたのか。



387 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/05/30(土) 04:18:38 ID:KEGQzd0a0
>>386
本文中の書き方について補足ありがとうございました.
文字数についてですがは,既成の皆様の物語を拝見したところ,
一行の文字数に制限を設けたほうが見やすいと感じたので,
その文字数以下になるように文章を構成しています.

最後の本文への疑問については,実は気付かれないように
文章をうまく構成していたつもりでした.やはり無理でしたね.
元々次回少し触れる予定です.説明はこれでご勘弁ください.

レスするべき悩んだのですが,不親切ではいけないと思ったので.
では,これにて.

388 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/30(土) 08:49:13 ID:sm7pA8JZ0
じつは修士さんは靴下(それも厚手の)を履いたまま寝る習慣のある人だった、と妄想してみる。
あるいはケモ足型スリッパを履いたまま寝ちゃったとか

389 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/05/31(日) 08:40:37 ID:1jEmItZeO
ここにきてまさかの作者萌え

390 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/06/03(水) 23:02:50 ID:A2qNhc8P0
>>307-311
―放漫な毘沙門天―

 ドラクエの世界で三日目の朝を迎えた兄弟。

「さてと、いろいろ問題を先送りにしてきたがそろそろ冒険を始めるとするか。」
「そうだね。」
「我々のドラゴンクエストは今始まったばかりだ!」
「第一部、完。の打ち切り漫画みたいだね。」
「あ、漫画で思いついたことがある。」
「何? 聞かなきゃよかったようなことじゃないよね。」
「ドラクエの発売日とかけて、人気海賊漫画の主人公と解く。」
「その心は?」
「どちらもよくのびる。」
「はいはい。僕たちも先延ばししないようにしないとね。」
「結構うまいと思ったんだけどな。ドラクエ7は海賊とも深いかかわりがあるし。」
「それを知っていたらもう少し評価が高かったかもね。」
「まあ、いい。目下のところ我々はドラクエ7の攻略を考えねばならん。」
「だね。僕全然知らないから頼りにしてるよ。」
「ドラクエ7は肉体的にも精神的にもきついぞ。」
「そうなの?」
「セブンと言えば普通はマイルドだがドラクエに限ってはハードだ。」
「うわい。」
「おいおい、そんなに煙たそうにするなって。」
「何うまいこと言おうとしてんのさ。ちなみに兄ちゃんって、煙草吸うの?」
「吸わない。自分の健康を害してまで税金を払うような高尚な趣味はない。それに……」
「それに?」
「俺、未成年だし。」
「だよね。妙に年寄りくさいけど未成年なんだよね。驚き桃の木山椒の木だよね。」
「お前人のこと言えるのかよ。」
「人間は周りの人間に影響されるものだよ。」

391 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/06/03(水) 23:03:56 ID:A2qNhc8P0
 長い前振りを経て作戦を練りだす兄弟。

「ドラクエ7攻略の話に戻るぞ。何故か全然話が進まない。」
「うん。なんか話がすぐ横道にそれるよね。」
「我々がラスボスを倒してゲームをクリアするには何が必要だと思う?」
「知恵と勇気と経験とお金と、その他いろいろと。」
「まあ、みんな大切だな。だが、さしあたってそれよりも必要なものがある。」
「それは?」
「仲間だよ。一緒に冒険をしてくれる仲間が必要だ。」
「それはそうかもしれないね。僕たちだけじゃモンスターと戦う自信ないし。」
「まあ、それはこの世界にいる人たちも同じだけどな。」
「そうなの?」
「この偽りの楽園にモンスターはいない。冒険当初モンスターは架空の存在なのだ。」
「そうなんだ。」
「だから戦闘経験で言えばみんな大差ないはずだ。」
「仲間を見つけたとしても、初めのうちは頼りにならないってことか。」
「逆に言えば俺たちでも足手まといにならずに済むってことだ。」
「そうだね。前向きに考えよう。」
「当然ながら冒険に出れば俺たちも戦わなきゃいけないからな。」
「まさか日本で暮らす僕たちにそんな日が来るなんて思ってもみなかったね。」
「そうそう、ドラクエ7の戦いをする上で覚えておかねばならないことがある。」
「なに?」
「羊最強。」
「ひつじ? 寝るとき数えるあの動物?」
「そう、あの動物。」
「強い羊のモンスターがいるの?」
「いや違う。」
「羊が仲間になるの?」
「ちょっと近い。」
「羊に関する武器や防具があるの?」
「あと一歩。」
「いいから何なのか教えてよ。」
「怒涛の羊って技があってそれが強力なのだ。ノーコストとは思えないくらいに。」

392 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/06/03(水) 23:04:58 ID:A2qNhc8P0
 頼もしい仲間の話。

「とても強い技だとは思えないよ。名前にインパクトはあるけど。」
「まあ、覚えておいて損はない。羊飼いに転職すると覚えられるぞ。」
「羊飼いって、遊牧民にでもなるの?」
「……いや、遊牧民になる奴はいるがそいつは転職できないな。」
「なんで?」
「追々説明していく。とにかく今は仲間を募ることを考えよう。」
「そうだったね。」
「仲間を募るには冒険を始めなきゃならない。」
「うん。」
「ドラクエ7の冒険がどんなものだったか記憶を思い出していく。」
「頼むよ。」
「ここではな、今いるこの島以外の世界は石板に封印されているのだ。」
「世界が封印されているの? スケールが大きいね。」
「そんなスケールの奴を倒すのが最終目標なんだけどな。」
「気が遠くなりそうだね。」
「よし。諦めるか。」
「諦めたらそこで試合終了だよ。」
「その言葉忘れるなよ。まあいい。まずは冒険を始めなきゃな。」
「だね。」
「冒険を始めるにはまず遺跡の謎を解かなければならない。」
「それは主人公がやることなんだよね。」
「主人公とキーファだな。」
「遺跡の謎が解かれたらどうなるの?」
「石板を使って封印されている場所へ移動できるようになる。」
「そのまま冒険に行っちゃいそうだけど仲間はどうするの?」
「主人公たちが遺跡の謎を解き石板を持っていくとき、マリベルが現れる。」
「魔王マリベルだね。」
「そう、それだ。」
「だったらそこで合流すればいいよね。」
「ああ。魔王が仲間になってくれれば怖いものなしだ。一番怖いのは魔王だからな。」
「やっぱり仲間にするのやめない?」

393 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/06/03(水) 23:05:59 ID:A2qNhc8P0
 冒険を始めるにあたって。

「とにかくだ。これで主人公とキーファとマリベルが仲間になるはずだ。」
「うまくいくかな?」
「まあ、何んとかするしかないな。何とかごまかして合流せねばなるまい。」
「それでどうにか冒険が始められそうだね。」
「ああ、これ以降も仲間は増えて行く。」
「基本だよね。」
「強い仲間ができれば俺たちも楽ができよう。」
「戦いを任せられる強い仲間が欲しいところだね。」
「仲間と言っても俺たちは正体を隠しながら行動するしかないけどな。」
「ねえ、仲間内だけでも僕たちの正体は話しておいた方がいいんじゃないかな。」
「ここはゲームの世界です。私たちはゲームの外から来ました。って言うのか?」
「信じてもらえないだろうね。僕だってまだ信じられないもん。」
「言うとしたら何らかの工夫は必要だろうな。」
「記憶喪失の振りでもしようか?」
「ここはどこ、私は誰って状態かい。」
「実際かなり近いものがあるんだけどね。」
「とはいえ、都合よく2人とも記憶がありませんと言うのも不自然だろうな。」
「そうだよね。どうしたらいいものやら。」
「まあ、ごまかすにしろ明かすにしろ策を講じないとな。」
「どう振る舞えばいいか難しいね。仲間に怪しまれないようにしなきゃ。」
「キーファはあまり細かいことは気にしない性格だから楽だな。」
「そうなの?」
「会話システムのおかげで仲間の性格はある程度分かる。」
「それで分かった結果が魔王マリベルなんだね。」
「問題は主人公だ。ドラクエの主人公はしゃべらないからな。」
「どんな性格なんだろうね。」
「案外本当に無口な奴かもしれないな。」
「そうであってくれた方がいいよね。こっちとしても何を話していいか分からないし。」

394 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/06/03(水) 23:07:14 ID:A2qNhc8P0
 昔の話とこれからの話。

「さてと、俺も覚えてないことが多くってこれ以上は思い出せないな。」
「攻略法を思い出してくれないとなにかと大変だよ。」
「なにかきっかけがあれば思い出すかもな。」
「それならさ、遺跡を調べてみようか。事前準備は必要だよね。」
「ああ、遺跡に土器を埋めてあとから自分で見つけたように装うんだな。」
「なにそれ?」
「そんな事件あったんだ。どこかの考古学者がやっちゃったのさ。」
「ふーん。あんまり古い事件持ち出すとまた年齢詐称疑惑が出てくるよ。」
「あ、思いだした。ドラクエ7にも考古学者がいたはず。」
「意外なつながりだね。きっかけってどこにあるか分からないね。」
「その考古学者が何をしたかと言うと、主人公たちを助けたような気がする。」
「敵ではないんだね。」
「一時的に仲間になったような気もする。」
「お助けキャラなの?」
「いや、戦闘には参加しなかったんだったかな。」
「どこかに連れて行くイベントなのかな。」
「その考古学者が何をしてどうなったかと言うと……思い出せないな。」
「なかなかうまくいかないもんだね。」
「まあ、そのうち思いだすだろう。」
「だといいけど。」
「昔やった古いゲームのことを思い出す俺もある意味では考古学者だよな。」
「考古ではあっても学者ではないけどね。」
「仲間の選別とかけて考古学と解く。」
「その心は?」
「どちらも、ふるいにかけています。」
「考古学って発掘したものをふるいがけするの?」
「いや、考古学のふるいの方は古い新しいの古いなんだが。」
「あ、ごめん。気がつかなかった。」
「分かりにくくてすまん。まあ、いいや。遺跡の調査は明日にして今日はもう休もう。」

―続く―

395 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/04(木) 10:01:49 ID:eWaILHxnO
ぬわんということか、結局冒険に出
ることなくまた続いてしまうとはwまあこれも作者さんの味っ
ぽくていいね

396 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/04(木) 13:48:11 ID:sAXwQNGcO
放漫じゃなく傲慢じゃね?

397 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/04(木) 16:31:26 ID:4BwiZGFh0
>>395
がんばってほしいなこの兄弟には!続きがす
っごく楽しみw

398 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/04(木) 22:04:36 ID:Ukn36vES0
この兄弟、次こそはホントに旅に出るのだろうか?ww

399 : ◆8fpmfOs/7w :2009/06/04(木) 23:29:53 ID:g4EKZYqV0
>>396
御指摘の通り今回のタイトルは
―放漫な毘沙門天―ではなく
―傲慢な毘沙門天―
の間違いでした。訂正します。
ありがとうございました。

いやはやHとGの区別もつかないとは情けない。


今回の冒険の書7は
事情により音声のみでお送りしております。
もう少しだけお付き合いお願いします。

400 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/05(金) 03:16:21 ID:vyw1US4A0
豊満な・・・ごくり

401 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/05(金) 19:53:51 ID:oHXoO5d7O
>>395
乙です
羊w最w強w
宿屋からみじんも動かない兄弟のやりとりがクセになるww
むしろもう最後までそこで喋ってるだけでもいいよww
ふるいは発掘した土砂をふるいにかけるの意味かとオモタ

402 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/06(土) 22:40:57 ID:h0pQ+Xv50
>>399

>>事情により音声のみで

なんかあるんだろうなあ
楽しみすぐるwktk

403 :携帯まとめ人:2009/06/07(日) 20:35:25 ID:AQnF/mn80
すみません、ただ今サーバ側の設定の問題で、
一時的に閲覧ができなくなっております。
復旧まで今しばらくお待ち下さい。

404 :携帯まとめ人:2009/06/08(月) 00:48:55 ID:iFDGADkR0
無事、復旧いたしました。

405 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/08(月) 23:01:53 ID:lXOl8YZoO
>>404
復旧乙です

406 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/06/13(土) 08:58:16 ID:H5ccfv2i0
おはようございます。GEMAです。
第18話後半投下します。

LOAD DATA>262-266

407 :不逃不屈の日輪【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/06/13(土) 09:01:08 ID:H5ccfv2i0
赤い絨毯が敷きつめられた王城の廊下、窓の外には芝生に覆われた中庭が見える。
うち棄てられていた金属の残骸はあらかた片付けられ、手入れされた芝と植木だけが
風に吹かれてさらさらと乾いた音を奏でている。

生物を殺める事のみを追求した殺人機械…紫色の鬼ババア…皇后に化けていた怪物…
狂気に支配されたモンスター…その呪縛から解放されたモンスター…天空の勇者…

存在する事実を呪い、排斥する事こそ世界への冒涜…だとするならば、
この中で絶対的な善ってのはどれなんだ?絶対的な悪ってのはどいつなんだ?

          ぬめ

「くぁwせdrftgyふじこlp;!!」
「ははは…ごめんごめん。いや、やっぱりこれは効果抜群だなあ」

突然、首筋から背中を伝うひんやりとした粘液質の感触。
周囲が全く見えなくなっていた俺をこっち側に引き戻すには充分すぎる刺激。
お化け屋敷のコンニャク(…ってそんなアンティークなお化け屋敷実際にあるのか?)を
思い起こさせるイヤ〜な感覚に奇声をあげて飛び上がる。

「部屋を出る時にヘンリーが『イサミの事だからどっかでしみったれてるんだろうよ。
 こいつを背中にねじ込んで喝を入れてやんな』ってコレを渡してくれてね。
 真剣に考え込んでるから邪魔しちゃ悪いと思ったんだけど、つい…ね」

ヘンリーから渡されたという『それ』を手にしたサトチーの表情は、
今までに見た事がないくらいに輝いている。

408 :不逃不屈の日輪【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/06/13(土) 09:04:19 ID:H5ccfv2i0

                ,. - .、‐ 、.__
          _,,..--‐'"´:::(-)::::::::`::':ヽ、
       ,.‐'"´::::::::::::::::::::::::::::::_,,..--─-ィ   ゲロゲーロ
      ノ::::::::::::::::::::::::::::::;:.'" ̄   _,.-r'"
     /::::-‐、::::::::::::::::_;:イ     ´ イ
   ,.イ:::::::::::::〉::,.-':::::/          !
  (:::::-、_:::::r'::::::!::::::〈           ,/
  ヽ::::::::-rニ ̄ ヽ::::::`ー-、_  __,./:/
    `!,_、;::へー-'ヽ、_っ、ン ̄ヽヘン
     `ー'⌒´
          ↑ソレ



409 :不逃不屈の日輪【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/06/13(土) 09:08:06 ID:H5ccfv2i0
あんにゃろう…

「僕も子供の頃よくやられたよ。僕が悩んだ顔や寂しい顔をしていると必ずヘンリーが
 どこからかカエルを持ってきて背中に放り込むんだ。そのたびに大声を出して驚いて…
 でも、そのあとは不思議とすっきりした気分になるんだよね」

そう言えば、大声を出したからなのか大きな刺激が加わったからなのか、
さっきまで悩んでいたの答えの出ない思考が吹き飛んで頭がすっきりしている。

「で、どうだい?イサミもすっきりした?」
「まあ…少し悔しいけどな」
「それなら安心。僕で良かったらいつでも話を聞くから、あまり考え込むと体に毒だよ」
「いや…今までの事を思い出しててさ」

それっきり無言…開け放たれた窓から入り込む風の音だけが耳をくすぐる。
何を考え込んでいたのか、それをどう説明すればいいのかもわからない。
それでも、明確な答えが存在しない事だけはわかる。

「身勝手な考えかもしれないけど、僕は僕の周りを守れればいいと思っているんだ」

しばしの無音の後にサトチーが発した言葉は予想外。
色んな意味に取れる発言をしたサトチーはまっすぐに窓の外を眺めている。

「ヘンリー、イサミ、仲間の魔物達、サンタローズのお爺さん、修道院のシスター、
 モンスター爺さん、デール王、カボチの人達、ルラフェンのお爺さん…
 みんな方向性こそ違うけれど、自分と自分達の周りの平和を守ろうとしている。
 みんなが周りの平和を願い、守ろうとするならば、その周りの人達も自分の周りを想い、
 守ろうとする。世界はその繰り返しで成り立ってるんじゃないかな。ほら」

そう言って、サトチーが取り出したのは小さな箱。
蓋を開けると、緑の髪の男性とウェディングドレスの女性を模した二つの人形が
寄り添うように立ち並び、奏でられる透き通ったメロディーが二人を祝福する。

410 :不逃不屈の日輪【9】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/06/13(土) 09:11:48 ID:H5ccfv2i0
「これから先ヘンリーはラインハットの国民と同時に、マリアさんも守っていく。
 ヘンリーに守られたマリアさんは夫であるヘンリーを守ろうとすると同時に、
 修道院のみんなを守ろうと祈り続ける。修道院のみんなはマリアさんを祝福し、
 末永い幸福を祈ると同時に、修道院に立ち寄る旅人を癒し、その無事を祈る。
 修道院で癒された旅人は別の場所で誰かを守る…この繰り返しだよ。ただ…」

そこで、サトチーの言葉が途切れる。
ふぅ…と、短く息を吐き再び窓の外に力のある視線を向ける。

「ただ、そのためには剣を抜かなきゃいけない事もある。
 周囲を不幸にする存在を断つ事が守る事に繋がる事もある」

きっと、サトチーは守るべき『周囲』の間口が広いんだろうな。
一国を守る王様よりも、世界を守るって話の天空の勇者よりも、
目の前にいる一介の旅人のほうが大きい存在に感じる。

俺は、物事の善悪を判断するほどの大層な存在じゃねえ。
信頼すべき友人がうっかり背後を取られないようにこれからもその背を守ろう。
こいつが大勢の人を守り、その想いが世界に広がる手助けを続けよう。




イサミ  LV 17
職業:異邦人
HP:80/80
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鉄の胸当て
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――

411 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/06/13(土) 09:13:35 ID:H5ccfv2i0
〜おまけ〜
「ところでサトチー。一つ疑問があるんだけどさ」
「ん?なんだい?」
「子供の頃ヘンリーがよくカエルを持ってきたって、奴隷現場だよな?」
「うん、そうだよ」
「ヘンリーはあの高山のどこでカエルを見つけてきてたんだ?」
「あぁ、それは…ヘンリーはイタズラには手を抜かないからねえ」
「…そっか(それで周りが納得できちまうヘンリーって凄げぇよなぁ…)」


〜〜〜〜


18話はここまでです。
さて、もうすぐあのイベント…ですね。

412 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/13(土) 11:37:24 ID:vUPjwEZP0
面白かった!!
さて、ヘンリーの次はってヤツですね
期待してます

413 :自治スレにてローカルルール変更審議中:2009/06/19(金) 22:05:39 ID:hikVyJVG0
梅雨入り保守

414 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/24(水) 04:47:18 ID:GIuCt8fl0
前回>>372-381

【だれかいませんか?】

「・・・・・・・・・あ!」

携帯の電源を入れるのをすっかり忘れていた。
胸ポケットから取り出し、改めて電源を入れる。
歩いてる間に落とさなくてよかった。


・・・・・・・・・・っと。・・・・・・ここもだめか・・・・。

ここも圏外だ。少し時間を置いて待ったが、表示は変わらない。
そんなにエリアから遠いのか。山が近いためかも・・・・・そうだ!

僕は閃く。

時間が分からなくても、適当な時間に設定して後から確認すれば、
移動中にどれだけ時間が経ったかが分かる。
時間が分かれば、歩く速度からおおよその距離も求まるし、
時間も距離も、今必要な情報のひとつだ。

これ程までにだだっ広い平野。もしかしたら今日一日、
誰とも会わないままかもしれない。
どう進み、どう行動するか、時間や距離はそれを考える目安になる。

情報の価値は状況で変化する。砂漠で水に飢える旅人は、
一杯の水を得るために己の全財産を差し出すだろう。

もっともそんな状況ではその程度の水、何の役にも立たないが。


早速適当な時間・・・昼の12時に設定する。・・・・・・・・・ぐぅ・・・

・・・・・・・そういえばお腹が減ってきたな。
森の中の木には何の食べ物も見つからなかったし、歩くのに夢中で、
というか、途中から何も考えられなくなったんだよな。
森を抜けてからは川の水しか飲んでないな・・・・・我慢我慢。


415 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/24(水) 04:48:21 ID:GIuCt8fl0
少し迷ったが、今度は携帯の電源を切らないでおく。

僕のことは既に母さんも知るところだろうし、
僕に連絡を取ろうとしているだろう。突然、僕が消えたんだから。
母さんはメールが使えない。だからその場で連絡を取るしかない。
こんな状況だし、仕事には行ってないんじゃないだろうか。

森の中でない平原なら、どこかで電波が繋がるかも!
可能性は低いが、ここはその希望に賭けるぞ!


よし、電波の状態には常に注意して胸ポケに・・・と。 そしたら・・・

丘の上から辺りを見渡す。今度は景色に見とれるためでなく、道を探すため。
今は自力で進むしかない。どこか人里に繋がる道はないかな、と・・・・・・


・・・・・・・・・・んー・・・・


何とか目を凝らしてみる、が・・・・・・
・・・・・・・・・・・・だめだ。人っ子一人見えないし、道なんて・・・・


こんな広大は景色を見るなんて、ほとんど経験が無い。
その事実が僕の心を余計に惑わせる。

満足にものを食べられない空腹感、
慣れない道を歩き続けてきた疲労感、
誰とも会えずにくすぶり続ける孤独感、
見知らぬ土地で右も左も知れない絶望感。

幻想なる景色が織り成す夢から次第に醒める感覚。
今までの生活で強烈な存在感を示してこなかったこの感覚。焦り。
今までの生活が、脆弱なる安全に包まれた箱庭であったことを知る。

早ければこんなところ、たった一日でおさらばだ。そうあってほしい。
でもその一日は、きっと今までで一番長い一日になるだろう。
やっぱり一刻も早く、こんな状況から抜け出さないと!


何かないか・・・何か・・・
近くにないなら、もっと遠くには・・・・・・

・・・・・・うむむむ・・・・・
・・・むむむむむ・・・・・・・・む! あっちにも丘が見えるぞ!

416 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/24(水) 04:49:12 ID:GIuCt8fl0
さっき渡った川の流れる方向に、もう一つ丘が見える。

でもさっき、あっちは奥まで川しか見えなかったはずだよな。
川は一本の直線だったが・・・・・・お!


肉眼で見えるぎりぎりのライン。その少し手前で
川は緩やかに左に逸れている。川はそのまま左の地平線の彼方へ。

上から見て初めて分かる光景。そして逸れた川の左側、
その手前のまだ一直線に伸びている川の延長上に、丘。
世界を丘の向こうとこちらに分かつ、ポイントのように聳えている。

丘までの距離は・・・遠すぎて距離感が掴めない。
森の中で歩いた程の距離ではないだろう。ここから丘の近くまで
なだらかな下り斜面が続いているので、遠くまで見えるようだ。

丘の高さなど到底判断できないし、ちょこんとしか見えないが、
ここから見えるくらいだ、まぁでかいだろう。
丘の向こうに何があるかは・・・・・見えない。


それにしても、あの川は大平原の端っこまで流れているのだろうか
・・・・・・・・・・・川?

川・・・・川・・・・!・・・・そうだ! もしかしたら人が見つかるかも!


僕はまた閃き・・・・いや、思い出した。
なぜもっと早く気づかなかったんだ。講義・・・・・
いや、授業か何かで聞いた気がする。
地理学的に合っているのかどうか分からないし
勘違いかもしれないが、答えは単純だ。

基本的に人間の生活は、川の流れに沿いながら
上流から下流に展開してゆき、次第に川から離れた範囲に生活圏を広げてゆく。
下流から上流の山々に向かって土地を切り開くこともあるが、
下流地域は平地が多く整備もしやすく、都市化に向いている。


だからあの川の先に向かえば・・・・そこには人の営みがあるかもしれない!


417 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/24(水) 04:50:08 ID:GIuCt8fl0
とりあえず、あの丘まで向かうべきかな。向こうの景色を見渡せるだろうし。
体力は激しく消耗するはず。でも他に、当ての付くものもない。
よし!行くぞ!


今居る丘を目的地側に下り、僕は歩き出す・・・・・・・・・・・・・・・・っ!!

平原に下りてすぐ何かを踏み、直後にピリッ!とした痛みが足の裏を襲う。
慌てて足の裏を見ると、靴下の繊維が鋭く切れ血が滲み出てくる・・・・
・・・・・痛みが徐々に大きくなる。何かで皮膚を切ったようだ。

辺りの地面を見回す・・・・・足元の地面から、小さく黒い岩肌が露出している。
岩の頂部は・・・自然が作り出した刃?原始的な短い刃を、横に寝かせたようだ。

今まで特に気にならなかったが、森の中からずっと歩いてためだろう、
元から靴下が黒いため分かりにくいが、裏は結構磨り減っているようだ。

夏物の靴下だったら森の中でアウトだったろう。
しまい忘れの厚手のやつが残してあってよかった。


・・・・・・・くそ・・・痛いなぁ。

平原で草ばかりだと油断してた。血を止める道具なんて、もちろんない。
仕方なく、少し右に反れてあの川の畔(ほとり)に向かう。
川の水で血と汚れを洗い落とすために。


・・・・・・・・・・・・・ああ、冷たい
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・ふぅ。

足と靴下を一通り洗い終わる。怪我してない方もついでに洗って。
靴下には意外に小さい1cmくらいの切れ目。ここから先は
足を庇(かば)う歩き方になる訳だが、まぁ履けないこともない。

血と靴下が乾いたのを見て、再び歩き出す。今度は川に沿って。
傍に水場があると安心するし、水で空腹もある程度紛らわせるだろう。
おっと、携帯チェックだ・・・・・・・・・・圏外か。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「すみませーん、誰かいませんかーーー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・誰か・・・・いないの?




418 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/24(水) 04:51:01 ID:GIuCt8fl0
歩き方が変わりペースは落ちたが、僕は一人で丘を目指している。
そして右手には、どこまでも続く、あのも・・・・・・・・!

森の中に偶然見つける。高さ・葉の色など外見が一緒だが、ほかの木々と違い、
何か果実のようなものが実っている木が1本、ある!

すぐ近づき、実を確認してみる。

・・・・・・実のサイズはイチゴくらいの小ささだが、色は白掛かった黄色で、
その形は、柿の種に丸みを持たせたような、ゆるい楕円形をしている。

この謎の実は、太い幹から先へ先へと分かれゆく枝の先端に、
一枝に3〜4粒くらい密集してぶら下がっている。
そして実が付いている枝自身も、密集するように
何本も固まって一特定の場所にある

実の生(な)っている枝は、同じ木の枝の中でもちらほらとしか見えず、
その木の他の枝には蕾(つぼみ)もなく、緑の葉しか付いていない。


空腹だったこともあり、思い切って実を食べてみる。


・・・・・・・・・・あ、あまい。めちゃめちゃ甘いぞ、これ!
桃みたいにさくっとしてて、それに表面の皮も苦くないし、そのまま食べれる!


甘さに夢中になり、むしゃむしゃと食べる。実の中も白く、種はない。
・・・・手にした何粒かを食べた後、僕は、他にも実の生る木があるのか、
前後を見て木々を確認してみる。


ええと、見える範囲では・・・・・・・
3〜4mくらい後ろの1本と10mくらい後ろの1本、
前の方には5mくらい先の1本だけ、3本しか見えないな。
もしかしたら、森の中にも実のある木は生えているのか?
生えている頻度は少ないようだし、中では見逃してたかも。

419 :自治スレにてローカルルール変更審議中:2009/06/24(水) 16:15:04 ID:ve9KlkEXO
支援

420 :自治スレにてローカルルール変更審議中:2009/06/24(水) 16:16:24 ID:7Bb4Szxp0
乙。

「柿の種」と聞いて、すばやさのたねを連想してしまったが、
この木はアイテムの種や木の実がなる木なのかな。
気になるが続きを待ちましょう。

421 :自治スレにてローカルルール変更審議中:2009/06/24(水) 16:24:08 ID:NQng4UuM0
いつDQっぽくなるのか期待

422 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/25(木) 22:43:41 ID:wENFR8Kq0


・・・・・少し入ってみようか。・・・ほんの、少しだけ。

誰も見つからない焦り。それは今、僕の心を支配している。
でも好奇心というものは、いつも人を探求の世界へと誘(いざな)う。
焦りと好奇心の中から、今の自分に必要なものを抜き出し考える。
そして・・・・・・

平原との境界線を踏み越え、僕は森に入り込む。


・・・・・暗い世界が、再び僕の視界を包み込み始める。

平原の中で、僕は空間と自身が一体となっていた気がする。
あれはそう、人が夢見る理想郷、人跡未踏の地、世界最後の秘境。

でもここは・・・・・・・いや、
ここもあるいは秘境と呼ぶべきなのだろうか。

地面はむき出しの土が見えはじめ、かつて感じたあの不気味な、
まるで体で覚えているというべきか、黙(しじま)が生きもの如く僕を覗き、
かつ自らの内は決して覗かせない、相容れない疎外感を思い起こさせる。

そんな中、僕が求めるあの実は、闇を照らす明かりのように思える。
外から14、5歩くらいの範囲まで踏み入り、少々ビビリながら探索してみる。



・・・・・・・・・・・・・・
どうやらこの森の木々には、見る限り3種類の木があるようだ。


1番目の木は、実が生っておらず、緑の葉で覆われている。
どうやらこの木は、あの空き地でその周りに見えたもののようだ。

そして2番目の木は、こちらも実はなく緑の葉のみ生えているが、
幹の先端部の枝の中に一部だけ、葉っぱが全く生えていない枝がある。
この枝には、枝に密着するように小指の爪くらいのこぶが付いている。

そして3番目は、先ほど見つけた謎の実の生っている木だ。


423 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/25(木) 22:45:01 ID:wENFR8Kq0
3種類の木の生育場所も少し分かれている。1番目の木は
平原側には全く生えておらず、その辺りには2、3番目の木が集中している。
少し奥側、平原から4列目以降になると、2、3番目の木の中に
1番目の木が生えはじめ、そのため奥では2、3番目の木の本数が減っている。

またどの種類の木も、葉や木の色、高さに違いはない。
パッと見ただけでは同じ種類の木に見える。
・・・・・・・・・まぁ、探索はこんなところでいいだろう・・・・怖いし。


森を出て平原に降り立つ。解放された気分になる。
森の中で新たにいくつか見つけた実を、その場で食べる。
唯一のポケットは携帯で塞がり、持ち歩けないし仕方ない。


・・・・・・・
・・・・・・・・・・・よし! 腹ごしらえはこれくらいでいいか。

まぁ何であれ、食べ物が見つかってよかったよかった。
空腹を紛らわせるし、森はまだまだ先に続いているから
また見つかるだろうし、持ち歩かなくても大丈夫だよな。

食べ終わり少し元気が出てくる。丘に着くまでにまた食べてみようか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・
歩いてもうひとつ気付いたが、平原には景観を損なわない程度の起伏がある。
最初は丘の上からの荘厳な印象が強烈で、一面真っ平らと思い込んでいた。
それでも大平原には違いないが。


あ!忘れてた!
携帯携帯・・・・・・・・・・・・圏外か。




それにしても・・・・・・・・・・・・

「すみませーーーーん」
・・・・・・・・・・・・・・・・




・・・・・・・・・ねぇ・・・・だれかいませんか?




424 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/25(木) 22:46:19 ID:wENFR8Kq0


・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ようやく丘の斜面を正面に向かえる。

丘のこちら側は、頂上へ向かう緩やかな斜面で構成されている。
頂上がこれまたかなり高い。右手の森を軽く見下ろしてる。


そのとき、森の中と同様に色彩に気を取られる。
空の色が夕焼けに近づいているのに気づく。

ええと・・・森の中でかなり歩いたし、そろそろそんな時間かも。
時間は・・・・・12時42分。結構歩いてたな。

分速60メートルとして、大体・・・・・2400mか。
確か地平線って、大体6km先まで見えるんだよな。
時刻どおりならどう考えても早すぎる夕焼けだし、
設定時間が本来の時刻より、かなり遅れてるんだろう。


・・・・あと・・・・・少し・・・・。
・・・・・・よし! 頂上だ・・・・・・・・!!


僕は発見する。

眼下に見える丘のこちら側は急斜面で、後ろの緩やかさとは大違いだ。
こっちにも平原があるが、取り巻く環境は大きく変化している。


正面奥には、階段のような段々で黄銅色の岩肌が聳え、
この岩肌は奥に向かい横幅が広がっている。
この部分を空から見れば、八の字みたいに見えるだろう。

岩山の根元から緑の平原につながり、岩山を囲むような上り傾斜が付いている。
あそこまでの距離は、ここから100・・・・・200m・・・もっとあるだろうか。
岩山の向こうの視界は塞がれている。また、この岩山があるために、
目の前の空間はちょうど左右に区切られている。

425 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/06/25(木) 22:47:53 ID:wENFR8Kq0
左の空間には平野と、その上を、丘の手前から続く川が流れ、
どちらも僕の目の見える限り、終わりなく地平線の彼方に続く。
視界の左端には、平野と海の境界線のようなものが微かに見える。


右の空間にも、奥に広がる平野が続いている。
空間内の右側には丘の前後を貫くあの森が見え、その背には大山脈が見えるが、
ここで遂に、森が次第に山脈面に張り付くようにその幅を狭め、
減衰するように終端を迎えている。

大山脈はまだ地平線の彼方に続き、その端は僕の目では確認できない。


そんな空間の中、僕が発見したもの。

大山脈と岩山に挟まれた右の平野と、
海岸線と岩山に挟まれた左の平野を繋ぐ、
緑の大地の上に刻まれた・・・・・・・道!!

右奥から岩山の前を通り、再び左奥に続く、緩い弧のような道を見つける!


そして・・・・・・・・あぁ、なんて・・・・なんてことだ・・・・


人の流れが生み出したと思しき(おぼしき)その薄茶土の道。
その上。四本足でなく、二本足で立ち・・・・歩いて・・・・
それは・・・・・・・・確かに・・・・

少しの間じっと見る。少しずつ、確実に、こちらに向かっている。
あぁ・・・・・それはそれは・・・・・・・・・



あれは・・・・!!!!


「うおおぉぉぉい!!!」


やった!

人だぁ!!!


自分の格好も足の怪我も忘れ、僕は走り出していた。

HP ???/???
MP ???/???
<どうぐ>携帯(F900i) E:パジャマ

426 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/06/30(火) 03:48:15 ID:zxSjqVRz0
おぉ、ついに人間きた〜〜

敵でないことを祈る

427 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/02(木) 23:00:27 ID:M+FjxZE/O
保守

428 :冒険の書7 ◆dmE6uScBPuMP :2009/07/02(木) 23:05:58 ID:l1VmPAwE0
>>390‐394
―色欲だぜ弁財天―

 遺跡探索後の宿屋
「まさかマリベルと遭遇するとは思わなかったね。」
「マリベルと哀れな下僕たちって感じだったな。」
「マリベルの前では王子も漁師も関係なかったね。」
「この世界ではマリベルを頂点とした身分制度が敷かれているのだろう。」
「兄ちゃんがマリベルを魔王にたとえた理由が分かった気がするよ。」
「そうか。ひとつ大人になったな。」
「それでちょっと思うことがあるんだ。」
「どんなことを?」
「本当にあれと仲間になれるんだろうかって。」
「なれないのかもな。俺たちが勝手にそう思っているだけで。」
「マリベルってこのゲームのヒロインだったよね。」
「正式に決まっているわけじゃないが、おおむねその通りだ。」
「あれが?」
「ドラクエ7はある意味でマゾゲーだからな。」
「マゾゲーって?」
「クリアするまでに困難が伴う、マゾヒズムを刺激するゲーム。」
「マゾヒズムって、あんた。」
「違う言い方をするならマゾヒスト諸君が楽しむためのゲームだ。」
「言い換えなくっていいから。」
「まあ、一般的な意味でのマゾゲーは難易度が高いことなんだけどな。」
「ドラクエ7自体の難易度は高くないの?」
「まあ、基本的にレベルさえ上げればクリアできるからな。」
「そう考えるとまだましなのかもね。」

429 :冒険の書7 ◆dmE6uScBPuMP :2009/07/02(木) 23:07:13 ID:l1VmPAwE0
 ドラクエの強敵
「ただし、ドラクエシリーズには古くから精神攻撃がある。」
「そうなの?」
「ふっかつのじゅもんがちがいます。冒険の書は消えてしまいました。この2大攻撃だ。」
「古いゲームは大変だよね。」
「そういえばドラクエ7にもフリーズと言う強敵がいたな。」
「宇宙の帝王?」
「それはフリーザ。フリーズとは急に凍りついたようにゲームが止まることだ。」
「ゲームしている方も背筋が凍りつくだろうね。」
「セーブデータがあればそこからやり直せる。こまめにセーブしておかないとな。」
「データのセーブって教会でお祈りするんだっけ。」
「ああ。信じる者は救われるというわけだ。」
「そう考えるとこのゲームってやっぱり宗教色が強いよね。」
「隠しボスなんて、まんま神様だからな。」
「神様と戦うの?」
「倒すのが目的というより腕試しみたいなもんだけどな。」
「ちょっと安心した。」
「本気で神様を倒そうと思ったらチェーンソーが不可欠だからな。」
「神様にチェーンソーって良く聞くけどさ、それって何なの?」
「古いゲームで、神様をチェーンソーで一撃必殺できるものがあったのだ。」
「それ本当に神様なの? ご神木とかじゃなくって。」
「神がやられる話なんて結構あるぞ。神を倒す方法は様々だが。」
「そうなの?」
「たとえば、ピッコロを倒すとか。」
「ピッコロの方が神様より強いじゃん。そのあと生き帰って融合しちゃったし。」
「ジェバンニが一晩でやってくれるとか。」
「デスノートの新世界の神のこと?」
「あんなことをされるとは新世界の神もツキがなかったな。名前の割に。」
「漢字で月なのにライトなんて読ませるのがいけなかったのかもね。」
「まあ、他にもあるけど長くなるから割愛する。」
「別に神様を倒そうとしているわけじゃないからね。」
「倒すべきは魔王マリベルだからな。」
「それも違うよね。」

430 :冒険の書7 ◆dmE6uScBPuMP :2009/07/02(木) 23:08:18 ID:l1VmPAwE0
 マリベル論
「マリベルと言えば早すぎたツンデレとも言われているな。」
「あれがツンデレなの?」
「まあ、その要素はあると言われている。」
「ツン要素はわかるよ。どこにデレ要素があるの?」
「そうだな。強いて言えば、みんなの心の中に……」
「もしかしてデレの部分って妄想でフォローしなきゃならないの?」
「それくらいマリベルのデレ要素は貴重なのだよ。」
「つまりマリベルはずーとあの調子なんだね。」
「まあ、脳内補完までしなくてもそのうち変わってくるものだ。」
「そうなの?」
「今は生意気で仕方ないかもしれないけどな。」
「うん。」
「レベルが上がってくれば変わってくるのだ。」
「そんなシステムだったの?」
「ああ、そのうち蹴られてみたいと思うようになる。」
「変わるってこっちがかよ。」
「レベルアップって大切だよな。」
「それって何のレベルが上がったんだよ。」
「レベルが上がるとステータスが上がるだろ。だからMPが上がったのかな?」
「そのMPってマゾポイントってこと?」
「おまえMPをマジックポイントだと思っているだろう。」
「違うの?」
「ドラクエのMPはもともとマジックパワーの略だ。」
「そうなんだ。」
「だからMPはマゾパワーってことになる。」
「ひたすら嫌な力だね。」

431 :冒険の書7 ◆dmE6uScBPuMP :2009/07/02(木) 23:09:21 ID:l1VmPAwE0
 続・マリベル論
「そうなるとHPは何の略かってことになるわけだが。」
「こっちはヒットポイントでいいんでしょ。」
「ああ、HPは屈強な戦士や武闘家が高い。」
「要するに打たれ強さってことだよね。」
「そうとも。禁欲的な僧侶は低く、魔法使いがさらに低いのがHPだ。」
「魔法が使える人は打たれ弱いんだね。」
「その判断は正しいと思う。このHPが変態パワーの略だと仮定すると……」
「しなくていいから。仮定しなくていいから。」
「ところでだ、マリベルっていろんな意味ですごいよな。」
「毒舌的な意味で?」
「それもあるけど、パーティーの状況を考えてみろ。」
「状況?」
「男所帯の中、1人だけ女が混じっているんだぞ。」
「ああ、それを考えると確かにすごいことなのかもね。」
「うむ。猛者だと言って差し支えあるまい。」
「あると思うけど。」
「マリベルは赤い頭巾をかぶっているが狼を従えることになる。」
「狼?」
「ガボって名前の狼だった野性児が仲間になるんだ。」
「ふーん。強そうだね。」
「そういえば狼って大きな神様ってことだったらしいな。」
「へえ、そうなんだ。」
「つまり、ガボを従えるマリベルは神を超えた存在であるということだ。」
「最初の仲間が神越えってバランスブレーカーもいいとこだね。」
「まあ、ガボなんてリンゴでもやっとけば誰にでも懐きそうだけどな。」
「狼って肉食でしょ?」
「知っているか、俺の知っている神はリンゴしか食べない。」
「それって神は神でもノート持ってる死神だよね。」
「思ったんだけど、デスノートの話題多くね?」
「それとドラゴンボールも。」

432 :冒険の書7 ◆dmE6uScBPuMP :2009/07/02(木) 23:10:24 ID:l1VmPAwE0
 仲間というもの
「初めの話題に戻るけど、マリベルってキーファに対してもあの調子なんだよね。」
「おおむね同じだな。」
「でも、キーファって王子様だよね?」
「王子様と言ってもマリベルにしてみれば友達みたいなもんなんだろ。」
「確かにさっきも王子様らしくない口調でしゃべってたね。」
「あれでゲームと同じだ。」
「王子様ってことで気を使わなくていいならその方が楽だけどさ。」
「変に気を使った方が不自然だと思うぞ。」
「周りの目ってものがあるでしょ?」
「気にしないと思うぞ周りの連中も。それにあんまり意識し過ぎてもしかたない。」
「そうかもしれないけどさ。」
「まあ、冒険しているうちに関係も変わってくるさ。マリベルじゃないけどな。」
「そうだといいんだけどね。」
「何か不安があるのか?」
「この先ずっと冒険していくのに、うまくやっていけるか心配だよ。」
「大丈夫だ。さっきのやりとりだってお前はよくやっていたよ。」
「そうかな。」
「無理して合わせようとする必要はないさ。」
「そうは言うけど難しいよ。」
「どうせ気にしている暇もなくなる。冒険を始めたら気にする余裕もなくなるさ。」
「それはそれで辛いよ。」
「言っただろ、ドラクエ7はある意味マゾゲーだって。」
「はあ。こうして宿屋でのんびりしている時間が唯一の安らぎになるのかな。」
「そうだな。さ、難しいことは明日考えることにして、今日はもう休もう。」
「明日からいよいよ冒険が始まるんだね。」
「たぶんな。」

―続く―

433 : ◆dmE6uScBPuMP :2009/07/02(木) 23:20:05 ID:l1VmPAwE0
何故かトリップが変わってますね。
なんらかの仕様変更があったんでしょうか。

434 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/03(金) 19:36:12 ID:z981e9L5O
>>428-432
乙です
兄弟、実は石像か何かかと予想してましたが、動けたんですねw
でもやっぱり宿屋で会話しているだけなのがいいw
しかしまだ11巻までしか読んでなかったデスノのネタバレをこんなところで目にするとは…orz

435 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/06(月) 12:12:16 ID:aXYoOuZSO
ぬるぽ

436 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/06(月) 12:33:18 ID:H7C0UVnNO
とりあえず仲間の女の子と朝から生

437 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/06(月) 13:09:36 ID:fWGxy3VL0
朝から生ビールなぞ飲んでていいのか?おい。

438 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/07(火) 01:06:16 ID:QVZ7I4KUO
生ジュースだろjk 生卵入れて朝メシに…

オエ…

439 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/07/10(金) 23:50:50 ID:N7TWgX8m0
>>428-432
―強欲なり大黒天―

 予定通り冒険は始まった。会話はこっそり行うことに。

「ねえ、兄ちゃん。この世界、なんかおかしくない?」
「何がどうおかしいんだ我が弟。」
「なんか酷くない?」
「酷いとは?」
「ゲームなのに全然楽しくないんだけど。」
「まあな。ドラクエ7はドラクエ界の鬱ゲーだからな。」
「ねえ、ドラクエってこんな世界観だったっけ?」
「他のシリーズにもいくつかは暗い話はあったが、ドラクエ7は別格だな。」
「どうして、よりによってこんな世界に来ちゃったんだろうね。」
「いまさら言っても仕方ない。」
「早く家に帰りたいよ。」
「そのために冒険しているんだろ。」
「今、ストーリーはどれくらい進んだの?」
「まだまだ序盤。」
「こんなのがずっと続くの?」
「……この先はこんなもんじゃ済まないイベントもある。」
「兄ちゃんは平気なの?」
「1度ゲームで体験しているからな。」
「それじゃこの先どうなるか教えてよ。僕も心の準備をしたいよ。」
「なかなか思い出せなくてな。体験してから、ああ、こうだったなって思い出すんだ。」
「使えねえ。」
「これでも兄として弟が元の世界に帰れるよう頑張っているんだぞ。」
「よく言うよ。さっきもパーティーから外れて戦闘さぼってたじゃないか。」
「さぼっていたわけじゃない。作戦みたいなもんだ。」
「どうだか。」
「少しは俺を信じろよ。」

440 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/07/10(金) 23:51:52 ID:N7TWgX8m0
 帰れるのか?

「兄ちゃん、余裕あるよね。」
「余裕なんてないさ。」
「そうは見えないけど。」
「ま、冒険を始めると決めたときから覚悟はしていた。」
「ねえ、兄ちゃんは不安じゃない?」
「帰れないかもしれないってことがか?」
「うん。途中で挫折しそうだよ。シナリオ的に。」
「大丈夫だって。」
「でも、このままじゃ僕人間不信になるかもしれない。」
「気持ちは分かる。」
「ここってモンスターも酷いけど人間も酷いよね。」
「酷い人間がいることは否定できないな。」
「過去にあれだけ酷いことをして、未来ではすっかり忘れているんだよ。」
「人間っていうのはそういうもんだ。」
「これじゃ元の世界に帰れても他人が信じられなくなるよ。」
「酷い人が多いと言っても、そんな人たちばかりじゃないだろ。」
「だけど、たとえるなら100人助けても99人がそれを忘れるんだよ。」
「99人が忘れても1人だけでも覚えていたらそれは意味のあることだ。」
「とてもそうは思えないよ。」
「それにここはゲームの世界なんだ。演出のために表現が過剰になっているのさ。」
「とてもじゃないけどゲームだなんて思えないよ。」
「それでもやはりゲームなんだ。決まったシナリオの通りに進んでいくだけのな。」
「だったらそのシナリオを教えてよ。」
「教えてやるよ。俺が覚えている限りな。」
「じゃあ、早く思い出してよ!」
「わかってるよ……」

441 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/07/10(金) 23:52:52 ID:N7TWgX8m0
 帰れたとしても

「それにさ、帰れたとしてさ、そのあとのことも不安だよ。」
「あとのこと?」
「いくらゲームだって言ってもモンスターをいっぱい倒しているよね。」
「ああ。」
「こんなことをずっとしていてさ、普通の生活に戻れるのかな?」
「戻れるさ。ゲームが終わればそこには日常が待っている。すぐに対応していくよ。」
「そうかな……」
「初めにここへ来たことを思い出せ。戦いなんて無理だと思っていたじゃないか。」
「うん。」
「だが、今じゃ立派な戦士だ。」
「立派かどうかは分からないけどさ。」
「人間意外と順応していくもんだ。」
「確かに僕たちはこんな状況なのによく対応したとは思うよ。」
「ああ。だから帰ってもすぐに元の生活に慣れる。」
「本当かな。」
「それに人間ってのは酷いことがあっても忘れるもんだ。さっき言ったじゃないか。」
「なんだか詭弁としか思えないよ。」
「酷いことは忘れて楽しいことだけ覚えていけばいいんだ。」
「それでもやっぱり戦闘は避けたいよね。もっと仲間増やして楽したいよ。」
「仲間が増えたところで戦闘は楽にならんぞ。」
「どうして?」
「ドラクエのパーティーは馬車がない限り4人までだ。そして7に馬車はない。」
「それを先に言ってよ。」
「嘆くな。いいことだけを考えろ。」
「何かいいことなんてあった?」
「俺たちがこうして生きていることだって奇跡みたいなものだ。」

442 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/07/10(金) 23:53:53 ID:N7TWgX8m0
 たとえ帰れたとしても

「この世に神はいないのかな。」
「いるけど封印されてる。」
「役に立たねえな。」
「神様と言えばさ、お前、大黒天ってしってるか?」
「なにそれ?」
「元はいろんな宗教に影響を与えて、日本では七福神入りした神様。」
「それがどうかしたの?」
「日本では別の神様と混同されてそれと一緒のものになったらしい。」
「今の僕たちにとっては笑えない話だね。」
「そうだな。この世界に来たとき、別のものと化していた俺たちにとってはな。」
「最初、窓ガラスに映った自分の顔を見たときは卒倒しそうになったよ。」
「その前に暗い中で会話をしたことで、お互いを認識できたのは幸いだったけどな。」
「何でこんなことになったんだろうね。いまさらだけど。」
「原因の一端はドラクエ7が発売されるときのキャッチフレーズにあると思う。」
「どんなフレーズだったの?」
「『人は誰かになれる』だ。」
「それが原因だとしたらずいぶんなキャッチフレーズだね。」
「まあな。でもさ、俺は誰にもなれないと思うんだ。」
「何を言っているの?」
「どこまで行っても俺はお前の兄ちゃんだってことさ。」
「そんなの当たり前じゃないか。」
「ああ、そうだ。さて、お前に言っておかなきゃならないことがある。」
「今度はなに?」
「これから俺たちはドラクエ7のシナリオで重要なターニングポイントに差し掛かる。」
「何か思い出したんだね。どんなこと?」
「キーファはここでパーティーから離脱する。」
「え?」
「キーファは、つまり俺は、ここでお別れして二度と戻ってこない。」

443 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/07/10(金) 23:54:54 ID:N7TWgX8m0

「……なにを言ってるの?」
「こうなることは分かっていた。」
「待って。僕には分からないよ。」
「俺がキーファとして、お前が主人公としてこの世界で目覚めたときからな。」
「だから二人でゲームをクリアしようって話になったんじゃないか。」
「二人でじゃない。お前がなんだ。」
「どうして……」
「このゲームの主役はお前で、俺はあくまで脇役だからだ。」
「だからって、途中離脱なんて……」
「それぞれのキャラを演じるのは大変だったが、俺の役目はこれで終わりだ。」
「ちゃんと説明してよ!」
「言っただろ、シナリオ通りに進めるって。そういうシナリオなんだよ。」
「嘘だよね、変な冗談はやめてよ。」
「残念ながら本当なんだ。本当は一緒に帰りたかったけど、それは欲張りな望みだ。」
「ねえ、待ってよ……」
「お前ちょっとわがままなところがあるけど、きっとみんなとうまくやっていけるさ。」
「やめてよ……」
「お前ならできる。俺を信じろ。じゃあ、な。」

―続く―

444 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/11(土) 00:00:31 ID:617TsOh10
いや、ちょっっ!?
この兄弟DQ7の世界の誰かになっちゃってたのね
じゃあ兄ちゃんは帰れないかな…

続き楽しみにしてるよ今回分乙!

445 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/11(土) 00:01:59 ID:LZJ/d4L/0
乙です。弟→主人公、兄→キーファだったとは…
兄はこのまま現実世界に戻るのかな

446 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/11(土) 03:40:01 ID:3iyU1DsN0
意外と戦線離脱した直後に兄は一足先に帰れたりしてなwwwwww

447 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/11(土) 21:19:34 ID:lda4CJYj0
シナリオ通りなら7の世界で一生を過ごすことになるのだが果たして

448 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/14(火) 11:56:00 ID:F/KFSQg50
「兄ちゃん、ほんとは歳いくつなの?」
「いくつに見える?」
「今のは笑えない。」
とか
「僕、この主人公ってよく知らないんだけどうまくやっていけるかな。」
「なんとかうまくやってくれ。冒険が嫌ならば1つ提案がある。」
「なに?」
「このままゲームを始めずにずっと偽りの楽園で過ごすというのはどうだろう?」

とか、全部伏線だったんだな・・・

449 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/16(木) 04:50:11 ID:UP3jqhRA0
目覚めてドラクエ1のラダトームの宿だったら勇者の後に付いて来る娘を連れて再び宿に行って寝る。

450 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/16(木) 05:41:15 ID:RDW5vMQN0
リッカを買う

451 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/16(木) 06:19:37 ID:u9uA8zKLO
ビアンカを一日買う

452 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/16(木) 06:57:22 ID:IdmOvgJM0
メガンテを唱えて自害する
宿屋には悪いけど宿屋ごと爆死する

453 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/16(木) 11:40:55 ID:Jedj+93UO
しかし MPが たりなかった

454 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/17(金) 01:54:58 ID:DWttBalS0
乙です。
すげぇ…。鳥肌たったわ
毎度の設定には驚かされるなぁ。
主人公たちが出ていなくても情景が浮かんでくる描写に
感嘆していたんだが、まさかねぇ…。

今後が楽しみだ!いつもありがとう

455 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/19(日) 13:46:30 ID:25+QfSiT0
ガングロ妖精を八つ裂きにする。

456 : ◆fzAHzgUpjU :2009/07/20(月) 03:35:47 ID:fSD5zY2vO
マーニャ「どうも〜!えー、ドードードリーと申しますけどね、今日も元気に漫才やってこうと思ってるんで、よろしk」
メイ「男性読者の皆さん。メイのおっぱいはもうソロのモノですよ」
マーニャ「何が『ソロのモノ』よ、まだフラグすら立ってないじゃないの」
メイ「ヘェッ!」
マーニャ「まあ今日も前回に引き続き漫才頑張っていこうと思うんでよろしk」
メイ「今日はメイから重大な発表がありますよ!」
マーニャ「まだあたしが喋ってる途中じゃないのよ!(ベチッ)もう少し空気読みなさいよアンタは!
メイ「おい、空気を読むのとメイの心を読むの、どっちが大事だと思ってるんだ?」
マーニャ「空気だよ。さて、最近本州のほうでは連日とても暑い日が続いているみたいですが」
メイ「私の重大発表は無視かよ!(バシッ)」
マーニャ「うるさいわね!じゃあアンタこのスレの住人さんを楽しませるような発表ができるわけ?!」
メイ「私が重大発表をしたら宿スレ界にバギクロス並の旋風が巻き起こりますよ」
マーニャ「ほぉ〜、言った言った。じゃあアンタ、その重大発表ってのをしてみなさいよ。つまんなかったらメラゾーマ食らわすからね」
メイ「まだレベル17程度なのにメラゾーマwww壊れましたねwww」
マーニャ「うるさいわね!(ベチッ)ものの例えってやつよ!」
メイ「モノの例えぇ?!マーニャ、卑猥ですね」
マーニャ「いいからさっさと発表しなさいよ!マジでメラゾーマ食らって死にたいわけアンタ!?」
メイ「お前それ本気で言ってんのか?」
マーニャ「本気だったらこんなところでドードードリーやってないわよ」
メイ・マーニャ「ヘヘヘヘヘッ!」
マーニャ「で?何なの?重大発表って」
メイ「フッフッフ。壊れましたね」
マーニャ「だからあたしは壊れてないっての!」
メイ「違いますよ。この話を書いてる作者のパソコンが壊れましてね」
マーニャ「……えぇ!?」
メイ「『卑猥な・ドラゴン・どこいった』、略してエッチデーデーがダメージ食らいましてね」
マーニャ「ハードディスクドライブでしょ!それで?」
メイ「しばらくはどこもいじれませんよ。いじっていいのはメイのおっぱいだけです」
マーニャ「アンタさっき『ソロのモノ』とか言ったでしょ!いい加減にしろ!(バシッ)」
マーニャ・メイ「どうも!ありがとうございましたー!」



メイ「そんなわけでしばらく冒険に出られません」
マーニャ「orz」

457 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/23(木) 13:09:41 ID:l1HarFL1O
ぬるぽ

458 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/24(金) 05:53:33 ID:D4zuHCA60


459 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/24(金) 08:21:38 ID:N/esyFjLP
書き溜めは何故かHDDクラッシュフラグなんだよなあ。
長編AAスレなんかでもよく見る。

460 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/24(金) 11:08:59 ID:y+aFb07R0
極稀に行き詰って書けなくなった理由にHDDをクラッシュさせる御仁も存在する

461 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/24(金) 23:24:59 ID:KQEJPcOK0
>>460
通りがかりの長編職人の一人だが、それはないw
本当に行き詰まって書けなくなったら、素直にそれを言うかそのままバックれる。
わざわざHDDクラッシュがどうとか言い訳なんかしに来ないよw
この辺の心理は、連載かかえてる同志だと「あーわかるわかる」って感じなんだけどな。

ただ不思議なことに、PCに持ち主の意志が伝わるのか、
書けなくなると本当にハードの調子まで悪くなるのはよくある。
お陰で、真実を報告してるのに自分でも嘘くさくなるんだよなw

462 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 07:26:03 ID:+SPipD5q0
でもさ、ほんとに、テンパってるときにかぎってパソコンぶっこわれたり、ファイル名つけるのもめんどくさくて、保存せずに急いでる時に限ってフリーズして文書飛んだりするよね・・。
たしかに、書けなくなったら、普通言い訳なんかせずにばっくれるって。

463 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 13:40:55 ID:XD93GAEf0
見苦しいからもうやめて

464 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 13:53:28 ID:w4Ay7vmu0
>>463
こういうヤツが最大の職人潰し。
自分は提供しない(できる能力もない)クセに文句は一人前なんだよな。
いいから黙って保守っとけボケ。

465 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 14:21:07 ID:XD93GAEf0
もういいよ
やめて

466 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 18:41:51 ID:+SPipD5q0
もうやめて、ID:XD93GAEf0のHPは0よ

467 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 19:33:57 ID:sIcjikpbO
男は黙ってぬるぽ

468 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/25(土) 20:42:25 ID:Q32f0nIEO
ガッ

469 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/28(火) 02:36:21 ID:goOVbBQK0


470 :山奥の村8 ◆fzAHzgUpjU :2009/07/29(水) 14:25:55 ID:Q5nCfzUj0
前回保管庫に投下した分(山奥の村3〜Dirty Little Secretまで)の続き


 ソロがボーカルになったのは、私が二十三のとき。タバコを覚えたのもお酒を飲むようになったのもこの歳。
 「彼」に性的暴行を受け始めたのもこのときからだった。
ついこの間まで、私は「彼」にバンド以外でのそういう行為のために呼び出されることがしばしばあった。
 最初は、何が起こったかわからなかった。どんな形であれ、自分のバンドにソロが加入してくれたのは嬉しかった。
その日はボーカルを下ろされてやたら不機嫌だったけど、ソロがボーカルになるならって考えたらすぐに上機嫌になった。
我ながら単純だったと思う。
 いい気分のまま、みんなが帰った後も延滞料金を払ってスタジオでギターをいじっていた。いつか弾けるようになりたい。
ソロの隣でギタリストとしてステージに立ちたい。そんな気持ちで。
 誰もいなかったはずのスタジオに、「彼」はなぜだか戻ってきた。「彼」は何も言わなかったから、私も何も言わなかった。
 視界が突然認識できないほど歪んで、すぐに止まった。「彼」にアンプの上へと突き倒されたのだ。
アンプに打ち付けた背中が痛くて顔をしかめながら起き上がろうとすると、さっきまでギターをいじっていた両手を押さえつけられた。
そのあとすぐに、肋骨が折れるんじゃないかってほど体重をかけられて、シャツを乱暴に引き裂かれた。
 それからのことは、覚えているけど思い出したくなかった。どれだけ叫ぼうとスタジオの壁は防音だから意味がなかったし、
延滞料金を払ってたからあの先二時間は私以外誰も入らないようになっていた。何もかもが無駄だったのかもしれない。
 「彼」があんなことをしたのが衝動のせいなのか愚考のせいなのかは知らない。
だけども、逆光で仄暗く影を落としていたあのときの「彼」の顔は、今この私の目の前にいる旅の詩人の顔と瓜二つなのだ。
 「こんにちは。僕、ソロっていいます。詩人さんの名前は?」
「私かい?……私に名などありはしないさ。ただ世界を流れ、愚かなものを見届け、それを歌に乗せて流すだけ。
真実を語り継ぐ者に、名前などいらないのだよ」
 氷のような微笑み、なんて、よく聞く台詞がぴったりだと思った。なんの違和感もなしにソロの頭を撫でるこの詩人のそばから、
私は一刻も早く離れたかった。汗が流れる。背中が冷たい。
 「そうなんですか。残念だなぁ。あ、こっちの人は……、メ、メイさん?どうしたの?なんか顔色が悪いよ?」
 頬の筋肉をこわばらせて立ち尽くす私をソロが少ししたから見上げてくる。ぎぎぎ、と音が鳴る顎を動かしてソロを見ると、
やっぱり心配そうな顔をしていた。
 「……ごめん、なんだかちょっと、具合悪くて」
「えっ?うそ、大丈夫?早く帰って休みなよ!ここのところ、頑張りすぎだったんだよ」
「……うん、ごめんね」
 ふらふらとおぼつかない足取りで宿屋を出ようとすると、左腕を突然つかまれた。一瞬ソロかと思ったが、違う。
ソロはこんなに冷たい手はしてない。もっと、あたたかくて、優しくて、もっと、こう……
 「メイさんと言うのですね。あなたのように美しい人を、私は始めて見ました。……ご無礼でなければ、もっとよくお顔を見」
 名もない詩人の手を振り払い、私は宿屋を飛び出した。眼球が飛び出そうなほど眼を開き、ソロの家へと走った。


471 :山奥の村9 ◆fzAHzgUpjU :2009/07/29(水) 14:27:16 ID:Q5nCfzUj0
 「メイ?メイ、どうしたの!?まあ、ひどい顔色……。今日は剣の稽古も魔法の訓練もないんでしょう?休んだほうがいいわ」
 もたれかかるようにドアを開けてソロの家に帰った私を、刺繍をしていたシンシアが迎えてくれた。
肩までで切りそろえた鮮やかな色の髪をふわふわと振り乱しているところを見ると、どうやら私は相当やばい顔をしているらしい。
 「平気。ちょっと気分が悪くなっただけ。横になってればすぐ治まるから」
 音を立ててベッドに倒れこむ。板張りの床を底の薄い靴で擦る足音が近づいてきた。回復魔法の白い光が降り注いでくる。
 「ベホイミ」と小さな声で呟き、シンシアはうつぶせになって眉をしかめている私の髪を、さらさらと漉くように頭を撫でた。
 「詩人の方とは会えたの?」
「会ったよ。でも、でも」
 パニック状態の頭を回し、私は「でも」を繰り返した。
 「かわいそうに。今、薬草を煎じてくるわ。……大丈夫よ。メイは一人じゃないから。いつも私たちと一緒よ」
 窓から入り込んでくるまっすぐな陽光が眩しい。サングラスを失って、見えるものが真実の色味を取り戻してしまったのだ。
死んでしまったソロを邪な目で見ないようにとかけ続けていた黒いレンズがないと、私の世界は目に痛いほどギラギラしている。
 ほどなくして、シンシアが薬草茶を持ってきてくれた。優しさが心に痛い。傷口に消毒液を吹き付けられた痛みに似ている。
 「メイ」
「んー……?」
 今度は仰向けになっている私に、シンシアは優しく優しく語りかけた。あまりにも眩しくて、両目を腕で隠しているから、
彼女がいまどんな顔をしているのかはわからない。でも、優しくて、なんだか悲しそうだった。
悟ってはいけないことを悟ってしまったような、達観した悲壮感が声に滲んでいる。
 「何があっても、ソロを守ってあげてね」
「それだけは約束する」
 どうして突然そんなことを言うのかなんて、想像がつかなかった。

 だって、考えてもみなさいよ。

 どこの誰が、平和な村に突如やってきた来訪者によって滅ぼされるなんて、考えるの?

 「ただいま」
 太陽が中天から少し西へ傾いたころ、ソロが帰ってきた。でも、足音はひとつじゃない。
宿屋のご主人が血相を変えて、家の中に飛び込んできた。



472 :山奥の村10 ◆fzAHzgUpjU :2009/07/29(水) 14:28:17 ID:Q5nCfzUj0
 「魔物の軍勢がそこまで攻めてきてる!ソロさん、メイさん、こっちへ!」
 わけもわからぬまま、私とソロは腕を引っ張られて家の外へと連れ出される。
畑を耕す鍬に私の荷物とギターを引っ掛けて、宿屋のご主人に連行される私たちの後を農夫のおじさんが走ってくる。
 オオオオ……ウオオオ……   村の出入り口となっている森から、恐ろしい怒号が響いてきた。
何が起こったの? いったい、私とソロを、どこへ連れて行くの?
 「お、おじさん?ねえ、どうしたの?僕ら、どこへ行くの?」
 不安げなソロの疑問に、宿屋のご主人と農夫のおじさんが力強い笑顔で跳ね除けるように答える。
 「誰にも見つからねぇところだべ。大丈夫だ。おめぇさんだけは、オラたちが守ってやっからな」
 遠くで剣がぶつかりあっていた。誰かが戦っている。
私は剣術の稽古に使っていた銅の剣ではなく、ホーリーランスを握って村の外へ飛び出そうとした。
 「メイさん!あなたは戦わないで!さあ、早くこっちへ!」
 なぜ、なぜ止める必要がある? 村が襲われている。それも、大勢の魔物に。私だって戦力にはなるはずだ。なのに、なぜ。
 荷物と一緒に押し込まれたのは、私たちがいつも剣や魔法の稽古に使っていた、あの地下室だった。
木箱や樽が無造作に置かれ、重い樫の木で作られた扉はとても頑丈だ。ちょっとやそっとでは開けられない。
 「メイさん、短い間だったけど、いろいろ手伝ってくれてありがとうございました。
あなたみたいな美しい人と一緒に薬草を摘みに行ったのは、私の一生の思い出ですよ。あの男を泊めたことを後悔していますが、
あなたをこの村に入れたこと、宿の主人として一番の喜びでした」
「ソロ、何があっても負けちゃあなんねぇぞ。大丈夫だ。おめぇにはメイっちゅう強ーい味方がついちょるからな!」
 それだけ言い残して、彼らは地下室を出て行った。追いかけようと、私もソロも扉に向かって駆け出した。
何か固いものにぶつかる。ぶつかるというよりは、行く道を妨害されたような感じだった。
 「ロ、ジャー……?」
「せん、せ、い?」
「お前たちに言わねばならんことがある」
 驚く私たちを相手にせず、ロジャーは淡々と、とんでもないことを言い出した。
 「ソロ、お前は伝説の勇者なのだ。この世界に残された、最後の希望だ。もっと時間があればお前を一人前の勇者に
育てることができたのだが、もうそんなことは言っていられないらしい」
 ロジャーは腰に下げていた鋼の剣を私の足下に投げ、同時に私の腰に下がっていた銅の剣を奪い取った。
 「お前たちは生きるんだ。生きて、この世界を救うのだ。死ぬな。俺が教えられる最後の心がまえだ」
「ま、待ってください!僕が、伝説の勇者?そんなわけないよ!だって、僕は『あの』父さんと母さんの子どもで」
「彼らはお前の本当の両親ではない。赤ん坊だったお前を拾い、ここまで育てたのだ。……もう時間がない。俺は行く」



473 :山奥の村11 ◆fzAHzgUpjU :2009/07/29(水) 14:29:31 ID:Q5nCfzUj0
 「せんせ」
「メイ」ソロの声も聞かず、ロジャーは私に向き直る。
 腕を引っ張られ、体を引き寄せられ、抱きしめられる。
同じぐらいの背丈で、同じぐらいの高さにある視線ががっちりと捕らえられてしまった。
 「ソロには偉そうなことを言ったがな、本当はとても怖いのだ。俺は、怖いのだ。死ぬのが怖い。戦いになど行きたくない。
お前に会えなくなるのが、とてもとても怖いのだ」
 想定外の事実のせいで、ずっとソロに気をとられていた意識が、この瞬間にすべてロジャーに向けられる。
 「死ぬだなんて簡単に言わないで。ロジャーはすごく強いでしょう?私だって勝てないぐらい強いでしょう?
死ぬわけない。絶対に死ぬわけない」
 タチの悪い冗談だと言って欲しかった。
このあとすぐに村のみんなが地下室にやってきて、「驚いたか?」なんて言いながら笑いとばして欲しかった。
そしたら、全部許してあげる。もうよしてくれと言いながら、私だって笑いながら。
 「奴等はここいらに生息する魔物よりもずっと強い。俺でも複数を相手にすれば殺されるだろう。
お前はソロを守ってやってくれ。女であるお前にそんな使命を与えてしまう俺を許してくれ。
お前が誰を好いているかはわかっていたが、伝えさせてくれ。……愛してる。
どうか、どうか、世界を救ったあとは、必ず幸せになってくれ」
 銅の剣の柄で鳩尾を打たれて、地下室の奥まで吹っ飛ばされる。こっちへ蹴り飛ばされた鋼の剣が膝に当たった。
ちょっと待ってよ。ロジャー、そんな斬れもしない剣でどうやって戦うの。なんで鋼の剣を追いてっちゃうの。
これはロジャーの武器でしょう。お願い、お願い、戻ってきて。
 「め、メイ、さん」
「げほっ……っぐ、だいじょう、ぶ。痛くない。痛くないから。地上で起きてる喧騒だって、すぐに治まるから」
 それしか言えない。唐突過ぎて、どうすればいいのかわからない。
 完全に閉じてしまった重い扉へ向かって、ソロが走り出す。拳を何度もドアにたたきつけ、声を限りに叫んでいた。
 「ここを開けて!僕も戦う!父さん!母さん!ロジャー先生!開けて!開けて!開けろよぉおおお!!!」
 だんだんと、ソロの声が遠のいていく。ロジャーに食らったダメージは予想以上に大きかったらしい。
石畳の上で無様に転がっている身体から右手を伸ばし、無意味だと知りながらもソロへ伸ばす。
 伝えたかった。何が起こっても、私がソロを守ると。
 


Lv.15 メイ
HP:68/68 MP:61/61
E ホーリーランス
E 鉄の盾
E 革のコート(毛皮のコートの守備力-2)
E −
E 黄金の腕輪
鋼の剣
サングラス(壊れている)

戦闘呪文:ホイミ・スカラ・メラ・ヒャド・イオ
戦闘特技:なぎ払い・連続魔法(黄金の腕輪の効果)・一閃突き
所持金:943G


474 : ◆fzAHzgUpjU :2009/07/29(水) 14:32:55 ID:Q5nCfzUj0
色々とお騒がせしてすみませんでした。
我が家のパソコンはやっぱりHDDの故障が原因でした。
修理に7万円近くかかるそうですorz だったら自分で直すっつの!
別のパソコンをネットにつないだり、大学のLANを使って投下したりしていきますので、
拙い文章ではありますが、今後もよろしくお願いします。


475 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/07/31(金) 08:15:13 ID:mNO1Q1VuO
乙!
感想はちょっとあとにして、取り急ぎこれだけを。

7万はボッタクリすぎ!
うちもパソコンの修理メンテ仕事にしてますが、
HDDの故障だけなら1万切ると思います。

476 : ◆fzAHzgUpjU :2009/07/31(金) 23:07:58 ID:eJCxGdRmO
>>475

すいません、7万円っていうのは、HDD交換・光学式ディスクドライブ交換・リカバリー代・査定料こみの金額です。

でもディスクドライブはほとんど使わないので、HDDだけ交換します。自分で……。

477 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:03:52 ID:AAKl25ou0
前回>>414-418 >>422-425

【お世話になります】

「おーーーーーーーーーい!」

息を切らせ大声を張り上げ、僕は斜面を駆け降りる。
しばらくしてその人は・・・・・・・・・・・・・・立ち止まった。
気付いてくれた!!

「すみませーーーん! 待ってくださーーーーい!!」

僕は声を上げながら近づいてゆく!
その人は、近づいてくる僕を認めると・・・・・・・・・・なぜ逃げる!

僕「ちょ・・・・おま・・・・・待ってぇぇぇ・・・・・・・・・・・」


その人は、後ろも振り向かず一目散に逃げて・・・・
岩山の左側の、川と平原が広がる空間に向かっていくぞ。
でもなぜか律儀に剥げ道の上を走って・・・・結構速い・・・・・
・・・・あ!コケた! よし、一気に詰めるぞ!・・・・・・・・・・・・えい!

僕はようやく追いつき、肩をつか
?「ひいぃ! 見逃して・・・・・・くださいぃ」

???
その人は、僕から逃げるように前に倒れこみ、頭を抱え・・・・・
動かなくなってしまった。


僕「はぁ・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・あ、あの・・・・・・・・」

謎の人は震えている。僕が怖いのか?
こっちはやっと人を見つけて、飛び上がりたいくらい嬉しいのに。

?「私は、あの、ただの、しがない、えぇ、旅の商人ですからして・・・・・
今は、ろくなものはないですし、今日のところは、見逃していただきたく」
僕「いや・・・・ちょ」

やっと聞いた言葉がこれかよ。僕はしゃがみこみ、再び肩に手
?「ひぃぃいい! お、お願いです。どうか・・・・」

・・・・・・・・・・・・・。

僕「・・・・・あの、もうどうでもいいんで・・・・・・・・・・・・助けて・・・・・」
?「・・・・・・・・・・・・・・・え」
僕「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


478 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:06:14 ID:AAKl25ou0
?「森の中ですと?」
僕「えぇ!そうなんです! 起きるとなぜか、あの辺鄙(へんぴ)な森の中で!
  昨日はちゃんと、自分の布団で寝たはずなのに!」
?「なんと!・・・・・・・・・むむむ。あの森に・・・・。
いやはや! 考えただけでも恐ろしいですな。」

僕「いやホント、そのとおりで。こういうの、神隠しって言うんですかね。
  そうとしか思えなくて・・・・・まだ怖さが残っています」
?「かみかくし・・・・・・・・・・・・・・神・・・・・・あぁなるほど。
  確かに、そう感じるのも無理ないですなぁ」

僕「起きてからここまで、独りぼっちで・・・・・どれだけ歩いたか。
  彷徨っていたのは一日もないでしょうが、もうほんとに淋しくて。
  おじさんが見つかって、ホント助かりました!」


オレンジ色を帯び始めた日光の下、剥げた道の上で二人、
胡坐(あぐら)を掻き座っている。
待望の人! やっと・・・・・会えたんだ!

このおじさんは、鼻の下にひげを蓄えており、見たところ40歳くらい。
ふさふさの黒髪を、オールバックのように後ろに流している。
少しぽっちゃりした体型で、身長は僕とそんな変わらず、170cmくらい。
肌は僕と同じで色白だが、顔は彫りが深く瞳は黒い。
鼻は高めで筋が通っていて、眉毛が・・・・・こち亀の両さんのごとくへの字だ。

屈託のない笑顔を振りまきながら話をしてくれる。
体型のせいまるだろうが、どこか憎めないぽわぽわ感が漂う人だ。

ただ、どうしても気になるのは、この人の服装。
体全体が、半袖の肩から膝上まである緑色の一枚服で覆われていて、
腰の少し上の辺りに、茶色いベルトが巻かれている。

そして、靴が皮靴だ・・・・・いや、それは文字通り、
ただ皮をなめして作ったような、茶色でいかにも原始的な靴。

男物って普通、シャツとズボンだよな。いや、それ以外ももちろん認めるが。
女物のワンピースならともかく、男は・・・・いや、まず見ない。靴だって・・・・。
さっきこの人が背負っていた皮製のバッグなら、まぁ見ないこともないが。


479 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:09:12 ID:AAKl25ou0
?「そんな状態から帰還したのであれば、どうです?
  乾き物でよければ食べ物がありますが」
僕「え! いや、そんな。人様の食事を頂く訳には・・・・」
?「いえいえ、別にいいんですよ。まともなのは干し肉くらいですし」

え!!

僕「にく!」
?「え!」
僕「・・・・・あ、いえ・・・・すみません。肉はちょっと欲しいかなーーって」
?「あ、あぁ・・・・・・・ははは」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕「・・・・んぐ・・・んぐ・・・・・・・・・・・・ほ。
  ・・・・・いやホント、おいしいかったです!木の実しか食べてなくて、
それと比べたらもう全然! ありがとうございました」

人の手が加えられた食べ物にありつき、僕の心はまた安心感で満たされる。

?「そうですか。いやよかった。 あ、お水もどうぞ」
僕「あ、ありが・・・・・・・・・!・・・・・・・・・・あ、あの、これは」

体を衝撃が走る。

?「え?・・・・・ああ、はいはい。これはそう、ヨトの胃袋から作った水袋です。
  ほら、袋が真っ黒でしょう?羊や牛と違って、ヨトは元から胃袋が黒く、
  ほかの色に染まらないんです。
  最近出回り始めたばかりでヨトの数も少ないですからね。
  知らないのも無理ありません」


さも自慢げで嬉しそうに説明する。
・・・・・いや、そういうことじゃなく・・・・・よと?
僕が聞きたいのは、この皮?の入れ物は何?ってことなんだが。
おじさんは、僕がこの皮の材料を珍しいと思ったと感じているようだ。
まぁそれも間違っちゃいないが。それより『水袋』って・・・・・水筒のこと?

古代、西洋では水入れを動物の内臓で作り、これを水袋と呼んだらしいが、
・・・・・これが!? なんで現代のこの世界で、そんなのが登場するんだ!?


480 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:10:16 ID:AAKl25ou0
僕「・・・・それ、水筒じゃないんですか?」
?「え? すい・・・とう? これは『水袋』ですが・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・沈黙。
別に重苦しい雰囲気ではない。ただ言葉が出ない。

どうも僕の生活感覚と、うまくかみ合わないぞ。
ここが異国ならともかく、日本語は普通に通じているし、
目の前の人も・・・・・は、改めて見ると、少し異国の人の顔立ちに
見えないこともないが・・・・・・あーわからん!頭が混乱してくる!

さっきの服のことといい、ちょっと頭の中を整

?「あの〜、こちらもちょっと分からないことがあるんですが、
  その服装は・・・・・・・寝巻きですかな? よくわかりませんが・・・・」
僕「え?・・・・・・えぇ。あ、やっぱり変ですよね。この姿で歩き回るのは」

?「いや・・・・・むむむ・・・・決してそういう意味では・・・・・・・・!
  その胸のふくらみは何です?」
僕「あぁ、これですか。いや、パジャマのズボンに
  ポケットがなくて、ここに携帯を入れたんですよ。ほら」

携帯を取りだし、見せ

?「な! なんですか! それ!?」
僕「ふぇ? 何って・・・・・・携帯ですが。かなり古いやつですよ。
  もはや化石かと・・・・・持ってないんですか?」

?「け、けいたい?知りませんよ! なんですそれ!?
  シルバーで・・・・白い斑点も見えるし、まるで宝石だ!
  ・・・・・ちょ、ちょっと触らせてくれませんか!」
僕「あ・・・・あぁ、どうぞ、はい」

食いつきに圧倒され携帯を渡す。白い斑点って、ただの塗装の剥がれだが。

?「おぉ、軽い!鉱石から削りだされたものではないのですかな?
  化石なんてとんでもない!これは見たことない石です。
  こんなつるつるで滑らかな曲面、なかなか見られませんよ。
  家の守り石ですかな? さぞ高級な石だとお見受けしますが」


・・・・・なんだかよくわからない。徐々に違和感が心を支配して行く。
服装や水筒のことといい、携帯のことといい、このむずかゆい感覚。
生活環境の隔たり? 本当にそれだけ?

アーミッシュだっけ。宗教上の理由から、テレビはもちろん、
電話や自動車、文明の利器を限りなく捨て去り、
自給自足の生活を送っている人々がアメリカにいるって聞いたけど。
日本にもそんなところが? 

それとも、ずっと農村で生活しているのか?そっちのほうが現実的だし、
田舎はまだこんな生活をしてる人が居るって・・・・・いやまてよ。
最初、自分のことを旅の商人って言ってたよな。うーーん・・・・・・う?


そのとき、募(つの)る違和感と旅の商人という言葉から飛躍し、
あの、最初に経験した、奇妙なことへの疑問が生まれる。
よく考えたら、『旅の商人』という言葉もおかしい。
でも今は、こっちのほうが我慢できない!


481 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:10:57 ID:AAKl25ou0
僕「あの、今更なんですが、どうして最初、僕から逃げたんです?」
?「え!? あぁ・・・・。 いやぁ・・・・忘れてほしいんですがねぇ・・・・」
僕「どうやら、僕のことをものすごく怖がっていたみたいですが・・・・」

?「まぁ・・・・・お恥ずかしい。もっとちゃんと見ておくべきでした。
  あなたももしかしたらご存知では? 実はですねぇ・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



この辺りは少し前まで、2、30人規模の盗賊団が出現したらしい。
ただ最近、その盗賊団が根城を変え、
背後にある岩山から居なくなったという噂が流れ出した。
事実、ぱったりと被害が無くなったらしい。

しかし同時に、居なくなったのは仲間割れの結果という噂もあり、
いずれ残党が新たな仲間を連れて戻ってくる、との意見も根強く、
傭兵を護衛として雇い行商などの旅を続ける人も、まだ多いんだとか。
盗賊に関する詳しいことは国が調査中で、公式発表は未だないらしい。

この人は旅の商人なのだが、商人仲間や旅仲間のうち
積極的な旅人や行商が、盗賊が消えたという噂に反応して
確証も無いまま、今までより活動を活発化させたんだとか。

この人は昔、盗賊に、それはひどい被害を被った経験があり、
この状況でも必ず護衛を雇い活動していたらしい。

しかし最近、仕入れ活動がなかなかうまくゆかず、
薬草など、手元の商品が少なくなり、お金の余裕もなくなったため、
少々危険でも旅を続け、今ある商品で儲けが出てから
改めて護衛を探そうと、この近くに歩を進めていたらしい。
そして最終的には、港町で新たに商品を仕入れるつもりだとか。

盗賊はよく、囮が何かしら前方に注意を引きつけ、
本隊が背後から奇襲する戦法をとっていたそうで、
このおじさんは、道外れの丘の向こうから奇声を上げ迫る僕を見て、
盗賊の罠に嵌まった過去を思い出し、思わず逃げようとしたんだとか。



・・・・・・・・・・・・・・聞きたいことは山ほどあった。
おかしいと思った。何度か聞こうと思った。でも、盗賊・・・傭兵・・・・・
息つく間もなく次々とおかしな話が飛び出し、違和感が積み重なって・・・・・

いつの間にか僕は、恐ろしさとも、もどかしさもいえない、
何とも形容し難い、心核を侵食しようとする影に飲み込まれ、
ただただ彼の話を聞き流し始めていて・・・・・・・・・



482 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:11:57 ID:AAKl25ou0
そしてここまできて、ひとつの想像が頭を掠め(かすめ)はじめる。
影の産物なのか、あるいは心の底深くに元々存在したものなのか、
それは徐々に思考を支配し始め・・・・・
でもあまりにも突拍子過ぎて、考えるのが馬鹿馬鹿しく・・・・・・

何もできない僕は、いよいよ彼の話に、ただ調子を合わせ始め・・・・・


?「この辺りは見てのとおり、見渡す限りの大平原で人家も無く、
  そしてこちらには、盗賊の根城のあるこの岩山が聳えている。
  ところどころ見える丘は、隠れるにはうってつけの地形です。

  さらにこの道の向こう、岩山の右側は、ほら、
  傾斜のある山脈の麓と岩山に挟まれ、
  あそこで挟み撃ちにされたら逃げ場はありません。
  だからこそ、盗賊にとって格好の餌場になる訳です。

  それにしても、あのミルウッドの森の奥地で不思議な体験をするとは、
  やはりあの森には何かあるんでしょうかねぇ・・・・・」

・・・・・・・・・・・・え?
ミルウッド? カタカナ!?

今一度、頭をあの馬鹿馬鹿しい想像が、生き生きと掠め・・・・・・

?「そういえばあなた、家はどこの町にあるのでしょう?
  ここからだと・・・・北東の港町ハバリアが近いですねぇ」

僕「・・・・ぅ・・・・ぇ・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・ハバリア?

頭の中に・・・・・

?「あぁそうそう、そういえば」
僕「な、なんでしょう?・・・」

頭が・・・・・混乱して・・・・・そんな・・・・・・限界

?「いやいや、自己紹介がまだでしたね。まずは私から。
  私はジーク。ジーク=カナッサといいます。
  さっきもお話したとおり、旅の商人をやっております。こんな風体でも、
  三代前からカナッサの名を持つ、由緒ある家柄なのですよ。
  よろしければ、あなたのお名前もお聞かせいただけませんか?」

僕「・・・・・・・・・・・・・・・・ぇ?」


483 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:14:41 ID:AAKl25ou0
頭の中の闇を、無数の思考光線が交錯する。
これまでに起こったすべての事実、積み重ねた違和感が、
頭の中で、あるひとつの結論を導き出そうとする!

・・・・・・いやでも・・・・まだわからない!
南アルプス市なんてのが登場する今日この世界だ。

きっと僕も知らない日本のどこかに、そんな町があるのさ。
そうさ、ハバリアなんて名前、珍しくもなんとも・・・・・・・。
でも・・・・・・。


今・・・・・・・・・・・なんて・・・・・・・・名乗った?


言葉は?・・・・・・・日本語は通じている。さっきも考えた。何も心配ない!
そうさ。何も心配なんていらない!そうさ!ここは、僕の知る・・・・・・。

ここは・・・・・・・・・いったい・・・・・・・・・・・。

虚空を漂う僕の思考は膨張するばかり。
ビッグバン前に起こるインフレーションの如く、
普段の生活では考えることすらおかしい疑問が、生み出されてゆく。

ここは・・・・・・・・・・・・・・・ここは・・・・・・。

ジーク「あの・・・・・・・大丈夫ですか?何の反応も無くなって。
     無理やり聞くつもりは無いので・・・・・」
僕「!・・・・あ・・・・・・・・すみません。なんだかまだ頭が混乱してて」
ジーク「あぁ、いえいえ、お気になさらずに。
     やはりこの辺りのお方じゃないのかもしれませんねぇ」

戸惑っているさまを気にされたらしい。
いったい僕は・・・・・。



そして次の言葉が、僕に止めを刺した。



ジーク「もしよろしければ、あなたの不思議な体験、
     この先のキングレオ城でシルバーレオ国王に話してみては?」

!!!

ジーク「あ、ここからだと、キングレオ城はハバリアより近いです。
     ただあそこは、一般の住宅は存在しないはずなので・・・・
     あ! もしかしてあなたは、あそこの・・・・・・」

僕「あ、あの! ぶしつけな質問で恐縮ですが、
  ここは・・・・・・その・・・・・日本・・・・・ですよね?」
ジーク「? にほん? 何が二本なんです?」
僕「ひ!・・・・いや、ここ・・・・ぅ・・に、に、日本って国ですよね!」

ジーク「??  いいえ。ここはレオ王国ですが」

!!!!!!!!!!!!

484 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:15:32 ID:AAKl25ou0
・・・・・・・・・・・・・・・ここは、夢の中なのか。それなら一番納得できる。
でも僕の夢はいつも、切り取られた映像を無理やり繋げ、
それでいて映像全体が薄い霧に包まれているような、
おぼろげで現実感の無い感じが、必ずあるじゃないか。

それが今はない。
それにあの丘の上で感じた、激烈なる世界の広がり。
あれが、すべて、僕の想像の範疇だというのか!
ありえない!ありえない!ありえない!

頭が、頭がおかしくなる!
僕は日本で生まれたんだ。 僕は日本人なんだ!
まさか!!僕にいったい、どういう想像をしろってんだ!

ここは ここはいったい! いったいどこなんだ!!
なにがあって どう・・・・・なにが! どうして!

僕の知らない日本のどこか?・・・・違う。
古代の世界へタイムワープ?・・・・・・・・違う!
ただの夢の世界?・・・・・・・・・・違う!!!


周りの・・・・・草・・・道・・・空。 ここは・・・・・!

僕は頭を乱暴に振り回し、周りにただただ頭を向け・・・・・・・

じゃあこのおじさんは! 誰!? 誰なんだ!

目の前を・・・・・見て・・・・・・・・


名前・・・・名前・・・・・―――――――――

僕は手で頭を抱え・・・・・・俯(うつむ)き・・・・
思考が―――――――――とまり――――


僕「ああああああああああああ!」
ジーク「ひ!」

絶望の叫びが聞こえる。
壊れる・・・・頭がこわれる。

ジーク「ちょ、いったい、どうし
僕「ああああああああああああ!!!!!」
ジーク「!」

あああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・




485 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 06:24:37 ID:AAKl25ou0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




既に理解している。
ここは僕の住む世界じゃない。
家への帰り方はわからない。帰り方すらあるのか。

僕は誰なんだ。 僕は・・・・・機械工学の院生で・・・・
いつか努力が実を結び、あの遠い空の向こうに
素晴らしき人間の文明を築き上げる。
僕の存在がその礎になるのを・・・・・夢見て・・・いるはず・・・
僕はいったい・・・・・・

目の前の人間の影と狂うほどの思考の影が、僕を覆い隠している。
ああ、ここが夢の中なら、どれほど楽しく

名前。

そのとき、嵐が治まり、静まり返った頭の闇に、
再び何かの光線が一条、駆け、ひとつの単語が浮かんでくる。
それは、僕がゲームの主人公に必ず名付ける・・・・・・あの名前。

中学生の頃、カッコいい名前を付けたくて散々悩んで、
ア行・サ行から始まる名前は語感がいいって
どっかのマンガか何かで情報を得て・・・・・・

あの後すぐ、新作ゲームの開発状況をファミ通で見て、
そしたらヒロインの名前が僕の考えた名前にそっくりで、
パクられた!なんて、自分勝手なこと思ってたっけ。

ジーク「あの・・・・・」

僕の肉体と精神が、あの信じがたい超時間・超空間の影を潜(くぐ)り
光の下へ現れたのだとしても、僕があの僕であったとしても、僕は・・・・


・・・・・僕は頭を抱えたまま声を震わせ、呟く。
もう僕の名前は使えない。僕はなぜか、そう感じた。


僕「アーシュ・・・・僕の名前、アーシュです。
この国の、人間かどうか、わかりません。
たぶん、違うでしょう。
そして、僕はこの世界の人間ではありません・・・・きっと」

それが、僕の僕としての、初めての言葉だった。


アーシュ
HP 13/13
MP  0/0
<どうぐ>携帯(F900i) E:パジャマ

ジーク=カナッサ
HP 19/21
MP  0/0
<どうぐ>いろいろ E:布の服 聖なるナイフ

486 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 08:56:01 ID:pxtpWYOB0
文章修正


アーシュ
HP 13/13
MP  0/0
<どうぐ>携帯(F900i) E:パジャマ


アーシュ
HP 12/13
MP  0/0
<どうぐ>携帯(F900i) E:パジャマ

487 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/04(火) 23:37:19 ID:47X6HzjFO
文章修正 追加


>>478
体型のせいまるだろうが


体型のせいもあるだろうが

488 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/05(水) 15:29:18 ID:VoYx+1rYO

最初旅の商人がトルネコかと期待してしまったw
ハバリアやらキングレオやら出てくるということは4の4章地域ですな

489 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/07(金) 10:16:46 ID:4o/VZwN+O
今日はぬるぽしない

490 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/07(金) 14:10:15 ID:R2Ldc+t30
じゃあ、今日はがっしない

491 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/10(月) 00:26:15 ID:Mi7pWDBE0
保管庫の◆fzAHzgUpjU氏の作品ですが、
フレノール南の洞窟2以降の話が載ってないみたいなのですが…?

492 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/13(木) 01:37:35 ID:UPyOJ1o7O
読めないの自分だけじゃなかったのか。

493 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/13(木) 01:53:18 ID:j3sGQ9Y+0
   __ (…ぬるぽ)
  _/ /〉_o○__
  // //-∧゚∧―ァ/|
 // // (-∀- )// |
`//_// " """"// |
/《/》―――-"/ /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| /
|       | /
|______|/


494 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/13(木) 06:59:47 ID:VlaHyEaJ0
>>493
(…がっ)

495 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/08/15(土) 11:42:40 ID:luqI1/4P0
>>439-443
―嫉妬する福禄寿―

 ゲームのシナリオに従って、キーファである兄ちゃんがいなくなった。
 いつの間にか僕の荷物の中に兄ちゃんが書いたメモが入っていた。
 ドラクエ7の攻略法だった。
 僕は兄ちゃんとこの世界から脱出するつもりだった。
 でも、兄ちゃんは初めからそのつもりはなかった。
 兄ちゃんはそれができないことを知っていた。

 僕は兄ちゃんとの会話を思い出していた。

 「兄ちゃんは、ほんとにタカカズ兄ちゃんだよね。」
 「それは難しい問題だ。」
 「どうして?」
 「俺の知っている俺はこんなところにいないからな。」

 姿が変わってしまった兄ちゃんを僕が疑ったとき兄ちゃんはそう答えた。
 でも、兄ちゃんは間違いなく貴一兄ちゃんだった。
 そして、兄ちゃんは僕のことを史智であることを疑わなかった。

 「だな。そういや今晩はどこに泊まろうか。」
 「また宿屋に泊ればいいんじゃない? 幸いお金みたいなのも持ってるし。」

 この世界の住人となった僕たちはこの世界のお金を持っていた。
 おかげで宿屋にとどまることができた。
 このときはまだ兄ちゃんは迷っていたのかもしれない。
 自分がどうなるか運命を知っていたのだから。
 兄ちゃんはゲームを始めないという選択肢を、僕に示した。
 本当はゲームを始めたくなかったんじゃないだろうか。


496 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/08/15(土) 11:43:56 ID:luqI1/4P0

 「このままゲームを始めずにずっと偽りの楽園で過ごすというのはどうだろう?」

 いや、違う。兄ちゃんは最初から僕にゲームを始めさせるつもりだった。
 そうじゃなきゃ『偽りの楽園』なんて言葉は使わないはずだ。
 冒険を始めさせたくなかったのなら別の言い方もできたんだから。
 きっと僕に冒険を始めさせるように仕向けていたんだ。

 「諦めたらそこで試合終了だよ。」
 「その言葉忘れるなよ。まあいい。まずは冒険を始めなきゃな。」

 だから僕はこの冒険を途中でやめることなんてできない。

 そして、僕に攻略法を教えてくれた。

 「主人公たちが遺跡の謎を解き石板を持っていくとき、マリベルが現れる。」

 「とにかくだ。これで主人公とキーファとマリベルが仲間になるはずだ。」

 ゲームの中で主人公とキーファとマリベルが仲間になること。
 攻略のためには仲間が大切であるということ。
 三人が協力してパーティーをつくり冒険を始めること。

 「……いや、遊牧民になる奴はいるがそいつは転職できないな。」

 遊牧民になるのはキーファだった。
ダーマ神殿到着前に離脱することまで言っていたんだ。

 でも、嘘をついたこともあった。

 「その考古学者が何をしてどうなったかと言うと……思い出せないな。」

 考古学者はキーファと同じように過去の世界に残った。
 思い出せないんじゃなくって言いたくなかっただけなんだ。
 自分のいた世界と決別する人の話をしたくなかったんだよね。

497 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/08/15(土) 11:46:49 ID:luqI1/4P0

 「どう振る舞えばいいか難しいね。仲間に怪しまれないようにしなきゃ。」
 「キーファはあまり細かいことは気にしない性格だから楽だな。」

 「問題は主人公だ。ドラクエの主人公はしゃべらないからな。」
 「どんな性格なんだろうね。」

 僕たちは、僕たちに与えられた役目を演じるための相談もした。
 うまくやれたと思う。
 誰も中身が僕たちだなんて考えなかっただろう。

 冒険の中で酷いことは続いた。
 魔物だけでなく酷い人間もたくさんいた。
 でも、僕は冒険を続けた。
 僕が冒険を諦めたら兄ちゃんを裏切ることになる。
 それに、僕は人間がひどい人ばかりじゃないことを知っているから。

 兄ちゃんは神様の話をよくしていた。
 ドラクエ7の世界観にも関係あるけどそれだけじゃなかったと思う。
 自分の運命を神様に問いたかったんだろう。

 そして僕はその神様の前にいる。
 このゲームはこれからエンディングを迎えるのだ。

498 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/08/15(土) 11:47:52 ID:luqI1/4P0

 神様に何か言ってやろうと考えていた。
 どうして僕と兄ちゃんなのかとか。
 兄ちゃんに会わせろとか。
 元の世界に帰らせろとか。
 とにかく何か言いたかった。

「こんなことになって大変じゃったの。」
 僕が言葉を発する前に神様の方から話しかけてきた。
頭の中に直接話しかけている感じだ。
「魔王がいなくなったことでお主を元の世界に帰してやれるぞい。」
 ゲームをクリアすれば帰れるというのは間違いなかったんだ。
「あの、僕は……」
 いざとなると何を言っていいか分からなくなり口ごもってしまった。
「わかっておるわかっておる。自分が帰った後のことを心配しておるのだろう?」
「え……」
「お主が帰った後この少年がどうなるのか気になっていたのではないのかね?」
「あ……」

 そんなこと考えもしなかった。
 僕がいなくなったら彼はどうなるんだろう?
 この世界からいなくなってしまうのだろうか。
 中身のない抜け殻のようになるのだろうか。
 そのときマリベルやみんなは……

 兄ちゃん。僕、冒険をしたけどぜんぜん成長できなかった。
 わがままなまんまだ。
 身近な人がいなくなったらどんな気持ちなのか、僕が一番知っていたはずなのに。
 僕が帰った後のことなんてちっとも考えなかった。

「その少年の精神はお主と一体化しておる状態じゃ。今は眠っておるがの。」
 神様が何か言っている。
「お主が帰った後目覚めることになるが、その辺はわしがうまくやっておこう。」
「それって……」
「誰も彼の変化に気づくまい。その少年自身を含めての。」
 ああ、よかった。
 この世界で悲しむ人はいないんだ。

499 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/08/15(土) 11:48:53 ID:luqI1/4P0

「お主はこれから帰ることになるのだが、その前にお主宛ての手紙を読もう。」
 ……手紙?
「本来はもっと先に発見することになるのだが、特別に今読んでやろう。」

 これを読んでいるってことはゲームをクリアできたんだな。
 おめでとう史智。
 ゲームをクリアできたお前はきっと現実世界へ帰れるのだろう。
 だが、ゲームをクリアできない俺がどうなるのか分からない。
 万が一の時は父さんと母さんを頼むぞ。
 どんなにはなれていても俺たちは兄弟だよな!

「ああ……」
 兄ちゃんからの手紙。
 駄目だよ。僕一人でなんか帰れない。
 僕は兄ちゃんを探す。きっと見つける方法があるはずだ。
 兄ちゃんが知っているのはゲームで起きた出来事だけなんだ。
 ゲームクリア後に何が起こるかなんてわからないじゃないか。
 キーファと、兄ちゃんと会える方法だってあるかもしれないじゃないか。

「さあ、帰る時間じゃ。」
 神様が僕に囁く。
 意識が遠のいていく。
 待ってよ神様。
僕まだこの世界でやらなきゃならないことが……

―続く―

500 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/15(土) 21:21:39 ID:yURylfjR0
ちょwwwwwww蛇の生殺しwwwwwwwwwwww

501 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/15(土) 23:13:44 ID:CmYOT9WQ0
>>499
終わりだと思った。
続くのかこれ。
冒険の書の人にはいつも驚かされるなあ。

502 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/16(日) 01:47:55 ID:Y6XD+HHK0
ちょwこれで終わりじゃないのかwww
どうなるんだろう弟…

503 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/16(日) 22:40:15 ID:Q4YBAicmO
まだだ…まだ憤怒する布袋尊が残っている…

504 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/17(月) 08:13:09 ID:PjVWQxNYO
め・・・めるぽ

505 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/17(月) 14:32:06 ID:/kH33hhLO
ユーガットメール!

506 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/21(金) 22:35:17 ID:BLOBJ2Pf0
PC・Mobile版保管庫にここまでの物語をアップしました。
テンプレ保管庫にリンクされている、宿スレ保管庫のほうです。
総合目次からお入りください。

誤字・脱字等ございましたらお知らせください。
よろしくお願いいたします。

507 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/23(日) 13:01:05 ID:36rozMbFO
にゅるぽ

508 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/23(日) 14:07:44 ID:QXwukm1c0
がっ!

509 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/27(木) 19:17:59 ID:LvBATu2RO


510 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:08:18 ID:MKTacDxh0
前回>>477-485

【あいつ】

・・・・・頬を、何かが叩く。何度も何度も。
これは・・・・手?僕は・・・・・・えっと・・・・・・眠ってる? 頬を、何度も・・・・え?
・・・・・・目を開ける。目の前には空と草原の境目。僕を覗き込む人。
・・・・・・僕は抱き起こされてて・・・・・・・・・・

ジーク「大丈夫ですか! 叫び声をあげたり急に倒れたり、もう私はびっくりで」
僕「・・・・・・・・・・・・・・・・」
ジーク「ささ、座って」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだ。
僕は名乗った後、急に体の力が抜けて、倒れて・・・・ここは・・・・・・

頭がうまく働かない。上の空ってやつだ。

ジーク「大丈夫ですか?」
僕「・・・えぇ」


少しして、僕のことを気遣いつつ、ジークさんから質問が飛びはじめる。
僕はどこにも目の焦点を合わせられず、ただ機械的に答える。

僕は日本という国に住む、日本人だということ。
レオ王国なんて僕の世界では聞いたことがなく、僕の国に国王はいないということ。
僕の世界はもう、人跡未踏の地がほとんど存在しないこと。

胸から取り出したあれは携帯電話といい、電話の一種であり、
僕の世界ではすでに当たり前の技術で、日本ではほとんどの人が持っていること。
・・・・・・・電話とは、離れた地点に居る人間と声で会話する、通信技術であること。

最後に、僕らが話している言葉は日本語で、日本でしか使わない言葉ということ。
つまり、名も知らない地において意思疎通できること自体、おかしいということ。

ジークさんは僕が答えるたびに、ひどく驚く。
あるいは、僕を訝し(いぶかし)げに思っているかもしれない。当然だろう。
僕だっていきなり、私は違う世界の人間だ、などと言われたら、その人を狂人か、
自分は宇宙的な真実を語る資格を持つという、近寄りがたい宗教者と疑うはずだ。

511 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:12:56 ID:MKTacDxh0
ジーク「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ジーク「・・・・・とりあえず、出発しませんか? にわかに信じ難い話ですが・・・・・
    私はアーシュさんを信じたいと思います」
僕「・・・・・そうですね。警察に行けば・・・・・」
ジーク「けい・・・・さつ・・・・・?」
僕「・・・・いえ、なんでもないです」

出発前に、ジークさんが荷物の中の余った布を、僕の両足に起用に巻いてくれた。
靴を履いてない僕への、ジークさんによる応急処置だ。厚手で破れはしないだろう。
途中に人家があるらしく、もし靴が余っていたらそこで貰おうということになる。

僕たちは準備もそこそこに、道に沿って歩き出す。
一人のとき、あんなにも目に焼きついていた自然が、今は一切頭に入ってこない。
途中、ジークさんからいろいろ声を掛けられるが・・・・
あまり頭に入らず、ただただ、適当に答えていく・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ジーク「・・・・・・もうすぐ夜ですね。お腹が空きませんか?
    今日はアーシュさんのこともあるので、早めにこの辺りで休みましょう」

・・・・空が暗くなってきているのに気づく。どれだけの時間、歩いてきたのか。
振り返ると、僕の後ろの地平線に日が落ちる寸前だ。
周りを見ると、ところどころに土がむき出しの段差がある。
ジークさんは近くの木の下に向かっている。僕も一緒に行き・・・共に腰を下ろす。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

干し肉と少量のお水で食事を取る。
・・・・・・・・・食事が終わると、ジークさんは荷物を整理しはじめる。
僕は何をするでもなく、頭に入らない周りの景色をただ見る。

・・・・・・・・・・夜も深くなり、ジークさんは、寝る準備をしましょう、と話してくる。
僕はジークさんから、掛け布として湯上りタオルみたいな大きいタオルを貰う。
こんなものしかなくてすみません、とジークさんは釈明している。
僕も感謝の言葉を返し、一段落する。

そしてジークさんは、・・・・・・・? 鞄の口を留めるベルトのところに
何か付けてる。・・・・・錠前!?小ぶりだが。
ジークさんに聞くと、野宿する際の最低限の泥棒対策なんだとか。
厚いベルトに穴を通し、重なった二枚を留めるらしい。ベルトは切れにくいし、
背負って寝るので、万が一誰かが切ろうとしても、動きでわかるそうだ。
普段であれば、野宿でも護衛が交代で荷物の番をするのだとか。

見張りをやります、と僕が言うと、自身が大変な渦中なのだから、と受け流された。
携帯も一緒に保管しましょうか?、と言われたが、今度は僕が丁重に断る。
今や、あの世界とを繋ぐ大切な持ち物だし、近くにあると安心するから。
ジークさんを真似て、毛布を自分の体に巻き、木の下に寝転ぶ。
毎晩のことのように傍に置いた携帯を手に持つ。
そして僕は、なぜだろう、自分宛のメールを、いくつもいくつも見てしまう。

・・・・・・充電コード・・・・持ってきたほうがよかったのだろうか?

空き地にそのまま置いてきたコード。道具もなく、直せる訳がない。
だってあのときは、近くのショップで、また買えると思っていたんだ・・・・・
極めて異常な事態が今、自分の身に起きてるはずなのに、
僕はそれを、捉えきれないままでいる

512 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:17:25 ID:MKTacDxh0
・・・・・・・・・・・・しばらくは興奮から、眠気が訪れなかった。
それでも、力が抜け・・・・僕は、次第に・・・・目に映る世界が、小さく・・・・・。
記憶の中、母さん・・・・・・・買ったばかりの家・・・・・大学の実験室。
実験工場の一角。研究棟・・・・・僕らの部屋・・・・・その隣、卒研生の部屋。
今、先生は・・・・そして、あいつは・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

?「あいつですか?・・・・・ええと、・・・・・今日はまだ見てません」
教授「あ、そう・・・・。困ったな。朝一でミーティングやりたいって、
   昨日あいつからお願いがあったんだぜ。まったく」
?「あぁ・・・・・そうなんですか。すみません。今日のことはちょっと聞いてないですね」
教授「ふ〜ん・・・・・ところでお前のほう。どうだ?設計図はまだ?」
?「あ、はい。・・・・・・すみません」
教授「いや謝る必要はないって。お前のことなんだから。
   でもスケジュール考えろよなぁ。国際会議に間に合うのかよ」
?「はい・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

朝、目が覚める。
昨日は、興奮して眠れないだろうと思っていたのに。
屋根の見えない外の空間。深く、青く、晴れ晴れとした空。
いつもの部屋という期待など、していなかった。
体に付着したものを取り払う。・・・・うぉぉ、何だこの虫は。
・・・朝食を取る。ただ、昨日とは異なり、少し落ち着きを取り戻している。
・・・・・・・・・ジークさんが僕に話し掛けてくる。

ジーク「アーシュさん。昨日も話しましたが、お城で王に謁見しませんか?
私も一緒です。
そこには、日本やあなたの体験について、何かを知る人がいるかもしれません。
我が国は世界中から人が集まります。きっと何か情報があるでしょう」
僕「城、ですか」
ジーク「ええ、この先のキングレオ城です。今日を含めてまだ6、7日程歩きますが、
    途中には水場も休憩所も、昨日話したようにちらほらと人家もあります。
    大丈夫! もう森の中のような孤独感はありません」

キングレオ城・・・・・日本語的な響きが皆無な名前。
キング、レオ・・・・獅子をモチーフにしているのだろうか。
そして・・・・・この先には、どんな人が待っているのだろうか。

ジーク「それと・・・・・・申し上げにくいことですが、もうひとつ提案があります。
    あなたが体験したこと、道中で会う人には・・・・・伏せておきませんか?
    大変心苦しいとは思いますが、あなたの気分を害される恐れもありますし、
    国王の後ろ盾を得てからの方が、信用されやすいはずです。
    私の知る限り、あなたを理解できそうな人もいます。その人には話してみましょう」

ジークさんは、僕を諭すように提案してくる。
確かに、僕は今、一刻も早く皆に僕の境遇を理解してほしい。
ただ、ジークさんの言うことも一理ある。
僕は提案を受け入れる。服は、途中で調達できれば着替え、
できなければ、説明でうまく誤魔化すことにした。

食後、ジークさんから借りたナイフで髭を剃る。慣れない手が苦々しい。
終わって一休みしていると・・・・・・・・・・。

ジーク「アーシュさん、昨日から気になっていたんですが、足の調子が悪いのですか?
    庇うような歩き方だったので」

僕は事情を話し、足の怪我を見せる。するとジークさんは、鞄から何かの草を・・・・。

513 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:20:17 ID:MKTacDxh0
ジーク「これは薬草といい、怪我をたちどころに治すものです。
    ものは試し。ささ、どうぞ。葉に乗っている小さな粒々を葉ですり潰して、
    粉末と葉を傷口に押し付けこする感じですよ」

半信半疑で、言われたまま、まだ治りきらない傷口にこすりつける・・・・・・・!!
傷口が、塞がり・・・・・・・跡形もなくなった!
・・・・・・あれ? 草の色が、徐々に・・・・紫色に変わったぞ?

ジーク「原理は不明ですが、葉と粉末のセットが傷を癒すのです。
    しかし、傷口の血に触れると色が変色し、薬草も粉末も使えなくなります。
    ただの血では反応しません。あ、飲み込んでも効果はあるんですよ。
    体が勝手に、あっという間に治してくれます。ただこの場合、
    体にいくつも傷があると、治す傷を選ぶことができません」

僕「・・・・・ほぇー」

まさに奇跡! この世界は何でもありなのか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕らは今、歩いている。僕の心は幾分余裕が持て、周りの景色に目を配る。
昨日は暗くて気づかなかったが、自分は今、左手遠くに海と水平線が見える、
岩山の横の道を歩いている。近くには、丘の彼方から流れてきたであろう、あの川。

僕「そういえばジークさん、この先に人家があるっておっしゃってましたよね?
  どうして最初、ぼくがその家の人間なのか聞かなかったんです?」

ジーク「え?・・・あぁ、歩き慣れた道ですからね。皆さん商売相手で顔見知りなのです。
    家族のことも大方知っています。
    人里離れて暮らす方々ですから、気難しい方もいらっしゃいますけどね」
僕「あぁ・・・・・そうなんですか」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今の時刻は夕方頃。周辺の草原には小ぶりな木と、野生の馬らしき動物もいる。
僕は道沿いの小ぶりな木の下に、これまた木で作られた、
色の白い、社(やしろ)のようなものを見つける。

・・・・上部の形状は百葉箱に似ているが、全体の形と幅は、大きいタンスみたい。
収納場所は縦に3つ。上は観音開きの扉で、下のは籠(かご)型の引き出しだ。
上下の収納場所は縦に深さを持つが、真ん中の引き出しは底が浅く
まさしくタンスの引き出しのよう。また、下の引き出しが一番容量が多い。

薄いL字型の鉄棒が四隅に接着されており、下に伸びて箱の足となっている。
足は、箱の下に置かれた灰色の平石に空いた穴にすっぽり収まり、箱を固定している。
揺らしてみたがびくともしない。足が穴の底で固定されているようだ。
高さは台座を含めて、自分の頭より少し高い・・・・180pくらい。

514 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:22:41 ID:MKTacDxh0
また、近くには、テントと思われるものが設営されている。
それは2つ張られており、どちらも2、3人入れる大きさ。
辺り地面には、火を焚いたと思われる焼け跡が残っている。

・・・・・僕はどれくらい調べていただろう。ジークさんはテントの中を確認してる。

ジーク「誰もいませんねぇ・・・・・では改めまして。この場所が休憩所です。
    あのテントは休むためのもの。これは、食材・道具を保管する、保管箱です」

・・・・・休憩所。僕はてっきり、小さい小屋を想像していた。

ジーク「休憩所は、盗賊やよからぬ輩によって荒されることはまずありません。
    アーシュさん、何故だかおわかりになりますか?」
僕「え!?・・・・・うーーん。そうですね・・・・・彼らも利用しているとか」

ジーク「おぉ、利用とはいい線ですね。答えは、獲物を生かすためです」
僕「獲物を・・・・生かす?」
ジーク「休憩所の信用が無くなると、獲物である商人や旅人の往来が減りますから」
僕「あぁ、確かに」

ジーク「だから休憩所は安息ポイントなのです。彼らもここまでは深追いしません。
    我々にとっては、あまり嬉しくない理由ですが。
    稀に、この暗黙の了解を無視する者も居ますけどね。
    休憩所の多くは、猛獣が近くにおらず、かつ風雨を凌げる地にあります。
    人の信用によって成り立っているシステムといえるでしょう。

    両開きの扉のところは食品入れです。ほら、中に棚があります。
    通気性を保つために、ほら、扉はひさしが重なっているようでしょう? 
    一応、虫除けの香が備え付けられていますが、効かない虫もいます。

    真ん中の引き出しは、食品以外の小物の収納場所です。
    ・・・・・このとおり、手袋やアクセサリーですね。
    下の一番大きな引き出しは、武器・防具などの大型道具入れです。
    よいしょ・・・・ガラクタばかりですねぇ。もう少々寝巻きで我慢してください。

ジーク「ここで何か手に入れたら、自分の持ち物を代わりに置くのが慣わしです。
    物でなく、詩や旅の近況報告を紙に書き置く人もいます。
    あの場所にはあれが、とか、あの辺りはこうなってて、とか。

    自分の持つ紙に書く人と、休憩所備え付けの紙に書く人がいます。
    まぁ、後者が多いですね。一種の掲示板というべきでしょうか。
    盗賊が現れなくなったという噂もここが発信源みたいです。

    ここは王国の人間が定期的に巡回し、保全に勤めています。
    どんなガラクタも価値は人それぞれなので、腐りものの処分や
    消耗品の補充以外、基本的に中のものには手は加えません。
    ただ、使用された紙は新たな紙と交換され、国の機関に持ち帰られます。
    紙に書かれた文は、絵や記号も含めて精確に上質な紙に複写されます。

    紙は、記載元の紙も含めて防腐・防虫処理が施され、国で保管されます。
    虫食いはなぜか、備え付けの香では防げないんですよねぇ。
    記載元の紙は公開されませんが、複写された紙の閲覧・複写は自由で、・・・・・・
    噂では、一般人は閲覧不可の記録もあるようです。
    ときには国に不都合な情報もあるのでしょう。まぁ、情報の集積所ですから。

515 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:26:21 ID:MKTacDxh0
ジーク「面白いものだと、あまり人が立ち行かない場所についての冒険記録や、
    名の知れない人物による連載小説というのもあります。
    こういうのには少なからずファンがいましてね。

    私もひとつお気に入りの小説があるんです、
    『もし目が覚めたらそこが魔界の宿屋だったら』というお話でして。
    結構な人気でしてね。一般の作家の小説と同じくらいの知名度です。
    さてと、」

長い説明を終え、ジークさんは再び食品入れを確認する。

ジーク「干し肉が結構ありますね。5枚貰いましょう。あとは・・・魚の燻製ですか。
    ま、こんなもんでしょう。さて、何を返しましょうか・・・・・では、これを」

棚から布の包みを2つ取り・・・・鞄から、皮の帽子?を出し、中央の引き出しへ。

僕は、常備されている紙というものを見てみる。
真ん中の引き出しの中に仕切りがあり、狭いほうに置かれている。
サイズは少し小さめで・・・・・B5くらいか。何十枚もあるようだ。
全部白紙のようだが、完全な白ではない。筋張っており、パピルスに近い。
テントの中も見てみる。天井には蝋燭があり、床にはゴザが3人分。
その上には、ご丁寧に薄手の掛け布が畳んで置かれている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

三日目。
道は少し海側に寄ったみたい。そして、この辺りは全体的に上り坂のようだ。
昨日から何人かと道ですれ違っている。はじめは緊張したが、
ジークさんの知らない人ばかりだったとかで、軽く挨拶を交わしただけ。
服装はジークさんと同じような感じだった。
・・・・・・・・・あちらは僕の服装に驚いていたみたいだが。

ジーク「坂を越えたらいよいよ家があります。最初は木こりのクルミエさんの家ですよ!」
僕「木こり・・・・ですか」
ジーク「えぇ。一人暮らしですが気さくな方でして、3人の子供がいらっしゃいます。
    長男のピオさんはお城で兵隊勤務を、長女のフレテさんは嫁いでおり、
    そして年の離れた末っ子のモリブ君は、なんと学校の6年生です」
僕「へぇ・・・・なるほど」

・・・・・・・・・あっ。

ここまで聞きようやく気づく。ジークさんは、僕をこの世界にうまく溶け込ませるため、
多くのことをそれとなく説明してくれてるのだ。

気取らないやさしさ。それがこの世界にも確かに根付いていることを知る
僕は何よりそれを、日本的なものと思う。

僕「ジークさんにはご家族はいらっしゃるんですか?」
ジーク「まだ独身です。周りからはいつも、所帯持て持てと茶化されています。はっはっは」
僕「ご両親も、早く孫の顔が見たいんじゃないですか?」
ジーク「そうだったでしょうねぇ・・・・どちらももう亡くなってまして」

・・・・・・・・・・・・・・・

516 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:29:13 ID:MKTacDxh0
・・・・・・・・・・・・・・・
坂を越えると、右の岩山の背が次第に低くなり、同時に前方に森が見える。
さらに歩くと、森の前に小屋のような一軒家が見えてくる。
ジークさんいわく、あれがクルミエさんの家らしい。
・・・家に着く。ジークさんが戸を開け、中に向かって挨拶する。
・・・・・・・どうやら中に居たようだ。戸口に出てくる。


ジーク「どうもお久しぶりですぅ。お元気そうでぇ」
クル「おぉ! 久しぶりだのぉ〜」
ジーク「早速どうです? 何か入り用の品物はありますか?」
クル「えーとなぁ・・・・・・・そんだ! 毒消し草はあるかねぇ?
   ちょいと前に蜂に刺されて、手持ちがなかったん。とりあえず一束欲しいんが」
ジーク「毒消し草を人束ですね、・・・・・・はい、どうぞ。100ゴールドになります」

・・・・・・・僕は持ち無沙汰で佇む。
クルミエさんの年は・・・・・50歳ちょいか。話し方に訛りがあるみたいだ。

クル「おろ? そういやいつもの傭兵さんはどうしたんね?
   ・・・・・後ろの坊やは誰かね? ジィさんよ、弟子でも取ったん?」

坊や、って・・・・・・・・

ジーク「いや、そういう訳ではないのですが、まぁ・・・・いろいろありまして。
    彼、ミルウッドの森の辺りで不思議な体験をされたそうで、
    王様へのご報告と案内も兼ねてキングレオ城まで。
    アーシュさん、この方にはきちんと話しておきましょう」
僕「あ、はい。わかりました。
  どうも、はじめまして。アーシュといいます」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クル「・・・・・・違う世界とな。なんとまぁ、たまげたねぇ。
  いやぁ、世の中には、ホンに不思議なこともあるんじゃなぁ」
僕「信じてくれるんですか!?」

クル「あそこには何かある。わしんがばぁちゃんからよく聞かされたそれは、
  この地方ではホントのことのように語られとる。

  見てきたと思うが、あんあたりは眺めが最高でな。それでも
  エフォンの町からここに来るまで、あの辺りはぽっかりと人が住みつかん。
  盗賊なんぞが岩山に住み着く、ずっと前からそうじゃった」

僕「あー、そうなんですか」
ジーク「この辺りではよく言われていることです。まぁ、それだけですけど」
クル「そう。まぁ言い伝えじゃ。それより坊や、これだけは覚えとき。
  最近じゃ盗賊は消えたと言うが、まだ気をつけんと。
  わしゃあ、またいつか戻ってくると思うとる。
  ・・・・・・そういや、それが寝巻きかね。不思議な格好じゃ」
僕「あぁ・・・・はい」

ジーク「すみませんが、余りの靴はありますか?」
クル「あぁ、この坊やの分ってやつかい。・・・・・・うーん、ないねぇ」

クルミエさんいわく、後ろの森はミルウッドの森ほど深くないとか。
僕には広大な森に見えるが。

帰りがけにクルミエさんから、後ろの森に実る、パリアという実を貰う。
この、少し弾力のある茶色の殻の中には、白くてほんのり甘い、
蜜のような液と種が入っているらしい。穴を開けて中身を飲むそうだ。

517 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:32:51 ID:MKTacDxh0
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

七日目。
昨日は、ここを抜けた先に城があるという森の、少し外れの宿屋に泊まった。
三日目に見た森とは別のものだ。
昨日からあちこちで、道端に休んでいたり、
火を焚いて食事をしている人たちを見かている。
この頃には、ジークさんの知り合いと何人も接触していた。

昨日の夕方訪れた休憩所はとても賑やだった。
最初のところを除き、休憩所では人に会えたが、昨日のあれは雰囲気が桁違い。
僕たちのルートでは最も城に近い休憩所らしい。

8つのテントが全て埋まっており、保管庫も2つあった。
テントの収容人数を明らかに超えた人々が、そこにいた。
多くは僕らと同じように、近くの宿屋に泊まる。ただ、こういうところの宿屋は
結構値が張るそうで、金欠気味の人は同じ境遇の人と寄り集まり、野宿するらしい。
過密する休憩所の近くは宿屋の需要が尽きず、そんな代金でも営めるらしい。

休憩所は、最後の休憩所を含め計11箇所。城に近いほど多いようだ。
一足遅れで巡回があったようで、備え付けの紙は白紙ばかり。最後の休憩所もだ。
ジークさんいわく、服もろくなものはなかったとのこと。

家はクルミエさん宅を皮切りに、7軒訪問してきている。

鉄鍛冶屋のカヤモさん。幼い孫のカリエちゃんと二人暮らし。
ジークの話していた通り、無愛想で気難しい人だったが、
なんとこの人から靴をもらえた。ジークさんいわく、
気難しい性格は、人のよい性格を押し隠すための裏返しなんだとか。

クルミエさんと同じく、木こりのハサドさん。こっちは奥さんのポニンさんと、
小学生くらいのアフム君付き。毛むくじゃらの人だった。

大きな牧場で牛や馬を飼っていた、ダンパフパさんとシリルさん夫妻。
4人の子供、セアちゃん、カーティくん、ユケッドくん、パナくんたちに、
牧場を案内してもらったっけ。ジークさんが、亡き父を継いだばかりと言っていた。

機(はた)織り機のようなもので織物の内職をしている、ホルルお婆さん。
お城勤めの孫娘さん、リースによろしくって言われたっけ。

後の3軒は無人だった。今回は空き家が多いって、ジークさんも話していたっけ。

本書きのノーゼンさん。静かな環境を求めて町を出た、ちょっとした変わり者。
内容は人間模様・ホラー・架空の大戦記・自然史と幅広く、この国の有名人だとか。
奥さんのトーマさんとよく、近くの自然を散策するそうだ。
一人息子のハーケンスさんは今、世界を旅しており、何年も帰っていないとか。

武闘家のダイアさん。強くなるため、大自然の中で厳しい修行がしたくて
この辺りに住んでいるんだとか。
たまに地方に武者修行に行くので、旅費稼ぎのための体力仕事を求め、
留守にしているかもしれないとのこと。
兄のガイアさんも武闘家で、今はお城の方で指導する立場だとか。

職なしのエリンケさん。一人暮らしであまり素行のよい人でないらしく、
町から追い出される形で、空き家だった家に住み着いたらしい。
元々家にいないことが多いのだそうだ。

そしてどこでも、僕の服装は注目を集めるのであった・・・・・。
なんとか誤魔化せたが、どう言い訳したかは・・・・・恥ずかしくて言えない。
水場で洗濯してるし、臭くはないと思うが・・・・・他に何か着たい。・・・・・・・・・・・・・

518 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:34:07 ID:MKTacDxh0
まだ夕方でもないお昼過ぎ。頭上を鳥が飛び交う。

森の広い道を抜け、大きな平原に出る。足元の草はくるぶしまでしかない。
そして、平原の入口から50mもないところ。左右に広くそそり立つ、灰色の壁!
横幅は、100・・・・200・・・・・なんてもんじゃない。でかすぎる!

壁の中央には、壁から垂直に切り出され、上が開放された入口がある。
入口の横幅もかなり広い。駅前から伸びる、大きな道路くらいある。
壁の中の奥まで、まっすぐ同じくらいの幅の道が続いているようた。
入口左の壁には・・・・入口を塞ぐ引き戸だろうか、石の板らしきものが見える。

僕らは入口に向かってゆく。
・・・・・・入口の両サイドには、甲冑を身に纏った兵士が2人ずつ、合計4人立ち、
こちらに向いている。さっきはわからなかったが、手に槍を持っているようだ。
頭の位置から察するに、壁の高さは4mくらいだろう。
壁の向こうから、屋根の平らな建物が何戸か突き出ている。特に、入口のすぐ上には
見張り台らしき塔が覗いており、兵士が一人こちら見ている。

入口から平原のほうに、少しだけ埋設された石畳の道路が伸びている。
その周辺の草はさらに短く刈られている。
僕らの前に何人かの先客がいたようで、入口で兵士と接触し・・・・・中に入った。

そして、兵士の頭上、左右の壁の入口側最端部の上に、大きく丸い玉があり、
さらにその上に、四本足で立ち、正面を向き、たてがみを揺らせ、吼え猛る様を象った、
獅子の全体像が置かれている。
また、左の壁の引き戸にも、一面を使い獅子の顔が彫られている。

あぁ、そうか。ここが・・・・・キング

そこでジークさんがこちらに向きなおり、僕に話しかける。

ジーク「ようこそ!教育の国、レオ王国へ!
    お城の方々も、学校の皆さんも、みなさんきっと、あなたを歓迎してくれます。
    さぁ、中へ入りましょう!」

ここが・・・・・・・・・。いよいよ来たのだ。キングレオ城に。
ここで僕は・・・・・・・何と言えばいいのか、いったいどうなるんだろう。

ジークさんと僕は、入口に歩を進めた。

アーシュ
HP 13/13
MP  0/0
<どうぐ>携帯(F9001) E:パジャマ 革のくつ

ジーク=カナッサ
HP 21/21
MP  0/0
<どうぐ>いろいろ E:布の服 聖なるナイフ

519 :修士 ◆B1E4/CxiTw :2009/08/27(木) 21:51:10 ID:0Ufz9nwzO
今回は文字数と改行のエラーが出たため、保管庫にアップする文と幾分体裁を変更しています。
正式な文は保管庫にアップしますので、もう少々お待ちください。

520 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/28(金) 17:41:18 ID:+RrXcnX00
乙です!

521 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:16:24 ID:WiBZz9mP0
GEMAです。
第19話投下します。

LOAD DATA>407-410

522 :水火も辞せず〜祈り〜【1】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:19:19 ID:WiBZz9mP0
登校中に曲がり角でぶつかった相手が運命の人でした。
ん〜、たまんねぇなぁ。このシチュエーション。食パンを咥えてないのが実に惜しい。
まぁ、この場合ぶつかってきたのは子犬だけど、あの飼い主の顔。
ホッペをピンク色に染めて、ぼんやりしちゃってさ。

あら…行っちゃった。まぁ、最初の出会いってのはこんなもんか。
さて、ウブでジュンジョーなサトチーはどんな間の抜けた顔をしてるのかな。

「ねぇ、イサミ…」
「ん?どうした?」

ホイ来た。どうした?サトチー。
ドキがムネムネする…か?そりゃあ『恋』って言うんだぜぇ。
ほれ、何でも相談してみ。おにーさんが相談に乗ってやるぜぇ。

「あの娘、急に黙っちゃってたけど…僕の子犬の扱い方そんなに悪かったかな?」

こ…このフラグクラッシャーがぁ!

「モンスター達の相手は慣れてるんだけど、子犬の扱いはよく知らないんだよね」
「いや、子犬の扱いは問題ないけどさ。強いて言うなら人間の扱いかな」

きょとんとしているサトチーの背を叩き、今日の宿を探す。
まぁ…な、サトチーにとって今の一番の目標は天空の勇者と母親の事だもんな。
硬派って言うか何て言うか…

「お前のご主人はこれから旅とは別で苦労しそうだなぁ」

ちょこちょこと横を歩くブラウンに話しかける。
ブラウンはブラウンで俺の顔をじーーーっと見つめてきょとんとしている。

523 :水火も辞せず〜祈り〜【2】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:23:04 ID:WiBZz9mP0
西方大陸一の商業都市サラボナ。
周囲を険しい山とそれに連なる活火山、そして入り組んだ水路に囲まれた街。
代々この町を治める富豪の一族は、一国家に匹敵する財産を所有しており、
その富豪一族を相手に商売を目論む商人達が険しい山道を越えて足を運ぶ事で
決して交通の便が良くないこの静かな街は様々な物資で満たされている。

「数百年前、巨山の如き怪物がこの街を襲撃した際、富豪一族の先祖に当たる人物が
 その怪物に挑み見事撃退。それ以来、街の東に建設された塔から世界の動きを窺い、
 直接の政治的影響力は持たないまでも、代々西方大陸を統治し続けている…か…」

宿のロビーに置かれたタウンガイドをペラペラとめくり、窓の外を見やる。
行き交う商人と町の人達、道沿いには家々と商店に並んで荘厳な聖堂が建つ。
そして、その聖堂さえも小さく見えるような豪邸…あれが例の富豪の住居なのだろう。
反対側に顔を向けると、町の外壁の外側に高くそびえ立つ塔が町に一本の影を落とし、
その背景には火山から絶え間なく吐き出される白い噴煙が見える。
こっちはこっちで奇妙な光景だな。

「で、天空の装備品の一つをその富豪が所有しているんだって?」
「うん、ヘンリーとデール王が調べてくれた事だから間違いはないと思うよ」
「すんなりと貸してくれればいいんだがねぇ」

大事な家宝…しかも、伝説に残る天空の勇者ゆかりの盾。
それを素性の知れない一介の旅人にすんなり貸してくれるお人好しがいるかね。

「難しいかもしれないね…それでも、正直にお願いしてみるしかないだろうね」
「まぁ、それしかないよな」

腕の中で大人しくしているブラウンのフカフカな首筋をそっと撫でる。
見張り塔をゆっくりと見上げたブラウンが、その小さな体をブルッと大きく震わせた。

「ははは…お前は相変わらず高い所がダメか」

524 :水火も辞せず〜祈り〜【3】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:26:14 ID:WiBZz9mP0
今夜の部屋を取ったが、お日様はまだ高い位置から俺達を見下ろしている。
露店の店先から立ち昇る甘く香ばしい焼菓子の香りと、火山地帯特有の微かな硫黄臭が
空気に入り混じったこの街は活気があり、地方の祭りを思わせる賑わいを見せている。

「案内に書いてあったイメージよりも賑やかな街だね。何かのお祭りでもあるのかな?」
「へぇ、祭か。いい所にきたなあ。ん?ブラウンも食うか?おばちゃんもう一本」

フワフワに焼き上げられた生地にドロッと濁った蜜を塗ったサラボナ地方の名物菓子を
露店のおばちゃんから受け取る。
マドルー・バーって菓子らしいが、ネーミングセンスはともかくどっしりした味が
なかなか後を引く…けど、やたら甘いんで喉が渇くなこりゃ。

「あんたらも遠くから来たんだろ?やっぱりルドマンさんとこの花婿候補かい?」

威勢のいい露店のおばちゃんが、ずずぃっとその巨体をカウンターから乗り出す。
花婿?何の事だかわからないけど、とりあえずおばちゃんの巨体にのしかかられて
メリッと嫌な音を立てたカウンターが気になって仕方がない。

「何の話よ?俺達はこの街の富豪さんに用があって来たんだけどさ」
「やっぱりそうかい。競争相手が多いだろうけどあんたらも頑張るんだよ」

そう言ったおばちゃんはブラウンのハンマーみたいなごつい手で俺の肩をパーンと叩き、
露店の奥に引っ込んで菓子を焼き始めた。

「なんか…微妙に話が噛み合ってなかったよな?」
「うん…花婿って何の話だろう?」
「さっぱり掴めねぇ。あ、サトチーちょっとホイミ頼む。肩がビリビリして痛てぇ」

おばちゃんに勢いよく叩かれた肩に、真っ赤な手形がついてる事に気付くのは
その日の夜の風呂の時間。

525 :水火も辞せず〜祈り〜【4】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:29:33 ID:WiBZz9mP0
         ◇
その辺の民家なら丸ごと収まりそうな巨大な門。
門の左右に鎮座するキラーパンサーの石像。俺の世界の狛犬みたいなもんか?
巨大な権力と伴う畏怖を彷彿させる2体の石像に護られた門は大きく開かれ、
無言のままの石像はその間を通る俺達に鋭い眼光を向けている。

「ふえ〜…確かに城みたいな家だな」
「さすが、この大陸を実質的に治めている大富豪って言われるだけはあるね」

ラインハットの城に出入りしていた俺も思わず目を円くするその巨大で豪華な屋敷。
これが一個人の住居だってんだから驚くよな…って、サトチーはあまり驚いてない。
権力や権威に無頓着なのもサトチーらしいけど、この辺の反応は常人離れしてるよな。

「いらっしゃいませ。もう他のお客様方は屋敷の中でお待ちでございます。
 皆様も応接室でお待ち下さいませ」

玄関の掃除をしていたメイドさんに案内されて通された屋敷の応接室。
部屋の中にいた数人の男達の値踏みするような視線が一斉にこちらに向けられ、
すぐにその視線は思い思いの方向に戻される。
それぞれ目を合わせないが、脇目で互いを窺うような奇妙な沈黙。
はっきり言って気まずい。てか、こいつら何よ?
体格のいい粗暴な風貌の男。荷物を背負った行商人風の男。普通の村人っぽい男。
胸の前で手を組んで何かを必死に祈っている優男。
統一感は全く感じられないが、それぞれが背負っているある種の『欲』とか『必死さ』
みたいな物が共通の意識としてひしひしと伝わってくる。

「なぁ、何?この雰囲気…」
「…まさか、この人達全員が天空の盾を求めてる…のかな?」
「マジかよ。競争率高いなぁ」

526 :水火も辞せず〜祈り〜【5】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:32:52 ID:WiBZz9mP0
言葉はない。ただ、それぞれ無言のままの意識下での牽制の応酬。
時折、優男の口からブツブツと漏れる祈りの言葉。
その張り詰めた空気を断ち割るように、重量感のある足音が応接室に響き渡った。

「ようこそ。街で見知った顔もあるようだが、今一度自己紹介をさせて頂こう。
 私がこの地方の領主。ルドマン=ドゥエノ=ディアマンテだ」

広い応接室に設置された巨大なテーブルと多数の椅子。
その中でも特に大きく、豪華な椅子に腰掛けた初老の男がサラボナ領主ルドマン。
その身なり、立ち振る舞い、そしてどっしりとした貫禄…それら全てが権力者特有の
雰囲気を放ち、そのカリスマに若干気押される。

思わず背筋を伸ばした俺達一人一人の顔をぐるりと眺め、ルドマンの言葉が続く。

「今日は我が娘フローラの婿候補として多くの頼もしい男達が名乗りを上げてくれた事。
 この家の当主として、そして一人の父親としても誇りに思う」



……は?
婿候補?何それ?天空の盾じゃないの?え?
じゃあ、ここの連中みんなその婿候補で集まったってわけ?

状況が把握できずに混乱する俺とサトチーにはお構いなしに、話が進む。

「早速本題の花婿選定方法だが、皆には当家に伝わる婚礼儀式を完遂させてもらう。
 当家の婚礼儀式は至極単純。当主が定めた宝を愛の証として花嫁に献上する事だ。
 今回、皆に探していただく宝は『炎のリング』と『水のリング』の二つ。
 この二つを結婚指輪として花嫁に献上し、その愛が本物であることを証明してもらう」

あ〜、こりゃ今更『間違えましたwwサーセンwww』なんて言える空気じゃねえな。

527 :水火も辞せず〜祈り〜【6】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:36:21 ID:WiBZz9mP0
          ◇
一通りの婚礼儀式の説明が終わり、我先にと応接室から駆け出す花婿候補者達。
椅子の並びを乱したそのままに、だだっ広い部屋は俺達とルドマンさんだけになった。

最後まで部屋を出ようとしない俺達にルドマンさんが不思議そうな顔を向ける。

「君達も急がなくてもいいのか?それとも説明に不明な点でもあったのかね?
 まごまごしているうちに他の誰かがリングを持ってきてしまったらそこまでだぞ」
「そうそう、盾の事なんて後で考えなさい。下らない事で悩んでウダウダやってると
 あんた達もパパみたいにハゲるわよ」

応接室に繋がる螺旋階段。ちょうどルドマンさんの真後ろに位置する場所。
当のルドマンさんからは姿が全く見えなかったらしく、突然浴びせられたキツイ言葉に
手にしていた上物のワインを取りこぼしそうになる。

「デ…デボラお姉さま。お客様にそんな…」
「あら?これはフローラのために言ってるんだけど?旦那がパパみたいなハゲだったら
 私なら耐えられないわ」

階段の中ほどに立ち並んでこちらを見ている二人の女性。
派手な服装の黒髪がデボラ…ルドマンさんにキツイ言葉を投げかけたほうで、
その横に申し訳なさそうに佇む水色の髪のお嬢様がフローラ…あれ?
あのお嬢様は確かさっき街の入り口で…

「まぁ、そちらの方は先程の…あなたも今回立候補して下さったのですね。
 ですが、あまり無理はなさらないで下さい。私のために皆様が危険を冒すなんて…」
「さぁ、フローラもデボラも部屋に戻っていなさい。この儀式はディアマンテ家に
 伝わる大事な儀式なのだ。中止は絶対にできんのだ」

「パパも毎度毎度よくやるわね。どうせ勝者は最初っから決まってるのに。
 まぁ、そのあとに誰が選ばれるかはその時までわからないけどね」

528 :水火も辞せず〜祈り〜【7】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:39:33 ID:WiBZz9mP0
二人の娘を追いやるように階段の上に姿を消したルドマンさん。
今度こそ俺達だけが完全に取り残された形だ。

「結局盾の事は聞けなかったなぁ」
「この家に家宝として代々伝わるって話は確からしいんだけどね」
「家宝ねぇ…」

豪華な調度品に飾られた部屋をぐるりと見渡す。
奇妙な形をした壺。およそ実用的とは思えない装飾が施された剣や鎧が飾られているが
それらしき盾は飾られていないようだ。

さすがに飾って見せ物にしているわけがないよなぁ。
…ん?

他の調度品の煌びやかさにカモフラージュされるように部屋の隅に置かれた宝箱。
サトチーもそれに気付いたようだ。

「これっぽいな。でもどうするよ?」
「うーん…こっそり持って行っちゃう?」
「そうだなぁ…って、ちょっと待て。今何て言った?」

さりげなくヤバい発言をしたサトチーの手が俺の質問に答えるよりも早く箱に伸びる。
そして、例のピッキングでカチャカチャと…

「あ、ダメだ頑丈な鍵がかかってる。タンスや壺に入ってるわけじゃないからなあ。
 やっぱりコレは勝手に持って行っちゃマズイみたいだね」

いや、その理屈はおかしい。タンスの中でも壺の中でも勝手に持ってくのはマズイだろ。
…と、思ったがピッキングや不法侵入が公然と行われている世界だ。
今更疑問に思うのも野暮って物かもしれないな。

529 :水火も辞せず〜祈り〜【8】 ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:42:11 ID:WiBZz9mP0
「あら?あんた達まだいたの?さっき私が言った事聞いてなかったのかしら?」

水差しを片手に階段を下りてきたのはデボラ。
曰く、上の階でルドマンに説教されて『軽く』言い返したら、(恐らく罵声の類)
ルドマンさんの血圧が上がって寝こんでしまったらしい。

片手に持った水差しを俺達にずいっと突き出し、一息にまくしたてる。

「あんた達ってどうしようもないグズね。いいこと?よく考えなさい。
 他人にお願いをするなら2つ方法があるでしょ?無理やり言う事を聞かせるか、
 その人の信頼を得てからお願いするか。あんた達にできる事はどっちかしら?
 まぁ、私なら相手をぶん殴って無理やり言う事聞かせるけどね」

あとはあんた達で考えなさい。とだけ言い残し、デボラは台所へ消えた。

「ルドマンさんの信頼を得る…か…」
「まず、炎のリングは火山にあるって言ってたね…」

胸の前で組んだ指をボキッと鳴らし気合を入れる。
対になったキラーパンサー像の間をくぐった俺達の足が自然に止まり、
もう一度門から巨大な屋敷を見やる。

二階の窓の一つが開け放たれ、その窓から夕陽に向かって手を組み、祈りを捧げる女性。
風にあおられた浅葱色の髪が茜色の光に照らされ、その部分だけが本来の空色に染まる。
乱れる髪を意にも留めず、一心に祈るのは恐らく己の身を危険に冒す男達の安否。

「フローラさんにとっても辛い儀式なんだろうなぁ」
「…きっと本当に優しい人なんだろうね。優しい人はああして一人で胸を痛める…」

一面に広がる茜色に墨を一滴ずつ垂らすように、徐々に空を埋める夜色。
気を利かせた風が白い噴煙を吹き流し、満天の星々が一人の乙女を見守っていた。

530 : ◆Y0.K8lGEMA :2009/08/28(金) 19:47:24 ID:WiBZz9mP0
イサミ  LV 17
職業:異邦人
HP:80/80
MP:15/15
装備:E天空の剣 E鉄の胸当て
持ち物:カバン(ガム他)
呪文・特技:岩石落とし(未完成) 安らぎの歌 足払い ―――


〜〜〜〜〜

やっとこさ一大イベントまでたどり着きました。
デボラ姉の髪型は一体どうなってるんだろう?

531 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/28(金) 21:06:54 ID:FRcuxoYD0
>>530
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!

デボラの髪型は現実世界にこんなのがあるからあまり気にならない俺
http://waranote.blog76.fc2.com/blog-entry-1576.html

532 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/29(土) 03:29:58 ID:t50GNWpL0
まさかのデボラ登場!!
そういや原作だと人間は主人公一人だけだけど、
今回はイサミがいるから二人。これは…。

533 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/29(土) 09:32:57 ID:WxhSloAA0
だが、ビアンカさんも忘れちゃなんねぇ

534 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/29(土) 09:58:07 ID:jBQ2wZO10
>531
ポルナレフにワラタw

535 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/29(土) 22:00:06 ID:J9eKiZ7gO
GEMAさんの情景描写が大好きだ
最後のフローラの髪の毛を夕日が照らす表現に惚れた

536 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/08/29(土) 22:36:17 ID:WxhSloAA0
うん、惚れた・・・。結婚してください〜〜〜。
でも、炎のリングと水のリングとってこないといけないのか・・・。

537 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 20:06:38 ID:XOG8Q8QM0
スレ容量が480KBを超えてますから次スレを立ててきます。

538 :名無しさん@そうだ選挙に行こう:2009/08/30(日) 20:11:05 ID:XOG8Q8QM0
無理でした。どなたかお願いします。

------------------ 以下タイトル ------------------
もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら15泊目
------------------ 以上タイトル ------------------

------------------ 以下本文 ------------------
このスレは「もし目が覚めた時にそこがDQ世界の宿屋だったら」ということを想像して書き込むスレです。
「DQシリーズいずれかの短編/長編」「いずれのDQシリーズでもない短編/長編オリジナル」何でもどうぞ。

・基本ですが「荒らしはスルー」です。
・スレの性質上、スレ進行が滞る事もありますがまったりと待ちましょう。
・荒れそうな話題や続けたい雑談はスレ容量節約のため「避難所」を利用して下さい。
・レス数が1000になる前に500KB制限で落ちやすいので、スレが470KBを超えたら次スレを立てて下さい。
・混乱を防ぐため、書き手の方は名前欄にタイトル(もしくはコテハン)とトリップをつけて下さい。
・物語の続きをアップする場合はアンカー(「>>(半角)+最後に投稿したレス番号(半角数字)」)をつけると読み易くなります。

前スレ「もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら14泊目」
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1231678560/

PC版まとめ「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」保管庫@2ch
ttp://ifstory.ifdef.jp/index.html

携帯版まとめ「DQ宿スレ@Mobile」
ttp://dqinn.roiex.net/

避難所「もし目が覚めたら、そこがDQ世界の宿屋だったら」(作品批評、雑談、連絡事項など)
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/40919/

ファイルアップローダー
ttp://www.uploader.jp/home/ifdqstory/

お絵かき掲示板
ttp://atpaint.jp/ifdqstory/

539 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/03(木) 17:28:25 ID:l9mVDaxY0
http://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1251966357/l50
次スレ立てられました。移動と埋めをよろしく。

540 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/03(木) 17:50:55 ID:j5SQUo7lO
じゃあ埋め代わりに
冒険の書氏の続き、アイラはキーファと同じ感じがすると妹に言われていたから、一旦退場してアイラになって再登場かと予想してたが流石に違ったか
GEMA氏のはこれからデボラがどう絡んでくるかが非常に楽しみだ

541 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/05(土) 08:30:12 ID:IWaiznWXO
ぬるぽ

542 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/05(土) 12:11:45 ID:deTB6RVg0
がっ!

543 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/05(土) 23:58:33 ID:xBr6XJBE0
>>539
すれたて乙です。

544 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/09/06(日) 00:05:15 ID:8UzqFhXS0
>>495-499
―憤怒なさい布袋―

「気分はどうかな?」
 僕を診てくれた病院の先生が話しかけてくる。
「検査の結果も異常なしだ。すぐにでも退院できるよ」
 先生はやさしい笑顔で僕に接する。
 僕はそんな笑顔を向けられているとは思えないほど沈んだ顔をしていることだろう。
「どこか痛むとか体調が悪いとかあったら遠慮なく言ってね」
 僕が無反応なものだから先生はそんなことを言い出した。
「どこも悪くないよ。僕は……」
 それだけ言ってまた黙りこんでしまった。

 目を覚ましたとき、僕は病院のベッドの上にいた。
 僕と兄ちゃんは火事に巻き込まれ、煙を吸って倒れていたそうだ。
 そして、病院に運ばれ、ずっと眠っていたらしい。
 現実世界で僕が眠っていたのは一週間ほどだった。

 僕が兄ちゃんと体験したドラクエ7の世界。
 あれは夢だったのだろうか。
 目が覚めてすぐ、そう思った。

 夢じゃなかったとしたら兄ちゃんはどうなったのだろうか。
 僕がゲームをクリアしたことでこの世界に戻れたのかもしれない。
 あるいはゲームの出番が終わった時点で先に帰っている可能性もある。

 でも、そのどちらでもなかった。
 兄ちゃんは僕と同じように眠り続け、未だ目を覚ましていなかった。
 あれが夢かどうかわからないまま、僕は現実を突きつけられた。

545 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/09/06(日) 00:06:59 ID:8UzqFhXS0
 僕の態度に先生は困ったような顔をしている。
「……貴一君のことかな?」
 先生はさっきよりもトーンを落として、それでもやっぱり優しい声で話しかけてくる。
 僕は頷いて、そのままうつむいてしまっていた。
「君が目を覚ましたんだ。貴一君も目を覚ますことを信じよう」
 先生は励ますように力強く言う。
 でも、そんなこと言っても無駄だ。兄ちゃんが帰ってこないことを僕は知っている。

「……夢を見ていたんだ。眠っているとき、夢とは思えないような夢を見た」
 僕はあの出来事のことを話すことにした。
 こんなことを言っても仕方のないことだけど誰かに聞いてほしかったのかもしれない。
「どんな夢?」
「夢の中で僕と兄ちゃんは冒険をしていたんだ。長い長い冒険だった」
 本当に長い冒険だった。
 あれが夢だったらどんなにいいことだろう。
「冒険の中で兄ちゃんが僕を助けてくれたんだ。自分を犠牲にして」

 先生は少し驚いたような顔をしたけれど、すぐにやさしい顔に戻った。
「それで君はどうしたのかな?」
「冒険を続けて、続けるしかなくって、その冒険が終わったときに目を覚ましたんだ」
「君が目を覚ましたのはお兄さんのおかげなんだね」
 はっきりと言ってくれる。
 僕は兄ちゃんのおかげで、兄ちゃんの犠牲の上で生かされている。
「君の中でお兄さんは大きな存在なんだね」
 そう。大きな存在だ。
 大きすぎる存在。
「僕だけ助かって、兄ちゃんは助からなかったんだから」

546 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/09/06(日) 00:08:29 ID:8UzqFhXS0
「だけど、それはあくまでも君の見た夢の話だよ」
 僕の話を聞いても先生はまだやさしい口調だった。
「夢と現実は違うものだ」
 そうだよね。誰もあんなことが本当にあっただなんて思わないさ。
「先生はね、君だけ助けて貴一君を助けないつもりはないんだ」
「でも……」
「君のお兄さんは生きている。今も必死に戦っているんだ」

 ああ、そうだ。兄ちゃんは死んだわけじゃないんだ。
 それなのにどうして僕は諦めようとしているだろう。
「夢の中で兄ちゃんが言っていた。生きていることだって奇跡みたいなものだって」
「奇跡か。そうだ、君たちが火事現場から助け出されたことにも運命を感じるよ」
「運命?」
「君たちを助け出した消防士なんだけど彼のことを知っているからそう思うんだろうね」
 火事の現場から助けてくれた消防士さんがいたんだ。

「先生は消防士さんと知り合いなの?」
「正確にいえば知っているのは彼の母親の方なんだけどね」
 消防士さんのお母さんとどういう知り合いなんだろう。
「彼のお母さんは息子が消防士になることをずっと反対していたんだ」
「うん」
「だけど急に許したんだ。君と同じように長い夢を見て考えを変えたって言っていたよ」
 どんな夢だったんだろう。
「君がこうしていることにはいろんな幸運が重なっている。生きていることは奇跡だね」
 先生の笑顔に僕は少しだけ口の端を緩めた。
 僕の知らないところでもっといろんな運命のめぐりあわせがあるのかもしれない。

「僕は、僕は何ができるかな。兄ちゃんのために何ができるかな」
 何かをしなきゃいけない気がした。
 どんなことでもいいから。
「お見舞いに来るといい。貴一君に会いに来てあげるんだ」
 先生はそう答えた。
「君が夢の中で戦っていたように貴一君も戦っているのかもしれない」
 兄ちゃんはまだ戦っている。
「一人では心細くて諦めそうになるかもしれない。悪い誘惑に負けるかもしれない」
 僕は……僕は一人になっても兄ちゃんが支えてくれた。
「今度は君が貴一君の支えになってあげるんだ」
「うん、僕、会いにくるよ」

547 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/09/06(日) 00:11:06 ID:8UzqFhXS0
 僕は退院後も病院へ通った。
 先生の言った通り兄ちゃんのお見舞いに来ている。
 兄ちゃんはずっと眠ったままだった。

 僕がお見舞いに来て三日目、兄ちゃんのベッドが空になっていた。

 兄ちゃんは目を覚ましたのだろうか。それとも……

「よ、おはよ」
 病室の前で突っ立ていた僕の耳に、聞き慣れた声が聞こえてくる。
「俺のお見舞いか?」
 僕が振り返ると、そこに兄ちゃんがいた。
「さすがに十日も寝てると体がだるいな。寝すぎて眠いぞ」
 兄ちゃんは帰ってこれたんだ。

「帰ってこれたんだね」
 もっと喜んでいいのにうまく言葉が出てこない。
「おうよ。恥ずかしながら帰ってまいりましたってやつだな」
 あんな別れ方をしたのに兄ちゃんはいつもと変わらない。

「あ。今、帰ってこれたって言ったよな。じゃあ、あれはやっぱ夢じゃなかったんだ」
「うん」
 それはしっかりと二人の記憶に刻まれている。
 僕と兄ちゃんがドラクエ7の世界で冒険したという事実。
「貴重な体験だよな。まさに体感型ゲームだ」
「命がけの冒険だったじゃないか」
「あれはゲームにすぎないよ。俺たちはゲームを攻略しただけさ」
「だって……」
「俺たちはゲームをしていただけだ。ロールプレイングゲームをな」
 命がけの冒険を、どうしてそこまでゲームだって言い張るんだろう。
「そのゲーム攻略のために俺は最善の手を打っただけだ」
 攻略って、ゲームのキャラになりきって話を進めたことを言っているのだろうか。
 キーファとしての役目をまっとうしたのはすべて攻略のためだと言いたいのだろうか。

「俺ゲームをしただけ。だからお前は俺の行動に負い目や責任を感じる必要はない」
 ああ。僕が気にしていたことに気づいていたんだ。だからあんなことを言ったんだね。
 兄ちゃんには一生勝てる気がしない。

548 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/09/06(日) 00:12:37 ID:8UzqFhXS0
「兄ちゃんは帰ってくるつもりだったんだよね」
「当たり前だろ。石板読まなかったのか?」
 石板。
 あの神様が読んでくれた兄ちゃんの伝言だ。
「父さんと母さんを頼むって……」
 あの文面だと帰ってこられないと思っていたんじゃないの?

「万が一の時はな。万が一、つまり一万分の一だ。これって0.01%だぞ」
「え」
「要するに俺は99.99%帰ってくるつもりでいたって事だ」
 どうしてこの人はここまで余裕があるんだろう。

「石板で思い出しだけど、俺たちがあの世界言ったのは間違いだったんじゃないかな」
「どうしてそう思うの?」
「ゲームでの文面は『どんなにはなれていても俺たちは友達だよな!』だったんだ」
「うん……」
「兄弟に直す必要があったあたり発注ミスだと思うわけだよ」
「発注って」
「ドラクエ世界に適当な二人送り込むっていう発注」
「いったいどこからどこに発注してるんだよ」
「知らん。だけど、あそこは友達二人って注文すべきだったと思うわけよ」
 すさまじい発想だ。
 兄ちゃんらしいといえばらしいんだけど、喜んでいいのかわからない。

「まったくさ。人がどれだけ心配したと思ってんだよ」
「落ち着け。キレそうなときでも我慢することが大切だ」
 別にキレたいわけじゃないんだけど……
「我慢すべきといえばこんな話を知っているか? ドラクエには大切な三つの袋がある」
「それって結婚式のスピーチなんかで言うやつじゃないの?」
「一つ目はアイテムを入れる大きな袋。二つ目はおふくろ。三つ目は魔物の笑い袋だ」
「堪忍袋は?」
 すっかりペースを乱されている。
 いや、いつもどおりに戻ったと言うべきか。

549 :冒険の書7 ◆8fpmfOs/7w :2009/09/06(日) 00:13:39 ID:8UzqFhXS0
「でもさ、帰ってくるのにどうして僕と兄ちゃんでタイムラグがあったんだろうね」
「ああ、それな。俺ちょっとロトの子孫のいた世界にいたんだわ」
「ロトの子孫?」
 確か、ドラクエの1から3がロトシリーズなんだっけ?
「キャラバンハートって言ってな、ドラクエ2の未来の世界だ。キーファが主人公のな」
 そんなものがあったんだ。
「お前と別れた後に意識が薄くなって、これで帰れるかなと思ったらそれだよ」
「目が覚めたら今度はキャラバンハートの世界にいたんだ」
「あれってキーファが子供の頃の話なんだ。順番違うっての。やっぱ発注ミスだな」
 なんでこんな緊張感がないんだ。
「それで、その世界を平和にして帰ってこれたってわけ?」
「ああ。未プレイだったからちょっと時間かかっちまったけどな」
 なかなか目を覚まさないのがそんな理由だったなんて……

「あ、そうだ。お前にひとつ文句がある」
「え……」
 何だろう。
 わがままな性格のことかな。
「お前先に家に帰ったんだから攻略本を持って来てくれよ」
「はい?」
「言っただろ。帰って攻略本とって来いって」
 どうしてこの兄はこんな時までこんなことを言うんだ。
「本当にさ、僕がどんな思いでいたと思ってるんだよ……」
「泣いているのか?」
「泣いてないよ」
「お前、普通ここは泣くとこだろ?」
「泣きたいのはやまやまだけどさ、泣くタイミングを失ったよ!」

―完―

550 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/06(日) 01:10:22 ID:RMK6zI7L0
おおお…続きが来てたぞ。兄ちゃんも帰ってこれたんだ。
これでラストのように見えるが、果たしてそうなのかな。


551 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/06(日) 01:17:13 ID:Q3INLrTS0
投下乙&GJでした。
おお、よかった^^
消防士さんはメグミさんの御子息かな。先生の話もいいな〜。感動した^^
前の話の登場人物が出てくるとなんか嬉しいですよね。

552 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/06(日) 02:47:40 ID:6wIS8PPUO
この二人が助かったのは、メグミさんが思い直すきっかけをくれたサマルのおかげだったんだね…

553 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/06(日) 17:40:47 ID:BRjzdBqe0
まさかこっちに来てるとは。
乙でした。
キャラバンハートに行ってたとはね。
このシリーズは毎度驚かされるわ。


554 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/11(金) 04:11:40 ID:6bem3CLM0
もうスレは満タンでしょうか。
新スレにはすでに引っ越しています。

555 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/11(金) 12:56:49 ID:dGVURJW0O
今495KBで、510KBまで書き込めます

556 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/12(土) 09:06:39 ID:n4sauFYh0
>>555
500KBで打ち止め

557 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 01:40:45 ID:2SyNxZUaO
      ∞0∞                |ヾ, ''⌒ヽ./|
     〃/ハ)ヽ)             r-、ヽ| [三三]/
⊂二二Jハ’∀’ル二⊃         ヾヽ|_|;´∀`)つ
     |    /.                )    /
      ( ヽノ         三三    (/⌒l/
      ノ>ノ           三三   r' (_)
  三  レレ    .      三三    し'

558 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 02:08:45 ID:2SyNxZUaO
        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        | いまよ!ミナデインーーーッ!!
   \   \
          ̄ ̄ ̄|/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      \     ,.、 /
        〃゙ミ'彡ヽ)    ト
        (ソ(リ-Oリゞ)    オ
 ̄  ̄    (从*゚σ゚ノソ__  ̄ ォ ̄  ̄
     《二=||とメ⌒)⊃;;))  ォ
         ´ 人( ⌒)゙ \
  /      /ソ`し"   ォ
      /  :´      ォ  \
     / .. ::      ォ     \
    /   .  ::  
       : . ::    ォ
     .  ::     ォ
    ..      
     ::  ..  

 _,,..-―'"⌒"~⌒"~ ゙゙̄"'''ョ
゙~,,,....-=-‐√"゙゙T"~ ̄Y"゙=ミ
T  |   l,_,,/\ ,,/l  |

559 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 02:19:50 ID:2SyNxZUaO
         r'ニニニ二二二ニニニ、ヽ
         | |     .@     | |            ト、____, へ
      rー┤|           |├、          ヽ         }
      |   | |       Π    | | |        ≡三ーーーーァ   /
      l    l l     lニ  コ  .| | |         ≡    /  /
     |    l l      |_|    | | |        ≡三   ./  /
       l__l_l______|_|__|   っ     .≡ /  /
       | /  ,イ,へ 丶、       ヘ       ≡三./  /       ノ|
       | ,' / //  \| \ ト、 ヽ ',   つ  ≡{   丶ーーーー'  }
      !j./l /        ` ヽト、ヽ }         ゝ、_______丿
.     | | .!/.!  ○    ○ l l |ヽ,'    ⊃
       l | | .l/////////////! | !.|      
       .| ! | ト、  ,-ー¬   .ィ| .| l     こ、これは>>1乙じゃなくてバギクロスなんだから
        |

560 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 02:43:32 ID:+YOK8Lrs0
500kまであと1.44kB

561 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 02:44:30 ID:+YOK8Lrs0
書き込んだら残余ビット数が変化しました(当たり前)。

562 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 04:42:10 ID:GLw/LCr90
うめ


563 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 04:43:28 ID:GLw/LCr90
ume2

564 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 12:09:03 ID:BoGyiyRH0
やばい、559のそーりょがかわいすぎる。日記よみたい。

565 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/13(日) 19:56:23 ID:8NpHGDIG0
念のため今一度誘導しておこうかね

もし目が覚めたらそこがDQ世界の宿屋だったら15泊目
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/ff/1251966357/

566 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/14(月) 04:02:08 ID:cjs8W/vI0
Thanks. じゃこのスレは埋めですね。

567 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2009/09/14(月) 11:01:38 ID:wf1BWbxL0
                 ___      _,.  _
                 \`ヽ''⌒`'´/  (E)どんどん埋めるわよ!
                  ヽ「\D/l|  / / ._  __ _
               (__<ム.゚/ヮ゚ノ!>'∨  \7´__B_ヾ/
    _,/^)、==∧       (ヨ)'ノ,,,)ノ,)/    .(_)[ヘnヘ(^>、アラホラサッサー!
  /(/),[o ,,o].__    /,'∨〉卒{ヽ丶.   、_ゞ_,.(n_>> 〉
 (  ヾ{ ...:::::::::::::.} ヽ (( / (,ゝ<} ヽ ))    /\屮'´/
  \. 「ヽエエエエソイ }   /  ∧ノi/} |   (ヨ)|D)/´
    `{フ=◎={} (,,_}  .{  /::/ |::|、 }      (=◎}、
.    〈 .<⌒> 〉 (5,}   レ/::/   |::| ∨    〈 〈 〉 〉
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